説明

二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材

【課題】 非水電解質型二次電池の異常時に噴出する電解液分解ガス中の一酸化炭素を低コストで効率よく除去することができる除去材を提供する。
【解決手段】 非水電解質型二次電池Eは、正極端子1及び負極端子2と、電池ケース3と、この電池ケース3の外周面に形成された防爆弁とを備える、電池ケース3の内部に電極体10を収納する。電極体10は、正極集電体11及び正極用電極板12と、負極集電体13及び負極用電極板14とを有し、正極用電極板12と負極用電極板14とは、それぞれセパレータ15を介して巻回した構造を有する。この防爆弁に隣接してカートリッジケースを設け、この内部に一酸化炭素除去材を収容する。一酸化炭素除去材として二酸化マンガンと酸化銅とを含有する混合組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の異常時に電池内部で発生するガス中の一酸化炭素を除去する機能を備えた一酸化炭素の除去材に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池では、過充電や短絡等の異常時に、内部の温度が上昇し、それに伴い電解液が蒸発あるいは分解して発生したガスによって内圧が上昇し、電池ケースが破損するなどの危険性を有する。そのため、非水電解質二次電池は、防爆弁を備え、万一所定の内圧を超えた場合でも、防爆弁から電解液の蒸気やその他の分解ガス等を外部へ噴出させるような仕組みとなっている。しかしながら、それらのガスは可燃性のものや有毒なものを大量に含むため、外部へ噴出させない噴出防止技術が種々開発されている。
【0003】
この噴出防止技術として、例えば、特許文献1には、ラミネート型のリチウムイオン電池内部で発生したガスをガス吸着材によって吸収し、ラミネートフィルムが膨らむのを防止する技術が開示されている。また、特許文献2には、二次電池の内部にガス噴出防止材を包含したガス吸収素子を設けることにより、電池内圧の上昇を長期間安定して抑制することによりガス等の噴出を防止する技術が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、電池内部でのガスの発生による内圧の上昇により、安全弁が開放した際に電池内部の固形物を飛散させないために電池の安全弁としてのフィルタを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−155790号公報
【特許文献2】特開2003−77549号公報
【特許文献3】特開平7−192712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、安全弁が開放した場合、電池内部は非常に高温になっており、噴出するガスの速度、圧力ともに非常に高いため、特許文献1及び特許文献2に記載されているような従来のガス噴出防止材では性能が不十分である、という問題点がある。また、特許文献3に記載されているようなフィルタは、ガス成分の捕集効果はあまり期待できない、という問題点がある。特に電解液の分解により発生する有害な噴出ガスの中でも一酸化炭素は毒性が高く発生量も多いため、噴出ガスからの除去もしくは無害化への要望は強いにもかかわらず有効な除去材がないのが現状であった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、非水電解質型二次電池の異常時に噴出する電解液分解ガス中の一酸化炭素を低コストで効率よく除去することができる除去材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、正極及び負極が電解液とともに封入された筐体と、前記筐体の内圧上昇時に前記筐体内部の高圧ガスを逃がすための防爆弁とを備える二次電池の異常時に噴出するガス中の一酸化炭素を除去するための一酸化炭素の除去材であって、2種類の遷移金属酸化物の混合組成物を含有することを特徴とする二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材を提供する(発明1)。
【0009】
かかる発明(発明1)によれば、2種類の遷移金属酸化物の極性等の相違により、一方の遷移金属酸化物が一酸化炭素を引き寄せ、他方の金属酸化物が一酸化炭素を酸化して二酸化炭素に転換することにより一酸化炭素を除去することができると考えられる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記2種類の遷移金属酸化物が、酸化銅及び二酸化マンガンであるのが好ましい(発明2)。
【0011】
かかる発明(発明2)によれば、酸化銅が一酸化炭素を引き寄せ、二酸化マンガンが効率よく迅速に一酸化炭素を酸化して二酸化二酸化炭素に転換することにより一酸化炭素を高い割合で除去することができると考えられる。
【0012】
上記発明(発明2)においては、前記二酸化マンガンの含有率が40〜80重量%であるのが好ましい(発明3)。また、上記発明(発明2,3)においては、前記酸化銅の含有率が10〜40重量%であるのが好ましい(発明4)。
【0013】
かかる発明(発明3,4)によれば、混合組成物中の二酸化マンガン又は酸化銅を上記範囲内とすることより、酸化銅と二酸化マンガンを併用することによる作用を効果的に発揮することができる。
【0014】
上記発明(発明1〜4)においては、前記混合組成物が0.1〜2mmの平均粒子径を有するのが好ましい(発明5)。
【0015】
かかる発明(発明5)によれば、混合組成物と二次電池の異常時に噴出するガス中の一酸化炭素との接触効率を良好なものとすることができるので、一酸化炭素の除去効果を高い水準に維持することができる。
【0016】
上記発明(発明1〜5)においては、前記混合組成物が50〜500m/gの比表面積を有するのが好ましい(発明6)。
【0017】
かかる発明(発明6)によれば、混合組成物と二次電池の異常時に噴出するガス中の一酸化炭素との接触面積を十分に確保することができるので、高い除去率を維持することができる。
【0018】
上記発明(発明1〜6)においては、前記混合組成物が、粉体の成形品であるのが好ましい(発明7)。
【0019】
かかる発明(発明7)によれば、混合組成物と二次電池の異常時に噴出するガス中の一酸化炭素との接触効率を良好なものとすることができるので、一酸化炭素の除去効果を高い水準に維持することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、正極及び負極が電解液とともに封入された筐体と、前記筐体の内圧上昇時に前記筐体内部の高圧ガスを逃がすための防爆弁とを備える二次電池の異常時に噴出するガス中の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去として、2種類の遷移金属酸化物の混合組成物、特に酸化銅及び二酸化マンガンの混合組成物を用いることにより、二次電池の異常時に噴出するガス中の一酸化炭素を迅速に、かつ高い転換率で無害な二酸化炭素に転換することで除去することができ、二次電池の異常時などに防爆弁から一酸化炭素が外部に噴出するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る一酸化炭素の除去材を適用可能な非水電解質型二次電池を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る一酸化炭素の除去材を適用可能な非水電解質型二次電池の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図3】一酸化炭素の除去材の試験装置を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、各実施形態はいずれも例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
図1及び図2は本実施形態の一酸化炭素の除去材を適用可能な非水電解質型二次電池を示している。図1及び図2において、リチウムイオン電池等の非水電解質型二次電池Eは、正極端子1及び負極端子2と、電池ケース(筐体)3と、この電池ケース3の外周面に形成された防爆弁4とを備え、電池ケース3の内部に電極体10を収納する。電極体10は、図2に示すように正極集電体11及び正極用電極板12と、負極集電体13及び負極用電極板14とを有し、正極用電極板12と負極用電極板14とは、それぞれセパレータ15を介して巻回した構造を有する。そして、正極端子1は正極用電極板12に、負極端子2は、負極用電極板14にそれぞれ電気的に接続されている。筐体としての電池ケース3は、例えば、アルミニウム製またはステンレス製の角型電池槽缶である。
【0024】
このような非水電解質型二次電池において、防爆弁4は、電池ケース3内の圧力が上昇した際に、外部へその圧力を開放する役割がある。この防爆弁4は、リチウムイオン電池の場合、一般的に約0.5〜1.0MPaで開くように設計されている。
【0025】
正極用電極板12は、両面に正極合剤を保持させた集電体である。例えば、その集電体は厚さ約20μmのアルミニウム箔であり、ペースト状の正極合剤は、遷移金属のリチウム含有酸化物であるリチウムコバルト酸化物(LiCoO)に結着材としてポリフッ化ビニリデンと導電材としてアセチレンブラックとを添加後混練したものである。そして、正極用電極板12は、このペースト状の正極合剤をアルミニウム箔の両面に塗布後、乾燥、圧延、帯状に切断の手順で得られる。
【0026】
負極用電極板14は、両面に負極合剤を保持させた集電体である。例えば、その集電体は厚さ10μmの銅箔であり、ペースト状の負極合剤は、グラファイト粉末に結着材としてポリフッ化ビニリデンを添加後混練したものである。そして、負極用電極板14はこのペースト状の負極合剤を銅箔の両面に塗布後、乾燥、圧延、帯状に切断の手順で得られる。
【0027】
セパレータ15としては、多孔膜を用いる。例えば、セパレータ15は、ポリエチレン製微多孔膜を用いることができる。また、セパレータ15に含浸させる電解液は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)を1:1:1の割合で混合した混合液に1mol/Lの六フッ化リン酸リチウムを添加したものを用いることができる。
【0028】
このような非水電解質型二次電池10の防爆弁4に隣接して、カートリッジケース(図示せず)を設け、このカートリッジケース内に一酸化炭素除去材を収容する。カートリッジケースの材料としては、SUS、Al、Al合金、Mg合金、Ti合金等に代表される金属材料、フッ素系樹脂等の高耐食性材料、ポリプロピレン、カーボンファイバ等の軽量材料、及びこれらの複合材料が挙げられる。
【0029】
一酸化炭素除去材は、カートリッジケース内に満杯に充填するよりも、例えば、10〜50容積%程度の空間を設けて充填することが好ましい。充填率が50容積%を未満では一酸化炭素除去材が少なすぎるため、十分なガス噴出防止効果が得られない可能性がある一方、充填率が90容積%を超えると、噴出ガスの拡散性が悪くなり、一酸化炭素除去材との接触効率が低くなるために、ガス噴出防止効果が低くなる虞がある。
【0030】
本実施形態においては、一酸化炭素除去材は、2種類の遷移金属酸化物の混合組成物からなる。ここで、遷移金属とは、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛などであり、これらの遷移金属の酸化物から2種類を選択して用いる。これらの中では、酸化銅と二酸化マンガンとの組み合わせが一酸化炭素の除去率の点で好ましい。
【0031】
この酸化銅と二酸化マンガンとの混合組成物からなる一酸化炭素除去材は、二酸化マンガンの含有率が40〜80重量%、特に55〜70重量%であるのが好ましい。二酸化マンガンの含有率が40重量%未満では、十分な一酸化炭素の除去効果が発揮できなくなる一方、80重量%を超えてもかえって一酸化炭素の除去率が低下する。
【0032】
また、酸化銅含有率は10〜40重量%、特に15〜25重量%であるのが好ましい。酸化銅の含有率が10重量%未満では、十分な一酸化炭素の除去効果が発揮できなくなる一方、40重量%を超えてもかえって一酸化炭素の除去率が低下する。
【0033】
なお、この混合組成物は、二酸化マンガンと酸化銅以外の残部として、カリウム、アルミニウム、珪素などの酸化物を30重量%以下程度含んでいてもよく、さらに、パラジウム、銀、白金、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属の塩化物、無機酸塩、有機酸塩など、さらにはアルカリ金属、アルカリ土類金属及びハロゲンなどの元素あるいはイオンを微量含んでいてもよい。
【0034】
また、混合組成物は、比表面積が50〜500m/gであるのが好ましく、特に150〜300m/gであるのが好ましい。混合組成物の比表面積が50m/g未満では、混合組成物と一酸化炭素との接触面積が小さく、一酸化炭素の除去効率が低くなる一方、比表面積が500m/gを超えても一酸化炭素の除去率の向上効果が得られないばかりか、一酸化炭素除去材自身の機械的強度が低下するため好ましくない。
【0035】
上述したような混合組成物は0.1〜2mm、特に0.5〜1mmの平均粒子径を有するのが好ましい。平均粒子径が0.1mm未満では、噴出した一酸化炭素が混合組成物全体に行き渡らなくなるので接触効率が悪くなり、一酸化炭素除去効果が低下してしまう一方、平均粒子径が2mmを超えると、噴出した一酸化炭素が混合組成物の粒子の間を通過してしまい、かえって一酸化炭素除去効果が低下する恐れがあるため好ましくない。
【0036】
本実施形態の一酸化炭素除去材では、上述したような混合組成物のみかけ上の平均粒子径を大きくする目的で、適当な手法を用いて成形してもよい。成形品の形状に特に制限はないが、噴出物の拡散性、充填性、取扱い易さを考慮すると、顆粒、粒状、ビーズ、ペレットなどの形状とするのが好ましい。
【0037】
このような混合組成物を含有する本実施形態の一酸化炭素除去材は、その比表面積や平均粒子径にもよるが、該一酸化炭素除去材1gに対して、10〜20容積%mLの一酸化炭素を流通させた場合、6mL以上、特に7〜9mLの一酸化炭素除去性能を発揮する。
【0038】
上述したような本実施形態の一酸化炭素除去材は、着脱可能な接続部を備えたカートリッジケースに充填して、直接あるいは配管などを介して非水電解質型二次電池Eの防爆弁4を覆うように接続することにより、一酸化炭素除去システムとすることができる。この場合、カートリッジケースに流入部と流出部を形成して、複数のカートリッジケースの流出部を接続することで、ガス噴出防止効果の向上を図ることができる。
【0039】
そして、この一酸化炭素除去システムは、非水電解質二次電池などの蓄電器に設置して二次電池システムとすることができる。この場合、カートリッジケース内に電解液の分解等により発生するメタン、エタンなどの他のガス成分を吸収するガス噴出防止材(吸収材)を同包するのが好ましい。
【0040】
また、一酸化炭素除去材が液体成分と接触するのを忌避する目的で、電池防爆弁とカートリッジケース内の一酸化炭素除去材との間に、液体成分とガス成分とを分離する気液分離手段を設けるのが好ましい。この気液分離手段としては特に制限はないが、液化した電解液が再び気化することを防ぐ目的で、電池防爆弁とカートリッジケース内の一酸化炭素の除去材との間に、電解液吸収材を配置するのが実用上は好ましい。
【実施例】
【0041】
以下の実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
(試験装置)
本発明の二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材の評価試験装置として、図3に示す高温高圧でリチウムイオン電池から噴出する電解液分解ガスの挙動の模擬試験装置を製作した。
【0043】
図3において、一酸化炭素除去材の試験装置21は、混合ガス加熱収容容器22と、試料(一酸化炭素除去材)充填容器23とを有し、これらは接続部材24,25を介して管路26により連通している。この管路26の途中には開閉弁27が設けられていて、試料充填容器23の出口側にはさらに捕集用のアルミニウムバッグ28が連通している。
【0044】
また、接続部材24には、圧力計29が設けられているとともに、接続部材24,25には熱電対30,31が付設されている。そして、混合ガス加熱収容容器22と接続部材24,25と管路26とは、過熱手段としてのマントルヒータ(図示せず)により加熱可能となっていて、これらマントルヒータ及び熱電対30,31は、図示しない制御装置に接続していて、熱電対30,31の出力に応じてマントルヒータのオン・オフ制御が可能となっている。
【0045】
(ブランク測定試験)
上述したような一酸化炭素除去材の試験装置21において、混合ガス加熱収容容器22に一酸化炭素を15容積%含む混合ガスを、20℃において0.45MPaとなるように充填し、試料充填容器23には一酸化炭素除去材の代わりに基準としてガラスウール10mLを充填した。
【0046】
続いて、開閉弁27を閉鎖した状態でマントルヒータにより、混合ガス加熱収容容器22、接続部材24,25及び管路26内が300℃以上となるように加熱した。混合ガスの膨張によって、混合ガス加熱収容容器22内の圧力が0.93MPaに達したら、開閉弁27を開放することにより、高温の混合ガスを管路26を経由して試料充填容器23に供給した。そして、試料充填容器23内で除去しきれなかったガス成分を試料充填容器23の出口に設けたアルミニウムバッグ28で捕集した。このときのアルミニウムバッグ28のガス捕集量は0.47Lであった。このアルミニウムバッグ2に捕集された一酸化炭素の含有量は65.7mLであった。
【0047】
(実施例1)
上記ブランク測定試験において、試料充填容器23に二酸化マンガン63重量%、酸化銅20重量%を含有する混合組成物8.8gを充填した以外は同様にして試験を行ったところ、アルミニウムバッグ28のガス捕集量は0.47Lであった。このときの捕集されたガス成分をガスクロマトグラフにより分析したところ、一酸化炭素含有量は2.2mLであり、上記ブランク測定試験の結果と対比した結果、―酸化炭素除去率は96.7容積%であった。
【0048】
(比較例1)
実施例1において、試料充填容器23に代表的な吸着材であるA型ゼオライト7.1gを充填した以外は同様にして試験を行ったところ、アルミニウムバッグ28のガス捕集量は0.23Lであった。このときの捕集されたガス成分を同様に分析したところ、一酸化炭素含有量は47.3mLであり、―酸化炭素除去率は28.0容積%であった。
【0049】
(比較例2)
実施例1において、試料充填容器23に代表的な吸着材である多孔質ケイ酸マグネシウム3.2gを充填した以外は同様にして試験を行ったところ、アルミニウムバッグ28のガス捕集量は0.52Lであった。このときの捕集されたガス成分を同様に分析したところ、一酸化炭素含有量は53.9mLであり、―酸化炭素除去率は18.0容積%であった。
【0050】
(比較例3)
実施例1において、試料充填容器23に代表的な吸着材である活性炭5.17gを充填した以外は同様にして試験を行ったところ、アルミニウムバッグ28のガス捕集量は0.35Lであった。このときの捕集されたガス成分を同様に分析したところ、一酸化炭素含有量は56.9mLであり、―酸化炭素除去率は13.5容積%であった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上述したような本発明の一酸化炭素の除去材は、二次電池の内部に発生する電解液分解ガス中の一酸化炭素の噴出を防止し、一酸化炭素中毒、火災などの発生を低減することができ、二次電池の安全性に配慮するものとして産業上の利用可能性は極めて大きい。
【符号の説明】
【0052】
1…正極端子(正極)
2…負極端子(負極)
3…電池ケース(筐体)
4…防爆弁
11…正極集電体(正極)
13…負極集電体(負極)
E…非水電解質型二次電池(二次電池)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極が電解液とともに封入された筐体と、前記筐体の内圧上昇時に前記筐体内部の高圧ガスを逃がすための防爆弁とを備える二次電池の異常時に噴出するガス中の一酸化炭素を除去するための一酸化炭素の除去材であって、
2種類の遷移金属酸化物の混合組成物を含有することを特徴とする二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材。
【請求項2】
前記2種類の遷移金属酸化物が、酸化銅及び二酸化マンガンであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材。
【請求項3】
前記二酸化マンガンの含有率が40〜80重量%であることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材。
【請求項4】
前記酸化銅の含有率が10〜40重量%であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材。
【請求項5】
前記混合組成物が0.1〜2mmの平均粒子径を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材。
【請求項6】
前記混合組成物が50〜500m/gの比表面積を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材。
【請求項7】
前記混合組成物が、粉体の成形品であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池からの噴出ガス中の一酸化炭素の除去材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−204131(P2012−204131A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67333(P2011−67333)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】