説明

乾電池によって電源供給されるアクティブ赤外線方式誘導型機器のエネルギー節約のための処理方法及び装置

乾電池によって電源供給されるアクティブ赤外線方式誘導型機器は、エミッタパルス幅の調整により電力消費を削減可能である。赤外線発光LEDは、赤外線信号を放射する。この信号は、対象によって反射された後、赤外線フォトダイオードによって受信される。次いで、赤外線フォトダイオードによって受信された赤外線信号は、比較器を通って集積回路チップに入る。赤外線放射パルス信号のパルス幅は、パルス列の幅が弁別チップによって受信された後に動的に調整されて、エネルギーを節約するよう放射電力消費が削減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾電池によって電源供給されるアクティブ赤外線方式誘導型機器の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブ赤外線方式誘導アプローチは、ピックオフ(pick-off)アプローチであって、選択的な赤外線の放射及び反射により、反射された信号を処理した後に識別及び制御を行う。赤外線誘導のセンサが乾電池によって電源供給される場合に、この製品の電力消費は重要となる。乾電池の動作寿命を延ばすために、電力消費を減らすことが必要不可欠である。既存の技術は、その電力要求を実現するために、正確な計算及びハードウェア回路の各構成要素のモデリング、更には、ソフトウェアの待機モードでの周期的なハイバネーションを用いる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、既存の技術は、赤外線発光LEDが電力消費の大部分を消費する場合は、アクティブ動作相の間に自動的に赤外線放射エネルギーを調整することができない。パルスの振幅及び周波数に対する調整は、電力問題に対処するためにも実施されてきたが、パルスの存続期間は、赤外線発光LEDの電力消費を調整するよう予め何らかの処置を施されていない。更に、複数の構成要素が利用されており、これらは、しばしば、送受信されるパルスを比較すべくマルチスキャンレート及び多重センサを導入する。このようなシステムは、レギュレーション(regulation)のためにより多くの構成要素及びより複雑なソフトウェアを必要とする。この方法を利用してさえ、パルス幅は、電力を利用して、特に乾電池使用時に電力消費を減らす最適化に十分である範囲であるよう調整されない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の少なくとも一実施例の意図は、ハードウェア回路の最適化及びソフトウェアの休眠(dormancy)の使用に基づく。そのアプローチは、使用信頼性を基に赤外線受信信号の強さを識別及び処理することを通して赤外線放射のパルス幅を動的に調整することによって、電力消費を減らすことである。本発明の少なくとも一実施例の意図は、赤外線受信信号の強さを識別することを通して赤外線放射のパルス幅を調整するために使用されることである。この処理の間、受信信号の強さの識別は、多数の実験の後にソフトウェア実行によって実現される。
【0005】
本発明の少なくとも好ましい実施例の意図は、発光ダイオード、赤外線受信器及び集積回路(IC)を有する電気回路を提供することである。望ましくは、回路は、発光ダイオードとICの1つの入力との間に接続されるトランジスタを有する。望ましくは、回路は、赤外線受信器とICとの間に配置される比較器及び演算増幅器を有する。比較器はトランジスタへ出力し、トランジスタはICの2つの入力へ出力する。赤外線受信器によって受信される信号の強さに基づき、ICは、使用されるICの種類に依存して発光ダイオードのパルス幅を調整することができる。
【0006】
割り込み機能付きICが用いられる場合は、ICは、パルス幅を調整するために実時間アプローチを使用する。一方で、割り込み機能を有さないICが用いられる場合は、ICは、パルス幅を調整するために遅延(time-lag)アプローチを使用する。このアプローチは、電池消費の削減を可能にするよう、ICがそのアクティブ相の間にパルス幅を動的に調整することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、2つの実施例において実現され得る。
【0008】
本発明は、パルス列の連続的な区間により赤外線受信信号の強さを識別することによって赤外線放射のパルス幅を調整することができる。回路ハードウェアの回路図が図1に表される。信号の検出及び識別のための回路1は、図2に表される。図3で、電源オン初期化の後、CSMICの入力2RA2は、周期T1及びパルス幅T2を有するN個のパルスから成るパルス列を出力する。このようなパルス列のグループの総時間は、図3にあるように、T3である。全ての2つのグループの間の時間間隔はTである。RA2が最初のパルスを出力してからt1秒後に、入力1RA1は、周期が(T1+T2+T3)であって且つパルス幅がT5であるパルス信号を出力する。NPNトランジスタQ1はオンし、発光ダイオードIを駆動する。赤外線受信器Pは赤外線を受信して、それを電気信号に変換する。電気信号は、抵抗R1及びキャパシタンスC1から成るフィルタ回路、次いで、抵抗R0及びR2から成る演算増幅器基準レベル回路を通って、演算増幅器A1の正入力部へ入力される。次いで、信号は、抵抗R3及びR4から成る負のフィードバックループ並びにキャパシタC3を通って、比較器A2の正入力部へ入力される。信号が、負の入力部にある比較器の受信電圧と比較された後、抵抗R6及びR7から成る分割回路は基準電圧を供給する。そして、信号はPNPトランジスタQ2のベースへ出力される。トランジスタQ2のベースレベルがトランジスタQ2のエミッタレベルよりも低い場合は、トランジスタQ2はオンし、CSMICの入力3RA3はカウントユニットQ1のコレクタのパルス信号を収集する。ここで収集されるパルスの数は、nとして記録される。トランジスタQ2のベースレベルがトランジスタQ2のエミッタレベルよりも高い場合は、トランジスタQ2は切り離され、RA3はパルス信号を収集しない。
【0009】
収集後、パルス信号は、ICのソフトウェアによって判断される。シンボルp、A、aは、多数のパルス収集(実験)後に集められたデータである。pは、パルスのもともと設定されている比較数である。Aは、SCMICで相応して減少するRA1のパルス幅である。aは、漸次に減少しているパルスの設定数である。かかる処理は、受信信号の強さを判断するために、収集されたパルスの数を用いる。n>pの場合は、信号は弱く、パルスの数は再収集される。n≦pの場合は、信号は強い。具体的な判断ステップが図9に表される。図9は、およそ2つのサイクルを表している。残りのサイクルは、RA3の入力部でのパルス信号の数がnであると仮定する。収集されたパルスの数(n)は、受信信号の強さを判断するために使用される。信号が弱い場合は、パルスの数は再収集される。信号が強い場合は、nは(p−(m+1)a)と比較される。n<(p−(m+1)a)の場合は、RA1は、元の放射パルス幅(T5−ma)からAを差し引き、RA3入力部のパルスを収集し続ける。理想的なエネルギー節約効果を達成するために、放射パルスの幅を狭めるよう動的調整が行われる。n≧(p−(m+1)a)の場合は、RA1からのパルスの幅は(T5−ma)であり、上記の循環が続けられる。この方法は、放射レベルパルスの変動を識別することによる遅延アプローチである。この方法は、割り込み機能を有するICを実施するよりも安価である。更に、割り込み機能付きICを利用する方法を開示する。
【0010】
本発明は、受信信号の変化を識別してSCMICに割り込みを行わせることによって、実時間方法で赤外線放射のパルス幅を調整することができる。回路ハードウェアの回路図が図1に表される。比較器A2の出力信号の回路1は、ICの第3の入力RA3へ接続されたワイヤから成る。第2の入力RA2は浮いている。動作原理は、電源オン初期化後、赤外線受信器Pに同期した基準レベル電圧(V)(SCMICのピンから出力される周期がT10であって且つパルス幅がT11であるパルス信号)が演算増幅器A1の入力端でオーバレイされる場合に、基準レベルは分割器抵抗R0及びR2により生成され、その周期及びパルス幅はT10及びT11である。2秒遅延後、SCMICのRA1は、周期がT10であって且つパルス幅がT12であるハイレベルのパルスを出力する。赤外線受信器によって受信された赤外線から変換された電圧信号が、抵抗R1及びキャパシタC1から成るフィルタ回路と、分割器抵抗R0及びR2とを通った後、電圧信号は、演算増幅器A1の正入力部に入る。次いで、信号は、演算増幅器A1の出力によって抵抗R3及びR4から成る負のフィードバック回路並びにキャパシタC3を通る。次いで、信号は、比較器A2の正入力部に入る。信号が、抵抗R6及びR7と共に比較器A2を構成するA2の負の入力と比較された後、その比較の結果が入力部RA3へ出力される。SCMICは、実時間判断を行って、信号の変化に従って処理する。RA3がT11期間に立ち上がりパルスを収集しない場合は、信号は弱いと判断され、RA1は、図7の番号2で表されるような波を出力する。RA3が、T11期間に、図8の番号5で表されるような立ち上がりパルスを収集する場合は、信号は強いと判断される(判断の処理を終えるのに約3秒を要する。)。SCMICによる割り込みは、SCMICによって検出及び受信される外部パルス信号の立ち上がりに従って生ずる。図7の番号3で表される当該期間の間に、割り込みは、即座に、RA1の出力をハイレベルからローレベルへ変換する。RA3信号の変化に関する新たな判断は、RA1が次の期間の間にレベルパルスを再び取るまで行われる。このような割り込みによって、放射パルスの幅は実時間で調整され得、従って、電力消費は削減され且つエネルギー節約効果が実現される。
【0011】
上記の2つのアプローチの処理方法は異なるものであるが、それらは、エネルギー節約のためにソフトウェアによってレベル信号を識別した後に放射パルス信号を調整するようフィードバック信号の強さを使用するという同じ原理に従う。この方法は、ソフトウェアによって赤外線放射パルスの幅を自動的に調整することによって、機器全体の電力消費を削減し、乾電池の動作寿命を延ばす。
【0012】
本発明は、好ましい実施形態を例として図示及び記載をされてきたが、当然、本発明は、特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び技術的範囲を逸脱することなく変形され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】赤外線放射受信工程のハードウェアの回路図である。
【図2】図1の回路(1)の一部を表す。
【図3】図1の比較器(A2)の出力信号の回路(1)が図2のように構成される場合にRA2から放射されるパルスの時間シーケンス図である。
【図4】図1の比較器(A2)の出力信号の回路(1)が図2のように構成される場合にRA1から放射されるパルスの時間シーケンス図である。
【図5】図1の比較器(A2)の出力信号の回路(1)が図2のように構成される場合にRA3から放射されるパルスの時間シーケンス図である。
【図6】1ワイヤで構成される場合に図2の比較器の出力信号の回路(1)の差動増幅器の基準レベルの時間シーケンス図である。
【図7】図2の比較器(A2)の出力信号の回路(1)が1ワイヤで構成される場合にRA1から放射されるパルスの時間シーケンス図である。
【図8】図2の比較器(A2)の出力信号の回路(1)が1ワイヤで構成される場合にRA2から放射されるパルスの時間シーケンス図である。
【図9】回路(1)が図2のように構成される場合に図1の比較器(A2)の出力信号の回路(1)のおよそ2処理サイクルである。
【符号の説明】
【0014】
I 放射ダイオード;P 赤外線受信器;R8 抵抗;Q1 NPNトランジスタ;R9 抵抗;RA1 ICの入力1;RA2 ICの入力2;RA3 ICの入力3;R0 抵抗;R1 抵抗;C1 キャパシタ;R2 抵抗;R3 抵抗;R4 抵抗;C2 キャパシタ;A1 差動増幅器;C3 キャパシタ;R5 抵抗;R6 抵抗;A2 比較器;A7 抵抗;1 抵抗(R10)を含む回路;Q2 PNPトランジスタ;R11 抵抗;n 収集されたパルス;T10 パルス信号周期;T11 パルス信号幅;T12 パルス幅;N パルス数;T1 パルス周期;T2 パルス幅;T3 T1及びT2の合計;T 2つのグループ間の時間間隔;T5 RA1出力のパルス幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ赤外線方式誘導型機器でのエネルギー節約の方法であって、
フォトダイオードからの受信信号のグループを評価するステップと、
比較器を用いて前記受信信号のグループを基準電圧と比較するステップと、
前記比較器の出力をトランジスタへ供給するステップと、
前記トランジスタのベースレベルが当該トランジスタのエミッタレベルよりも高い場合は、前記トランジスタを切り離し、パルスを収集しないステップと、
前記トランジスタのべースレベルが当該トランジスタのエミッタレベルよりも低い場合は、前記トランジスタをオンし、パルスを収集して記録するステップと、
集積回路チップが割り込み機能を有さない場合に、収集されたパルスのグループの強弱に依存して前記集積回路チップでソフトウェアを介して赤外線エミッタのパルス幅を調整するステップと、
前記集積回路チップが割り込み機能を有する場合に、割り込みを介して赤外線エミッタのパルス幅を調整するステップと
を有する方法。
【請求項2】
前記受信信号が強いと判断される場合に放射パルスのパルス幅を減少させるステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記受信信号が弱いと判断されるまでは前記パルス幅を減少させるステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
割り込み機能を有する集積回路チップが立ち上がりパルスを収集しない場合に、信号が弱いと判断するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
割り込み機能を有する集積回路チップが、立ち上がりパルスが収集される場合に、当該集積回路チップの出力をハイレベルからローレベルへ即座に変換する割り込みを送信するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記集積回路チップの出力が次の期間の間にレベルパルスを再び取るまで割り込みを送信し続けるステップを更に有する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
エネルギー節約を伴うアクティブ赤外線方式誘導型機器であって、
赤外線放射回路と、
赤外線フォト回路と、
前記赤外線フォト回路からの受信信号のグループに依存して前記赤外線放射回路のパルス幅を調整する集積回路チップと
を有するアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項8】
前記赤外線放射回路は、赤外線発光LED、第1の抵抗、第2の抵抗及びトランジスタを更に有し、
前記赤外線フォト回路は、フォトダイオード、フィルタ回路、分圧器回路、演算増幅器及び比較器を更に有する、請求項7記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項9】
前記赤外線放射回路の前記トランジスタのベースは、前記集積回路チップの第1のインターフェースへ接続される、請求項8記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項10】
前記集積回路チップの前記第1のインターフェースは、パルス列を出力する、請求項9記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項11】
前記パルス列がハイレベルにある場合に、前記トランジスタはオンし、前記赤外線発光LEDは赤外線を放射する、請求項10記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項12】
前記集積回路チップは割り込み機能を欠く、請求項7記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項13】
信号の検出及び識別のための回路を更に有する、請求項7記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項14】
前記信号の検出及び識別のための回路は、第1の抵抗、第2の抵抗及びトランジスタを有する、請求項13記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項15】
前記信号の検出及び識別のための回路の前記第1の抵抗の第1の端部は、前記比較器の出力へ接続され、
前記信号の検出及び識別のための回路の前記第1の抵抗の第2の端部は、前記トランジスタのベースへ接続される、請求項14記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項16】
前記トランジスタのコレクタは、前記集積回路チップの第2のインターフェースへ接続され、
前記トランジスタのエミッタは、前記集積回路チップの第3のインターフェースへ接続される、請求項15記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項17】
前記信号の検出及び識別のための回路の前記第2の抵抗の第1の端部は、前記トランジスタのエミッタへ接続され、
前記信号の検出及び識別のための回路の前記第2の抵抗の第2の端部は、接地へ接続される、請求項16記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項18】
前記集積回路チップは割り込み機能を有する、請求項7記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項19】
前記比較器の出力は、前記集積回路チップの前記第3のインターフェースへ直接に接続される、請求項16記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。
【請求項20】
前記集積回路チップの前記第2のインターフェースは浮いている、請求項16記載のアクティブ赤外線方式誘導型機器。

【図1】
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【図2】
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【図3−5】
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【図6−8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−535006(P2009−535006A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505987(P2009−505987)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/IB2007/001020
【国際公開番号】WO2007/122475
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508312142)シャンハイ コーラー エレクトロニクス リミテッド (5)
【Fターム(参考)】