説明

二次電池梱包積載体および二次電池梱包積載体の組立方法

【課題】充電済の二次電池を、高温環境下でも安全に、且つ梱包密度を高くして効率よく輸送できるようにする。
【解決手段】梱包体ユニット30は、充電済のアルカリ二次電池が充填された角型梱包体が2個積み重ねられ、その上に同サイズのダミーケースが1個積み重ねられ、PPバンド2a,2bで束ねられて構成されている。
パレット3上の中央にスペーサ40が3段に積み重ねられて縦長のスペーサ積重体40…が形成され、このスペーサ積重体40…を囲むように、1段目の積載体として6個の梱包体ユニット30が配置され、この6個の梱包体ユニット30と同じ形態で、2段目、3段目の積載体が積み重ねられて、直方体形状の梱包積載体60が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電された二次電池を梱包してパレット上に積載した二次電池梱包積載体および二次電池梱包積載体の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ二次電池などの二次電池は、携帯機器などの電源として多用されているが、最近、アルカリ二次電池を購入したユーザがすぐに使えるように、工場出荷時に、アルカリ二次電池を充電してから出荷することも行われている。
ところで、アルカリ二次電池を工場で製造して出荷する際には、複数の電池を段ボールなどの包装ケースに梱包して出荷することが多く、特許文献1、特許文献2においても、複数の電池を配列した状態で包装容器に梱包する例が開示されている。
【0003】
そして、このようにアルカリ二次電池を梱包した梱包体は、まとめて船などで輸送することもあるが、その場合、パレット上に複数の梱包体を積載して輸送する方法を採ることが多い。
【特許文献1】特開2004−319387号公報
【特許文献2】実開平7−25563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように二次電池を梱包した梱包体をパレット上に積載して輸送する際に、効率よく搬送するために、二次電池の梱包密度をできるだけ高く設定することが望まれる。
ところが、充電された二次電池は自己放電に伴って発熱する。そして、この自己放電の度合いは環境温度によって影響されるが、パレット上に積載された梱包ケースは船内で50℃〜60℃の高温環境下に長時間置かれる場合もある。
【0005】
充電された二次電池が高密度で梱包された梱包体がパレット上に積載され、高温環境下に長時間置かれると、パレット上の梱包積載体において、表面から離れた内部領域では、二次電池から発生した熱が蓄積されて、環境温度よりもかなり高温となる結果、電池性能が低下したり、梱包積載体の領域ごとに二次電池の自己放電量がばらつくことがある。
このような背景のもとで、本発明は、充電された二次電池を、高温環境下でも電池性能の低下が無く、輸送できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、充電済み二次電池を梱包した梱包体ユニット複数個が、パレット上に各段毎に所定数づつ配置した状態で複数段に積載された二次電池梱包積載体において、各梱包体ユニットには、角型収納ケース内空間に充電済み二次電池複数本を収納する梱包体を設け、パレット上の中央には、内空で縦長な第1スペーサが起立配置し、1段目の積載体として所定数の梱包体ユニットを、第1スペーサの周りに、井桁状に配置し、更に1段目の積載体の上に、所要段数の積載体を、第1スペーサの周りに、井桁状に順次積載することによって構成した。
【0007】
上記本発明の二次電池梱包積載体において、梱包体を、角型収納ケース内空間のほぼ全域を占める状態で、充電済み二次電池複数本を行列状に配列して収納し、その状態で梱包して構成することが好ましい。
また、各梱包体ユニットは、梱包体と、収納ケースと実質的に同一外形を有した中空な第2スペーサとを積み重ねて構成することが好ましい。
【0008】
上記本発明の二次電池梱包積載体において、第2スペーサを、同一梱包ユニット内の梱包体の上方または下方に位置させてその梱包体中の各二次電池に対する放熱空間とし、第1スペーサを、第2スペーサ内に放出された熱の回収空間とし、さらに、第1スペーサの少なくとも上方端または下方端を開放して、回収した熱の外部への溢路とすることが好ましい。
【0009】
第1スペーサは、梱包体ユニットと同等の高さを有する直方体状ケースの天面板および底面板に通気孔を開設したものを積み重ねて形成することが好ましい。
上記本発明の二次電池梱包積載体は、角型収納ケース内空間のほぼ全域を占める状態で、充電済み二次電池複数本を行列状に配列して収納し、その状態で梱包してなる梱包体と、収納ケースと実質的に同一外形を有した中空な第2スペーサとを積み重ねて構成した梱包体ユニットを複数個と、パレットと、中空で縦長の第1スペーサを準備する工程と、パレット上の中央に、第1スペーサを配置する工程と、パレット上で第1スペーサの周りに、所定数の梱包体ユニットを井桁状に配置して1段目の積載体を形成する工程と、パレット上に配置した1段目の1段目の積載体の上に、所要段数、1段目の積載体と同一形態で中空ケースと所定数ずつ梱包体ユニットを積載する工程とを経ることによって組み立てることができる。
【0010】
また上記目的を達成するため、本発明は、充電済み二次電池を梱包した梱包体ユニット複数個が、パレット上に各段毎に所定数づつ配置した状態で複数段に積載された二次電池梱包積載体において、各梱包体ユニットを、角型収納ケース内空間に充電済み二次電池複数本を収納する梱包体と、収納ケースと実質的に同一外形を有した中空なスペーサとを積み重ねて構成した。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の二次電池梱包積載体によれば、パレット上の中央に、内空で縦長な第1スペーサが起立配置され、1段目の積載体として所定数の梱包体ユニットが、当該第1スペーサの周りに、井桁状(枠体状)に配置され、更に1段目の積載体の上に、所要段数の積載体が順次積載されているので、第1スペーサは、その4方を取り囲む各梱包体ユニットからの熱を、二次電池梱包積載体の外表面から離れた内部領域から二次電池梱包積載体の外部に排熱する煙突機能を果たすことができる。
【0012】
従って、二次電池梱包積載体の内部領域に存在する梱包体ユニット内の二次電池から発生した熱は、第1スペーサを経由して、二次電池梱包積載体の外部に排出される。よって、二次電池梱包積載体の内部領域において二次電池から発生した熱が蓄熱にくくなり、その分、二次電池の梱包密度を高く設定しても、電池性能の低下の問題が生じにくくなる。
また、パレットの中央に配置された第1スペーサの周りに、所定数の梱包体ユニットが井桁状に配置されている。すなわち第1スペーサの周りを所定数の梱包体ユニットが枠体状に取り囲んでいるので、パレットの縦方向にも横方向にもバランスがとれた配置となっている上、二次電池梱包積載体が水平方向に押されたり、パレットが傾いたりしても、パレット上で梱包体ユニットの位置が維持され、荷崩れが生じにくい。
【0013】
梱包体を、角型収納ケース内空間のほぼ全域を占める状態で、充電済み二次電池複数本を行列状に配列して収納し、その状態で梱包して構成すれば、角型収納ケース内に電池を仕切る板などを設けなくても複数の二次電池を高密度で安定に充填することができる。
各梱包体ユニットを、角型の梱包体と、それと実質的に同一外形を有した第2スペーサとを積み重ねて構成すれば、梱包体ユニットも直方体形状となり、梱包体と第2スペーサとをバンドで束ねるのが容易であり、また、梱包体ユニットをパレット上に安定して積載できる。また、第2スペーサは、同一梱包ユニット内の梱包体中の各二次電池から第1スペーサおよび外部に放熱するときの放熱空間となる。
【0014】
本発明の二次電池梱包積載体において、第2スペーサを、同一梱包ユニット内の梱包体の上方または下方に位置させてその梱包体中の各二次電池に対する放熱空間とし、第1スペーサを、第2スペーサ内に放出された熱の回収空間とし、さらに、第1スペーサの少なくとも上方端または下方端を開放して、回収した熱の外部への溢路とすれば、二次電池梱包積載体の内部領域に存在する梱包体ユニット内の二次電池から発生した熱を、二次電池梱包積載体外部に排出する機能が優れたものとなる。また、梱包ユニットを積載するときに、第2スペーサが緩衝材として機能する。
【0015】
第1スペーサは、梱包体ユニットと同等の高さを有する直方体状ケースの天面板および底面板に通気孔を開設したものを積み重ねることによって容易に作製できる。
充電済み二次電池を梱包した梱包体ユニット複数個が、パレット上に各段毎に所定数づつ配置した状態で複数段に積載された二次電池梱包積載体において、各梱包体ユニットを、角型収納ケース内空間に充電済み二次電池複数本を収納する梱包体と、収納ケースと実質的に同一外形を有した中空なスペーサとを積み重ねて構成すれば、梱包体ユニットも直方体形状となり、梱包体とスペーサとをバンドで束ねるのが容易であり、また、梱包体ユニットをパレット上に安定して積載できる。また、スペーサは、同一梱包ユニット内の梱包体中の各二次電池から外部に放熱するときの放熱空間となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下で、本発明を実施する形態について説明するが、本発明の本質的な特徴以外の部分については適宜変更可能である。
1.梱包体10の構成
図1は、実施の形態にかかる梱包体10の構成を示す組立図である。
梱包体10は、直方体状の底箱11、及びこれを覆う直方体状の蓋箱12からなる角型収納ケース内に、複数個の充電済みアルカリ二次電池1が、底箱11の底面板11a上に配列された状態で収納されて構成されている。なお、ここでいう充電済とは、フル充電に対して20%程度以上充電されたものを指すこととする。
【0017】
アルカリ二次電池1は、円筒形であって、その配列形態は、各電池1が底面板11aに対して直立した状態で、底箱11の内部空間全体にわたって、底面板11aに沿って縦横に行列状に密に配列されており、それによって角型収納ケース内に仕切板などを設けなくても複数のアルカリ二次電池1を高密度で安定に充填できる。
このように配列された複数のアルカリ二次電池1は、防水紙15,16で上下から挟まれ、さらにU字形に折り曲げられたU字パッド13と板パッド14とで上下から挟まれた状態で、収納ケース内に収納されている。
【0018】
なお、蓋箱12の外表面には、ラベル17,18が貼り付けられている。
2.梱包体ユニット30の構成
図2は、実施の形態にかかる梱包体ユニット30の構成を示す斜視図である。
梱包体ユニット30は、上記のように充電済みアルカリ二次電池1が収納された梱包体10が2個積み重ねられ、第2スペーサとして、その上に電池1が収納されないダミーケース20が1個積み重ねられ、PP(ポリプロピレン)バンド2a,2bで束ねられて構成されている。
【0019】
梱包体10とダミーケース20は、共に直方体状であってサイズが実質的に同等なので、梱包体ユニット30も直方体形状となる。従って、PPバンド2a,2bで束ねるのが容易であり、また、梱包体ユニット30をパレット3上に安定して積載できる。
なお、梱包体ユニット30において、2個の梱包体10の下にダミーケース20を配置したり、2個の梱包体10の間にダミーケース20を挟んでもよいが、上記のように2個の梱包体10の上に1個のダミーケース20を積み重ねて束ねた方が梱包体ユニット30の重心が低く安定し、パレット3上に梱包体ユニット30を積載するのも容易である。
【0020】
図3(a)は、ダミーケース20の展開図である。ダミーケース20は、このような形状のダンポール板材が折り曲げ加工されて形成されている。
図3(a)に示すダンポール板材は、長方形状の底面板21を有し、当該底面板21の両短辺から、側面板22a,天面板23a,支持板24aが延設され、底面板21の両長辺から、側面板22b,天面板23b,支持板24bが延設されている。
【0021】
天面板23aを横切って支持板24aの途中までスリット231が形成されている。
支持板24bには、2か所に切り込み241が入れられている。
図3(a)に示される板材を、谷折り線(図中の破線)で折り曲げ、支持板24bにおける切り込み241の外側部分242を、スリット231に差し込むことによって、ダミーケース20が組み立てられる。
【0022】
ダミーケース20において、2枚の支持板24aと2枚の支持板24bが、底面板21状で井桁形状に組まれ、各支持板24a,24bは底面板21に対して垂直に立設されている。
3.パレット3上に梱包体ユニット30を積載してなる梱包積載体60
図4は、パレット上に梱包体ユニット30が積載されて形成された梱包積載体を示す上面図および側面図である。
【0023】
パレット3上面の中央部に、第1スペーサとして、中空のスペーサ40が複数段に積み重ねて配置されて縦長のスペーサ積重体が起立配置され、このスペーサ積重体の周りに、複数(6個)の梱包体ユニット30が1段目の積載体として井桁状に配置され、さらに、この1段目の積載体の上に、2段目以降の積載体が、1段目の積載体と同一形態で順次積載されて直方体形状の梱包積載体60が形成されている。
【0024】
なお、梱包体ユニット30を積み重ねる段数は、ここでは3段とするが、2段でもよいし、4段以上でもよい。
このような梱包積載体60において、各段において複数の梱包体ユニット30がパレット3の中心Gに対して対称的に配されているので、縦方向にも横方向にもバランスがとられている。
【0025】
パレット3上の各段の積載体の具体的な配置形態については、図4(a)に示すように、スペーサ40は、長方形状のパレット3の中心Gにスペーサ40の中心が一致するよう配され、スペーサ40の縦辺はパレット3の縦方向に沿っている。
スペーサ40を横方向に挟むように、梱包体ユニット30a,30bと梱包体ユニット30d,30eの縦辺がスペーサ40の縦辺に隣接して配置され、また、スペーサ40を縦方向に挟むように、梱包体ユニット30cと梱包体ユニット30fの縦辺がスペーサ40の横辺に隣接して配置されている。
【0026】
すなわち、パレット3の上面に沿って、スペーサ40の周囲を取り囲むように6個の梱包体ユニット30a〜30fが環状に配列されている。見方を変えると、環状配列された梱包体ユニット30a〜30fの内側がスペーサ40で占められている。
梱包体ユニット30a,30b、30cと梱包体ユニット30d,30e,30fとは、パレット3の中心Gに対して対称に配置されている。
【0027】
そして、上記のように水平方向に配列された6個の梱包体ユニット30が、同一形態で複数段(3段)に積み重ねられて、直方体形状の梱包積載体60が形成されている。
ここで、各段ごとに配列される6個の梱包体ユニット30は、別の段のものと、左右、上下の向きが同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。図4(b)に示す例では、2段目の6個の梱包体ユニット30は、1段目の積載体とは左右反対向きに配置され、1段目の6個の梱包体ユニット30と3段目の6個の梱包体ユニット30とは、左右同一の向きに配置されている。
【0028】
スペーサ40は、直方体状の中空ケースであって、且つその上下に通気孔49a,49b,50a,50bが開設されて、上下方向に空気が流通可能となっている(図7参照)。スペーサ40が積重されてなる積重体の高さは、積重された梱包体ユニット30の高さとほぼ同等であって、スペーサ40の積重体の上面は梱包積載体60の上面に露出している。
【0029】
このように、スペーサ40の積重体が、梱包積載体60の中央部を上下方向に貫通しているので、当該スペーサ40の積重体は、梱包積載体60の内部領域から外部に熱を排出する煙突機能を有する。
図3(b)は、スペーサ40の展開図である。
図3(b)に示すダンポール板材は、長方形状の底面板41を有し、当該底面板41の一方の長辺から側面版42a,天面板43,差し込み片48が延設され、他方の長辺から側面版42bが延設されている。また、側面版42aの両短辺から側面版44aおよび側面版44bが延設されている。
【0030】
さらに、側面版42bの両短辺から、差し込み片45a,45bが延設され、側面版44aの短辺から差し込み片46a,46bが延設され、側面版44bの端辺から差し込み片47a,47bが延設されている。
底面板41には、通気孔49a,49bが開設され、天面板43には、通気孔50a,50bが開設されている。
【0031】
図3(b)に示される板材を、谷折り線で(図中の破線)で折り曲げるとともに、差し込み片46a,47aを天面板43の内面に沿って差し込み、差し込み片46b,47bを底面板41の内面に沿って差し込み、差し込み片45a,45bを、側面版44a,44bの内面に沿って差し込み、差し込み片48を、側面版42aの内面に沿って差し込むことによって、上記構成のスペーサ40が容易に組み立てられる。
【0032】
上記梱包積載体60の組立方法の例について説明する。
上述した梱包体ユニット30を複数個と、パレット3と、スペーサ40を複数個準備する。
パレット3上の中央にスペーサ40を置き、そのスペーサ40の周りに、6個の梱包体ユニット30を配置して、1段目の積載体を形成する。
【0033】
そして、パレット3上に配置した1段目の積載体の上に、この1段目の積載体と同一形態で、スペーサ40と梱包体ユニット30を積載して、2段目、3段目の積載体を形成することによって、梱包積載体60を組み立てることができる。
なお、各段の積載体を形成するときに、スペーサ40および6個の梱包体ユニット30を配置する順番はどういう順でもよい。
【0034】
また、先にスペーサ40を2段あるいは3段積載した後、梱包体ユニット30を1段目から3段目まで積載してもよいし、逆に、梱包体ユニット30を2段あるいは3段積載した後、スペーサ40を1段目から3段目まで積載してもよい。
4.実施形態による効果、実施例と比較例との比較
上記実施形態に基づいて、アルカリ二次電池1として、AA(単3)サイズのニッケル水素二次電池を用いて、実施例にかかる梱包体10,梱包体ユニット30および梱包積載体60を構成した。
【0035】
実施例の梱包体10は、図1,2に記載したように、縦(長辺)長L1が398mm、横(短辺)長W1が276mm、高さH1が61mmであって、底箱11の底面板11aに沿って、アルカリ二次電池1が、500個マトリックス状に(短辺方向に20個、長辺方向に25個)配列されている。それによって、底箱11の内部空間全体にわたって、アルカリ二次電池1が高い梱包密度で安定して収納されている。
【0036】
実施例にかかる梱包体ユニット30は、高さがH1の3倍(183mm)であって、アルカリ二次電池1が1000個収納され、その重量は約28kgである。
さらに、図4に記載した寸法で実施例にかかる梱包積載体60を構成した。
スぺーサ40は、縦長L2が、(2×L1−W1)より若干短い510mm,横長W2が(L1−W1)より若干短い115mm、高さH2が190mmであり、スペーサ40を3個積重ねた積重体の高さは3×H2(570mm)である。
【0037】
パレット3は、縦長L3が1200mm,横長W3が800mm、高さH3が141mmである。
梱包積載体60は、縦長L4が(2×L1+W1)で1072mm、横長W4が(L1+W1)で674mm、高さH4が(9×H1)で549mmであって、パレット3上に偏りなく積載されている。梱包積載体60は、中に収納されている電池数が18000個、総重量は約504kgである。
【0038】
図5は、比較例にかかる梱包体110、梱包体ユニット130の構成を示す組立図である。
比較例にかかる梱包体110は、同じAAサイズのニッケル水素二次電池を用いて、直方体状の収納ケース111内に、複数のアルカリ二次電池1が収納されて構成されている。複数のアルカリ二次電池1は、収納ケース111の底面に対して直立した状態で、行列状に配列されているが、仕切板113によって電池1どうしの間に間隙が確保されており、収納されているアルカリ二次電池1の数は40個(短辺方向に8個、長辺方向に5個)である。
【0039】
このように配列された複数のアルカリ二次電池1の上面は防水紙116で覆われている。
比較例にかかる梱包体ユニット130は、外装箱120内に、上記のようにアルカリ二次電池1が収納された梱包体110が4個、2行2列で外装箱120の底面に沿って配列されて収納され、配列された4個の梱包体110の上には、上部スペーサ121が2個横に並べて収納され、下には、敷き板122、ワックスシート123、124が収納され、外装箱120が封着された後、PPバンド102で縛りつけられて構成されている。
【0040】
図5中に示すように、比較例にかかる梱包体ユニット130は、縦(長辺)長L5が420mm、横(短辺)長W5が320mm、高さH5が201mmであって、その重量は約5.0kgである。
図6は、パレット上に梱包体ユニット130が積載された梱包積載体160を示す上面図および側面図である。
【0041】
図6(a)に示すように、パレット103上に、複数(8個の)の梱包体ユニット130が隙間なく配列され、それが図6(b)に示すように複数段(5段)に積み重ねられて梱包積載体160が形成されている。
パレット103の縦長L6は1200mm、横長W6は1000mmであり、梱包積載体160の高さH7は1005mmである。
【0042】
梱包積載体160は、中に収納されている電池数が6400個である。
なお、図示は省略するが、実施例および比較例の梱包積載体において、天面には通気口を設けたポリエチレンシート(1500mm×1500mm)を被せ、側面にはストレッチフィルムを巻きつけてストレッチ包装を行う。
実施例と比較例とで電池の梱包密度を比較すると、実施例の梱包体ユニット30内における電池1の梱包密度は50cells/Litter、梱包積載体60における電池1の梱包密度は34cells/Litterと高い梱包密度となっている。これに対して、比較例の梱包体ユニット130内における電池1の梱包密度は6cells/Litter、梱包積載体160における電池1の梱包密度も6cells/Litterである。
【0043】
(ダミーケース20による効果)
梱包体ユニット30をパレット3上に積載するときに、ダミーケース20は、梱包体10に加わる衝撃を緩衝する役割を果たす。また、梱包体ユニット30積載後にも、ダミーケース20は梱包体10どうしの間に介挿されて緩衝材として機能する。
また、ダミーケース20は以下のように放熱空間を提供する効果も奏する。
【0044】
最下段以外の各梱包体10は、上面または下面が、ダミーケース20と接しているので、このダミーケース20が、各梱包体10で発生した熱を水平方向に移動させる経路として機能する。すなわち、梱包体10内のアルカリ二次電池1から発生した熱は、当該梱包体10内を経由するだけでなく、ダミーケース20内も経由して水平方向に放散される。
また、最下段の梱包体10は下面がパレット3の上面と接しているので、当該梱包体10からパレット3を経由して熱が外部に放熱される。
【0045】
なお、この点については、比較例にかかる梱包積載体160においても同様、最下段以外の各梱包体110は、その上面が上部スペーサ121に接し、下面も、直下の梱包体110内の上部スペーサ121に接しているので、梱包体110内のアルカリ二次電池1から発生した熱は、梱包体110内を経由するだけでなく、上部スペーサ121内も経由して、水平方向に放散される。
【0046】
(スペーサ40による排熱効果、安定積載効果)
スペーサ40による排熱機能について説明する。
図7は、図4(a)におけるA−A線断面を示す図である。図中、白抜き矢印は、電池から発生した熱の移動を示す。
上記のように、各スペーサ40は上下方向に空気が流通可能であり、スペーサ40が積み重ねられると、通気孔49a,49b,50a,50bによって互いに連通するので、スペーサ40が3個積み重ねられたスペーサ積重体40…は、縦に長く、その内部を空気が流通し、熱を上下方向に移動させる煙突機能を果たす。
【0047】
ここで、スペーサ積重体40…の煙突機能を高めるために、スペーサ積重体40…の上方端が存在する箇所において、上記ポリエチレンシートシートの通気口を設けておくことが好ましく、また、スペーサ積重体40…の下方端が存在する箇所において、パレット3に通気口を設けておくことが好ましい。
実施形態にかかる梱包積載体60においては、このスペーサ積重体40…の周囲を囲むように梱包体ユニット30が配置されているので、梱包積載体60の外表面に近い外部領域では、梱包体ユニット30内のアルカリ二次電池1から発生した熱は、当該外表面から梱包積載体60の外部に排出されるが、梱包積載体60の外表面から離れた内部領域61において梱包体ユニット30内のアルカリ二次電池1から発生した熱は、スペーサ積重体40…を経由して梱包積載体60の外部に放熱される。
【0048】
特に、スペーサ積重体40…は、その4方を取り囲む各梱包体ユニット30a〜30fからの熱を梱包積載体60の外部に排出できるので、梱包積載体60内でスペーサ積重体40…が占める体積は小さくても良好な排熱効果が得られる。
このように、梱包積載体60においては、スペーサ積重体40…が、梱包積載体60の内部領域61から外部に排熱する煙突機能を果たすので、内部領域61に蓄熱されにくい。従って、梱包積載体60の内部領域61の温度は、外部環境よりは高くなるものの、過度に高温になるのを避けることができる。
【0049】
一方、比較例にかかる梱包積載体160では、梱包積載体160の外表面から離れた内部領域に、熱を外部に放熱させるスペーサは存在しない。
従って、この梱包積載体160では、梱包積載体160の内部領域に含まれる梱包体ユニット30内のアルカリ二次電池1から発生した熱は、煙突機能によって梱包積載体160の外部に排出されることなく、外部領域に存在する梱包体ユニット30を経由して梱包積載体60の外表面から外部に放熱されるので、梱包積載体160の内部領域に蓄熱しやすい。よって、この梱包積載体160は、内部領域が高温になりやすい。
【0050】
また、以下に述べるように、スペーサ積重体は、梱包積載体60における荷崩れを防止する機能も持つ。
上記梱包積載体60において、梱包体ユニット30が存在しない中央部分にスペーサ40が存在せず、当該中央部分が空隙になっていたとすると、その空隙部分によって、梱包積載体60の外部に排熱する煙突機能は得られるが、パレット3が傾いたり梱包積載体60の側面が押圧されたりすると、梱包体ユニット30が空隙部分の方に移動しやすいので、荷崩れが発生しやすい。
【0051】
これに対して、上記実施形態にかかる梱包積載体60においては、梱包体ユニット30が存在しない中央部分にスペーサ40が介在しているので、パレット3が傾いたりしても、梱包体ユニット30はパレット3上であまり移動しない。
従って、梱包積載体60においては、荷崩れが生じにくく、梱包積載体60の形状が安定に保たれる。
【0052】
(電池の梱包密度に関する考察)
アルカリ二次電池を25℃で1It(又はC)で、-ΔV=10mVで制御されるまで充電し、25℃,40℃,60℃の各温度で28日間保存した。その後、25℃、電流740mAで、終止電圧が1.0Vになるまで放電を行って放電量を測定し、その値から自己放電率を算出した。
【0053】
図8は、その結果を示すもので、充電したアルカリ二次電池1を保存する温度と自己放電率との関係を示している。
この結果は、保存温度が高いほど、自己放電率が高くなることを示している。従って、自己放電率の低下を抑えるには、電池温度が高くなり過ぎないように抑制する必要があることがわかる。
【0054】
ここで、電池の梱包密度を高く設定するほど、ユニット積層体の内部温度が高くなりやすいので、比較例のようにユニット積層体の内部温度が高くなりやすい梱包形態では、電池1どうしの間隙を大きく確保して梱包密度を低く設定する必要がある。
従って、比較例においては、梱包体ユニット130内における電池の梱包密度を低く設定せざるを得ないのに対して、実施例においては、梱包体ユニット30内におけるアルカリ二次電池1の梱包密度を上記のように50cells/Litterと高く設定しても大丈夫であると考察される。
【0055】
(電池性能、放熱性試験)
アルカリ二次電池1を75%充電したものを用いて、実施例にかかる梱包積載体60及び比較例にかかる梱包積載体160を作製し、40℃,50℃,60℃,70℃,80℃,90℃,100℃の各温度下で長時間保存して、電池性能および放熱性をチェックした。
【0056】
放熱性については、実施例にかかる梱包積載体60及び比較例にかかる梱包積載体160について、各温度環境下で保存しながら、梱包積載体内の各領域における温度を測定することによって行った。
図9は、70℃における結果を表すものであって、(a)は実施例の梱包積載体60について領域ごとに測定した温度の平均温度、および最低点温度,最高点温度の変化を表わし、(b)は比較例の梱包積載体160について領域ごとに測定した温度の平均温度および最低点温度,最高点温度の変化を表わしている。
【0057】
図9に示されるように、初期においては、梱包積載体の各領域の温度は、外部環境の温度(70℃)よりも低いが、アルカリ二次電池1からの発熱に伴って温度上昇する。
そして、梱包積載体の各領域の温度は、ある程度時間が経過すると外部環境の温度よりも高くなるが、実施例の梱包積載体60では、最高温度の上昇は80℃を若干超える程度まで、比較例の梱包積載体160でも、最高温度の上昇は80℃程度までであって、それ以上は温度上昇していないことがわかる。
【0058】
このように、環境温度が70℃では、実施例、比較例ともに放熱性が確保されていることがわかる。
同様の試験を各温度において行った結果、実施例の梱包積載体60および比較例の梱包積載体160のいずれにおいても、80℃以上で保存すると、電池性能低下の問題ならびに放熱性の問題があったが、70℃以下で保存すれば、電池性能ならびに放熱性に問題はなかった。
【0059】
5.変形例
上記実施の形態では、2個の梱包体10と1個のダミーケース20を重ねて梱包体ユニット30を構成したが、梱包体ユニット30に用いる梱包体10およびダミーケース20の数は、必ずしもこれに限らず、例えば、3個の梱包体10と、2個のダミーケース20とを交互に積み重ねて、梱包体ユニット30を構成してもよい。
【0060】
梱包体ユニット30において、ダミーケース20を用いずに、複数の梱包体10を重ねて梱包体ユニット30を構成してもよいが、ダミーケース20による緩衝作用や放熱作用は得られない。
また、上述の実施例に代わって、中空のスペーサ40を省略して、 充電済み二次電池を梱包した梱包体ユニット30複数個が、パレット3上に各段毎に所定数づつ配置した状態で複数段に積載された二次電池梱包積載体において、各梱包体ユニット30を、角型収納ケース内空間に充電済み二次電池複数本を収納する梱包体10と、収納ケースと実質的に同一外形を有した中空なスペーサ20とを積み重ねて構成することも可能である。
【0061】
上記実施の形態では、アルカリ二次電池1が円筒型である場合について説明したが、アルカリ二次電池1の形状は特に限定されず、例えば角型のアルカリ二次電池を梱包して輸送する場合も同様に実施できる。
また、アルカリ二次電池だけでなく、充電済のリチウムイオン二次電池を梱包してパレット上に積載する場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、充電済アルカリ二次電池をはじめとする充電済二次電池を梱包し、パレット上に積載する際に、高い梱包密度で積載でき、且つ荷崩れも生じにくいので、充電済のアルカリ二次電池を船で輸送するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施の形態にかかる梱包体10の構成を示す組立図である。
【図2】実施の形態にかかる梱包体ユニット30の構成を示す斜視図である。
【図3】(a)はダミーケース20の展開図、(b)はスペーサ40の展開図である。
【図4】パレット上に梱包体ユニット30が積載されて形成された梱包積載体を示す上面図および側面図である。
【図5】比較例にかかる梱包体110、梱包体ユニット130の構成を示す組立図である。
【図6】比較例にかかる梱包積載体160を示す上面図および側面図である。
【図7】図4(a)におけるA−A線断面を示す図である。
【図8】充電したアルカリ二次電池を保存する温度と自己放電率との関係を示す特性図である。
【図9】実施例および比較例の梱包積載体60について、領域ごとに測定した温度の平均温度、および最低点温度,最高点温度の変化を表わす特性図である。
【符号の説明】
【0064】
1 アルカリ二次電池
2a,2b PPバンド
3 パレット
10 梱包体
11 底箱
12 蓋箱
20 ダミーケース(第2スペーサ)
30 梱包体ユニット
40 スペーサ(第1スペーサ)
49a,49b,50a,50b 通気孔
60 梱包積載体
61 内部領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電済み二次電池を梱包した梱包体ユニット複数個が、パレット上に各段毎に所定数づつ配置した状態で複数段に積載された二次電池梱包積載体であって、
前記各梱包体ユニットは、
角型収納ケース内空間に充電済み二次電池複数本を収納する梱包体を備え、
前記パレット上の中央には、内空で縦長な第1スペーサが起立配置され、
1段目の積載体として所定数の梱包体ユニットが、当該第1スペーサの周りに、井桁状に配置され、更に1段目の積載体の上に、所要段数の積載体が、
当該第1スペーサの周りに、井桁状に順次積載されてなる
ことを特徴とする二次電池梱包積載体。
【請求項2】
前記梱包体は、
角型収納ケース内空間のほぼ全域を占める状態で、充電済み二次電池複数本を行列状に配列して収納し、その状態で梱包してなる
ことを特徴とする請求項1記載の二次電池梱包積載体。
【請求項3】
前記各梱包体ユニットは、
前記梱包体と、前記収納ケースと実質的に同一外形を有した中空な第2スペーサとを積み重ねて構成される
ことを特徴とする請求項1または2記載の二次電池梱包積載体。
【請求項4】
前記第2スペーサは、同一梱包ユニット内の梱包体の上方または下方に位置してその梱包体中の各二次電池に対する放熱空間となり、
前記第1スペーサは、前記第2スペーサ内に放出された熱の回収空間となり、
さらに、第1スペーサの少なくとも上方端または下方端が開放されていて、回収した熱の外部への溢路となっている
ことを特徴とする請求項3記載の二次電池梱包積載体。
【請求項5】
前記第1スペーサは、
前記梱包体ユニットと同等の高さを有する直方体状ケースの天面板および底面板に通気孔が開設されたものが積み重ねられて構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の二次電池積載体。
【請求項6】
角型収納ケース内空間のほぼ全域を占める状態で、充電済み二次電池複数本を行列状に配列して収納し、その状態で梱包してなる梱包体と、前記収納ケースと実質的に同一外形を有した中空な第2スペーサとを積み重ねて構成した梱包体ユニットを複数個と、パレットと、内空で縦長な第1スペーサを準備する工程と、
前記パレット上の中央に、前記第1スペーサを起立配置する工程と、
前記パレット上で前記第1スペーサの周りに、所定数の梱包体ユニットを井桁状に配置して1段目の積載体を形成する工程と、
前記パレット上に配置した1段目の積載体の上に、所要段数、1段目の積載体と同一形態で所定数ずつ中空ケースと梱包体ユニットを積載する工程とを経て組み立てることを特徴とする二次電池梱包積載体の組立方法。
【請求項7】
充電済み二次電池を梱包した梱包体ユニット複数個が、パレット上に各段毎に所定数づつ配置した状態で複数段に積載された二次電池梱包積載体であって、
前記各梱包体ユニットは、
角型収納ケース内空間に充電済み二次電池複数本を収納する梱包体と、
前記収納ケースと実質的に同一外形を有した中空なスペーサとを積み重ねて構成される
ことを特徴とする二次電池梱包積載体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−64759(P2010−64759A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230976(P2008−230976)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】