説明

乾式の外壁目地止水材、その施工方法及び更新方法

【課題】テープ状止水材の両側辺部の粘着面を外壁目地の目地内空間部の両対向面部にうまい具合に粘着させることができ、しかも、テープ状止水材とガスケットとを外壁目地の目地内空間部に能率良く設置していくことができる乾式の外壁目地止水材等を提供する。
【解決手段】テープ状止水材2と、剥がし操作部9bを備えた対の離型紙9と、両離型紙9をテープ状止水材2の中間辺部2aの背面側で分離可能に連結する連結テープ10と、テープ状止水材2に分離可能に取り付けられ、目地内空間部4でテープ状止水材2の両側辺部2b,2b間に突出状態となって、該両側辺部2b,2bを目地内空間部4を挟む両対向面部6,6に押し付ける弾力性を有するガスケット3とが備えられている外壁目地止水材1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式の外壁目地止水材、その施工方法及び更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ状止水材とガスケットを用い、テープ状止水材を外壁目地の目地内空間部で中間辺部が目地奥方に位置し両側辺部が目地内空間部を挟む両側面部に対向するようにコ字状に屈曲し、両側辺部の外面側に備えられた粘着面を目地内空間部を挟む両対向面部に粘着することで外壁目地を止水し、かつ、外壁目地をテープ状止水材よりも屋外側においてガスケットで止水する乾式の外壁目地止水構造が考えられている。
【特許文献1】特開平9−256498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような乾式止水構造を形成するための施工方法については、テープ状止水材の両側辺部の粘着面を目地内空間部の両対向面部にうまい具合に粘着させる手法が確立されておらず、未だ開発途上の段階にある。
【0004】
本発明は、このような背景において、テープ状止水材の両側辺部の粘着面を外壁目地の目地内空間部の両対向面部にうまい具合に粘着させることができ、しかも、テープ状止水材とガスケットとを外壁目地の目地内空間部に能率良く設置していくことができる乾式の外壁目地止水材等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、外壁目地の目地内空間部で、中間辺部が目地奥方に位置し、両側辺部が目地内空間部を挟む両側面部に対向するようにコ字状に屈曲され、両側辺部の外面側に備えられた粘着面を目地内空間部を挟む両対向面部に粘着することで外壁目地を止水するテープ状止水材と、
該テープ状止水材の各側辺部の粘着面をカバーする離型紙本体部を備えると共に、テープ状止水材の中間辺部の側で折り返されて屋外側に突出するように延ばされる剥がし操作部を備えた対の離型紙と、
両離型紙をテープ状止水材の中間辺部の背面側で分離可能に連結する連結片と、
テープ状止水材に取り付けられ、外壁目地をテープ状止水材よりも屋外側で止水すると共に、目地内空間部でテープ状止水材の両側辺部間に突出状態となり、該両側辺部を目地内空間部を挟む両対向面部に押し付ける弾力性を有するガスケットと
が備えられていることを特徴とする乾式の外壁目地止水材によって解決される。
【0006】
また、上記の課題は、上記外壁目地止水材を用い、該止水材を、テープ状止水材の側から外壁目地の目地内空間部に嵌め込んだ後、両剥がし操作部に屋外側への引張り力を加えて離型紙同士を分離し、しかる後、両離型紙をテープ状止水材の粘着面から剥がし取ることを特徴とする止水材の施工方法によって解決される。
【0007】
上記の外壁目地止水材及び施工方法では、テープ状止水材の両側辺部の粘着面が離型紙でカバーされているので、該止水材をテープ状止水材の側から外壁目地の目地内空間部に嵌め込んでいく過程で、テープ状止水材の両側面部の粘着面が目地内空間部を挟む対向面部に不本意に粘着してしまうことがなく、テープ状止水材を目地内空間部の所定の位置にスムーズに設置することができる。
【0008】
しかも、両離型紙は、テープ状止水材の中間辺部の背面側で連結片によって連結されているので、止水材を外壁目地の目地内空間部に嵌め込んでいく過程で、目地内空間部を挟む対向面と離型紙との摩擦によって離型紙が粘着面から剥がれてしまうこともなく、テープ状止水材を目地内空間部の所定の位置にスムーズに設置することができる。
【0009】
そして、連結片は、両離型紙を分離可能に連結しており、また、両離型紙の各剥がし操作部は、テープ状止水材の中間辺部の側で離型紙本体部から折り返されて屋外側に突出するように延ばされているので、両離型紙の剥がし操作部に屋外側への引張り力を加えれば、上記のように離型紙同士を分離し、両離型紙をテープ状止水材の粘着面から剥がし取ることができる。
【0010】
そして、ガスケットは、目地内空間部でテープ状止水材の両側辺部間に突出状態となって備えられており、該両側辺部を目地内空間部を挟む両対向面部に押し付ける弾力性を有しているから、テープ状止水材の両側辺部の粘着面がガスケットの弾力性によって目地内空間部を挟む両対向面部に押し付けられ、テープ状止水材の両側辺部の粘着面が目地内空間部を挟む両対向面部にしっかりと粘着して、外壁目地をテープ状止水材でしっかりとした止水状態にすることができる。
【0011】
こうして、テープ状止水材の両側辺部の粘着面を外壁目地の目地内空間部の両対向面部にうまい具合に粘着させることができる。
【0012】
更に、ガスケットはテープ状止水材に取り付けられてテープ状止水材と一体化されていて、ガスケットとテープ状止水材とを外壁目地の目地内空間部に同時に嵌め込むようになされているので、両者を目地内空間部に能率良く設置していくことができ、施工を能率良く行っていくことができる。
【0013】
また、本発明は、上記の施工方法で形成された外壁目地の乾式止水構造において、ガスケットがテープ状止水材に分離可能に取り付けられており、該止水構造に対し、ガスケットをテープ状止水材から分離してテープ状止水材を目地内空間部に残したまま屋外側に取り出し、しかる後、新たなガスケットを屋外側から目地内空間部に嵌め込むことを特徴とする止水材の更新方法も含む。
【0014】
即ち、上記の外壁目地止水材は、ガスケットがテープ状止水材に対して分離可能に取り付けられているので、止水材の更新に際して、古いガスケットをテープ状止水材から分離してテープ状止水材を目地内空間部に残したまま屋外側に取り出すことができ、ガスケットの背後にあって劣化しにくいテープ状止水材をそのまま使用することで止水材の更新をコスト的に有利に行うことができる。しかも、ガスケットの更新を雨期に行うような場合であっても、テープ状止水材は目地内空間部に残されたままであるので、屋内側への雨水の侵入を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のとおりのものであるから、テープ状止水材の両側辺部の粘着面を外壁目地の目地内空間部の両対向面部にうまい具合に粘着させることができ、しかも、テープ状止水材とガスケットとを外壁目地の目地内空間部に能率良く設置していくことができる。加えて、目地止水材の更新をコスト的に有利に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1に示す実施形態の外壁目地止水材1において、2はテープ状止水材、3はガスケットである。
【0018】
テープ状止水材2は、一方の面を粘着面とする例えばブチルテープなどからなり、図2等に示すように、外壁目地の目地内空間部4で横断面コ字状に屈曲し、中間辺部2aを目地奥方に位置させ、両側辺部2b,2bを目地内空間部4を挟む対向面部6,6に対向させ、両側辺部2b,2bの粘着面5を目地内空間部4を挟む対向面部6,6に粘着することにより、外壁目地を止水するものである。なお、本実施形態では、目地内空間部4に設置したテープ状止水材2の両側辺部2b,2bの先端が、外壁の下地材7を越えて外壁面材8の側面部の面内に達するような幅寸法に設計され、下地材7の小口がテープ状止水材2でカバーされるようになされている。
【0019】
テープ状止水材2の両側辺部2b,2bの各粘着面5はそれぞれ、図1に示すように、離型紙9,9でカバーされている。各離型紙9は、テープ状止水材2の側辺部2bの粘着面5をカバーする離型紙本体部9aと、テープ状止水材2の中間辺部2aの側で折り返されて屋外側に突出するように延ばされる剥がし操作部9bとを備えており、剥がし操作部9bを引くことにより、離型紙本体部9aがテープ状止水材2の中間辺部2aの側から剥がされていくようになされている。
【0020】
更に、上記の両離型紙9,9は、テープ状止水材2の中間辺部2aの背面側において連結片としての連結テープ10によって連結されており、該連結テープ10の幅方向中間部にはミシン目10aが入れられ、剥がし操作部9b,9bを引いてミシン目10aを破ることにより、両離型紙9,9を分離することができるようになされている。
【0021】
ガスケット3は、外壁目地をテープ状止水材2よりも屋外側で止水するもので、テープ状止水材2の反粘着面の側に備えられ、目地内空間部4において、その先端側の半部がテープ状止水材2の両側辺部2b,2b間に突出した状態となり、該両側辺部2b,2bを目地内空間部4を挟む両対向面部6,6に弾力的に押し付けることができるようになされていると共に、基端側の半部は目地内空間部4を挟む両対向面部6,6に弾力的に押し付けられるようにされている。
【0022】
そして、ガスケット3の先端部とテープ状止水材2の中間辺部2aとの間に独立気泡タイプあるいは独立・連続気泡タイプのスポンジ11が介設され、ガスケット3とスポンジ11、スポンジ11とテープ状止水材2とが接着されて三者は一体化され、ガスケット3は、スポンジ11をテープ状止水材2に残してテープ状止水材2から分離することができるように、スポンジ11に対して弱接着状態に取り付けられている。
【0023】
外壁目地の止水の施工は、上記の外壁目地止水材1を用い、図2(イ)(ロ)に示すように、該止水材1を、テープ状止水材2の側から、例えば外壁縦目地の目地内空間部4に嵌め込む。なお、12は、柱などの建物構造躯体である。
【0024】
テープ状止水材2の両側辺部2b,2bの粘着面5は離型紙9,9でカバーされているので、止水材1をテープ状止水材2の側から外壁目地の目地内空間部4に嵌め込んでいく過程で、テープ状止水材2の両側辺部2b,2bの粘着面5が目地内空間部4を挟む対向面部6,6に不本意に粘着してしまうことはなく、テープ状止水材2を目地内空間部4の所定の位置にスムーズに設置することができる。
【0025】
しかも、両離型紙9,9は、テープ状止水材2の中間辺部2aの背面側で連結テープ10によって連結されているので、止水材1を外壁目地の目地内空間部4に嵌め込んでいく過程で、目地内空間部4を挟む対向面部6,6と離型紙9,9との摩擦によって離型紙9,9が粘着面5から剥がれてしまうこともなく、テープ状止水材2を目地内空間部4の所定の位置にスムーズに設置することができる。
【0026】
また、本実施形態では、ガスケット3とテープ状止水材2との間に独立気泡タイプあるいは独立・連続気泡タイプのスポンジ11が介設されているので、ガスケット3を目地内空間部4の奥方に押し付けるようにすることにより、スポンジ11は両側方に膨らみ、テープ状止水材2の側辺部2bと目地内対向面部6との接触面積を広くすることができる。
【0027】
しかる後、図3(ハ)に示すように、両離型紙9,9の剥がし操作部9b,9bに屋外側への引張り力を加えれば、連結テープ10はミシン目10aで破られ、離型紙9,9は互いに分離し、そのまま剥がし操作部9b,9bを屋外側に引き出せば、図3(ニ)に示すように、両離型紙9,9をテープ状止水材2の粘着面5から剥がし取ることができる。
【0028】
そして、ガスケット3は、目地内空間部4でテープ状止水材2の両側辺部2b,2b間に突出状態となっていて、該両側辺部2b,2bを目地内空間部4を挟む両対向面部6,6に弾力的に押し付ける弾力性を有しているから、離型紙9,9を剥がしとると、テープ状止水材2の両側辺部2b,2bの粘着面5がガスケット3の弾力性によって目地内空間部4を挟む両対向面部6,6に押し付けられ、テープ状止水材2の両側辺部2b,2bの粘着面5が目地内空間部4を挟む両対向面部6,6にしっかりと粘着し、外壁目地はテープ状止水材2でしっかりとした止水状態になる。こうして、テープ状止水材2の両側辺部2b,2bの粘着面5を外壁目地の目地内空間部4の両対向面部6,6にうまい具合に粘着させることができる。また、いうまでもなく、外壁目地はガスケット3によっても止水される。
【0029】
また、ガスケット3はテープ状止水材2に取り付けられてテープ状止水材2と一体化されていて、図2(イ)(ロ)に示すように、ガスケット3とテープ状止水材2とを外壁目地の目地内空間部4に同時に嵌め込むようにしているので、両者を目地内空間部に能率良く設置していくことができ、テープ状止水材2とガスケット3とを用いた外壁目地の止水の施工を能率良く行っていくことができる。
【0030】
そして、ガスケットの経年劣化などにより、その更新を行う場合は、ガスケット3とテープ状止水材2は上記の弱接着によって分離可能であるから、図4(イ)(ロ)に示すように、テープ状止水材2を目地内空間部4に残したまま、古くなったガスケット3のみを目地内空間部4から取り外すことができ、ガスケットの背後にあって劣化しにくいテープ状止水材2は交換することなくそのまま使用して、図5(イ)(ロ)に示すように、新たなガスケット3を目地内空間部に嵌め込んで更新をすることができ、ガスケット3の更新をコスト的に有利に行うことができる。しかも、この更新の施工において、テープ状止水材2は目地内空間部4に残されたままであり、止水状態が維持されるので、雨が降っても屋内に雨水が入り込むことがない。
【0031】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、ガスケット3とテープ状止水材2とを分離可能にするため、スポンジ11とガスケット3とを弱接着状態にした場合を示したが、スポンジ11とテープ状止水材2とを弱接着状態するようにしてもよい。また、外壁目地止水材1におけるスポンジ11は省略されてもよい。また、本発明は、新築建物の外壁目地の止水に用いられてもよいし、既存建物の外壁目地の改修に用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態の外壁目地止水材を示すもので、図(イ)は横断面図、図(ロ)及び図(ハ)は断面斜視図である。
【図2】図(イ)及び図(ロ)は図3(ハ)(ニ)と共に止水材の施工方法を順次に示す断面平面図である。
【図3】図(ハ)及び図(ニ)は図2(イ)(ロ)と共に止水材の施工方法を順次に示す断面平面図である。
【図4】図(イ)及び図(ロ)は図5(ハ)(ニ)と共に止水材の更新方法を順次に示す断面平面図である。
【図5】図(ハ)及び図(ニ)は図4(イ)(ロ)と共に止水材の更新方法を順次に示す断面平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1…乾式の外壁目地止水材
2…テープ状止水材
2a…中間辺部
2b…側辺部
3…ガスケット
4…目地内空間部
5…粘着面
6…対向面部
9…離型紙
9a…離型紙本体部
9b…剥がし操作部
10…連結テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁目地の目地内空間部で、中間辺部が目地奥方に位置し、両側辺部が目地内空間部を挟む両側面部に対向するようにコ字状に屈曲され、両側辺部の外面側に備えられた粘着面を目地内空間部を挟む両対向面部に粘着することで外壁目地を止水するテープ状止水材と、
該テープ状止水材の各側辺部の粘着面をカバーする離型紙本体部を備えると共に、テープ状止水材の中間辺部の側で折り返されて屋外側に突出するように延ばされる剥がし操作部を備えた対の離型紙と、
両離型紙をテープ状止水材の中間辺部の背面側で分離可能に連結する連結片と、
テープ状止水材に取り付けられ、外壁目地をテープ状止水材よりも屋外側で止水すると共に、目地内空間部でテープ状止水材の両側辺部間に突出状態となり、該両側辺部を目地内空間部を挟む両対向面部に押し付ける弾力性を有するガスケットと
が備えられていることを特徴とする乾式の外壁目地止水材。
【請求項2】
請求項1に記載の外壁目地止水材を用い、該止水材を、テープ状止水材の側から外壁目地の目地内空間部に嵌め込んだ後、両剥がし操作部に屋外側への引張り力を加えて離型紙同士を分離し、しかる後、両離型紙をテープ状止水材の粘着面から剥がし取ることを特徴とする止水材の施工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の施工方法で形成された外壁目地の乾式止水構造において、ガスケットがテープ状止水材に分離可能に取り付けられており、該止水構造に対し、ガスケットをテープ状止水材から分離してテープ状止水材を目地内空間部に残したまま屋外側に取り出し、しかる後、新たなガスケットを屋外側から目地内空間部に嵌め込むことを特徴とする止水材の更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−70451(P2006−70451A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251629(P2004−251629)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】