説明

二方向エスカレータ

一体化したフレームワークを備えた二方向エスカレータが開示されている。この二方向エスカレータは、第1の駆動シャフト(3)を有した第1の駆動部(I)を備える第1のエスカレータと、第2の駆動シャフト(12)を有した第2の駆動部(II)を備える第2のエスカレータと、2段ベベルギヤ反転ユニットと、を備える。この2段ベベルギヤ反転ユニットは、第1の駆動シャフト(3)に接続された第1のベベルギヤ(8)と、第2の駆動シャフト(12)に接続された第2のベベルギヤ(10)と、第1のベベルギヤ(8)および第2のベベルギヤ(10)と係合した第3のベベルギヤ(9)と、2段ベベルギヤ反転ユニットの手段によって第1のエスカレータおよび第2のエスカレータを同時に駆動するメイン駆動装置(III)と、を備える。本発明は、良い設計、低コストおよびエネルギ節約をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータに関し、特に、2つの平行な二方向エスカレータを駆動する駆動装置の群からなる1つのメイン駆動装置を使用する二方向エスカレータに関する。
【背景技術】
【0002】
二方向エスカレータは、一般に、互いが実質的に平行に配置された登りエスカレータおよび下りエスカレータを備える。登りエスカレータおよび下りエスカレータの両方は、フレーム、踏段、移動手すり、駆動装置を備える。
【0003】
2つの平行なエスカレータを備えた現在利用可能な二方向エスカレータの全ては、2つの単一のエスカレータを並列に配置することによって実現される。各エスカレータは、専用のメイン駆動ユニットを備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、通常のエスカレータの問題は、構造が複雑なこと、製造コストが高いこと、およびエネルギが浪費されることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によって解決されるべき技術的な課題は、2つのエスカレータが1つのメイン駆動ユニットによって駆動される二方向エスカレータを提供することである。
【0006】
本発明の1つの特徴では、本発明は、第1のエスカレータおよび第2のエスカレータを備えた二方向エスカレータを提供する。ここで、第1のエスカレータは、第1の駆動シャフトを有した第1のエスカレータ駆動装置を備えており、第2のエスカレータは、第2の駆動シャフトを有した第2のエスカレータ駆動装置を備える。また、二方向エスカレータは、第1の駆動シャフトに接続された第1のベベルギヤと、第2の駆動シャフトに接続された第2のベベルギヤと、第1のベベルギヤおよび第2のベベルギヤと係合した第3のベベルギヤと、を有した2段ベベルギヤ反転ユニットを備える。メイン駆動装置は、2段ベベルギヤ反転ユニットを用いて第1のエスカレータおよび第2のエスカレータを同時に駆動する。
【0007】
図示された実施例では、第1のエスカレータ駆動装置は、第1の駆動シャフトの両端に接続された2つの踏段チェーンスプロケットと、該2つの踏段チェーンスプロケットの一方に接続されたブレーキディスクと、を備える。同様に、第2のエスカレータ駆動装置は、第2の駆動シャフトの両端に接続された2つの踏段チェーンスプロケットと、該2つの踏段チェーンスプロケットの一方に接続されたブレーキディスクと、を備える。
【0008】
メイン駆動装置は、駆動チェーンと、駆動スプロケットと、該駆動チェーンを介して該駆動スプロケットに接続されたメインユニットと、を備える。ここで、駆動スプロケットは、第1のエスカレータ駆動装置および第2のエスカレータ駆動装置における踏段チェーンスプロケットの1つに接続される。
【0009】
第1のエスカレータおよび第2のエスカレータを備えた二方向エスカレータは、共通のフレームを有してもよい。
【0010】
キー、スプラインまたは軸継手を介して、第1のベベルギヤは、第1の駆動シャフトに接続され、第2のベベルギヤは、第2の駆動シャフトに接続される。
【0011】
図示された実施例では、第1のエスカレータおよび第2のエスカレータは、互いが実質的に平行になるように配置されており、第1のエスカレータ駆動装置および第2のエスカレータ駆動装置は、互いが平行になるように配置される。
【0012】
また、図示された実施例では、第1のエスカレータの第1のエスカレータ駆動装置における第1の駆動シャフトは、第2のエスカレータの第2のエスカレータ駆動装置における第2の駆動シャフトと実質的に同軸に配置される。
【0013】
本発明は、従来技術と比較して、以下の利点がある。本発明の二方向エスカレータは、メインユニット、駆動チェーンおよび駆動スプロケットを備えたメイン駆動装置のセットを縮小して、2段ベベルギヤ反転ユニットを付加する。駆動部全体は、通常のエスカレータのようにエスカレータ機械室内に取り付けられ、1つのメイン駆動装置を用いて2つのエスカレータを同時に駆動する。この構造は、小型かつ簡潔であり、製造コストおよび運転コストが低く、効率的にエネルギを節約することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の内容および実施例が、添付の図面に基づいてより詳細に説明される。図面の同一または類似の符号が、同一または類似の部品をそれぞれ示している。添付の図面に基づいた本発明の以下の説明は、本発明の1つの実施例を図示して説明するだけであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0015】
図1に示されるように、本実施例において、二方向エスカレータは、第1の駆動シャフト3を有した第1のエスカレータ駆動装置Iを備える第1のエスカレータと、第2の駆動シャフト12を有した第2のエスカレータ駆動装置IIを備える第2のエスカレータと、2段ベベルギヤ反転ユニットIVと、2段ベベルギヤ反転ユニットIVを介して第1のエスカレータおよび第2のエスカレータを同時に駆動するメイン駆動装置IIIと、を有する。
【0016】
2段ベベルギヤ反転ユニットIVは、第1の駆動シャフト3に接続された第1のベベルギヤ8と、第2の駆動シャフト12に接続された第2のベベルギヤ10と、第1のベベルギヤ8および第2のベベルギヤ10の両方と係合した第3のベベルギヤ9と、を備える。
【0017】
図1に示される実施例では、第1のエスカレータおよび第2のエスカレータは、共通のフレームを使用する二方向エスカレータを構成する。
【0018】
第1のエスカレータおよび第2のエスカレータは、互いが実質的に平行になるように配置される。さらに、第1のエスカレータ駆動装置および第2のエスカレータ駆動装置は、互いに平行に配置される。
【0019】
第1のエスカレータの第1のエスカレータ駆動装置Iにおける第1の駆動シャフト3は、第2のエスカレータの第2のエスカレータ駆動装置IIにおける第2の駆動シャフト12と実質的に同軸に配置される。
【0020】
第1および第2のエスカレータと、第1および第2のエスカレータ駆動装置と、第1のエスカレータの第1のエスカレータ駆動装置における第1の駆動シャフトと、第2のエスカレータの第2のエスカレータ駆動装置における第2の駆動シャフトとが、適切な方法を用いて、上述の構成によって限定されない構成を備え得ることが指摘されるべきである。これは、第1のエスカレータ駆動装置の第1の駆動シャフトおよび第2のエスカレータ駆動装置の第2の駆動シャフトが、第1のベベルギヤ8、第2のベベルギヤ10および第3のベベルギヤ9によって接続され、これにより、メイン駆動装置IIIが2段ベベルギヤ反転ユニットIVを介して第1のエスカレータおよび第2のエスカレータを同時に駆動することができる場合に限られる。例えば、第1のエスカレータの第1のエスカレータ駆動装置における第1の駆動シャフトおよび第2のエスカレータの第2のエスカレータ駆動装置における第2の駆動シャフトは、同軸に配置される代わりに180°近傍の角度で配置されてもよい。この例による1つの可能な実施例では、第1のエスカレータおよび第2のエスカレータがほぼ中央位置で互いに交差する。このとき、第1のエスカレータの第1のエスカレータ駆動装置および第2のエスカレータの第2のエスカレータ駆動装置が中央位置で取り付けられ、第1のエスカレータの第1のエスカレータ駆動装置における第1の駆動シャフトおよび第2のエスカレータの第2のエスカレータ駆動装置における第2の駆動シャフトが、第1のベベルギヤ8、第2のベベルギヤ10および第3のベベルギヤ9を介して接続される。
【0021】
第1のエスカレータの第1のエスカレータ駆動装置Iは、第1の駆動シャフト3の両端に接続された第1の右側踏段チェーンスプロケット4および第1の左側踏段チェーンスプロケット6と、図1の例に示されるように第1の右側踏段チェーンスプロケット4に接続される、または第1の左側踏段チェーンスプロケット6に接続される第1のブレーキディスク5と、を備える。同様に、第2のエスカレータの第2のエスカレータ駆動装置IIは、第2の駆動シャフト12の両端に接続された第2の右側踏段チェーンスプロケット11および第2の左側踏段チェーンスプロケット13と、第2の右側踏段チェーンスプロケット11に接続される、または図1の例に示されるように第2の左側踏段チェーンスプロケット13に接続される第2のブレーキディスク14と、を備える。
【0022】
「左側」および「右側」という言葉が上記の説明で使用されているが、これらの言葉は、本発明の説明を容易にするために使用されるだけであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0023】
メイン駆動装置IIIは、駆動チェーン2および駆動スプロケット7を備える。ここで、駆動スプロケット7は、第1の右側踏段チェーンスプロケット4、第1の左側踏段チェーンスプロケット6(例えば、図1の例に示されている)、第2の右側踏段チェーンスプロケット11および第2の左側踏段チェーンスプロケット13の1つに接続されている。また、メイン駆動装置IIIは、駆動チェーン2を介して駆動スプロケット7に接続されたメインユニット1を備える。また、メインユニット1は、電気モータ(図示せず)と、該電気モータに接続された減速器と、を備える。
【0024】
キー、スプラインまたは軸継手を介して、第1のベベルギヤ8は、第1の駆動シャフト3に接続され、第2のベベルギヤ10は、第2の駆動シャフト12に接続される。第1のベベルギヤ8および第2のベベルギヤ10は、第3のベベルギヤ9と係合することによって2段反転装置を実現する。第3のベベルギヤ9および第1のベベルギヤ8は、第1段の反転駆動を実現し、第2のベベルギヤ10および第3のベベルギヤ9は、第2段の反転駆動を実現する。
【0025】
前述の実施例では、メインユニット1は、第1の左側踏段チェーンスプロケット6に固定された駆動チェーン2および駆動スプロケット7を介して、第1のエスカレータ駆動装置Iおよび第2のエスカレータ駆動装置IIを駆動する。しかし、本発明は、この構成に限定されない。例えば、メインユニットは、軸継手を介して、第1のエスカレータ駆動装置の第1の駆動シャフト3、第2のエスカレータ駆動装置の第2の駆動シャフト12または第3のベベルギヤ9のシャフトに接続されてもよい。
【0026】
2つの平行なエスカレータにおいて一般に互いに独立した第1のエスカレータ駆動装置Iと第2のエスカレータ駆動装置IIとの間に2段ベベルギヤ反転ユニットIVを付加することによって、本発明は、1つのメイン駆動装置IIIを使用して、平行な第1のエスカレータ駆動装置Iおよび第2のエスカレータ駆動装置IIを同時に駆動することを可能にする。二方向エスカレータにおける二方向に動く踏段および踏段チェーンが、互いに独立するとともに第1のエスカレータ駆動装置Iの第1の左側踏段チェーンスプロケット6および第1の右側踏段チェーンスプロケット4と、第2のエスカレータ駆動装置IIの第2の左側踏段チェーンスプロケット13および第2の右側踏段チェーンスプロケット11と、のそれぞれによって駆動される。
【0027】
運転中に、メインユニット1は、第1のエスカレータ駆動装置Iを駆動し、該第1のエスカレータ駆動装置Iが駆動チェーン2を介して一方向に回転する。2段ベベルギヤ反転ユニットIVを介して2段の反転が完了すると、第1のエスカレータ駆動装置Iは、第2のエスカレータ駆動装置IIを駆動し、該第2のエスカレータ駆動装置IIが反対方向に回転する。これにより、1つのメイン駆動装置IIIを用いて2つの平行なエスカレータを同時に駆動することができる。
【0028】
本発明の案が、前述の実施例および添付の図面に基づいて詳細に説明されてきたが、本発明における上述の技術的手法が多くの方法で修正および変更され得ることが当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の駆動シャフト(3)を有した第1のエスカレータ駆動装置(I)を備える第1のエスカレータと、
第2の駆動シャフト(12)を有した第2のエスカレータ駆動装置(II)を備える第2のエスカレータと、
2段ベベルギヤ反転装置(IV)と、
前記2段ベベルギヤ反転装置(IV)を介して前記第1のエスカレータおよび前記第2のエスカレータを同時に駆動するメイン駆動装置(III)と、
を備え、
前記2段ベベルギヤ反転装置(IV)は、前記第1の駆動シャフト(3)に接続された第1のベベルギヤ(8)と、前記第2の駆動シャフト(12)に接続された第2のベベルギヤ(10)と、前記第1のベベルギヤ(8)および前記第2のベベルギヤ(10)と係合した第3のベベルギヤ(9)と、を備えることを特徴とする二方向エスカレータ。
【請求項2】
前記第1のエスカレータの前記第1のエスカレータ駆動装置(I)は、前記第1の駆動シャフト(3)の両端に接続された2つの踏段チェーンスプロケット(4,6)と、該2つの踏段チェーンスプロケット(4,6)の一方に接続されたブレーキディスク(5)と、を備え、
前記第2のエスカレータの前記第2のエスカレータ駆動装置(II)は、前記第2の駆動シャフト(12)の両端に接続された2つの踏段チェーンスプロケット(11,13)と、前記2つの踏段チェーンスプロケット(11,13)の一方に接続されたブレーキディスク(14)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の二方向エスカレータ。
【請求項3】
メイン駆動装置(III)が、駆動チェーン(2)と、駆動スプロケット(7)と、該駆動チェーン(2)を介して前記駆動スプロケット(7)に接続されたメインユニット(1)を備え、
前記駆動スプロケット(7)は、前記第1のエスカレータ駆動装置(I)の踏段チェーンスプロケット(4,6)の一方に接続されるか、または前記第2のエスカレータ駆動装置(II)の前記踏段チェーンスプロケット(11,13)の一方に接続されることを特徴とする請求項2に記載の二方向エスカレータ。
【請求項4】
前記第1のエスカレータおよび前記第2のエスカレータは、前記二方向エスカレータを構成することを特徴とする請求項1に記載の二方向エスカレータ。
【請求項5】
キー、スプラインまたは軸継手を介して、前記第1のベベルギヤ(8)は、前記第1の駆動シャフト(3)に接続され、前記第2のベベルギヤ(10)は、前記第2の駆動シャフト(12)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の二方向エスカレータ。
【請求項6】
前記第1のエスカレータおよび前記第2のエスカレータは、互いが平行になるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の二方向エスカレータ。
【請求項7】
前記第1のエスカレータ駆動装置(I)および前記第2のエスカレータ駆動装置(II)は、互いに平行であることを特徴とする請求項1に記載の二方向エスカレータ。
【請求項8】
前記第1のエスカレータの前記第1のエスカレータ駆動装置(I)における前記第1の駆動シャフト(3)は、前記第2のエスカレータの前記第2のエスカレータ駆動装置(II)における第2の駆動シャフト(12)と実質的に同軸となるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の二方向エスカレータ。

【図1】
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【公表番号】特表2009−537418(P2009−537418A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510264(P2009−510264)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001621
【国際公開番号】WO2007/137499
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】