説明

二元金属ナノ粒子コロイド、二元金属ナノ粒子、二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法および二元金属ナノ粒子の製造方法

【課題】 二元金属ナノ粒子は化学的還元作用を利用して製造が試みられてきたが、良質で量産できる安価なコバルト・ニッケルナノ粒子は実現困難と思われていた。また、物理的方法によるコバルト・ニッケルナノ粒子は全くつくられていなかった。
【解決手段】 コバルト、ニッケルをそれぞれ真空中で蒸発させ、それを界面活性剤だけで収集する方法を用いてコバルトナノ粒子コロイド、ニッケルナノ粒子コロイドを製造し、それらを混合し、熱処理を施して、良質で量産できる安価なコバルト・ニッケルナノ粒子コロイドを実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コバルト・ニッケルの二元金属ナノ粒子および二元金属ナノ粒子コロイドならびに二元金属ナノ粒子の製造方法および二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノ粒子すなわち粒子サイズが5nm(ナノメートル)とか30nmといった100nm以下のナノメートルオーダーの粒子の利用可能性が注目されつつある。燃料電池や排ガス浄化装置への利用をはじめとする触媒への利用の試み、磁気媒体への利用の試みなどがその例である。
【0003】
金属ナノ粒子に関しては、その利用可能性に対する期待が大きく、種々のナノ粒子をつくろうと多くの努力がなされ、多くの特許出願がなされている。しかし、その技術は発展途上にあり、解決を要する難しい問題が多く残されている。
【0004】
コバルト・ニッケルの二元金属ナノ粒子に関しても、触媒作用などへの期待からその製造が種々試みられている。しかし、以下に詳述するように、その製造方法は後述の化学的方法で、プロセスが複雑で、製造が難しく、製造コストが高く、良質のものが得にくいという問題がある。
【0005】
金属ナノ粒子の製造方法にはいくつかの異なる方法が提案されている。それらを大別すると、溶液中での化学反応を利用した化学的な方法と真空中で金属粒子を蒸発などにより微粒子状態にさせて捕獲する物理的な方法がある。
【0006】
それらの提案としては、還元反応を利用した化学的な製造に関する提案が圧倒的に多く、これらに関する研究も圧倒的に多い。
【0007】
化学的な製造方法に基づいた金属ナノ粒子コロイドは、製造工程が多段階にわたり複雑であること、pHの精密な制御や熱処理が必要であること、製造コストが高く非能率的であることなどその製造上の難しさ、製造された金属ナノ粒子コロイド中に化合物が入るなど、いくつかの重要なことに関して物理的な製造方法に基づいた金属ナノ粒子コロイドとは事情が異なる。
【0008】
本発明は、物理的な製造方法に基づいた金属ナノ粒子コロイドに関する発明であるが、本発明をより明確にするために、提案の多い化学的な製造方法に基づいた金属ナノ粒子コロイドについても簡単に記すことにする。
【0009】
特許文献1には、アルカンチオール等のチオール化合物の存在下で、Co塩とPd塩など2種類の金属塩を高温でポリオール還元して得た二元金属ナノ粒子と製造方法が記載されている。
【0010】
特許文献2には、溶媒中の金属塩を還元反応させてFe/Pd複合ナノ粒子を得る方法が記載されている。
【0011】
特許文献3には、金属イオン含有液を還元するという化学的製造方法により製造された金属コロイドを複数種類混合して製造されたAg/Pd等の複合ナノ粒子の製造方法が記載されている。
【0012】
特許文献5に記載のナノ粒子は物理的な製造方法に基づいた金属ナノ粒子コロイドの例で、特許文献4に記載された磁性流体の製造装置と同様の装置を用いて、真空中で無機材料を蒸発させ、その蒸気を、円筒状の回転する真空チャンバーの内壁に沿って内壁とともに回転する界面活性剤を溶媒に溶かした膜状液体媒質に結合させ、コロイド状にして製造するものである。
【0013】
特許文献1〜3に記載のナノ粒子の製造方法は、化学的還元反応を経由するため、還元剤や溶媒の濃度や温度などを精密に制御する必要があり、その制御が難しく、粒子サイズや結晶状態の均一なものを得るのが難しい。
【0014】
特許文献1に記載のナノ粒子の化学的製造においてはチオール化合物が不可欠で、不快な悪臭を発し、製造環境上の問題もある。
【0015】
特許文献1に記載の方法は、金属塩がアセチルアセトナート塩、酢酸塩、塩化物、硫化物で、金属塩、貴金属塩に制約が大きい。また、アルカンチオールの炭素数が8以上で、溶解させる溶媒などにも制約がり、高沸点の溶媒が要求される。
【0016】
特許文献1の段落0014に記載されているように、得られるナノ粒子として異方的に相分離した含硫黄CoPdナノ粒子(ナノドングリ)で、硫化物よりなるナノ粒子である。
【0017】
特許文献2に記載の方法は、Fe/Pd二元金属のナノ粒子であるが、化学的還元反応を経由して作製するため、反応温度、反応物の濃度の制御などを精密に制御する必要があり、工程が複雑で非効率的である。また、高価な錯体原料を使用しなければならず、この面からの製造コストが高いことでも不利である。さらに、還元剤の種類によっては相分離せずに合金化してしまう。すなわち、この方法では二相分離構造のナノ粒子を効率よく安価に製造することは困難である。
【0018】
このように、この化学的な製造方法によるナノ粒子の製造は、製品の形態や金属の種類にも大きな制約があり、反応の制御に難しさがある。
【0019】
特許文献5に記載のナノ粒子は純金属を回転する真空槽内で蒸発させて、それを真空槽内に装填した界面活性剤ポリブテニルコハク酸テトラミンイミドの7.1%アルキルナフタリン溶液120gを回転する真空槽内壁に沿って薄い膜状にして回転させた液体媒質に結合させて製造したものである。
【0020】
物理的な製造方法は工程数が少なく、コロイド製造後の分離・濃縮を入れても二工程でよいので簡単である。
【0021】
しかし、文献5の方法は界面活性剤を溶媒で希釈して流動化させ、回転する真空槽内壁につけて真空槽内壁とともに回転させ、溶媒中の界面活性剤に結合させるという発想に基づいた製造方法であり、界面活性剤の溶媒としては真空中で使える溶媒きり使えず、そのため界面活性剤を真空中で使える油によって希釈せざるを得ない。
【0022】
上記説明からもわかるように、それぞれの方法で製造された金属ナノコロイドは、組成形態、混入化合物の有無、複製生物の有無等それぞれ異なるところがあり、その利用においても違いがある。
【特許文献1】特開2005−240099号公報
【特許文献2】特開2008−138243号公報
【特許文献3】特開2008−138243号公報
【特許文献4】特開昭60−161490号公報
【特許文献5】特開2008−150630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
以上説明したように、金属ナノ粒子コロイドの製造方法は種々提案されている。
【0024】
しかし、二元金属ナノ粒子コロイドについては、現在のところ、化学的還元作用等の化学的製造方法で製造された二元金属ナノ粒子コロイドについては、金属硫化物などの多元ナノ粒子コロイドを造る提案がなされているが、二元金属ナノ粒子の異方性相分離構造を作ることは難しい。
【0025】
前記化学的方法で製造された二元金属ナノ粒子コロイドでは、多くの場合、化合物や副生成物の問題があり、さらに、製造プロセスが複雑で、製造が難しく、製造コストが高いなどの問題がある。
【0026】
一方、前記物理的方法で製造された金属ナノ粒子コロイドは、蒸発させた金属を収集する媒体として界面活性剤を高分子で蒸気圧の低い疎水性の溶媒で希釈したものを用いており、製造された金属ナノ粒子コロイドをユーザーに供給するときには、多くの場合、界面活性剤の前記溶媒を除去して供給するため、その手間とコストが大きな問題になっている。この溶媒が、前記のように高分子で蒸気圧の低い溶媒に限られることも実用上大きな制約を課している。
【0027】
さらに、前記物理的方法で製造された金属ナノ粒子コロイドは、蒸発させた金属を、界面活性剤を溶媒で希釈した移動する膜状液体媒質に捕捉させて収集させているため、膜状液体媒質中の金属の濃度を高くすることができない。その大きな理由の一つは、溶媒に溶かして希釈した界面活性剤の濃度が薄いことにある。すなわち、蒸発した金属は界面活性剤によってナノコロイドとして収集できるが、界面活性剤を溶かしている溶媒では金属粒子を収集できない。
【0028】
また、特許文献5に記載の方法においては、膜状液体媒質中の金属粒子の濃度がある程度以上になると、前記回転する真空チャンバーの内壁上方で、金属粒子を含んだ膜状液体媒質が真空チャンバーの内壁から離れて落下してしまうことが多く、その落下物が蒸発源が入っているルツボ中に落ちて、製造中止を余儀なくされるという問題がある。
【0029】
そして、金属ナノ粒子実用化が期待されている中において、この物理的方法で製造された金属ナノ粒子コロイドを用いて製造されたコバルト・ニッケル二元金属ナノ粒子コロイドはまだない。
【0030】
良質で安価なコバルト・ニッケル二元金属ナノ粒子コロイドができればその活用が期待できるが、まだ実現されていない。
【0031】
本発明はこのような課題を解決せんとしてなされたもので、本発明の目的の一つは、副生成物を含まず、良質で、高濃度のコバルト・ニッケルナノ粒子コロイドを量産可能な状態で安価に提供できるようにすることにあり、そのための改良された製造方法を提供することにある。
【0032】
本発明の目的の一つは、ユーザのニーズに合わせて広範囲の溶媒に溶かした状態で、たとえば、親水性溶媒に溶かした状態でも疎水性溶媒に溶かした状態でも提供できるコバルト・ニッケルナノ粒子コロイドを量産レベルで、安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は前記の課題を解決せんとしてなされたものである。
【0034】
以下、課題を解決するためになした本発明についてさらに具体的に説明する。
【0035】
課題を解決するためになされた本発明の例としての第1の発明(以下、発明1という)は、粒子のサイズがナノメーターレベルの金属微粒子を含む金属ナノ粒子コロイドを用いて製造した二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法の発明で、前記二元金属ナノ粒子コロイドを製造するのに用いる前記金属ナノ粒子コロイドは化学的還元作用等の化学的製造方法によらずに製造された金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子コロイドは前記金属ナノ粒子コロイドを構成する金属の種類が異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して二元金属ナノ粒子コロイドを製造する工程を経て製造されたものであり、混合する前記異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドのうちの1種類の金属ナノ粒子コロイドの前記金属がコバルトである金属ナノ粒子コロイド(以下、コバルトナノ粒子コロイドという)であり、他の1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは前記金属がニッケルである金属ナノ粒子コロイド(以下、ニッケルナノ粒子コロイドという)であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0036】
発明1を展開してなされた本発明の例としての第2の発明(以下、発明2という)は、発明1に記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドとニッケルナノ粒子コロイドは、それぞれ減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等によりコバルトあるいはニッケルを移動可能状態にしたものを、溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤の移動体に結合させて金属ナノ粒子を収集することを繰り返して金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の濃度を高める工程を経て製造された金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0037】
発明1または2を展開してなされた本発明の例としての第3の発明(以下、発明3という)は、発明1または2に記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドが溶媒に希釈されていないポリオキシアルキレンアミンを分散剤および/または溶媒として(すなわち、ポリオキシアルキレンアミンを分散剤としての役割または溶媒としての役割あるいはその両方の役割を持たせて)製造する金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0038】
発明1〜3を展開してなされた本発明の例としての第4の発明(以下、発明4という)は、発明1〜3のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の粒子サイズが20nm以下で任意のサイズに制御されていることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0039】
発明1〜4を展開してなされた本発明の例としての第5の発明(以下、発明5という)は、発明1〜4のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の平均粒子サイズが2〜6nmであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0040】
発明1〜5を展開してなされた本発明の例としての第6の発明(以下、発明6という)は、発明1〜5のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、二種類の金属ナノ粒子コロイドを混合する方法が撹拌羽を用いる混合方法であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0041】
発明1〜6を展開してなされた本発明の例としての第7の発明(以下、発明7という)は、発明1〜6のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、二種類の金属ナノ粒子コロイドを混合する方法が超音波を用いることができる混合方法であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0042】
発明1〜7を展開してなされた本発明の例としての第8の発明(以下、発明8という)は、発明1〜7のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記熱処理にヒータによる加熱手段を用いることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0043】
発明1〜8を展開してなされた本発明の例としての第9の発明(以下、発明9という)は、発明1〜8のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記熱処理手段としてマイクロ波を用いることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0044】
発明1〜9を展開してなされた本発明の例としての第10の発明(以下、発明10という)は、発明1〜9のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドの界面活性剤が互いに異なる界面活性剤であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0045】
発明10を展開してなされた本発明の例としての第11の発明(以下、発明11という)は、発明10に記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドのリガンドの分子量が前記ニッケルナノ粒子コロイドのリガンドの分子量よりも小さいことを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法である。
【0046】
課題を解決するためになされた本発明の例としての第12の発明(以下、発明12という)は、金属ナノ粒子コロイドを用いて製造した二元金属ナノ粒子コロイドの発明で、前記二元金属ナノ粒子コロイドを製造するのに用いる前記金属ナノ粒子コロイドは化学的還元作用等の化学的製造方法によらずに製造された金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子コロイドは前記金属ナノ粒子コロイドを構成する金属の種類が異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して二元金属ナノ粒子コロイドを製造する工程を経て製造されたものであり、混合する前記異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドのうちの1種類の金属ナノ粒子コロイドはコバルトナノ粒子コロイドであり、他の1種類の前記金属ナノ粒子コロイドはニッケルナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0047】
発明12を展開してなされた本発明の例としての第13の発明(以下、発明13という)は、発明12に記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記コバルトナノ粒子コロイドとニッケルナノ粒子コロイドが、それぞれ減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等によりコバルトあるいはニッケルを移動可能状態にしたものを、溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤の移動体に結合させて金属ナノ粒子を収集することを繰り返して金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の濃度を高める工程を経て製造されたものであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0048】
発明12または13を展開してなされた本発明の例としての第14の発明(以下、発明14という)は、発明12または13に記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドが溶媒に希釈されていないポリオキシアルキレンアミンを分散剤および/また溶媒としている金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0049】
発明12〜14を展開してなされた本発明の例としての第15の発明(以下、発明15という)は、発明12〜14のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の粒子サイズが20nm以下で任意のサイズに制御されていることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0050】
発明12〜15を展開してなされた本発明の例としての第16の発明(以下、発明16という)は、発明12〜15のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の平均粒子サイズが2〜6nmであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0051】
発明12〜16を展開してなされた本発明の例としての第17の発明(以下、発明17という)は、発明12〜16のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドが単結晶化した二元金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0052】
発明12〜17を展開してなされた本発明の例としての第18の発明(以下、発明18という)は、発明12〜17のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドが合金化した二元金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0053】
発明12〜18を展開してなされた本発明の例としての第19の発明(以下、発明19という)は、発明12〜18のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドが異方的に相分離した二元金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0054】
発明12〜19を展開してなされた本発明の例としての第20の発明(以下、発明20という)は、発明12〜19のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドの界面活性剤が互いに異なる界面活性剤であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0055】
発明20を展開してなされた本発明の例としての第21の発明(以下、発明21という)は、発明20に記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記コバルトナノ粒子コロイドのリガンドの分子量が前記ニッケルナノ粒子コロイドのリガンドの分子量よりも小さいことを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドである。
【0056】
課題を解決するためになされた本発明の例としての第22の発明(以下、発明22という)は、金属ナノ粒子コロイドを用いて製造した二元金属ナノ粒子の製造方法の発明で、前記二元金属ナノ粒子を製造するのに用いる前記金属ナノ粒子コロイドは化学的還元作用等の化学的製造方法によらずに製造された金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子コロイドは前記金属ナノ粒子コロイドを構成する金属の種類が異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して二元金属ナノ粒子コロイドを製造する工程を経て製造されたものであり、混合する前記異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドのうちの1種類の金属ナノ粒子コロイドはコバルトナノ粒子コロイドで、他の1種類の前記金属ナノ粒子コロイドはニッケルナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子は前記二元金属ナノ粒子コロイドの金属ナノ粒子を担持する担体に前記二元金属ナノ粒子コロイド中の前記二元金属ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0057】
発明22を展開してなされた本発明の例としての第23の発明(以下、発明23という)は、発明22に記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により金属を移動可能状態にしたものを、溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤の移動体に結合させて金属ナノ粒子を収集することを繰り返して金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の濃度を高める工程を経て製造された金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0058】
発明22または23を展開してなされた本発明の例としての第24の発明(以下、発明24という)は、発明22または23に記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドが溶媒に希釈されていないポリオキシアルキレンアミンを分散剤および/または溶媒とする金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0059】
発明22〜24を展開してなされた本発明の例としての第25の発明(以下、発明25という)は、発明22〜24のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の粒子サイズが20nm以下で任意のサイズに制御されていることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0060】
発明22〜25を展開してなされた本発明の例としての第26の発明(以下、発明26という)は、発明22〜25のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の平均粒子サイズが2〜6nmであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0061】
発明22〜26を展開してなされた本発明の例としての第27の発明(以下、発明27という)は、発明22〜26のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドが前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して造られた二元ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0062】
発明22〜27を展開してなされた本発明の例としての第28の発明(以下、発明28という)は、発明22〜27のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、複数種類の金属ナノ粒子コロイドを混合する方法が撹拌羽を用いる混合方法であることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0063】
発明22〜28を展開してなされた本発明の例としての第29の発明(以下、発明29という)は、発明22〜28のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、複数種類の金属ナノ粒子コロイドを混合する方法が超音波を用いることができる混合方法であることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0064】
発明22〜29を展開してなされた本発明の例としての第30の発明(以下、発明30という)は、発明22〜29のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記熱処理にヒータによる加熱手段を用いることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0065】
発明22〜30を展開してなされた本発明の例としての第31の発明(以下、発明31という)は、発明22〜30のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記熱処理手段としてマイクロ波を用いることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0066】
発明22〜31を展開してなされた本発明の例としての第32の発明(以下、発明32という)は、発明22〜31のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドの界面活性剤が互いに異なる界面活性剤であることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0067】
発明32を展開してなされた本発明の例としての第33の発明(以下、発明33という)は、発明32に記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドのリガンドの分子量が前記ニッケルナノ粒子コロイドのリガンドの分子量よりも小さいことを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法である。
【0068】
課題を解決するためになされた本発明の例としての第34の発明(以下、発明34という)は、金属ナノ粒子コロイドを用いて製造した二元金属ナノ粒子の発明で、前記二元金属ナノ粒子を製造するのに用いる前記金属ナノ粒子コロイドは化学的還元作用等の化学的製造方法によらずに製造された金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子コロイドは前記金属ナノ粒子コロイドを構成する金属の種類が異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して二元金属ナノ粒子コロイドを製造する工程を経て製造されたものであり、混合する前記異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドのうちの1種類の金属ナノ粒子コロイドはコバルトナノ粒子コロイドであり、他の1種類の前記金属ナノ粒子コロイドはニッケルナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子は前記二元金属ナノ粒子コロイドの金属ナノ粒子を担持する担体に前記二元金属ナノ粒子コロイド中の前記二元金属ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0069】
発明34を展開してなされた本発明の例としての第35の発明(以下、発明35という)は、発明34に記載の二元金属ナノ粒子において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により金属を移動可能状態にしたものを、溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤の移動体に結合させて金属ナノ粒子を収集することを繰り返して金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の濃度を高める工程を経て製造された金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0070】
発明34または35を展開してなされた本発明の例としての第36の発明(以下、発明36という)は、発明34または35に記載の二元金属ナノ粒子において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドが溶媒に希釈されていないポリオキシアルキレンアミンを分散剤および/また溶媒としている金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0071】
発明34〜36を展開してなされた本発明の例としての第37の発明(以下、発明37という)は、発明34〜36のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドが前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して造られた二元ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0072】
発明34〜37を展開してなされた本発明の例としての第38の発明(以下、発明38という)は、発明34〜37のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記熱処理にヒータによる加熱手段を用いたことを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0073】
発明34〜38を展開してなされた本発明の例としての第39の発明(以下、発明39という)は、発明34〜38のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記熱処理手段としてマイクロ波を用いたことを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0074】
発明34〜39を展開してなされた本発明の例としての第40の発明(以下、発明40という)は、発明34〜39のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の粒子サイズが20nm以下で任意のサイズに制御されていることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0075】
発明34〜40を展開してなされた本発明の例としての第41の発明(以下、発明41という)は、発明34〜40のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の平均粒子サイズが2〜6nmであることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0076】
発明34〜41を展開してなされた本発明の例としての第42の発明(以下、発明42という)は、発明34〜41のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドがコバルトとニッケルの二元金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子が単結晶化した二元金属ナノ粒子であることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0077】
発明34〜42を展開してなされた本発明の例としての第43の発明(以下、発明43という)は、発明34〜42のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドがコバルトとニッケルの二元金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子が合金化した二元金属ナノ粒子であることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0078】
発明34〜43を展開してなされた本発明の例としての第44の発明(以下、発明44という)は、発明34〜43のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドがコバルトとニッケルの二元金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子が異方的に相分離した二元金属ナノ粒子であることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0079】
発明34〜44を展開してなされた本発明の例としての第45の発明(以下、発明45という)は、発明34〜44のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドの界面活性剤が互いに異なる界面活性剤であることを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【0080】
発明34〜45を展開してなされた本発明の例としての第46の発明(以下、発明46という)は、発明34〜45のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記コバルトナノ粒子コロイドのリガンドの分子量が前記ニッケルナノ粒子コロイドのリガンドの分子量よりも小さいことを特徴とする二元金属ナノ粒子である。
【発明の効果】
【0081】
以上説明したように、 本発明によれば、還元反応を用いる化学的な方法によらずに、コロイド中に不純物、副生成物等の混入を心配をしなくて良い、高純度で、高濃度のコバルト・ニッケルナノ粒子コロイドおよびコバルト・ニッケルナノ粒子を安価に提供することができる。
【0082】
さらに、本発明のコバルト・ニッケルナノ粒子コロイド、コバルト・ニッケルナノ粒子の製造過程において、界面活性剤の溶媒を用いずに界面活性剤だけで金属ナノ粒子を収集した金属ナノ粒子コロイドを製造することができるので、ユーザーの要望に合わせて広範囲の溶媒に溶かした状態で、たとえば、親水性の溶媒や疎水性の溶媒に溶かして提供することができる。
【0083】
そして、本発明のコバルト・ニッケルナノ粒子は、極めて高い触媒作用を示すなど、これまでには実現できなかった金属ナノ粒子としての高い物性を示し、自動車産業、電池、エレクトロニクス、バイオテクノロジー業界等広い分野の工業的発展に大きく寄与するという多大な効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0084】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明の例を理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、配置関係などを概略的に示してある。そして本発明の説明の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、本発明の例の説明に用いる図は、必ずしも実施例などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成成分については同一の番号を付けて示し、説明の重複を避けることもある。
【0085】
前記のように本発明に用いている技術の基本思想の特筆すべき特徴は、二元金属ナノ粒子コロイドを造る基礎となる金属ナノ粒子コロイドを、従来の金属ナノ粒子コロイド製造の主流ともいうべき化学的製造方法を用いずに、さらに、減圧雰囲気中あるいは真空中において蒸発させた金属粒子を、界面活性剤を溶媒に溶かして希釈して流動化させた膜状移動体によって捕捉する従来の物理的な製造方法とは異なり、界面活性剤の溶媒を用いずに、界面活性剤そのものによる膜状移動体によって金属ナノ粒子を捕捉するすなわち配意することにより製造したところにある。この従来と異なる製造方法を用いたことによって、従来は無理と思われていたほどの高純度で高濃度で粒径の極めて高度に制御された金属ナノ粒子コロイドを量産できるようになったことである。そして、本発明によりこの優れた金属ナノ粒子コロイドを2種類混合して熱処理することによって、粒径のそろった、二元金属ナノ粒子を安定して量産できるようになったことである。
【0086】
後述するように、本発明の金属ナノ粒子コロイドは、界面活性剤を流動状態で減圧あるいは真空状態の回転する真空室(真空チャンバー)の内壁に沿って、内壁の回転とともに回転させ、蒸発した金属ナノ粒子を真空チャンバー内壁の界面活性剤に結合させてコロイド状態にするものである。また、界面活性剤を希釈剤で希釈することなく使用することができるため、ナノ粒子コロイドの製造能力を従来の十倍以上にできるようになり、その製造コストを従来のコストより大幅に低減することができる。
【0087】
以下、本発明の実施の形態例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、二元金属ナノ粒子コロイド、二元金属ナノ粒子およびそれらの製造方法に関する発明であるが、説明の重複を避けるために、以下の説明において、たとえば金属ナノ粒子コロイドの製造の説明で金属ナノ粒子コロイドや金属ナノ粒子の説明も兼ねるなど、1つの形態の説明で他の形態の説明も兼ねることがある。
【0088】
図1は、本発明のコバルトナノ粒子コロイド、ニッケルナノ粒子コロイドを製造する装置の要部の断面図である。符号21は真空チャンバー、21aは真空チャンバー(真空槽)の内壁、21bは真空チャンバーの外壁、22は原料金属であるコバルトあるいはニッケルを蒸発させる坩堝(ルツボ)、23は蒸発させる原料金属、24はルツボから蒸発した金属線束、25と26は界面活性剤、27は金属ナノ粒子コロイド、28と29は矢印である。
【0089】
図1において、真空チャンバー21の下方に、適量の界面活性剤25を液状にしてためておき、真空チャンバー21をルツボ中の原料金属を蒸発させるのに適した所定の真空度に排気し、真空チャンバー21を矢印28の方向に回転させる。液状になっている界面活性剤25は、回転する真空チャンバー21の内壁21aについて膜状の界面活性剤26となって液状で真空チャンバーの内壁21aに沿って矢印28方向に移動する。ルツボ22の発熱源(図示せず)に電流を通じると、蒸発した原料金属であるコバルトあるいはニッケルは金属線束24となって真空チャンバー21の上方に向けて飛んで、真空チャンバー21の内壁21aに沿って移動している膜状の界面活性剤26の位置に到達し、界面活性剤26に結合してコバルトあるいはニッケルの金属ナノ粒子コロイドの状態となる。金属ナノ粒子と結合した膜状の界面活性剤26はそのまま矢印29の方向に移動し続け、真空チャンバー21の下方にたまっている液状の界面活性剤25にとけ込む。
【0090】
金属ナノ粒子コロイドを含んだ界面活性剤は、回転する真空チャンバー21の内壁21aについて金属ナノ粒子コロイドを含んだ膜状の界面活性剤26となって真空チャンバーの内壁21aと共に矢印28方向に移動する。
【0091】
この操作を所定時間続け、移動する膜状の界面活性剤26は蒸発してくる金属と結合し続けて、界面活性剤中の金属ナノ粒子コロイドの金属ナノ粒子の濃度が高められる。
【0092】
ルツボ22に製造計画に合わせた量の原料金属を入れ、真空チャンバー21の下方に製造計画に合わせた量の界面活性剤を入れて前記工程を行うが、従来の方法とは異なり、界面活性剤25と26中の金属ナノ粒子の濃度が、従来ならば溶媒に希釈された界面活性剤が真空チャンバー21の上方に達したときに、界面活性剤が真空チャンバー21の内壁についていることができずに落下してしまう恐れのある濃度を大幅に上まわる濃度になっても、本願の方法では落下させずに生産を続けることができ、金属ナノ粒子コロイドの金属ナノ粒子の濃度を高め続けることができる。
【0093】
ルツボ内の原料金属が所定量の残量になるまで装置の作動を止めないで界面活性剤による金属ナノ粒子の収集を続けることができるので、段取り工程が短時間で済み、製造コストを大幅に低減することができる。そして、この方法により製造した金属ナノ粒子コロイドは、不純物が少なく高濃度の金属ナノ粒子コロイドであり、製造後市場に出すときに、界面活性剤だけで製造した金属ナノ粒子コロイドを溶媒に溶かさずにそのままで供給することもでき、あるいは、ユーザの要望に合わせて、ヘキサンやトルエンなどの疎水性溶媒や水やアルコールなどの親水性溶媒といった各種溶媒に溶かして供給することができる。これは、従来の物理的製造方法による金属ナノ粒子コロイドに比べて大きな利点である。
【0094】
前記実施の形態例における界面活性剤の特に好ましい例として、ポリオキシアルキレンアミンを用いることができる。この界面活性剤は常温において固体であるが、融点以上の温度に制御することによって適度な粘度を有する液状になる。この方法を用いて、界面活性剤を低粘度の液状にすることができ、所定量の界面活性剤が真空チャンバー21の下部にたまっている状態にすることができる。液状の界面活性剤25の量を造りたい金属ナノ粒子コロイドに適した量にして真空チャンバー21の下部に入れ、真空チャンバー21を所定の速度で回転させると、界面活性剤25の一部が真空チャンバー21の内壁21aに引っ張られて、内壁21aとともに移動し、膜状の界面活性剤26として真空チャンバー21内を移動する。
【0095】
界面活性剤ポリオキシアルキレンアミンを前記のような液状にするにはいくつかの方法がある。安価で簡便な方法の一例は、真空チャンバー21の外側下方に、真空チャンバー21の下部の界面活性剤25が入っている部分に対応する真空チャンバー21の外壁21bの少なくとも一部が浸るような浴槽(液貯め)を設け、真空チャンバー21の外壁21bの上方から一定温度の液体をかけて温度の制御をすることによって実現することができる。
【0096】
ルツボから蒸発した金属は、真空チャンバー21上部内壁の液状で膜状の界面活性剤26に達し、収集される。界面活性剤26は、移動しながら蒸発金属を収集し、真空チャンバー21の下方に溜まっている液状の界面活性剤25に混ざる。これを繰り返し、粒径がそろった極めて均質で濃度の高い金属ナノ粒子コロイドを製造することができる。
【0097】
本発明の一つの好適な例では、前記界面活性剤に結合した金属ナノ粒子の量は、界面活性剤100%の分散剤の量に対して、粒径が2〜6nmのナノ粒子が20%得られた。これは、特許文献5に記載された製造方法と比較して、10倍以上の高い割合いで、得られたナノ粒子コロイドの品質の良さのみならず、量産コストの大幅な低減をもたらすものである。
【0098】
さらに、蒸発した金属を収集するのに、従来の界面活性剤を溶媒で希釈したものを使用せずに界面活性剤100%のものを使用した効果として、ナノ粒子の粒子サイズの制御効果を上げることができる。
【0099】
ルツボの加熱条件、真空系、温度の管理の元に、量産時のコバルトナノ粒子とニッケルナノ粒子の粒径は、2〜3nmに揃えることができた。
【0100】
従来の界面活性剤を溶媒で希釈したものを使用した場合は粒子の成長と粒子サイズのバラツキが大きく、真空チャンバーの回転速度を高速にしてナノ粒子のサイズを揃えることが記載されているが、真空系を良好に保つための部品寿命が短くなること、粒子サイズのばらつきを充分に押さえるのが難しいことなど、大きな問題があり、量産は難しい。
【0101】
これに対して、本発明の場合は、真空チャンバーの回転速度を低速にすることができ、界面活性剤100%のものを使用した製造方法によると粒子サイズの成長現象を効果的に抑えることができ、20nm以下で粒子サイズが極めてよく制御されたナノ粒子コロイドを量産することができた。
【0102】
前記のようにして、コバルトナノ粒子コロイド、ニッケルナノ粒子コロイドを作製し、各コロイド中の金属ナノ粒子の粒径を電子顕微鏡により調べたところ、2〜6nmの粒径で粒径のそろった、高濃度の金属ナノ粒子コロイドを量産レベルで作製することができることがわかった。特に、界面活性剤として前記ポリオキシアルキレンアミンを用いて、2〜3nmの粒径の極めてよくそろった金属ナノ粒子コロイドを量産レベルで作製できた。
【0103】
図2は、本発明の実施の形態例として、蒸発金属との結合媒体として100%界面活性剤を用いて製造したニッケルナノ粒子コロイドの透過型電子顕微鏡写真で、倍率は30万倍である。図中に5nmの指標が記載されており、概ね3nm以下の極めてよくそろった粒径のニッケルナノ粒子が界面活性剤中に均質に分布しているのがわかる。
【0104】
図3は、本発明の実施の形態例として、図2のニッケルナノ粒子コロイドを150度Cで2時間加熱処理をしたものの透過型電子顕微鏡写真で、倍率は30万倍である。10nm以下の粒子が大半で、均質に分布している。
【0105】
図4は、本発明の実施の形態例として、図1を用いて説明した本発明の製造方法で製造した金属の種類が異なる2種類の金属コロイドを混合し、熱処理をして二元金属ナノ粒子コロイドを作成する方法をモデル的に説明する図である。図4(A)でそれぞれ容器に入れた第一の金属ナノ粒子コロイドとしてニッケルナノ粒子コロイド31と第二の金属ナノ粒子コロイドとしてコバルトナノ粒子コロイド32を用意し、図4(B)で1つの容器にニッケルナノ粒子コロイド31とコバルトナノ粒子コロイド32を混合した混合金属ナノ粒子コロイド33を入れて撹拌羽で撹拌し、図4(C)で矢印34の方向から加熱する。
【0106】
図5と図6は、本発明の実施の形態例として、図4で説明をしたような方法で、本発明の二元金属ナノ粒子コロイドを造る方法をさらに詳しく説明する模式図である。
【0107】
符号35は第一の金属ナノ粒子、36は第一の金属ナノ粒子35と結合している配位子としての界面活性剤(以下、リガンドともいう)、37は第二の金属ナノ粒子、38は第二の金属ナノ粒子37と結合しているリガンド、39は第一の金属ナノ粒子35と第二の金属ナノ粒子37でできた合金ナノ粒子、40は合金ナノ粒子39と結合しているリガンド、41は第3の金属ナノ粒子、42は第三の金属ナノ粒子41と結合しているリガンド、43は第四の金属ナノ粒子、44は第四の金属ナノ粒子43と結合しているリガンド、50は異方性相分離金属ナノ粒子である。
【0108】
図5は、リガンド36とリガンド38として同じ界面活性剤を用いた場合の例で、さらに、熱処理条件を制御して、第一の金属ナノ粒子35と第二の金属ナノ粒子37が均質に混合されて合金ナノ粒子をつくった例を示している。
【0109】
図6は、例えば第三の金属ナノ粒子41の固相反応の活性度にくらべて第四の金属ナノ粒子43の固相反応の活性度が明確に高い場合に、本発明により前者のリガンドを後者のリガンドより短いものすなわち分子量の小さいものを用いた場合の例を示している。
【0110】
図7は図6で説明した二元金属ナノ粒子の例として異方性相分離構造の二元金属ナノ粒子をつくった例を説明する図で、符号45は二元ナノ粒子の例としての二元ナノ粒子を構成する異方性相分離構造を示す最小単位としての単位ナノ粒子、45aは二元ナノ粒子45を形成する第一の金属部分、45bは二元ナノ粒子45を形成する第二の金属部分で、第一の金属と第二の金属が均等に分布するのではなく、主として第一の金属が分布している部分である第一の金属部分45aと主として第二の金属が分布している部分である第二の金属部分45bとが偏って分布する異方性相分離構造の単位ナノ粒子45が界面活性剤中に分布するコロイドになっている。
【0111】
たとえば、固相反応の活性度が大きく異なる性質を利用して、これら2種類の金属ナノ粒子に対して、図6で説明したようなリガンドの分子量の異なる界面活性剤を用いて2種類の金属ナノ粒子コロイドをつくり、図4の方法を用いてこの2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を行い図6のような二元金属ナノ粒子を作製することができる。
【0112】
固相反応の活性度が大きく異なる第一の金属と第二の金属について、二元金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の一方の側が第一の金属が主として存在する第一の金属部分45aになり他方の側が第二の金属が主として存在する第二の金属部分45bになるように二元金属ナノ粒子を形成した試料は、合金化した試料に比べて良好な固相反応の活性度を示した。
【0113】
図1の方法で作成したコバルトの金属ナノ粒子コロイドとニッケルの金属ナノ粒子コロイドとを図4の方法を用いて混合し、210度Cで熱処理を行い作製した二元金属ナノ粒子を、高分解能電子顕微鏡撮影とEELS(電子エネルギー損失分光法)によるエネルギーフィルター像を撮影したところ、概ね同じ粒子の形状が同じ場所に撮影され、その部分にコバルトのピークとしての779eVのピークとニッケルのピークとしての855eVのピークを明確に観測することができた。この二元金属ナノ粒子コロイドは、基礎となる2種類の金属ナノ粒子コロイドを同じ界面活性剤を用いて作製し、図5の状態になった二元金属ナノ粒子である。
【0114】
図8は担体により二元金属ナノ粒子が担持されている様子を説明する模式図で、符号46は二元金属ナノ粒子を担持した状態の担体、47は担体、48は二元金属ナノ粒子である。
【0115】
前記担体としては、ジルコニア、アルミナ、セリアなどのセラミック、酸化鉄、カーボン、テフロン(登録商標)系の担体など、金属ナノ粒子の使用環境やユーザの要望によって適切なものを用いることができる。
【0116】
以上本発明を説明したが、本発明の技術思想からも明らかなように、本発明はこれに狭く限定されるものではなく、多くのバリエーションを可能とするものである。
【0117】
例えば、本発明によって、ニッケルとコバルトに他の金属を入れた三元金属ナノ粒子を高純度、高濃度に含む三元金属ナノ粒子コロイドを作製し、ユーザの要望に応じて任意の濃度にした三元金属ナノ粒子コロイドを安価に提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上説明したように、本発明によるコバルト・ニッケル二元金属ナノ粒子は、自動車、電池、エレクトロニクス、バイオテクノロジーなど多くの分野で活用し、各分野に多大なる工業的進歩をもたらすことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施の形態例としての金属ナノ粒子コロイドを製造する装置の要部の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態例としてのニッケルナノ粒子コロイドの透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の実施の形態例として、図2のニッケルナノ粒子コロイドを150度Cで2時間加熱処理をしたものの透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施の形態例としての二元金属ナノ粒子コロイドを作成する方法をモデル的に説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態例として、二元ナノ粒子コロイドを造る方法をさらに詳しく説明する模式図である。
【図6】本発明の実施の形態例として、二元ナノ粒子コロイドを造る方法をさらに詳しく説明する模式図である。
【図7】異方性相分離構造を説明する図である。
【図8】担体により金属ナノ粒子あるいは二元金属ナノ粒子が担持されている様子を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0120】
21:真空チャンバー
21a:真空チャンバーの内壁
22:坩堝(ルツボ)
23:原料金属
24:蒸発金属線束
25,26:界面活性剤
27:金属ナノ粒子コロイド
28,29,34:矢印
31:第一の金属ナノ粒子コロイドとしてのニッケルナノ粒子コロイド
32:第二の金属ナノ粒子コロイドとしてのコバルトナノ粒子コロイド
33:混合金属コロイド
35:第1の金属ナノ粒子
36,38,40,42,44:リガンド
37:第2の金属ナノ粒子
39:第1の金属ナノ粒子35と第2の金属ナノ粒子37でできた合金ナノ粒子
41:第3の金属ナノ粒子
43:第4の金属ナノ粒子
45:異方性相分離構造を示す単位ナノ粒子
45a:第1の金属部分
45b:第2の金属部分
46:金属ナノ粒子あるいは二元金属ナノ粒子を担持した状態の担体
47:担体
48:担持された金属ナノ粒子あるいは二元金属ナノ粒子
50:異方性相分離金属ナノ粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子のサイズがナノメーターレベルの金属微粒子を含む金属ナノ粒子コロイドを用いて製造した二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記金属ナノ粒子コロイドは化学的還元作用等の化学的製造方法によらずに製造された金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子コロイドは前記金属ナノ粒子コロイドを構成する金属の種類が異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して二元金属ナノ粒子コロイドを製造する工程を経て製造されたものであり、混合する前記異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドのうちの1種類の金属ナノ粒子コロイドの前記金属がコバルトである金属ナノ粒子コロイド(以下、コバルトナノ粒子コロイドという)であり、他の1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは前記金属がニッケルである金属ナノ粒子コロイド(以下、ニッケルナノ粒子コロイドという)であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドとニッケルナノ粒子コロイドは、それぞれ減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等によりコバルトあるいはニッケルを移動可能状態にしたものを、溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤の移動体に結合させて金属ナノ粒子を収集することを繰り返して金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の濃度を高める工程を経て製造された金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドが溶媒に希釈されていないポリオキシアルキレンアミンを分散剤および/または溶媒とする金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の粒子サイズが20nm以下で任意のサイズに制御されていることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の平均粒子サイズが2〜6nmであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、二種類の金属ナノ粒子コロイドを混合する方法が撹拌羽を用いる混合方法であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、二種類の金属ナノ粒子コロイドを混合する方法が超音波を用いることができる混合方法であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記熱処理にヒータによる加熱手段を用いることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記熱処理手段としてマイクロ波を用いることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドの界面活性剤が互いに異なる界面活性剤であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドのリガンドの分子量が前記ニッケルナノ粒子コロイドのリガンドの分子量よりも小さいことを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイドの製造方法。
【請求項12】
粒子のサイズがナノメーターレベルの金属微粒子を含む金属ナノ粒子コロイドを用いて製造した二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記金属ナノ粒子コロイドは化学的還元作用等の化学的製造方法によらずに製造された金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子コロイドは前記金属ナノ粒子コロイドを構成する金属の種類が異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して二元金属ナノ粒子コロイドを製造する工程を経て製造されたものであり、混合する前記異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドのうちの1種類の金属ナノ粒子コロイドは前記金属がコバルトである金属ナノ粒子コロイド(以下、コバルトナノ粒子コロイドという)であり、他の1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは前記金属がニッケルである金属ナノ粒子コロイド(以下、ニッケルナノ粒子コロイドという)であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項13】
請求項12に記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記コバルトナノ粒子コロイドとニッケルナノ粒子コロイドが、それぞれ減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等によりコバルトあるいはニッケルを移動可能状態にしたものを、溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤の移動体に結合させて金属ナノ粒子を収集することを繰り返して金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の濃度を高める工程を経て製造されたものであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項14】
請求項12または13に記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドが溶媒に希釈されていないポリオキシアルキレンアミンを分散剤および/また溶媒としている金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の粒子サイズが20nm以下で任意のサイズに制御されていることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の平均粒子サイズが2〜6nmであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドが単結晶化した二元金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドが合金化した二元金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記二元金属ナノ粒子コロイドが異方的に相分離した二元金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドの界面活性剤が互いに異なる界面活性剤であることを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項21】
請求項20に記載の二元金属ナノ粒子コロイドにおいて、前記コバルトナノ粒子コロイドのリガンドの分子量が前記ニッケルナノ粒子コロイドのリガンドの分子量よりも小さいことを特徴とする二元金属ナノ粒子コロイド。
【請求項22】
粒子のサイズがナノメーターレベルの金属微粒子を含む金属ナノ粒子コロイドを用いて製造した二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記金属ナノ粒子コロイドは化学的還元作用等の化学的製造方法によらずに製造された金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子コロイドは前記金属ナノ粒子コロイドを構成する金属の種類が異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して二元金属ナノ粒子コロイドを製造する工程を経て製造されたものであり、混合する前記異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドのうちの1種類の金属ナノ粒子コロイドは前記金属がコバルトである金属ナノ粒子コロイド(以下、コバルトナノ粒子コロイドという)であり、他の1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは前記金属がニッケルである金属ナノ粒子コロイド(以下、ニッケルナノ粒子コロイドという)であり、前記二元金属ナノ粒子は前記二元金属ナノ粒子コロイドの金属ナノ粒子を担持する担体に前記二元金属ナノ粒子コロイド中の前記二元金属ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項23】
請求項22に記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により金属を移動可能状態にしたものを、溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤の移動体に結合させて金属ナノ粒子を収集することを繰り返して金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の濃度を高める工程を経て製造された金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドが溶媒に希釈されていないポリオキシアルキレンアミンを分散剤および/または溶媒とする金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の粒子サイズが20nm以下で任意のサイズに制御されていることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項26】
請求項22〜25のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の平均粒子サイズが2〜6nmであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項27】
請求項22〜26のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記二元金属ナノ粒子コロイドが前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して造られた二元ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項28】
請求項22〜27のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、複数種類の金属ナノ粒子コロイドを混合する方法が撹拌羽を用いる混合方法であることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項29】
請求項22〜28のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、複数種類の金属ナノ粒子コロイドを混合する方法が超音波を用いることができる混合方法であることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項30】
請求項22〜29のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記熱処理にヒータによる加熱手段を用いることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項31】
請求項22〜30のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記熱処理手段としてマイクロ波を用いることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項32】
請求項22〜31のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドの界面活性剤が互いに異なる界面活性剤であることを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項33】
請求項32に記載の二元金属ナノ粒子の製造方法において、前記コバルトナノ粒子コロイドのリガンドの分子量が前記ニッケルナノ粒子コロイドのリガンドの分子量よりも小さいことを特徴とする二元金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項34】
粒子のサイズがナノメーターレベルの金属微粒子を含む金属ナノ粒子コロイドを用いて製造した二元金属ナノ粒子において、前記金属ナノ粒子コロイドは化学的還元作用等の化学的製造方法によらずに製造された金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子コロイドは前記金属ナノ粒子コロイドを構成する金属の種類が異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して二元金属ナノ粒子コロイドを製造する工程を経て製造されたものであり、混合する前記異なる2種類の金属ナノ粒子コロイドのうちの1種類の金属ナノ粒子コロイドは前記金属がコバルトである金属ナノ粒子コロイド(以下、コバルトナノ粒子コロイドという)であり、他の1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは前記金属がニッケルである金属ナノ粒子コロイド(以下、ニッケルナノ粒子コロイドという)であり、前記二元金属ナノ粒子は前記二元金属ナノ粒子コロイドの金属ナノ粒子を担持する担体に前記二元金属ナノ粒子コロイド中の前記二元金属ナノ粒子を担持させたものであることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項35】
請求項34に記載の二元金属ナノ粒子において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドは、減圧雰囲気中あるいは真空中で蒸発等により金属を移動可能状態にしたものを、溶媒に溶解させずに流動状にした膜状界面活性剤の移動体に結合させて金属ナノ粒子を収集することを繰り返して金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の濃度を高める工程を経て製造された金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項36】
請求項34または35に記載の二元金属ナノ粒子において、少なくとも1種類の前記金属ナノ粒子コロイドが溶媒に希釈されていないポリオキシアルキレンアミンを分散剤および/また溶媒としている金属ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項37】
請求項34〜36のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドが前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドを混合し、熱処理を施して造られた二元ナノ粒子コロイドであることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項38】
請求項34〜37のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記熱処理にヒータによる加熱手段を用いたことを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項39】
請求項34〜38のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記熱処理手段としてマイクロ波を用いたことを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項40】
請求項34〜39のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の粒子サイズが20nm以下で任意のサイズに制御されていることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項41】
請求項34〜40のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドをつくるのに混合する前の前記2種類の各金属ナノ粒子コロイド中の金属ナノ粒子の平均粒子サイズが2〜6nmであることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項42】
請求項34〜41のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドがコバルトとニッケルの二元金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子が単結晶化した二元金属ナノ粒子であることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項43】
請求項34〜42のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドがコバルトとニッケルの二元金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子が合金化した二元金属ナノ粒子であることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項44】
請求項34〜43のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記二元金属ナノ粒子コロイドがコバルトとニッケルの二元金属ナノ粒子コロイドであり、前記二元金属ナノ粒子が異方的に相分離した二元金属ナノ粒子であることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項45】
請求項34〜44のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記コバルトナノ粒子コロイドと前記ニッケルナノ粒子コロイドの界面活性剤が互いに異なる界面活性剤であることを特徴とする二元金属ナノ粒子。
【請求項46】
請求項34〜45のいずれかに記載の二元金属ナノ粒子において、前記コバルトナノ粒子コロイドのリガンドの分子量が前記ニッケルナノ粒子コロイドのリガンドの分子量よりも小さいことを特徴とする二元金属ナノ粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−150589(P2010−150589A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328898(P2008−328898)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(591020423)株式会社新光化学工業所 (10)
【Fターム(参考)】