説明

乾式工法構造物用の板からなる成形体

本発明は、乾式工法構造物のための、板からなる成形体であって、2つの脚部区分(2)及びこれらの脚部区分(2)結合する1つの底部区分(3)を備えており、さらに脚部区分(2)に配置されている少なくとも1つの補強条片(5)を備えているものに関する。補強条片(5)を脚部区分(2)に取り付ける手段が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式工法における構造物(Trockenbau)のための薄板からなる成形体であって、2つの脚部区分及びこの脚部区分を結合する1つの底部区分を備えており、さらに、1つの脚部区分に配置されている少なくとも1つの補強条片を備えているものに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような薄板若しくは板からなる成形体は、乾式工法において、様々な形態で使用されている。そのような成形体のよく知られた形態は、C字形状であり、2つの脚分区分及びその2つの脚部区分を結合している1つの底部区分を備えていて、この脚部区分にはそれぞれ、成形体の長手方向に延びる曲げられた支持縁部が設けられている。
【0003】
1987年1月にまとめられたDIN18182(Teil 1)(ドイツ連邦規格18182(第1部))には、上記のようなC字形状とは、2つの同一の縁折り曲げ部分(Umboerdelung)を有する支持縁部が設けられており、これらの2つの同一の領域が支持縁部の幅の部分にわたって延びていることが記載されている。
【0004】
さらに、より大きな材料厚みを有する薄板を使用することによって、より安定性の高いC字形状を構成できることも当業者に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の課題は、冒頭で述べた成形体を、所与の材料厚みを有したままで特に安定性のあるよう改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、乾式工法構造物のための薄板からなる成形体であって、2つの脚部区分及びこれらの脚部区分を結合する1つの底部区分を備えており、前記脚部区分に配置されている少なくとも1つの強化条片を備えており、該強化条片を前記脚部区分に取り付ける若しくは固定するための手段が設けられている成形体によって解決される。
【0007】
本発明による構成によって、成形体の安定性を著しく向上させることができる。強化条片を取り付けるための手段によって、効果的な力誘導が可能となり、それにより、材料を有用に利用することが可能となる。よって、成形体としてより薄い板を使用しながら、これまで成形体の厚さを著しく増大させた板を使用することでしか得ることのできなかった成形体の安定性を得ることが初めて可能となる。これにより、材料の全使用量を著しく低減することができるので、(材料)節約の潜在性が著しく高められる。しかし、補強条片があることで、必要な材料の面積はいくらか大きくなる。しかし、それは、より薄い板を使用することによって十分に補償される若しくはそれ以上となり、材料消費量全体及びひいては製造コストを低下させることができる。さらなる利点は、重量の低減が達成できることによって、取り扱い性及び運搬性も向上するということである。
【0008】
補強条片を脚部区分に取り付けるための手段が、補強条片及び/又は脚部区分の塑性の材料変形部を備えていると、安定性がさらに向上する。この場合、有利には、局部的な塑性材料変形部を多数設けることができる。
【0009】
さらに、有利には、塑性の材料変形部が、長細い形状を有しており、特に補強条片の長手方向に延びている。
【0010】
有利には、塑性の材料変形部は、脚部区分の変形接合(Umformfuegen)によって、例えば脚部区分に形成されている支持縁部と補強条片とによって、特にクリンチング(Clinchen)によって得ることができる。
【0011】
補強条片を脚部区分に取り付けるための手段が、接着剤を含む場合には、成形体の安定性をさらに向上させることができる.
よって、成形体の製造は、補強条片が、脚部区分の、補強条片を取り付ける手段によって固定される曲げ戻された部分である場合、特に容易となる。
【0012】
別態様では、補強条片は、別個の構成要素、特に板状の条片であってよい。その場合、補強条片を曲げ戻さなくてよいので、板の変形工程は省かれる。曲げ戻す代わりに、補強条片を製造時に個別に供給し、前記取り付ける手段によって、脚部区分に、例えばその支持縁部に結合させることができる。この場合、補強条片として、劈開若しくは分割の際に生じる残部(Spaltreste)又は角材加工の際に出る条片(Besaeumungstreifen)、或いは別の材料残部を使用することができる。
【0013】
本発明の特に有利な構成によれば、少なくとも1つの脚部区分が、成形体の長手方向に延びる曲げられた支持縁部を有しており、補強条片が、この曲げられた支持縁部に配置されている。
【0014】
本発明によれば、さらに、補強条片が、支持縁部に沿って、特にその全長さにわたって延びており、且つ/又は支持縁部の底部区分の方を向いて及び/若しくは底部区分の反対側を向いて配置されていると有利である。底部区分を向く側に配置された構成では、特に高い安定性が得られる。
【0015】
さらに、前記支持縁部は、支持縁部の横方向で湾曲部(アーチ形状の湾曲部)を有していてよい。この湾曲部は、支持縁部が、底部区分の反対の側で凸状に且つ/又は底部区分を向く側で凹状に形成されるように構成されていてよい。
【0016】
特に有利な構成によれば、補強条片は、曲げられた支持縁部の全幅にわたって延びている。
【0017】
本発明によれば、成形体は、C字形状又はU字形状として形成されていてよい。
【0018】
本発明のさらなる目的、特徴、利点及び使用の態様を、図面に基づき、実施例の以下の説明によって明らかにする。この場合、記載され且つ/又は図示された全ての特徴は、単独で又は任意に組み合わせて、特許請求の範囲の各請求項及び従属請求項の記載にも依存しないで発明の対象を構成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態による成形体を側面から見た図である。
【図2】図1の成形体の斜視図である。
【図3】本発明の別の実施形態による成形体の斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態による成形体の斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態による成形体の斜視図である。
【図5a】図5の成形体の側面図である。
【図6】本発明の別の実施形態による成形体の側面図である。
【図7】本発明の別の実施形態による成形体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面はそれぞれ、乾式工法構造物のための薄板からなる成形体1の様々な構成を示す。そのような成形体は、乾式工法においては、例えば壁部の石膏ボード又は吊り下げ天井(abgehaengte Decken)のためのサブ構造として使用することができる。
【0021】
成形体1はそれぞれ、2つの脚部区分2及びこれらの脚部区分2を結合している1つの底部区分3を備えている。この場合、脚部区分2及び底部区分3においては、成形体1の長手方向に延びる複数の条溝6、7が成形されている。
【0022】
脚部区分2にはそれぞれ、成形体1の長手方向に延びる曲げられた支持縁部4が設けられている。この場合、内方を向く支持縁部4は、支持縁部4の下で適当な突起と係合する乾式工法構造物の別の取り付けエレメント、例えばいわゆる十字結合部材(Kreuzverbinder)(図示せず)と結合するように働く。
【0023】
脚部区分2にはそれぞれ、補強条片5が設けられている。この補強条片5は、図示の実施形態では、支持縁部4に沿って延びており、図示の実施形態では、支持縁部4の、底部区分3の方を向く側に配置されている。この場合、補強条片5は、有利には、図示のように、曲げられた支持縁部4の全幅Bにわたって延びている。
【0024】
図示のものとは違って、補強条片5は、底部区分3の反対を向く側に設けられていてもよい。
【0025】
支持縁部4は、図1〜5に示す実施形態では、支持縁部4の横方向に延びる湾曲部を有しており、この湾曲部は、支持縁部4が、底部区分3の反対を向く側で凸状に、底部区分3の方を向く側で凹状に形成されるよう構成されている。
【0026】
図1〜5に示す実施形態の支持縁部は、湾曲した形状を有している一方、図6に示す態様では、支持縁部4は直線的に形成されており、脚部区分2に対して直角をなして構成されている。図7では、支持縁部4は、脚部区分2に対して鋭角をなして構成されており、底部区分3を向く自由な端部を有している。
【0027】
図1〜3、6及び7に示す実施形態では、補強条片5は、支持縁部4に当接する脚部区分2(若しくは支持縁部4)の曲げ戻された部分である。また、補強条片5は、製造時に、成形体内側に向けて図示の状態となるまで折り畳まれる。
【0028】
これに対して、図4、5及び5aに示す実施形態では、補強条片5は、例えば板条片の形態の別個の要素である。これは、補強条片を脚部区分2並びにその支持縁部4に取り付ける手段によって、以下により詳細に説明するように固定される。
【0029】
図6及び7に、補強条片5が、支持縁部4に当接するための第1の領域8と、脚部区分2の内面(支持縁部4以外の部分)に当接するための領域9とを備えていてよいことを示す。この場合、補強条片5は、支持縁部4並びに脚部区分2に沿うように曲げられている。第1及び第2の領域8、9は、折り曲げ線10を介して互いに結合している。この場合、第1の領域8は支持縁部4に対して平行に、第2の領域9は、脚部区分2に対して平行に延びている。
【0030】
図2〜5に、補強条片5を脚部区分2に取り付ける手段が設けられていることが明示されている。この手段は、図示の実施形態では、支持縁部4及び補強条片5を結合する塑性の材料変形部として形成されており、補強条片5を支持縁部4に固定若しくは取り付けている。
【0031】
この場合、局部的な場所に制限のある多数の材料変形部11が設けられており、この材料変形部11は、支持縁部4並びに補強条片5にわたって分配されて配置されている。図示の実施形態では、材料変形部11はそれぞれ、長細い形状を有しており、補強条片5の長手方向に延びている。この態様は、特に、本発明の範囲に包含される。しかし、図示されていない別の形態の材料変形部も使用することができる。支持縁部4及び補強条片5の材料は、塑性の材料変形部11によって互いに内外に材料が突出し合っていると、特に高い安定性が得られる。
【0032】
材料変形部11は、支持縁部4及び補強条片5の変形接合によって得ることができる。特に、ここでは、クリンチングと呼ばれる方法を使用することができる。
【0033】
側面からのみ成形体1を図示する図6及び7に示す実施形態でも、図2〜5に示したものと同様の材料変形部が設けられている。
【0034】
別態様で又は材料変形部11に追加的に、補強条片5を脚部区分2に取り付ける手段12は、補強条片5を脚部区分2並びにその支持縁部4に結合する接着剤を含んでいてよい。これによって、特に材料変形部11及び接着剤が同時に設けられている場合、特に高い荷重耐性が得られる。
【0035】
C字形状に形成されている成形体1は、湾曲した、特に亜鉛めっきされた鋼板からなっている。薄板及び補強条片の材料厚みは、有利には0.2〜2.0mm、特に0.3から1.0mm、さらに有利には0.4mmである。
【符号の説明】
【0036】
1 成形体
2 脚部区分
3 底部区分
4 支持縁部
5 補強条片
6 条溝
7 条溝
8 第1の領域
9 第2の領域
10 折り曲げ線
11 材料変形部
12 補強条片を脚部区分に取り付ける手段
B 支持縁部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式工法構造物のための薄板からなる成形体であって、2つの脚部区分(2)及び該脚部区分(2)を結合する1つの底部区分(3)を備えており、前記脚部区分(2)の1つに配置されている少なくとも1つの補強条片(5)を備えているものにおいて、
前記補強条片(5)を前記脚部区分(2)に取り付ける手段(12)を備えている、成形体。
【請求項2】
前記補強条片(5)を前記脚部区分(2)に取り付ける手段(12)が、前記補強条片(5)及び/又は前記脚部区分(2)の塑性の材料変形部(11)を備えている、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
局所的な多数の塑性の材料変形部(11)が設けられている、請求項2に記載の成形体。
【請求項4】
前記塑性の材料変形部(11)が、細長い形状を有しており、特に、前記補強条片(5)の長手方向に延びている、請求項2又は3に記載の成形体。
【請求項5】
前記材料変形部(11)が、変形接合によって、特にクリンチングによって得られる請求項2又は4に記載の成形体。
【請求項6】
前記補強条片(5)を前記脚部区分(2)に取り付ける手段(12)が、接着剤を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項7】
前記補強条片(5)が、前記脚部区分(2)の曲げ戻された部分であり、前記補強条片(5)を取り付ける手段(12)によって固定される、請求項1から6のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項8】
前記補強条片(5)が、別個の要素、特に板条片である、請求項1から6のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの脚部区分(2)が、前記成形体(1)の長手方向に延び且つ曲げられた支持縁部(4)を備えており、前記補強条片(5)が、曲げられた支持縁部(4)に配置されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項10】
前記補強条片(5)が、支持縁部(4)に沿って、特にその全長にわたって延びている、請求項9に記載の成形体。
【請求項11】
前記補強条片(5)が、前記支持縁部(4)の、前記底部区分(3)の方を向く側及び/又は前記底部区分(3)の反対側に配置されている、請求項9又は10に記載の成形体。
【請求項12】
前記支持縁部(4)が、当該支持縁部(4)に直行する横方向で湾曲を有する、請求項9から11のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項13】
前記湾曲部が、前記支持縁部(4)が、前記底部区分(3)とは反対の側で凸状に且つ/又は前記底部区分(3)を向く側で凹状に形成されるよう構成されている、請求項12に記載の成形体。
【請求項14】
前記補強条片(5)が、前記曲げられた支持縁部(4)の全幅(B)にわたって延びている、請求項9から13のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項15】
前記成形体(1)が、C字形状又はU字形状に形成されている、請求項1から14のいずれか1項に記載の成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5a】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−539001(P2009−539001A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512421(P2009−512421)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010632
【国際公開番号】WO2007/137617
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508331006)リヒター システム ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (2)
【Fターム(参考)】