説明

二光子吸収重合組成物

【課題】二光子吸収断面積が大きく、かつ二光子吸収により生成した励起状態から効率よく光重合できる高高率な二光子吸収重合組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも、(A)二光子吸収材料、(B)重合性化合物、(C)重合開始剤を含む二光子吸収重合組成物であって、前記(A)の二光子吸収材料が、非環状のパイ電子共役系を有し該共役系の末端の少なくとも一つが電子供与基で修飾された二光子吸収化合物と電子吸引性化合物とからなるものであることを特徴とする二光子吸収重合組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二光子吸収材料に関し、特に二光子吸収断面積が大きく、二光子吸収により生成した励起状態から効率よく光重合できる、増感二光子吸収材料を含む二光子吸収重合組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
二光子吸収材料とは、非共鳴領域の波長において分子を励起することが可能な材料であり、励起に用いた光子の2倍のエネルギー準位に、実励起状態が存在する材料のことである。
【0003】
ところで、二光子吸収現象とは、三次の非線形光学効果の一種で、分子が二つのフォトンを同時に吸収して、基底状態から励起状態へ遷移する現象であり、古くから知られていたがJean−LucBredas等が1998年に分子構造とメカニズムの関係を解明して以来(Science,281,1653 (1998))、近年になって二光子吸収能を有する材料に関する研究が進むようになった。
【0004】
しかしながらこのような二光子同時吸収の遷移効率は、一光子吸収に較べて極めて低く、極めて大きなパワー密度の光子を必要とするため、通常使用されるレーザ光強度では殆ど無視され、ピーク光強度(最大発光波長における光強度)が高いモード同期レーザのようなフェムト秒程度の極超短パルスレーザを用いると、観察されることが確認されている。
【0005】
二光子吸収の遷移効率は、印加する光電場の二乗に比例する(二光子吸収の二乗特性)。このため、レーザを照射した場合、レーザスポット中心部の電界強度の高い位置でのみ二光子の吸収が起こり、周辺部の電界強度の弱い部分では二光子の吸収は全く起こらない。三次元空間においては、レーザ光をレンズで集光した焦点の電界強度の大きな領域でのみ二光子吸収が起こり、焦点から外れた領域では電界強度が弱いために二光子吸収が全く起こらない。印加された光電場の強度に比例してすべての位置で励起が起こる一光子の線形吸収に比べて、二光子吸収は、この二乗特性に由来して空間内部のピンポイントのみでしか励起が起こらないため、空間分解能が著しく向上する。
【0006】
さらに、二光子吸収を誘起する場合には、化合物の線形吸収帯が存在する波長領域よりも長波長でかつ吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザを用いることが可能である。
二光子吸収の誘起には、化合物の線形吸収帯が存在しない、いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、かつ二光子吸収の二乗特性のために試料内部のピンポイントを高い空間分解能で励起できるため、超精密な光造形用途への開発が進められている。
【0007】
二光子光重合を行い、光造形等へ応用した例は以下の文献に記載されているB.H.Cumpston et al.,Nature.1999年,398巻,51頁[非特許文献1]、K.D.Belfieldet al.,J.Phys.Org.Chem.,2000年、13巻、837頁[非特許文献2]、C.Li et al.,Chem.Phys.Lett.,2001年、340巻、444頁[非特許文献3]、K.D.Belfieldet al.,J.Am.Chem.Soc.,2000年、122巻、1217頁[非特許文献4]、S.Maruo et al.,Oppt.Lett.,1997年、22巻、132頁[非特許文献5]
【0008】
また、二光子吸収材料に関しては、特開2005−213434号公報(特許文献1)、特開2005− 82507号公報(特許文献2)、特開2004−168690号公報(特許文献3)、特開2007−241168号公報(特許文献4)、特開2007−241170号公報(特許文献5)、特開2007−246422号公報(特許文献6)、特開2007−246463号公報(特許文献7)、特開2007−246790号公報(特許文献8)、特開2008−69294号公報(特許文献9)、特開2008−74708号公報(特許文献10)に開示がある。
【0009】
また、二光子吸収材料の増感技術に関しては、特許文献11の特表2004−503616号公報には、多成分多光子光開始剤により、光に曝された場所で酸またはラジカル開始化学反応を誘起することが開示され、特許文献12の特表2006−514709号公報には、多光子活性化可能な光反応性組成物を十分な光で照射し、酸またはラジカル開始化学反応を誘導することが開示され、特許文献13の特表2006−514711号公報には、酸またはラジカル開始化学反応を受けることができる反応性種と2つ以上の光子の吸収によって達成可能な電子励起状態を有する半導体ナノ粒子量子ドットの励起状態とを相互作用させ反応開始種を形成することが記載され、特許文献14の特開2006−330683号公報には、金属表面に発生する表面プラズモン増強場を発生させる金属の微粒子または金属で少なくとも一部を被覆された微粒子と多光子吸収材料とを混合することが開示され、特許文献15の特開2010−217579号公報には、二光子吸収特性が化学増感される系が開示されている。
【0010】
また、二光子吸収重合材料に関しては、特許文献16の特開2003−029404号公報には、チタノセン系化合物を含有し多光子励起により感光される組成物が開示され、特許文献17の特開2003−073410号公報には、両末端がアリール基又はヘテロ環基である2光子吸収材料と重合性モノマーもしくは重合性オリゴマーとを含有を含む組成物が開示され、特許文献18の特開2004−292475号公報には、重合開始剤が、1 ) 有機過酸化物系、2 ) ビスイミダゾール系、3 ) トリハロメチル置換トリアジン系、4 ) ジアゾニウム塩系、5 ) スルホニウム塩系、6 ) ホウ酸塩系、7 ) ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系、8 ) スルホニウム有機ホウ素錯体系、9 ) カチオン性2 光子吸収化合物有機ホウ素錯体系、1 0 ) アニオン性2 光子吸収化合物オニウム塩錯体系、1 1 ) 金属アレーン錯体系、1 2 ) スルホン酸エステル系の、重合開始剤のいずれかである2 光子吸収重合性組成物が開示され、特許文献19の特開2010−065083号公報には、(a)重合性化合物、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物及び(c)2光子吸収化合物を含有する2光子吸収重合性組成物が開示されている。
【0011】
しかし、いずれも二光子吸収化合物や重合開始剤等の個別の材料自体の選択・改良により重合効率向上を図ったもので、二光子吸収重合組成物全体の増感法に関するものではなく、これらの例では、以下の問題点がある。
1)二光子吸収化合物の二光子吸収断面積が小さい。
2)高い吸収能をもつ2光子吸収化合物を利用できずに、二光子吸収断面積の極めて低い重合開始剤に直接2光子吸収させている。
3)二光子吸収能が必要なため光量子収率の高い重合開始剤を利用できていない。
4)高効率な二光子吸収化合物と適切な重合開始剤との整合が悪く重合効率が低い等、現状の二光子吸収重合組成物ではその反応効率が低く、光造形を行うためには強いレーザを長時間照射しなければならず実用上問題であった。
【0012】
二光子吸収現象を利用すると、極めて高い空間分解能を特徴とする光造形が可能となるが、現状で利用可能な二光子吸収重合組成物はその反応効率が低く、二光子吸収を誘起する励起光源としては高価な非常に高出力のレーザが必要である。
したがって、小型で安価なレーザを使って、二光子吸収重合を利用した実用用途を実現するためには、高効率の二光子吸収重合組成物の開発が必須である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、二光子吸収断面積が大きく、かつ二光子吸収により生成した励起状態から効率よく光重合できる高高率な二光子吸収重合組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定な構造を有する二光子吸収化合物と特定な電子材料を組み合わせた二光子吸収材料を二光子吸収重合組成物に組み込むことで重合反応が化学増感できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明によれば、
本発明は、下記(1)〜(10)によって解決される。
(1)少なくとも、(A)二光子吸収材料、(B)重合性化合物、(C)重合開始剤を含む二光子吸収重合組成物であって、前記(A)の二光子吸収材料が、非環状のパイ電子共役系を有し該共役系の末端の少なくとも一つが電子供与基で修飾された二光子吸収化合物と電子吸引性化合物とからなるものであることを特徴とする二光子吸収重合組成物。
(2)前記二光子吸収材料は、前記二光子吸収化合物のイオン化ポテンシャルが、前記電子吸引性化合物のイオン化ポテンシャルよりも低いことを特徴とする前記(1)に記載の二光子吸収重合組成物。
(3)前記該二光子吸収化合物の構造が、(電子供与基)−(パイ電子共役基)構造、(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造、または、(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子吸引基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造のいずれかであることを特徴とする前記(1)または(2)記載の二光子吸収重合組成物。
(4)前記電子吸引性化合物は、電子吸引基を有する化合物または有機カチオン化合物であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
(5)前記電子吸引基は、シアノ基、ハロゲン基、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル基、アミド基、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホニル基、ニトロ基、または、エステル基のいずれかであることを特徴とする前記(4)記載の二光子吸収重合組成物。
(6)前記二電子吸引性化合物が、ニトロ基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、アミニウム塩化合物、ピリジニウム塩化合物のいずれかであることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
(7)前記二光子吸収化合物の電子供与基が、アルコキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基のいずれかであることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
(8)前記(C)の重合開始剤が、少なくとも1種のラジカルを発生する重合開始剤であり、前記(B)の重合性化合物は、前記(C)の重合開始剤が発生したラジカルにより重合するラジカル重合性化合物であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
(9)前記(C)の重合開始剤が、少なくとも1種の酸を発生する重合開始剤であり、前記(B)の重合性化合物は、前記(C)の重合開始剤が発生した酸により重合するカチオン重合性化合物であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
(10)前記(C)の重合開始剤が、少なくとも1種のラジカル及び酸を共に発生する重合開始剤であり、前記(B)の重合性化合物が、少なくとも1種のラジカルにより重合するラジカル重合性化合物と、少なくとも1種の酸により重合するカチオン重合性化合物のいずれかまたは両方であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
【発明の効果】
【0015】
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、二光子吸収化合物と電子吸引性化合物と混合させることで高い二光子吸収能が得られる増感二光子吸収材料を使用し、かつその励起エネルギーを重合開始剤に効率よく移動してラジカル又は/及びカチオンを発生できることにより、従来よりもはるかに高感度に二光子重合を起こすことができる二光子重合組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の二光子重合組成物の重合機構を説明する図である。
【図2】二光子吸収材料の蛍光強度と混合する重合開始剤の濃度との関係を示す図である。
【図3】光造形を行う場合の光造形装置の一例を示す図である。
【図4】造形物のとしての光導波路の一例を示す図である。
【図5】サンプルA〜Fの蛍光強度測定結果を示す図である。
【図6】サンプルA〜FのStern−Volmer plot
【図7】Stern−Volmer plotの傾きと二光子吸収材料混合液の組成との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の二光子吸収重合組成物について説明する。
本発明に用いる二光子吸収材料については、我々が先に出願した特開2010−217579号公報に二光子吸収特性が化学増感される系であることが開示されている。また、二光子吸収化合物から電子吸引性化合物への電荷移動相互作用が生じていることが示唆され、電荷移動が効率良く起こるためには、二光子吸収化合物のイオン化ポテンシャルが、該電子吸引性化合物のイオン化ポテンシャルより低いことが好ましいことが同様に開示されている。
この系を本発明の二光子吸収重合組成物に適用することにより、従来よりも高い二光子吸収断面積が得られ高いラジカル発生効率が得られる。
【0018】
本発明の二光子重合組成物の重合機構について、図1に基づいて説明する。
(1)二光子吸収化合物に光(k1)を照射し二光子励起状態(S1)とする。
(2)二光子吸収化合物の二光子励起状態から重合開始剤にエネルギー移動または電子移動(k4)することにより、ラジカルまたは酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)を発生させる。
(3)発生したラジカルまたは酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)により重合性化合物が付加重合する過程を経て重合する。
【0019】
また、二光子吸収重合の反応効率は、次式で表されるラジカル発生効率に依存する。

ラジカル発生効率 ∝ σ × ηET × η
(但し、σ :二光子吸収材料の二光子吸収断面積(GM)
ηET :二光子吸収励起状態から重合開始剤へのエネルギー移動の量子収率
η :重合開始剤のラジカル発生量子収率(重合開始剤の固有の値))

したがって、本系の重合反応の効率は、(1)σとηETとを向上させることと、(2)σとηETとηとの最適な整合をとることにより向上させることができる。
【0020】
(二光子吸収励起状態の二光子吸収材料から重合開始剤へのエネルギー移動)
二光子吸収励起状態の二光子吸収材料から重合開始剤へエネルギー移動が起きているかは、図2に示すように、二光子吸収材料の蛍光強度と混合する重合開始剤の濃度との関係(光化学ではよく知られたStern−Volmer plot)を調べることで検証できる。二光子吸収化合物の励起エネルギーの緩和過程と重合開始剤濃度の関係を図2に示す。
重合開始剤を含む二光子吸収色素の蛍光の量子収率φfは、
φf =k2/(k2+k3+k4+k5[I])で表わされ、
また、重合開始剤を含まない二光子吸収色素のみの蛍光の量子収率φf0は、
φf0 =k2/(k2+k3+k4)で表わされる。
また、前記Stern−Volmer plotは、φf0/φf =1+k5/(k2+k3+k4)・[I]で表わされ、二光子吸収色素から開始剤へのエネルギー移動が起これば、Stern−Volmer plot(φf0/φf)は開始剤濃度に対し線形となる。
【0021】
まず、本発明の二光子吸収重合組成物における(A)の二光子吸収材料について説明する。
本発明の二光子吸収材料は、1)非環状のパイ電子共役系を有し該共役系の末端の少なくとも一つが電子供与基で修飾された二光子吸収化合物と、2)電子吸引性化合物との両方を少なくとも含有して構成される。
二光子吸収材料としては、先に我々が出願した特開2010−217579号公報に記載の増感二光子吸収材料が使用できる。
【0022】
本発明の増感現象は、前記二光子吸収化合物の電子供与基部と、前記電子吸引性化合物の電子吸引部との電子的な相互作用により得られる。
前記二光子吸収化合物のイオン化ポテンシャルが、電子吸引性化合物のイオン化ポテンシャルよりも低いものであると、両者の電子状態が大きな相互作用が得られるため好ましい。
二光子吸収化合物、電子吸引性化合物のイオン化ポテンシャルは、光電子分光法(理研計器:AC−2)で測定できる。
【0023】
また、前記二光子吸収化合物は、その構造が、(電子供与基)−(パイ電子共役基)構造、(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造、または、(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子吸引基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)のいずれかが好ましい。
電子供与性が大きいほどその増感効果が大きくなることから、(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造、または(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子吸引基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造等の両端が電子供与基を有する構造であることが好ましい。前記電子供与基がアルコキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基のいずれかであることがより好ましい。
【0024】
本発明で使用できる二光子吸収化合物の例を以下に示すが、これらに限られるものではない。
【0025】
【化1】


一般式(1)中X 、X は、それぞれ独立してアリール基又ヘテロ環基を表し、その少なくとも一方が電子供与基で置換されたている。Yは酸素原子、硫黄原子またはシアノ基、カルボキシル基を含む原子団を表す。
式中R、Rは水素又はメチレン基で、該メチレン基は互いに結合し、環を形成している。R〜R、R〜Rは各々水素原子または置換基を表し、R〜R及びR〜Rのうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、同一でも異なってもよい。
m、nは0から2の整数を表す。
【0026】
【化2】


一般式(2)中、X1 、X2 はそれぞれ独立して5または6員環を形成する原子群を表し、その少なくとも一方が電子供与基で置換されている。Yは酸素原子、硫黄原子またはシアノ基、カルボキシル基を含む原子団を表す。式中R、Rは水素又はメチレン基で、該メチレン基は互いに結合し、環を形成している。R〜R、R〜R10は各々水素原子または置換基を表し、R〜R及びR〜R10のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、同一でも異なってもよい。R1、R12はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、m、nは0から2の整数を表す。
【0027】
【化3】


一般式(3)中、Xは5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わし、Yは5員または6員環を形成する原子群を表わし、Zはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
、R 、R 、R はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表し、R 、R 、R 、R のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよい。nおよびmはそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、nおよびmが2以上の場合、複数個のR 、R 、R およびR は同一でもそれぞれ異なってもよい。
【0028】
【化4】


一般式(4)中、R〜R は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表わし同一でも異なってもよい、R及びR10 は、ピリジル基を示し、nは1〜4の整数を示す。
【0029】
【化5】


一般式(5)中、X 、X はそれぞれ独立してアリール基又ヘテロ環基を表し、その少なくとも一方が電子供与基で置換されている。R 〜Rは各々水素原子または置換基を表し、R〜Rのうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、複数個のR 〜R は同一でも異なってもよく、nおよびmは各々1〜4の整数を表す。
【0030】
【化6】



一般式(6)中、X 、X はそれぞれ独立してアリール基又ヘテロ環基を表し、その少なくとも一方が電子供与基で置換されている。R〜Rは各々水素原子または置換基を表し、R1〜R4のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、複数個のR〜Rは同一でも異なってもよく、nおよびmは各々1〜4の整数を表す。
【0031】
【化7】


一般式(7)中Arは置換若しくは無置換の、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基を表し、X、Xはそれぞれ独立してアリール基又ヘテロ環基を表し、その少なくとも一方が電子供与基で置換されている。R〜Rは各々水素原子または置換基を表し、R〜Rのうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、複数個のR〜Rは同一でも異なってもよく、nおよびmは各々1〜4の整数を表す。

下記一般式で表される繰り返し単位を有する二光子吸収材料。
【0032】
【化8】


一般式(8)中、Arは置換若しくは無置換の、ビチオフェン、トリフェニルアミン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾチアジアゾールから選ばれる二価基であり、Rはそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基を表わす。

下記一般式で表される繰り返し単位を有する二光子吸収材料。
【0033】
【化9】



一般式(9)中、Ar1は置換基を有してもよい芳香族炭化水素基もしくは複素環基の二価基を表し、Arは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、複素環基の二価基もしくは単結合を表し、mは0または1を表す。
【0034】
【化10】


一般式(10)中、Ar、Ar及びArは置換または無置換の芳香族炭化水素基の二価基を表し、Ar2は置換または無置換の芳香族炭化水素基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、もしくは置換または無置換のアルキルチオ基から選択される基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0から2までの整数であって、nは0または1である。
【0035】
【化11】


一般式(11)中、R、Rは水素又はメチレン基で、該メチレン基は互いに結合し、環を形成している。R〜R、R〜Rは各々水素原子または置換基を表し、R〜R及びR〜Rのうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、同一でも異なってもよい。X、X、Yは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基を表し、X、Xの少なくとも一方が電子供与基を表し、m、nは0から2の整数を表す。
【0036】
本発明でいう電子供与基とは、分子の特定の位置について、炭素原子よりも電子密度を増加させる効果を持つ性質の置換基を電子供与性基と呼び、代表的なものとして、それぞれ置換または未置換のアルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基が挙げられる。
【0037】
また、前記電子吸引性化合物は、電子吸引基を有する化合物または有機カチオン化合物であることが好ましく、電子吸引性基を有するπ電子共役系化合物であることが好ましく、芳香族系であることがさらに好ましい。
前記電子吸引基は、シアノ基、ハロゲン基、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル基、アミド基、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホニル基、ニトロ基、または、エステル基のいずれかであることが好ましい。
電子吸引性化合物の電子吸引性が大きいほどその増感効果が大きくなることから、ニトロ基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、アミニウム塩化合物、ピリジニウム塩化合物のいずれかであることがより好ましい。
電子吸引性化合物例を以下に示すが、これらに限られるものではない。
【0038】
【化12】

【0039】
【化13】


【0040】
【化14】


一般式(12)〜一般式(14)中、R,Rはシアノ、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル基を表し、R,Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアミノ基を表す。
【0041】
【化15】

【0042】
【化16】


一般式(15)、一般式(16)中、R,R、R,Rは水素原子、シアノ、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアミノ基を表し、R,Rはシアノ、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル基を表す。
【0043】
【化17】

【0044】
【化18】


一般式(17)、一般式(18)中、R,R,R,R4はシアノ、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル、アミノ基を表し、R3は置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表す。
【0045】
【化19】

【0046】
【化20】


一般式(19)、一般式(20)中、R,R,R,Rはシアノ、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル基を表す。
【0047】
【化21】

【0048】
【化22】


一般式(21)、一般式(22)中、R,Rはシアノ、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル基を表し、R,Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアミノ基を表す。
【0049】
【化23】

【0050】
【化24】


一般式(23)、一般式(24)中、R1,R,R,Rは水素原子、シアノ、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアミノ基を表す。
【0051】
【化25】

【0052】
【化26】


一般式(25)、一般式(26)中、R,R,R,Rは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、Lは二値の連結基を表し、Xはカウンターイオンを表す。
【0053】
【化27】

【0054】
【化28】

【0055】
【化29】


一般式(27)〜一般式(29)中、R,R,R,Rは水素原子、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアミノ基を表し、Xはカウンターイオンを表す。
Yは、−O−、−S−、−CR−、−NR−のいずれかで、R、R、Rは置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表す。
【0056】
【化30】

【0057】
【化31】


一般式(30)、一般式(31)中、R,R,Rは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、R,R,R,Rは水素原子、ハロゲン、モノ−、ジ−又はトリ −ハロゲン化アルキル、アミド、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、スルホニル、ニトロ、エステル基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアミノ基を表し、Lは二値の連結基を表し、Xはカウンターイオンを表す。
【0058】
上記無置換のアルキル基、および無置換のアルコキシ基中のアルキル基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基があげられ、
置換アルキル基、および置換アルコキシ基中の置換基としては、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシ置換アルキル基;
カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基等のカルボキシ置換アルキル基;
2−シアノエチル基、シアノメチル基などのシアノ置換アルキル基;
2−アミノエチル基などのアミノ置換アルキル基;
2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−クロロプロピル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などのハロゲン原子置換アルキル基;
ベンジル基、p−クロロベンジル基、2−フェニルエチル基などのフェニル置換アルキル基;
2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−(n)プロポキシエチル基、2−(iso)プロポキシエチル基、2−(n)ブトキシエチル基、2−(iso)ブトキシエチル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、3−メトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、2−メトキシプロピル基等のアルコキシ置換アルキル基;
2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2−(n)プロポキシエトキシ)エチル基、2−(2−(iso)プロポキシエトキシ)エチル基、2−(2−(n)ブトキシエトキシ)エチル基、2−(2−(iso)ブトキシエトキシ)エチル基、2−{2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ}エチル基等のアルコキシアルコキシ置換アルキル基;
アリルオキシエチル基、2−フェノキシエチル基、2−ベンジルオキシエチル基等の置換アルキル基;2−アセチルオキシエチル基、2−プロピオニルオキシエチル基、2−(n)ブチリルオキシエチル基、2−(iso)ブチリルオキシエチル基、2−トリフルオロアセチルオキシエチル基等のアシルオキシ置換アルキル基;
メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、(n)プロポキシカルボニルメチル基、(iso)プロポキシカルボニルメチル基、(n)ブトキシカルボニルメチル基、(iso)ブトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、フルフリルオキシカルボニルメチル基、テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルメチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−(n)プロポキシカルボニルエチル基、2−(iso)プロポキシカルボニルエチル基、2−(n)ブトキシカルボニルエチル基、2−(iso)ブトキシカルボニルエチル基、2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フルフリルオキシカルボニルエチル基等の置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル置換アルキル基;
2−メトキシカルボニルオキシエチル基、2−エトキシカルボニルオキシエチル基、2−(n)プロポキシカルボニルオキシエチル基、2−(iso)プロポキシカルボニルオキシエチル基、2−(n)ブトキシカルボニルオキシエチル基、2−(iso)ブトキシカルボニルオキシエチル基、2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル基、2−ベンジルオキシカルボニルオキシエチル基、2−フルフリルオキシカルボニルオキシエチル基等の置換もしくは非置換のアルコキシカルボニルオキシ置換アルキル基;
フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基等のヘテロ環置換アルキル基等があげられる。
また、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等があげられる。
【0059】
アルキル基およびアルコキシ基中のアルキル基の具体例としては、例えば、次のものが挙げられる。なお、これらのアルキル基は、ハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよい。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、n−オクチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等の一級アルキル基;
イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルぺンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基等の二級アルキル基;
tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の三級アルキル基;
シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマンタン基等のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0060】
またアリ−ル基としてはフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジ(tert−ブチル)フェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、トリメトキシフェニル基、ブトキシフェニル基などが挙げられ、またこれらのアリール基はハロゲン等の置換基で置換されていてもよい。
【0061】
次に本発明の二光子吸収重合組成物における(B)の重合性化合物について説明する。
本発明の重合性化合物とは、二光子吸収化合物と重合開始剤に光を照射することにより発生したラジカルまたは酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)により、付加重合を起こしてオリゴマーまたはポリマー化が可能な化合物のことであり、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物が挙げられる。
【0062】
本発明の重合性化合物としては、単官能性でも多官能性でもよく、一成分でも多成分でもよく、モノマー、プレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー)でもこれらの混合物でもいずれでもよい。
【0063】
前記ラジカル重合性化合物は、二光子吸収化合物とラジカル重合開始剤により発生したラジカルにより重合が開始される化合物で通常の光硬化材料として知られているものが使用できる。
具体的には、2(2−エトキシジエトキシ)エチルアクリレートやアルコキシ化フェノールアクリレート等の単官能アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートやエトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレートやペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレート、
ラウリリメタクリレートやポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の単官能メタクリレート、
シクロヘキサンジメタノールジメタクリレートやトリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能メタクリレート、
脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリエステルアクリレート、不飽和ポリエステル等の一般的に使用されているラジカル重合型の光硬化材料が挙げられる。
【0064】
前記カチオン重合性化合物は、二光子吸収化合物とカチオン重合開始剤により発生した酸により重合が開始される化合物で、具体的には、脂環式エポキシ樹脂やビスフェノールA型エポキシ樹脂等のオキシラン環、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタンや1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メイル]ベンゼン等のオキセタン環、メチルビニルエーテルやシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等のビニルエーテル基、ビニルカルバゾール等のN‐ビニルカルバゾール部位を分子中に少なくとも1個有する化合物等の一般的に使用されているカチオン重合型の光硬化材料が挙げられる。
【0065】
次に本発明の2光子吸収重合組成物における(C)の重合開始剤について説明する。
本発明の重合開始剤とは、二光子吸収により生じた二光子吸収化合物の励起状態からエネルギー移動または電子移動(電子を与えるまたは電子を受ける)を行うことによりラジカルまたは酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)を発生し、重合性化合物の重合を開始することができる化合物のことである。
【0066】
本発明の重合開始剤は、ラジカルを発生して重合性化合物のラジカル重合を開始することができるラジカル重合開始剤と、ラジカルを発生することなく酸のみ発生して重合性化合物のカチオン重合のみを開始することができるカチオン重合開始剤と、ラジカル及び酸を両方発生して、ラジカル及びカチオン重合両方を開始することができる重合開始剤のいずれかであることが好ましい。
これらの重合開始剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
【0067】
前記重合開始剤は、 a)ラジカル重合を活性化できる重合開始剤 b)カチオン重合のみ活性化できる重合開始剤 c)ラジカル重合とカチオン重合を同時に活性化できる重合開始剤分類することができる。
【0068】
前記(a)ラジカル重合を活性化できる重合開始剤とは、2光子吸収化合物の2光子吸収励起状態からエネルギー移動または電子移動によりラジカルを発生し、重合性化合物のラジカル重合を開始することができる重合開始剤のことであり、以下の重合開始剤系が挙げられる。
【0069】
(1)ケトン系重合開始剤
ケトン系重合開始剤としては、好ましくは芳香族ケトン、芳香族ジケトン等が挙げられる。好ましい例としては例えば、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、アセトイン誘導体、アシロインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、ケトクマリン誘導体等が挙げられる。
【0070】
(2)有機過酸化物系重合開始剤
好ましい例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0071】
(3)ビスイミダゾール系重合開始剤
ビスイミダゾール系重合開始剤にて好ましいのは、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール誘導体が挙げられる。ビスイミダゾール系重合開始剤は水素供与体と共に用いられることが好ましい。
【0072】
(4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐フェニル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが例示される。
【0073】
(5)ジアゾニウム塩系重合開始剤
ジアゾニウム系重合開始剤の具体例としては例えば、ベンゼンジアゾニウム、4−メトキシジアゾニウム、4−メチルジアゾニウムの塩などが挙げられる。
【0074】
(6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウム、4,4’−t−ブチルジフェニルヨードニウム、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウム、フェニル(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−シアノフェニル)ヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0075】
(7)スルホニウム塩系重合開始剤
スルホニウム塩系重合開始剤の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジメチルフェナシルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−フェニルチオトリフェニルスルホニウム、ビス−1−(4−(ジフェニルスルホニウム)フェニル)スルフィドなどのスルホニウム塩のクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10‐ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4‐トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示される。
【0076】
(8)ホウ酸塩系重合開始剤
ホウ酸塩系重合開始剤の具体例としては、テトラブチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレート、テトラメチルアンモニウムsec‐ブチルトリフェニルボレートなどが挙げられる。
【0077】
(9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体塩系重合開始剤の具体例としてはジフェニルヨードニウム(n−ブチル)トリフェニルボレートが挙げられる。
【0078】
(10)スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
【0079】
【化32】


一般式(32)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、好ましくはアルキル基またはアリール基である。ただし、R、R、R、Rの全てが同時にアリール基となることはない。
、R、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基であり、より好ましくはアルキル基、フェナシル基、アリール基、アルケニル基であり、R、R、Rは互いに連結して環を形成してもよい。
は酸素原子もしくは孤立電子対を表す。
【0080】
(11)カチオン性2光子吸収化合物有機ホウ素錯体系重合開始剤
【0081】
【化33】


一般式(33)中、(Dye−1)は2光子吸収能を有するカチオン性の化合物であり、R、R、R、Rは置換されてもよいフェニル基を表す
【0082】
(12)アニオン性2光子吸収化合物オニウム塩錯体系重合開始剤
【0083】
【化34】


一般式(34)中、(Dye−2)は2光子吸収能を有するアニオン性の化合物であり、Xはジアゾニウム塩のカチオン部分、ジアリールヨードニウム塩のカチオン部分、スルホニウム塩のカチオン部分、ジアリールヨードニウム塩のカチオン部分を表す。
【0084】
(13)金属アレーン錯体系重合開始剤
金属アレーン錯体系重合開始剤としては、金属は鉄またはチタンが好ましく、鉄アレーン錯体、鉄アレーン有機ホウ素錯体、チタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
【0085】
重合開始剤は、 a)ラジカル重合を活性化できる重合開始剤 b)カチオン重合のみ活性化できる重合開始剤 c)ラジカル重合とカチオン重合を同時に活性化できる重合開始剤分類することができる。
【0086】
前記(b)カチオン重合のみ活性化できる重合開始剤とは、2光子吸収化合物の2光子吸収励起状態からエネルギー移動または電子移動を行うことによりラジカルを発生することなく酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)を発生し、酸により重合性化合物のカチオン重合を開始することができる重合開始剤のことであり、以下の重合開始剤系である。
る。
【0087】
(1)スルホン酸エステル系重合開始剤(2)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤、(3)ジアゾニウム塩系重合開始剤、(4)スルホニウム塩系重合開始剤、(5)金属アレーン錯体系重合開始剤が挙げられ、(1)のとしては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル等を挙げられる。
また、(2)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤、(3)ジアゾニウム塩系重合開始剤、(4)スルホニウム塩系重合開始剤、(5)金属アレーン錯体系重合開始剤としては、上記(a)ラジカル重合を活性化できる重合開始剤と同様なものを使用できる。
【0088】
(c)ラジカル重合とカチオン重合を同時に活性化できる重合開始剤とは、二光子吸収化合物の二光子吸収励起状態からエネルギー移動または電子移動によりラジカル及び酸を両方発生し、重合性化合物のラジカル及びカチオン重合を開始することができる重合開始剤のことであり、上記スルホニウム塩系重合開始剤を挙げることができる。
【0089】
本発明の二光子吸収重合組成物の各成分の割合は、(B)の重合性化合物100重量部に対し、(A)の二光子吸収材料の含有量は、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましい。
また、(C)の重合開始剤の含有量は、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましい。
【0090】
二光子吸収化合物から電子吸引性化合物へ電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、二光子吸収化合物のイオン化ポテンシャルが、該電子吸引性化合物のイオン化ポテンシャルより低いことが好ましい。
【0091】
また、本発明の二光子吸収重合組成物は、必要により熱安定剤、可塑剤、溶媒、結着剤等の添加物を適宜用いることができる。
【0092】
本発明の増感二光子吸収材料を含む二光子吸収重合組成物は、光造形用二光子光硬化性樹脂に用いることができる。
光造形用二光子光硬化性樹脂とは、光を照射することにより二光子重合反応を起こし、液体から固体へと変化する特性を持った樹脂のことである。主成分はオリゴマーと反応性希釈剤からなる樹脂成分と光重合開始剤(必要に応じ光増感材料を含む)である。前記オリゴマーは重合度が2〜20程度の重合体であり、末端に多数の反応基を持つ。さらに、粘度、硬化性等を調整するため、反応性希釈剤が加えられている。光を照射すると、重合開始剤または光増感材料が二光子吸収し、重合開始剤から直接または光増感材料を介して反応種が発生し、オリゴマー、反応性希釈剤の反応基に反応して重合が開始される。その後、これらの間で連鎖的重合反応を起し三次元架橋が形成され、短時間のうちに三次元網目構造を持つ固体樹脂へと変化する。
光硬化性樹脂は光硬化インキ、光接着剤、積層式立体造形などの分野で使用されており、様々な特性を持つ樹脂が開発されている。特に、積層式立体造形においては反応性が良好であること、硬化時の体積収縮が小さいこと、硬化後の機械特性が優れることが重要になっている。
【0093】
本発明の増感二光子吸収材料を含む二光子吸収重合組成物は、このような要求を満たす二光子吸収重合組成物として用いることができる。本発明の二光子吸収重合組成物は従来に比べ二光子吸収感度が高くかつその励起状態から効率良く光重合できるため高速造形が可能となり、また二光子吸収現象を利用するため、微細で三次元的な造形を実現することができる。
本発明においては、光増感材料として利用する本発明の二光子吸収材料を紫外線硬化樹脂等に分散させて感光物を形成し、この感光物に所望の個所に光照射を行うことで、照射光の焦点付近のみに硬化反応を起こさせ、超精密三次元造形物を形成することができる。
【0094】
図3に本発明の二光子吸収材料を用いて光造形を行う場合の光造形装置の一例を示す。
光源(21)からのパルスレーザ光を可動形式のミラー(22)及び集光レンズ(23)を介し本発明の二光子吸収材料(24)に集光すると、集光点近傍のみに光子密度の高い領域が形成される。このとき、ビームの各断面を通過するフォトンの総数は一定のため、焦点面内でビームを二次元的に走査した場合、各断面における光強度の総和は一定である。 しかしながら、二光子吸収の発生確率は光強度の二乗に比例するため、光強度の大きい集光点近傍にのみ二光子吸収の発生の高い領域が形成される。集光点は可動形式のミラー(22)や可動ステージ(25)(ガルバノミラー及びZステージ)を制御することで光硬化樹脂液内において自由に変化させることができるため、任意の位置にナノメートルオーダーの精度で樹脂を局所的に硬化することができ、所望の三次元加工物を容易に形成することができる。
光造形方法に関する公知文献としては特開2005−134873号公報が挙げられる。
これによるとパルスレーザ光を感光性高分子膜の表面にマスクを介さず干渉露光させている。レーザ光は、感光性高分子膜の感光性機能を発揮させる波長成分をもった光からなり、感光性高分子の種類、または感光性高分子の感光性機能を有する基又は部位に応じて選択されている。
【0095】
また、このように作製される造形物の一例としての光導波路を図4に示す。
近年、大容量アーカイブ用途の記録媒体が求められる一方で、ユビキタスネットワークの実現に向けた光ファイバ通信の開発による情報伝送の高速化及び大容量化も求められている。その一つに、WDM(波長多重通信)と呼ばれる波長の異なる光の不干渉性を利用した大容量伝送技術が知られているが、そのWDMにおいては、特定の波長の光信号を合波或いは分波する素子が不可欠であり、そのための素子として光導波路が用いられている。光導波路においては、素子内部にある特定の屈折率分布などを形成させることで、電気回路中を電子が流れるように光信号をその分布に沿って導くことができる。このような波長による屈折率変化を利用する光導波路構造は、図4に示す光造形装置を用い、本発明の二光子吸収材料を含む薄膜、または本発明の二光子吸収材料を光硬化性樹脂等に分散させた固体物を光造形することで形成することができる。
【0096】
また光導波路に関する公知文献としては、特開平08−320422号公報に光屈折率材料に光を照射して形成される光導波路をはじめ、特開2004−277416号公報、特開平11−167036号公報、特開2005−257741号公報等に開示されている。
従来に比べ、本発明の二光子吸収材料を利用した光造形物は、以下の(i)〜(iv)の特徴を有する。
すなわち、
(i)回折限界をこえる加工分解能
二光子吸収の光強度に対する非線形性によって、焦点以外の領域では光硬化性樹脂が硬化しない。このため照射光の回折限界を超えた加工分解能を実現できる。
(ii)超高速造形
本発明の二光子吸収重合組成物を用いて加工される造形物においては、従来に比べ、二光子吸収感度及び重合効率が高いため、ビームのスキャン速度を速くする事ができる。
(iii)三次元加工性
光硬化性樹脂は、二光子吸収を誘起する近赤外光に対して透明である。したがって焦点光を樹脂の内部へ深く集光した場合でも、内部硬化が可能である。従来のSIHでは、ビームを深く集光した場合、光吸収によって集光点の光強度が小さくなり、内部硬化が困難になる問題点が、本発明ではこうした問題点を確実に解決することができる。
(iv)高い歩留り
従来法では樹脂の粘性や表面張力によって造形物が破損、変形するという問題があったが、本手法では、樹脂の内部で造形を行うためこうした問題が解消される。
(v)大量生産への適用:超高速造形を利用することによって、短時間に、連続的に多数個の部品あるいは可動機構の製造が可能である。
【実施例】
【0097】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0098】
(実施例1)
下記構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物(5.25eV):0.15重量部、下記構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物:0.35重量部、重合性化合物トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、サートマー社製SR368D):90重量部、重合開始剤2−クロロチオキサントン:2.5重量部、モノクロロベンゼン:10重量部から二光子吸収重合組成物1を作製した。
【0099】
【化35】

【0100】
【化36】


得られた重合組成物溶液をカバーグラス上に滴下し、以下に示す方法により、重合感度を測定した。
【0101】
(重合感度評価方法)
励起光源:フェムト秒チタンサファイアレーザ(励起波長:780nm、光パワー:800mW、パルス幅:100fs、繰り返し:80MHz)を集光レンズ(f=75mm)で集光径(〜40μm)に絞り、10mm×10mmの四面石英セル中に入れたサンプルに照射し、重合による屈折率変化を検出し、その変化がほぼ見られなくなる時点のレーザ露光量を重合感度とした。
【0102】
<エネルギー移動の検証>
実施例1の二光子吸収重合組成物について、二光子吸収材料から重合開始剤へのエネルギー移動の有無を検証した。
【0103】
(蛍光強度測定用のサンプルの作製)
下記構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物と下記構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物それぞれの1×10−4mol/lのクロロホルム溶液を作製し、二光子吸収化合物と電子吸引性化合物との重量比が、4/6の二光子吸収材料混合液を調整した。
【0104】
【化37】

【0105】
【化38】


また、ラジカル重合開始剤である2−クロロチオキサントンの5×10−3mol/lのクロロホルム溶液を調整した。
【0106】
(サンプルA)
二光子吸収材料混合液2重量部とクロロホルム2重量部とを混合し蛍光強度測定用のサンプルAを作製した。
【0107】
(サンプルB)
二光子吸収材料混合液2重量部と重合開始剤溶液0.4重量部とクロロホルム1.6重量部とを混合し蛍光強度測定用のサンプルBを作製した。
【0108】
(サンプルC)
二光子吸収材料混合液2重量部と重合開始剤溶液0.8重量部とクロロホルム1.2重量部とを混合し蛍光強度測定用のサンプルCを作製した。
【0109】
(サンプルD)
二光子吸収材料混合液2重量部と重合開始剤溶液1.2重量部とクロロホルム0.8重量部とを混合し蛍光強度測定用のサンプルDを作製した。
【0110】
(サンプルE)
二光子吸収材料混合液2重量部と重合開始剤溶液1.6重量部とクロロホルム0.4重量部とを混合し蛍光強度測定用のサンプルEを作製した。
【0111】
(サンプルF)
二光子吸収材料混合液2重量部と重合開始剤溶液2.0重量部を混合し蛍光強度測定用のサンプルFを作製した。
【0112】
蛍光強度測定用のサンプルの二光子吸収材料混合液、重合開始剤溶液、及び、クロロホルムの割合を表1に示す。
【0113】
【表1】

【0114】
上記サンプルA〜Fを以下の条件で蛍光を測定した。サンプルA〜Fの蛍光強度測定結果を図5(A)〜(F)に、またそのStern−Volmer plotを図6に示す。
【0115】
(蛍光測定条件)
励起光源:フェムト秒チタンサファイアレーザ(励起波長:780nm、光パワー:800mW、パルス幅:100fs、繰り返し:80MHz)を集光レンズ(f=75mm)で集光径(〜40μm)に絞り、10mm×10mm四面石英セル中に入れたサンプルに照射し、その蛍光強度を測定した。
【0116】
図5(A)〜(F)に示す蛍光スペクトルは、重合開始剤の濃度が高くなるに伴い吸光度が低くなっており、図6に示すように、Stern−Volmer plotは、線形を示しており、二光子吸収励起状態の二光子吸収材料から重合開始剤へのエネルギー移動が確認された。
なお、Stern−Volmer plotの傾きは、二光子吸収励起状態から重合開始剤へのエネルギー移動の量子収率を反映し、その代用特性値となる。
【0117】
また、上記の二光子吸収材料/重合開始剤/クロロホルム/重合性化合物(SR368D:サ−トマー社製)=0.5/2.0/2.0/100 重量比からなる組成物に上記励起光源で光照射した結果、重合反応が進むこと確認された。
上記重合開始剤は、上記励起波長に吸収能が全くないことから、上記重合反応は、二光子吸収化合物が二光子吸収し、その励起エネルギーが重合開始剤に移動したラジカルを発生させ、そのラジカルにより重合製化合物の重合反応が進行したものである。
【0118】
(エネルギー移動の増感)
上記構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物の1×10−4mol/lのクロロホルム溶液と構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物の1×10−4mol/lのクロロホルム溶液を、重量比をそれぞれ、10/0、8/2、6/4、4/6、2/8、0/10とした6種類の二光子吸収材料混合液を調整した。
上記同様、ラジカル重合開始剤である2−クロロチオキサントンの5×10−3mol/lのクロロホルム溶液を調整し、それぞれの二光子吸収材料混合液に、ラジカル重合開始剤のクロロホルム溶液を上記表1に記載される割合で混合し、蛍光強度測定用のサンプルとした。
【0119】
それぞれのサンプルについて、上記蛍光測定条件で蛍光強度を測定した。
なお、二光子吸収化合物の蛍光強度の濃度依存性(濃度消光)の影響は補正して評価した。
それぞれの二光子吸収材料混合液のStern−Volmer plotは、図6同様に線形関係がえられた。
各二光子吸収材料混合液のStern−Volmer plotが線形関係を示しており、これは、構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物の二光子励起エネルギー、または、構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物と構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物との二光子励起エネルギーが、重合開始剤との相互作用によりそれぞれ個別に消光されることを意味する。
【0120】
また、Stern−Volmer plotの傾きと二光子吸収材料混合液の組成との関係を図7に示す。Stern−Volmer plotの傾きと二光子吸収材料混合液の組成比との関係は非線形となり、かつ特定の組成域でエネルギー移動の効率が向上する現象が見られる。これは構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物と構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物間に何らかの相互作用が存在することを示唆し、かつ特定の相互作用域でエネルギー移動の効率が増感されることを示す。
【0121】
構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物と構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物の混合溶液の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルの形状もその組成比と線形関係とならず、かつ吸収スペクトルが等吸収点を持つことから、この相互作用は電荷移動相互作用であることが確認された。
【0122】
(実施例2)
実施例1の重合性化合物トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(サートマー社製SR368D)代えて、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート(サートマー社製SR601)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物2を得た。
【0123】
(実施例3)
実施例1の重合性化合物トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(サートマー社製SR368D)代えて、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノルジアクリレート(サートマー社製CD580)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物3を得た。
【0124】
(実施例4)
実施例1の重合開始剤2−クロロチオキサントンに代えて、2−ベンジル-2−ジメチルアミノ−1−(4-モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASFジャパン社製イルガキュア369)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物4を得た。
【0125】
(実施例5)
実施例1の重合開始剤2−クロロチオキサントンに代えて、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製イルガキュア819)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物5を得た。
【0126】
(実施例6)
実施例1の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物のかわりに、下記構造式(3)で表わされる電子吸引性化合物(5.56eV)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物6を得た。
【0127】
【化39】

【0128】
(実施例7)
実施例1の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物のかわりに、下記構造式(4)で表わされる電子吸引性化合物を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物7を得た。
【0129】
【化40】

【0130】
(実施例8)
実施例1の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物のかわりに、下記構造式(5)で表わされる電子吸引性化合物(5.54eV)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物8を得た。
【0131】
【化41】

【0132】
(実施例9)
実施例1の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物のかわりに、下記構造式(6)で表わされる電子吸引性化合物を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物9を得た。
【0133】
【化42】

【0134】
(実施例10)
実施例1の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物のかわりに、下記構造式(7)で表わされる電子吸引性化合物を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物10を得た。
【0135】
【化43】

【0136】
(実施例11)
実施例1の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物のかわりに、下記構造式(8)で表わされる二光子吸収化合物(5.34eV)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物11を得た。
【0137】
【化44】

【0138】
(実施例12)
実施例1の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物のかわりに、下記構造式(9)で表わされる二光子吸収化合物(5.36eV)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物12を得た。
【0139】
【化45】

【0140】
(実施例13)
実施例1の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物のかわりに、下記構造式(10)で表わされる二光子吸収化合物(5.25eV)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物13を得た。
【0141】
【化46】

【0142】
(実施例14)
実施例1の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物のかわりに、下記構造式(11)で表わされる二光子吸収化合物を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物14を得た。
【0143】
【化47】

【0144】
(実施例15)
実施例1の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物のかわりに、下記構造式(12)で表わされる二光子吸収化合物を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物15を得た。
【0145】
【化48】

【0146】
(実施例16)
実施例1の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物のかわりに、下記構造式(13)で表わされる二光子吸収化合物を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物16を得た。
【0147】
【化49】

【0148】
(実施例17)
実施例1の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物のかわりに、下記構造式(14)で表わされる二光子吸収化合物を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物17を得た。
【0149】
【化50】

【0150】
(比較例1)
実施例1の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物を用いない他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物18を得た。
【0151】
(比較例2)
実施例1において、重合開始剤を用いない他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物19を得た。
重合組成物。
【0152】
(比較例3)
実施例1において、構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物を用いない他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物20を得た。
【0153】
(比較例4)
実施例1の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物のかわりに、下記構造式(15)で表わされる電子供与性化合物(5.38eV)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物21を得た。
【0154】
【化51】

【0155】
(比較例5)
実施例1の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物のかわりに、下記構造式(16)で表わされる電子供与性化合物を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物22を得た。
【0156】
【化52】

【0157】
実施例1の重合感度を1.00とした実施例2〜17および比較例1〜5の相対重合感度(実施例1の重合感度で割った値)を表2に示す。値が小さいほど感度が高い。
【0158】
【表2】

【0159】
(実施例18)
上記構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物:0.15重量部、上記構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物:0.35重量部、重合性化合物(アデカ社製アデカライキュアHS−680):80.0重量部、重合開始剤(アデカ社製アデカオプトマーSP152):2.0重量部からなる二光子吸収重合組成物23を作製した。
得られた重合組成物溶液をカバーグラス上に滴下し、カバーグラスを介してフェムト秒チタンサファイアレーザを照射し、実施例1同様の評価をおこない、重合感度を測定した。
【0160】
(実施例19)
実施例18の重合開始剤(アデカ社製アデカオプトマーSP152)に代えて、(BASFジャパン社製イルガキュア250)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物24を得た。
【0161】
(実施例20)
実施例18の重合開始剤2−クロロチオキサントン(アデカ社製アデカオプトマーSP152)に代えて、4−{4−(2−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(アデカ社製アデカオプトマーSP172)を用いる他は実施例1と同様にして二光子吸収重合組成物24を得た。
【0162】
(実施例21)
実施例18の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物に代えて、下記構造式(3)で表わされる電子吸引性化合物を用いる他は実施例18と同様にして二光子吸収重合組成物25を得た。
【0163】
【化53】

【0164】
(実施例22)
実施例18の構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物に代えて、下記構造式(6)で表わされる電子吸引性化合物を用いる他は実施例18と同様にして二光子吸収重合組成物26を得た。
【0165】
【化54】

【0166】
(実施例23)
実施例18の構造式(1)で表わされる二光子吸収化合物に代えて、下記構造式(8)で表わされる二光子吸収化合物を用いる他は実施例18と同様にして二光子吸収重合組成物27を得た。
【0167】
【化55】

【0168】
(比較例6)
実施例18において、構造式(2)で表わされる電子吸引性化合物を用いない他は実施例18と同様にして二光子吸収重合組成物28を得た。
【0169】
実施例18の重合感度を1.00とした実施例19〜23および比較例6の相対重合感度(実施例18の重合感度で割った値)を表3に示す。値が小さいほど感度が高い。
【0170】
【表3】

【0171】
上記実施例及び比較例より、(1)非環状のパイ電子共役系を有し該共役系の末端の少なくとも一つが電子供与基で修飾された二光子吸収化合物物と、(2)電子吸引性化合物、及び、(3)重合開始剤を共存させることで、二光子吸収材料から重合開始剤へのエネルギー移動効率が増感され、高感度に重合反応活性種(ラジカル or 酸)が得られることが分かる。
また、(1)非環状のパイ電子共役系を有し該共役系の末端の少なくとも一つが電子供与基で修飾された二光子吸収化合物物、(2)電子吸引性化合物、(3)重合開始剤、(4)重合性化合物からなる組成物により高感度の二光子吸収重合組成物が得られる。
また、二光子吸収化合物から電子吸引性化合物への電荷移動相互作用に起因することから電荷移動が効率良く起こるためには、二光子吸収化合物のイオン化ポテンシャルが、電子吸引性化合物のイオン化ポテンシャルより低いことが好ましいことがわかる。
また、実施例13と実施例15との結果の比較、及び実施例17と実施例16との結果の比較から、(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造、または(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子吸引基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造からなる二光子吸収化合物が重合感度に優れることが分かる。
また、ニトロ基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、アミニウム塩化合物、ピリジニウム塩化合物からなる電子吸引性化合物が特にその効果が顕著である。
【符号の説明】
【0172】
21 光源
22 可動形式のミラー
23 集光レンズ
24 二光子吸収材料
25 可動ステージ(ガルバノミラー及びZステージ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0173】
【特許文献1】特開2005−213434号公報
【特許文献2】特開2005− 82507号公報
【特許文献3】特開2004−168690号公報
【特許文献4】特開2007−241168号公報
【特許文献5】特開2007−241170号公報
【特許文献6】特開2007−246422号公報
【特許文献7】特開2007−246463号公報
【特許文献8】特開2007−246790号公報
【特許文献9】特開2008−69294号公報
【特許文献10】特開2008−74708号公報
【特許文献11】特表2004−503616号公報
【特許文献12】特表2006−514709号公報
【特許文献13】特表2006−514711号公報
【特許文献14】特開2006−330683号公報
【特許文献15】特開2010− 217579号公報
【特許文献16】特開2003−029404号公報
【特許文献17】特開2003−073410号公報
【特許文献18】特開2004−292475号公報
【特許文献19】特開2010−065083号公報、
【非特許文献】
【0174】
【非特許文献1】B.H.Cumpston et al.,Nature.1999年,398巻,51頁
【非特許文献2】K.D.Belfieldet al.,J.Phys.Org.Chem.,2000年、13巻、837頁
【非特許文献3】C.Li et al.,Chem.Phys.Lett.,2001年、340巻、444頁
【非特許文献4】K.D.Belfieldet al.,J.Am.Chem.Soc.,2000年、122巻、1217頁
【非特許文献5】S.Maruo et al.,Oppt.Lett.,1997年、22巻、132頁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、(A)二光子吸収材料、(B)重合性化合物、(C)重合開始剤を含む二光子吸収重合組成物であって、前記(A)の二光子吸収材料が、非環状のパイ電子共役系を有し該共役系の末端の少なくとも一つが電子供与基で修飾された二光子吸収化合物と電子吸引性化合物とからなるものであることを特徴とする二光子吸収重合組成物。
【請求項2】
前記二光子吸収材料は、前記二光子吸収化合物のイオン化ポテンシャルが、前記電子吸引性化合物のイオン化ポテンシャルよりも低いことを特徴とする請求項1に記載の二光子吸収重合組成物。
【請求項3】
前記該二光子吸収化合物の構造が、(電子供与基)−(パイ電子共役基)構造、(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造、または、(電子供与基)−(パイ電子共役基)−(電子吸引基)−(パイ電子共役基)−(電子供与基)構造のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の二光子吸収重合組成物。
【請求項4】
前記電子吸引性化合物は、電子吸引基を有する化合物または有機カチオン化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
【請求項5】
前記電子吸引基は、シアノ基、ハロゲン基、モノ−、ジ−又はトリ−ハロゲン化アルキル基、アミド基、N−(モノもしくはジアルキル)アミノカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホニル基、ニトロ基、または、エステル基のいずれかであることを特徴とする請求項4記載の二光子吸収重合組成物。
【請求項6】
前記二電子吸引性化合物が、ニトロ基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、アミニウム塩化合物、ピリジニウム塩化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
【請求項7】
前記二光子吸収化合物の電子供与基が、アルコキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
【請求項8】
前記(C)の重合開始剤が、少なくとも1種のラジカルを発生する重合開始剤であり、前記(B)の重合性化合物は、前記(C)の重合開始剤が発生したラジカルにより重合するラジカル重合性化合物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
【請求項9】
前記(C)の重合開始剤が、少なくとも1種の酸を発生する重合開始剤であり、前記(B)の重合性化合物は、前記(C)の重合開始剤が発生した酸により重合するカチオン重合性化合物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。
【請求項10】
前記(C)の重合開始剤が、少なくとも1種のラジカル及び酸を共に発生する重合開始剤であり、前記(B)の重合性化合物が、少なくとも1種のラジカルにより重合するラジカル重合性化合物と、少なくとも1種の酸により重合するカチオン重合性化合物のいずれかまたは両方であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の二光子吸収重合組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10893(P2013−10893A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145494(P2011−145494)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】