二次電池用負極、二次電池および二次電池用負極の製造方法
【課題】 サイクル特性を向上させることができる二次電池用負極およびそれを用いた二次電池、並びに二次電池用負極の製造方法を提供する。
【解決手段】 負極活物質層12Bは、気相法により形成されたものであり、構成元素としてSiを含んでいる。負極活物質層12Bには、厚み方向に成長して形成された複数の1次粒子123があり、この1次粒子が集合して複数の2次粒子を形成している。1次粒子123の少なくとも一部は、厚み方向の断面において、負極集電体12Aに対して同一方向に湾曲した形状を有している。これにより充放電に伴う膨張収縮による応力を緩和することができる。
【解決手段】 負極活物質層12Bは、気相法により形成されたものであり、構成元素としてSiを含んでいる。負極活物質層12Bには、厚み方向に成長して形成された複数の1次粒子123があり、この1次粒子が集合して複数の2次粒子を形成している。1次粒子123の少なくとも一部は、厚み方向の断面において、負極集電体12Aに対して同一方向に湾曲した形状を有している。これにより充放電に伴う膨張収縮による応力を緩和することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成元素としてケイ素(Si)を含む負極およびそれを用いた電池、並びに負極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の高性能化および多機能化に伴い、それらの電源である二次電池の高容量化が要求されている。この要求に応える二次電池としてはリチウムイオン二次電池があるが、現在実用化されているものは負極に黒鉛を用いているので、電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は難しい。そこで、負極にケイ素などを用いることが検討されており、最近では、気相法などにより負極集電体に負極活物質層を形成することも報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。ケイ素などは充放電に伴う膨張収縮が大きいので、微粉化によるサイクル特性の低下が問題であったが、気相法などによれば、微細化を抑制することができると共に、負極集電体と負極活物質層とを一体化することができるので負極における電子伝導性が極めて良好となり、容量的にもサイクル寿命的にも高性能化が期待されている。
【特許文献1】特開平8−50922号公報
【特許文献2】特許第2948205号公報
【特許文献3】特開平11−135115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように負極集電体と負極活物質層とを一体化した負極においても、充放電を繰り返すと、負極活物質層の激しい膨張および収縮により負極集電体と負極活物質層との間に応力がかかり、負極活物質層の脱落などが生じてサイクル特性が低下するなど問題があった。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、負極活物質層の形状崩壊を抑制し、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる二次電池用負極およびそれを用いた二次電池、並びに二次電池用負極の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による二次電池用負極は、負極集電体に構成元素としてケイ素を含む負極活物質層が設けられたものであって、負極活物質層は、負極集電体に対して成長された複数の1次粒子を有し、1次粒子の少なくとも一部は、負極集電体に対して湾曲した形状を有するものである。
【0006】
本発明による二次電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、負極集電体に構成元素としてケイ素を含む負極活物質層が設けられており、この負極活物質層は、負極集電体に対して成長された複数の1次粒子を有し、1次粒子の少なくとも一部は、負極集電体に対して湾曲した形状を有するものである。
【0007】
本発明による二次電池用負極の製造方法は、負極集電体に構成元素としてケイ素を含む負極活物質層を形成するものであって、負極集電体に対して負極活物質層の原料の入射角を変化させながら気相法により負極活物質層を成長させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明による二次電池用負極によれば、湾曲した形状の1次粒子を有するようにしたので、充放電に伴う膨張収縮による応力を緩和することができ、負極活物質層の形状崩壊および負極集電体からの剥離を抑制することができる。よって、この負極を用いた本発明による二次電池によれば、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明による二次電池用負極の製造方法によれば、負極集電体に対して負極活物質層の原料の入射角を変化させながら気相法により負極活物質層を成長させるようにしたので、本発明の二次電池用負極を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装カップ11に収容された負極12と、外装缶13に収容された正極14とが、セパレータ15を介して積層されている。外装カップ11および外装缶13の周縁部は絶縁性のガスケット16を介してかしめることにより密閉されている。外装カップ11および外装缶13は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウム(Al)などの金属によりそれぞれ構成されている。
【0012】
負極12は、例えば、負極集電体12Aと、負極集電体12Aに設けられた負極活物質層12Bとを有している。
【0013】
負極集電体12Aは、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下する他、負極活物質層12Bを支える能力が小さくなるからである。なお、本明細書において金属材料には、金属元素の単体だけでなく、2種以上の金属元素あるいは1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなる合金も含める。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti),鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)が挙げられる。
【0014】
負極集電体12Aは、また、負極活物質層12Bと合金化する金属元素を含むことが好ましい。負極活物質層12Bと負極集電体12Aとの密着性を向上させることができるからである。リチウムと金属間化合物を形成せず、負極活物質層12Bと合金化する金属元素としては、負極活物質層12Bが後述するように構成元素としてケイ素を含む場合には、例えば、銅,ニッケル,あるいは鉄が挙げられる。これらは強度および導電性の観点からも好ましい。
【0015】
なお、負極集電体12Aは、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、負極活物質層12Bと接する層をケイ素と合金化する金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。また、負極集電体12Aは、負極活物質層12Bとの界面以外は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種よりなる金属材料により構成することが好ましい。
【0016】
負極集電体12Aの負極活物質層12Bが設けられる側の面は粗化されていることが好ましい。負極活物質層12Bとの密着性を向上させることができるからである。
【0017】
負極活物質層12Bは、構成元素としてケイ素を含んでいる。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。ケイ素は、単体で含まれていても、合金で含まれていても、化合物で含まれていてもよく、それらの2種以上が混在した状態で含まれていてもよい。
【0018】
負極活物質層12Bは、例えば、気相法により形成されたものであり、厚み方向に成長することにより形成された複数の1次粒子を有している。この1次粒子は、複数が集合して複数の2次粒子を形成している。
【0019】
図2は負極活物質層12Bの厚み方向の断面における粒子構造を表す走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)写真であり、図3はその粒子構造を模式的に表したものである。図2,3に示したように、各2次粒子121は溝122により互いに分離されている。溝122は例えば充放電により形成されたものであり、ほぼ負極集電体12Aまで達している。各1次粒子123は単に隣接しているのではなく、互いに少なくとも一部が接合して2次粒子121を形成している。
【0020】
また、1次粒子123の少なくとも一部は、負極集電体12Aに対して湾曲した形状を有しており、例えば厚み方向の断面において同一方向に湾曲している。これにより、この二次電池では、充放電に伴う膨張収縮による応力を緩和することができると共に、厚み方向への膨張を小さくすることができるようになっている。なお、1次粒子123の全てが湾曲していてもよいが、図2,3にも示したように、溝122により分離された各2次粒子121の界面においては、そのような構造が破壊されていることもあり、全ての1次粒子123が同様に湾曲している必要はない。
【0021】
このような粒子構造は、例えば、図2に示したようにSEMにより観察してもよく、走査イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope ;SIM)により観察してもよい。また、断面は、集束イオンビーム(FIB;Focused Ion Beam)またはミクロトームなどにより切り出すことが好ましい。
【0022】
負極活物質層12Bは、また、負極集電体12Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体12Aと合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体12Aの構成元素が負極活物質層12Bに、または負極活物質層12Bの構成元素が負極集電体12Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。充放電により負極活物質層12Bが膨張収縮しても、負極集電体12Aからの脱落が抑制されるからである。
【0023】
正極14は、例えば、正極集電体14Aと、正極集電体14Aに設けられた正極活物質層14Bとを有しており、正極活物質層14Bの側が負極活物質層12Bと対向するように配置されている。正極集電体14Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
【0024】
正極活物質層14Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lix MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることができるからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
【0025】
セパレータ15は、負極12と正極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ15は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
【0026】
セパレータ15には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、炭酸エチレン,炭酸プロピレン,炭酸ジメチル,炭酸ジエチルあるいは炭酸エチルメチルなどの非水溶媒が挙げられる。溶媒はいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
電解質塩としては、例えば、LiPF6 ,LiCF3 SO3 あるいはLiClO4 などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
この二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。
【0029】
まず、負極集電体12Aに、例えば気相法により構成元素としてケイ素を含む負極活物質層12Bを成膜する。気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法が挙げられ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいは溶射法などのいずれを用いてもよい。その際、例えば負極集電体12Aに対して原料の入射角を連続的に変化させる。
【0030】
図4〜6は、負極活物質層12Bを蒸着法により成膜する製造装置の一構成例を表すものである。例えば、図4に示したように、負極集電体12Aを固定基盤21に取り付け、固定基盤21を原料22に対して相対的に移動させるようにしてもよく、図5,6に示したように、帯状の負極集電体12Aを供給ロール23から支持ローラー24を介して巻き取りロール25に移動させながら原料22に対して相対的に移動させるようにしてもよい。また、図5,6に示した製造装置において、支持ローラー24を介さずに、負極集電体12Aを供給ロール23から巻き取りロール25に直接移動させるようにしてもよい。
【0031】
特に、図5,6に示したように、供給ロール23,支持ローラー24および巻き取りロール25などの回転支持体を介して負極集電体12Aを移動させながら原料の入射角を変化させるようにすれば、連続して負極活物質層12Bを成膜することができるので好ましい。また、図6に示したように、円筒状の支持ローラー24を原料と対向する位置に配置して、負極集電体12Aを曲線的に移動させながら負極活物質層12Bを成膜するようにすれば、1次粒子123をより湾曲させて応力を分散させることができると共に、負極活物質層12Bを成膜できる距離を長くすることができ、生産性をより向上させることができるので好ましい。なお、図4〜6では、蒸着法の場合について具体的に示したが、他の方法の場合も、同様にして原料の入射角を変化させることができる。
【0032】
これにより、負極活物質層12Bの1次粒子は、負極集電体12Aに対して湾曲して成長する。次いで、必要に応じて真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行う。
【0033】
続いて、正極集電体14Aに正極活物質層14Bを成膜する。例えば、正極活物質と必要に応じて導電材およびバインダーとを混合して正極集電体14Aに塗布し、圧縮成型することにより形成する。そののち、負極12、セパレータ15および正極14を積層して外装カップ11と外装缶13との中に入れ、電解液を注入し、それらをかしめることにより電池を組み立てる。電池を組み立てたのち、例えば充放電を行うことにより、負極活物質層12Bに溝122が形成され、2次粒子121に分割される。
【0034】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極14からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極12に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極12からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極14に吸蔵される。この充放電に伴い、負極活物質層12Bは大きく膨張収縮するが、1次粒子123が負極集電体12Aに対して湾曲した形状を有しているので、応力が緩和され、形状崩壊および負極集電体12Aからの剥離が抑制される。
【0035】
このように本実施の形態によれば、負極活物質層12Bの少なくとも一部の1次粒子123が負極集電体12Aに対して湾曲した形状を有するようにしたので、充放電に伴う膨張収縮による応力を緩和することができ、負極活物質層12Bの形状崩壊および負極集電体12Aからの剥離を抑制することができる。従って、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
【0036】
また、負極集電体12Aに対して原料の入射角を変化させるようにすれば、本実施の形態の負極12を容易に得ることができる。特に、負極集電体12Aを回転支持体を介して移動させるようにすれば、負極活物質層12Bを連続して成膜することができ、生産性を向上させることができる。更に、負極集電体12Aを曲線的に移動させることにより原料の入射角を変化させるようにすれば、1次粒子123をより湾曲させて応力を分散させることができると共に、負極活物質層12Bを成膜できる距離を長くすることができ、生産性をより向上させることができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、リード31,32が取り付けられた電極巻回体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
【0038】
リード31,32は、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。リード31,32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0039】
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極巻回体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40とリード31,32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、リード31,32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0040】
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0041】
図8は、図7に示した電極巻回体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、負極33と正極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
【0042】
負極33は、負極集電体33Aの両面に負極活物質層33Bが設けられた構造を有している。正極34も、正極集電体34Aの両面に正極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、正極活物質層34Bが負極活物質層33Bと対向するように配置されている。負極集電体33A,負極活物質層33B,正極集電体34A,正極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した負極集電体12A,負極活物質層12B,正極集電体14A,正極活物質層14Bおよびセパレータ15と同様である。なお、負極活物質層33Bの粒子構造は、例えば、電極巻回体30のうち曲率の大きくない部分の中央部において判断する。
【0043】
電解質層36は、高分子化合物よりなる保持体に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液の構成は、第1の実施の形態と同様である。高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0044】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0045】
まず、第1の実施の形態と同様にして負極33および正極34を形成したのち、負極33および正極34に、電解液を保持体に保持させた電解質層36を形成する。次いで、負極集電体33Aおよび正極集電体34Aにリード31,32を取り付ける。続いて、電解質層36が形成された負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層し、巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して電極巻回体30を形成する。そののち、例えば、外装部材40の間に電極巻回体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、リード31,32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。
【0046】
また、次のようにして組み立ててもよい。まず、第1の実施の形態と同様にして負極33および正極34を形成したのち、リード31,32を取り付ける。次いで、負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、電極巻回体30の前駆体である巻回体を形成する。続いて、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状としたのち、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を、外装部材40の内部に注入する。そののち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封し、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成する。
【0047】
このようにして電池を組み立てたのち、第1の実施の形態と同様に、例えば充放電を行うことにより、負極活物質層33Bに溝122および2次粒子121が形成される。
【0048】
この二次電池は、第1の実施の形態と同様に作用し、第1の実施の形態と同様の効果を有する。特に、本実施の形態によれば、負極活物質層33Bの厚み方向における膨張を抑制することができるので、充放電を繰り返しても、電池の膨張を抑制することができる。
【実施例】
【0049】
更に、本発明の具体的な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
(実施例1〜3)
図7,8に示した構造の二次電池を作製した。まず、厚み22μmの表面を粗化した銅箔よりなる負極集電体33Aに、電子ビーム真空蒸着法によりケイ素よりなる厚み約9μmの負極活物質層33Bを成膜した。その際、実施例1では、図4に示したように、負極集電体33Aを固定基盤21に取り付け、固定基盤21を原料に対して移動させながら成膜した。実施例2では、図5に示したように、負極集電体33Aを供給ロール23から支持ローラー24を介して巻き取りロール25に移動させながら成膜した。実施例3では、図6に示したように、負極集電体33Aを支持ローラー24を介して曲線的に移動させながら成膜した。次いで、減圧雰囲気において熱処理を行った。
【0051】
また、正極活物質である平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )粉末92質量部と、導電材であるカーボンブラック3質量部と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン5質量部とを混合し、これを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに投入してスラリーとした。次いで、これを厚み15μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体34Aに塗布して乾燥させたのちプレスを行って正極活物質層34Bを形成した。
【0052】
続いて、炭酸エチレン37.5質量%と、炭酸プロピレン37.5質量%と、炭酸ビニレン10質量%と、LiPF6 15質量%とを混合して電解液を調整し、この電解液30質量%と、重量平均分子量60万のブロック共重合体であるポリフッ化ビニリデン10質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合した前駆溶液を負極33および正極34の両面にそれぞれ塗布し、炭酸ジメチルを揮発させることにより電解質層36を形成した。
【0053】
そののち、リード31,32を取り付け、負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、アルミラミネートフィルムよりなる外装部材40に封入することにより二次電池を組み立てた。
【0054】
実施例1〜3に対する比較例1,2として、図4に示した製造装置において固定基盤21を移動させずに原料に対して位置を固定して負極活物質層を成膜したことを除き、他は実施例1〜3と同様にして二次電池を組み立てた。その際、比較例1では、負極に、固定基盤21のほぼ中央部に位置する部分を切り出して用い、比較例2では、固定基盤21の端部に位置する部分を切り出して用いた。
【0055】
作製した実施例1〜3および比較例1,2の二次電池について、25℃の条件下で充放電試験を行い、2サイクル目に対する31サイクル目の容量維持率を求めた。その際、充電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.05mA/cm2 に達するまで行い、放電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、充電を行う際には、負極33の容量の利用率が90%となるようにし、負極33に金属リチウムが析出しないようにした。容量維持率は、2サイクル目の放電容量に対する31サイクル目の放電容量の比率、すなわち(31サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100として算出した。
【0056】
また、実施例1〜3および比較例1,2の二次電池について、充放電を行う前(零サイクル時)の厚みと、31サイクル充放電を繰り返した後の厚みとを測定して膨張幅を求め、比較例1に対する膨張幅率を数1に従って算出した。それらの結果を表1に示す。
(数1)
膨張幅率=[(A−B)/(a−b)]×100
数1において、Aは各実施例の充放電前の厚み、Bは各実施例の31サイクル充放電後の厚み、aは比較例1の充放電前の厚み、bは比較例1の31サイクル充放電後の厚みである。
【0057】
更に、実施例1〜3および比較例1,2の二次電池について、31サイクル後に電池を解体して放電状態の負極33を取り出し、炭酸ジメチルで洗浄したのち、負極33の中央部における厚み方向の断面をSEMにより観察した。断面はミクロトームにより切り出した。既に示した図2は実施例1の負極活物質層33BのSEM写真であり、実施例2は実施例1とほぼ同じであった。また、実施例3のSEM写真を図9に、比較例1のSEM写真を図10に、比較例2のSEM写真を図11にそれぞれ示す。
【0058】
図2,9〜11に示したように、実施例1〜3においても比較例1,2においても、1次粒子123が複数集合して2次粒子を形成している様子が確認された。また、実施例1〜3では、1次粒子123の少なくとも一部が負極集電体33Aに対して湾曲していたのに対して、比較例1では1次粒子が直線的にほぼ垂直に成長しており、比較例2では1次粒子が直線的に傾斜して成長していた。
【0059】
【表1】
【0060】
更に、表1に示したように、実施例1〜3によれば、比較例1,2に比べて、膨張幅率を小さくすることができ、容量維持率を向上させることができた。すなわち、1次粒子123の少なくとも一部が負極集電体33Aに対して湾曲した形状を有するようにすれば、充放電による膨張収縮の方向を分散することができ、サイクル特性などの電池特性を向上させることができると共に、素子の膨張率を小さくできることが分かった。
【0061】
特に、実施例の中でも実施例3が最も優れた特性を得ることができた。これは、実施例1,2に比べて実施例3の方が1次粒子がより湾曲しており、より応力を分散することができたためであると考えられる。すなわち、負極集電体33Aを曲線的に移動させながら原料の入射角を変化させて負極活物質層33Bを成膜するようにすれば、より好ましいことが分かった。
【0062】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液、またはいわゆるゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
【0063】
なお、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどを含むもの用いることができる。
【0064】
また、上記実施の形態および実施例では、コイン型および巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、円筒型,角型,ボタン型,薄型,大型あるいは積層ラミネート型などの他の形状を有する二次電池についても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した二次電池に係る負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【図3】図1に示した二次電池に係る負極活物質層の粒子構造を表す模式図である。
【図4】図1に示した二次電池に係る負極活物質層を成膜する際に用いる製造装置の一構成例を表すものである。
【図5】図1に示した二次電池に係る負極活物質層を成膜する際に用いる製造装置の他の構成例を表すものである。
【図6】図1に示した二次電池に係る負極活物質層を成膜する際に用いる製造装置の他の構成例を表すものである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図8】図7に示した二次電池のI−I線に沿った構造を表す断面図である。
【図9】本発明の実施例3に係る負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【図10】本発明に対する比較例1に係る負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【図11】本発明に対する比較例2に係る負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【符号の説明】
【0066】
11…外装カップ、12,33…負極、12A,33A…負極集電体、12B,33B…負極活物質層、13…外装缶、14,34…正極、14A,34A…正極集電体、14B,34B…正極活物質層、15,35…セパレータ、16…ガスケット、21…固定基盤、22…原料、23…供給ロール、24支持ローラー、25…巻き取りロール、30…電極巻回体、31,32…リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、121…2次粒子、122…溝、123…1次粒子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成元素としてケイ素(Si)を含む負極およびそれを用いた電池、並びに負極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の高性能化および多機能化に伴い、それらの電源である二次電池の高容量化が要求されている。この要求に応える二次電池としてはリチウムイオン二次電池があるが、現在実用化されているものは負極に黒鉛を用いているので、電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は難しい。そこで、負極にケイ素などを用いることが検討されており、最近では、気相法などにより負極集電体に負極活物質層を形成することも報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。ケイ素などは充放電に伴う膨張収縮が大きいので、微粉化によるサイクル特性の低下が問題であったが、気相法などによれば、微細化を抑制することができると共に、負極集電体と負極活物質層とを一体化することができるので負極における電子伝導性が極めて良好となり、容量的にもサイクル寿命的にも高性能化が期待されている。
【特許文献1】特開平8−50922号公報
【特許文献2】特許第2948205号公報
【特許文献3】特開平11−135115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように負極集電体と負極活物質層とを一体化した負極においても、充放電を繰り返すと、負極活物質層の激しい膨張および収縮により負極集電体と負極活物質層との間に応力がかかり、負極活物質層の脱落などが生じてサイクル特性が低下するなど問題があった。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、負極活物質層の形状崩壊を抑制し、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる二次電池用負極およびそれを用いた二次電池、並びに二次電池用負極の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による二次電池用負極は、負極集電体に構成元素としてケイ素を含む負極活物質層が設けられたものであって、負極活物質層は、負極集電体に対して成長された複数の1次粒子を有し、1次粒子の少なくとも一部は、負極集電体に対して湾曲した形状を有するものである。
【0006】
本発明による二次電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、負極集電体に構成元素としてケイ素を含む負極活物質層が設けられており、この負極活物質層は、負極集電体に対して成長された複数の1次粒子を有し、1次粒子の少なくとも一部は、負極集電体に対して湾曲した形状を有するものである。
【0007】
本発明による二次電池用負極の製造方法は、負極集電体に構成元素としてケイ素を含む負極活物質層を形成するものであって、負極集電体に対して負極活物質層の原料の入射角を変化させながら気相法により負極活物質層を成長させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明による二次電池用負極によれば、湾曲した形状の1次粒子を有するようにしたので、充放電に伴う膨張収縮による応力を緩和することができ、負極活物質層の形状崩壊および負極集電体からの剥離を抑制することができる。よって、この負極を用いた本発明による二次電池によれば、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明による二次電池用負極の製造方法によれば、負極集電体に対して負極活物質層の原料の入射角を変化させながら気相法により負極活物質層を成長させるようにしたので、本発明の二次電池用負極を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装カップ11に収容された負極12と、外装缶13に収容された正極14とが、セパレータ15を介して積層されている。外装カップ11および外装缶13の周縁部は絶縁性のガスケット16を介してかしめることにより密閉されている。外装カップ11および外装缶13は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウム(Al)などの金属によりそれぞれ構成されている。
【0012】
負極12は、例えば、負極集電体12Aと、負極集電体12Aに設けられた負極活物質層12Bとを有している。
【0013】
負極集電体12Aは、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下する他、負極活物質層12Bを支える能力が小さくなるからである。なお、本明細書において金属材料には、金属元素の単体だけでなく、2種以上の金属元素あるいは1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなる合金も含める。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti),鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)が挙げられる。
【0014】
負極集電体12Aは、また、負極活物質層12Bと合金化する金属元素を含むことが好ましい。負極活物質層12Bと負極集電体12Aとの密着性を向上させることができるからである。リチウムと金属間化合物を形成せず、負極活物質層12Bと合金化する金属元素としては、負極活物質層12Bが後述するように構成元素としてケイ素を含む場合には、例えば、銅,ニッケル,あるいは鉄が挙げられる。これらは強度および導電性の観点からも好ましい。
【0015】
なお、負極集電体12Aは、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、負極活物質層12Bと接する層をケイ素と合金化する金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。また、負極集電体12Aは、負極活物質層12Bとの界面以外は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種よりなる金属材料により構成することが好ましい。
【0016】
負極集電体12Aの負極活物質層12Bが設けられる側の面は粗化されていることが好ましい。負極活物質層12Bとの密着性を向上させることができるからである。
【0017】
負極活物質層12Bは、構成元素としてケイ素を含んでいる。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。ケイ素は、単体で含まれていても、合金で含まれていても、化合物で含まれていてもよく、それらの2種以上が混在した状態で含まれていてもよい。
【0018】
負極活物質層12Bは、例えば、気相法により形成されたものであり、厚み方向に成長することにより形成された複数の1次粒子を有している。この1次粒子は、複数が集合して複数の2次粒子を形成している。
【0019】
図2は負極活物質層12Bの厚み方向の断面における粒子構造を表す走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)写真であり、図3はその粒子構造を模式的に表したものである。図2,3に示したように、各2次粒子121は溝122により互いに分離されている。溝122は例えば充放電により形成されたものであり、ほぼ負極集電体12Aまで達している。各1次粒子123は単に隣接しているのではなく、互いに少なくとも一部が接合して2次粒子121を形成している。
【0020】
また、1次粒子123の少なくとも一部は、負極集電体12Aに対して湾曲した形状を有しており、例えば厚み方向の断面において同一方向に湾曲している。これにより、この二次電池では、充放電に伴う膨張収縮による応力を緩和することができると共に、厚み方向への膨張を小さくすることができるようになっている。なお、1次粒子123の全てが湾曲していてもよいが、図2,3にも示したように、溝122により分離された各2次粒子121の界面においては、そのような構造が破壊されていることもあり、全ての1次粒子123が同様に湾曲している必要はない。
【0021】
このような粒子構造は、例えば、図2に示したようにSEMにより観察してもよく、走査イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope ;SIM)により観察してもよい。また、断面は、集束イオンビーム(FIB;Focused Ion Beam)またはミクロトームなどにより切り出すことが好ましい。
【0022】
負極活物質層12Bは、また、負極集電体12Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体12Aと合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体12Aの構成元素が負極活物質層12Bに、または負極活物質層12Bの構成元素が負極集電体12Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。充放電により負極活物質層12Bが膨張収縮しても、負極集電体12Aからの脱落が抑制されるからである。
【0023】
正極14は、例えば、正極集電体14Aと、正極集電体14Aに設けられた正極活物質層14Bとを有しており、正極活物質層14Bの側が負極活物質層12Bと対向するように配置されている。正極集電体14Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
【0024】
正極活物質層14Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lix MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることができるからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
【0025】
セパレータ15は、負極12と正極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ15は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
【0026】
セパレータ15には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、炭酸エチレン,炭酸プロピレン,炭酸ジメチル,炭酸ジエチルあるいは炭酸エチルメチルなどの非水溶媒が挙げられる。溶媒はいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
電解質塩としては、例えば、LiPF6 ,LiCF3 SO3 あるいはLiClO4 などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
この二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。
【0029】
まず、負極集電体12Aに、例えば気相法により構成元素としてケイ素を含む負極活物質層12Bを成膜する。気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法が挙げられ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいは溶射法などのいずれを用いてもよい。その際、例えば負極集電体12Aに対して原料の入射角を連続的に変化させる。
【0030】
図4〜6は、負極活物質層12Bを蒸着法により成膜する製造装置の一構成例を表すものである。例えば、図4に示したように、負極集電体12Aを固定基盤21に取り付け、固定基盤21を原料22に対して相対的に移動させるようにしてもよく、図5,6に示したように、帯状の負極集電体12Aを供給ロール23から支持ローラー24を介して巻き取りロール25に移動させながら原料22に対して相対的に移動させるようにしてもよい。また、図5,6に示した製造装置において、支持ローラー24を介さずに、負極集電体12Aを供給ロール23から巻き取りロール25に直接移動させるようにしてもよい。
【0031】
特に、図5,6に示したように、供給ロール23,支持ローラー24および巻き取りロール25などの回転支持体を介して負極集電体12Aを移動させながら原料の入射角を変化させるようにすれば、連続して負極活物質層12Bを成膜することができるので好ましい。また、図6に示したように、円筒状の支持ローラー24を原料と対向する位置に配置して、負極集電体12Aを曲線的に移動させながら負極活物質層12Bを成膜するようにすれば、1次粒子123をより湾曲させて応力を分散させることができると共に、負極活物質層12Bを成膜できる距離を長くすることができ、生産性をより向上させることができるので好ましい。なお、図4〜6では、蒸着法の場合について具体的に示したが、他の方法の場合も、同様にして原料の入射角を変化させることができる。
【0032】
これにより、負極活物質層12Bの1次粒子は、負極集電体12Aに対して湾曲して成長する。次いで、必要に応じて真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行う。
【0033】
続いて、正極集電体14Aに正極活物質層14Bを成膜する。例えば、正極活物質と必要に応じて導電材およびバインダーとを混合して正極集電体14Aに塗布し、圧縮成型することにより形成する。そののち、負極12、セパレータ15および正極14を積層して外装カップ11と外装缶13との中に入れ、電解液を注入し、それらをかしめることにより電池を組み立てる。電池を組み立てたのち、例えば充放電を行うことにより、負極活物質層12Bに溝122が形成され、2次粒子121に分割される。
【0034】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極14からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極12に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極12からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極14に吸蔵される。この充放電に伴い、負極活物質層12Bは大きく膨張収縮するが、1次粒子123が負極集電体12Aに対して湾曲した形状を有しているので、応力が緩和され、形状崩壊および負極集電体12Aからの剥離が抑制される。
【0035】
このように本実施の形態によれば、負極活物質層12Bの少なくとも一部の1次粒子123が負極集電体12Aに対して湾曲した形状を有するようにしたので、充放電に伴う膨張収縮による応力を緩和することができ、負極活物質層12Bの形状崩壊および負極集電体12Aからの剥離を抑制することができる。従って、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
【0036】
また、負極集電体12Aに対して原料の入射角を変化させるようにすれば、本実施の形態の負極12を容易に得ることができる。特に、負極集電体12Aを回転支持体を介して移動させるようにすれば、負極活物質層12Bを連続して成膜することができ、生産性を向上させることができる。更に、負極集電体12Aを曲線的に移動させることにより原料の入射角を変化させるようにすれば、1次粒子123をより湾曲させて応力を分散させることができると共に、負極活物質層12Bを成膜できる距離を長くすることができ、生産性をより向上させることができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、リード31,32が取り付けられた電極巻回体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
【0038】
リード31,32は、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。リード31,32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0039】
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極巻回体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40とリード31,32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、リード31,32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0040】
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0041】
図8は、図7に示した電極巻回体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、負極33と正極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
【0042】
負極33は、負極集電体33Aの両面に負極活物質層33Bが設けられた構造を有している。正極34も、正極集電体34Aの両面に正極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、正極活物質層34Bが負極活物質層33Bと対向するように配置されている。負極集電体33A,負極活物質層33B,正極集電体34A,正極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した負極集電体12A,負極活物質層12B,正極集電体14A,正極活物質層14Bおよびセパレータ15と同様である。なお、負極活物質層33Bの粒子構造は、例えば、電極巻回体30のうち曲率の大きくない部分の中央部において判断する。
【0043】
電解質層36は、高分子化合物よりなる保持体に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液の構成は、第1の実施の形態と同様である。高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0044】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0045】
まず、第1の実施の形態と同様にして負極33および正極34を形成したのち、負極33および正極34に、電解液を保持体に保持させた電解質層36を形成する。次いで、負極集電体33Aおよび正極集電体34Aにリード31,32を取り付ける。続いて、電解質層36が形成された負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層し、巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して電極巻回体30を形成する。そののち、例えば、外装部材40の間に電極巻回体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、リード31,32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。
【0046】
また、次のようにして組み立ててもよい。まず、第1の実施の形態と同様にして負極33および正極34を形成したのち、リード31,32を取り付ける。次いで、負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、電極巻回体30の前駆体である巻回体を形成する。続いて、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状としたのち、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を、外装部材40の内部に注入する。そののち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封し、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成する。
【0047】
このようにして電池を組み立てたのち、第1の実施の形態と同様に、例えば充放電を行うことにより、負極活物質層33Bに溝122および2次粒子121が形成される。
【0048】
この二次電池は、第1の実施の形態と同様に作用し、第1の実施の形態と同様の効果を有する。特に、本実施の形態によれば、負極活物質層33Bの厚み方向における膨張を抑制することができるので、充放電を繰り返しても、電池の膨張を抑制することができる。
【実施例】
【0049】
更に、本発明の具体的な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
(実施例1〜3)
図7,8に示した構造の二次電池を作製した。まず、厚み22μmの表面を粗化した銅箔よりなる負極集電体33Aに、電子ビーム真空蒸着法によりケイ素よりなる厚み約9μmの負極活物質層33Bを成膜した。その際、実施例1では、図4に示したように、負極集電体33Aを固定基盤21に取り付け、固定基盤21を原料に対して移動させながら成膜した。実施例2では、図5に示したように、負極集電体33Aを供給ロール23から支持ローラー24を介して巻き取りロール25に移動させながら成膜した。実施例3では、図6に示したように、負極集電体33Aを支持ローラー24を介して曲線的に移動させながら成膜した。次いで、減圧雰囲気において熱処理を行った。
【0051】
また、正極活物質である平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )粉末92質量部と、導電材であるカーボンブラック3質量部と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン5質量部とを混合し、これを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに投入してスラリーとした。次いで、これを厚み15μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体34Aに塗布して乾燥させたのちプレスを行って正極活物質層34Bを形成した。
【0052】
続いて、炭酸エチレン37.5質量%と、炭酸プロピレン37.5質量%と、炭酸ビニレン10質量%と、LiPF6 15質量%とを混合して電解液を調整し、この電解液30質量%と、重量平均分子量60万のブロック共重合体であるポリフッ化ビニリデン10質量%と、炭酸ジメチル60質量%とを混合した前駆溶液を負極33および正極34の両面にそれぞれ塗布し、炭酸ジメチルを揮発させることにより電解質層36を形成した。
【0053】
そののち、リード31,32を取り付け、負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、アルミラミネートフィルムよりなる外装部材40に封入することにより二次電池を組み立てた。
【0054】
実施例1〜3に対する比較例1,2として、図4に示した製造装置において固定基盤21を移動させずに原料に対して位置を固定して負極活物質層を成膜したことを除き、他は実施例1〜3と同様にして二次電池を組み立てた。その際、比較例1では、負極に、固定基盤21のほぼ中央部に位置する部分を切り出して用い、比較例2では、固定基盤21の端部に位置する部分を切り出して用いた。
【0055】
作製した実施例1〜3および比較例1,2の二次電池について、25℃の条件下で充放電試験を行い、2サイクル目に対する31サイクル目の容量維持率を求めた。その際、充電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.05mA/cm2 に達するまで行い、放電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、充電を行う際には、負極33の容量の利用率が90%となるようにし、負極33に金属リチウムが析出しないようにした。容量維持率は、2サイクル目の放電容量に対する31サイクル目の放電容量の比率、すなわち(31サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100として算出した。
【0056】
また、実施例1〜3および比較例1,2の二次電池について、充放電を行う前(零サイクル時)の厚みと、31サイクル充放電を繰り返した後の厚みとを測定して膨張幅を求め、比較例1に対する膨張幅率を数1に従って算出した。それらの結果を表1に示す。
(数1)
膨張幅率=[(A−B)/(a−b)]×100
数1において、Aは各実施例の充放電前の厚み、Bは各実施例の31サイクル充放電後の厚み、aは比較例1の充放電前の厚み、bは比較例1の31サイクル充放電後の厚みである。
【0057】
更に、実施例1〜3および比較例1,2の二次電池について、31サイクル後に電池を解体して放電状態の負極33を取り出し、炭酸ジメチルで洗浄したのち、負極33の中央部における厚み方向の断面をSEMにより観察した。断面はミクロトームにより切り出した。既に示した図2は実施例1の負極活物質層33BのSEM写真であり、実施例2は実施例1とほぼ同じであった。また、実施例3のSEM写真を図9に、比較例1のSEM写真を図10に、比較例2のSEM写真を図11にそれぞれ示す。
【0058】
図2,9〜11に示したように、実施例1〜3においても比較例1,2においても、1次粒子123が複数集合して2次粒子を形成している様子が確認された。また、実施例1〜3では、1次粒子123の少なくとも一部が負極集電体33Aに対して湾曲していたのに対して、比較例1では1次粒子が直線的にほぼ垂直に成長しており、比較例2では1次粒子が直線的に傾斜して成長していた。
【0059】
【表1】
【0060】
更に、表1に示したように、実施例1〜3によれば、比較例1,2に比べて、膨張幅率を小さくすることができ、容量維持率を向上させることができた。すなわち、1次粒子123の少なくとも一部が負極集電体33Aに対して湾曲した形状を有するようにすれば、充放電による膨張収縮の方向を分散することができ、サイクル特性などの電池特性を向上させることができると共に、素子の膨張率を小さくできることが分かった。
【0061】
特に、実施例の中でも実施例3が最も優れた特性を得ることができた。これは、実施例1,2に比べて実施例3の方が1次粒子がより湾曲しており、より応力を分散することができたためであると考えられる。すなわち、負極集電体33Aを曲線的に移動させながら原料の入射角を変化させて負極活物質層33Bを成膜するようにすれば、より好ましいことが分かった。
【0062】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液、またはいわゆるゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
【0063】
なお、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどを含むもの用いることができる。
【0064】
また、上記実施の形態および実施例では、コイン型および巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、円筒型,角型,ボタン型,薄型,大型あるいは積層ラミネート型などの他の形状を有する二次電池についても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した二次電池に係る負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【図3】図1に示した二次電池に係る負極活物質層の粒子構造を表す模式図である。
【図4】図1に示した二次電池に係る負極活物質層を成膜する際に用いる製造装置の一構成例を表すものである。
【図5】図1に示した二次電池に係る負極活物質層を成膜する際に用いる製造装置の他の構成例を表すものである。
【図6】図1に示した二次電池に係る負極活物質層を成膜する際に用いる製造装置の他の構成例を表すものである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図8】図7に示した二次電池のI−I線に沿った構造を表す断面図である。
【図9】本発明の実施例3に係る負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【図10】本発明に対する比較例1に係る負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【図11】本発明に対する比較例2に係る負極活物質層の粒子構造を表すSEM写真である。
【符号の説明】
【0066】
11…外装カップ、12,33…負極、12A,33A…負極集電体、12B,33B…負極活物質層、13…外装缶、14,34…正極、14A,34A…正極集電体、14B,34B…正極活物質層、15,35…セパレータ、16…ガスケット、21…固定基盤、22…原料、23…供給ロール、24支持ローラー、25…巻き取りロール、30…電極巻回体、31,32…リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、121…2次粒子、122…溝、123…1次粒子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体に構成元素としてケイ素(Si)を含む負極活物質層が設けられた二次電池用負極であって、
前記負極活物質層は、前記負極集電体に対して成長された複数の1次粒子を有し、
前記1次粒子の少なくとも一部は、前記負極集電体に対して湾曲した形状を有する
ことを特徴とする二次電池用負極。
【請求項2】
前記1次粒子の少なくとも一部は、厚み方向の断面において、同一方向に湾曲していることを特徴とする請求項1記載の二次電池用負極。
【請求項3】
正極および負極と共に電解質を備えた二次電池であって、
前記負極は、負極集電体に構成元素としてケイ素(Si)を含む負極活物質層が設けられており、
この負極活物質層は、前記負極集電体に対して成長された複数の1次粒子を有し、
前記1次粒子の少なくとも一部は、前記負極集電体に対して湾曲した形状を有する
ことを特徴とする二次電池。
【請求項4】
前記1次粒子の少なくとも一部は、厚み方向の断面において、同一方向に湾曲していることを特徴とする請求項3記載の二次電池。
【請求項5】
前記負極活物質層は、前記1次粒子が複数集合して形成された2次粒子を有することを特徴とする請求項3記載の二次電池。
【請求項6】
負極集電体に構成元素としてケイ素(Si)を含む負極活物質層を形成する二次電池用負極の製造方法であって、
負極集電体に対して負極活物質層の原料の入射角を変化させながら気相法により負極活物質層を成長させる
ことを特徴とする二次電池用負極の製造方法。
【請求項7】
負極集電体を回転支持体を介して移動させながら、負極活物質層の原料の入射角を変化させる
ことを特徴とする請求項6記載の二次電池用負極の製造方法。
【請求項8】
負極集電体を円筒状の回転支持体を介して曲線的に移動させることにより、負極活物質層の原料の入射角を変化させる
ことを特徴とする請求項7記載の二次電池用負極の製造方法。
【請求項1】
負極集電体に構成元素としてケイ素(Si)を含む負極活物質層が設けられた二次電池用負極であって、
前記負極活物質層は、前記負極集電体に対して成長された複数の1次粒子を有し、
前記1次粒子の少なくとも一部は、前記負極集電体に対して湾曲した形状を有する
ことを特徴とする二次電池用負極。
【請求項2】
前記1次粒子の少なくとも一部は、厚み方向の断面において、同一方向に湾曲していることを特徴とする請求項1記載の二次電池用負極。
【請求項3】
正極および負極と共に電解質を備えた二次電池であって、
前記負極は、負極集電体に構成元素としてケイ素(Si)を含む負極活物質層が設けられており、
この負極活物質層は、前記負極集電体に対して成長された複数の1次粒子を有し、
前記1次粒子の少なくとも一部は、前記負極集電体に対して湾曲した形状を有する
ことを特徴とする二次電池。
【請求項4】
前記1次粒子の少なくとも一部は、厚み方向の断面において、同一方向に湾曲していることを特徴とする請求項3記載の二次電池。
【請求項5】
前記負極活物質層は、前記1次粒子が複数集合して形成された2次粒子を有することを特徴とする請求項3記載の二次電池。
【請求項6】
負極集電体に構成元素としてケイ素(Si)を含む負極活物質層を形成する二次電池用負極の製造方法であって、
負極集電体に対して負極活物質層の原料の入射角を変化させながら気相法により負極活物質層を成長させる
ことを特徴とする二次電池用負極の製造方法。
【請求項7】
負極集電体を回転支持体を介して移動させながら、負極活物質層の原料の入射角を変化させる
ことを特徴とする請求項6記載の二次電池用負極の製造方法。
【請求項8】
負極集電体を円筒状の回転支持体を介して曲線的に移動させることにより、負極活物質層の原料の入射角を変化させる
ことを特徴とする請求項7記載の二次電池用負極の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−338996(P2006−338996A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161258(P2005−161258)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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