説明

二次元コードを取り扱い可能な装置、方法及びプログラム

【課題】文書ごとに固有なIDを割り振り、文書管理を行う際、文書IDの発行を制限することなく際限なく発行するため、文書管理が複雑になり、ログサーバでのID管理負荷が増大するという問題がある。
【解決手段】各ページにIDを割り当てるのではなく、ジョブ単位でのIDの割り当てをする事で文書IDの発行数を削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コードを取り扱うことの出来る装置、方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紙媒体に対するセキュリティ対策として、誰が印字した印刷出力物かを特定し、印刷出力物の追跡を行うために、文書を印刷する際、文書を印刷したユーザ情報を紙に印字すること事が知られている。更に、特許文献1に開示されているように、印刷出力物のページにユーザIDだけでなく、印刷出力物を特定するために、固有IDを印字する事が考えられている。また、特許文献1は、ユーザが文書を印字する際、各ページにそれぞれ固有のIDを印字し、そのIDを見ればそのページは誰が印字したのかを追跡出来るシステムを開示している。ここで、固有IDを紙に印字する方法として、例えば可視二次元コードが想定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−140073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記IDは各ページ全てに固有文書IDを割り振る事で、追跡を行う事を前提としている。つまり、固有文書IDは、特に制限なく無制限に発行されていく。このように、IDが無制限に発行されてしまうと、サーバで管理されるIDの数は日々膨大に増え続け、サーバの管理負荷が増大するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る装置は、複数のページから構成される文書についての印刷データを印刷ジョブ単位で一意に識別可能な識別子をエンコードするエンコード手段と、前記エンコード手段により得られたコードであって、共通の前記識別子についてのコードを、共通の印刷ジョブについての前記印刷データの各ページに対して合成する合成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、文書IDによる文書管理を簡素化し、サーバの管理負荷を軽減可能な装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態におけるシステム構成例を示す図である。
【図2】一実施形態における二次元コードに含まれるタグ情報を示す図である。
【図3】一実施形態におけるタグ情報を二次元コードとした図である。
【図4】実施例1における処理のフローチャートを示す図である。
【図5】実施例2における処理のフローチャートを示す図である。
【図6】実施例3における処理のフローチャートを示す図である。
【図7】実施例3における処理のフローチャートを示す図である。
【図8】一実施形態におけるイメージサーバへの登録データ構成例を示す図である。
【図9】一実施形態におけるログサーバへの登録データ構成を示す図である。
【図10】一実施形態における文書ID割り当てを設定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、本実施例の主な要旨は以下の通りである。
前記課題で述べた点に鑑みて、文書印刷のユースケースを考慮すると、文書IDの発行は、各ページに異なる文書IDを発行するのではなく、ジョブ単位で発行した方が望ましい。つまり、5ページの文書を3部印字する際、各ページに異なる文書IDを発行すると全部で15個の文書IDが必要となるが、その文書を実際に印字した人や時間、場所を特定したいのであれば、全てが同一の文書IDであっても追跡は可能である。
【0010】
実施例1では、印刷出力物の各ページに文書IDを割り当てるのではなく、ジョブ単位でのIDの割り当てをする事で文書IDの発行数を削減する事を目的としている。これにより、サーバで管理する文書ID数を減らし、管理負荷を削減する事が出来る。
【0011】
以上述べた要旨を元に、以下詳細に説明を行なう。
図1は、実施例1のシステム構成を示す図である。システム100は、PC(Personal Computer)101、MFP(Multifunction Peripheral)102、イメージサーバ103、文書IDサーバ104、及びログサーバ105を備える。各構成はネットワーク106を介して接続されている。
【0012】
尚、MFP102は、プリンタ等の他の画像形成装置又は画像処理装置に置き換えても良い。当該画像形成装置は、画像をメモリ上あるいは紙上に形成できるものであれば何でもよい。図示していないが、MFP102は、画像読み取り部、画像解析部、画像形成部、プリンタエンジン部、操作部、表示部、通信部、記憶部、及び制御部を備える。
【0013】
画像形成装置であるMFP102は画像の入出力機能を有するものであり、紙原稿の入力および紙への印刷出力を行うものである。入力した画像は、デジタルデータとしてネットワーク106を介して、イメージサーバ103への保存や他の画像形成装置への転送などが可能である。また、パーソナルコンピュータであるPC101からのプリントデータや、他の画像形成装置からの画像データを受信し、紙への印刷出力も可能である。
【0014】
イメージサーバ103は、ネットワーク106を通じてMFP102から送られてくる画像データと文書IDを関連付けて登録するサーバである。
【0015】
文書IDサーバ104は、文書IDを発行するためのサーバである。文書IDサーバ104は、ネットワーク106を通じて送られてくるMFP102の要求に応じて、MFP102から通知された文書IDと関連付けた新規文書IDを発行する。
【0016】
ログサーバ105は、ネットワーク106を通じてMFP102から通知される文書ID、ジョブ詳細情報、及び追跡情報を関連付けて登録し、文書ログを管理するサーバである。
【0017】
MFP102の画像読み取り部で読み取る原稿107には、画像と、原稿107に関する情報が含まれた二次元コード108が印字されている(二次元コードと限らず、バーコードなど、他のコードであっても良い。以下、他の実施例についても同様である。)。この二次元コード108に含まれる情報に関して、以下詳細に説明していく。
【0018】
原稿107上に印字される二次元コード108に含まれる情報には、まず、その原稿がコピー禁止か、コピー許可か、パスワードやログインユーザなど条件付きコピー許可かといった原稿のセキュリティに関する情報がある。この情報を、以降、セキュリティ情報という。なお、セキュリティ情報は、コピー許可/不許可に関する情報に限られず、原稿のセキュリティに関する情報であれば何でも良い。例えば、スキャン許可/不許可に関する情報や、外部への送信の許可/不許可に関する情報や、MFP102内部のメモリ等への格納の許可/不許可に関する情報などもセキュリティ情報に含まれ得る。
【0019】
ここで、セキュリティ情報には、セキュリティに関するレベルの違いを表すセキュリティレベルが事前に定められている。例えば、コピー禁止のセキュリティレベルは、コピー禁止、条件付きコピー許可、コピー許可の順で徐々にコピー禁止度が低くなる。
【0020】
次に、誰が印刷出力物の出力(作成)を指示したのかを追跡するのに必要な情報がある。この情報を、以降、追跡情報という。なお、原稿がスキャン対象である紙なのに対して、印刷出力物は、何らかの情報が印字された紙である。印刷出力物がスキャン対象になった場合には、原稿=印刷出力物となるため、両者の間に実質的な違いは無い。
【0021】
この追跡情報には、例えば、印刷出力物の出力を指示したユーザのユーザ名(User Name)と、画像形成装置のシリアル番号(Serial No.)と、印刷出力物の出力時刻(Time)と、画像形成装置の生産会社名(Vendor)が含まれている。
【0022】
ユーザ名だけでなく上記他の情報も、誰が印刷出力物の出力を指示したのかを追跡するのに間接的に役立つことがある為、これらの情報も、追跡情報という単語の意味の中に本実施例等(本実施例や別の実施例)では含まれている。
【0023】
最後に、印刷出力物107を固有な文書として識別するための文書ID(DocID)がある。文書IDは、MFP102からの要求に従って文書IDサーバ104で発行され、ネットワーク106を介して送られる。この文書IDは、UUID(Universally Unique Identifier)のような16バイト数値で表され、重複や偶然の一致が起こり得ない既知の仕組みを利用する事が考えられる。UUIDの仕様は、RFC(Request For Comments)4122として広く一般に知られており、公知である。
【0024】
さらに、これらセキュリティ情報・追跡情報・文書IDの3つの情報を1つずつ含む二次元コード108のサイズは規定されているものとする。そして本実施例では、MFP102は、この規定サイズの二次元コードに限り、二次元コード108として検出する。
【0025】
ここで、本実施例等におけるデコード、エンコードという言葉の定義について、図2と図3とを用いて説明する。
【0026】
図2は、二次元コード108に含まれた情報を示す図である。例えば、「コピー許可」を示すセキュリティ情報は、「Security: copy_ok」というタグ形式の命令情報として含まれている。追跡情報は、Vendor, Serial No, User Name, Timeがそれぞれタグ形式の情報として含まれている。文書IDは、DocIDとしてタグ形式の情報として含まれている。
【0027】
図3は、図2に示す三種類のタグ形式の情報をコード化した二次元コードである。
デコードとは、例えば一次元コード、二次元コード(例えば、図3に示されたコード)、電子透かし等のコードから、情報(例えば、図2に示された情報)を抽出する事を表す。
【0028】
エンコードとは、タグ形式の情報から、コードを生成する事を表す。以上が、本実施例におけるデコードとエンコードの定義である。
【0029】
尚、本実施例等では、二次元コードの場合を中心に処理の説明を行うが、二次元コード以外のコード、例えば一次元コード、電子透かし等に対しても上記処理が適用可能なことは、当業者であれば容易に理解できよう。
【0030】
図8にイメージサーバ103に保存されるデータ構成の一例を記載する。イメージサーバ103には、文書ID及び画像データが保存される。本実施例1等では、画像データと文書IDは、ネットワーク106を介してイメージサーバ103へ転送され、画像データと文書IDを関連付けした上で、イメージサーバ103に登録される。画像データ形式は必要に応じてPDFやPDLや独自形式など、MFP102が印刷画像データに変換できる形式であれば何でもよい。
【0031】
図9にログサーバ105で管理されるデータ構成の一例を記載する。本実施例1等では、追跡情報とジョブ詳細情報と文書IDが、ネットワーク106を介してログサーバ105へ転送され、これらの情報を関連付けした上で、ログサーバ105に登録される。
【0032】
なお、本実施例においては、イメージサーバ103、文書IDサーバ104、ログサーバ105をそれぞれ異なるサーバとして説明したが、これらを一つのサーバとしてシステムを構成する事も可能である。若しくは、いずれか二つを一つのサーバとしてシステムを構成することも可能である。
【0033】
次に、図4のフローチャートを参照して、実施例1におけるシステム100の処理フローを説明する。なお、以下に説明する各装置が行う処理は、各装置が備える制御部による制御により行われる。特に、MFP102による処理は、MFP102が備える前述した各構成により行われる。
【0034】
ステップS1000では、MFP102にユーザがログインするときにユーザ認証が行われる。MFP102は、ログインユーザを特定する情報を不図示のデータサーバにアクセスして取得し、MFP102内の不図示の記憶手段(HDD、メモリ等)に格納する。この格納により、MFP102へのログインが完了する。
【0035】
ここで、データサーバとは、PC101やMFP102と電気的に接続されているログイン管理サーバのことである。
【0036】
MFP102にログインしたユーザは、不図示のMFP102の読み取り部に原稿を置き、どのような印刷出力物を得たいかを不図示のMFP102の操作部をキー操作して、入力する。MFP102はこの時ユーザが行った操作部のキー操作から、これから実行するジョブ詳細情報を入手し、MFP102内の不図示の記憶手段(HDD、メモリ等)に格納するものとする。
【0037】
ここで、本実施例等におけるジョブ詳細情報という言葉の定義について、説明する。ユーザが原稿読み取り部に原稿を置き、出力部数や両面印刷、ステイプル処理といった、これからMFP102で実行するジョブの詳細を操作部のキー操作を行って設定する。このように設定された情報を、ジョブ詳細情報と呼ぶ。
【0038】
ステップS1000で、ログイン及びジョブ詳細情報の取得が完了したら、ステップS1001に進む。
【0039】
ステップS1001では、ユーザが、印刷処理開始のために、操作部のスタートボタンを押下したことを検知して、原稿のスキャンを開始する。原稿をスキャンする事により、MFP102は画像データを取得する。ここで、画像データは、MFP102が印刷画像データに変換できる形式であればなんでもよい。MFP102は、取得した画像データを不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。
【0040】
ステップS1002では、ステップS1001で取得した画像データの中に二次元コードが合成されていないかどうかを判断する。ステップS1002で二次元コードが検出されなければ、ステップS1004に進む。ステップS1002で二次元コードが検出された場合、ステップS1003に進み、二次元コードのデコードを行う。デコードにより、MFP102は二次元コードに含まれていた情報を取得する。二次元コードから取得できる情報は、セキュリティ情報、追跡情報、文書IDの3種類である。MFP102は、上記情報を取得すると、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。
【0041】
また、MFP102は、ステップS1001で取得した画像データから検出した二次元コードを削除する。そして、二次元コードを削除した画像データを、ステップS1001で不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納していた画像データと置き換える。
【0042】
ステップS1004で、MFP102は文書IDサーバ104に対して、新規文書IDの発行の要求とともにステップS1003で取得した文書IDを送信する。文書IDサーバ104は、MFP102からの要求に応じて新規文書IDを発行する際に、MFP102から通知された文書IDと関連付けたIDを発行し、それを新規文書IDとしてMFP102に通知する。
【0043】
一方、ステップS1003でデコードして得られた情報に文書IDがない、若しくはステップS1002で二次元コードが検出されなかった場合は、MFP102は新規文書IDの発行のみを要求する。文書IDサーバ104は新規文書IDを発行して、MFP102に通知する。
【0044】
ステップS1005で、MFP102は文書IDサーバ104で発行された文書IDを取得する。ここで取得される文書IDは、ステップS1001で印刷処理が開始される度に取得される。従って、ここで取得される文書IDは、文書についての印刷データを印刷ジョブ単位で一意に識別可能な識別子である。取得した文書IDは、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。
【0045】
ステップS1006でMFP102は、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納されている画像データとステップS1005で取得した文書IDを、イメージサーバ103に送る。イメージサーバ103は、送られてきた情報を関連付けし登録する。
【0046】
ステップS1007でMFP102は、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納されたセキュリティ情報、追跡情報、ジョブ詳細情報と、ステップS1005で取得した文書IDをログサーバ105に送る。ログサーバ105は、送られてきた情報を関連付けして登録する。
【0047】
ステップS1008でMFP102は、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納されたセキュリティ情報、追跡情報と、ステップS1005で取得した文書IDから、二次元コードを生成する(二次元コード以外の他のコードであっても良い。以下、他の実施例についても同様である。)。すなわち、S1005で取得された文書IDがエンコードされ、コードが生成される。
【0048】
ステップS1009でMFP102は、ステップS1008で生成した二次元コードを、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納された画像データに加える(合成する)。画像データが複数ページからなる場合は、画像データの各ページに対して、共通の文書IDを有する二次元コードを合成する。すなわち、S1005で取得された文書IDは、共通のジョブで印刷される複数のページから構成される文書を一意に識別するために用いられる。このようにして二次元コードが合成された画像データを印刷データとする。
【0049】
ステップS1010でMFP102は、ステップS1009で生成された印刷データを、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納されたジョブ詳細情報に従い出力する。1つの印刷ジョブで複数部の印刷出力がされる場合は、各部に同じ文書IDを有する二次元コードが付加された印刷データが出力される。すなわち、S1005で取得された文書IDは、複数のページから構成される文書を共通のジョブで複数部印刷した場合の印刷物を一意に識別するために用いられる。
【0050】
以上の処理フローにより、複数枚の原稿や複数部の印刷出力をする場合であっても、ページ毎に異なる文書IDを発行する事なく、文書IDを発行する事が可能となる。その結果、本実施例によれば、文書IDによる文書管理を簡素化し、サーバーサーバの管理負荷を軽減することができる。
【実施例2】
【0051】
本実施例では、セキュリティレベルの高い原稿107を複数部印字する場合に、それぞれの印刷出力物に部毎に異なる文書IDを印字する事が出来るシステムについて述べる。
【0052】
実施例2におけるMFP102の処理フローについては、図5のフローチャートを用いて説明を行っていく。ここで、原稿107には二次元コード(または、他のコード。以下同様。)が印字されており、実施例1とは異なり、その二次元コードにはレベルの高いセキュリティ情報が埋め込まれている事とする。
【0053】
ここで、セキュリティレベルの高低に関しては、事前に管理者がMFP102に設定しておいてもいいし、都度ユーザが選択してもよい。
【0054】
セキュリティレベルの高い原稿107を複数コピーする際、全部が同じ文書IDだと流出元の特定が難しい。そこで、出力印刷物の部毎に、異なる文書IDを割り当てることで、情報流出時の流出元を特定しやすくする。
【0055】
ステップS2000で、実施例1のステップS1000と同様に、MFP102に対するログインと、実行するジョブの詳細情報の取得が行われる。この時、MFP102は、不図示の操作部のキー操作にてユーザが入力した印刷部数Nを、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。
【0056】
ステップS2001では、印刷処理を開始するためにユーザが操作部のスタートボタンを押下したことを検知して、原稿のスキャンを開始する。原稿をスキャンする事により、MFP102は画像データを取得する。ここで、画像データは、MFP102が印刷画像データに変換できる形式であればなんでもよい。MFP102は、画像データを取得すると、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。
【0057】
ステップS2002では、ステップS2001で取得した画像データの中にある二次元コードを検出する。
【0058】
ステップS2003で、ステップS2002で検出した二次元コードをデコードする。デコードにより、MFP102は二次元コードに含まれていた情報を取得する。二次元コードから取得できる情報は、セキュリティ情報、追跡情報、文書IDの3種類である。MFP102は、上記情報を取得すると、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。また、MFP102は、ステップS2001で取得した画像データから検出した二次元コードを削除する。そして、二次元コードを削除した画像データを、ステップS2001で不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納していた画像データと置き換える。
【0059】
ステップS2004では、ステップS2003で取得したセキュリティ情報のセキュリティレベルが高いか低いかを判断する。具体的には、管理者がMFP102に対して予め設定した基準に基づいてセキュリティレベルを判断する。または、取得したセキュリティ情報を不図示の表示部に表示させ、ユーザが都度キー操作により判断してもよい。
【0060】
ステップS2004で、原稿107に含まれていたセキュリティレベルが高いと判断した場合は、ステップS2005に進む。
【0061】
ステップS2004で、原稿107に含まれていたセキュリティレベルが低いと判断した場合は、ステップS1004に進む。
【0062】
ステップS2005からステップS2010までは、図4のステップS1004からステップS1009と同じ処理が実行されていくため、ここでは説明を割愛する。
【0063】
ステップS2011でMFP102は、ステップS2010で生成した二次元コードを、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納された画像データに加え、印刷データとして出力する。MFP102は出力した後に、出力数Mに1を加える(Mの初期値は0とする)。これにより、出力した部数がカウントされることとなる。
【0064】
ステップS2012で、MFP102は出力数Mが、ステップS2000で設定された印刷部数Nと等しいかを判断する。もし、ステップS2012でNがMと等しくなければ、MFP102はステップS2005に戻り、文書IDを文書IDサーバ104に要求する。
【0065】
これを繰り返し、ステップS2012でNがMと等しくなるまで、MFP102は印刷出力物を出力する。S2004で一部出力する度に文書IDを要求するので、出力された印刷出力物には、それぞれ異なる文書IDが印字される。
【0066】
以上の処理フローにより、セキュリティレベルが高い原稿を複数部印字する時であっても、印刷出力物の部毎に異なる文書IDを割り当てる事が可能となる。すなわち、S2003で検出されたセキュリティ情報が高いセキュリティレベルを示す場合、印刷出力物の部毎に異なる文書IDを割り当て、セキュリティレベルが高くないときは、ジョブ毎に異なる文書IDを割り当てる。このように文書IDを割り当てることによって、管理すべき文書IDが必要以上に増加することを防ぐことができる。
【0067】
また、部毎に文書IDを変えるかどうかは、セキュリティレベルの高低により自動的で判断される前提で説明を行ったが、ステップS2000でユーザがキー操作を行って任意に設定しても良い。
【実施例3】
【0068】
実施例1及び実施例2では、スキャンした原稿107内に文書IDが一つ以下しかない場合についての処理フローを説明してきた。
【0069】
本実施例3では、MFP102でスキャンした原稿107の中に複数の文書IDがあった場合の文書ID割り当てシステムについて述べる。
【0070】
実施例3におけるMFP102の処理フローについては、図6、図7のフローチャートを用いて説明を行っていく。
【0071】
ステップS3000、ステップS3001は、図4のステップS1000、S1001と同じ処理が実行されるため、ここでは説明を割愛する。
【0072】
ステップS3002で、ステップS3001で取得した画像データの中にある二次元コードを検出する。
【0073】
ステップS3003で、ステップS3002で検出した二次元コードをデコードする。デコードにより、MFP102は二次元コードに含まれていた情報を取得する。二次元コードから取得できる情報は、セキュリティ情報、追跡情報、文書IDの3種類である。MFP102は、上記情報を取得すると、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。また、MFP102は、ステップS3001で取得した画像データから検出した二次元コードを削除する。そして、二次元コードを削除した画像データを、ステップS3001で不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納していた画像データと置き換える。
【0074】
また、MFP102は、二次元コードのデコードにより取得した文書ID数Pを数え、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。
【0075】
次に、ステップS3004に進み、文書IDを統合して新たに一つの文書IDを取得(すなわち、文書IDを1つに統合)し印刷出力物に印字するか、スキャンした原稿の文書ID構成を引き継ぐ新たなN個の文書IDを取得し印刷出力物に印字するかを判断する。
【0076】
文書IDを統合するか非統合のままにするかの判断基準は、あらかじめMFP102に管理者が設定しておいてもいいし、原稿をスキャンしたログインユーザに選択させても良い。
【0077】
ここでは、印刷出力物への文書IDの割り当てを選択させる方法について、図10を用いて一例を説明する。
【0078】
MFP102の管理者若しくはユーザは、MFP102のUIを用いて文書ID割り当ての設定を行う。図10に示す設定画面では、スキャンした原稿内に複数の異なる文書IDがあった場合の文書ID割り当て方法を管理者若しくはユーザに選択させる。
【0079】
また、文書IDを統合するか非統合のままにするかの判断基準を予めMFP102に管理者が設定する場合の例として、次のように設定することができる。すなわち、スキャンした原稿内に含まれていた複数の文書IDがページ間で異なる場合、文書IDの統合を行わず、当該複数の文書IDがページ間で共通する場合、文書IDの統合を行うように設定することができる。
【0080】
IDを統合するか非統合にするか選択した後、ユーザがOKボタンを押下する事で、MFP102の印刷出力物に付加する文書IDの割り当て方法が設定される。
【0081】
ステップS3004で文書IDを統合する場合はステップS3005へ、非統合の場合はステップS3105へと進む。
【0082】
文書IDを統合する場合、ステップS3005で、MFP102は文書IDサーバ104に対して、新規文書IDの発行を要求する。この時、MFP102からはP個の文書IDが通知され、文書IDサーバ104は、P個の文書IDに関連付けた新規文書IDを発行し、それをMFP102に通知する。
【0083】
以降ステップS3006からステップS3011までは、図4のステップS1005からステップS1010と同じ処理が実行されていくため、ここでは説明を割愛する。
【0084】
文書IDを非統合とする場合、図7のステップS3105に進む。ステップS3105では、一つの文書IDを文書IDサーバ104に対して要求する。
【0085】
ステップS3105、ステップS3106で文書IDサーバ104に文書IDを要求しMFP102が取得する処理に関しては、図4のステップS1004、ステップS1005と同じ処理が実行されるため、ここでは説明を割愛する。なお、S3106で取得された文書IDは、実施例1及び2と同様に、印刷データを印刷ジョブ単位で一意に識別可能な識別子である。
【0086】
ステップS3107で、MFP102は、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納された、L番目の文書IDが入っていた画像データと、ステップS3106で取得した文書IDを、イメージサーバ103に送る。イメージサーバ103は、送られてきた情報を関連付けして、登録する。
【0087】
ステップS3108で、MFP102は、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納された、L番目の文書IDが入っていた画像のセキュリティ情報、追跡情報、ジョブ詳細情報と、ステップS3106で取得した文書IDをログサーバ105に送る。ログサーバ105は、送られてきた情報を関連付けして登録する。
【0088】
ステップS3109でMFP102は、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納された、L番目の文書IDが入っていた画像のセキュリティ情報、追跡情報と、ステップS3106で取得した文書IDから、二次元コードを生成する。
【0089】
ステップS3110でMFP102は、ステップS3109で生成した二次元コードを、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納されたL番目の文書IDが入っていた画像データに加え、印刷データとして不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納する。そして、MFP102は印刷データを格納した後に、Lに1を加える(Lの初期値は1とする)。これにより、生成した二次元コード数がカウントされることとなる。
【0090】
ステップS3111で、MFP102は、LがステップS3003で検出された文書ID数Pと等しいかを比較し、更に文書IDの発行が必要かどうかを判断する。もし、ステップS3111でLがPと等しくなければ、MFP102はステップS3105に戻る。
【0091】
ここで、ステップS3002で二次元コードが検出されないページが含まれていた場合は、新たにページ毎に二次元コードを生成する必要がある。二次元コードが検出されなかったページ数をQとすると、L=P+Qとなるまで、MFP102はステップS3105に戻る。
【0092】
なお、ステップS3002で二次元コードが検出されないページが複数あった場合、当該複数のページに対して新たに生成する二次元コードは、各ページで共通の文書IDをエンコードしたものとすることができる。
【0093】
ステップS3111で文書IDの発行がこれ以上必要ないと判断された場合、MFP102はステップS3011に進み、不図示の記憶手段(HDD,メモリ等)に格納された印刷データを印字する。
【0094】
以上のように本実施例によれば、文書IDの発行数を最小限に抑え、文書IDによる文書管理を簡素化し、サーバーサーバの管理負荷を軽減することができる。
【0095】
図4〜7に示すフローチャートにおける各ステップの処理は、MFP102内のCPUにより統括的に制御される事で実行可能となる。
【0096】
また、本発明の目的は、上記実施例等で示したフローチャートの手順を実現するプログラムコードを記憶した記憶媒体から、コンピュータがそのプログラムコードを読み出し実行する事によっても達成される。
【0097】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現する事になる。そのため、このプログラムコードやプログラムコードを記憶した記憶媒体も本発明を構成することができる。
【0098】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いる事が出来る。
【符号の説明】
【0099】
101 PC
102 MFP
103 イメージサーバ
104 文書IDサーバ
105 ログサーバ
106 ネットワーク
107 原稿
108 二次元コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページから構成される文書についての印刷データを印刷ジョブ単位で一意に識別可能な識別子をエンコードするエンコード手段と、
前記エンコード手段により得られたコードであって、共通の前記識別子についてのコードを、共通の印刷ジョブについての前記印刷データの各ページに対して合成する合成手段と
を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記文書を1つのジョブで複数部印刷する場合において、前記合成手段は、前記エンコード手段により得られたコードであって、共通の前記識別子についてのコードを、前記複数部の各部の印刷データに対して合成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記文書に含まれているセキュリティ情報を検出する手段を備え、
前記文書を1つのジョブで複数部印刷する場合において、前記合成手段は、前記検出されたセキュリティ情報が高いセキュリティレベルを示す場合、前記エンコード手段により得られたコードであって、前記複数部の部毎に異なる前記識別子についてのコードを、各部の印刷データに対してそれぞれ合成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のページから構成される文書から画像を読み取る読み取り手段と、
前記読み取られた画像から検出したコードをデコードし、文書IDを得るデコード手段を備え、
前記合成手段は、
前記デコード手段により得られた文書IDが前記複数のページのページ間で共通する場合、前記エンコード手段により得られたコードであって、共通の前記識別子についてのコードを、共通の印刷ジョブについての前記読み取られた画像の各ページに対して合成し、
前記デコード手段により得られた文書IDが前記複数のページのページ間で異なる場合、前記エンコード手段により得られたコードであって、異なる前記識別子についてのコードを、共通の印刷ジョブについての前記読み取られた画像の各ページに対して合成すること
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記デコード手段により文書IDが得られなかったページが複数ある場合、前記合成手段は、前記エンコード手段により得られたコードであって、共通の前記識別子についてのコードを、前記文書IDが得られなかった複数のページの各画像に対して合成することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
画像処理装置によって実施される方法であって、
複数のページから構成される文書についての印刷データを印刷ジョブ単位で一意に識別可能な識別子をエンコード手段によりエンコードするステップと、
前記エンコードにより得られたコードであって、共通の前記識別子についてのコードを、共通の印刷ジョブについての前記印刷データの各ページに対して合成手段により合成するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
コンピュータを、
複数のページから構成される文書についての印刷データを印刷ジョブ単位で一意に識別可能な識別子をエンコードするエンコード手段、
前記エンコード手段により得られたコードであって、共通の前記識別子についてのコードを、共通の印刷ジョブについての前記印刷データの各ページに対して合成する合成手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−123615(P2012−123615A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273600(P2010−273600)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】