説明

二元ポリマー系を用いた制御可能な充填材の予備凝集

凝集充填材粒子の安定な製紙工程用分散液を調製する方法であって、高分子量凝集剤及び低分子量凝集剤を充填剤粒子塊の水性分散液に連続して加え、その後に、制御可能な規定の粒径分布を有する剪断抵抗性充填剤塊が得られるようにその充填剤塊を剪断して所望の粒径にするステップを具える方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙に用いる充填材の予備凝集に関し、特に、充填材が高固体であるときに、規定の制御可能な粒径分布を有する剪断抵抗性充填材塊の生産を開示する。
【背景技術】
【0002】
印刷用紙及び筆記用紙中の充填材含量を増加させることは、製品品質を向上させること、並びに、原材料及びエネルギーコストを減少させることにおいて大きな価値がある。しかしながら、セルロース繊維を炭酸カルシウム及び粘土等の充填材で置き換えると、完成したシートの強度が低下する。充填材含量が増加するときの他の問題は、三次元シート構造の全域で充填材の分散を維持することが非常に困難になることである。充填材含量の増加によるこれらのネガティブな効果を減らす方法は、抄紙器のウェットエンドアプローチシステムに添加する前に、充填材を予め凝集させることである。
【0003】
予備凝集(preflocculation)という用語は、凝固剤及び/又は凝集剤を用いた処理により充填材粒子を塊にするように修飾することを意味する。製紙原料となる故紙の添加前に、凝集処理及び工程の剪断力によって、塊の粒径分布及び安定性が決定される。近代的な高速製紙にみられる化学的環境及び高い流体剪断速度は、充填材塊が安定であり、剪断抵抗性であることを必要とする。予備凝集処理によって与えられる塊の粒径分布は、充填材含量を増やしたことによるシート強度の低下を最小化し、充填材粒子による光学効率の損失を最小化し、シート均一性及び印刷適性に対するネガティブな影響を最小化するはずである。更に、全システムは経済的に実現可能でなければならない。
【0004】
したがって、高い剪断安定性と鋭い粒径分布との組み合わせは、充填材予備凝集技術の成功に不可欠である。しかしながら、一般に用いられているデンプンを含む低分子量凝集剤のみで形成される充填材塊は、粒径が比較的小さく、抄紙器の高い剪断力によって破壊される傾向がある。1種類の高分子量凝集剤によって形成される充填材塊は、制御困難な広い粒径分布を有する傾向があり、さらに、主としてスラリーに粘着性凝集剤溶液を混合することがうまくいかないことによって、粒径分布は、充填材がより高いレベルの高固体であるときにさらに悪化する。従って、予備凝集技術を改善する継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、製紙工程用の特定の粒径分布を有する凝集充填材粒子の安定な分散液を調製する方法であって、a)充填材粒子の水性分散液を提供するステップ;b)充填材粒子を著しく凝集させることなく均一に混合するために十分な量の第1凝集剤を分散液に加えるステップ;c)第1凝集剤の存在下で充填材粒子の凝集を開始させるために十分な量の第2凝集剤を分散液に加えるステップ;及び、d)凝集した分散液を任意に剪断して所望の粒径を有する充填材塊の分散液を提供するステップを具える方法である。
【0006】
本発明は、パルプから紙製品を作る方法であって、水性セルロース性製紙完成紙料を形成するステップと、ここに記載されているように調製された充填材塊の水性分散液を製紙完成紙料に加えるステップと、製紙完成紙料から排水してシートを形成するステップと、シートを乾燥させるステップとを具える方法でもある。当業者に一般に知られている任意の従来的方法により、製紙完成紙料を形成するステップ、排水ステップ及び乾燥ステップを行なってもよい。
【0007】
本発明は、ここに記載されているように調製された充填材塊を含む紙製品でもある。
【0008】
本発明の予備凝集工程は、充填材粒子の表面電荷を制御することによって著しい凝集を引き起こさずに、高固体の水性充填材スラリー中に粘性凝集剤溶液を導入する。これにより、高固体スラリーの全体に粘性凝集剤溶液を均一に分散させることが可能になる。その系に凝集剤溶液よりもはるかに粘性の低い第2構成要素を導入して安定な充填材塊を形成する。この第2構成要素は、凝集剤よりも低分子量であり、凝集剤と反対の電荷を有するポリマーである。任意に、微粒子を第3構成要素として加え、さらに凝集させて塊の粒径分布を狭くすることができる。目標値まで塊の粒径を小さくするために十分な時間にわたって非常に高速に剪断を行うことによって塊粒径分布を制御する。その後に剪断速度を下げて塊の粒径を維持する。著しい再凝集は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ラセンテック(Lasentec)(登録商標)S400 FBRMに記録された特徴的なMCL時間分解能プロフィールを示す。第1ポイントでは、第1凝集剤をスラリー中に投入すると、MCLが上昇し、その後、800rpmの混合速度においてMCLが急速に低下する。このことは、剪断時に充填材塊が安定していないこと示している。第2ポイントでは、第2凝集剤を投入すると、MCLが上昇し、その後、800rpmの混合においてMCLがわずかに低下する。第3ポイントでは、微粒子を投入するとMCLが急速に上昇した後で安定状態に到する。このことは、充填材塊が800rpmで混合されても安定であることを示している。剪断速度を1500rpmまで上げると、MCLが低下し始める。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に有用な充填材は、周知であり、市販されている。それらは、一般的に、不透明度又は白色度を向上させるため、間隙率を低下させるため、又は、紙若しくは厚紙シートのコストを下げるために用いられる任意の無機又は有機の粒子又は色素を含んでいる。代表的な充填材は、炭酸カルシウム、カオリン粘土、滑石、二酸化チタン、酸化アルミニウム三水和物、硫酸バリウム、水酸化マグネシウムなどを含む。炭酸カルシウムは、乾燥した又は分散したスラリー形態の重質炭酸カルシウム(GCC)、チョーク、任意の形態の沈降炭酸カルシウム(PCC)、及び、分散したスラリー形態の沈降炭酸カルシウムを含む。一般的に、ポリアクリル酸ポリマー分散剤又はポリリン酸ナトリウム分散剤を用いて分散したスラリー形態のGCC又はPCCを生産する。これらの分散剤のそれぞれが炭酸カルシウム粒子に著しいアニオン電荷を与える。また、ポリアクリル酸ポリマー又はポリリン酸ナトリウムを用いてカオリン粘土スラリーを分散させてもよい。
【0011】
一つの実施形態において、充填材は、炭酸カルシウム、カオリン粘土、及び、これらの組み合わせから選択される。
【0012】
一つの実施形態において、充填材は、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン粘土、及び、これらの混合物から選択される。
【0013】
第1凝集剤は、正に帯電した充填剤と共に用いるときは好ましくは陽イオン性ポリマーであり、負に帯電した充填剤と共に用いるときは陰イオン性ポリマーである。しかしながら、著しい凝集を引き起こさずに高固体スラリー中に均一に混合する限り、それは、陰イオン性又は非イオン、両性イオン性(zwitterionic)、又は、両性(amphoteric)であってもよい。
【0014】
ここで用いられているように、「著しい凝集を引き起こさない」とは、第1凝集剤の存在下で充填剤が全く凝集していないこと、又は、第2凝集剤の添加で生成される塊よりも小さい塊が形成されること若しくは穏やかな剪断条件下で不安定な塊が形成されることを意味する。穏やかな剪断は、800rpm、直径5cm、四羽根のタービン羽根車の攪拌モーターのIKA RE 16を用いて、サンプル300mlを600mlビーカー内で混合することにより与えられる剪断として定義する。この剪断は、近代的抄紙器の方法系に存在するものと類似している。
【0015】
適切な凝集剤は、一般に1,000,000を超える分子量を有し、多くの場合、5,000,000を超える分子量を有する。
【0016】
ポリマー凝集剤は、一般に、1種以上の陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性単量体のビニル付加重合により、1種以上陽イオン性単量体と1種以上の非イオン性単量体との共重合により、1種以上の陰イオン性単量体と1種以上の非イオン性単量体との共重合により、1種以上の陽イオン性単量体と1種以上の陰イオン性単量体と任意に1種以上の非イオン性単量体との共重合により両性ポリマーを生産すること、又は、1種以上の両性イオンの単量体及び任意に1種以上の非イオン性単量体を重合させて両性イオン性ポリマーを形成することによって調製される。1種以上の両性イオン性単量体及び任意に1種以上の非イオン性単量体と、1種以上の陰イオン性又は陽イオン性単量体とを共重合させて、両性イオン性ポリマーに正又は負の帯電を与えてもよい。適切な凝集剤は、一般に、帯電しているのは80モルパーセント未満であり、多くの場合、帯電しているのは40モルパーセント未満である。
【0017】
陽イオン性単量体を用いて陽イオン性ポリマー凝集剤を形成してもよいが、特定の非イオン性ビニル付加ポリマーを反応させて正に帯電したポリマーを生産することもできる。この種のポリマーは、ポリアクリルアミドと、ジメチルアミン及びホルムアルデヒドとの反応でマンニッヒ誘導体を生産することにより調製されるものを含む。
【0018】
同様に、陰イオン性単量体を用いて陰イオンポリマー凝集剤を形成してもよいが、非イオン性ビニル付加ポリマーを修飾して負に帯電したポリマーを形成することもできる。この種のポリマーは、例えば、ポリアクリルアミドの加水分解によって調製されるものを含む。
【0019】
凝集剤を、固体形態として、水溶液として、油中水滴エマルジョンとして、又は、水中分散液として調製してもよい。代表的な陽イオン性ポリマーは、(メタ)アクリルアミドと、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEM)又は硫酸ジメチル、塩化メチル若しくは塩化ベンジルを用いて作られるこれらの第四級アンモニウム形態と、コポリマー及び三元ポリマーを含む。代表的な陰イオン性ポリマーは、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウム及び/又は2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)とのコポリマー、又は、加水分解によりアクリルアミド基の一部をアクリル酸基に変換したアクリルアミドホモポリマーを含む。
【0020】
一つの実施形態において、凝集剤は、RSVが少なくとも3dL/g以上である。
【0021】
一つの実施形態において、凝集剤は、RSVが少なくとも10dL/g以上である。
【0022】
一つの実施形態において、凝集剤は、RSVが少なくとも15dL/g以上である。
【0023】
ここで用いられているように、「RSV」は還元比粘度(Reduced Speci
fic Viscosity)を表わす。Paul J.Flory,“Principles of Polymer Chemistry”,Cornell University Press、Ithaca,NY,1953,Chapter VII,“Determination of Molecular Weights”,pp.266−316によれば、実質的に直鎖で高溶解性の同族体ポリマー間においては、ポリマー希釈液の「還元比粘度」(RSV)の測定値がそのポリマーの鎖長及び平均分子量の指標の一つである。RSVを規定のポリマー濃度及び温度において測定して以下のように計算した。
RSV[(η/η)−1]/c
η=ポリマー溶液の粘度、η=同じ温度の溶剤の粘度、c=溶液中のポリマー濃度
【0024】
濃度の単位「c」は、(グラム/100ml又はg/デシリットル)である。したがって、RSVの単位はdL/gである。別段の定めがない限り、RSVの測定には1.0モルの硝酸ナトリウム溶液を用いる。この溶剤中のポリマー濃度は0.045g/dLである。30℃でRSVを測定する。キヤノンのウベローデ(Ubbelohde)セミミクロ希釈粘度計(サイズ75)を用いて粘度η及びηを測定する。粘度計を30±0.02℃に調整した定温槽中に完全に垂直に設置する。ここに記載されているポリマーのためのRSV計算に固有な特徴的誤差は、約0.2dL/gである。系内の2つのポリマー同族体が近似のRSVを有していれば、それらが近似の分子量を有することが示唆される。
【0025】
上で論じられているように、充填材粒子の著しい凝集を引き起こさずに均一に混合するために十分な量の第1凝集剤を分散液に加える。一つの実施形態において、第1凝集剤量は、0.2〜6.0lb/tonの処理された充填材である。一つの実施形態において、凝集剤の量は、0.4〜3.0lb/tonの処理された充填材である。本発明の目的のに関して、「lb/ton」は、2,000ポンドの充填材当たりに含まれる活性ポリマー(凝固剤又は凝集剤)の量(ポンド)を意味する単位である。
【0026】
第2凝集剤は、第1凝集剤の存在下で充填材の凝集を開始させることができる任意の材料であり得る。一つの実施形態において、第2凝集剤は、微粒子、凝固剤、第1凝集剤よりも低い分子量を有するポリマー、及び、これらの混合物から選択される。
【0027】
適切な微粒子は、シリカ材料及びポリマー微粒子を含む。代表的なシリカ材料は、シリカをベースとする粒子、シリカミクロゲル、コロイダルシリカ、シリカゾル、シリカゲル、ポリケイ酸塩、陽イオン性シリカ、アルミノケイ酸塩、ポリアルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ポリホウケイ酸塩、ゼオライト、及び、合成又は天然の膨張粘土を含む。膨張粘土は、ベントナイト、ヘクトライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、モルマイト(mormite)、アタパルジャイト、及び、セピオライトであってもよい。
【0028】
本発明に有用なポリマー微粒子は、陰イオン性有機微粒子、陽イオン性微粒子、又は、両性微粒子を含む。これらの微粒子は、一般に水に対する溶解度に限界があり、架橋されていてもよく、750nm未満の非膨張粒径を有する。
【0029】
陰イオン性有機微粒子は、米国特許第6,524,439号に記載されているもの、及び、アクリルアミドポリマー微粒子を加水分解して得られるもの、又は、(メタ)アクリル酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォナート、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホン酸ビニル、スルホン酸スチレン、マレイン酸若しくは他の二塩基酸又はこれらの塩、又は、これらの混合物などの陰イオン性単量体を重合させて得られるものを含む。これらの陰イオン性単量体は、(メタ)アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルメチルホルムアミド、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、及び、これらの混合物などの非イオン性単量体と共重合させてもよい。
【0030】
陽イオン性有機微粒子は、米国特許第6,524,439号に記載されているもの、及び、ジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物、アクリロキシアルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアルキルアミノアルキル化合物の(メタ)アクリル酸塩、及び、これらの塩及び四級化物等の単量体、並びに、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、及び、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの酸又は四級塩などの単量体を重合させて得られるものを含む。これらの陽イオン性単量体は、(メタ)アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルメチルホルムアミド、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン及びこれらの混合物などの非イオン性単量体と共重合させてもよい。
【0031】
両性有機微粒子は、上に一覧されている陰イオン性単量体の少なくとも1つ、上に一覧されている陽イオン性単量体の少なくとも1つ、及び、任意に、上に一覧されている非イオン性単量体の少なくとも1つを組み合わせて重合させることにより得られる。
【0032】
有機微粒子中の単量体の重合は、一般に、多機能性橋架剤の存在下で行われる。これらの橋架剤は、少なくとも2つの二重結合を有するもの、1つの二重結合と1つの反応性基とを有するもの、又は、2つの反応性基を有するものとして米国特許第6,524,439号に記載されている。これらの試剤の例は、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−ビニルアクリルアミド、ジビニルベンゼン、トリアリルアンモニウム塩、N−メチルアリルアクリルアミドグリシジル(メタ)アクリレート、アクロレイン、メチロールアクリルアミド、グリオキサール等のジアルデヒド、ジエポキシ化合物、及び、エピクロロヒドリンである。
【0033】
一つの実施形態において、微粒子量は、0.5〜8lb/tonの処理された充填材である。一つの実施形態において、微粒子量は、1.0〜4.0lb/tonの処理された充填材である。
【0034】
一般に、適切な凝固剤は、凝集剤よりも低い分子量を有し、正に帯電している基の密度が高い。本発明に有用な凝固剤は、周知であり、市販されている。これらは、無機又は有機であってもよい。代表的な無機凝集剤は、ミョウバン、アルミン酸ナトリウム、ポリアルミニウムクロリド若しくはPAC(アルミニウムクロロヒドロキシド、水酸化アルミニウムクロリド及びポリアルミニウムヒドロキシクロリドとも呼ばれる)、硫酸化ポリ塩化アルミニウム、ポリアルミニウムシリカ、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)など、及び、これらの混合物を含む。
【0035】
有機凝固剤の多くは、縮合重合により形成される。この種のポリマーの例は、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン(EPI−DMA)コポリマー、及び、アンモニアで架橋されたEPI−DMAコポリマーを含む。
【0036】
さらなる凝固剤は、二塩化エチレンとアンモニアとのポリマー若しくは二塩化エチレンとジメチルアミンとのポリマーであって、アンモニアが付加してもしていなくてもよいもの、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン及びヘキサメチレンジアミン等の多機能性アミンと、二塩化エチレン若しくはアジピン酸等の多機能性の酸との縮合ポリマー、又は、メラミンホルムアルデヒド樹脂等の縮合反応で得られるポリマーを含む。
【0037】
さらなる凝固剤は、(メタ)アクリルアミド、ジアリル−N,N−二置換ハロゲン化アンモニウム、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びその第四級アンモニウム塩、アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその第四級アンモニウム塩、メタアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(β−メタアクリロイロキシエチル)トリメチルアンモニウム硫酸メチル、四級化ポリビニルラクタム、ビニルアミン、並びに、マンニッヒ誘導体又は第4級マンニッヒ誘導体を生産するために反応させるアクリルアミド若しくはメタクリルアミドなどのポリマー、コポリマー及び三元ポリマー等のカチオンチャージされたビニル付加ポリマーを含む。塩化メチル、硫酸ジメチル又は塩化ベンジルを用いて、適切な第四級アンモニウム塩を生産してもよい。三元ポリマーは、ポリマーの全体電荷が正である限り、アクリル酸又は2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸などの陰イオン性単量体を含んでもよい。これらのポリマー(ビニル付加重合体及び縮合重合体の両方)の分子量は、数百から数百万の範囲である。その分子量範囲は、好ましくは、20,000〜1,000,000である。
【0038】
第2凝集剤として有用な他のポリマーには、陽イオン性ポリマー、陰イオン性ポリマー又は両性ポリマーであって、凝集剤として上述されている化学的性質を有するものが含まれる。これらのポリマーと凝集剤との相違は、主として分子量である。高固体充填材スラリーにその溶液を容易に混合することができるように、第2凝集剤は低分子量でなければならない。一つの実施形態において、第2凝集剤のRSVは5dL/g未満である。
【0039】
第2凝集剤は、単独で又は1種以上のさらなる第2凝集剤と組み合わせて用いることができる。一つの実施形態においては、凝集充填材スラリーに第2凝集剤を添加した後に1種以上の微粒子を加える。
【0040】
第1凝集剤の存在下で充填材粒子の凝集を開始させるために十分な量の第2凝集剤を分散液に加える。一つの実施形態において、第2凝集剤の添加量は、0.2〜8.0lb/tonの処理された充填材である。一つの実施形態において、第2の構成要素の添加量は、0.5〜6.0lb/tonの処理された充填材である。
【0041】
一つの実施形態において、剪断前に1つ以上の微粒子を凝集した分散液に加えて、さらなる凝集を与えること及び/又は粒径分布を狭くすることをしてもよい。
【0042】
一つの実施形態において、第1凝集剤と第2凝集剤とは逆に帯電している。
【0043】
一つの実施形態において、第1凝集剤は陽イオン性である。また、第2凝集剤は陰イオン性である。
【0044】
一つの実施形態において、第1凝集剤は、アクリルアミドと、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)若しくはジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)並びにこれらの混合物とのコポリマーから選択される。
【0045】
一つの実施形態において、第1凝集剤は、アクリルアミドとジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)とのコポリマーであって、10〜50モル%が正に帯電し、RSVが15dL/gであるコポリマーである。
【0046】
一つの実施形態において、第2凝集剤は、部分的に加水分解されたアクリルアミド、及び、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとのコポリマーからなる群より選択される。
【0047】
一つの実施形態において、第2凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとのコポリマーであって、5〜40モルパーセントが負に帯電し、RSVが0.3〜5dL/gのコポリマーである。
【0048】
一つの実施形態において、第1凝集剤は陰イオン性である。また、第2凝集剤は陽イオン性である。
【0049】
一つの実施形態において、第1凝集剤は、部分的に加水分解されたアクリルアミド、及び、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとのコポリマーからなる群より選択される。
【0050】
一つの実施形態において、第1凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとのコポリマーであって、5〜75モルパーセントが負に帯電し、RSVが少なくとも15dL/g以上のコポリマーである。
【0051】
一つの実施形態において、第2凝集剤は、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン(EPI−DMA)コポリマー、アンモニアで架橋されたEPI−DMAコポリマー、及び、ジアリル−N,N−二置換ハロゲン化アンモニウムのホモポリマーからなる群より選択される。
【0052】
一つの実施形態において、第2凝集剤は、RSVが0.1〜2dL/gのジアリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーである。
【0053】
本発明に係る充填材塊の分散液は、製紙完成紙料への添加前に調製される。これを回分式又は連続法で行うことができる。これらのスラリー中の充填材濃度は、一般に80質量%未満である。該濃度は、一般に5〜65質量%である。
【0054】
一括処理は、天井にプロペラーミキサーを具える大型撹拌槽で構成されていてもよい。充填材スラリーを撹拌槽に入れ、連続的に混合しながらそのスラリーに所望量の第1凝集剤を投入する。第1凝集剤が系全体に均一に分散するのに充分な時間にわたってスラリーと凝集剤とを混合する。その時間は、使用する混合エネルギーに依存して一般に約10〜60秒間である。その後、使用する混合エネルギーに依存して混合時間を数秒から数分に延ばし、充填材塊を破砕するのに充分な混合速度で混合する間に、所望量の第2凝集剤を加える。任意に、微粒子を第3成分として加え、再凝集させ、塊粒径分布を狭くする。充填材塊の適当な粒径分布が得られたら、塊が安定するレベルに混合速度を低下させる。その後、この凝集充填材をまとめてより大型の撹拌槽に移し、分散液に充填材塊が均一に懸濁されたままになる程度に充分混合する。この撹拌槽から凝集充填材を製紙完成紙料中にポンプでくみ出す。
【0055】
連続法においては、必要であれば、充填材を含むパイプ内に所望量の第1凝集剤をポンプで送り込み、インライン固定ミキサーを用いて混合する。適切な量の第2凝集剤を注入する前に、充填材と凝集剤とを適切に混合させるのに充分な長さのパイプ又は撹拌管を設けるようにしてもよい。その後、充填材を含むパイプに第2凝集剤をポンプで送り込む。任意に、微粒子を第3成分として加えて、再凝集させ、塊粒径分布を狭くする。その後、所望の粒径分布を有する充填材塊を得るために高速混合を行う必要がある。混合装置の剪断速度又は混合時間を調整することにより、塊粒径分布を制御することができる。連続法は、固定容積装置内で剪断速度を調整することができる使用に有用であろう。そのような装置の1つは、米国特許第4,799,964号に記載されている。この装置は、速度調整可能な遠心ポンプであり、その遮断圧力を超える背圧で運転した時にポンプ能力がない機械的剪断装置として機能する。他の適切な剪断装置は、調整可能な圧力低下を有するノズル、タービンタイプ乳化装置、又は、固定容積管内の速度調整可能な高強度ミキサーを含む。剪断した後に凝集充填材スラリーを製紙完成紙料に直接供給する。
【0056】
上記一括処理及び連続法のいずれにおいても、フィルタ又はふるいを用いて大き過ぎる充填材塊を除去することができる。これにより、紙又はボードに大きい充填材塊が含まれなくなることによって潜在的な機械稼働可能性の問題及び紙質の問題が解消される。
【0057】
一つの実施形態において、充填材塊のメジアン粒径が少なくとも10μmである。一つの実施形態において、充填材塊のメジアン粒径が10〜100μmである。一つの実施形態において、充填材塊のメジアン粒径が10〜70μmである。
【0058】
本発明の範囲を限定することを意図していない説明目的の下記実施例を参照することにより前述したことがさらに理解されるであろう。
【0059】
実施例1−7
各実施例で用いた充填材は、分散していないか又は分散している偏三角面体沈降炭酸カルシウム(PCC)(米国、ペンシルベニア、ベスレヘムのSpecialty Minerals社のAlbacar HOとして入手可能)である。非分散PCCを用いる場合、水道水を用いて乾燥製品を10%の固体に希釈した。分散しているPCCを用いる場合、40%の固体スラリーとして得られるものを水道水を用いて10%の固体に希釈した。Lasentec社(レドモンド、ワシントン)で製造されたLasentec(登録商標)S400 FBRM(集束ビーム反射率測定)プローブを用いて、凝集時に3秒間隔でPCCの粒径分布を測定した。Preikschat,F.K.及びPreikschat,E.,「Apparatus and method for particle analysis」(米国特許第4,871,251号)にFBRM操作の背景理論の詳細を見つけることができる。PCC塊の平均コード長(MCL)を凝集の程度の全体的基準として用いた。300mlの10%PCCスラリーを含む600mlビーカーにレーザプローブを挿入した。凝集剤を添加する前にIKA RE 16攪拌モーターを用いて800rpmで少なくとも30秒間溶液を攪拌した。
【0060】
注射器を用いて30秒から60秒間にわたって徐々に第1凝集剤を加えた。第2凝集剤を用いる場合は、第1凝集剤が混合されるのを10秒間待った後に、第1凝集剤と同様の方法で添加した。最後に、微粒子を加える場合は、第2凝集剤が混合されるのを10秒待った後に、凝集剤と同様の方法で行った。凝集剤を固体ベースで0.3%の濃度に希釈し、凝固剤を固体ベースで0.7%の濃度に希釈し、デンプンを固体に対して5%の濃度に希釈し、使用前に微粒子を固体に対して0.5%の濃度に希釈した。特徴的なMCL時間分解能プロフィールを図1に示す。
【0061】
すべての充填材凝集試験について、凝集剤の添加後に最大MCLを記録し、表2に記載した。最大MCLは、凝集の程度を示している。その後、高剪断条件下における充填材塊の安定性を試験するためにスラリーを1500rpmで8分間撹拌した。4分後及び8分後のMCL値をそれぞれ記録し、表3及び表4に記載した。
【0062】
充填材塊の粒径分布について、Malvern Instruments有限会社(サウスバーロウ、マサチューセッツ、米国)のマスターサイザーマイクロ(MastersizerMicro)を用いたレーザー光散乱により特性を示すことができる。多分散系モデル及びプレゼンテーション4PADを用いて分析を行なう。このプレゼンテーションは、連続相として充填材の屈折率を1.60と仮定し、水の屈折率については1.33と仮定する。分散の質は、塊の体積加重メジアン粒径、D(V,0.5)、分散の長さ、及び、分散の均一性により示される。長さ及び均一性を以下のように定義する。
【0063】
【数1】

【0064】
ここで、D(v,0.1)、D(v,0.5)及びD(v,0.9)は、それぞれ、充填材粒子の体積に対して、10%、50%及び90%以上大きい直径として定義される。V及びDは、粒径群iの粒子の体積分率及び直径である。長さ及び均一性値が小さいほど、より均一な粒径分布であることを示しており、一般に、均一な粒径分布であるほど、製紙において良いパフォーマンスを発揮すると考えられている。各実施例について1500rpmの剪断下での最大MCL時、4分後及び8分後における充填材塊の特性を表2、表3及び表4に記載する。各実施例の中で用いたPCCの種類、凝集剤、及び、凝集剤量を表1に記載する。
【0065】
実施例8
この試験は、連続法を用いてPCCスラリーを凝集させることの実現可能性を実証するものである。水道水中に存在する18リットルの10%固体の非分散PCC(Specialty Minerals社(ベスレヘム、PA、米国)よりAlbacar HOとして入手可能)をまとめて7.6L/分で5ガロンのバケット内に遠心ポンプを用いて注入した。プログレッシブ空洞ポンプを用いて、遠心ポンプ注入口から1%の凝集剤A溶液を活性量である1.0lb/tonでPCCスラリー中に供給した。その後、PCCを、2%の凝集剤Aの固体溶液の活性量である1.0lb/tonと共に固定ミキサー内に供給した。マスターサイザーマイクロを用いて充填材塊の粒径分布を測定し、表2に表した。得られたスラリー300mlを、実施例1−7と同様の方法により、ビーカー内で1500rpmで8分間撹拌した。4分後及び8分後における充填材塊の特性をそれぞれ表3及び表4に記載する。
【0066】
実施例9
充填材スラリー及び実験手順は、凝固剤Aを遠心ポンプに供給して凝集剤Aを固定ミキサーに供給する以外は、実施例8と同様である。充填材塊の粒径特性を表2、表3及び表4に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】



【0070】
【表4】



【0071】
表2〜4に示されているように、陽イオン性デンプンのみを用いた実施例1で形成された充填材塊は、剪断に対して安定ではない。一方、実施例2〜9で実証されているように、複数のポリマーによって形成された充填材塊は、剪断安定性が向上している。実施例2、4、6及び8は、本発明によって調製された充填材塊を表す。また、実施例3、5、7及び9は、既存の方法を用いて調製された充填材塊を表す。一般に、本発明によって調製された充填材塊は、既存の方法によって形成されたものと比較して、剪断後(表3及び表4に示されているように、長さおよび均一性より小さい)に、より狭い粒径分布を有する。
【0072】
実施例10
この実施例の目的は、PCC塊が様々な粒径を有することによって、ハンドシートの物性に与える影響を評価することである。PCC固体レベルが2%であること以外は、実施例2に記載されている手順を用いてPCCサンプルを得た。1500rpmの剪断を異なる時間で行うことによって、様々な粒径を有するように予備凝集充填材塊(10−A、10−B、10−C及び10−D)の4つのサンプルを調製した。剪断時間及び得られた粒度特性を表5に示す。
【0073】
80%の硬材乾燥ラップパルプとアメリカンファイバーリソーシズ(AFR)有限会社、フェアモント、ウェストバージニアから得た20%リサイクル繊維ファイバーとから2.5%の濃度の濃化原料を調製した。その硬材をバリービーター(Valley Beater)(Voith Sulzer社、アップルトン、ウィスコンシン)の中で300mlのカナディアンスタンダードフリーネス(TAPPI Test Method T 227 om−94)の叩解度に精製した。濃化原料を水道水で0.5%の濃度に希釈した。
【0074】
排水防止用プラスチック固体シートで覆われた底スクリーンを具えるダイナミック排水ジャー(Dynamic Drainage Jar)の中で、650mlの0.5%の濃度の完成紙料を800rpmで攪拌することによって、ハンドシートを調製した。ダイナミック排水ジャー及び攪拌機は、ペーパー ケミストリー コンサルティング ラボラトリー社(カーメル、ニューヨーク)から入手可能である。攪拌を開始し、15秒後に1つのPCCサンプルの1gを加え、30秒後にGC7503ポリ塩化アルミニウム溶液(Gulbrandsen Technologies社(クリントン、ニュージャージー、米国)から入手可能)を(製品ベースで)6lb/tonで加え、45秒後に29モル%が帯電し、RSVが約32dL/gのアクリル酸ナトリウム−アクリルアミドコポリマー凝集剤(Nalco社(ネーパーヴィル、イリノイ、米国))から入手可能)を(製品ベースで)1lb/tonで加え、60秒後にホウケイ酸塩微粒子(Nalco社(ネーパーヴィル、イリノイ、米国))から入手可能)を3.5lb/ton(活性)で加えた。
【0075】
75秒後に攪拌を停止し、Noble&Wood社のハンドシート型の型枠箱の中に完成紙料を移した。100メッシュ成形ワイヤーを通して排水することにより、8×8のハンドシートを形成した。2枚の吸取紙及び1枚の金属板を濡れたハンドシートの上に置き、25lb金属ローラーを6回通過させてロールプレスを行うことによって、ハンドシートをシート型ワイヤーから離して横たえた。成形ワイヤー及び1枚の吸取紙を除去し、2枚の新しい吸取紙及びプレスフェルトの間にそのハンドシートを置き、ロールプレスを用いて50psigでプレスした。すべての吸取紙を除去し、220°Fにセットした回転式ドラム乾燥機を用いてハンドシート(乾燥機に面する上面)を60秒間乾燥した。ハンドシートの平均基本重量は84g/mであった。ハンドシートの型、ロールプレス及び回転式ドラム乾燥機は、Adirondack Machine Company社(クイーンズベリー、ニューヨーク)から入手可能である。試験を行った各PCCサンプルについて、ハンドシートを5つ複製した。
【0076】
完成したハンドシートを50%の相対湿度及び23℃のTAPPI標準状態で一晩保存した。各シートについて、TAPPI試験方法T410om−98を用いて基本重量を決定し、TAPPI試験方法T211 om−93を用いて灰分を決定し、ISO試験方法2470:1999を用いて白色度を決定し、ISO試験方法2471:1998を用いて不透明度を決定した。Kajaani(登録商標) Formation Analyzer(Metso Automation社、ヘルシンキ、フィンランド)を用いて、シート構造である基本重量の均一性基準を決定した。これらの測定結果を表6に記載する。TAPPI試験方法T494om−01を用いてシートの引張強度を測定し、TAPPI試験方法T569pm−00を用いてスコットボンド(Scott Bond)を測定し、TAPPI試験方法T541om−89を用いてz方向引張強度(ZDT)を測定した。これらの結果を表7に記載する。
【0077】
【表5】

【0078】
【表6】



【0079】
【表7】



【0080】
表5に示されているように、充填材塊の粒径は、1500rpmの剪断において時間が経過するにつれて減少しており、そのことは、高剪断における充填材塊の粒径を時間によって制御することの実現可能性を実証している。表6に示されているように、4つの予備凝集充填材(10−A〜10−D)及び未処理の充填材(10−E)のそれぞれから調製したハンドシートは、ほぼ同じ灰分及び基本重量を有していた。塊の粒径を大きくすると、白色度は損なわれなかったが、地合い指数及び不透明度がわずかに低下した。z方向引張強度で測定されるようなシートの機械強度、スコットボンド、引張強さ、及び、引張エネルギー吸収量(TEA)は、充填材塊の粒径が大きくなるにつれて有意に増加する。このことを表7に示す。一般に、PCC塊のメジアン粒径が大きくなると、シート強度の向上につながる。実際問題として、不透明度が多少損なわれることは、シートのPCCを一定量増加させてシート強度を向上させることによって相殺され得る。
【0081】
ここに記載されている好ましい実施形態に対する様々な変更及び修飾が当業者に明らかであることは理解されるに違いない。本主題の精神及び範囲から外れずに、かつ、意図された長所を損なうことなく、そのような変更及び修飾を行なうことができる。したがって、そのような変更及び修飾は、係属中の特許請求の範囲の範囲内であると意図される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の粒径分布を有する凝集充填材粒子の安定な製紙工程用分散液を調製する方法であって、
a)充填材粒子の水性分散液を提供するステップ;
b)充填材粒子を著しく凝集させることなく均一に混合するために十分な量の第1凝集剤を前記分散液に加えるステップ;
c)前記第1凝集剤の存在下で前記充填材粒子の凝集を開始させるために十分な量の第2凝集剤を前記分散液に加えるステップ;及び、
d)凝集した分散液を任意に剪断して所望の粒径を有する充填材塊の分散液を提供するステップを具える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第1凝集剤が、陽イオン性ポリマー、陰イオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、両性イオン性ポリマー、両性ポリマー、RSVが少なくとも3dL/g以上の試剤、RSVが少なくとも10dL/g以上の試剤、充填材粒子と同じイオン電荷を有する試剤、炭酸カルシウム、カオリン、アクリルアミドとジメチルアミノエチルアクリレートとのコポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー、10〜50モルパーセントの正電荷を有し、少なくとも15dL/g以上のRSVを有する、アクリルアミドとジメチルアミノエチルアクリレートとのコポリマー、並びに、これらの混合物からなる群より選択される方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記第2凝集剤が、微粒子、凝固剤、前記第1凝集剤よりも小さい分子量を有している、陽イオン性、陰イオン性、非イオン、両性イオン性及び両性ポリマー、前記第1凝集剤と逆の電荷を有する試剤、並びに、これらの混合物からなる群より選択される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記第1凝集剤が陰イオン性であり、前記第2凝集剤は陽イオン性である方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記第2凝集剤が、部分的に加水分解されたアクリルアミド、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとのコポリマー、及び、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとのコポリマーであって、5〜40モルパーセントの陰イオン性電荷及び0.3〜5dL/gのRSVを有するコポリマーからなる群より選択される方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記第2凝集剤が、微粒子、凝固剤、第1凝集剤より低い分子量を有する、陽イオン性、陰イオン性、非イオン、両性イオン性及び両性ポリマー並びにこれらの混合物からなる群より選択され、前記第1凝集剤と前記第2凝集剤とが逆に帯電し、前記第1凝集剤のRSVが少なくとも10dL/g以上であり、前記充填材が炭酸カルシウム及びカオリン粘土から選択され、前記第1凝集剤が陰イオン性であり、前記第2凝集剤が陽イオン性である方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記第1凝集剤が、部分的に加水分解されたアクリルアミド、及び、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとのコポリマーからなる群より選択される方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記第1凝集剤が、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとのコポリマーであって、5〜75モルパーセントが負に帯電し、RSVが少なくとも15dL/g以上のコポリマーである方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、前記第2凝集剤が、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン(EPI−DMA)コポリマー、アンモニアで架橋されたEPI−DMAコポリマー、及び、ジアリル−N,N−二置換ハロゲン化アンモニウムのホモポリマーからなる群より選択される方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記第2凝集剤が0.1〜2dL/gのRSVを有する、ジアリルジメチル塩化アンモニウムのホモポリマーである方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、前記充填材が、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン粘土、前記第1凝集剤と同じイオン電荷を有するもの及びこれらの混合物からなる群より選択される方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記充填材塊のメジアン粒径が10〜70μmである方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記第2凝集剤の添加後に1種以上の微粒子を凝集した分散液に加えるステップをさらに具える方法。
【請求項14】
パルプから紙製品を作る方法であって、水性セルロース性製紙完成紙料を形成するステップと、請求項1に記載の方法で調製される充填材塊の水性分散液を前記製紙完成紙料に加えるステップと、前記製紙完成紙料から排水してシートを形成するステップと、前記シートを乾燥させるステップと、を具える方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法によって調製される紙製品。


【図1】
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【公表番号】特表2010−539344(P2010−539344A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525026(P2010−525026)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/076167
【国際公開番号】WO2009/036271
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】