説明

二次電池

【課題】電流遮断素子をケース本体の側壁部の外面に配置すると共に、捲回電極体と電流遮断素子との温度差を小さくすることができ、その結果、電流遮断素子によって捲回電極体の過昇温を適切に抑制することができる二次電池を提供する。
【解決手段】二次電池100は、ケース本体181の側壁部の外面に配置された電流遮断素子140と、電流遮断素子140が配置されているケース本体181の側壁部である素子配置側壁部(第1側壁部181b)を挟んで、電流遮断素子140と対向する位置でケース本体181の内部に配置された熱伝導体171であって、素子配置側壁部(第1側壁部181b)の内面181gと捲回電極体110とを熱的に接続する熱伝導体171とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、正極および負極をセパレータを介して対向させて渦巻き状に捲回することにより形成した電極体の正極および負極間に非水電解液を浸透させた電池本体と、電池本体を収納する外装缶(ケース本体)と、外装缶の開口部を塞ぎ、缶内部を封止する缶フタ部(蓋体)とからなる非水電解液二次電池が開示されている。この非水電解液二次電池では、電池内部の温度を感知する金属製の温度感知部材を、缶内部より缶フタ部を貫通して缶外に導かれるように設置している。さらに、温度感知部材により導かれた缶内熱量により、はんだ等の熱溶融部材を溶融することによって、電池電流を遮断する安全装置を装着している。これにより、電池(電極体)の異常昇温時に電池電流を遮断して、非常事態を未然に防止できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−182675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、二次電池に流れる電流を遮断する機能を有するものとして、電流遮断素子が知られている。この電流遮断素子は、二次電池に電気的に直列に接続され、当該電流遮断素子の温度が一定の電流遮断温度に達すると当該電流遮断素子を流れる電流を遮断することにより、二次電池に流れる電流を遮断する。この電流遮断素子としては、例えば、温度型CID(Current Interrupt Device)や、温度ヒューズなどが知られている。
【0005】
ところで、二次電池の蓋体には、電解液をケース内に注入するための注液孔、外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)、安全弁などが配置されることが多い。従って、蓋体では、電流遮断素子を配置するスペースが大きく制限される。特に、大電流が流れる二次電池の場合には、大型の電流遮断素子を用いることになるため、二次電池の蓋体に電流遮断素子を配置することが困難になることがあった。
【0006】
このため、電流遮断素子を、ケース本体の側壁部の外面に配置することが検討されている。ところが、電流遮断素子を、ケース本体の側壁部の外面に配置した場合、捲回電極体と電流遮断素子との温度差が大きく(捲回電極体の温度に比べて、電流遮断素子の温度がかなり低く)なり、その結果、電流遮断素子によって、捲回電極体の過昇温(電池の安全を確保できる温度を上回ること)を適切に抑制することができない虞があった。具体的には、電流遮断素子の温度が一定の電流遮断温度に達し、電流遮断素子により電池電流が遮断されたときには、捲回電極体の温度が電流遮断温度よりも遙かに高い温度にまで上昇してしまい、捲回電極体の過昇温を適切に防止できない虞があった。
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、電流遮断素子をケース本体の側壁部の外面に配置すると共に、捲回電極体と電流遮断素子との温度差を小さくすることができ、その結果、電流遮断素子によって捲回電極体の過昇温を適切に抑制することができる二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、少なくとも正極及び負極を捲回した捲回電極体と、開口を有する角形箱状をなし、上記捲回電極体を収容するケース本体と、上記ケース本体の上記開口を閉塞する蓋体と、を備える二次電池において、上記ケース本体の側壁部の外面に配置された電流遮断素子であって、上記二次電池に電気的に直列に接続され、当該電流遮断素子の温度が一定の電流遮断温度に達すると当該電流遮断素子を流れる電流を遮断することにより、上記二次電池に流れる電流を遮断する電流遮断素子と、上記電流遮断素子が配置されている上記ケース本体の上記側壁部である素子配置側壁部を挟んで、上記電流遮断素子と対向する位置で上記ケース本体内部に配置された熱伝導体であって、上記素子配置側壁部の内面と上記捲回電極体とを熱的に接続する熱伝導体と、を備える二次電池である。
【0009】
上述の二次電池では、電流遮断素子を、ケース本体の側壁部の外面に配置している。このため、配置スペースの制約が大きい蓋体に電流遮断素子を配置する場合に比べて、電流遮断素子を所望の場所に適切に配置することができる。電流遮断素子を蓋体に配置することが困難な場合に、特に有効な構成となる。
【0010】
さらに、上述の二次電池は、電流遮断素子が配置されているケース本体の側壁部(素子配置側壁部という)を挟んで、電流遮断素子と対向する位置で、ケース本体内部に配置された熱伝導体を備えている。この熱伝導体は、素子配置側壁部の内面と捲回電極体とを熱的に接続している。このため、捲回電極体の熱は、熱伝導体を通じて、効率よく、素子配置側壁部に伝達される。従って、上述の二次電池では、捲回電極体の熱を、素子配置側壁部の外面(詳細には、素子配置側壁部を挟んで熱伝導体に対向する部位)に配置された電流遮断素子に、効率よく伝達することができる。これにより、捲回電極体と電流遮断素子との温度差を小さくすることができ、その結果、電流遮断素子によって、捲回電極体の過昇温を適切に抑制することができる。
【0011】
なお、二次電池の蓋体には、例えば、注液孔、外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)、安全弁などが配置される。このため、蓋体では、電流遮断素子を配置するスペースが大きく制限される。
また、電流遮断素子としては、例えば、温度型CID(Current Interrupt Device)、温度ヒューズなどが挙げられる。
【0012】
また、捲回電極体としては、正極、負極、及びセパレータを扁平形状に捲回した扁平型の捲回電極体や、正極、負極、及びセパレータを円筒状に捲回した円筒型の捲回電極体を例示できる。
【0013】
さらに、上記の二次電池であって、前記熱伝導体は、その一方端側が前記捲回電極体に接合され、その他方端側が前記素子配置側壁部の内面に接合されてなる二次電池とすると良い。
【0014】
熱伝導体の一方端側を捲回電極体に接合し、他方端側を素子配置側壁部の内面に接合することで、熱伝導体を通じた捲回電極体から素子配置側壁部への熱伝導が、効率よく迅速に行われるようになる。これにより、捲回電極体と電流遮断素子との温度差を小さくすることができ、その結果、電流遮断素子によって、捲回電極体の過昇温を適切に抑制することができる。
【0015】
さらに、上記いずれかの二次電池であって、前記熱伝導体は、その一方端側が前記捲回電極体の内部に挿入され、その他方端側が前記素子配置側壁部の内面に接合されてなる二次電池とすると良い。
【0016】
熱伝導体の一方端側を捲回電極体の内部に挿し、他方端側を素子配置側壁部の内面に接合することで、熱伝導体を通じた捲回電極体から素子配置側壁部への熱伝導が、効率よく迅速に行われるようになる。これにより、捲回電極体と電流遮断素子との温度差を小さくすることができ、その結果、電流遮断素子によって、捲回電極体の過昇温を適切に抑制することができる。
【0017】
さらに、上記いずれかの二次電池であって、前記熱伝導体は、前記正極または前記負極の電荷を集電する集電板である二次電池とすると良い。
【0018】
上述の二次電池では、熱伝導体が、正極または負極の電荷を集電する集電板(正極集電板または負極集電板)を兼ねている。換言すれば、正極集電板または負極集電板を、素子配置側壁部の内面と捲回電極体とを熱的に接続する熱伝導体としても用いている。これにより、熱伝導体(集電板)により、捲回電極体の熱を集約して素子配置側壁部に伝達することができるので、捲回電極体から素子配置側壁部への熱伝導を、より一層効率よく行うことができる。また、熱伝導体とは別に集電板を別途設ける場合に比べて、部品点数を削減できるので低コストとなる。
【0019】
なお、上述の二次電池では、ケース本体が、集電板を通じて、正極または負極と電気的に接続される。熱伝導体を正極集電板とした場合は、ケース本体が正極と電気的に接続される。この場合、電流経路は、正極外部端子、電流遮断素子、ケース本体(素子配置側壁部)、正極集電板、正極(捲回電極体)の順になる。
【0020】
さらに、上記いずれかの二次電池であって、前記捲回電極体は、前記正極のうち、上記捲回電極体の軸線方向一方端部の位置で捲回されてなる正極合材層未塗工部と、前記負極のうち、上記捲回電極体の軸線方向他方端部の位置で捲回されてなる負極合材層未塗工部と、を有し、上記正極合材層未塗工部または負極合材層未塗工部は、前記素子配置側壁部の内面と対向してなる二次電池とするのが好ましい。
【0021】
上述の二次電池では、正極合材層未塗工部または負極合材層未塗工部が、素子配置側壁部の内面と対向している。従って、素子配置側壁部の内面と対向する合材層未塗工部(正極合材層未塗工部または負極合材層未塗工部)に熱伝導体の一方端側を接合し、熱伝導体の他方端側を素子配置側壁部の内面に接合すれば、極めて短い熱伝導経路で、素子配置側壁部の内面と捲回電極体とを熱的に接続することができる。これにより、熱伝導体を通じた捲回電極体から素子配置側壁部への熱伝導を、効率よく迅速に行うことができる。
【0022】
なお、正極は、正極集電部材(例えば、金属箔)と、その表面に塗工された正極合材層とを有する。また、正極合材層未塗工部とは、正極活物質を含む正極合材層を有することなく、正極を構成する正極集電部材(例えば、金属箔)のみからなる部位をいう。一方、正極のうち正極合材層を有する部位(正極集電部材と正極合材層を有する部位)を、正極合材層塗工部という。
【0023】
また、負極は、負極集電部材(例えば、金属箔)と、その表面に塗工された負極合材層とを有する。負極合材層未塗工部とは、負極活物質を含む負極合材層を有することなく、負極を構成する負極集電部材(例えば、金属箔)のみからなる部位をいう。一方、負極のうち負極合材層を有する部位(負極集電部材と負極合材層を有する部位)を、負極合材層塗工部という。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1にかかる二次電池の斜視図である。
【図2】同二次電池の断面図である。
【図3】同二次電池の断面図であり、図2のB−Bの位置で同二次電池を切断した図に相当する。
【図4】同二次電池の捲回電極体の斜視図である。
【図5】同捲回電極体を構成する負極の斜視図である。
【図6】同捲回電極体を構成する正極の斜視図である。
【図7】実施例2,3にかかる二次電池の断面図である。
【図8】同二次電池の断面図であり、図7のD−Dの位置で同二次電池を切断した図に相当する。
【図9】変形例にかかる二次電池の断面図である。
【図10】同二次電池の断面図であり、図9のE−Eの位置で同二次電池を切断した図に相当する。
【図11】比較例にかかる二次電池の断面図である。
【図12】同二次電池の断面図であり、図11のC−Cの位置で同二次電池を切断した図に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について説明する。
本実施例1の二次電池100は、図1及び図2に示すように、捲回電極体110と、これを収容する電池ケース180とを備える、リチウムイオン二次電池である。捲回電極体110は、正極130、負極120、及びセパレータ150を捲回した電極体である。
【0026】
電池ケース180は、アルミニウムからなり、直方体形状をなしている。この電池ケース180は、ケース本体181と蓋体182を有する。このうち、ケース本体181は、開口181jを有する角形箱状をなし、捲回電極体110を収容している。このケース本体181は、4つの側壁部、具体的には、第1側壁部181b、第2側壁部181c、第3側壁部181d、第4側壁部181eを有している(図1〜図3参照)。
【0027】
また、蓋体182は、矩形板状であり、ケース本体181の開口181jを閉塞して、このケース本体181に溶接されている。この蓋体182には、安全弁185、注液孔186、及び、注液孔186を封止する注液蓋187が設けられている。
【0028】
捲回電極体110は、帯状の正極130と帯状の負極120が、帯状のセパレータ150を介して扁平形状に捲回されてなる扁平型の捲回電極体である(図4参照)。詳細には、長手方向DAに延びる帯状の正極130、負極120、及びセパレータ150を、長手方向DAに捲回して、捲回電極体110を形成している(図4〜図6参照)。
【0029】
正極130は、図6に示すように、長手方向DAに延びる帯状で、アルミニウム箔からなる正極集電部材138と、この正極集電部材138の両面に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に配置された2つの正極合材層131,131とを有している。正極合材層131は、正極活物質137と、アセチレンブラックからなる導電材と、PTFE(結着剤)と、CMC(増粘剤)とを、重量比100:5:4:1の割合で含んでいる。
【0030】
正極130のうち、正極合材層131が塗工されている部位を、正極合材層塗工部130bという。一方、正極合材層131を有することなく、正極集電部材138のみからなる部位を、正極合材層未塗工部130cという。正極合材層未塗工部130cは、正極130の一方長辺に沿って、正極130の長手方向DAに帯状に延びている。この正極合材層未塗工部130cは、捲回されて渦巻き状をなし、捲回電極体110の軸線方向(軸線AXに沿った方向)一方端部(図1及び図4において右端部)に位置している。
【0031】
なお、本実施例1では、正極活物質137として、LiNi1/3Co1/3Mn1/32を用いている。また、正極集電部材138(アルミニウム箔)は、厚さ15μm、長さ(長手方向DAの寸法)3000mm、幅(幅方向DBの寸法)66mmである。
【0032】
また、負極120は、図5に示すように、長手方向DAに延びる帯状で、銅箔からなる負極集電部材128と、この負極集電部材128の両面に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に配置された2つの負極合材層121,121とを有している。負極合材層121は、負極活物質127とSBR(結着剤)とCMC(増粘剤)とを、重量比100:1:1の割合で含んでいる。
【0033】
負極120のうち、負極合材層121が塗工されている部位を、負極合材層塗工部120bという。一方、負極合材層121を有することなく、負極集電部材128のみからなる部位を、負極合材層未塗工部120cという。負極合材層未塗工部120cは、負極120の一方長辺に沿って、負極120の長手方向DAに帯状に延びている。この負極合材層未塗工部120cは、捲回されて渦巻き状をなし、捲回電極体110の軸線方向他方端部(図1及び図4において左端部)に位置している。
【0034】
なお、本実施例1では、負極活物質127として、黒鉛を用いている。また、負極集電部材128(銅箔)は、厚さ10μm、長さ(長手方向DAの寸法)3300mm、幅(幅方向DBの寸法)69mmである。
【0035】
セパレータ150は、PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)/PP(ポリプロピレン)の3層からなる厚み24μmのセパレータである。このセパレータ150は、、正極130と負極120との間に介在して、これらを離間させている。セパレータ150には、リチウムイオンを有する非水電解液160を含浸させている。
【0036】
非水電解液160は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比で3:3:4に調整した混合有機溶媒に、溶質としてLiPF6を添加した非水電解液である。なお、非水電解液160中のLiPF6の濃度は、1mol/Lとしている。
【0037】
さらに、本実施例1の二次電池100では、ケース本体181の第1側壁部181bの外面181fに配置された電流遮断素子140を有している(図1〜図3参照)。電流遮断素子140は、二次電池100に電気的に直列に接続され、当該電流遮断素子140の温度が一定の電流遮断温度(本実施例1では、100℃)に達すると当該電流遮断素子140を流れる電流を遮断することにより、二次電池100に流れる電流を遮断する。これにより、通電(例えば、過充電)による捲回電極体110の過昇温を抑制する。
【0038】
この電流遮断素子140は、素子本体部141と、第1端子部142と、第2端子部143とを有している(図1〜図3参照)。素子本体部141は、電気絶縁性を有する熱伝導接着剤により、第1側壁部181bの外面181fに接合されている。第1端子部142は、第1側壁部181bの外面181fに溶接されている。第2端子部143は、接続部材172を通じて、正極外部端子175に電気的に接続されている。
【0039】
電流遮断素子140としては、温度型CID(Current Interrupt Device)、または、温度ヒューズを例示できる。電流遮断素子140は、自身の温度が一定の電流遮断温度(本実施例1では、100℃)に達すると、素子本体部141の内部に位置する導体が溶融することで断線し、これによって自身を流れる電流を遮断する。これにより、二次電池100に流れる電流を遮断する。
【0040】
また、本実施例1の二次電池100では、金属板(具体的には、アルミニウム板)からなるコ字形状の熱伝導体171が、電流遮断素子140が配置されているケース本体181の第1側壁部181b(素子配置側壁部)を挟んで、電流遮断素子140と対向する位置でケース本体181の内部に配置されている(図2、図3参照)。なお、熱伝導体171の板厚は1mmである。
【0041】
具体的には、熱伝導体171は、捲回電極体110の正極130(具体的には、正極合材層未塗工部130c)に溶接されている(図2、図3参照)。詳細には、熱伝導体171は、その一方端側(図2及び図3において左端側)に位置する第1接合部171bが、捲回電極体110の正極合材層未塗工部130cに接合されている。また、その他方端側(図2及び図3において右端側)に位置する第2接合部171cが、ケース本体181の第1側壁部181bの内面181gに接合されている。
【0042】
これにより、熱伝導体171を通じて、捲回電極体110とケース本体181の第1側壁部181bとが熱的に接続されている。なお、熱伝導体171は電気伝導性も有するため、ケース本体181が、熱伝導体171を通じて、正極130と電気的に接続されることにもなる。
【0043】
捲回電極体110とケース本体181の第1側壁部181bとが熱伝導体171を通じて熱的に接続されるため、捲回電極体110の熱は、熱伝導体171を通じて、効率よく、ケース本体181の第1側壁部181b(素子配置側壁部)に伝達される。従って、本実施例1の二次電池100では、捲回電極体110の熱を、第1側壁部181bの外面181f(詳細には、第1側壁部181bを挟んで熱伝導体171に対向する部位)に配置された電流遮断素子140に、効率よく伝達することができる。これにより、捲回電極体110と電流遮断素子140との温度差を小さくすることができ、その結果、電流遮断素子140によって、捲回電極体110の過昇温を適切に抑制することができる。
【0044】
特に、本実施例1では、上述のように、熱伝導体171の一方端側(図2及び図3において左端側)に位置する第1接合部171bが、捲回電極体110の正極合材層未塗工部130cに接合されている。熱伝導体171は電気伝導性も有するため、熱伝導体171によって、正極130の電荷を集電することができる。すなわち、本実施例1では、熱伝導体171が、正極集電板を兼ねている。
【0045】
これにより、熱伝導体171(正極集電板)により、捲回電極体110の熱を集約して第1側壁部181b(素子配置側壁部)に伝達することができるので、捲回電極体110から第1側壁部181bへの熱伝導を、より一層効率よく行うことができる。また、熱伝導体171とは別に正極集電板を別途設ける場合に比べて、部品点数を削減できるので低コストにもなる。
【0046】
また、実施例1の二次電池100では、正極合材層未塗工部130cが、第1側壁部181b(素子配置側壁部)の内面181gと対向している。従って、実施例1の二次電池100では、第1側壁部181b(素子配置側壁部)の内面181gに対向する正極合材層未塗工部130cに、熱伝導体171の一方端側に位置する第1接合部171bを接合し、他方端側に位置する第2接合部171cを、ケース本体181の第1側壁部181bの内面181gに接合している。これによって、極めて短い熱伝導経路で、第1側壁部181b(素子配置側壁部)の内面181gと捲回電極体110とが熱的に接続される。その結果、熱伝導体171を通じた捲回電極体110から第1側壁部181b(素子配置側壁部)への熱伝導を、効率よく迅速に行うことができる。
【0047】
なお、二次電池100の正極側の電流経路は、正極外部端子175、接続部材172、電流遮断素子140、ケース本体181(第1側壁部181b)、熱伝導体171、正極130の順になる。このようにして、電流遮断素子140は、二次電池100に電気的に直列に接続されている。
また、本実施例1では、ケース本体181の第1側壁部181bが、素子配置側壁部に相当する。
【0048】
また、捲回電極体110の負極120(具体的には、負極合材層未塗工部120c)には、金属からなる負極集電板191が溶接されている(図2参照)。負極集電板191は、接続部材196を通じて、負極外部端子195に電気的に接続されている。なお、負極集電板191は、蓋体182との間に電気絶縁性ゴム部材193を介在させることにより、蓋体182(電池ケース180)と電気的に絶縁している。また、負極外部端子195及び接続部材196は、蓋体182との間に電気絶縁性樹脂部材194を介在させることにより、蓋体182(電池ケース180)と電気的に絶縁している。
【0049】
次に、実施例1にかかる二次電池100の製造方法について説明する。
まず、正極130、負極120、及びセパレータ150を捲回した捲回電極体110を形成する。具体的には、まず、正極活物質137と、アセチレンブラック(導電材)と、PTFE(結着剤)と、CMC(増粘剤)とを、重量比100:5:4:1の割合で混合し、これに溶媒を混合して、正極スラリを作製した。次いで、この正極スラリを、正極集電部材138の表面(両面)に塗工し、乾燥させた後、プレス加工を施した。これにより、正極130を得た(図6参照)。
【0050】
また、負極活物質127(黒鉛)とSBR(結着剤)とCMC(増粘剤)とを、重量比100:1:1の割合で混合し、これに溶媒を混合して、負極スラリを作製した。次いで、この負極スラリを、銅箔からなる負極集電部材128の表面(両面)に塗工し、乾燥させた後、プレス加工を施した。これにより、負極120を得た(図5参照)。
その後、負極120と正極130との間にセパレータ150を介在させて、長手方向DAに捲回し、捲回電極体110を形成する(図4参照)。
【0051】
また、安全弁185及び注液孔186が設けられた蓋体182を用意する。そして、この蓋体182に、正極外部端子175及び接続部材176を固定する。具体的には、正極外部端子175のネジ部175bを接続部材176の一方の貫通孔に挿通させて、正極外部端子175及び接続部材176と蓋体182との間に電気絶縁性樹脂部材174を配置した状態で、カシメ部材177を、蓋体182の一方の貫通孔と接続部材176の他方の貫通孔に挿通させる。
【0052】
この状態で、カシメ部材177を加締めることにより、接続部材176が、電気絶縁性樹脂部材174を挟んで蓋体182に固定されると共に、正極外部端子175が、電気絶縁性樹脂部材174と接続部材176との間で挟まれて固定される(図2参照)。
なお、カシメ部材177と蓋体182との間には、電気絶縁性ゴム部材193を配置している。
【0053】
さらに、蓋体182に、負極集電板191、接続部材196、及び負極外部端子195を固定する。具体的には、負極外部端子195のネジ部195bを接続部材196の一方の貫通孔に挿通させて、負極外部端子195及び接続部材196と蓋体182との間に電気絶縁性樹脂部材194を配置した状態で、負極集電板191のカシメ部191bを、蓋体182の一方の貫通孔と接続部材196の他方の貫通孔に挿通させる。
【0054】
この状態で、負極集電板191のカシメ部191bを加締めることにより、接続部材196が、電気絶縁性樹脂部材194を挟んで蓋体182に固定されると共に、負極外部端子195が、電気絶縁性樹脂部材194と接続部材196との間で挟まれて固定される(図2参照)。
なお、負極集電板191と蓋体182との間には、電気絶縁性ゴム部材193を配置している。
【0055】
次いで、正極130(正極合材層未塗工部130c)に、熱伝導体171を溶接する。さらに、負極120(負極合材層未塗工部120c)に、負極集電板191を溶接する。これにより、蓋体182と捲回電極体110とが負極集電板191を通じて一体となる。なお、溶接方法としては、例えば、抵抗溶接や超音波溶接を用いることができる。
【0056】
その後、負極集電板191及び熱伝導体171を溶接した捲回電極体110を、ケース本体181内に挿入すると共に、蓋体182によってケース本体181の開口181jを閉塞する。次いで、蓋体182とケース本体181とを全周溶接する。このとき、熱伝導体171の他方端側(図2及び図3において右端側)に位置する第2接合部171cが、ケース本体181の第1側壁部181bの内面181gに接触した状態となる。
【0057】
次に、熱伝導体171の第2接合部171cをケース本体181の第1側壁部181bに溶接する。具体的には、第1側壁部181bの外面181f(熱伝導体171の第2接合部171cと対向する部位)にエネルギービーム(例えば、レーザービーム)を照射して、熱伝導体171の第2接合部171cとケース本体181の第1側壁部181bとを溶接する。
【0058】
次に、電流遮断素子140を、第1側壁部181bの外面181fに配置する。具体的には、まず、電流遮断素子140の素子本体部141を、電気絶縁性を有する熱伝導接着剤により、第1側壁部181bの外面181fに接合する。なお、電流遮断素子140の素子本体部141は、第1側壁部181b(素子配置側壁部)を挟んで、熱伝導体171の第2接合部171cと対向する位置に接合する。
【0059】
その後、電流遮断素子140の第1端子部142を、第1側壁部181bの外面181fに溶接する。さらに、電流遮断素子140の第2端子部143に、接続部材172の一方端部を溶接する。なお、接続部材172の他方端部は、正極外部端子175に接続しておく。
【0060】
その後、注液孔186を通じて、非水電解液160をケース本体181内に注入する。次いで、注入した非水電解液160を、捲回電極体110の内部に含浸させる。その後、注液孔186を注液蓋187で封止して、本実施例1の二次電池100が完成する。
【0061】
(実施例2)
実施例2の二次電池200は、実施例1の二次電池100と比較して、熱伝導体(正極集電板)の形状が異なり、その他については同様である。
【0062】
具体的には、本実施例2では、熱伝導体として、金属板(具体的には、アルミニウム板)からなるL字形状の熱伝導体271を用いている。この熱伝導体271は、電流遮断素子140が配置されているケース本体181の第1側壁部181b(素子配置側壁部)を挟んで、電流遮断素子140と対向する位置でケース本体181の内部に配置されている(図7及び図8参照)。なお、熱伝導体271の板厚は1mmである。
【0063】
詳細には、熱伝導体271は、その一方端側(図7及び図8において左端側)に位置する挿入部271bが、捲回電極体110の内部に挿入されている。さらに、挿入部271bのうち、捲回電極体110の正極合材層未塗工部130cに囲まれた第1接合部271dが、正極合材層未塗工部130cに接合されている。また、熱伝導体271の他方端側(図7及び図8において右端側)に位置する第2接合部271cが、ケース本体181の第1側壁部181bの内面181gに接合されている。これにより、熱伝導体271を通じて、捲回電極体110とケース本体181の第1側壁部181bとが熱的に接続されている。
【0064】
このため、捲回電極体110の熱は、熱伝導体271を通じて、効率よく、ケース本体181の第1側壁部181b(素子配置側壁部)に伝達される。従って、本実施例2の二次電池200では、捲回電極体110の熱を、第1側壁部181bの外面181f(詳細には、第1側壁部181bを挟んで熱伝導体271に対向する部位)に配置された電流遮断素子140に、効率よく伝達することができる。これにより、捲回電極体110と電流遮断素子140との温度差を小さくすることができ、その結果、電流遮断素子140によって、捲回電極体110の過昇温を適切に抑制することができる。
【0065】
また、熱伝導体271の挿入部271bのうち、捲回電極体110の正極合材層未塗工部130cに囲まれた第1接合部271dが、正極合材層未塗工部130cに接合(溶接)されている。熱伝導体271は電気伝導性も有しているため、熱伝導体271によって、正極130の電荷を集電することができる。すなわち、本実施例2では、熱伝導体271が、正極集電板を兼ねている。
【0066】
これにより、熱伝導体271(正極集電板)により、捲回電極体110の熱を集約して第1側壁部181b(素子配置側壁部)に伝達することができるので、捲回電極体110から第1側壁部181bへの熱伝導を、より一層効率よく行うことができる。また、熱伝導体271とは別に正極集電板を別途設ける場合に比べて、部品点数を削減できるので低コストとなる。
【0067】
また、熱伝導体271(正極集電板)の第2接合部271cが、ケース本体181の第1側壁部181bの内面181gに接合(溶接)されているため、ケース本体181が、熱伝導体271を通じて、正極130と電気的に接続される。従って、二次電池200の正極側の電流経路は、正極外部端子175、接続部材172、電流遮断素子140、ケース本体181(第1側壁部181b)、熱伝導体271(正極集電板)、正極130の順になる。このようにして、電流遮断素子140は、二次電池200に電気的に直列に接続されている。
【0068】
(実施例3)
実施例3の二次電池300は、実施例2の二次電池200と比較して、熱伝導体(正極集電板)の板厚が異なり、その他については同様である。具体的には、熱伝導体271の板厚を0.5mmとしている。
【0069】
(変形例)
変形例の二次電池400は、実施例2の二次電池200と比較して、正極集電板及び正極の電流経路が異なり、その他についてはほぼ同様である。
【0070】
具体的には、本変形例では、熱伝導体271とは別に、正極集電板471を別途設けている。具体的には、捲回電極体110の正極130(具体的には、正極合材層未塗工部130c)には、金属からなる正極集電板471が溶接されている(図9及び図10参照)。正極集電板471は、接続部材176を通じて、正極外部端子175に電気的に接続されている。
【0071】
なお、正極集電板471は、蓋体182との間に電気絶縁性ゴム部材173を介在させることにより、蓋体182(電池ケース180)と電気的に絶縁している。また、正極外部端子175及び接続部材176は、蓋体182との間に電気絶縁性樹脂部材174を介在させることにより、蓋体182(電池ケース180)と電気的に絶縁している。また、正極外部端子175と接続部材176との間に、電気絶縁性樹脂からなる樹脂ワッシャー487,489及び樹脂スペーサー488を介在させることにより、正極外部端子175と接続部材176とを電気的に絶縁している。
【0072】
また、本変形例では、電流遮断素子140の第1端子部142は、第1側壁部181bの外面181fに溶接されていない。具体的には、電流遮断素子140の第1端子部142は、実施例2と異なり、接続部材478を通じて、正極集電板471に電気的に接続されている。詳細には、接続部材478の一端部が電流遮断素子140の第1端子部142に溶接され(図9及び図10参照)、接続部材478の他端部が正極集電板471のカシメ部471bにおいて正極集電板471に接続されている(図9参照)。これにより、電流遮断素子140の第1端子部142が、接続部材478を通じて、正極集電板471に電気的に接続されている。
【0073】
なお、正極集電板471のカシメ部471bを、蓋体182の貫通孔と接続部材176の貫通孔と接続部材478の貫通孔に挿通させた状態で、カシメ部471bを加締めることにより、正極集電板471と接続部材176と接続部材478とが、蓋体182に固定される。但し、正極集電板471と蓋体182との間は、電気絶縁性ゴム部材173により電気的に絶縁している。また、接続部材176と蓋体182との間は、電気絶縁性樹脂部材174により電気的に絶縁している。
【0074】
また、熱伝導体271の挿入部271bは、電気絶縁性の樹脂シート479により、捲回電極体110の正極合材層未塗工部130cと電気的に絶縁されている(図10参照)。なお、熱伝導体271の挿入部271bと正極合材層塗工部130bとは、セパレータ150により電気的に絶縁されている。
【0075】
本変形例でも、実施例2と同様に、熱伝導体271の一方端側(図9及び図10において左端側)に位置する挿入部271bが捲回電極体110の内部に挿入され、他方端側(図9及び図10において右端側)に位置する第2接合部271cがケース本体181の第1側壁部181bの内面181gに接合されている。これにより、熱伝導体271を通じて、捲回電極体110とケース本体181の第1側壁部181bとが熱的に接続される。
【0076】
このため、捲回電極体110の熱は、熱伝導体271を通じて、効率よく、ケース本体181の第1側壁部181b(素子配置側壁部)に伝達される。従って、本変形例の二次電池400では、捲回電極体110の熱を、第1側壁部181bの外面181f(詳細には、第1側壁部181bを挟んで熱伝導体271に対向する部位)に配置された電流遮断素子140に、効率よく伝達することができる。これにより、捲回電極体110と電流遮断素子140との温度差を小さくすることができ、その結果、電流遮断素子140によって、捲回電極体110の過昇温を適切に抑制することができる。
【0077】
なお、本変形例にかかる二次電池400の正極側の電流経路は、正極外部端子175、接続部材172、電流遮断素子140、接続部材478、正極集電板471、正極130の順になる。このようにして、電流遮断素子140は、二次電池400に電気的に直列に接続されている。
また、本変形例でも、ケース本体181の第1側壁部181bが、素子配置側壁部に相当する。
【0078】
(比較例)
比較例の二次電池500は、変形例の二次電池400と比較して、熱伝導体271を有していない点が異なり、その他については同様である(図11及び図12参照)。従って、本比較例の二次電池500では、捲回電極体110とケース本体181の第1側壁部181bとを熱的に接続する熱伝導体が存在しない。
【0079】
(電流遮断試験)
次に、実施例1〜3及び比較例の二次電池について、電流遮断試験を行った。具体的には、各二次電池をSOC0%の状態とし、45℃の温度環境下で、2C(10A)の定電流で充電を行った。各二次電池の充電は、電流遮断素子140により充電電流が遮断されるまで継続して行われた。なお、各二次電池の定格容量は5Ahであるので、1C=5Aとなる。
【0080】
本試験では、電流遮断素子140により充電電流が遮断されたときの、捲回電極体110の温度(中央部の温度)及び第1側壁部181bの外面181fの温度を測定した。この温度測定のため、各二次電池では、予め、捲回電極体110の内部(中央部)、及び、第1側壁部181bの外面181f(熱伝導体171と対向する位置)に、熱電対を配置している。本試験の結果を表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
実施例1〜3及び比較例の二次電池では、電流遮断素子140により充電電流が遮断されたときの第1側壁部181bの外面181f(電流遮断素子140の近傍)の温度は、いずれも100℃であった。この結果より、いずれの二次電池でも、電流遮断素子140の温度が電流遮断温度(100℃)に達したときに、適切に、電流遮断素子140を流れる電流を遮断することにより、二次電池100に流れる電流を遮断したといえる。
【0083】
ところが、比較例の二次電池では、電流遮断素子140により充電電流が遮断されたときの捲回電極体110の温度が141℃となり、電流遮断素子140の電流遮断温度(100℃)に対し41℃も上回った。さらには、電流遮断素子140により充電電流が遮断された後に、安全弁185が作動(開弁)し、電池内部から非水電解液160が噴出してしまった。この現象は、捲回電極体110の過昇温により、非水電解液160の気化が促進され、電池の内圧が安全弁185の作動圧(開弁圧)を上回ったために起こったと考えられる。
【0084】
以上より、比較例の二次電池では、電流遮断素子140の温度が電流遮断温度(100℃)に達し、電流遮断素子140により充電電流が遮断されたときには、捲回電極体110の温度が電流遮断温度よりも遙かに高い温度(141℃)にまで上昇してしまい、捲回電極体110の過昇温を防止することができなかったといえる。
【0085】
これに対し、実施例1の二次電池では、電流遮断素子140により充電電流が遮断されたときの捲回電極体110の温度が118℃となり、電流遮断素子140の電流遮断温度(100℃)に対し18℃だけ上回った。また、実施例1の二次電池では、安全弁185が作動(開弁)することはなかった。この結果より、実施例1の二次電池では、電流遮断素子140により、捲回電極体110の過昇温を適切に防止することができたといえる。
【0086】
実施例2の二次電池では、電流遮断素子140により充電電流が遮断されたときの捲回電極体110の温度が108℃となり、電流遮断素子140の電流遮断温度(100℃)に対し8℃だけ上回った。実施例2の二次電池でも、安全弁185が作動(開弁)することはなかった。この結果より、実施例2の二次電池でも、電流遮断素子140により、捲回電極体110の過昇温を適切に防止することができたといえる。
【0087】
実施例3の二次電池では、電流遮断素子140により充電電流が遮断されたときの捲回電極体110の温度が112℃となり、電流遮断素子140の電流遮断温度(100℃)に対し12℃だけ上回った。実施例3の二次電池でも、安全弁185が作動(開弁)することはなかった。この結果より、実施例3の二次電池でも、電流遮断素子140により、捲回電極体110の過昇温を適切に防止することができたといえる。
【0088】
実施例1〜3において、電流遮断素子140により捲回電極体110の過昇温を適切に防止することができた理由は、実施例1〜3では、比較例と異なり、捲回電極体110とケース本体181の第1側壁部181b(素子配置側壁部)とを熱的に接続する熱伝導体を有しているからであるといえる。
【0089】
これにより、実施例1〜3の二次電池では、捲回電極体110の熱を、熱伝導体171,271を通じて、効率よく、ケース本体181の第1側壁部181b(素子配置側壁部)に伝達し、第1側壁部181bの外面181fに配置された電流遮断素子140に、効率よく伝達することができたといえる。このため、実施例1〜3の二次電池では、捲回電極体110と電流遮断素子140との温度差を小さく(具体的には、18℃以内)することができ、その結果、電流遮断素子140によって捲回電極体110の過昇温を適切に抑制することができたといえる。
【0090】
以上において、本発明を実施例1〜3及び変形例に即して説明したが、本発明は上記実施例等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0091】
100,200,300,400 二次電池
110 捲回電極体
120 負極
120c 負極合材層未塗工部
121 負極合材層
127 負極活物質
130 正極
130c 正極合材層未塗工部
131 正極合材層
137 正極活物質
140 電流遮断素子
150 セパレータ
171,271 熱伝導体
175 正極外部端子
180 電池ケース
181 ケース本体
181b 第1側壁部(素子配置側壁部)
182 蓋体
185 安全弁
186 注液孔
187 注液蓋
195 負極外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも正極及び負極を捲回した捲回電極体と、
開口を有する角形箱状をなし、上記捲回電極体を収容するケース本体と、
上記ケース本体の上記開口を閉塞する蓋体と、を備える
二次電池において、
上記ケース本体の側壁部の外面に配置された電流遮断素子であって、上記二次電池に電気的に直列に接続され、当該電流遮断素子の温度が一定の電流遮断温度に達すると当該電流遮断素子を流れる電流を遮断することにより、上記二次電池に流れる電流を遮断する電流遮断素子と、
上記電流遮断素子が配置されている上記ケース本体の上記側壁部である素子配置側壁部を挟んで、上記電流遮断素子と対向する位置で上記ケース本体内部に配置された熱伝導体であって、上記素子配置側壁部の内面と上記捲回電極体とを熱的に接続する熱伝導体と、を備える
二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池であって、
前記熱伝導体は、その一方端側が前記捲回電極体に接合され、その他方端側が前記素子配置側壁部の内面に接合されてなる
二次電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二次電池であって、
前記熱伝導体は、その一方端側が前記捲回電極体の内部に挿入され、その他方端側が前記素子配置側壁部の内面に接合されてなる
二次電池。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の二次電池であって、
前記熱伝導体は、前記正極または前記負極の電荷を集電する集電板である
二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−58368(P2013−58368A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195633(P2011−195633)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】