説明

二次電池及びその製造方法

【課題】
爆発等が発生しない安全性の高い二次電池を提供する。また、低コストで且つ安定して製造することのできる二次電池を提供する。
【解決手段】
正極と、負極と、セパレータと、電解液を有する二次電池において、前記二次電池1が、銅平板に蒸着材料をプラズマ蒸着して形成した正極2と、アルミニウム平板に前記蒸着材料をプラズマ蒸着して形成した負極3を有しており、前記蒸着材料が、質量比で90.00〜100.00%のカーボンを含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、携帯電話、ノート型パソコン等に、リチウムイオン二次電池が使用されている。このリチウム二次電池は、得られる電圧が高い点、メモリー効果がほとんどない点、自己放電特性が良い点などメリットがある。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、リチウムイオン二次電池は、以下の問題点を有している。第1に、過熱、発火、爆発等が発生するという問題を有している。
【0004】
第2に、レアメタルであるリチウムの取得が困難となる可能性がある。これは、リチウム産地の偏在性のため、供給が不安定となる危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−266737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、爆発等が発生しない安全性の高い二次電池を提供することにある。また、低コストで且つ安定して製造することのできる二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明に係る二次電池は、正極と、負極と、セパレータと、電解液を有する二次電池において、前記二次電池が、銅平板に蒸着材料をプラズマ蒸着して形成した正極と、アルミニウム平板に前記蒸着材料をプラズマ蒸着して形成した負極を有しており、前記蒸着材料が、質量比で90.00〜100.00%のカーボンを含有していることを特徴とする。この構成により、爆発等が発生しない安全性の高い二次電池を提供することができる。また、低コストで且つ安定して製造することのできる二次電池を提供することができる。
【0008】
上記の二次電池において、前記蒸着材料が、質量比で0.01〜10.00%の継ぎ剤を含有しており、前記継ぎ剤が、ウラン、又はラジウム、又はリチウムの少なくとも1つであることを特徴とする。この構成により、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0009】
上記の二次電池において、前記電解液が、質量比で0.01〜10.00%の添加物を含有しており、前記添加物が、ウラン、又はラジウム、又はモナサイトの少なくとも1つであることを特徴とする。この構成により、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0010】
上記の目的を達成するための本発明に係る二次電池は、正極と、負極と、セパレータと、電解液を有する二次電池の製造方法において、銅平板及びアルミニウム平板に蒸着材料をプラズマ蒸着して正極及び負極を作成ステップと、前記セパレータに前記電解液を供給しながら、前記セパレータを前記正極及び負極で挟み、ケースに封入するステップを有し、前記蒸着材料が、質量比で90.00〜100.00%のカーボンを含有していることを特徴とする。この構成により、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る二次電池によれば、爆発等が発生しない安全性の高い二次電池を提供することができる。また、低コストで且つ安定して製造することのできる二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施の形態の二次電池の概略を示した透視図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の二次電池の概略を示した図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の二次電池の出力特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態の二次電池について、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明に係る実施の形態の二次電池1の概略を示した透視図を示す。また、図2に、二次電池1を分解した際の概略を示す。この二次電池1は、正極2と負極3と、セパレータ6と、これらを包むケース7と、ケース7内に充填した電解液8を有している。
【0014】
正極2は、厚みが例えば0.1〜0.5mm程度の銅平板と、正極端子4で構成している。この銅平板の両面には、ナノカーボン(カーボン)を主原料とする蒸着剤をプラズマ蒸着している。この蒸着剤は、厚さが10〜50μm、望ましくは25〜35μmとなるように蒸着させる。また、蒸着剤には、極微量の継ぎ剤(リチウム、又はウラン、又はラジウム)を混入している。この継ぎ剤は、蒸着剤の全重量に対して、重量比で0.01〜10%、望ましくは0.1〜5%、更に望ましくは0.1〜0.2%混入する。
【0015】
負極3は、厚みが例えば0.1〜0.5mm程度のアルミニウム平板と、負極端子5で構成している。このアルミニウム平板の両面には、上記の銅平板と同様に、蒸着剤をプラズマ蒸着している。
【0016】
セパレータ6は、正極2と負極3を絶縁し、且つイオン伝導性を有していればよい。例えば、プラスチック製の微多孔膜や、シルク(絹)シートを使用することができる。
【0017】
電解液8は、電気伝導性を有する液体であればよい。この電解液8には、極微量の添加物(ウラン、又はラジウム、又はモナサイト)を混入することが望ましい。この添加物は、電解液8の全重量に対して、重量比で0.01〜10%、望ましくは0.1〜5%、更に望ましくは0.1〜0.2%混入する。
【0018】
ケース7は、従来のリチウムイオン二次電池と同様、プラスチックケース等で構成することができる。ここで、図1では簡単のため、電解液8を封入している領域を大きく図示しているが、実際の二次電池1においては、ケース7が正極2及び負極3に接触した状態となる。従って、電解液8は、セパレータ6を濡らす程度の量としている。
【0019】
次に、二次電池の製造方法について説明する。まず、銅平板及びアルミニウム平板に、蒸着剤をプラズマ蒸着し、正極2及び負極3を作成する。セパレータ6に電解液8を供給しながら、セパレータ6を正極2及び負極3で挟み、ケース7に封入する。
【0020】
上記の構成により、以下の作用効果を得ることができる。なお、リチウムイオン二次電池を、従来の二次電池として比較する。第1に、爆発等が発生しない安全性の高い二次電池を提供することができる。この二次電池は、使用時に温度が上昇しない。また、衝撃破壊した場合であっても、発火する危険性がない。具体的には、二次電池に釘を打ち込んでも、発火しない。更に、二次電池を燃焼させても爆発することがない。
【0021】
第2に、低コスト(イニシャルコストは従来の3分の1程度)で、二次電池1を製造することができる。これは、二次電池1を、入手の容易な材料で構成しているためである。また、ランニングコストも抑制することができる。これは、二次電池の繰り返し使用回数(サイクル寿命)が、10万回から20万回であるためである。従来のリチウムイオン二次電池は、2000から7000回程度となる。
【0022】
第3に、リチウム等のレアメタルを使用しない、又は使用しても微量であるため、二次電池の安定的な供給を実現することができる。
【0023】
また、この二次電池は、従来に比べ、急速充電及び放電が可能である、長期間放置しても自己放電がほとんどない、−40〜70℃の環境下で使用することが可能等のメリットがある。更に、電極(正極2及び負極3)の面積に変更により、電池容量を容易に変更することができる。加えて、二次電池に使用した材料のリサイクルが容易である等、多種のメリットがある。
【0024】
なお、本発明の二次電池1は、電極を積層して、1つのケース7内に封入して製造してもよい。この構成により、高電圧の二次電池を提供することができる。また、二次電池1の形状は、円形、角形、球形等、任意の形状に形成することができる。
【0025】
更に、二次電池1を大型パネル状に形成し、建築物の壁面等に埋め込むことができる。この構成により、二次電池1を夜間電力で充電し、日中使用する電力の全てを、この二次電池から供給するように構成することができる。
【0026】
加えて、二次電池1を、電気自動車の屋根、又はドア等の内部に設置することもできる。つまり、二次電池を設置する自由度が高いため、従来のように、トランクルームが狭くなることがない。特に、電気自動車が、交通事故等を起した場合であっても、本発明の二次電池1は、爆発等の事故を起すことがない。
【0027】
図3に、本発明の二次電池と、リチウムイオンポリマー(Li−Po)二次電池に、同一の負荷をかけ、電圧の降下量と経過時間の関係を比較した結果を示す。グラフは、縦軸を電圧(V)、横軸を経過時間(min)としている。また、実線は本発明の二次電池の結果を、破線はLi−Po二次電池の結果を示している。
【0028】
ここで、本発明の二次電池は、蒸着材料に対して0.1%のウランを継ぎ剤として混入した。電解液は、リチウムを含有しないものを使用した。具体的には、三菱化学製の商品名「エチレンカーボネイト」を使用した。また、電解液に対して、0.1%のウランを添加物として混入した。以上より、電圧が3.7V、バッテリー容量(電池容量)が1Ahである二次電池を作成し、実験に使用した。
【0029】
また、比較対象であるLi−Po二次電池は、一般的に販売されているものを使用した。このLi−Po二次電池は、電圧が3.7V、バッテリー容量が4.5Ahである。
【0030】
実験結果を示すグラフより、本発明の二次電池は、従来のLi−Po二次電池と同様の出力特性を得られることがわかった。なお、バッテリー容量が異なるため、本発明の二次電池(実線)の方が、若干早い段階で、電圧降下が見られる。
【0031】
また、別途行った実験により、本発明の二次電池のエネルギー密度は以下の通りであった。本発明の二次電池は、体積エネルギー密度が692.1Wh/L、重量エネルギー密度が250.5Wh/Kgである。ちなみに、従来のLi−Po二次電池は、体積エネル
ギー密度が250〜360Wh/L、重量エネルギー密度が100〜250Wh/Kgである。
【符号の説明】
【0032】
1 二次電池
2 正極
3 負極
6 セパレータ
7 ケース
8 電解液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、セパレータと、電解液を有する二次電池において、
前記二次電池が、銅平板に蒸着材料をプラズマ蒸着して形成した正極と、アルミニウム平板に前記蒸着材料をプラズマ蒸着して形成した負極を有しており、
前記蒸着材料が、質量比で90.00〜100.00%のカーボンを含有していることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記蒸着材料が、質量比で0.01〜10.00%の継ぎ剤を含有しており、
前記継ぎ剤が、ウラン、又はラジウム、又はリチウムの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記電解液が、質量比で0.01〜10.00%の添加物を含有しており、
前記添加物が、ウラン、又はラジウム、又はモナサイトの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
正極と、負極と、セパレータと、電解液を有する二次電池の製造方法において、
銅平板及びアルミニウム平板に蒸着材料をプラズマ蒸着して正極及び負極を作成ステップと、
前記セパレータに前記電解液を供給しながら、前記セパレータを前記正極及び負極で挟み、ケースに封入するステップを有し、
前記蒸着材料が、質量比で90.00〜100.00%のカーボンを含有していることを特徴とする二次電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−209150(P2012−209150A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74424(P2011−74424)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(512057002)リンク株式会社 (1)
【Fターム(参考)】