説明

乾燥粉末組成物

【課題】 外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための乾燥粉末組成物、及びその使用方法を提供する。
【解決手段】 乾燥粉末組成物は、トレハロースを含有することができる。乾燥粉末組成物は、フィブリノーゲンおよび/またはトロンビンを含むフィブリンシーラント組成物であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織癒着(例えば手術後の癒着)を防止または軽減する乾燥粉末組成物、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば慢性骨盤痛の症例のうちの約40%および不妊の症例のうちの約20%が手術後の癒着により引き起こされるので、手術後の癒着は臨床的および医薬経済的に重要な関連性がある。実際、補助療法を用いることなしに癒着は防止することができず、あらゆる微細な外傷は癒着の形成をもたらし得る。
【0003】
ヒアルロン酸ナトリウム/カルボキシメチルセルロースフィルム、コラーゲンの膜およびゲル、加えてフィブリン接着剤等の、外科手術上の癒着の軽減に陽性効果を有する多くの材料が見出されている。
【0004】
EP1905443(特許文献1)は、外科手術の間または外科手術後の癒着の軽減および/または防止のためのトレハロースを含有する溶液の投与を記載する。
【0005】
Lee他 (Japanese Journal of Veterinary Anesthesia & Surgery, Vol. 40, pp.19−26 (2009))は、内臓の表面上にトレハロース溶液と併用してナトリウムカルボキシメチルセルロースの溶液を噴霧することによる、ウサギモデルにおける卵巣子宮摘出術後の内部臓器の実験的に誘導された手術後の癒着の軽減を開示する。
【0006】
液体フィブリン接着剤の抗癒着に対する効果は論争の的になっている。多くの報告により、かかる液体フィブリン接着剤を使用する手術後の癒着の防止の可能性が示唆された(例えばBrands他 Chirurg 61 (1990): 22−26; Lindenberg他 Ann. Chir. Gynecol. 73 (1984): 1 1 −13; De laco他 Fertility and Sterility 62 (2) (94): 400−404; Takeuchi他 J. Am. Assoc. Gynecol. Laparosc. 3 (4) (1996): 575−579; Marti n−Cartez他 Surg Today, 2008, 38(2): 135−40)。しかしながら、他の研究では、癒着形成の防止に対する有意な効果、または外科手術後癒着合併症を生じた後の生殖に対する効果は見出されなかった(例えばMarana他 Gynecol. Obstet. Invest. 41 (1996): 199−202 and Gauwerky他 Arch. Gynecol. Obstet. 247 (1990): 161−166を参照)。
【0007】
最近の比較試験は、コラーゲンゲル、コラーゲン膜およびヒアルロン酸ナトリウム/カルボキシメチルセルロースフィルムが効果的に癒着形成を減少させるが、癒着形成に対する液体フィブリン接着剤の効果は類似実験と同様であることを示した。
【0008】
それゆえ、組織癒着を効率的に減少または防止する方法および組成物を提供することが本発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開EP1905443号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様において、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着を減少または防止する方法であって、効果的な量のトレハロース含有乾燥粉末を、上記外科手術または創傷療法の間に露出または分離された組織に局所的に投与することを含む方法が提供される。
関連する態様において、本発明は、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための医薬として使用される、トレハロース含有乾燥粉末形態組成物を提供する。
意外にも、かかるトレハロース含有乾燥粉末組成物が手術において補助剤として用いられた場合、外科手術後の癒着は減少または防止されることが見出された。
【0011】
本発明の第2の態様において、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着を減少または防止する方法であって、効果的な量の乾燥粉末フィブリンシーラント組成物を、上記外科手術または創傷療法の間に露出または分離された組織に局所的に投与することを含む方法が提供される。
関連する態様において、本発明は、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための医薬として使用される、乾燥粉末フィブリンシーラント形態の組成物を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様において、外科手術の間もしくはその手術後または創傷療法の間の組織癒着を減少または防止する方法であって、効果的な量の乾燥粉末フィブリンシーラント組成物を、上記外科手術または創傷療法の間に露出した組織または分離された組織に局所的に投与することを含み、上記乾燥粉末フィブリンシーラント組成物がフィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子およびトロンビンを含む第2マイクロ粒子の混合物を含む方法が提供される。
関連する態様において、本発明は、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための医薬として使用される、フィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子およびトロンビンを含む第2マイクロ粒子の混合物を含む、乾燥粉末フィブリンシーラント形態の組成物を提供する。
【0013】
本発明の第4の態様において、外科手術の間もしくはその手術後または創傷療法の間の組織癒着を減少または予防する方法であって、効果的な量の乾燥粉末フィブリンシーラント組成物を、上記外科手術または創傷療法の間に露出または分離された組織に局所的に投与することを含み、上記乾燥粉末フィブリンシーラント組成物がフィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子、トロンビンを含む第2マイクロ粒子、およびさらに含まれる添加材料の混合物を含む方法が提供される。
関連する態様において、本発明は、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための医薬として使用される、フィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子およびトロンビンを含む第2マイクロ粒子の混合物、ならびに添加材料を含む、乾燥粉末フィブリンシーラント形態の組成物を提供する。
【0014】
本発明の第5の態様において、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着を減少または予防する方法であって、効果的な量の乾燥粉末フィブリンシーラント組成物を、上記外科手術または創傷療法の間に露出した組織または分離された組織に局所的に投与することを含み、上記乾燥粉末フィブリンシーラント組成物がフィブリノーゲンおよびトレハロースを含む第1マイクロ粒子ならびにトロンビンおよびトレハロースを含む第2マイクロ粒子の混合物を含む方法が提供される。
関連する態様において、本発明は、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための医薬として使用される、フィブリノーゲンおよびトレハロースを含む第1マイクロ粒子ならびにトロンビンおよびトレハロースを含む第2マイクロ粒子を含む、乾燥粉末フィブリンシーラント形態の組成物を提供する。
【0015】
本発明の第6の態様において、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着を減少または予防する方法であって、効果的な量の乾燥粉末フィブリンシーラント組成物を、上記外科手術または創傷療法の間に露出した組織または分離された組織に局所的に投与することを含み、上記乾燥粉末フィブリンシーラント組成物がフィブリノーゲンおよびトレハロースを含む第1マイクロ粒子とトロンビンおよびトレハロースを含む第2マイクロ粒子の混合物、ならびに添加材料を含む方法が提供される。
関連する態様において、本発明は、外科手術の間もしくはその手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための医薬として使用される、フィブリノーゲンおよびトレハロースを含む第1マイクロ粒子とトロンビンおよびトレハロースを含む第2マイクロ粒子の混合物、ならびに添加材料を含む、乾燥粉末フィブリンシーラント形態の組成物を提供する。
【0016】
本発明の第7の態様において、外科手術の間または外科手術後の組織癒着を減少または予防する方法であって、効果的な量の乾燥粉末フィブリンシーラント組成物を 上記外科手術または創傷療法の間に露出した組織または分離された組織に局所的に投与することを含み、上記乾燥粉末フィブリンシーラント組成物が、フィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子とトロンビンを含む第2マイクロ粒子の混合物、ならびに添加材料を含み、添加材料がポリサッカライドまたは化学的に改良したポリサッカライドを含む方法が提供される。
関連する態様において、本発明は、フィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子とトロンビンを含む第2マイクロ粒子の混合物、および添加材料を含む、乾燥粉末フィブリンシーラント形態の医薬組成物であって、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための医薬として使用され、添加材料がポリサッカライドまたは化学的に改良したポリサッカライドを含む組成物を提供する。
【0017】
第8の態様において、本発明は、任意で分注装置と共に、本発明に記載の組成物を含むキットを提供する。
【0018】
第9の態様において、本発明は、組織癒着の防止、治療または緩和のための医薬品の製造における、本発明の組成物またはその構成要素の使用方法を提供する。
【0019】
WO97/44015は、フィブリノーゲンおよびトロンビンのマイクロ粒子に基づく乾燥粉末フィブリンシーラントを記載する。これらのマイクロ粒子組成物のさらに最適化された処方は同時係属出願US12/636,718中に記載され、これは参照として本明細書に援用される。この米国出願の例において、構成要素はトレハロースとフィブリノーゲンおよびトレハロースとトロンビンを個別に噴霧乾燥することによって調製されている。各々の製品は、最大50μm直径が優勢な粒子サイズである。これらの構成要素の混合物であるフィブリンシーラントは、使いやすく安定し効果的な局所止血剤であることが実証されている。製品は再構成なしに直ちに使用することができる。血液等の液体との接触に際して、露出された活性トロンビンは、露出されたフィブリノーゲンを不溶性フィブリンポリマーに転換する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1の態様は、トレハロースが粉末組成物中に存在するときの新規用途の発見に基づく。本発明に記載の方法は、トレハロース含有乾燥粉末組成物の手術部位または創傷への投与による、組織癒着の減少または防止に効果的である。本発明に記載の方法により患者において減少または防止される癒着は、器官、器官の部分もしくは他の組織に対する癒着、またはそれらの間の癒着であり得る。癒着は器官および/または他の組織の間の異常な癒着としても定義できる。
【0021】
本発明の他の実施形態において、効果的な量の乾燥粉末フィブリンシーラントを外科手術または創傷療法の間の露出または分離された組織に局所的に投与することは、癒着を減少または防止する。
【0022】
本発明の他の実施形態において、効果的な量の乾燥粉末フィブリンシーラントを外科手術または創傷療法の間の露出または分離された組織に局所的に投与することは、癒着を減少または防止する。ここで 上記乾燥粉末フィブリンシーラント組成物はフィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子および/またはトロンビンを含む第2マイクロ粒子の混合物を含む。
【0023】
フィブリンは癒着の軽減または防止において役割を果たすことが公知である。理論により束縛されるものではないが、粉末形態でのトロンビンおよびフィブリノーゲンの反応は、それによって乾燥粉末が少量の血液または血漿などの中に溶解されるので、液体フィブリンシーラントまたはフィブリン接着剤を使用する場合に見出されるよりも濃厚なフィブリン層の形成をもたらすと考えられる。フィブリンのこの濃厚なバリアは抗癒着効果を促進する。
【0024】
癒着は多くの場合、器官を含む組織の正常な動きを阻害する、それゆえ、外科手術後の深刻な合併症と判断される。例えば、腱の手術後の癒着は運動障害をもたらし得る。さらに、腹腔内の外科手術後の器官癒着は、腸閉塞、疼痛および不妊等の合併症を引き起こし得る。
【0025】
乾燥粉末トロンビン調製物および/または乾燥粉末フィブリノーゲン調製物が使用される場合、それらは好適な投与装置と共にセットとして提供することが好ましい。
【0026】
減少または防止される癒着は、産婦人科系外科手術、腹部外科手術、脊椎外科手術および腹腔鏡外科手術から生じ得ることが好ましいが、本組成物は、開胸術または腹壁切開術だけでなく、肝臓外科手術、脳外科手術処置、腱または靭帯に関する整形外科手術処置など、さらには、創傷療法においても広範囲で使用することができる。
【0027】
本発明に記載の調製物の「効果的な量」は、かかる投与のない対照群と比較して、癒着形成を有意に減少または阻止できる、任意の量である。
【0028】
さらなる態様によれば、本発明は、外科手術の間または外科手術後の癒着形成の軽減または防止のための調製物の生産に効果的な量のトレハロース、またはその異性体、塩、誘導体を含む、乾燥粉末フィブリンシーラント/組成物の使用に関する。
【0029】
組成物は、潤滑特性を有する少なくとも1つ以上のポリサッカライド、ムコポリサッカライド、ポリサッカライドの塩、およびムコポリサッカライドの塩も含むことができる。ベンジル化ヒアルロン酸および同種のもの等の化学的に改良したムコポリサッカライドの誘導体も組成物中に存在することができる。
【0030】
本明細書において、「組織」は、皮膚、器官、筋肉、神経、軟骨、骨等の体組織を指す。本発明の組織癒着防止のための乾燥粉末組成物組成物は、様々な動物(哺乳類種)に適用することができる。
【0031】
トレハロースは、動物、野菜および微生物を含む天然において広範囲で存在する。トレハロースはパン酵母および醸造酵母等の酵母中に含有され、それは多くの場合、食品中に見出されるサッカライドである。
【0032】
本発明中に用いることができるトレハロースの好適な形態またはアイソフォームは、水和結晶トレハロース、無水結晶トレハロース、無水非晶質トレハロース、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース(ネオ−トレハロース)、β,β−トレハロース(イソ−トレハロース)、またはその混合物を含む。
【0033】
カルボキシル基を含有するポリサッカライド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルスターチ、アルギン酸、ペクチン、カルボキシメチルデキストランなども存在してもよい。存在してもよいムコポリサッカライドはヒアルロン酸(HA)、ヘパリン、ヘパリン硫酸、およびコンドロイチン硫酸も含む。水溶性塩として、ナトリウム塩、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を使用できる。カルボキシメチルセルロースおよび化学的に改良したヒアルロン酸等の組み合わせも含まれてもよい。
【0034】
トレハロースを含む、それぞれのフィブリノーゲン含有可溶性マイクロ粒子およびトロンビン含有可溶性マイクロ粒子は、安定した乾燥形態で、処方し、混合することができる。本処方は、続いて創傷療法および外科的修復において役立つフィブリンシーラントとして用いることができる。
【0035】
フィブリノーゲンおよびトロンビンはヒトドナーからの血液から単離されるか、または培養細胞または遺伝子導入の動物もしくは植物において組換えDNA技術によって作製することができる。フィブリノーゲンまたはトロンビンは全体またはその任意の活性フラグメントであり得る。
【0036】
フィブリノーゲンを含有するマイクロ粒子中のフィブリノーゲンの含有量は約0.1〜50%w/wであり、約0.5〜20%w/wおよび5〜10%w/w、または約6.5%w/wであることが好ましい。トロンビンを含有するマイクロ粒子中のトロンビンの含有量は約10〜20000IU/gであり、約25〜1000IU/g、または100〜500IU/gであることが好ましい。
【0037】
活性含有マイクロ粒子および/または添加材料は、マイクロカプセルの事例等において、固体または中空あってもよい。例えば、WO92/18164、WO96/09814、WO96/18388またはWO97/44015中に記載されているように、フィブリノーゲンまたはトロンビンを含むマイクロ粒子は、当該技術分野において公知の方法によって調製することができる。これらの噴霧乾燥プロセスおよび関連する粒子操作プロセスにより、定義されたサイズ分布(例えば直径最大50μm)を持つ可溶性タンパク質マイクロカプセルの生産が可能になる。例えば、それらの文献中に記載されているように、マイクロ粒子は再現性良く生産することができ、例えば(体積で)90%以上がサイズで最大30μm、例えば10〜20μmとなる。これらの粒子の易流動性凝集体は、当業者によって認識されるように、対抗流に対する噴霧乾燥器中の気流構成の調節によって、または「強制的一次凝集」の設定に複数の噴霧機を設置することによって、その場で(in situ)作製できる。かかる凝集体は、直径で、50〜1000μmまたは100〜500μmまたは125〜250μmであり得る。WO03/037303中に記載されているように、それぞれのフィブリノーゲン含有可溶性マイクロ粒子およびトロンビン含有可溶性マイクロ粒子は、マルチノズル噴霧機の使用によって、噴霧乾燥装置内で、処方してともに混合することができる。
【0038】
乾燥粉末処方の調製の好ましい方法は噴霧乾燥を含むが、乾燥粉末処方の調製に他の乾燥技法を使用できる。好適な方法は当該技術分野において公知であり、流動層乾燥および凍結乾燥、そして続いて行なわれるマイクロ化、または噴霧凍結乾燥を含む。必要であるかまたは所望されるならば、マイクロ粒子は当該技術分野において公知の技法を使用して滅菌できる。
【0039】
本発明のマイクロ粒子は、好ましくは噴霧乾燥によって調製される。一般的に、微粒化プロセスの間に圧縮空気を利用する2つの液体ノズルが使用され、これは中空性マイクロ粒子の生産をもたらす。Niro Mobile Minor噴霧乾燥器上でこの微粒化システムを使用して製造することができるマイクロ粒子の最大の粒子サイズ(X50、Sympatecによって測定されるものとして)は、〜30μmである。本発明のマイクロ粒子のX50値は5〜50μmが好ましく、10〜20μmが最も好ましい。マイクロ粒子は中空性または固体であり得る。
【0040】
本発明の第1または第2マイクロ粒子は、サッカライド等の担体物質と共に、活性成分(例えばフィブリノーゲンまたはトロンビン)の溶液を噴霧乾燥することによって調製できる。代替手法は、活性成分が粒子へと組み込まれるマイクロ粒子を生ずるために活性成分および別の壁形成材料が処方され噴霧乾燥される、共噴霧乾燥を含む。
【0041】
本発明の1つの実施形態において、乾燥粉末組成物は、外科手術の間また外科手術後の癒着の防止または軽減での使用に好適なフィブリノーゲンと共にトレハロースを含む。フィブリノーゲンおよびトレハロースは、本明細書において記載されるような噴霧乾燥または当業者に公知の他の技法によって、複合マイクロ粒子においてともに組み合わせることができる。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、フィブリノーゲンを含む個別のマイクロ粒子およびトロンビンを含む個別のマイクロ粒子をトレハロースと混合して、外科手術の間または外科手術後の癒着の防止または軽減での使用に好適な乾燥粉末組成物を生産する。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、固体または中空性のフィブリノーゲン含有マイクロ粒子は、均質混合物を生産する任意の順序で、固体または中空性のトロンビン含有マイクロ粒子および本明細書において記載されるような添加材料と混合される。かかる混合は、低剪断性もしくは高剪断性の混合、または当業者に公知の他の技法を使用して行なうことができる。
【0044】
フィブリノーゲンまたはトロンビンは全体またはその任意の活性フラグメントであり得る。フラグメントは公知であり、Coller他, J. Clin. Invest. 89:546−555 (1992)を参照されたい。フィブリノーゲン原材料は凍結溶液であってもよいが、噴霧乾燥の前に再構成を必要とする冷凍乾燥粉末が使用されてもよい。
【0045】
好適な他のタンパク質は、天然に存在するものであるか、または培養細胞または遺伝子導入の動物もしくは植物において組換えDNA技術によって作製することができる。フィブリノーゲンまたはトロンビンは全体またはその任意の活性フラグメントであり得る。様々な実施例が示されるWO92/18164中に記載されているように、それらは「壁形成材料」とし機能することができる。好ましい材料はHSA(ヒト血清アルブミン)である。例えば、フィブリノーゲンは、単独でまたはHSA等の賦形剤の様々な量(例えば1:1、1:3、3:1のフィブリノーゲン:HSA比))およびトレハロースの存在下において噴霧乾燥される。HSAの代わりの好適な他の代替物は、ツイーン20、ツイーン80、ポロキサマー407またはポロキサマー188等の界面活性剤を含む。カルシウムイオンは、例えば塩化カルシウムとして、トロンビンフィードストック中に組み込むことができる。あるいは、塩化カルシウムは処理後のマイクロ粒子に添加されてもよい。
【0046】
本発明の特定の実施形態において、本発明において使用される添加材料は、一般的に10〜1000μm、または100〜500μm、または125〜250μm、または場合によっては、例えば10〜40μmの平均粒子サイズを有する。添加物は1つの材料を含んでもよいし、または材料の混合物であってもよい。かかる添加材料は、活性材料のための担体および/または希釈剤として機能することができる。
【0047】
上の段落において設定されたオーダーの粒子サイズを有する粒子の形態で存在できる添加材料は、生体適合性があり吸水性および/または水膨潤性の材料、ポリサッカライド、多孔質および/または中空性の材料のような添加物である。
【0048】
かかる事例において、添加材料を、組成物の重量で約1%、約2%、約3%、約4%約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはその間の任意の範囲もしくは値で含んでもよい。
【0049】
一般的に、かかる事例において、組成物は、少なくとも1%、または少なくとも5%または少なくとも10%w/wの添加材料、および最大60%、最大70%または最大80%の添加材料を含む。したがって、添加物は、組成物の1%(または5%または10%)〜80%、または1%(または5%または10%)〜70%、または1%(または5%または10%)〜60%w/wのレベルで存在することができる。
【0050】
本発明の他の実施形態において、添加材料は一般的に約10nm〜10μmの平均粒子サイズを有し、1つの材料を含んでもよいし、または材料の混合物であってもよい。
【0051】
本発明の他の実施形態において、添加材料は固体の可溶性材料ではない。
【0052】
様々な材料は、流動性および湿潤性などの促進のための添加粒子として存在してもよい。かかる材料は、デキストランポリマー(例えば、異なる粒子サイズで入手可能なセファデックス)、ヘタスターチを含むスターチ、プルラン誘導体、ヒアルロン酸およびそのエステルを含み得る。微結晶性セルロース等のセルロース製品(アビセルレンジ)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、マイクロファインセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび架橋されたポリビニルピロリドン(PVP)等の他の材料は、単独でまたは混和物で使用できる。さらに、担体として機能する好適な添加材料は、好ましくは分子量約1000を有するポリエチレングリコール(PEG);好ましくは平均分子量約50000を有するポリビニルピロリドン(PVP);ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−無水マレイン酸)、ポリ(酸化エチレン)、および一般的に平均分子量約40000を有するデキストランを含む。
【0053】
他の好適な添加材料は可溶性であり、モノサッカライドおよびジサッカライドを含むサッカライド等であり、それらはラクトース、ラクトース一水和物、無水ラクトース、スクロース、マルトース、無水マルトース、フルクトース、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールまたはトレハロースそれ自体(フィブリノーゲンおよび/またはトロンビン含有マイクロ粒子中の担体物質がトレハロースを含まない場合に)を含む。好適なオリゴサッカライドは、デキストリン、硫酸デキストラン、プルラン、ヒアルロン酸およびその塩を単独または組み合わせで含む。
【0054】
本発明の他の実施形態において、添加物は、例えばソルビトールおよび/またはマンニトールの、高度に多孔質でかつ高度に可溶性である、織り込まれた繊維状の結晶である。かかる材料は、名称PARTECK SIおよびPARTECK M(Merck KGaA、ダルムシュタット、ドイツ)で販売される。これらのグレードは高い吸着容量を有し、したがって、適用する粉末層を介して血液を浸透させること、ひいては粉末界面のみでの凝固を回避することによって、ダスティングを減少させて、乾燥粉末フィブリンシーラントの湿潤性、可溶性およびパフォーマンスを促進する新規の粉末を生産する、本発明の乾燥粉末フィブリンシーラント粉末組成物との混合に好適である。
【0055】
本発明のマイクロ粒子は、必要であるかまたは所望されるならば滅菌することができる。滅菌処理、電子線照射、γ−照射およびエチレンオキシドは、好適な技法の一例である。
【0056】
添加材料は単一の構成要素としてまたは組み合わせで本発明の組成物中に存在することができ、そして添加材料は、フィードストック中に存在するか、もしくはともに混合する前に噴霧乾燥したトロンビンまたはフィブリノーゲンのいずれかに添加するか、または最終混合物に添加してさらなる混合を行うことができる。かかる混合は、低剪断性または高剪断性の混合、メカノケミカルボンディング、ハイブリダイゼーションまたは当業者に公知の他の技法を使用して行なうことができる。
【0057】
本発明のフィブリンシーラント中のマイクロ粒子の構成要素は好ましくは水溶性であり、マイクロ粒子は好ましくは好適な溶液の噴霧乾燥によって得られるが、得ることができるマイクロ粒子は、自由流動性で離散的で実質的に乾燥および無水であり、残留水分含量は約8%w/wまたは約5%w/w未満が好ましく、3%w/w未満が最も好ましい。これは、例えば、創傷部位で液体と接触することによって湿潤するまで、本発明によるフィブリンシーラントの化合物が活性化されないことを意味する。それゆえ、異なるマイクロ粒子の個別の適用が意図されるが、活性成分は乾燥混合物として送達することができる。活性含有マイクロ粒子は、トラップしたタンパク質を安定させるように、好ましくは室温(例えば25℃)で非晶性またはガラスの形態であり、加えてこのような急速な可溶性状態において活性を示す。好ましくは、示差走査熱量測定法または改良した示差走査熱量測定法によって測定されるように、活性含有マイクロ粒子組成物は、約25℃、または約30℃、または約40℃、または約50℃以上のガラス転移温度を示す。添加材料も、急速に可溶性状態となるように室温(例えば25℃)で非晶性またはガラスの形態である。好ましくは、示差走査熱量測定法または改良した示差走査熱量測定法によって測定されるように、添加材料は約25℃、または約30℃、または約40℃、または約50℃以上のガラス転移温度を示す。組成物は、活性の有意な損失なしに、例えば3か月または6か月を超える延長期間、周囲温度または室温(例えば25℃)で、かかるガラス質の組成物により保存することができる。
【0058】
添加材料も、結晶状態または非晶性状態でありえるが、自由流動性で離散的で実質的に無水でありえ、残留水分含量は5%w/w未満が好ましく、3%w/w未満が最も好ましい。
【0059】
粉末組成物は、同時係属出願PCT/GB2009/051714(特願2011−540220、参照として本明細書に援用される)の粉末送達装置を使用して適用することができる。
【0060】
本発明は、ここで、以下の実施例を単なる例として参照し説明する。
【実施例1】
【0061】
本研究は、ブタの肝臓創傷モデルにおける本発明にかかわる粉末の効果を調査した。トレハロースを含むフィブリンシーラントの適用に対する組織反応も検査し、上記フィブリンシーラントを使用する組織反応および止血もTisseel(商業的に入手可能で液体適用フィブリンシーラント)と比較した。
【0062】
(研究材料)
同時係属出願US12/636,718中に記載されるように、乾燥粉末フィブリンシーラントを調製した。手短に言うと、フィブリノーゲン(ZLB、マールブルク、ドイツ)およびトレハロース(Pfanstiehl、ウォーキーガン、イリノイ、アメリカ)の中空の球形粒子を調製した。粒子中のフィブリノーゲンの濃度は12%(w/w)である。
【0063】
トロンビン(SNBTS、グラスゴー、スコットランド)およびトレハロースを噴霧乾燥して、中空粒子を得た。トロンビンは1グラムの粒子あたり1000IUの濃度で存在した。粒子を1:1比で混合し、生じた粉末は6%w/w濃度のフィブリノーゲンを有し、500IU/グラムの粉末である。この混合物は本発明の粉末と称される。
【0064】
本発明の粉末を調製し、適用のために準備した。一方、Tisseelを購入し、供給業者の指示に従って調製した。
【0065】
(動物)
体重45kgのメスのラージホワイト/ランドレースの雑種のブタを1匹使用した。
【0066】
(実験プロトコル)
本発明の粉末およびTisseelを肝生検創傷部位に適用した。
【0067】
(外科手術のプロトコル)
ジアテルミーを使用して腹壁正中切開術を行い、肝臓の腹側表面を露出する。肝臓と横隔膜との間の背側の肝靭帯を離断して肝臓の遠位移動を可能にする。肝臓の左側葉を持ち上げ、体外に出して湿ったスワブ上に置いた。10mmのパンチ生検ツールを深さ4mmで切断するように調節した。6つのパンチ生検を肝臓の左葉の実質表面上でひとつずつ行って、各々の生検部位の縁部の間に少なくとも3cmの正常組織があるようにする。パンチ生検組織を除去して肝臓葉の表面に10mm×4mmのクレーター欠損を残す。組織を除去するのと同時に、あらかじめ計量したスワブを使用して毎分1個の率で部位から血液を回収した。スワブを計量して3分間の部位出血率を確立した。次いで実験プロトコルに従って部位を治療し、スワブ回収を5分間または止血するまで継続した。いったん6つの部位を左葉上で作成し治療したならば、これを腹膜腔内のもとの位置へと置き換え、中心葉を持ち上げ、体外に出して湿ったスワブ上に置いた。肝臓中心葉上の5つの部位について同一の処置を実行した。いったん外科的処置がすべて完了し、すべての生検部位について十分な止血が達成されたならば、腹膜腔の中へ500mlの滅菌塩類溶液を肝臓表面の上にフラッシングした。腹壁切開した腹膜および内部の筋肉層は半円型無傷針を用いて2/0バイクリル縫合糸により閉じた。腹壁切開した外部筋肉および皮膚切開は半円型角針を用いて2/0プロレン縫合糸により閉じた。閉じた腹壁切開部をCicatrin粉末により治療し、Opsiteをスプレーした。被験体を麻酔薬から回復させ、抜管し、動物飼育設備に戻した。被験体の有害な臨床的徴候について14日間モニタリングされた。
【0068】
(終結)
被験体に前投薬し麻酔した。腹壁正中切開術による切開を腸骨窩のレベルで開始し、近位に延長して肝臓表面および手術部位を露にした。肉眼観察を記録し、肝臓の左側葉および中心葉を完全に除去した。
【0069】
(結果)
(臨床的観察)
有害な臨床的徴候は術後モニタリング期間中、示されず、すべての生理的機能はこの間は正常に思われた。
【0070】
(肉眼的観察)
最終的な腹壁切開で、腹膜縫合線の内面と下にある腸、腹膜網または脾臓との間に存在する癒着はなかった。しかしながら、肝葉の先端から同側の腹膜への癒着があり、その癒着は手術処置の間、操作された肝臓表面の全体にわたって延長していた。中心葉が左側葉に重なっていた継目に沿って、中心葉と左側葉とが癒着していた。これらの大部分の癒着は、中心葉先端の領域から、緩やかな指圧力によって容易に外すことができた。治療された生検部位と一致し、分離がより難しい2つの領域があり、これらの領域の1つは非常に強く癒着しているので分離の間に肝臓が裂けた。治療した生検部位と一致するもうひとつの領域は、周囲の肝臓実質領域よりも主観的に分離が容易であった。癒着分離の間にその癒着から外された治療材料であるように見える1片もあった。創傷部位はすべて良好に閉じられたようであり、肝葉の実質表面における小窩によって特徴づけられていた。生検による欠損縁で有意な炎症はないようであり、肝臓表面に存在する治療材料の肉眼的証拠はなかった。線維状であり生検による欠損に癒着しているように見える3つの部位を覆う不透明な薄膜の材料の領域があった。横隔膜の内面上に、横隔膜に癒着し薄膜で不透明な線維組織により囲まれた治療材料に見える2つの領域があった。
【0071】
癒着に関して、Tisseelと本発明の粉末との間に差があることが意外にも見出された。すべてのTisseel治療部位において、充填材料と上層にある横隔膜または肝葉との間で頑強な癒着があった。これらの癒着は1つ部位では非常に頑強だったので、分離により創傷部位で充填材料が失われ、再出血が起こった。対照的に、本発明の粉末により治療された1つ以外のすべての部位において、(炎症性反応の増加を示した1つの事例においてでさえ、)治療部位それ自体と上層にある横隔膜との間に癒着はなかった。しかしながら、治療部位に隣接する操作していない肝臓表面と上層にある横隔膜との間には癒着があった。
【実施例2】
【0072】
(材料および方法)
出版されたデータおよびインハウスの経験に基づき、本研究にはウサギを使用した。実施例1の本発明の粉末および商業的に入手可能な抗癒着製品であるSeprafilm(例えば、Genzyme)を、対照として使用する非治療の組織と比較した。検査した材料はすべて製造者の使用説明書に従って保存および適用した。
【0073】
(外科的処置)
外科手術は、外科医が着用する帽子、マスクおよび滅菌手袋により無菌技術を使用して行った。器具は、まず、オートクレーブによって滅菌したが、その後に動物間ではアルコール中のクロルヘキシジンで洗浄した。
・腹部の全層正中切開を行い、創傷縁部を組織鉗子により引き込んだ。
・片側の子宮角は接近を容易にするために腔から持ち上げて置いた。
・26mm×3mmの測定値の矩形の鋳型を子宮角に配置し、表面を専用の鋸状の金属スクレーパーにより10回掻いて(各々の方向で5回)、擦過傷を生成した。
・次いで24mm×3mmの測定値の鋳型を同側の腹膜壁に配置し、上記のように擦過傷を生成した。
・非治療の対照部位の事例において、2つの創傷を接近させ、2つの5/0プロレン縫合糸により固定した(擦過領域の各々の端部で1つ)。治療部位の事例において、接近および固定の前に擦過部位の間に試験品を適用した。
・次いで類似した手順を反対の子宮角上で行った。
・完了したときに、腹筋を結節2/0バイクリル縫合糸により閉じ、皮膚を最初に連続表皮下3/0絹縫合糸を使用して閉じたが、続いて結節2/0絹製縫合糸を使用して閉じた。
【0074】
(終結)
手術後14日で、すべての被験体をバルビツレートの過剰用量を使用して安楽死させた。各々の被験体からの両方の手術部位を、隣接する関連組織と共に切り取り、これらのサンプルを10%の中性に中和されたホルマール生理食塩水の中に置いた。
【0075】
(結果)
本発明の粉末により治療された動物において、2つの擦過表面が互いから独立して治癒するように、これらの表面は別個に分離されていた。これはSeprafilmにより治療したサンプルについても同様であった。組織学的結果(図示せず)から、発明の粉末が手術後の癒着を減少または防止できることが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の被験動物(人間を除く)における組織癒着形成を減少または防止する方法であって、トレハロース、又はその異性体、塩、誘導体を含む所定量の乾燥粉末組成物を該外科手術または創傷療法の間に露出または分離された組織に局所的に投与することを含む方法。
【請求項2】
トレハロース、又はその異性体、塩、誘導体を含み、外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止のための医薬として使用される乾燥粉末組成物。
【請求項3】
フィブリノーゲンまたはトロンビンの少なくとも一方をさらに含む請求項2に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項4】
0.5〜20%w/wフィブリノーゲンまたは25〜1000IU/gトロンビンの少なくとも一方を含む請求項3に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項5】
フィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子、及びトロンビンを含む第2マイクロ粒子の混合物をさらに含む請求項2に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項6】
前記第1マイクロ粒子は、0.5〜20%w/wフィブリノーゲンを含む請求項5に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項7】
水和結晶トレハロース、無水結晶トレハロース、無水非晶質トレハロース、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース(ネオ−トレハロース)、β,β−トレハロース(イソ−トレハロース)、またはその混合物を含む請求項2〜6のいずれか一項に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項8】
フィブリンシーラントである請求項2〜7のいずれか一項に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項9】
フィブリンシーラントであり、前記第1マイクロ粒子は0.5〜20%w/wフィブリノーゲンを含有する請求項5に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項10】
フィブリンシーラントであり、前記第2マイクロ粒子は25〜1000IU/gトロンビンを含む請求項5に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項11】
0.001〜95%w/wの添加材料を含む請求項8〜10のいずれか一項に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項12】
前記添加材料は、生体適合性があり吸水性の材料を含む請求項11に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項13】
前記添加材料は、生体適合性があり水膨潤性の材料を含む請求項11に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項14】
前記添加材料は、生体適合性があり非水溶性の材料を含む請求項11に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項15】
前記添加材料は、ポリサッカライドを含む請求項11に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項16】
前記添加材料は、10nm〜1000μmの平均粒子サイズを有する請求項8〜15のいずれか一項に記載の方法または乾燥粉末組成物。
【請求項17】
前記平均粒子サイズは、10〜500μmである請求項16に記載の乾燥粉末組成物。
【請求項18】
外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の被験動物(人間を除く)における組織癒着形成を減少または防止する方法であって、フィブリノーゲンおよび/またはトロンビンを含む所定量の乾燥粉末組成物を、該外科手術または創傷療法の間の露出した組織または分離された組織に局所的に投与することを含む方法。
【請求項19】
前記乾燥粉末組成物は、0.5〜20%w/wフィブリノーゲンまたは25〜1000IU/gトロンビンの少なくとも一方を含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記乾燥粉末組成物は、フィブリノーゲンを含む第1マイクロ粒子、及びトロンビンを含む第2マイクロ粒子の混合物を含む請求項18に記載の方法。
【請求項21】
組織癒着の防止または緩和のための医薬品の製造における、トレハロース、異性体、塩またはその誘導体を含む乾燥粉末組成物の使用方法。
【請求項22】
組織癒着の防止または緩和のための医薬品の製造における、フィブリノーゲンまたはトロンビンの少なくとも一方を含む乾燥粉末組成物の使用方法。
【請求項23】
組織癒着の防止、治療または緩和のための医薬品の製造における、請求項2〜17のいずれか一項に記載の乾燥粉末組成物、またはその構成要素の使用方法。
【請求項24】
外科手術の間もしくは外科手術後または創傷療法の間の組織癒着の治療または防止に使用されるフィブリノーゲンまたはトロンビンの少なくとも一方を含む乾燥粉末組成物。

【公表番号】特表2012−528131(P2012−528131A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512403(P2012−512403)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057478
【国際公開番号】WO2010/136589
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(310019154)プロフィブリックス ビー.ヴイ. (3)
【Fターム(参考)】