説明

事故点探査装置用先端金具及びその取付方法

【課題】架空配電線への取付作業が簡易且つ短時間で行え、風等により脱落する恐れのない事故点探査装置用先端金具を提供する。
【解決手段】事故点探査装置用先端金具は、中線20に取り付けられる第1先端金具2と外線21,22に取り付けられる第2先端金具3とから構成され、第1先端金具2は、中線20に掛止可能な第1フック部4と課電端子6を装着可能な第1端子部7を備え、第2先端金具3は、外線に掛止可能な第2フック部14と課電端子16を装着可能な第2端子部17を備える。第1先端金具2には、第2先端金具3を掛止可能なアーム部材10が設けられ、第2フック部14はこのアーム部材10に着脱可能である。架空配電線への取付時には、第2先端金具3を第1先端金具2のアーム部材10に取り付け、この状態で第1先端金具2を中線20に取り付ける。その後、第2先端金具3をヤットコ等でアーム部材10から外して外線に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、架空配電線の地絡事故点を検出するために架空配電線に取り付けられる事故点探査装置用先端金具とその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
架空配電線に地絡事故が発生した場合に、その事故点を含む区間を健全区間から切り離し、その切り離された事故区間において地絡事故発生点を特定するために、事故点探査装置が用いられる。従来、このような事故点探査装置としては、例えば、下記する特許文献1に示されるような装置が公知となっている。
【0003】
これは、事故区間の架空配電線に直流電圧を印加する送信器と、この直流電圧の印加をもって架空配電線に流れる直流電流を検出する受信器とを有して構成し、送信器を架空配電線に接続した後に受信器の位置を変えて架空配電線を流れる電流の大きさ又は方向をもって地絡事故の地点を特定するようにしたものである。
【0004】
特に、送信器は、健全区間から切り離された事故区間の架空配電線の任意の地点に接続されるが、三相架空配電線において地絡事故を探査する場合には、課電用ケーブルを介して送信機に接続された先端金具を各相の架空配電線に取り付ける必要があり、従来においては、この先端金具を課電用ケーブルの先端に設けられたワニ口クリップで構成し、このワニ口クリップを絶縁ヤットコで把持して架空配電線の芯線部やアークホーン金属部などに挟着させるようにしていた(特許文献1 [0018]欄参照)。
【特許文献1】特開2003−35740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構成においては、先端金具を絶縁ヤットコに把持して間接活線作業にて架空配電線に取り付けるようにしていたため、先端金具を架空配電線にうまく挟着させることができなかったり、各相の架空配電線への取り付けに相当の時間を要していた。また、先端金具がワニ口クリップで構成されているため、風や架空配電線の揺れ等で先端金具(ワニ口クリップ)が架空配電線から外れて脱落する恐れもある。特に、ワニ口クリップに課電用ケーブルが接続された課電端子を取り付ける場合には、課電用ケーブルや課電端子の重さがワニ口クリップに掛るため、架空配電線から一層外れ易くなる。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、架空配電線への取付作業を簡易且つ短時間で行え、また、風等により脱落する恐れのない事故点探査装置用先端金具とその取付方法を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明に係る事故点探査装置用先端金具は、架空配電線に掛止可能な導電性の第1フック部、及び、前記第1フック部に電気的に接続され、課電用ケーブルに接続された課電端子を装着可能な第1端子部を備えた第1先端金具と、架空配電線に掛止可能な導電性の第2フック部、及び、前記第2フック部に電気的に接続され、課電用ケーブルに接続された課電端子を装着可能な第2端子部を備えた第2先端金具とを具備し、前記第1先端金具には、前記第1フック部に対して略垂直に配されたアーム部材が設けられ、前記第2先端金具は前記第2フック部を介して前記アーム部材に着脱自在に掛止可能であることを特徴としている。
【0008】
したがって、それぞれの先端金具は、フック部と端子部とを有して構成されているため、架空配電線への取付けは、フック部を架空配電線よりも上方に位置させ、その後、フック部を架空配電線に係止するようにフック部を架空配電線の上方から掛り止めれば、先端金具の架空配電線への取り付け作業は完了する。
【0009】
また、第2先端金具は、自身の第2フック部を第1先端金具のアーム部材に着脱可能としているので、第1先端金具を架空配電線に取り付ける際に、第2先端金具をアーム部材に取り付けておけば、第1先端金具を架空配電線に取り付けた後に第2先端金具をアーム部材から取り外して隣接する他の架空配電線に取り付けることが可能となり、他の架空配電線への第2先端金具の取り付けも容易に行うことが可能となる。
【0010】
すなわち、上述した事故点探査装置用先端金具を複数の架空配電線に取り付ける場合においては、第1先端金具に設けられたアーム部材に第2フック部を掛止させて第2先端金具を取付け、この第2先端金具が取り付けられた第1先端金具を架空配電線の1つに第1フック部を掛止させて取り付け、しかる後に、第2先端金具を第1先端金具のアーム部材から外して他の架空配電線に第2フック部を掛止させて取り付ければよい。
【0011】
ところで、第1先端金具のアーム部材に第2先端金具を取り付けた状態で第1先端金具を架空配電線に取り付ける場合には、第2先端金具が第1フック部に近接していると第1先端金具の架空配電線への装着を阻害する場合もあるので、第1先端金具のアーム部材と第1フック部とは、離間部材を介して離して設けるようにしてもよい。
【0012】
また、第1先端金具は、第2先端金具をアーム部材に取り付けた状態で架空配電線に取り付けられることから、前記第1フック部の強度を確保するために、第1フック部の巾は、前記第2フック部の巾よりも広く形成することが好ましい。
【0013】
また、各先端金具のフック部には、異なる径の架空配電線が装着できるように、異なる径の架空配電線を保持可能な複数の保持凹部を設けようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明に係る事故点探査装置用先端金具によれば、第1先端金具を架空配電線に掛止可能な第1フック部と課電用ケーブルに接続された課電端子が装着可能な第1端子部とを有して構成し、第2先端金具を架空配電線に掛止可能な第2フック部と課電用ケーブルに接続された課電端子が装着可能な第2端子部とを有して構成し、第2先端金具を第1先端金具に設けられたアーム部材に第2フック部を介して着脱可能としたので、各先端金具は、フック部を架空配電線に引っ掛けることで各架空配電線に取り付けることができ、架空配電線への取付作業が簡易且つ短時間で行え、また、風や架空配電線の振動等により脱落する恐れがなくなる。
【0015】
また、第2先端金具は、自身の第2フック部を第1先端金具のアーム部材に着脱可能としているので、アーム部材に第2先端金具を取り付けた状態で第1先端金具を架空配電線に取り付けることが可能となり、第1先端金具を架空配電線に取り付けた後に第2先端金具をアーム部材から取り外して隣接する他の架空配電線に取り付ける作業が可能となる。このため、第2先端金具の架空配電線への取り付け作業も容易に行うことが可能となる。
【0016】
さらに、アーム部材を第1フック部から離間部材を介して離して設ける構成とすれば、アーム部材に第2先端金具を取り付けた状態で第1先端金具を架空配電線に取り付ける場合においても、第1先端金具の架空配電線への取り付けが第2先端金具によって阻害されることがなくなる。
【0017】
また、第1フック部の巾を第2フック部の巾よりも広く形成することで、第2先端金具が取り付けられる第1先端金具の第1フック部の強度を確保することが可能となる。
さらにまた、先端金具のフック部に異なる径の架空配電線を保持可能な複数の保持凹部を設ける構成とすれば、それぞれの先端金具を異なる径の架空配電線に装着可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について図面により説明する。
【0019】
図1及び図2において、事故点探査装置用先端金具1の構成例が示されている。この先端金具1は、三相の架空配電線(外線、中線、外線)20,21,22について地絡事故を探査するために用いられるもので、架空配電線(中線)20に取り付けられる第1先端金具2と、両架空配電線(両外線)21,22に取り付けられる第2先端金具3とにより構成されている。
【0020】
第1先端金具2は、図3にも示されるように、フック状に形成されて架空配電線に引っ掛け易くした導体よりなる第1フック部4と、その第1フック部4の基端に設けられて課電用ケーブル5に接続された課電端子6が螺合等により装着される第1端子部7とを備えている。第1フック部4は、長尺の金属板を中程で折り返して対峙させた対をなす把持片4a,4bによって構成され、これら把持片4a,4bの連接している側と反対側を架空配電線を受け入れる開放端としており、一方の把持片4aの基端部に第1フック部4と電気的に接続された前記第1端子部7が一体に設けられている。
【0021】
また、第1フック部4には、異なる径の架空配電線を保持可能な保持凹部8が複数設けられている。この例においては、端子部7が設けられていない他方の把持片4bに架空配電線の側部を受容する複数の凹部を形成することで構成されているもので、第1フック部4の折り返し部の近傍に設けられて径の小さい架空配電線を把持可能とする小径線用保持凹部8aと、把持片4bの自由端近傍に設けられて径の大きい架空配電線を把持可能とする大径線用保持凹部8bとを備えている。また、把持片4bの自由端は、対峙する把持片間に架空配電線を誘導しやすくするように外側へ(把持片4aから遠ざかる側へ)曲げられている。
【0022】
さらに、第1先端金具2の一方の把持片4aには、第1フック部4に対して略垂直に配されたアーム部材10が取り付けられている。このアーム部材10は、離間部材11を介して第1フック部4の把持片4aの背面に固定されており、第1フック部4から離して設けられ、後述する第2先端金具3をアーム部材10に取り付けた場合に第2先端金具3が第1先端金具2よりも十分に背後へずれるようになっている。この例において、アーム部材10は、第1フック部4を架空配電線に掛止させた場合にこの架空配電線と略平行になるよう第1フック部4の両側に延設され(離間部材11から両側に延設され)、両端部に第2先端金具3の第2フック部14を係止可能とするフック受け部10aが対をなす鍔部12a,12bによって画成されている。
【0023】
また、第2先端金具3は、図4にも示されるように、フック状に形成されて架空配電線に引っ掛け易くした導体よりなる第2フック部14と、その第2フック部14の基端に設けられて課電用ケーブル15に接続された課電端子16が螺合等により装着される第2端子部17とを備えている。第2フック部14は、前記第1先端金具2の第1フック部4と同様の形状に形成され、長尺の金属板を中程で折り返して対峙させた対をなす把持片14a,14bによって構成され、これら把持片14a,14bの連接している側と反対側を架空配電線を受け入れる解放端としており、一方の把持片14aの基端部に第2フック部14と電気的に接続された前記第2端子部17が一体に設けられている。
【0024】
また、他方の把持片14bには、異なる径の架空配電線を保持可能な保持凹部18が複数設けられている。この例においては、端子部7が設けられていない他方の把持片14bに架空配電線の側部を受容する複数の凹部を形成することで構成されているもので、第2フック部14の折り返し部の近傍に設けられて径の小さい架空配電線を把持可能とする小径線用保持凹部18aと、把持片14bの自由端近傍に設けられて径の大きい架空配電線を把持可能とする大径線用保持凹部18bとを備えている。また、把持片14bの自由端は、対峙する把持片間に架空配電線を誘導しやすくするように外側へ(把持片14aから遠ざかる側へ)曲げられている。
【0025】
さらに、第2先端金具3の一方の把持片14aの背面には、ヤットコ等で把持可能な被把持部13と、その下方に固定され、背面に対して略垂直方向に突設されたリング状の脱落防止リング19とを備えている。この脱落防止リング19は、図5に示されるように、絶縁ヤットコ25の一方のアーム25aを挿通して被把持部13にあてがい、絶縁ヤットコ25の他方のアーム25bを外側から回して被把持部13にあてがうことができる程度の大きさに形成されている。
【0026】
尚、各課電端子6,16の下部(先端金具に装着する側と反対側)には、共用操作棒26の先端に設けられた工具取付部26aを挿着可能とする筒状の連結部6a,16aが設けられている。この連結部6a,16aには、工具取付部26aの径方向に突設された係止ピン26bを導入する略T字状に形成されたガイド溝6b,16bが形成され、このガイド溝6b,16bの終端部には、係止ピン26bをツイストロックさせるための係止凹部が形成されている。
【0027】
また、前記第1先端金具2のフック部4の幅(A)は、第2先端金具3のフック部14の幅(B)よりも広く形成され、第1先端金具2と第2先端金具3とは、第1先端金具2のアーム部材10の両側に設けられたフック受け部10aに第2先端金具3のフック部14を係止させ、第2先端金具3の保持凹部18(この例においては、大径線用保持凹部18b)でフック受け部10aを保持することにより組み付け可能となっている。
【0028】
以上の構成において、三相の架空配電線20,21,22で地絡事故点を探査する場合には、事故区間の各相の架空配電線に送信器から電圧を印加するために先端金具を各架空配電線に取り付ける作業が必要となるが、上述した先端金具は、以下の手順で架空配電線に取り付けられる。
【0029】
先ず、図示しない送信器に課電用ケーブル5,15を介して接続された課電端子6,16を各先端金具2,3(1つの第1先端金具2と2つの第2先端金具3)の端子部7,17に螺合させる等により装着すると共に、第2先端金具3のフック部14を第1先端金具2のアーム部材10のフック受け部10aに掛止し、第2先端金具3を第1先端金具2と共に持ち運びできる状態とする。この状態において、第2先端金具3は、アーム部材10の鍔部12a,12bにより、アーム部材10への位置決めがなされ、また、アーム部材10からの脱落が防止される。
その後、第1先端金具2に取り付けられた課電端子6の連結部6aに共用操作棒26の工具取付部26aをツイストロックにより装着する。
【0030】
そして、この状態において、共用操作棒26を持って、図6(a)に示されるように、第1先端金具2を第2先端金具3と共に架空配電線(中線)20の下方から持ち上げ、一旦、第1先端金具2の第1フック部4の解放端を架空配電線(中線)20よりも上方まで持ち上げ、その後、把持片4bが架空配電線(中線)20を跨ぐように第1フック部4を架空配電線(中線)20に近付け、しかる後に第1フック部4を下方へ移動させて解放端から架空配電線(中線)20を把持片間に導く。
【0031】
そして、図6(b)に示されるように、保持凹部8(この例では大径線用保持凹部8b)に架空配電線(中線)20を収容し、この収容された架空配電線(中線)20を第1フック部4の把持片4a,4bで把持する。これにより第1先端金具2は架空配電線(中線)20に掛止され、上方へ押し上げない限り脱落することがなくなる。
【0032】
このようにして、第1先端金具2を架空配電線(中線)20に取り付けた後に、絶縁ヤットコ25を一方の第2先端金具3に近づけ、前記図5に示されるように、絶縁ヤットコ25の一方のアーム部25aを脱落防止リング19に通して被把持部13にあてがい、他方のアーム部25bを脱落防止リング19の外側から被把持部13にあてがい、絶縁ヤットコ25のアーム部25a,25bで被把持部13を把持する。そして、被把持部13を把持したそのまま、絶縁ヤットコ25を上方へ持ち上げて第2先端金具3のフック部14を第1先端金具2のアーム部材10のフック受け部10aから外し、そのまま一方の架空配電線(外線)21へ近づける。
この状態において、第2先端金具3は、脱落防止リング19に絶縁ヤットコ25のアーム部の一方が挿通されているので、ヤットコからの脱落が防止される。
【0033】
そして、一方の架空配電線(外線)21に近づけた後に、一旦、第2先端金具3の第2フック部14の解放端を架空配電線(外線)21よりも上方まで持ち上げ、その後、把持片14bが架空配電線(外線)21を跨ぐように第2フック部14を架空配電線(外線)21に近付け、しかる後に第2フック部14を下方へ移動させて解放端から架空配電線(外線)21を把持片間に導く。
【0034】
これにより、図7(a)に示されるように、保持凹部18(この例では大径線用保持凹部18b)に架空配電線(外線)21が収容され、この収容された状態で対をなす把持片14a,14bにより架空配電線(外線)21が把持される。したがって、第2先端金具3は架空配電線(外線)21に掛止され、上方へ押し上げない限り脱落することがなくなる。
【0035】
その後、絶縁ヤットコ25をアーム部材10に取り付けられている他方の第2先端金具3に近づけ、前記と同様に、絶縁ヤットコ25の一方のアーム部25aを脱落防止リング19に通して被把持部13にあてがい、他方のアーム部25bを脱落防止リング19の外側から被把持部13にあてがい、絶縁ヤットコ25のアーム部25a,25bで被把持部13を把持する。そして、そのまま絶縁ヤットコ25を上方へ持ち上げて第2先端金具3のフック部14を第1先端金具2のアーム部材10のフック受け部10aから外し、そのまま他方の架空配電線(外線)22へ向かって動かす。
【0036】
そして、他方の架空配電線(外線)22に近づけた後に、一旦、第2先端金具3の第2フック部14の解放端を架空配電線(外線)22よりも上方まで持ち上げ、その後、把持片14bが架空配電線(外線)22を跨ぐように第2フック部14を架空配電線(外線)22に近付け、しかる後に第2フック部14を下方へ移動させて解放端から架空配電線(外線)22を把持片間に導く。
【0037】
これにより、図7(b)に示されるように、保持凹部18(この例では大径線用保持凹部18b)に架空配電線(外線)22が収容され、この収容された状態で対をなす把持片14a,14bにより架空配電線(外線)22が把持される。したがって、第2先端金具3は架空配電線(外線)22に掛止され、上方へ押し上げない限り脱落することがなくなる。
【0038】
したがって、各先端金具2,3は、フック部4,14により各架空配電線20,21,22に係止されるので、架空配電線への取付作業を簡易且つ確実に短時間で行うことができ、また、風や架空配電線の振動等によって先端金具2,3が脱落する恐れもなくなる。
【0039】
また、第1先端金具2は、第2先端金具3をアーム部材10に取り付けた状態で架空配電線(中線)20に取り付けるようにしているので、第1先端金具2を架空配電線(中線)20に取り付けた後に第2先端金具3をアーム部材10から取り外して隣接する架空配電線(外線)21,22に取り付ける作業を行うことで、第2先端金具3の架空配電線(外線)21,22への取り付け作業も容易に行うことが可能となる。
【0040】
特に、アーム部材10と第1フック部4とが離間部材11を介して離れているので、第1先端金具2のアーム部材10に第2先端金具3が取り付けられる場合においても、第1先端金具2を架空配電線(中線)20に取り付ける際に第2先端金具3が邪魔になることがなくなる。
【0041】
また、第1フック部4の巾(A)が第2フック部14の巾(B)よりも広く形成されているので、第2先端金具3をアーム部材10に取り付けて架空配電線(中線)20に取り付けられる場合でも、第1先端金具2の第1フック部4の強度を確保することが可能となる。
さらに、各先端金具2,3のフック部4,14には、異なる径の架空配電線を保持できるように曲率半径の異なる複数の保持凹部8,18が設けられているので、それぞれの先端金具を異なる径の架空配電線に装着可能となる。
【0042】
尚、以上の構成においては、第1先端金具2のアーム部材10を架空配電線(中線)20と略平行になるように取り付け、2つの第2先端金具3が架空配電線30と干渉しないように第1先端金具2のアーム部材10を第1フック部4から離間部材11によって離して設けるようにしたが、図8に示されるように、アーム部材10を架空配電線20と略垂直に配されるように第1先端金具2の基端部の側部に取り付け、第1先端金具2を架空配電線20に取り付けた際に、第2先端金具3を取り付けるアーム部材10のフック受け部10aが架空配電線20の両脇にオフセットして配置されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明に係る事故点探査装置用先端金具の構成例を示す図であり、(a)は第1先端金具のアーム部材に第2先端金具を取り付けた状態を示す正面図を示し、(b)はその側面図を示し、(c)はその背面図を示す。
【図2】図2は、本発明に係る事故点探査装置用先端金具の使用状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係る事故点探査装置用先端金具の第1先端金具を示す図であり、(a)は第1先端金具の正面図を示し、(b)はその側面図を示し、(c)はその背面図を示す。
【図4】図4は、本発明に係る事故点探査装置用先端金具の第2先端金具を示す図であり、(a)は第2先端金具の正面図を示し、(b)はその側面図を示し、(c)はその背面図を示す。
【図5】図5は、第2先端金具を絶縁ヤットコで把持する状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明に係る事故点探査装置用先端金具を架空配電線へ取り付ける手順を説明する図であり、(a)は第1先端金具を自身のアーム部材に第2先端金具を取り付けた状態で架空配電線(中線)に取り付ける過程を説明する斜視図であり、(b)は、第1先端金具を架空配電線(中線)に取り付けた状態を説明する斜視図である。
【図7】図7は、図6の取り付け手順の続きを示す図であり、(a)は、アーム部材に取り付けらていた一方の第2先端金具を外して一方の外線に取り付けた状態を示す斜視図であり、(b)は、アーム部材に取り付けらていた他方の第2先端金具を外して他方の外線に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、先端金具の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 事故点探査装置用先端金具
2 第1先端金具
3 第2先端金具
4 第1フック部
7 第1端子部
8,18 保持凹部
8a,18a 小径線用保持凹部
8b,18b 大径線用保持凹部
10 アーム部材
11 離間部材
14 第2フック部
17 第2端子部
20.21.22 架空配電線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空配電線に掛止可能な導電性の第1フック部、及び、前記第1フック部に電気的に接続され、課電用ケーブルに接続された課電端子を装着可能な第1端子部を備えた第1先端金具と、
架空配電線に掛止可能な導電性の第2フック部、及び、前記第2フック部に電気的に接続され、課電用ケーブルに接続された課電端子を装着可能な第2端子部を備えた第2先端金具とを具備し、
前記第1先端金具には、前記第1フック部に対して略垂直に配されたアーム部材が設けられ、前記第2先端金具は前記第2フック部を介して前記アーム部材に着脱自在に掛止可能であることを特徴とする事故点探査装置用先端金具。
【請求項2】
前記第1先端金具の前記アーム部材と前記第1フック部とは、離間部材を介して離して設けられていることを特徴とする請求項1記載の事故点探査装置用先端金具。
【請求項3】
前記第1フック部の巾は、前記第2フック部の巾より広く形成されていることを特徴とする請求項1記載の事故点探査装置用先端金具。
【請求項4】
前記先端金具のフック部には、異なる径の架空配電線を保持可能な複数の保持凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の探査装置用先端金具。
【請求項5】
請求項1に記載の事故点探査装置用先端金具を複数の架空配電線に取り付ける取付方法において、
前記第1先端金具に設けられたアーム部材に前記第2フック部を掛止させて前記第2先端金具を前記アーム部材に取付け、
この前記第2先端金具が取り付けられた前記第1先端金具を前記架空配電線の1つに前記第1フック部を掛止させて取り付け、
しかる後に、前記第2先端金具を前記アーム部材から外して他の架空配電線に前記第2フック部を掛止させて取り付ける
ことを特徴とする事故点探査装置用先端金具の取付方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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