説明

二液吐出器

【課題】一対の第1吐出容器A及び第2吐出容器Aと、ノズル43を有する吐出ヘッドB3の押し下げにより各吐出容器内の二液をノズル43を介して吐出する吐出具Bとからなる二液吐出器であって、スクリュー44の存在で各吐出容器内からの液の混合をより確実に行うことができ、二色で絡み合う紐状として注出させることができ、しかも、使用中にスクリューが外れる等の不都合を確実に防止でき、製造も容易である二液吐出器を提案する。
【解決手段】半管状の下部ノズル53を備えた下部材B3aと半管状の上部ノズル62を備えた上部材B3bとを第1連結ヒンジ45で連設し、下部ノズル53又は上部ノズル62に第2連結ヒンジ46を介してスクリュー44を連設した部材を、ノズル43内にスクリュー44を収納した状態で折り畳み固着した吐出ヘッドB3を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二液吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
二液吐出器として、上方付勢状態で押し下げ可能なステムを上面より突出し、ステムの押し下げにより収納液がステムより液状或いは泡状或いは霧状に吐出する如く構成した一対の第1吐出容器及び第2吐出容器と、各吐出容器を跨いで嵌着固定するとともに、各吐出容器内の二液を吐出する吐出具とを備え、吐出具は、第1吐出容器内及び第2吐出容器内と連通し且つノズルを有する吐出ヘッドを備え、吐出ヘッドの押し下げにより各吐出容器内の液がノズルを介して吐出されるものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
また、上記した二液吐出器はノズル内にスクリューを嵌着しており、各吐出容器内の液の混合をより確実に行うことができ、また、例えば噴出液状体を粘性の高い且つ異色のクリーム状物とすれば、二色で絡み合う紐状として注出させることがてきるという特徴を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−090990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はノズル内にスクリューを備えることで上記した特有の効果を発揮でき、しかも、使用中にスクリューが外れる等の不都合を確実に防止でき、製造も容易である二液吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、上方付勢状態で押し下げ可能なステム11を上面より突出し、ステム11の押し下げにより収納液がステム11より吐出する如く構成した一対の第1吐出容器A1及び第2吐出容器A2と、前記各吐出容器を跨いで嵌着固定するとともに、前記各吐出容器内の二液を吐出する吐出具Bとを備え、吐出具Bは、第1吐出容器A1及び第2吐出容器A2内と連通し、且つ、ノズル43を有する吐出ヘッドB3を備え、吐出ヘッドB3の押し下げにより各吐出容器内の二液をノズル43を介して吐出する二液吐出器であって、半管状の下部ノズル53を備えた下部材B3aと半管状の上部ノズル62を備えた上部材B3bとを第1連結ヒンジ45で連設し、下部ノズル53又は上部ノズル62に第2連結ヒンジ46を介してスクリュー44を連設した部材を、ノズル43内にスクリュー44を収納した状態で折り畳み固着した吐出ヘッドB3を備えている。
【0007】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、スクリュー44の先端に突設した連結板47の先端両側を、下部ノズル53の先端両側に一対の第2連結ヒンジ46を介して連結してスクリュー44を一体に形成した。
【0008】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、下部材B3aは、一対のステム嵌合筒40を垂設したケーシング底壁50の周縁部より垂壁51を垂設するとともに、垂壁51の前面より下部ノズル53を突設し、上部材B3bは、底壁50上に立設した嵌合壁52に嵌合させる有頂のケーシング周壁60前面より上部ノズル62を突設し、周壁60後部下端を底壁50の後部上端とを第1連結ヒンジ45で一体に連結し、周壁60前部下端部に透孔64を、底壁前部下端部に凹溝55を設けてケーシング42内とノズル43内とを連通させた。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スクリュー44が吐出ヘッドB3と一体に形成されているため、液圧で外れる等の不都合がない。また、組み立て時のスクリュー44の付け忘れを確実に防止することができる。
【0010】
また、吐出ヘッドB3は、スクリュー44を折り返した後上部材B3bを下部材B3aに折り返し嵌合し、適宜固着すれば良いため、その製造が簡単であり、安価に製造できる利点も兼ね備えている。
【0011】
スクリュー44の先端に突設した連結板47の先端両側を、下部ノズル53の先端両側に一対の第2連結ヒンジ46を介して連結してスクリュー44を一体に形成した場合には、二箇所のヒンジのため適正位置へのスクリュー44の折り返しが行い易く、また、下部ノズル53の先端にスクリュー44を連設しているため、基本となる下部ノズル53の適正位置への折り返しが行いやすくこの点からもノズル43内のスクリュー44の安定した位置を保証できる。
【0012】
下部材B3aは、一対のステム嵌合筒40を垂設したケーシング底壁50の周縁部より垂壁51を垂設するとともに、垂壁51の前面より下部ノズル53を突設し、上部材B3bは、底壁50上に立設した嵌合壁52に嵌合させる有頂のケーシング周壁60前面より上部ノズル62を突設し、周壁60後部下端を底壁50の後部上端とを第1連結ヒンジ45で一体に連結し、周壁60前部下端部に透孔64を、底壁前部下端部に凹溝55を設けてケーシング42内とノズル43内とを連通させた場合には、吐出ヘッドB3全体の構造が簡易であり、また、各吐出容器からの液をノズル43の中央に案内でき、スクリュー44の中心部位に両液を案内できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】二液吐出器の縦断面図である。(実施例1)
【図2】二液吐出器の半断面図である。(実施例1)
【図3】吐出ヘッドの一部切欠平面図である。(実施例1)
【図4】吐出ヘッドの正面図である。(実施例1)
【図5】ノズルの要部拡大斜視図である。(実施例1)
【図6】吐出ヘッドの組み立て前の縦断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1乃至図6は二液吐出器1の一例を示し、二液吐出器1は、一対の吐出容器Aと、吐出具Bとを備えている。吐出容器Aは、胴部10上面より上方付勢状態で押込み可能にステム11を突出した形態のもので、本例では一対の第1吐出容器A1及び第2吐出容器A2として、それぞれエアゾール容器を採用している。
【0016】
各第1吐出容器A1及び第2吐出容器A2は、第1胴部10a及び第2胴部10bの上面より上方付勢状態で押し込み可能に第1ステム11a及び第2ステム11bをそれぞれ突出している。各吐出用容器1は、ステム11を押し下げることで内蔵吐出弁が開弁し、収納ガス圧により液がステム11を介して吐出し、また、ステム11の押し下げを解除すると、ステム11が上方付勢により上昇し、内蔵吐出弁が閉じて液の吐出が停止する公知機構のものが使用される。但し、吐出容器としては、この様なエアゾール容器に限らず、例えば、シリンダとピストンとを備えたポンプ機構を内蔵したものであってもよく、ステムの押し下げにより液が吐出し、押し下げを解除すると上方付勢力によりステムが上昇して液の吐出が停止するという要件を備えたものが使用できる。
【0017】
また、各吐出容器から吐出されるものは、必要に応じて液、泡等適宜選択される。
【0018】
吐出具Bは、容器固定枠B1と、容器固定筒B2と、吐出ヘッドB3と、押圧操作部B4とを備えている。
【0019】
容器固定枠B1は、並設した第1吐出容器A1及び第2吐出容器A2の上端外周に嵌合させて両者を固定する役割を果たす。
【0020】
容器固定筒B2は、容器固定枠B1を介して並設した第1吐出容器A1及び第2吐出容器A2の外周に下部を嵌合させる外周壁30を備え、外周壁30の上端より内方へ延設したフランジ状頂壁31を介して内周壁32を垂設しており、並設した一対の第1吐出容器A1及び第2吐出容器A2にかけ渡し嵌合させて緊縛している。また、前部及び後部にそれぞれ、内周壁32、外周壁30及びフランジ状頂壁31を下方へ凹ませて形成した形態の、上面及び前後面を開口した前部凹部33及び後部凹部34を凹設している。
【0021】
吐出ヘッドB3は、下部材B3a及び上部材B3bで構成し、スクリュー44を一体に形成しており、組み立てた後所要個所を固着して形成する如く構成している。組み立て後の形態は、図1或いは図2に示す如く、各ステム11に嵌合する一対の第1ステム嵌合筒40a及び第2ステム嵌合筒40bを、各上端をケーシング42内と連通した状態でケーシング42の下面から垂設し、ケーシング42の前面からは基端をケーシング42と連通したノズル43を突設し、ノズル43内にスクリュー44を収納している。
【0022】
下部材B3a及び上部材B3bの形態としては、水平に二分割したノズル43及びケーシング42の下方を下部材B3aとし、上方を上部材B3bとしている。また、図6に示す如く、下部材B3aの後端部と上部材B3bの後端部を第1連結ヒンジ45を介して連結し、下部材B3aの後方に上部材B3bを開いた状態で形成している。更に、下部材B3aの先端部に第2連結ヒンジ46を介してスクリュー44の先端部を回動可能に連結し、下部材B3aの前方にスクリュー44を延設した状態で形成し、スクリュー44と下部材B3aと、上部材B3bとを直線状に一体に形成している。
【0023】
下部材B3aは、ケーシング42の底壁50の周縁部より下方へ垂壁51を垂設し、底壁50の上面には上部材B3bを嵌合させるための嵌合壁52を起立している。また、底壁50の所定位置にそれぞれ上端を開口した一対のステム嵌合筒40を垂設している。ステム嵌合筒40は第1ステム11aに嵌合する第1ステム嵌合筒40a及び第2ステム11bに嵌合する第2ステム嵌合筒40bとで構成している。垂壁51の前部にはノズル43の下半部を構成する半管状の下部ノズル53を突設し、下部ノズル53上端縁よりそれぞれ外方へフランジ54を突設している。底壁50の前端部にはケーシング42内からノズル43内へ連通させるための連通孔を構成する凹溝55を凹設している。
【0024】
上部材B3bは、ケーシング42の周壁60上端より頂壁61を延設し、周壁60前部にはノズル43の上半部を構成する半管状の上部ノズル62を突設している。上部ノズル62の下端縁よりそれぞれ外方へフランジ63を突設している。そして、周壁60の後部下端部と、下部材B3aの底壁50の後部上端部とを上記第1連結ヒンジ45で連結している。また、周壁60の前部にはケーシング42内からノズル43内へ連通する透孔64を凹設している。尚、65はケーシング42内を左右に区画する区画壁65である。
【0025】
スクリュー44は、先端に突設した連結板47の先端両側を、下部ノズル53の先端上部両側にそれぞれ第2連結ヒンジ46を介して連結し、下部材B3aの前方に水平に突設して形成される。第2連結ヒンジ46は、図5に示す如く、下部ノズル53の先端部の上端部両側位置と連結板47の先端部両側とを連結して一対設けている。
【0026】
そして、図6の状態から各第2連結ヒンジ46部分から下部ノズル53内にスクリュー44を折り返し、次いで、上部材B3bを第1連結ヒンジ45部分から前方へ折り返して周壁60を嵌合壁52外周に嵌合させ、必要個所を固着して吐出ヘッドB3を形成する。固着個所としては、例えば上部ノズル62のフランジ63と下部ノズル53のフランジ54、周壁60下面と対応する底壁50上面等が挙げられるがこれに限らない。上部材B3b及び下部材B3aの固着方法としては、接着、溶着等種々選択できるが、超音波接合により固着方法が好ましく採用できる。
【0027】
押圧操作部B4は、装着枠部80と、押圧板81とを備えている。装着枠部80は、容器固定筒B2の内周壁32内面に嵌合させている。押圧板81は、装着枠部80の後縁にヒンジ82を介して前縁部を連結している。押圧板81は、後部上面を押圧部として構成しており、下面に突設した押圧突起83をケーシング42上面に当接しており、ヒンジ82を中心に押圧部を押し下げ回動させると、吐出ヘッドB3が押し下げられる。
【0028】
上記の如く構成した二液吐出器1を使用する場合には、押圧板81を押圧することで、押圧板81がヒンジ82を中心に回動して吐出ヘッドB3を押し下げ、各第1吐出容器A1及び第2吐出容器A2の第1ステム11a及び第2ステム11bがそれぞれ押し下げられる。それにより第1吐出容器A1内より第1ステム11aを介して吐出された液が区画壁65に区画されたケーシング42内の一方の区画領域から凹溝55及び透孔64を介してノズル43内に吐出され、一方、第2吐出容器A2内より第2ステム11bを介して吐出された液が区画壁65に区画されたケーシング42内の他方の区画領域から凹溝55及び透孔64を介してノズル43内に吐出される。ノズル43内に吐出された各液はスクリュー44により確実に混合されてノズル43先端より吐出される。
【0029】
尚、上記例では、スクリュー44を下部ノズル53のの先端に第2連結ヒンジ46を介して一体に形成しているが、図示しないが、スクリュー44を上部ノズル62の先端に、図1の例と同様に第2連結ヒンジを介して折り返し可能に連結しても良い。また、下部ノズル53又は上部ノズル62の側縁部にスクリュー44の側縁部をヒンジを介して折り返し可能に連結しても良い。
【符号の説明】
【0030】
1…二液吐出器
A…吐出容器
10…胴部、11…ステム
A1…第1吐出容器
10a…第1胴部、11a…第1ステム
A2…第2吐出容器
10b…第2胴部、11b…第2ステム
B…吐出具
B1…容器固定枠
B2…容器固定筒
30…外周壁、31…頂壁、32…内周壁、33…前部凹部、34…後部凹部
B3…吐出ヘッド
40…ステム嵌合筒、40a…第1ステム嵌合筒、40b…第2ステム嵌合筒、
42…ケーシング、43…ノズル、44…スクリュー、45…第1連結ヒンジ、
46…第2連結ヒンジ、47…連結板
B3a…下部材
50…底壁、51…垂壁、52…嵌合壁、53…下部ノズル、54…フランジ、55…凹溝
B3b…上部材
60…周壁、61…頂壁、62…上部ノズル、63…フランジ、64…透孔、65…区画壁
B4…押圧操作部
80…装着枠部、81…押圧板、82…ヒンジ、83…押圧突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で押し下げ可能なステム(11)を上面より突出し、ステム(11)の押し下げにより収納液がステム(11)より吐出する如く構成した一対の第1吐出容器(A1)及び第2吐出容器(A2)と、前記各吐出容器を跨いで嵌着固定するとともに、前記各吐出容器内の二液を吐出する吐出具(B)とを備え、吐出具(B)は、第1吐出容器(A1)及び第2吐出容器(A2)内と連通し、且つ、ノズル(43)を有する吐出ヘッド(B3)を備え、吐出ヘッド(B3)の押し下げにより各吐出容器内の二液をノズル(43)を介して吐出する二液吐出器であって、半管状の下部ノズル(53)を備えた下部材(B3a)と半管状の上部ノズル(62)を備えた上部材(B3b)とを第1連結ヒンジ(45)で連設し、下部ノズル(53)又は上部ノズル(62)に第2連結ヒンジ(46)を介してスクリュー(44)を連設した部材を、ノズル(43)内にスクリュー(44)を収納した状態で折り畳み固着した吐出ヘッド(B3)を備えていることを特徴とする二液吐出器。
【請求項2】
スクリュー(44)の先端に突設した連結板(47)の先端両側を、下部ノズル(53)の先端両側に一対の第2連結ヒンジ(46)を介して連結してスクリュー(44)を一体に形成した請求項1記載の二液吐出器。
【請求項3】
下部材(B3a)は、一対のステム嵌合筒(40)を垂設したケーシング底壁(50)の周縁部より垂壁(51)を垂設するとともに、垂壁(51)の前面より下部ノズル(53)を突設し、上部材(B3b)は、底壁(50)上に立設した嵌合壁(52)に嵌合させる有頂のケーシング周壁(60)前面より上部ノズル(62)を突設し、周壁(60)後部下端を底壁(50)の後部上端とを第1連結ヒンジ(45)で一体に連結し、周壁(60)前部下端部に透孔(64)を、底壁前部下端部に凹溝(55)を設けてケーシング(42)内とノズル(43)内とを連通させた請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の二液吐出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−111537(P2012−111537A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263627(P2010−263627)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】