説明

乾燥機

【課題】制御手段に異常が生じた場合であっても、被乾燥物に使用された溶剤の性質に対応した動作を実行可能な乾燥機を提供する。
【解決手段】被乾燥物を収容するドラム5と、ファン10による送風によってドラム5の空気を取り出すとともに、取り出した空気を流通させてドラム5へ戻す循環路8と、制御部71の制御の下、循環路8からドラム5へと流出する空気を加熱する乾燥ヒーター13と、を備え、乾燥ヒーター13による空気の加熱が開始されてからの第1の経過時間を計測し、第1の経過時間が所定時間に至った場合、制御部71の制御にかかわらずファン10の運転を停止する安全回路75を、制御部71とは別体に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤を用いた被乾燥物の乾燥を行う乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、溶剤を用いて洗濯された被乾燥物に対し、ヒーターで加熱された熱風を浴びせて溶剤を気化させて、被乾燥物の乾燥を行う乾燥機としての機能を有するドライクリーナーが知られている。この種のドライクリーナーでは、制御手段たるマイクロコンピュータの制御の下、被乾燥物に使用された溶剤の性質に対応した乾燥に係る動作をするものがある。例えば、溶剤として石油系溶剤を用いた場合、石油系溶剤の可燃性という性質に対応した乾燥に係る動作をするドライクリーナーがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−218881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のように、制御手段の制御の下、溶剤の性質に対応した乾燥に係る動作をするドライクリーナーでは、制御手段に異常が生じた場合、溶剤の性質に対応した乾燥に係る動作ができなくなる可能性があるといった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、制御手段に異常が生じた場合であっても、被乾燥物に使用された溶剤の性質に対応した動作を実行可能な乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、溶剤を用いた被乾燥物の乾燥を行う乾燥機において、被乾燥物を収容する処理槽と、送風手段による送風によって前記処理槽の空気を取り出すと共に、取り出した空気を流通させて前記処理槽へ戻す循環路と、制御手段の制御の下、前記循環路から前記処理槽へと流出する空気を加熱する加熱手段と、を備え、前記加熱手段による空気の加熱が開始されてからの第1の経過時間を計測し、前記第1経過時間が所定時間に至った場合、前記制御手段の制御にかかわらず前記送風手段の運転を停止する安全回路を、前記制御手段とは別体に設けたことを特徴とする。
この構成によれば、加熱手段による空気の加熱を開始してから、所定時間経過した場合、制御手段の制御にかかわらず、安全回路は、送風手段の運転を停止し、循環路における空気の循環を停止する。従って、制御手段に異常が生じた場合であっても、加熱手段による空気の加熱が所定時間以上続いた場合は、送風手段の運転を停止し、循環路における空気の循環を停止するという溶剤の性質に対応した動作を実行することができる。
【0005】
ここで、上記発明の乾燥機において、前記処理槽の空気入口温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記加熱手段による空気の加熱が開始されてからの第2の経過時間を計測すると共に、前記温度検出手段により検出された空気入口温度が所定温度以下の間は前記加熱手段による空気の加熱を継続させ、前記第2の経過時間が前記所定時間より短いリセット時間に至った場合、第2の経過時間の計測を新たに開始し、かつ、前記安全回路に第1の経過時間の計測を新たに開始させ、前記送風手段の運転を継続させるようにしてもよい。
この構成によれば、制御手段が正常に作動している場合に、安全回路によって送風手段の運転が停止されるという事態を防止することができる。
【0006】
また、上記発明の乾燥機において、前記加熱手段は、蒸気が流通する蒸気通路が接続されたヒーターを備え、前記蒸気通路に、前記ヒーターへの蒸気の流入を制御する蒸気弁を設け、前記安全回路は、前記蒸気弁が開状態となってからの経過時間を前記第1の経過時間として計測し、前記第1の経過時間が前記所定時間に至った場合、前記制御手段の制御にかかわらず前記送風手段の運転を停止するようにしてもよい。
この構成によれば、蒸気弁の開状態が所定時間以上続いた場合、すなわち、ヒーターによる加熱が所定時間以上続いた場合、確実に、送風手段の運転を停止することができる。
【0007】
また、上記発明の乾燥機において、前記蒸気弁は、エアー駆動式の弁であり、前記蒸気弁に、前記蒸気弁の開閉を制御するためのエアーが流通するエアー流通路を接続すると共に、該エアー流通路に、前記制御手段の制御の下、エアーの流通を制御する電磁弁を設け、前記制御手段は、前記制御手段によって前記蒸気弁が開状態となるように前記電磁弁が制御されてからの経過時間を前記第1の経過時間として計測し、前記第1の経過時間が前記所定時間に至った場合、前記制御手段の制御にかかわらず前記送風手段の運転を停止するようにしてもよい。
この構成によれば、蒸気弁が開状態となるように電磁弁が制御された時間が所定時間以上続いた場合、すなわち、ヒーターによる加熱が所定時間以上続いた場合、確実に、送風手段の運転を停止することができる。
【0008】
また、上記発明の乾燥機において、前記安全回路に異常が生じた場合、当該異常を検出する異常検出手段を備える。
この構成によれば、安全回路に異常が生じたことを検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御手段に異常が生じた場合であっても、被乾燥物に使用された溶剤の性質に対応した動作を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の一実施形態に係るドライクリーナー1(乾燥機)の要部についての正面側斜視図である。なお、方向について言及する場合には、図示した方向矢印を参照する(他の図においても同様とする。)。
【0011】
本実施形態に係るドライクリーナー1は、専用の可燃性溶剤(たとえば、石油系溶剤など)を用いて衣類などを洗濯した後、洗濯した衣類などを乾燥するものである。すなわち、ドライクリーナー1は、乾燥機としての機能を有する装置である。
図1を参照し、このドライクリーナー1は、略直方体形状の本体2とタンク・フィルタキット3(図2参照)とを備えている。
本体2は、略枠体状のフレーム2aを備え、フレーム2a内には、外槽4と、外槽4に収容されるドラム5(処理槽)とが設けられている。フレーム2aは、地面に固定されている。また、フレーム2aの前側面部分において、外槽4の上方位置、詳しくはユーザーの目線位置近傍には、操作パネル2bが取り付けられている。操作パネル2bの操作ボタン66(図3)を操作することで、ドライクリーナー1に所望の運転を実行させることができ、操作パネル2bの表示パネル67(図3)には、ドライクリーナー1の運転状況が表示される。
【0012】
外槽4は、略直方体形状に形成され、その内部には、略円筒状の空間が形成されている。外槽4の前側壁には、外槽4内部に連通する正面視円形状の外槽開口部4aが形成されている。外槽開口部4aには、その周縁に沿うように、金属製の環状のリム4bが嵌め込まれている。リム4bの内周縁の前端縁には、環状のパッキン4cが取り付けられている。また、リム4bの右端部には、ヒンジ4eが設けられ、リム4bの左端部には、被係合突起4dが設けられている。ヒンジ4eには、扉(図示せず)が取り付けられており、この扉(図示せず)は、ヒンジ4eの回動軸を中心に回動して外槽開口部4aを開閉することができる。また、扉(図示せず)には、ヒンジ4eに取り付けられる側とは反対側の部分に、係合突起(図示せず)が設けられており、扉(図示せず)が外槽開口部4aを閉じたときに係合突起(図示せず)がリム4bの被係合突起4dに係合することで、扉(図示せず)は、外槽開口部4aを閉じた状態でロックされる。
【0013】
また、外槽4は、その底面の4つ角において、ダンパー2cを介してフレーム2aに連結されている。そのため、ドライクリーナー1の運転中に外槽4が振動しても、その振動はダンパー2cによって緩和されるので、その振動がフレーム2aを介して、ドライクリーナー1の周囲に伝わることが防止される。
ドラム5は、中空の略円筒形状に形成され、その中心軸が略水平方向、具体的には前後方向に延びるように配置されている。また、ドラム5の後方には、中心軸に接続されるドラムモータ(不図示)が配置されており、ドラムモータが回転することにより、その動力が中心軸を介してドラム5に伝えられてドラム5が回転する。ドラム5の前側壁には、外槽開口部4aに対応する位置に、ドラム5内部に連通するドラム開口部5aが形成されている。ドラム開口部5aは、外槽開口部4aと前後方向に対向している。そのため、扉(図示せず)を開き、外槽開口部4aおよびドラム開口部5aを介して、ドラム5内に洗濯物を収容することができる。また、ドラム5の内周面には、中心軸方向に向かって突出するバッフル5bが複数設けられている。
【0014】
図2は、ドライクリーナー1の配管系統図である。以下には、図2を参照して、ドライクリーナー1の内部構成を詳説する。
上述した外槽4には、ドラム5内へ空気を導入するための空気入口6と、ドラム5内の空気を排出するための空気出口7とが備えられていて、空気出口7および空気入口6間は循環路8によって接続されている。つまり、循環路8は、空気入口6と空気出口7とを有し、空気出口7と空気入口6との間をつなぐ閉路である。
【0015】
ドライクリーナー1は、石油系溶剤などの専用の可燃性溶剤を用いてドライクリーニングを行う装置である。ドライクリーニングは、水で洗濯物を洗う場合に比べて、洗濯物の縮みが少なく、しかも油汚れが落ち易い等の利点がある反面、使用する溶剤は、なるべく環境に放出しない方が望ましい。そこで、この実施形態では溶剤は全て回収する方式とされている。
【0016】
すなわち、洗濯工程時には、後述するタンク31から供給される溶剤が外槽4内に一定量溜められて洗濯が行われる。洗濯後は、溶剤は外槽4からタンク31に回収される。さらに、洗濯工程後の脱液工程では、ドラム5が高速回転されて溶剤は洗濯物から脱液される。脱液された溶剤もタンク31へ回収される。その後、ドラム5が低速回転されながら、ドラム5内の空気を、循環路8とドラム5との間で循環させることにより、洗濯物の乾燥が行われる。乾燥により洗濯物から蒸発する気化溶剤も、凝集して回収される。なお、ドラム5の回転時に洗濯物がバッフル5bによって攪拌されることで、洗濯物が効率的に洗濯および乾燥される。
【0017】
乾燥工程では、ファン駆動用インバータ9によりファン10(送風手段)が回転され、空気出口7から循環路8を通って空気入口6へと、ドラム5内の空気が循環される。循環路8には、乾燥クーラー11および12が設けられ、また、空気入口6の近傍には乾燥ヒーター13(加熱手段)が設けられている。ドラム5から空気出口7を通って循環路8へ流れる空気は、気化した溶剤(溶剤ガス)を含んでおり、この溶剤ガスを含んだ空気が乾燥クーラー11、12によって冷却されることによって、空気中の溶剤ガスが液化する。つまり、循環路8を通る溶剤を含んだ空気を、乾燥クーラー11、12で冷却することにより溶剤を凝縮させて空気中から回収する。その後、乾燥ヒーター13によって空気を加熱し、空気入口6からドラム5内へ、加熱空気を乾燥風にして供給する。ドラム5内で、加熱空気は洗濯物と熱交換を行い、洗濯物に含まれている溶剤を気化させる。そして気化した溶剤は、空気と一緒に空気出口7から循環路8へと流れる。このサイクル、すなわちドラム5内の空気がドラム5と循環路8との間を循環するというサイクルが繰り返されることによって、ドラム5内の洗濯物が乾燥される。なお、このドライクリーナー1では、空気入口6からの乾燥風を、外槽開口部4aおよびドラム開口部5aを介してドラム5内の洗濯物に供給する構成となっている。ドラム開口部5aは、ドラム5において一番大きい穴であり、このドラム開口部5aを介して、乾燥風を洗濯物に効率的に供給することができる。また、循環路8によってドラム5内の空気が循環されるので、乾燥ヒーター13によって加熱されてドラム5に供給された空気は、ドラム5内の洗濯物と熱交換して洗濯物の水分(溶剤)を気化させた後、気化した水分と共に機外へ排出されることなく、洗濯物の乾燥に再利用される。そのため、このドライクリーナー1は、環境に優しい装置であるといえる。
【0018】
ところで、溶剤は可燃性であり、乾燥工程では、乾燥ヒーター13による加熱動作によって、空気が過度に加熱されると、加熱された空気が、溶剤の可燃性という性質に基づく所定の状態になるおそれがある。ここで、溶剤の可燃性という性質に基づく所定の状態とは、溶剤の可燃性に起因して安全を確実に確保できなくなるような空気の状態をいう。
そのため、空気入口6からドラム5へ供給される加熱空気の温度を検出するために、循環路8内における乾燥ヒーター13の下流側(空気の流れ方向に見て下流側、以下同じ)に、ドラム入口温度サーミスタ14(温度検出手段)および入口温度過熱防止サーミスタ15が備えられている。入口温度過熱防止サーミスタ15は、図示しないが、トランジスタ回路と接続されており、たとえば95℃を検知することにより、トランジスタを介して回路を切断するためのものであり、サーモスタットと比べて作動温度をより正確に検知でき、温度反応性もよいという利点がある。
【0019】
循環路8には、空気出口7から排出される空気温度を検出するために、ドラム出口温度サーミスタ16、およびドラム出口温度サーミスタ16の故障の有無を判定するためのモニター用の出口温度異常判定サーミスタ17が設けられている。さらに、2つの乾燥クーラー11、12のうち、下流側の乾燥クーラーで冷やされた後の空気温度を検出するために、循環路8には、クーラー温度サーミスタ18およびクーラー温度過熱防止サーミスタ19が設けられている。
【0020】
さらに、乾燥クーラー12と乾燥ヒーター13との間に位置する循環路8には、循環路8内の圧力が上昇し過ぎたときに、その圧力を調整する呼吸口20および仕切弁V14が設けられている。通常は、呼吸口20は開いており、仕切弁V14は循環路8内を空気が流れるように開いている。
【0021】
乾燥クーラー11、12は、冷媒通路22a,22b,22cを介して冷凍機23と接続されている。冷凍機23は本体2の外部に備えられている。冷媒通路22aに挿入されている乾燥クーラー用電磁弁2Yが開かれると、冷凍機23から冷媒通路22a,22bを介して乾燥クーラー12および乾燥クーラー11へと冷媒(たとえば冷水)が流れ、乾燥クーラー12および乾燥クーラー11が冷却動作を行う。ここで、乾燥クーラー11,12は、冷凍機23に対して直列接続されているが、並列接続されていてもよい。具体的には、乾燥クーラー11,12のそれぞれに対して冷媒通路22a,22cを設け、冷凍機23からの冷媒を乾燥クーラー11,12に個別に供給する。もちろん、乾燥クーラー11,12に応じて冷凍機23を別々に設けてもよい。
【0022】
乾燥ヒーター13は、内部に蒸気を通過させてその蒸気の熱をフィンから放出することで周囲を加熱するいわゆるラジエターであり、蒸気通路24、25が接続されている。蒸気通路24は、機外の蒸気源と乾燥ヒーター13との間をつないでおり、入口バルブV20(蒸気弁)が挿入されている。この入口バルブV20は、エアー駆動式の弁であり、入口バルブV20の開閉を制御するためのエアーが流通するエアー流通路70が接続されている。エアー流通路70には、後述する制御部71の制御の下、エアー流通路70におけるエアーの流通を制御する電磁弁V22が設けられており、当該電磁弁V22の開閉状態が制御されることにより、エアー流通路70を流通するエアーが制御され、入口バルブV20の開閉状態が切り替わる。
【0023】
一方、蒸気通路25は、蒸気通路24から乾燥ヒーター13に供給された蒸気を機外に排出するための通路であり、出口バルブV12(蒸気弁)が挿入されている。本実施形態では、出口バルブV12も、入口バルブV20と同様、エアー駆動式の弁であるが、出口バルブV12の駆動機構については図示を省略する。
乾燥ヒーター13が加熱動作を行う際は、蒸気通路24に挿入されている入口バルブV20が開かれ、蒸気通路25に挿入されている出口バルブV12が開かれることにより、乾燥ヒーター13に蒸気(たとえば、110〜120℃の蒸気)が供給され、乾燥ヒーター13は加熱動作を行う。
乾燥工程では、ドラム入口温度サーミスタ14、ドラム出口温度サーミスタ16およびクーラー温度サーミスタ18の検知温度に基づいて、ファン駆動用インバータ9、入口バルブV20、出口バルブV12の開閉などが制御される。
【0024】
タンク・フィルタキット3には、溶剤を溜めるためのタンク31と、タンク31から汲み出される溶剤を濾過するための直列接続された第1フィルタ32および第2フィルタ33とが含まれている。また、タンク31の下面には汲み出し管34の一端が接続されている。汲み出し管34にはバルブV1が挿入されていて、その他端は合流点35とつながっている。合流点35には溶剤ポンプ36の吸い込み側が接続されており、溶剤ポンプ36の吐出側は三方バルブV6の入口に接続されている。三方バルブV6の一方出口は流通管37の一端と接続されており、流通管37の他端側は、バルブV19を介してタンク31に接続されている。流通管37の途中部(三方バルブV6とバルブV19との間)は、分岐されて第1フィルタ32および第2フィルタ33の直列接続とつながっている。第2フィルタ33の出口側には、流通管38がつながっており、流通管38の先端は本体2内に設けられた溶剤熱交換器39の入口とつながっている。
【0025】
上述の三方バルブV6の他方出口にはバイパス管40の一端が接続されており、その他端は、溶剤熱交換器39の入口に接続されている流通管38に合流されている。
よって、三方バルブV6の出口を切り換えることにより、第1フィルタ32および第2フィルタ33を通して溶剤を溶剤熱交換器39へ与えるか、これらフィルタ32、33を通さず、バイパス管40によってバイパスして溶剤熱交換器39へ与えるかを切り換えられる。
【0026】
溶剤熱交換器39内には、蒸気管41および冷媒管42が配設されている。蒸気管41および冷媒管42は、いずれも、たとえばコイル状に旋回された管である。蒸気管41には蒸気通路43および44が接続されている。蒸気通路43は、蒸気管41と蒸気通路24との間を繋ぎ、その途中には、バルブV21が挿入されている。一方、蒸気通路44は、蒸気通路43から蒸気管41に供給された蒸気を機外に排出するための通路である。バルブV21が開かれると、蒸気通路43を通して蒸気管41へ蒸気が流れ、蒸気通路44を経て蒸気は排出される。溶剤熱交換器39を溶剤が通る間に、高温の蒸気管41と溶剤との間で熱交換が行われ、溶剤が加熱される。一方、冷媒管42には冷媒通路45a、45bが接続されており、冷媒通路45aには溶剤クーラー用電磁弁3Yが挿入されている。この溶剤クーラー用電磁弁3Yが開かれると、冷媒管42に冷媒が通される。溶剤熱交換器39を溶剤が通る間に、溶剤と冷媒管42との間で熱交換が行われ、溶剤が冷やされる。バルブV21の開閉および溶剤クーラー用電磁弁3Yの開閉を制御することにより、溶剤熱交換器39において、溶剤を加熱するか冷却するかを切り換え、溶剤熱交換器39を通過した後の溶剤の温度を所望の温度に調整できる。
【0027】
溶剤熱交換器39の出口側には流通管46の一端が接続されている。流通管46の他端は、三方バルブV9の入口と接続されている。流通管46には、溶媒の温度を測定するために、液温サーミスタ47が備えられているとともに、液温が所定の温度以上に上昇するのを防止するための液温過熱防止サーミスタ48が備えられている。
流通管46には、さらに、上記2つのサーミスタの下流側に、ソープ濃度センサ50が備えられている。
【0028】
三方バルブV9の一方出口には給液管51の一端が接続されており、その他端は外槽4に接続されていて、ドラム5内へ溶剤を供給できるようにされている。三方バルブV9の他方出口には、フィードバック管52の一端が接続されており、その他端はタンク31に接続されている。
循環路8内の乾燥クーラー11、12で凝縮される溶剤を回収するため、循環路8の乾燥クーラー11、12の配置位置下方には、回収管62の一端が接続されている。回収管62の他端は水分離器63に接続されている。水分離器63では、回収される溶剤中に含まれている水分が分離され、分離された水はドレン管64を通って排水される。そして溶剤は回収管65を通ってタンク31へ戻される。
【0029】
外槽4には、その最下方部に排液口55が形成され、排液口55には液面検出容器56が接続されている。液面検出容器56には標準液面スイッチ57および排液液面スイッチ58という2つの液面スイッチが備えられている。液面検出容器56は洗濯時に排液口55から落下する洗濯物から脱落したボタン等のトラップを兼ねている。
液面検出容器56の下端には回収管59の一端が接続されている。回収管59にはバルブV4が挿入されていて、回収管59の他端は合流点35と接続されている。
合流点35には、さらに、ソープ容器60に一端がつながれたソープ管61の他端が合流されている。ソープ管61にはバルブV17が挿入されている。
【0030】
次に、図2に示す配管系統図における溶剤の流れについて説明をする。
洗濯工程では、まず、タンク31に溜められた溶剤がドラム5(外槽4)へ供給される。そのために、バルブV1が開かれ、溶剤ポンプ36が駆動され、三方バルブV6は流通管37側が開かれ、バルブV19は閉じられる。これにより、タンク31内の溶剤は、第1フィルタ32および第2フィルタ33を通って流通管38を流れ、溶剤熱交換器39で温度が調整された後、流通管46を通って三方バルブV9へと流れる。三方バルブV9は給液管51側が開かれており、給液管51を通って外槽4へと溶剤が供給される。供給時には、バルブV4は閉じられている。外槽4に溜まった溶剤の量は、標準液面スイッチ57で検知され、所定量(洗濯に適した量)の溶剤が外槽4に溜まると、三方バルブV9が切り換えられて、給液管51側が閉じられ、フィードバック管52側が開かれる。
【0031】
タンク31に溜められた溶剤には、予めソープが混入されており、溶剤が流通管46を通る際に、ソープ濃度センサ50で溶剤中のソープ濃度が測定される。そしてソープ濃度が低い場合は、バルブV17が開かれ、ソープ容器60のソープがソープ管61を介して汲み出されて、供給される溶剤に混入される。
なお、外槽4への溶剤供給時において、場合によっては、三方バルブV6を切り換え、溶剤を、フィルタ32、33を通さずに、バイパス管40を通して溶剤熱交換器39へ与え、外槽4へ供給するようにしてもよい。
【0032】
排液、脱液工程では、バルブV4が開かれ、バルブV1は閉じられ、溶剤ポンプ36が駆動される。三方バルブV6は流通管37側が開かれ、バルブV19が開かれて、溶剤はタンク31へ戻される。
あるいは、バルブV19は閉じられ、流通管37を流れる溶剤が、フィルタ32、33、流通管38、溶剤熱交換器39、流通管46を通り、三方バルブV9を介してフィードバック管52を流れてタンク31へ戻されるようにしてもよい。こうすると、外槽4から排出される洗濯後の溶剤や、洗濯物から遠心力により脱液された溶剤を、フィルタ32、33を通すことにより、浄化してタンク31へ戻すことができる。
【0033】
図3は、ドライクリーナー1の電気的構成を示すブロック図であって、この発明に関連する部分を示したものである。
ドライクリーナー1には、たとえばマイクロコンピュータ(マイコン)等で構成された制御部71が備えられている。
制御部71には、操作パネル2bに設けられた、操作ボタン66と、表示パネル67と、が接続されており、ユーザーが操作ボタン66を操作することにより、その操作に対応した入力信号が制御部71に入力される。また、ドライクリーナー1の運転状況に対応した出力信号が表示パネル67に入力されて、運転状況が表示パネル67に文字情報として表示される。また、制御部71には、ドラム入口温度サーミスタ14の検出値が入力される。
【0034】
制御部71は、電磁弁V22に駆動電圧を印加して電磁弁V22の開閉状態を制御する。上述したように、電磁弁V22は、エアー流通路70に挿入された弁であり、電磁弁V22が制御されてエアー流通路70におけるエアーの流通が制御されることにより、入口バルブV20の開閉状態が制御され、乾燥ヒーター13へ流入する蒸気の量が制御される。すなわち、制御部71は、電磁弁V22の開閉状態を制御することにより、入口バルブV20の開閉状態を制御し、乾燥ヒーター13による加熱動作の実行および停止を制御する。
また、制御部71は、ファン駆動用インバータ9を制御して、ファン10による風量を制御する。制御部71は、ファン駆動用インバータ9の周波数を制御することによって、ファン10の回転数を制御する。制御部71とファン駆動用インバータ9とを接続するファン用信号ライン72(図4)には、制御部71とは別体の安全回路75が設けられているが、これについては後述する。
【0035】
図4は、本発明を説明するため、ドライクリーナー1の本発明に関係する構成を模式的に示す図である。
ドライクリーナー1は、安全回路75を備えており、安全回路75の働きにより、制御部71に異常が生じた場合であっても、被乾燥物の溶剤の性質に対応した動作を実行することができる構成となっている。本実施形態では、被乾燥物に対して石油系溶剤などの可燃性溶剤が使用されているが、被乾燥物の溶剤の性質に対応した動作とは、制御部71に異常が生じた場合であっても、溶剤の可燃性という性質に対応して安全を確保するようにする動作、のことをいう。
【0036】
図4に示すように、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76を備えている。この電磁弁開閉スイッチ76は、電磁弁V22の開閉を制御する場合に、制御部71によってオン/オフの制御がされるスイッチであり、電磁弁V22に接続された電磁弁用信号ライン77上に設けられている。
電磁弁開閉スイッチ76が制御部71によってオン制御された場合、電磁弁用信号ライン77を介して駆動電圧が印加され、電磁弁V22が開状態となる。電磁弁V22が開状態となると、電磁弁V22が挿入されたエアー流通路70におけるエアーの流通が制御され、入口バルブV20が開状態となり、乾燥ヒーター13による加熱動作が開始される。
【0037】
安全回路75は、制御部71とファン駆動用インバータ9とを接続するファン用信号ライン72上に設けられたタイマー接点78を備えている。このタイマー接点78は、電磁弁開閉スイッチ76がオン制御され、電磁弁用信号ライン77に接続されたライン79を介してコイル80に電流が流れ始めてからタイマー設定時間T1(所定時間)が経過したときにのみオフとなる常閉接点である。つまり、タイマー接点78は、電磁弁開閉スイッチ76が継続してオン制御された時間がタイマー設定時間T1を超えた場合にのみオフとなる。
タイマー接点78がオンの場合、制御部71は、ファン駆動用インバータ9を制御することが可能であるが、タイマー接点78がオフの場合、制御部71によるファン駆動用インバータ9の制御が不可能となり、ファン10の回転は、強制的に停止される。
【0038】
図5は、乾燥ヒーター13によって循環路8を流れる空気が加熱される時間と、循環路8を流れる空気の溶剤ガス濃度との関係を示すグラフであり、横軸は時間を示し、縦軸は溶剤ガス濃度を示している。溶剤ガス濃度とは、空気に含まれる溶剤に係るガスの濃度のことである。
図5に示すように、本実施形態では、加熱時間T2は、乾燥ヒーター13による加熱動作の開始後、空気の温度の上昇に起因して、溶剤ガス濃度が第2所定濃度に至るような時間に規定されている。すなわち、乾燥ヒーター13による加熱動作を開始後、溶剤ガス濃度が第2所定濃度に至るまでの時間が、加熱時間T2である。
第2所定濃度とは、溶剤の性質上、当該第2所定濃度を下回る濃度で運転することが求められるような溶剤ガス濃度のことである。本実施形態では、詳細は後述するが、ドラム入口温度サーミスタ14の検出値に基づいて、空気の温度が、溶剤ガス濃度を第2所定濃度に至らしめるような温度(第2所定温度D2)に至っている場合は、乾燥ヒーター13の加熱動作を停止する。これにより、溶剤ガス濃度が第2所定濃度を超えた状態で、加熱動作が行われることが防止されている。
【0039】
また、図5示すように、乾燥ヒーター13による加熱動作が開始されてから、第1所定濃度到達時間T3が経過すると、空気の温度が高くなることに起因して、被乾燥物内の溶剤の気化量がさらに増え、溶剤ガス濃度が第1所定濃度に至る。第1所定濃度とは、第2所定濃度よりも高い濃度であって、安全上、溶剤ガス濃度が当該第1所定濃度に確実に至らないことが求められるような濃度のことである。
制御部71が正常に作動している限りにおいては、制御部71は、溶剤ガス濃度が第2所定濃度を下回るようにドライクリーナー1を制御するため、溶剤ガス濃度が第1所定濃度に至ることはない。
【0040】
ここで、乾燥工程において、制御部71が電磁弁開閉スイッチ76をオン制御して乾燥ヒーター13による加熱動作を開始した後、制御部71が暴走し、加熱時間T2が経過しても電磁弁開閉スイッチ76がオフ制御されず乾燥ヒーター13による加熱動作が継続して行われた場合を想定する。この場合、加熱動作を継続した時間が第1所定濃度到達時間T3に至る可能性がある。
【0041】
これを鑑み、本実施形態では、タイマー設定時間T1を実験で事前に求められている加熱時間T2の最長時間(上限)よりも長く、かつ、実験で事前に求められている第1所定濃度到達時間T3よりも短い時間に設定し、これにより、制御部71が暴走した場合であっても、溶剤の可燃性という性質に対応した安全性の確保が行われる構成となっている。
詳述すると、乾燥工程が開始されると、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76をオン制御し、乾燥ヒーター13による加熱動作を開始する。同時に、ライン79に電流が流れ、安全回路75において、タイマー設定時間T1の計測の開始がされる(第1の経過時間の計測の開始)。
ここで、制御部71が暴走し、加熱時間T2の最長時間が経過した後も、電磁弁開閉スイッチ76がオフ制御されず、オン制御が継続されたとする。この場合、第1所定濃度到達時間T3に至る前に、この第1所定濃度到達時間T3よりも短い時間に設定されたタイマー設定時間T1に至る。そして、タイマー設定時間T1に至った時点で、安全回路75のタイマー接点78がオフとなり、ファン10の回転が強制的に停止される。
すなわち、制御部71の暴走など、制御部71に異常が発生した場合であっても、制御部71の制御にかかわらず、電磁弁開閉スイッチ76がオン制御された時間がタイマー設定時間に至った場合、ファン10の回転が強制的に停止される。
【0042】
ファン10の回転が停止されると、循環路8およびドラム5における空気の循環が停止される。これにより、乾燥ヒーター13によって加熱された空気が、空気入口6を介してドラム5内へ流入しなくなり、ドラム5内に収納された被乾燥物に使用された溶剤の気化が停止され、それ以上溶剤ガス濃度が上昇することが抑制されるとともに、循環路8およびドラム5内における溶剤に係るガスの循環が停止され、溶剤の可燃性という性質に対応した安全性が確保される。さらに、乾燥工程において、ファン10が駆動せず、被乾燥物が乾燥されないため、ユーザーや作業者などは、ドライクリーナー1に何らかの異常が発生していることを認識できる。
【0043】
図6は、ドライクリーナー1の乾燥工程時における動作を示すフローチャートである。
制御部71は、行うべき工程が乾燥工程であるか否かを判別する(ステップSA1)。乾燥工程でない場合(ステップSA1:NO)、制御部71は、工程がクールダウン工程であるか否かを判別する(ステップSA2)。クールダウン工程とは、乾燥工程によって加熱された被乾燥物を冷ますための工程である。工程がクールダウン工程である場合(ステップSA2:YES)、制御部71は、ファン10を回転させた状態で、乾燥ヒーター13による加熱動作を停止する(ステップSA3)。これにより、循環路8およびドラム5内に加熱されていない空気を循環させ、被乾燥物を冷ます。
一方、ステップSA2において、工程がクールダウン工程でない場合(ステップSA2:NO)、制御部71は、工程が脱臭動作であるか否かを判別する(ステップSA4)。脱臭工程とは、ドライクリーナー1の洗濯や乾燥に係る一連の動作によって、洗濯物(被乾燥物)に対し付加されたにおいを除去するための工程である。工程が脱臭工程である場合(ステップSA4:YES)、制御部71は、ファン10を回転させた状態で、乾燥ヒーター13による加熱動作を停止する(ステップSA3)。これにより、循環路8およびドラム5内に加熱されていない空気を循環させ、被乾燥物のにおいを除去する。
【0044】
図8(B)は、ステップSA3における電磁弁開閉スイッチ76および安全回路75のタイマー接点78の状態を示す図である。
ステップSA3では、タイマー接点78はオンの状態であり、制御部71の制御の下、ファン10が回転する。さらに、電磁弁開閉スイッチ76が制御部71によってオフ制御され、乾燥ヒーター13による加熱動作が停止される。
【0045】
さて前掲図6に戻り、工程がクールダウン工程でも、脱臭工程でもない場合、(ステップSA2:NO、かつ、ステップSA4:NO)、制御部71は、該当する工程に対応する処理を実行する(ステップSA5)。これらの残りの工程では、制御部71によってファン10を回転させる制御は行われない。
【0046】
ステップSA1において、工程が乾燥工程である場合(ステップSA1:YES)、制御部71は、ドラム入口温度サーミスタ14、ドラム出口温度サーミスタ16およびクーラー温度サーミスタ18の検知温度に基づいて、ファン駆動用インバータ9や、ドラムモータ、各種バルブなどを制御して、乾燥工程に係る動作を開始する(ステップSA6)。
次いで、制御部71は、乾燥工程が終了したか否かを判別する(ステップSA7)。乾燥工程が終了している場合(ステップSA7:YES)、制御部71は、処理手順をステップSA2へ移行する。一方、乾燥工程が終了していない場合(ステップSA7:NO)、制御部71は、乾燥工程に係る動作を継続して行う(ステップSA8)。
【0047】
図8(A)は、ステップSA8における電磁弁開閉スイッチ76および安全回路75のタイマー接点78の状態を示す図である。
ステップSA8のように、正常に乾燥工程に係る動作を実行している間は、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76をオン制御して乾燥ヒーター13に加熱動作をさせる。さらに、電磁弁開閉スイッチ76がオン制御された時間がタイマー設定時間T1に至っていないため、安全回路75のタイマー接点78がオンとなり、制御部71の制御の下、ファン10が回転する。
【0048】
乾燥工程に係る動作の実行中、制御部71は、ドラム入口温度サーミスタ14から入力された検出値に基づいて、現在の空気入口6における空気の温度D1が予め設定された第2所定温度D2(所定温度)を上回るか否かを判別する(ステップSA9)。ここで、第2所定温度D2とは、溶剤ガス濃度を上述した第2所定濃度に至らしめるような空気入口6における空気の温度である。ドライクリーナー1は、空気入口6における空気の温度が第2所定温度D2より低い状態で、運転することが求められる。
【0049】
空気の温度D1が第2所定温度D2を下回る場合(ステップSA9:YES)、制御部71は、処理手順をステップSA7に移行する。
一方、空気の温度D1が第2所定温度D2を上回る場合(ステップSA9:NO)、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76をオフ制御し、乾燥ヒーター13による加熱動作を停止する(ステップSA10)。さらに、制御部71は、現在の温度D1が第2所定温度D2を上回っていることに対応した処理を実行する(ステップSA11)。例えば、制御部71は、操作パネル2bの表示パネル67に空気の温度D1が第2所定温度D2を上回った旨表示し、当該状況をユーザーや作業者などに報知する。また例えば、制御部71は、予め定められた時間の間、乾燥ヒーター13による加熱動作を停止した後、再び、加熱動作を再開する。ここで、当該時間として、空気の温度D1が第2所定温度D2を十分に下回るのに要する時間が設定される。また例えば、制御部71は、空気の温度D1が予め定められた温度を下回るまで、乾燥ヒーター13による加熱動作を停止した後、再び、加熱動作を再開する。ここで、当該温度として、第2所定温度D2よりも十分に低い温度が設定される。上述したいずれの対応であっても、空気の温度D1が第2所定温度D2を上回っている状態が速やかに解消される。
【0050】
図8(B)は、ステップSA10における電磁弁開閉スイッチ76および安全回路75のタイマー接点78の状態を示す図である。
現在の温度D1が第2所定温度D2を上回る場合、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76をオフ制御して乾燥ヒーター13による加熱動作を停止する。この場合、安全回路75のタイマー接点78はオンの状態が維持されるが、制御部71の制御によってファン駆動用インバータ9を制御してファン10の回転を停止するようにしてもよく、また、回転を継続するようにしてもよい。
【0051】
このように、本実施形態では、乾燥工程に係る動作の実行中、空気入口6における空気の温度D1が第2所定温度D2を上回るか否かが判別され、上回る場合、現在の温度D1が第2所定温度D2を上回っている状態を解消するための処理が実行されるため、現在の温度D1が第2所定温度D2を上回っていることに対応した安全が確保される。
【0052】
図7は、図6のフローチャートで説明した動作中、制御部71が暴走した場合のドライクリーナー1の動作を説明するためのフローチャートである。以下、この図を用いて乾燥工程開始後に、制御部71が暴走した場合について説明する。
図7に示すように、乾燥工程が開始され(ステップSB1)、乾燥ヒーター13による加熱動作が行われるのと同時に、コイル80に電流が流れ、安全回路75におけるタイマー設定時間T1の計測も開始されることとなる(ステップSB2)。
その後、制御部71が暴走したとする(ステップSB3)。この場合、図6のステップSA9における温度D1が第2所定温度D2を上回るか否かの判別も、ステップSA7における乾燥工程が終了したか否かの判別も正常に行われず、上述した第1所定濃度到達時間T3を超えて電磁弁開閉スイッチ76がオン制御され、乾燥ヒーター13による加熱動作が行われる可能性がある。
【0053】
しかしながら、本実施形態に係るドライクリーナー1では、第1所定濃度到達時間T3より前に、第1所定濃度到達時間T3より短い時間に設定されたタイマー設定時間T1が経過し(ステップSB4)、制御部71の制御にかかわらず、安全回路75のタイマー接点78がオフとなり(ステップSB5)、ファン10の回転が強制的に停止される(ステップSB6)。
これにより、上述したように、循環路8およびドラム5における空気の循環が停止され、乾燥ヒーター13によって加熱された空気が、空気入口6を介してドラム5内へ流入しなくなり、ドラム5内に収納された被乾燥物に使用された溶剤の気化が停止され、それ以上溶剤ガス濃度が上昇することが抑制される。さらに、循環路8およびドラム5内における溶剤に係るガスの循環が停止され、溶剤の可燃性という性質に対応した安全性が確保される。
【0054】
図8(C)は、図7のステップSB5における電磁弁開閉スイッチ76および安全回路75のタイマー接点78の状態を示す図である。
この図に示すように、ステップSB5では、制御部71の制御にかかわらず、安全回路75のタイマー接点78がオフとなり、ファン10の回転が強制的に停止される。
【0055】
次いで、図9を用いて本実施形態の変形例について説明する。
図9に示すように、安全回路75は、電磁弁用信号ライン77に接続された異常検出接点81を備えている。この異常検出接点81は、電磁弁開閉スイッチ76がオン制御され、コイル80に電流が流れている状態のときのみオンとなる常開接点である。
ここで、コイル80が断線した場合を想定する。この場合、タイマー接点78は、常閉接点であるため、電磁弁開閉スイッチ76の状態か否かにかかわらず、オンの状態が維持される。従って、加熱時間T2を超えて電磁弁開閉スイッチ76がオン制御された場合であっても、タイマー接点78がオフされることがなく、被乾燥物に使用された溶剤の性質に対応した動作が行われない。
【0056】
これを鑑み、この変形例では、コイル80が断線した場合、コイル80が断線したことを検出するとともに、乾燥工程において乾燥ヒーター13による加熱動作を停止し、被乾燥物を乾かせないことにより、ユーザーや作業者などにコイル80が断線したことを認識させる。
具体的には、コイル80が断線した場合、上述したように、異常検出接点81はオフの状態となる。従って、乾燥工程時、制御部71から電磁弁用信号ライン77を介して電磁弁V22に対し駆動電圧が印加されず、電磁弁V22が閉状態となり、乾燥ヒーター13による加熱動作が停止される。この場合、乾燥工程において乾燥ヒーター13が加熱動作を行わず、乾燥工程が終了した後、被乾燥物が乾燥していない状態となる。そして、ユーザーや作業者は、乾燥工程が終了した後も、被乾燥物が乾燥していないことを認識することにより、安全回路75にコイル80の断線を含む何らかの異常が生じていることを認識することができる。
なお、この変形例では、安全回路75は、コイル80が断線した場合はオンとならない異常検出接点81を備え、この異常検出接点81によってコイル80の断線が生じていることを検出する異常検出手段として機能する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係るドライクリーナー1は、溶剤を用いた被乾燥物の乾燥を行う乾燥機としての機能を有するとともに、被乾燥物を収容するドラム5と、ファン10による送風によってドラム5の空気を取り出すとともに、取り出した空気を流通させてドラム5へ戻す循環路8と、制御部71の制御の下、循環路8からドラム5へと流出する空気を加熱する乾燥ヒーター13と、乾燥ヒーター13による空気の加熱がタイマー設定時間T1以上続いた場合、制御部71の制御にかかわらずファン10の運転を停止する安全回路75と、を備えている。
これによれば、乾燥ヒーター13による空気の加熱がタイマー設定時間T1以上続いた場合、制御部71の制御にかかわらず、安全回路75によってファン10の運転を停止し、循環路8における空気の循環を停止するという、溶剤の性質に対応した動作を実行することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るドライクリーナー1は、蒸気通路24、25が接続された乾燥ヒーター13を備えている。そして、蒸気通路24に、乾燥ヒーター13への蒸気の流入を制御する入口バルブV20が設けられ、安全回路75は、入口バルブV20の開状態がタイマー設定時間T1以上続いた場合に、制御部71の制御にかかわらずファン10の運転を停止する。
これによれば、入口バルブV20の開状態がタイマー設定時間T1以上続いた場合、すなわち、乾燥ヒーター13による加熱がタイマー設定時間T1以上続いた場合、確実に、ファン10の運転を停止することができる。
【0059】
また、本実施形態に係るドライクリーナー1は、蒸気通路24、25が接続された乾燥ヒーター13を備えている。そして、蒸気通路24に、前記ヒーターに流入する蒸気の流通を制御するエアー駆動式の入口バルブV20が設けられ、入口バルブV20に、入口バルブV20の開閉を制御するためのエアーが流通するエアー流通路70が接続されるとともに、エアー流通路70に、制御部71の制御の下、エアーの流通を制御する電磁弁V22が設けられ、安全回路75は、制御部71によって入口バルブV20が開状態となるように電磁弁V22が制御された時間がタイマー設定時間T1続いた場合に、制御部71の制御にかかわらずファン10の運転を停止する。
これによれば、入口バルブV20が開状態となるように電磁弁V22が制御された時間がタイマー設定時間T1以上続いた場合、すなわち、乾燥ヒーター13による加熱が加熱時間T2以上続いた場合、確実に、ファン10の運転を停止することができる。
【0060】
また、本実施形態の変形例では、安全回路75は、コイル80が断線するなど安全回路75に異常が生じた場合、当該異常を検出する。特に、本実施形態では、安全回路75に異常が生じた場合は、乾燥工程が終了した後も被乾燥物が乾燥していない状態とすることにより、安全回路75に異常が生じていることをユーザーや作業者などに認識させる。
この構成によれば、安全回路75に異常が生じた場合、そのことを検出することが可能となる。さらに、ユーザーや作業者などは、安全回路75に異常が生じていることを認識することが可能となる。
【0061】
<第2実施形態>
次いで、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る安全回路75の構成は、図4で示すものと同一である。
【0062】
図10(A)は、外気の温度が標準的な温度の場合における、乾燥ヒーター13による加熱動作の時間と、溶剤ガス濃度との関係を示す図である。この図に示すように、外気の温度が標準的な場合、第1実施形態で説明したように、タイマー設定時間T1を加熱時間T2Aよりも長く、かつ、第1所定濃度到達時間T3Aよりも短く設定することで、溶剤の性質に対応した動作を実行することが可能となる。
図10(B)は、外気の温度が、標準的な温度よりも十分低い場合における、乾燥ヒーター13による加熱動作の時間と、溶剤ガス濃度との関係を示す図である。
この図に示すように、外気の温度が低い状況では、当該外気の温度の低さに影響を受け、溶剤ガス濃度が第2所定濃度に至るまでの時間である加熱時間T2Bが、加熱時間T2A(図10(A))よりも長くなる。なお、この場合であっても、制御部71は、ドラム入口温度サーミスタ14の検出値に基づいて、溶剤ガス濃度が第2所定濃度を下回るようにドライクリーナー1を制御するため、溶剤ガス濃度が、第1所定濃度よりも高い第2所定濃度に至ることはない。
【0063】
しかしながら、図2(A)および図2(B)に示すように、外気の温度が標準的な温度よりも低い場合における加熱時間T2Bは、タイマー設定時間T1よりも長くなる。従って、このまま乾燥工程に係る動作が実行された場合、加熱時間T2Bに至る前に、加熱時間T2Bよりも短いタイマー設定時間T1が到来し、ファン10の回転が停止されてしまう。この場合、ファン10の回転が停止され、ドラム5および循環路8を空気が循環しなくなるため、被乾燥物の乾燥が十分行われず、乾燥工程に係る動作が正常に実行されないという問題が発生する。
【0064】
そこで、乾燥工程に係る動作が開始されると、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76をオン制御して、乾燥ヒーター13による加熱動作を開始する。その際、制御部71は、図示せぬ計時回路によって、リセット時間T4の計測を開始する(第2の経過時間の計測の開始)。これと同時に、安全回路75においてタイマー設定時間T1の計測が開始される(第1の経過時間の計測の開始)。図10に示すように、リセット時間T4は、必ず、タイマー設定時間T1よりも短く設定される。
【0065】
制御部71は、ドラム入口温度サーミスタ14の検出値に基づいて、現在の空気入口6における空気の温度D1が第2所定温度D2以下か否かの判別を所定のサンプリング周期で行い、空気の温度D1が第2所定温度D2を超えると、乾燥ヒーター13の加熱動作を停止するよう制御している。その後、リセット時間T4が経過したときに、空気の温度D1が第2所定温度D2以下の場合、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76を一時的にオフ制御した後、再びオン制御する。電磁弁開閉スイッチ76が一時的にオフ制御されると、一時的にコイル80に電流が流れず、安全回路75におけるタイマー設定時間T1の計測がリセットされ、安全回路75においてあらためてタイマー設定時間T1の計測が開始される。すなわち、制御部71は、安全回路にタイマー設定時間T1の計測を新たに開始させる。これにより、乾燥ヒーター13による加熱動作が開始されてから、タイマー設定時間T1が経過した時点では、タイマー接点78がオフとならず、従って、ファン10の回転が停止しない。
【0066】
電磁弁開閉スイッチ76を一時的にオフ制御して再びオン制御した場合、制御部71は、再び計時回路によってリセット時間T4の計測を開始する(第2の経過時間の計測を新たに開始する)。そして、電磁弁開閉スイッチ76が一時的にオフ制御された後再びオン制御されてから、さらにリセット時間T4が経過すると、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76を一時的にオフ制御した後、再びオン制御する。これにより、電磁弁開閉スイッチ76が一時的にオフ制御されてからさらに、タイマー設定時間T1が経過する前に、安全回路75において、タイマー設定時間T1の計測がリセットされることとなり、タイマー接点78がオフとならず、ファン10の回転が停止しない。上述した動作が、空気入口における空気の温度D1が第2所定温度D2を超え、乾燥ヒーター13の加熱動作が停止するまでの間、繰り返し実行される。
これにより、タイマー接点78がオフとならず、従ってファン10の回転が停止せず、正常に乾燥工程に係る動作が行われる。
【0067】
ここで、乾燥工程に係る動作が開始された後、制御部71が暴走し、制御部71によるリセット時間T4の計測も、加熱時間T2の計測も正常に行われず、加熱時間T2を超えて乾燥ヒーター13による加熱動作が行われる場合を想定する。
この場合、本実施形態では、図4を参照して、乾燥ヒーター13による加熱動作の開始からタイマー設定時間T1が経過した時点で、すなわち、電磁弁開閉スイッチ76がオン制御された時間がタイマー設定時間T1に至った時点で、安全回路75のタイマー接点78がオフとなり、ファン10の回転が強制的に停止される。ファン10の回転が強制的に停止されることにより、第1実施形態と同様、循環路8およびドラム5における空気の循環が停止される。これにより、乾燥ヒーター13によって加熱された空気が、空気入口6を介してドラム5内へ流入しなくなり、ドラム5内に収納された被乾燥物に使用された溶剤の気化が停止され、それ以上溶剤ガス濃度が上昇することが抑制されるとともに、循環路8およびドラム5内における溶剤に係るガスの循環が停止され、溶剤の可燃性という性質に対応した安全性が確保される。さらに、乾燥工程において、ファン10が駆動せず、ドラム5および循環路8を空気が循環せず、被乾燥物が乾燥されないため、ユーザーや作業者などは、ドライクリーナー1に何らかの異常が発生していることを認識できる。
【0068】
図11は、本実施形態に係るドライクリーナー1の動作を示すフローチャートである。
ステップSC1〜ステップSC5に係る動作は、図6のフローチャートのステップSA1〜ステップSA5に係る動作と同一のため、その説明を省略する。
ステップSC1において、乾燥工程である場合(ステップSC1:YES)、制御部71は、乾燥工程に係る動作を開始する(ステップSC6)。同時に、制御部71は、図示せぬ計時回路によってリセット時間T4の計測を開始する(ステップSC7)。
【0069】
次いで、制御部71は、乾燥工程の開始から加熱時間T2が経過し、乾燥工程が終了したか否かを判別する(ステップSC8)。乾燥工程が終了した場合(ステップSC8:YES)、制御部71は、処理手順をステップSC2へ移行する。乾燥工程が終了していない場合(ステップSC8:NO)、制御部71は、乾燥工程に係る動作を継続して実行する(ステップSC9)。ステップSC9の動作時、電磁弁開閉スイッチ76および安全回路75の状態は、図8(A)に示す状態となる。
【0070】
次いで、制御部71は、ドラム入口温度サーミスタ14から入力された検出値に基づいて、現在の空気入口6における空気の温度D1が第2所定温度D2を上回るか否かを判別する(ステップSC10)。
空気の温度D1が第2所定温度D2を上回る場合(ステップSC10:YES)、制御部71は、ステップSC11、ステップSC12に示す処理を順次実行する。ステップSC11は、図6のステップSA10の処理と、ステップSC12は、図6のステップSA11の処理とそれぞれ同一である。
【0071】
ステップSC10において、空気の温度D1が第2所定温度D2を下回る場合(ステップSC10:NO)、制御部71は、リセット時間T4が経過したか否かを判別する(ステップSC13)。リセット時間T4が経過していない場合(ステップSC13:NO)、制御部71は、処理手順をステップSC8へ移行する。リセット時間T4が経過した場合(ステップSC13:YES)、制御部71は、電磁弁開閉スイッチ76を一時的にオフ制御した後、再びオン制御する(ステップSC14)。これにより、乾燥ヒーター13による加熱動作を継続したまま、安全回路75におけるタイマー設定時間T1の計測がリセットされることとなる。次いで、制御部71は、リセット時間T4の計測をあらためて開始し(ステップSC15)、処理手順をステップSC8へ移行する。
【0072】
なお、乾燥工程の開始後、制御部71が暴走し、リセット時間T4の計測も、加熱時間T2の計測も正常に行われないようになった場合におけるドライクリーナー1の動作は、第1実施形態において図7を用いて説明した場合と略同様である。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、制御部71は、リセット時間T4を計測するとともに、空気の温度D1が第2所定温度D2以下の場合、リセット時間T4の計測を新たに開始し、かつ、安全回路75にタイマー設定時間T1の計測を新たに開始させる。
この構成によれば、制御部71が正常に作動している場合に、安全回路75によってファン10の運転が停止されるという事態を防止することができる。
【0074】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した第1実施形態および第2実施形態では、安全回路75は、電磁弁開閉スイッチ76がオン制御される時間が、タイマー設定時間T1を超えた場合に、オフとなるタイマー接点78を備えていたが、安全回路75の構成はこれに限らない。例えば、出口バルブV12の開閉を制御する電磁弁を備え、当該電磁弁の開閉を制御する電磁弁開閉スイッチが制御部71に設けられている場合、当該電磁弁開閉スイッチがオン制御される時間が、タイマー設定時間T1を超えた場合に、ファン10の回転を強制的に停止する構成であってもよい。すなわち、安全回路75は、乾燥ヒーター13などの加熱手段による空気の加熱がタイマー設定時間T1を超えた場合に、ファン10の回転を強制的に停止する構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施形態に係るドライクリーナーの正面斜視図である。
【図2】ドライクリーナーの配管系統図である。
【図3】ドライクリーナーの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ドライクリーナーの構成を模式的に示す図である。
【図5】乾燥ヒーターによって空気が加熱される時間と、循環路を流れる空気の溶剤ガス濃度との関係を示すグラフである。
【図6】ドライクリーナーの動作を示すフローチャートである。
【図7】制御部暴走時における、ドライクリーナーの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】電磁弁開閉スイッチ、および、安全回路の状態を示す図である。
【図9】本実施形態の変形例に係るドライクリーナーの構成を模式的に示す図である。
【図10】第2実施形態における、乾燥ヒーターによって空気が加熱される時間と、循環路を流れる空気の溶剤ガス濃度との関係を示すグラフである。
【図11】ドライクリーナーの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 ドライクリーナー
5 ドラム(処理槽)
8 循環路
10 ファン(送風手段)
13 乾燥ヒーター(加熱手段)
14 ドラム入口温度サーミスタ(温度検出手段)
24、25 蒸気通路
70 エアー流通路
71 制御部(制御手段)
75 安全回路(異常検出手段)
T1 タイマー設定時間(所定時間)
T4 リセット時間
V12 出口バルブ
V20 入口バルブ(蒸気弁)
V22 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤を用いた被乾燥物の乾燥を行う乾燥機において、
被乾燥物を収容する処理槽と、送風手段による送風によって前記処理槽の空気を取り出すと共に、取り出した空気を流通させて前記処理槽へ戻す循環路と、制御手段の制御の下、前記循環路から前記処理槽へと流出する空気を加熱する加熱手段と、を備え、
前記加熱手段による空気の加熱が開始されてからの第1の経過時間を計測し、前記第1の経過時間が所定時間に至った場合、前記制御手段の制御にかかわらず前記送風手段の運転を停止する安全回路を、前記制御手段とは別体に設けたことを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記処理槽の空気入口温度を検出する温度検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記加熱手段による空気の加熱が開始されてからの第2の経過時間を計測すると共に、前記温度検出手段により検出された空気入口温度が所定温度以下の間は前記加熱手段による空気の加熱を継続させ、
前記第2の経過時間が前記所定時間より短いリセット時間に至った場合、
第2の経過時間の計測を新たに開始し、かつ、前記安全回路に第1の経過時間の計測を新たに開始させ、前記送風手段の運転を継続させることを特徴とする請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記加熱手段は、蒸気が流通する蒸気通路が接続されたヒーターを備え、
前記蒸気通路に、前記ヒーターへの蒸気の流入を制御する蒸気弁を設け、
前記安全回路は、前記蒸気弁が開状態となってからの経過時間を前記第1の経過時間として計測し、前記第1の経過時間が前記所定時間に至った場合、前記制御手段の制御にかかわらず前記送風手段の運転を停止することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項4】
前記蒸気弁は、エアー駆動式の弁であり、
前記蒸気弁に、前記蒸気弁の開閉を制御するためのエアーが流通するエアー流通路を接続すると共に、該エアー流通路に、前記制御手段の制御の下、エアーの流通を制御する電磁弁を設け、
前記制御手段は、前記制御手段によって前記蒸気弁が開状態となるように前記電磁弁が制御されてからの経過時間を前記第1の経過時間として計測し、前記第1の経過時間が前記所定時間に至った場合、前記制御手段の制御にかかわらず前記送風手段の運転を停止することを特徴とする請求項3に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記安全回路に異常が生じた場合、当該異常を検出する異常検出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−179000(P2010−179000A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26680(P2009−26680)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【Fターム(参考)】