説明

二次電池の容量維持率算出装置および容量維持率算出方法

【課題】 容量維持率の算出精度を高めることができる二次電池の容量維持率算出装置および容量維持率算出方法を提供する。
【解決手段】 センサ電流Iを検出する電流センサ4と、センサ電圧Vを検出する電圧センサ3と、センサ電流Iおよびセンサ電圧Vに基づいてバッテリ6の容量維持率SOHを算出する容量維持率算出手段(等価回路パラメータ推定部21,開放電圧SOC算出部22)と、容量維持率SOH'を前回値SOH'n-1以下に制限する容量維持率制限部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の容量維持率算出装置および容量維持率算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の容量維持率算出装置では、二次電池の端子電圧と充放電電流とから二次電池の開放電圧を推定し、あらかじめ求めた開放電圧と充電率との関係から二次電池の充電率を算出している。また、端子電圧と充放電電流とから二次電池の内部抵抗を推定し、あらかじめ求めた内部抵抗、充電率および容量維持率の関係から二次電池の容量維持率を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−75518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の容量維持率算出装置において、容量維持率の算出精度をより高めて欲しいとのニーズがある。
本発明の目的は、容量維持率の算出精度を高めることができる二次電池の容量維持率算出装置および容量維持率算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明では、算出される容量維持率をその前回値以下に制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明では、実際の二次電池の容量維持率は時間の経過と共に減少するものであるのに対し、前回値を超えた容量維持率が算出されるのを防止することで、容量維持率の算出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のバッテリ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1のコントローラ2の容量維持率算出方法に関する制御ブロック図である。
【図3】バッテリ6のOCV-SOC特性図である。
【図4】バッテリ6のSOC-R1-SOH特性図である。
【図5】実施例1の等価回路パラメータ推定部21の制御ブロック図である。
【図6】実施例1のバッテリモデルの等価回路構成を示す図である。
【図7】実施例1の容量維持率制限部24の制御ブロック図である。
【図8】実施例1の容量維持率制限作用を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の二次電池の容量維持率算出装置および容量維持率算出方法を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
〔実施例1〕
まず、実施例1の構成を説明する。
図1は実施例1のバッテリ装置の構成を示すブロック図である。
実施例1のバッテリ装置1は、コントローラ2、電圧センサ(端子電圧検出手段)3、電流センサ(電流検出手段)4、温度センサ5、バッテリ(二次電池)6、および負荷7を有する。バッテリ6は、例えばリチウムイオン電池である。
電圧センサ3は、バッテリ6の端子電圧を検出し、対応するセンサ電圧Vを出力する。
電流センサ4は、バッテリ6の充放電電流を検出し、対応するセンサ電流Iを出力する。
温度センサ5は、バッテリ6の温度を検出し、対応するセンサ温度Tを出力する。
【0009】
コントローラ2は、センサ電圧V、センサ電流I、センサ温度Tに基づいてバッテリ6の充電率SOC(State of charge)等を演算し、バッテリ6の充放電を制御する。また、コントローラ2は、各センサ値V,I,Cに基づいて現在のバッテリ6の容量維持率SOHを算出し、容量維持率SOHに初期(新品時)のバッテリ容量Ahを乗算して現在のバッテリ容量Chを算出する。そして、センサ電流Iの積算値をバッテリ容量Chで除算した値(∫idt/Ch)に積算開始時の初期SOCを加算して充電率SOCを求め、充電率に基づく車両の走行可能距離をユーザーへ提示する。
なお、実施例1では、負荷7を電気自動車の駆動輪に連結されたモータジェネレータを駆動するインバータとし、バッテリ6をインバータに電力を供給する強電バッテリとする。
【0010】
図2は、実施例1のコントローラ2の容量維持率算出方法に関する制御ブロック図である。
コントローラ2は、等価回路パラメータ推定部21、開放電圧SOC算出部22、容量維持率算出部23および容量維持率制限部(容量維持率制限手段)24を有する。等価回路パラメータ21、開放電圧SOC算出部22および容量維持率算出部23により、本発明の容量維持率算出手段が構成される。
等価回路パラメータ推定部(内部抵抗推定部)21は、センサ電圧Vとセンサ電流Iから、等価回路パラメータR0,R1,R2,C1,C2を逐次推定する。なお、等価回路パラメータR0,R1,R2,C1,C2の推定方法については後述する。
【0011】
開放電圧SOC算出部(充電率推定部)22は、センサ電圧V、センサ電流Iおよび等価回路パラメータR0,R1,R2,C1,C2に基づいて、バッテリ6の開放電圧OCVを算出すると共に、あらかじめ設定されたOCV-SOC変換テーブルを参照し開放電圧OCVから充電率SOCを算出する。開放電圧OCVは、等価回路パラメータR0,R1,R2,C1,C2とセンサ電流Iから過電圧VRを計算し、センサ電圧Vから過電圧VRを減算することで求めることができる。また、開放電圧OCVと充電率SOCとの関係は、温度や劣化に依らず常に一定に保たれるため、OCV-SOC変換テーブルは、あらかじめ実験によりバッテリ6のOCV-SOC特性を測定することで作成できる。図3は、バッテリ6のOCV-SOC特性図である。
【0012】
容量維持率算出部23は、充電率SOCとバッテリ6の内部抵抗からバッテリ6の容量維持率SOHを算出する。実施例1では、内部抵抗として等価回路パラメータの抵抗R1,R2を用い、充電率SOCと抵抗R1から算出した容量維持率SOHと、充電率SOCと抵抗R2から算出した容量維持率SOHとの平均値を容量維持率SOHとする。一例として、充電率SOCと抵抗R1から容量維持率SOHを算出する方法を説明する。容量維持率SOHの算出には、あらかじめ設定されたSOC-R1-SOH変換テーブルを用いる。図4は、バッテリ6のSOC-R1-SOH特性図であり、SOC-R1-SOH変換テーブルは、充電率SOCと内部抵抗Rと容量維持率SOHとの関係をあらかじめ実験により測定して作成する。なお、SOH-R1-SOH特性はバッテリ6の温度に依存するため、温度毎に複数用意しておき、センサ温度Tに応じて切り替える。
なお、容量維持率SOHの算出は上記の方法に限らず、抵抗R0〜R2のいずれか1つまたは2つ、あるいは全てを用いて容量維持率SOHを算出してもよい。
容量維持率制限部24は、容量維持率算出部23で算出された容量維持率SOHの変化速度の上限値および下限値を制限し、最終的な容量維持率SOH'を算出する。容量維持率制限部24の詳細については後述する。
【0013】
図5は、実施例1の等価回路パラメータ推定部21の制御ブロック図である。
等価回路パラメータ推定部21は、内部のパラメータを自己修正する適応デジタルフィルタであり、バッテリ演算部211、バッテリモデル212、適応機構213、減算器214を備える。
バッテリ演算部211は、この制御系への入力となる測定される充放電電流(等価回路パラメータ推定部21の内部ではi(k)とする)を入力とし、測定される端子電圧(等価回路パラメータ推定部21の内部ではV(k)とする)を出力するように、適応デジタルフィルタに設定される演算部分である。このバッテリ演算部211は実値を扱うものとして設定されたものである。
【0014】
バッテリモデル212は、バッテリ6のモデルとなる等価回路であり、適応機構213による修正出力で等価回路のパラメータを調整し、電圧モデル推定値V^(k)を出力する。さらに、等価回路パラメータR0,R1,R2,C1,C2を等価回路パラメータ推定部21の出力として出力する。なお、抵抗値R1,R2は、説明上、抵抗を示す符号と、抵抗値を示す記号の両方で用いる。
適応機構213は、減算器214で演算される偏差に応じて、バッテリモデル212の演算内容を修正する出力を行う。
減算器214は、バッテリ演算部211の出力、つまり測定される端子電圧V(k)と、電圧モデル推定値V^(k)の偏差を演算する。(V^は、Vの推定値を表し、実際はVの上に^がある表記になる)
【0015】
図6は、実施例1のバッテリモデルの等価回路構成を示す図である。
バッテリモデル212の等価回路は、図6に示すように、開放電圧OCV、抵抗R0,R1,R2、コンデンサ容量C1,C2を備える。
そして、開放電圧OCV、抵抗R0、抵抗R1とコンデンサ容量C1の並行接続部分、抵抗R2とコンデンサ容量C2の並行接続部分を直列接続した構成にする。
ここで、抵抗R0は、バッテリ6における電解液の抵抗として設けたものである。抵抗R1,C1はバッテリ6における電極反応抵抗として設けたものである。また、抵抗R2,C2はバッテリ6における拡散抵抗として設けたものである。
【0016】
図7は、実施例1の容量維持率制限部24の制御ブロック図である。
容量維持率制限部24は、減算器241と、リミッタ242と、加算器243と、遅延素子244とを有する。
減算器241は、開放電圧SOC算出部22において今回のサンプリング周期で算出された容量維持率SOHnからサンプリングの1周期前の容量維持率SOH'n-1を減じた値である容量維持率変化速度ΔSOHを算出する。
【0017】
リミッタ242は、容量維持率変化速度ΔSOHを上限値または下限値で制限した容量維持率変化速度ΔSOHlimitを算出する。上限値および下限値は、容量維持率SOHの現実的な変化速度を考慮して設定したものである。リミッタ242は、上限値をゼロとし、最終的な容量維持率SOH'がサンプリングの1周期前の容量維持率SOH'n-1に対して増加するのを禁止する。また、リミッタ242は、下限値を所定の負の値(所定値)、例えば-1%/月≒-3.86e-7%/secとし、1ヶ月当たりの容量維持率SOH'の減少速度を1%以下に制限する。
加算器243は、リミッタ242により制限された容量維持率変化速度ΔSOHlimitをサンプリングの1周期前の容量維持率SOH'n-1に加算して最終的な容量維持率SOH'を算出する。
遅延素子244は、今回のサンプリング周期で算出された最終的な容量維持率SOH'を、サンプリングの1周期だけ遅延させ、サンプリングの1周期前の容量維持率SOH'n-1を算出する。
【0018】
次に、作用を説明する。
[容量維持率制限作用]
従来の容量維持率算出装置では、バッテリの端子電圧と充放電電流とからバッテリの開放電圧を推定し、あらかじめ求めた開放電圧と充電率との関係から充電率を算出している。また、バッテリの端子電圧と充放電電流とからバッテリの内部抵抗を推定し、あらかじめ求めた内部抵抗、充電率および容量維持率の関係から容量維持率を算出している。
【0019】
ここで、開放電圧または内部抵抗に推定誤差が生じると、容量維持率の算出に誤差が生じる。このとき、開放電圧または内部抵抗の推定誤差によっては、算出される容量維持率は実際には起こり得ない値を取ることがある。詳述すると、実際のバッテリでは、容量維持率は時間の経過と共に減少するものであるのに対し、算出された容量維持率が前回値を超えたり、前回値に対して実際には起こり得ない速度で減少したりする可能性がある。
【0020】
これに対し、実施例1では、容量維持率制限部24において、容量維持率変化速度ΔSOHの上限値をゼロとし、最終的な容量維持率SOH'をサンプリングの1周期前の容量維持率SOH'n-1以下に制限する。このため、図8(a)のA,B部や図8(b)のD,E部のように、前回値SOH'n-1を超える容量維持率SOHが算出された場合、最終的な容量維持率SOH'は前回値SOH'n-1となる。上述したように、バッテリの容量維持率SOHは、時間の経過に伴い単調減少するものであるから、実際の容量維持率SOHが前回値を超えることは有り得ない。よって、容量維持率制限部24において、容量維持率変化速度ΔSOHの上限値をゼロに制限することで、前回値SOH'n-1を超えた容量維持率SOH'が算出されるのを防止でき、容量維持率SOHの算出精度を高めることができる。
【0021】
仮に、容量維持率SOH'が前回値SOH'n-1容量維持率の算出値が前回値を超えた場合、ユーザーに提示される走行可能距離も増大するが、充電を得ることなく走行可能距離が増加すると、ユーザーに違和感を与えてしまう。また、実際の走行可能距離よりも長い走行可能距離がユーザーに提示されることは好ましくない。これに対し、実施例1の容量維持率算出方法では、充電を経ることなくユーザーに提示される走行可能距離が増加することがないため、ユーザーに違和感を与えることがない。なお、実施例1の容量維持率算出方法によれば、算出される容量維持率SOH'は真値(実際の容量維持率)に対して低い値と留まりがちとなるが、ユーザーに提示される走行可能距離が実際の走行可能距離よりも若干短くなったとしても実用上問題ない。
【0022】
また、実施例1では、容量維持率制限部24において、容量維持率変化速度ΔSOHの下限値を所定値(-3.86e-7%/sec)とし、1ヶ月当たりの容量維持率SOHの減少速度を1%以下に制限する。このため、図8(b)のC部のように、下限値(-3.86e-7%/sec)を下回る容量維持率変化速度ΔSOHが算出された場合、最終的な容量維持率SOH'は前回値SOH'n-1にΔSOHlimit、すなわち下限値(-3.86e-7%/sec)を加えた値となる。
例えば、電気自動車に搭載される強電バッテリの容量維持率SOHが、10年で20%程度単調減少するものである場合、容量維持率SOHの減少速度が一定であるならば、容量維持率SOHの減少速度は、1ヶ月(30日)当たり0.17〜0.25%となる。よって、容量維持率変化速度ΔSOHの下限値は、-0.25%よりも小さな値とする必要があるが、一般的に、容量維持率SOHの減少速度は一定ではなく、初期段階の方が高いと考えられているため、これを考慮して-1%/月としている。
【0023】
つまり、容量維持率変化速度ΔSOHの下限値を所定値(-3.86e-7%/sec)に制限することで、容量維持率SOH'の変化速度を現実的に発生し得る範囲内に収めることができ、容量維持率SOHの算出精度を高めることができる。
なお、初期段階で実際の容量維持率SOHの変化速度が-1%/月以下となった場合、リミッタ242で制限された容量維持率変化速度ΔSOHlimitは実際の容量維持率変化速度よりも低く(容量維持率SOHの減少速度が大きく)なるが、平均化した速度(0.17〜0.25%/月)に対し、下限値は6〜4倍と、ある程度大きく、また、容量維持率SOHの低下(減少)は時間経過と共に遅くなることから、2,3ヶ月で算出値が真値に追い着くと考えられるため、実用上問題は生じない。
【0024】
実施例1では、以下に列挙する効果を奏する。
(1) コントローラ2は、センサ電流Iを検出する電流センサ4と、センサ電圧Vを検出する電圧センサ3と、センサ電流Iおよびセンサ電圧Vに基づいてバッテリ6の容量維持率SOHを算出する容量維持率算出手段(等価回路パラメータ推定部21,開放電圧SOC算出部22)と、容量維持率SOH'を前回値SOH'n-1以下に制限する容量維持率制限部24と、を備える。
実際のバッテリ6の容量維持率SOHは時間の経過と共に減少するものであるのに対し、前回値SOH'n-1を超えた容量維持率SOH'が算出されるのを防止することで、容量維持率SOHの算出精度を高めることができる。
【0025】
(2) 容量維持率制限部24は、容量維持率変化速度ΔSOHの下限値を所定値(-3.86e-7%/sec)に制限する。
これにより、容量維持率SOH'の変化速度を現実的に発生し得る範囲(-3.86e-7%以上、ゼロ以下)内に収めることができ、容量維持率SOHの算出精度を高めることができる。
【0026】
(3) 容量維持率制限部24は、容量維持率SOHnから前回値SOH'n-1を減じた値である容量維持率変化速度ΔSOHを算出する減算器241と、容量維持率変化速度ΔSOHの上限値をゼロ、下限値を所定値(-3.86e-7%/sec)に制限するリミッタ242と、リミッタ242により制限された容量維持率変化速度ΔSOHlimitと前回値SOH'n-1とを加算して最終的な容量維持率SOH'を算出する加算器243と、を備える。
これにより、簡素な構成で容量維持率SOH'の変化速度を現実的に発生し得る範囲内に収める手段を実現できる。
【0027】
(4) 容量維持率算出手段は、センサ電流Iおよびセンサ電圧Vに基づいてバッテリ6の内部抵抗R1,R2を推定する等価回路パラメータ推定部21と、センサ電流Iおよびセンサ電圧Vに基づいてバッテリ6の充電率SOCを推定する開放電圧SOC算出部22と、内部抵抗R1,R2および充電率SOCに基づいて容量維持率SOHnを算出する容量維持率算出部23と、を備える。
これにより、容量維持率算出手段において内部抵抗R1,R2または充電率SOCに推定誤差が生じた場合であっても、容量維持率SOH'が実際には起こり得ない値となるのを防止でき、容量維持率SOH'の変化速度を現実的に発生し得る範囲内に収めることができる。
【0028】
(5) バッテリ6のセンサ電流Iおよびセンサ電圧Vを検出し、センサ電流Iおよびセンサ電圧Vに基づいてバッテリ6の容量維持率SOH'を算出する際、容量維持率SOH'を前回値SOH'n-1以下に制限する。
実際のバッテリ6の容量維持率SOHは時間の経過と共に減少するものであるのに対し、前回値SOH'n-1を超えた容量維持率SOH'が算出されるのを防止することで、容量維持率SOHの算出精度を高めることができる。
【0029】
(他の実施例)
以上、本発明の二次電池の容量維持率算出装置および容量維持率算出方法を実施例に基づいて説明したが、具体的な構成については、実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加は許容される。
例えば、実施例では、等価回路パラメータ推定部21に適応デジタルフィルタを設けた例を示したが、カルマンフィルタでもよい。
【0030】
また、実施例では、リミッタ242において、容量維持率変化速度ΔSOHの下限値を所定値(-3.86e-7%/sec)とした例を示したが、容量維持率変化速度ΔSOHの下限値は二次電池の種類や特性に応じて適宜設定される。
また、実際の二次電池の容量維持率の減少速度は初期段階で高くその後低くなることを考慮し、時間の経過や二次電池の使用時間に応じて容量維持率変化速度ΔSOHの下限値を可変としてもよい。
本発明は、電気自動車やハイブリッド車両に搭載される強電バッテリに限らず、任意の二次電池を適用でき、実施例と同様の作用効果を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充放電電流を検出する電流検出手段と、
前記二次電池の端子電圧を検出する端子電圧検出手段と、
前記充放電電流および端子電圧に基づいて前記二次電池の容量維持率を算出する容量維持率算出手段と、
前記容量維持率をその前回値以下に制限する容量維持率制限手段と、
を備えたことを特徴とする二次電池の容量維持率算出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池の電池容量算出装置において、
前記容量維持率制限手段は、前記容量維持率の減少速度の最大値を所定値に制限することを特徴とする二次電池の容量維持率算出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二次電池の容量維持率算出装置において、
前記容量維持率制限手段は、
前記容量維持率から前記前回値を減じた値である容量維持率変化速度を算出する減算器と、
前記容量維持率変化速度の上限値をゼロ、下限値を所定値に制限するリミッタと、
前記リミッタにより上限値または下限値を制限された容量維持率変化速度と前記前回値とを加算して最終的な容量維持率を算出する加算器と、
を備えることを特徴とする二次電池の容量維持率算出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の二次電池の容量維持率算出装置において、
前記容量維持率算出手段は、
前記充放電電流および端子電圧に基づいて前記二次電池の内部抵抗を推定する内部抵抗推定部と、
前記充放電電流および端子電圧に基づいて前記二次電池の充電率を推定する充電率推定部と、
前記内部抵抗および充電率に基づいて前記容量維持率を算出する容量維持率算出部と、
を備えることを特徴とする二次電池の容量維持率算出装置。
【請求項5】
二次電池の充放電電流および端子電圧を検出し、前記充放電電流および端子電圧に基づいて前記二次電池の容量維持率を算出する際、前記容量維持率を前回値以下に制限することを特徴とする二次電池の容量維持率算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−42337(P2012−42337A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183736(P2010−183736)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】