説明

乾燥装置

【課題】ハンガーに保持されて乾燥室内を非接触で搬送される間に両面乾燥される薄板状のワークに粉塵などが落下して付着することがなく、ワーク上方の発塵を防いで装置を小型化することが可能な乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥風が循環する乾燥室2内を周回移動する無端ベルトチェーン8にハンガー挿入部8aが所定ピッチで設けられた当該ハンガー挿入部8aにワークWを保持したハンガーHを保持させて乾燥室2内をチェーン回転方向に起立姿勢のまま移送されるハンガー移送部7と、ハンガー移送部7により移送されたハンガーHからワークWを分離して下流側へ送り出すと共に当該ワークWと分離されたハンガーHを次のワーク保持に備えてワーク搬送方向上流側へ送り返すハンガー戻し部10とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント回路基板の製造工程で露光・現像又は印刷が行われた際に基板両面にコーティングされた保護層などの加熱・乾燥工程に用いられる基板等の乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板乾燥を行うウィケット式乾燥装置としては、図7に示す乾燥装置60が実用化されている。この乾燥装置60は、乾燥室61内にチェーン等で構成された無限軌道62に、ワークWの保持部材であるワーク受枠63が所定ピッチで多数固定されている。
ワークWは、水平方向にワーク受枠63間に挿入支持されて無限軌道62の上面で起立するワーク受枠63の間に保持されたまま、乾燥室61内で熱風に晒された状態で搬送される間に乾燥が行われる(特許文献1、図6参照)。
【0003】
また、例えば基板両面にレジスト等がコーティングされたワークを非接触で両面乾燥させるため、乾燥室内をワークがハンガーに吊り下げられたまま搬送する装置も実用化されている。例えば、乾燥室の長手方向に配設され、複数のハンガーがワークを保持した状態で所定間隔をおいて一列に載置される載置部、及び複数のハンガーを載せて送り方向へ間欠的に送るべく、ハンガーを載せるための上昇移動、ハンガーを載せて送り方向へ水平移動、ハンガーを降ろすための下降移動、送り方向とは反対方向へ水平移動の順に作動する送り用作動部を備えている(特許文献2、図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3926923号公報
【特許文献2】特許4510304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリント回路基板の製造工程では、露光・現像又は印刷技術が利用されるが、これらの製造工程には基板の加熱・乾燥工程が必須になる。その加熱・乾燥工程における乾燥室についても、高いクリーン度(高空気清浄度)が要求される。
しかしながら、上記特許文献1の乾燥装置を用いる場合、図8に示す無限軌道62自体の作動による発塵、さらに無限軌道62がたわまないように接触して支持する構成との摺接による発塵など、無限軌道62を周回移動する機構が大きな発塵源となり、ワークWの上方から降下する塵埃となって乾燥室61内が汚染されるという課題がある。また、周回移動する無限軌道62に支持された戻りのワーク受枠63も垂下して搬送されるため、装置全高が高くなり乾燥装置60が大型化する。また、ワークWはワーク受枠63に立て掛けて搬送されるため、両面コーティングされた基板においてはワーク受枠63との接触跡が残ってしまうおそれがある。
また、特許文献2の乾燥装置は、ワークをハンガーに固定して乾燥室内を吊り下げながら送り用作動部によって順送りされるようになっている。よって、ワークの上方に送り用作動部の駆動源や駆動機構が配置されるため、ごみや粉塵がワークに落下して付着するおそれがあるうえに、装置全高が高くなるため大型化する。
更には、近年半導体装置の小型化が進み、基板の厚みも薄型化しており、乾燥室内における基板の反りを抑えたいというニーズもある。
【0006】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、ハンガーに保持されて乾燥室内を非接触で搬送される間に両面乾燥される薄板状のワークに粉塵などが落下して付着することがなく、ワーク上方の発塵を防いで装置を小型化することが可能な乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
薄板状のワークがハンガーに保持されたまま非接触で乾燥室内を移送される間に所定の温度プロファイルで順次ワーク両面の乾燥が行われる乾燥装置であって、乾燥風が循環する乾燥室内を周回移動する無端ベルトチェーンにハンガー保持部が所定ピッチで設けられた当該ハンガー保持部に前記ワークを保持したハンガーを保持させて前記乾燥室内を起立姿勢のまま前記チェーン回転方向に移送するハンガー移送部と、前記ハンガー移送部によって移送された前記ハンガーから前記ワークを分離して下流側へ送り出すと共に当該ワークと分離された前記ハンガーを次のワーク保持に備えてワーク搬送方向上流側へ送り返すハンガー戻し部と、を具備したことを特徴とする。
上記構成によれば、ワークを保持したハンガーがハンガー移送部によりチェーン回転方向に起立姿勢で移送される間にワークに非接触で両面乾燥される。これにより、ワークより上方に駆動源や無限軌道やその周回機構などの機械的摺動部は存在せず、乾燥室内を搬送される薄板状のワークに粉塵などが落下して付着することがなく、ワーク上方の発塵を防いで装置を小型化することが可能となる。
【0008】
前記乾燥室内のワーク移送経路において、前記ワークより下方に搬送駆動源及び機械的摺動部が配置されていることが望ましい。
これにより、少なくとも乾燥室内においてはワークに搬送駆動源や機械的摺動部からの粉塵や駆動源等に付着した揮発性の溶剤がワークに落下するおそれがなくなり、クリーンな環境下で乾燥が行なえる。
【0009】
前記ハンガー保持部は、一対の無端ベルトチェーンに筒状のハンガー挿入部が所定ピッチで組み付けられていることが好ましい。
これにより、より省スペースで多数のワークをハンガー挿入部に挿入して垂直姿勢で支持して乾燥させることができる。また、ハンガーの使用枚数を半分以下に減らして繰り返し使用することにより、装置の小型化を図ることができる。更には、ワークのサイズ変更はハンガーを変更すれば足りるので、装置の大幅な改変は不要となり、汎用性が向上する。
【0010】
前記ハンガーに対して前記ワークがチャック若しくはガイドされて移送されることが望ましい。薄型のフィルム状の基板のように、乾燥によって反りが発生しやすいワークの場合には、4辺チャックすることでワークの反りや波打つなどの変形を抑えることができる。また、ワークの剛性が高い例えばガラス板等の場合には、チャックする必要はなく、両側ガイドに沿って保持することで印刷面を乾燥させることができる。
【0011】
前記乾燥室内には、乾燥空気をフィルターを介して循環させ該乾燥空気の一部を給排気する循環路が形成されていることが好ましい。
これにより、乾燥室内で揮発した溶剤等がフィルターを通じて除去されるため、天井等に付着してワークに落下するおそれはなくなる。
【0012】
ワーク搬送方向上流側より搬送された薄板状のワークを保持位置へ搬送し、当該保持位置へ上昇した第1ハンガー昇降部に載置したハンガーに前記ワークを保持させるワーク保持部と、前記ワークを保持したハンガーを水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更させるワーク姿勢変更部と、を具備し、前記ワーク姿勢変更部により起立姿勢にしたハンガーを前記ハンガー保持部に保持させて前記ハンガー移送部によって前記乾燥室内を前記チェーン回転方向に移送されるようにしてもよい。
これにより、ワーク搬送方向上流側より例えば前工程でコーティングされた薄板状のワークが保持位置へ搬送されると、ハンガーに保持させて水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更させてハンガー保持部に保持させるまでの動作を自動化して効率よくワークを乾燥室に搬入することができる。
【0013】
また、前記ハンガー移送部により移送され垂直姿勢から水平姿勢になったハンガー保持部からハンガーを順次保持解除位置へ取り出すハンガー取り出し部と、前記保持解除位置に取り出されたハンガーから保持を解除して乾燥後のワークを下流側へ搬送するワーク送り出し部と、前記保持解除位置でワークと分離されたハンガーを受け取った第2ハンガー昇降部を下降させて当該ハンガーを前記ハンガー戻し部に受け渡して前記ワーク保持部へ戻すようにしてもよい。
これにより、乾燥後のワークをハンガーより分離して後工程に搬送し、ハンガーを再度ワーク保持部へ戻してワークを保持させるまでの動作を自動化して効率よくワーク搬送を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
上述した乾燥装置を用いれば、ハンガーに保持されて乾燥室内を非接触で搬送される間に両面乾燥される薄板状のワークに粉塵などが落下して付着することがなく、ワーク上方の発塵を防いで装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】乾燥装置の内部構成を透視した正面図である。
【図2】乾燥装置の内部構成を透視した平面図である。
【図3】ハンガー移送部、ハンガー取り出し部、ワーク送り出し部、ハンガー戻し部の構成を示す説明図である。
【図4】ワーク保持部及びワーク姿勢変更部の構成を示す説明図である。
【図5】ワークを移載するピックアップ装置の配置を示す説明図である。
【図6】乾燥室の熱気循環を示す説明図である。
【図7】他例に係るハンガーの態様を示す正面説明図及び上視図である。
【図8】従来のウィケット方式の乾燥装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る乾燥装置の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本実施形態では、ワークとしてプリント配線基板の基板製造工程で用いられる乾燥装置を例示して説明する。
【0017】
図1を参照して、乾燥装置の概略構成について説明する。
乾燥装置1は、薄板状のワークWがハンガーHに保持されたまま乾燥室2内を非接触で移送される間に所定の温度プロファイルにしたがって順次ワーク両面の乾燥が行われる。
【0018】
前工程においてワークWは基板両面にレジスト等のコーティング材が印刷或いは塗布により両面コーティングされている。ワーク保持部3は、ワーク搬送方向上流側より搬送された薄板状のワークWをチャック位置(保持位置)P1へ搬送し、当該チャック位置P1へ上昇した第1ハンガー昇降部4に載置したハンガーHにワークWを保持させる。
【0019】
ワーク姿勢変更部5は、ワークWを保持したハンガーHを水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更させる。ワーク姿勢変更部5により起立姿勢にしたハンガーHはハンガー移送部7に搬入されて無端ベルトチェーン8に固定されたハンガー保持部(ハンガー挿入部8a)に両側フレーム挿入端部FE(図7(A)(B)参照)挿入保持させたまま乾燥室2内をチェーン回転方向に移送される。
【0020】
ハンガー移送部7は、乾燥風が循環する乾燥室1内を周回移動する無端ベルトチェーン8にハンガー挿入部8aが所定ピッチで設けられた当該ハンガー挿入部8aに両側フレーム挿入端部FEを挿入してワークWを保持したハンガーHを起立姿勢のまま保持させて乾燥室2内をチェーン回転方向に移送する。即ち、ワークWは、乾燥室2内を非接触で移送される間に両面乾燥が行われる。
【0021】
ハンガー取り出し部9は、ハンガー移送部7により移送され垂直姿勢から水平姿勢になったハンガー挿入部8aからハンガーHが抜き出されて順次チャック解除位置P2へ移送される。ワーク送り出し部10は、チャック解除位置P2に取り出されたハンガーHからワークWのクリップKを解放して当該ワークWを下流側へ搬送する。
【0022】
第2ハンガー昇降部11は、チャック解除位置P2でワークWと分離されたハンガーHを受け取ったまま下降して当該ハンガーHをハンガー戻し部12に受け渡す。ハンガー戻し部12は、ハンガーHをワーク搬送方向上流側のワーク保持部3に向って返送する。
【0023】
上述した乾燥室2内のワーク移送経路において、ワークWより下方に搬送駆動源及び機械的摺動部が配置されている。これにより、少なくとも乾燥室2内においてはワークWに搬送駆動源や機械的摺動部からの粉塵や、上記駆動源等に付着した揮発性の溶剤がワークに落下するおそれがなくなり、クリーンな環境下で両面乾燥が行なえる。
【0024】
次に乾燥装置1の各部の構成について説明する。
図1及び図2において、両面コーティングされてワーク搬送方向上流側から搬送されたワークWは受け取りコンベア13に受け渡される(図5参照)。チャック位置P1には、第1ハンガー昇降部4によってハンガーHは水平姿勢で支持されて待機している。図4に示すように、ハンガーHは、矩形の枠体であって、4辺に1対ずつ設けられたクリップKによってワークWの各辺をチャックしてテンションを付与した状態で保持するようになっている。
【0025】
図7(A)〜(C)はハンガーHの他の構成を示す正面図及び上視図である。図7(A)に示すように、ワークWをハンガーHの両側2辺若しくは3辺にクリップKでチャックするか若しくは図7(C)に示すL型ガイド24でワークWの両側を保持して底辺に設けられた支持ピン等を設けて比較的合成の高いガラス板などを保持するようにしてもよい。また、クリップKのチャック位置は、ワークWのサイズに応じて変更することができるように着脱可能に設けられていてもよい。即ち、図7(B)において、ハンガーHの上下フレームFに対してチャックK若しくは(L型ガイド)を取り付けた取付板25を幅方向両側若しくは上下で着脱して取付位置を変更するようにしてもよい。これにより多様なサイズのワークWや、剛性の異なる多様なワークWを保持して乾燥することができる。
【0026】
図5において、受け取りコンベア13から第1ピックアップ14によって、ワークWが保持されてハンガーH上のチャック位置P1に移載される。ハンガーHの4辺に設けられたクリップKは、図4に示すように第1ハンガー昇降部4によってチャック位置P1へ上昇した際に第1アンクランプ機構U1によって開放状態に維持される。この状態で第1ピックアップ装置14によってワークWがハンガーHに受け渡されると、第1アンクランプ機構U1はクリップKを閉じてワークWの4辺を同時にチャックする。クリップKの開閉は、例えば第1アンクランプ機構U1に設けられたアクチュエータ(ソレノイド、シリンダ等)により開閉操作が行われる。
【0027】
薄型のフィルム状の基板のように、比較的剛性の低いワークWの場合にはハンガーHに対して4辺がチャックされて移送されることが望ましい。乾燥によって反りが発生しやすいワークWの場合には、4辺チャックすることでワークの反りや波打つなどの変形を抑えることができる。また、ガラス板等のように剛性が比較的高いワークWの場合には必ずしもチャックする必要はなく両側をL型ガイド等でガイドするだけで足りる。
【0028】
図4において、チャック位置P1でワークWがハンガーHに保持されると、ワーク姿勢変更部5に備えた昇降動作及び回転動作が可能な姿勢変更ロボット15のハンド15aによってハンガーHの両側フレームを把持したまま図3に示すように水平姿勢のまま上昇し、上昇位置で時計回り方向へ90度回転させて、垂直姿勢へ姿勢変更する(図1参照)。このとき、ハンガーHにはワークWが移送方向後面側にチャックされている。そして、図1に示すように垂直姿勢になったハンガーHの上辺フレームをスライド可能なスライドハンド16により把持して乾燥室2内に搬入される。
【0029】
ハンガー移送部7に設けられた無端ベルトチェーン8は、図2に示すように乾燥室2の長手方向に沿って一対設けられている。一対の無端ベルトチェーン8は図示しない駆動モータにより駆動され、各ベルトチェーン8には筒状のハンガー挿入部8a(ハンガー保持部)が所定ピッチで組み付けられている。一対のハンガー挿入部8aの垂直姿勢となった上流端でスライドハンド16により把持されたハンガーHが解放されて両側下端部(フレーム挿入端部FE;図7(A)(B)参照)がハンガー挿入部8aに各々挿入支持されたままチューン回転方向に移送される。これにより、省スペースで多数のハンガーHをハンガー挿入部8aに挿入することにより、ワークWを乾燥室2内に非接触で垂直姿勢のまま支持して両面乾燥させることができる。また、ハンガーHの使用枚数を半分以下に減らして繰り返し使用することにより、装置の小型化を図ることができる。更には、ワークWのサイズ変更はハンガーHを変更すれば足りるので、装置の大幅な改変は不要となり、汎用性が向上する。また、ワークWはハンガーHとともに乾燥室2内に順送りされて、所定時間乾燥が行なわれるので、各ワークWに作用する温度プロファイルは一定であるため、ワークWによって乾燥状態がばらつくことはなく所期の乾燥品質が得られる。
【0030】
図6に示すように、乾燥室2内には、送風ファン17、フィルター18、ヒータ19などが配置されている。ヒータ19に加熱された乾燥空気を送風ファン17によりフィルター17を介してワークWに上方から吹き付けて乾燥させ、一部を給排気しながら再加熱して循環させる循環送風路2aが形成されている。これにより、乾燥室2内で揮発した溶剤等がフィルター18を通じて除去されるため、天井等に付着してワークWに落下するおそれはなくなる。
【0031】
図3において、無端ベルトチェーン8によってチェーン回転方向上流側より下流側に垂直姿勢のまま移送されたハンガーHは水平姿勢になると、図5に示すハンガー取り出し部9に設けられたスライド機構20のハンド20aによってハンガーHの両側を把持されて水平方向にチャック解除位置P2へ取り出される。そして、スライド機構20に設けられた第2アンクランプ機構U2によってクリップKが解放される。
【0032】
また、図5において、チャック解除位置P2でクリップKによるチャックが解放されたワークWは、第2ピックアップ装置21によってワークWのみが保持されて受け渡しコンベア22に載置されて下流側へ搬送される。
【0033】
また、ワークWと分離したハンガーHは、図3に示す第2ハンガー昇降部11に受け渡されて下降し、ハンガー戻し部10に設けられた返送用コンベア23に受け渡される。返送用コンベア23に載置されたハンガーHは、ワーク保持部6の下方位置まで返送される。返送用コンベア23も粉塵が生じないように無端状のアイアンラバーベルト等が用いられる。次いで第1ハンガー昇降部4に受け渡されて、次のワークWのチャックに備えてチャック位置P1へ上昇して待機する。
【0034】
上述したように無端状ベルトチェーン8に対してハンガーHをハンガー挿入部8aから挿抜可能に支持して移送しており、ハンガーHを繰り返し使用可能にしているので、ウィケット方式の乾燥装置にくらべてハンガーHの使用数が半分以下に抑えられ、装置高さも低くでき小型化が図れる。
また、ハンガーHはベルトチェーン8に固定されていないため、基板サイズ変更してもハンガーHを変更するだけで対応することができ、装置の汎用性を高めることができる。
また、クリップKによるクリップ位置は、基板製品として不要な部分であるため、基板の両面同時乾燥が可能になる。
また、乾燥室2内に設けられたハンガー移送部7内を垂直姿勢で移送されるワークWより上方に搬送駆動源や無限軌道やその周回機構などの機械的摺動部は存在しないのでワークWへの粉塵等の落下や異物の付着のおそれはない。
また、乾燥室2内の循環送風路2aにプレフィルターやヘパフィルターを設けることで、クリーン炉における両面乾燥を行うことが可能になる。
【0035】
上記実施形態では、ハンガー移送部7の上流側にワーク姿勢変更部5を配置し、下流側にワーク送り出し部10を設けたが、これらを入れ替えて配置してもよい。
即ち、ワークWを水平姿勢のままハンガーHのクリップKに保持させて、水平姿勢のまま乾燥室2内に搬入してハンガーHを水平位置にあるハンガー挿入部8aに挿入支持させる。
【0036】
ワークWを保持したハンガーHは、ベルトチェーン8の回転にしたがって水平姿勢から垂直姿勢へ変化してそのまま乾燥室2内を下流側に移送される。そして、ベルトチェーン8の垂直姿勢の下流端でワーク姿勢変更部5に設けられたスライドハンド16によってハンガーHが把持されて姿勢変更ロボット15に受け渡されて反時計回り方向に90度回転して水平姿勢に姿勢変更してクリップKを解除してワークWとハンガーHとを分離するようにしてもよい。
【0037】
また、ハンガー保持部7に保持させるハンガーHの数はハンガー挿入部8aの数やベルトチェーン8の長さ変更により任意に増減可能である。また、ハンガーHに保持されるワークWも4辺チャックに限らず3辺チャック、2辺チャック、或いは両側ガイド等であってもよい。ハンガーHにL型ガイド24を設けてチャックを用いない場合には、第1アンクランプ機構U1,第2アンクランプ機構U2を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
P1 チャック位置
P2 チャック解放位置
H ハンガー
F フレーム
FE フレーム挿入端部
W ワーク
K クリップ
U1 第1アンクランプ機構
U2 第2アンクランプ機構
1 乾燥装置
2 乾燥室
2a 循環送風路
3 ワーク保持部
4 第1ハンガー昇降部
5 ワーク姿勢変更部
6 ワーク保持部
7 ハンガー移送部
8 無端ベルトチェーン
8a ハンガー挿入部
9 ハンガー取り出し部
10 ワーク送り出し部
P2 チャック解除位置
11 第2ハンガー昇降部
12 ハンガー戻し部
13 受け取りコンベア
14 第1ピックアップ装置
15 姿勢変更ロボット
15a,20a ハンド
16 スライドハンド
17 送風ファン
18 フィルター
19 ヒータ
20 スライド機構
21 第2ピックアップ装置
22 受け渡しコンベア
23 返送用コンベア
24 L型ガイド
25 取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状のワークがハンガーに保持されたまま非接触で乾燥室内を移送される間に所定の温度プロファイルで順次ワーク両面の乾燥が行われる乾燥装置であって、
乾燥風が循環する乾燥室内を周回移動する無端ベルトチェーンにハンガー保持部が所定ピッチで設けられた当該ハンガー保持部に前記ワークを保持したハンガーを順次保持させて前記乾燥室内を起立姿勢のまま前記チェーン回転方向に移送するハンガー移送部と、
前記ハンガー移送部によって移送された前記ハンガーから前記ワークを分離して下流側へ送り出すと共に当該ワークと分離された前記ハンガーを次のワーク保持に備えてワーク搬送方向上流側へ送り返すハンガー戻し部と、を具備したことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥室内のワーク移送経路において、前記ワークより下方に搬送駆動源及び機械的摺動部が配置されている請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記ハンガー保持部は、一対の無端ベルトチェーンに筒状のハンガー挿入部が所定ピッチで組み付けられている請求項1又は請求項2記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記ハンガーに対して前記ワークがチャック若しくはガイドされて移送される請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記乾燥室内には、乾燥空気をフィルターを介して循環させ該乾燥空気の一部を給排気する循環送風路が形成されている請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項記載の乾燥装置。
【請求項6】
ワーク搬送方向上流側より搬送された薄板状のワークを保持位置へ搬送し、当該保持位置へ上昇した第1ハンガー昇降部に載置したハンガーに前記ワークを保持させるワーク保持部と、
前記ワークを保持したハンガーを水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更させるワーク姿勢変更部と、を具備し
前記ワーク姿勢変更部により起立姿勢にしたハンガーを前記ハンガー保持部に保持させて前記ハンガー移送部によって前記乾燥室内を前記チェーン回転方向に移送される請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記ハンガー移送部により移送され垂直姿勢から水平姿勢になったハンガー保持部からハンガーを順次保持解除位置へ取り出すハンガー取り出し部と、
前記保持解除位置に取り出されたハンガーから保持を解除して乾燥後のワークを下流側へ搬送するワーク送り出し部と、
前記保持解除位置でワークと分離されたハンガーを受け取った第2ハンガー昇降部を下降させて当該ハンガーを前記ハンガー戻し部に受け渡して前記ワーク保持部へ戻す請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−47596(P2013−47596A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88195(P2012−88195)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【特許番号】特許第5138108号(P5138108)
【特許公報発行日】平成25年2月6日(2013.2.6)
【出願人】(394025371)株式会社マックステック (6)
【Fターム(参考)】