説明

二液吐出容器

【課題】上面より上方付勢状態で押込み可能にステム10を突出し、ステムの押し下げによりステムから収納液を噴出する如く構成した一対の容器体Aと、各ステムに各々嵌合筒40を嵌着させて装着し、各嵌合筒内と流路を介して連通するノズル43を有する噴出ヘッドDと、噴出ヘッドを押し下げる押圧板61とを備えた二液吐出容器であって、二つの容器体Aの液を極力均等に噴出することができ、従来の不均一化の要因となる状況が存在しても均等な液の噴出が可能である二液吐出容器を提案する。
【解決手段】噴出ヘッドを係止して下方への押し下げを防止する係止手段と、押圧板による押圧時に噴出ヘッドを下方へ付勢する付勢手段と、噴出ヘッドの下方付勢後に係止手段を解除する係止解除手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二液吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、上面より上方付勢状態で押し込み可能にステムを突設し、該ステムに噴出ヘッドを嵌着したエアゾール容器が知られている。不使用時には別々に保管し、使用時に混合して使用する二液を、この種の形態の容器に収納した場合、一旦別の容器に吐出後混合して使用するという使用上の不便がある。また、別の容器の洗浄の面倒も伴う。この様な不都合を解消すべく、二液用エアゾール容器が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記特許文献1の二液用エアゾール容器は、上面より上方付勢状態で押し込み可能にステムを突出した一対のエアゾール容器体を備え、並列した各エアゾール容器体の上部外周に固定筒を掛け渡して嵌着固定し、固定筒外周に筒状ケースの下部を嵌着固定している。筒状ケースは、周壁前後部上面よりそれぞれ下方へ第1凹部及び第2切欠部を形成している。また、筒状ケース上面周縁部に頂板周縁部を固定するとともに、頂板後縁より前方へ一対の切り溝を穿設して弾性押し下げが可能な押圧板を画成してなる操作部材を備えている。更に、各ステムに各々嵌合させた嵌合筒を底板より垂設した箱型の本体を備え、本体前面より第1凹部に突設したノズル内にそれぞれ別ルートで流路を形成し、且つ、押圧板により押下可能に構成してなる噴出ヘッドを備えている。
【特許文献1】特開2001−278369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の二液用エアゾール容器は押圧板を押し下げるだけで二液を同時に噴出することができるという優れたものであるが、これら従来の二液吐出容器に於いて、二液の噴出量にバラツキが生じる虞があった。その理由として、噴出ヘッドを押圧する押圧板は、例えば、その下面より垂設した押圧突起により本体上面を押し下げるが、その押し下げ位置が適正位置からズレてしまう場合が挙げられ、また、各ステムの上方付勢力の誤差により生じる押圧力の不均一化が挙げられ、或いは、使用者の押圧板の押し下げ力が弱い場合が挙げられる。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、二つの容器体の液を極力均等に噴出することができ、上記した不均一化の要因となる状況が存在しても均等な液の噴出が可能である二液吐出容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、上面より上方付勢状態で押込み可能にステム10を突出し、ステム10の押し下げによりステム10から収納液を噴出する如く構成した一対の容器体Aと、各ステム10に各々嵌合筒40を嵌着させて装着し、各嵌合筒40内と流路を介して連通するノズル43を有する噴出ヘッドDと、噴出ヘッドDを押し下げる押圧板61とを備えた二液吐出容器に於いて、噴出ヘッドDを係止して下方への押し下げを防止する係止手段を備え、押圧板61による押圧時に噴出ヘッドDを下方へ付勢する付勢手段を備え、噴出ヘッドDの下方付勢後に係止手段を解除する係止解除手段を備えている。
【0007】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記係止手段が、押圧板61を揺動可能に支持する筒状ケースCの周壁に内外方向の弾性的な揺動が可能に画成するとともに、上部に被押圧部備え、且つ、下部に噴出ヘッドDを係止する上向き段部36b を備えた可動係止片36であり、上記付勢手段が、押圧板61と噴出ヘッドDとの間に介在させた付勢・係止解除部材Eの板バネ54であり、上記係止解除手段が、押圧板61の押し下げによる板バネ54の下方付勢の後に被押圧部を押圧して上向き段部36b の係止を解除する付勢・係止解除部材Eの押圧部である。
【0008】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、上記可動係止片36が上部に被押圧部としての傾斜部36a を備えてなり、上記付勢・係止解除部材Eが、噴出ヘッドD周囲に押し下げ可能に嵌合させたスライド筒50と、スライド筒50に掛け渡した連結板部53両側から弯曲下降して噴出ヘッドD上面にそれぞれ先端を当接する一対の板バネ54とを備え、被押圧部に対向する位置のスライド筒50下面を押圧部とした。
【0009】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、上記可動係止片36が上部に被押圧部としての垂直押圧面36c を備えてなり、上記付勢・係止解除部材Eが、噴出ヘッドD周囲に押し下げ可能に嵌合させたスライド筒50と、スライド筒50に掛け渡した連結板部53両側から弯曲下降して噴出ヘッドD上面に先端をスライド可能に当接する一対の上記板バネ54とを備え、各板バネ54の先端部を押圧部とした。
【0010】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記係止手段が、押圧板61を揺動可能に支持する筒状ケースCの周壁に内外方向の弾性的な揺動が可能に画成するとともに、上部に被押圧部備え、且つ、下部に噴出ヘッドDを係止する上向き段部36b を備えた可動係止片36であり、上記付勢手段が、押圧板61と噴出ヘッドDとの間に介在させた付勢・係止解除部材Eのコイルスプリングsであり、上記係止解除手段が、押圧板61の押し下げによる板バネ54の下方付勢の後に被押圧部を押圧して上向き段部36b の係止を解除する付勢・係止解除部材Eの押圧部である。
【0011】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第5の手段のいずれかの手段に於いて、上記押圧板61を、前部押圧板61A と、前部押圧板61A の後部上面に第2ヒンジ69を介して前縁部を連結した後部押圧板61B とで構成し、後部押圧板61B を前部押圧板61A 上に折り返し可能に構成した。
【0012】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第6の手段のいずれかの手段に於いて、上記押圧板61と付勢・係止解除部材Eとを一体に形成した。
【発明の効果】
【0013】
本発明は二つの容器体の液を極力均等に噴出することができ、例えば、押圧板の押し下げ位置が適正位置からズレた場合でも、各ステムの上方付勢力の誤差により生じる押圧力の不均一化があった場合でも、或いは、使用者の押圧板の押し下げ力が弱い場合でも、均等な液の噴出が可能である。
【0014】
また、上記係止手段が、押圧板61を揺動可能に支持する筒状ケースCの周壁に内外方向の弾性的な揺動が可能に画成するとともに、上部に被押圧部備え、且つ、下部に噴出ヘッドDを係止する上向き段部36b を備えた可動係止片36であり、上記付勢手段が、押圧板61と噴出ヘッドDとの間に介在させた付勢・係止解除部材Eの板バネ54であり、上記係止解除手段が、押圧板61の押し下げによる板バネ54の下方付勢の後に被押圧部を押圧して上向き段部36b の係止を解除する付勢・係止解除部材Eの押圧部である場合には、可動係止片36及び付勢・係止解除部材Eがスペースをとらずに形成できるため、全体的な大きさを大きくする等の不都合がなく、コンパクトに形成できてしかも上記効果を発揮できる。
【0015】
上記可動係止片36が上部に被押圧部としての傾斜部36a を備えてなり、上記付勢・係止解除部材Eが、噴出ヘッドD周囲に押し下げ可能に嵌合させたスライド筒50と、スライド筒50に掛け渡した連結板部53両側から弯曲下降して噴出ヘッドD上面にそれぞれ先端を当接する一対の板バネ54とを備え、被押圧部に対向する位置のスライド筒50下面を押圧部としてなる場合は、同様にコンパクトに形成できて且つ二液の均等な噴出が可能であり、板バネ54による噴出ヘッドDの下方付勢の後に押圧部による被押圧部の押圧を行うという時間差を確実に行える。
【0016】
上記可動係止片36が上部に被押圧部としての垂直押圧面36c を備えてなり、上記付勢・係止解除部材Eが、噴出ヘッドD周囲に押し下げ可能に嵌合させたスライド筒50と、スライド筒50に掛け渡した連結板部53両側から弯曲下降して噴出ヘッドD上面に先端をスライド可能に当接する一対の上記板バネ54とを備え、各板バネ54の先端部を押圧部としてなる場合には、同様にコンパクトに形成できて且つ二液の均等な噴出が可能であり、また、同様に板バネ54による噴出ヘッドDの下方付勢の後に押圧部による被押圧部の押圧を行うという時間差を確実に行える。
【0017】
上記係止手段が、押圧板61を揺動可能に支持する筒状ケースCの周壁に内外方向の弾性的な揺動が可能に画成するとともに、上部に被押圧部備え、且つ、下部に噴出ヘッドDを係止する上向き段部36b を備えた可動係止片36であり、上記付勢手段が、押圧板61と噴出ヘッドDとの間に介在させた付勢・係止解除部材Eのコイルスプリングsであり、上記係止解除手段が、押圧板61の押し下げによる板バネ54の下方付勢の後に被押圧部を押圧して上向き段部36b の係止を解除する付勢・係止解除部材Eの押圧部である場合には、付勢・係止解除部材Eの構造をより簡素化できる利点もある。
【0018】
上記押圧板61を、前部押圧板61A と、前部押圧板61A の後部上面に第2ヒンジ69を介して前縁部を連結した後部押圧板61B とで構成し、後部押圧板61B を前部押圧板61A 上に折り返し可能に構成した場合には、不使用時には押圧板61をコンパクトに収納しておくことができ、使用時には簡単な操作でより扱い易くなる。
【0019】
上記押圧板61と付勢・係止解除部材Eとを一体に形成した場合には、部材数を減らすことで、製造、組み付け操作をより簡素化できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図4は本発明の二液吐出容器の一例を示し、二液吐出容器1は、一対のエアゾール容器体A,Aと、固定筒Bと、筒状ケースCと、噴出ヘッドDと、付勢・係止解除部材Eと、操作部材Fとを備えている。
【0022】
エアゾール容器体Aは、上面より上方付勢状態で押し込み可能にステム10を突設し、該ステム10の押し込みにより内蔵吐出弁が開弁して液がステム10上端より噴出する公知の液体噴出機構を備えたものが使用される。尚、エアゾール容器体Aに代えてポンプ式の容器体を使用することも可能である。
【0023】
固定筒Bは、各容器体Aを並列した状態で固定するために、各容器体Aに抜け出しを防止して嵌合させたもので、並列した各エアゾール容器体A,Aの上部外周に掛け渡して嵌着固定している。図示例では、一対のエアゾール容器体外周に掛け渡し嵌合させた楕円筒状をなし、内部に各容器体の外周上部に嵌合した一対の係止筒20,20を延設している。また、各係止筒20上縁より各係止筒20上縁間を結ぶ頂板部21を延設している。更に、容器体外周上部に周設した凹部及び筒状ケースCの外周壁30の係合孔に係合する係合突条22を設けており、係合突条22の係合を行い易くするために各係止筒20に周方向複数の切溝23を穿設している。
【0024】
筒状ケースCは、固定筒B外周に周壁を構成する外周壁30の下部を嵌着固定するとともに、外周壁30の上端縁より内方へ延設したフランジ31を介して内周壁32を垂設し、周壁の前後部上面よりそれぞれ下方へ第1凹部33及び第2凹部34を凹設している。また、内周壁32の前後部両側に、それぞれ縦長の嵌合溝35を縦設している。内周壁32の両側下部に噴出ヘッドDの押し下げを防止する係止手段としての可動係止片36を画成している。可動係止片36は、図4に示す如く、上部に被押圧部としての傾斜部36a を備え、下部に上向き段部36b を備えて内外方向へ揺動可能に画成されている。そして、常時は図1に示す如く、上向き段部36b を噴出ヘッドの下面周縁部に係合させて噴出ヘッドDの押し下げを防止している。図示例では、左右一対の可動係止片36を設けているが、数は当然これに限られず、複数設けても良い。
【0025】
第1凹部33は、周壁の前部中央から下方へ切り欠いた形態のもので、後述する操作部材Fの周壁部とでノズルを突出するため窓孔を形成するために設けたものであり、図示例では、上部がやや幅広の横長矩形状をなしている。また、第2凹部34は、周壁の後部中央から下方へ切り欠いた形態のもので、後述する押圧板の押し下げを可能ならしめるために設けたものであり、図示例では、横長矩形状をなしている。
【0026】
噴出ヘッドDは、各ステム10に各々嵌合させた嵌合筒40を底板41両側より垂設した箱型の本体42を備えるとともに、本体42前面より第1凹部33を貫設したノズル43内に連通する流路を内部に形成している。図示例の噴出ヘッドDは、横長楕円状の底板41周縁部より立設した周壁44上端縁より頂壁45を延設して本体42を形成し、底板41両側に上端を開口した嵌合筒40をそれぞれ垂設し、更に、周壁44前面中央に基端を開口したノズル43を前方へ突出している。また、頂壁45の両側から係止突起46を突設している。また、底板41を180度開いた状態で噴出ヘッドDを形成し、使用時には底板41上面周縁部と周壁44下面とを溶着等の適宜固着手段で固着して使用する如く構成している。更に、本体42内中央からノズル43中央を延設し、本体42内及びノズル43内を二分割する区画壁48を設け、各嵌合筒40から個別ルートで二液が吐出される如く構成している。
【0027】
付勢・係止解除部材Eは、噴出ヘッドDと操作部材Fの後述する押圧板との間に介在させて、押圧板を押し下げることで噴出ヘッドDを下方へ付勢する付勢手段を備え、また、噴出ヘッドDの下方付勢の後に係止手段を解除する係止解除手段を備えている。図示例では、噴出ヘッドDの本体42外周に下方へのスライドが可能に嵌合させたスライド筒50を備え、スライド筒50の左右上部には一対の側部切欠部51が、前部下部には前部切欠部52がそれぞれ穿設されている。また、スライド筒50の上端中央を前後に横断する連結板部53を備え、連結板部53の両側からそれぞれ一対の板バネ54を突設している。連結板部53は前後中央部が段状に膨出し、その両側から各板バネ54を突設している。また、各板バネ54はそれぞれ側方に弯曲状に下って突設されている。尚、各板バネをそれぞれ階段状形態とすることも可能である。
【0028】
そして、図1及び図2に示す如く、各板バネ54の先端を噴出ヘッド本体42上に当接させせるとともに、スライド筒50の下部を噴出ヘッド本体42外周上部に押し下げ可能に嵌合させて装着している。この際、噴出ヘッドDの各係止突起46が各側部切欠部51の底面に当接係止され、スライド筒50の上方への抜け出しを防止している。また、傾斜部36a 上方のスライド筒50下面を被押圧部を押圧する押圧部として構成している。
【0029】
操作部材Fは、筒状ケースCの上端部に嵌着させた嵌着基部60と、該嵌着基部60に揺動可能に連結した押圧板61とを備えている。嵌着基部60は、筒状ケースCの内周壁32及び第1凹部33の平面形状と同じ外周形状で、中央部には後端を開口した開口部63を穿設した頂板62を備え、頂板62の周縁より下方へ、内周壁32及び第1凹部33内に嵌合する周壁部64を垂設している。周壁部64の第1凹部33への嵌合部分は縦幅を長くし、前面下縁にはノズル43を貫通する窓孔を形成するための切欠部を穿設している。更に、図2に示す如く、開口部63の前縁部より下方へ押圧板61を連結するための連結板65を垂設している。嵌着基部60の筒状ケースCへの嵌着は、周壁部64外周の前後4カ所に突設した係合突起66を筒状ケースCの前記嵌合溝35上端部に嵌着して固定している。
【0030】
押圧板61は、前縁より前板67を垂設してその下端縁と連結板65後面とを第1ヒンジ68を介して回動可能に連結しており、第2凹部34内へ後部を突設し、第1ヒンジ68を中心に後部の押し下げが可能に構成している。また、押圧板61は前部押圧板61A と後部押圧板61B とで構成し、前部押圧板61A の上面後端部に第2ヒンジ69を介して後部押圧板61B の前端部を一体に連結し、後部押圧板61B を前部押圧板61A 上に折り返した状態から第2ヒンジ69を中心に後方へ回動させると前部押圧板61A の後端部上に後部押圧板61B の前端部が当接し、後部押圧板61B は前部押圧板61A と肉厚を省略すれば略一直線状になり、全体として長い押圧板61を形成できる。
【0031】
上記の如く構成した二液用混合容器1を使用する際は、例えば、図1の状態から、後部押圧板61B を後方へ回動させて長い押圧板61を形成した後押圧板61を押し下げると、押圧板61により付勢・係止解除部材Eを下方へ押圧し、各板バネ54が噴出ヘッドDの本体頂壁45上をスライドしつつ噴出ヘッドDを下方へ付勢する。この際、噴出ヘッドDは両側の上向き段部36b により係止されているため下がらずにおり、スライド筒50が噴出ヘッドDに対して相対的に下降する。そして、スライド筒50が下降すれば両側の可動係止片36の被押圧部である傾斜部36a にスライド筒50の両側下面の押圧部が当接して押圧し、それによって各可動係止片36は両側へ押し出されるために、各上向き段部36b が本体42下面から外れ、それによって噴出ヘッドDが押し下げられるため、各ステム10,10が押し込まれ、各容器体A内の液がステム先端から流路を介してノズル43先端よりそれぞれ吐出される。押圧板61の押圧を解除すると各ステム10の上方付勢力及び各板バネ54の弾性復元力により噴出ヘッドDが上昇するとともに、押圧板61がもとの状態に復元し、後部押圧板61B を前方へ回動させて元の折り畳み状態に戻す。
【0032】
図5乃至図7は他の例を示すもので、図1の例に於いて、噴出ヘッドDの下方への付勢を板バネに代えてコイルスプリングを使用した例を示す。本例に於ける付勢・係止解除部材Eは、図7に示す如く、噴出ヘッドDの本体42外周に下方へのスライドが可能に嵌合させたスライド筒50を備え、スライド筒50の左右には一対の側部切欠部51が、前部下部には前部切欠部52がそれぞれ穿設されている。また、スライド筒50の上端開口を閉塞する頂板部55を備え、頂板部55の前後方向中央を上方へ段状に膨出し、膨出部分の中央から支持筒56を垂設している。
【0033】
そして、図5及び図6に示す如く、噴出ヘッドDの頂壁45上面に立設した支持筒部47外周に下端を嵌合させたコイルスプリングsの上端を支持筒56内に嵌合させるとともに、スライド筒50の下部を噴出ヘッド本体42外周上部に押し下げ可能に嵌合させて装着している。この際、噴出ヘッドDの各係止突起46が各側部切欠部51の底面に当接係止され、スライド筒50の上方への抜け出しを防止している。
【0034】
押圧板61は、前縁より前板67を垂設してその下端縁と連結板65とを第1ヒンジ68を介して回動可能に連結しており、第2凹部34内へ後部を突設し、第1ヒンジ68を中心に後部の押し下げが可能に構成している。また、下面に突設した押圧突起をスライド筒50の頂板部55に当接している。
【0035】
この場合の二液吐出容器1を使用する際は、実質的に図1の例と同様であり、例えば、図5の状態から、押圧板61を押し下げると、押圧板61により付勢・係止解除部材Eを下方へ押圧し、コイルスプリングsが噴出ヘッドDの本体頂壁45上を押圧する。この際、噴出ヘッドDは両側の上向き段部36b により係止されているため下がらずにおり、スライド筒50が噴出ヘッドDに対して相対的に下降する。そして、スライド筒50が下降すれば両側の可動係止片36の被押圧部としての傾斜部36a に押圧部としてのスライド筒50の両側下面が当接して押圧し、それによって各可動係止片36は両側へ押し出されるために、各上向き段部36b が本体42下面から外れ、それによって噴出ヘッドDが押し下げられるため、各ステム10,10が押し込まれ、各容器体A内の液がステム先端から流路を介してノズル43先端よりそれぞれ吐出される。押圧板61の押圧を解除すると各ステム10の上方付勢力及びコイルスプリングsの弾性復元力により噴出ヘッドDが上昇するとともに、押圧板61が元の状態に復元する。
【0036】
図8及び図9は他の例を示すもので、図1の例に於いて、付勢・係止解除部材と操作部材とを一体に形成した例である。また、可動係止片の形態も変化させている。この場合の可動係止片36は、図8に示す如く、上部内面に内方へ突設した被押圧部としての垂直板部36c を備え、下部に上向き段部36b を備えて内外方向へ揺動可能に画成されている。そして、常時は図8に示す如く、上向き段部36b を噴出ヘッドDの下面周縁部に係合させて噴出ヘッドDの押し下げを防止している。可動係止片36は左右一対設けているが、一方のみでも可能である。
【0037】
付勢・係止解除部材と操作部材とを一体とした付勢・係止解除・操作部材Gは、図9に示す如く、筒状ケースCの上端部に嵌着させた嵌着基部60a と、該嵌着基部60a に揺動可能に連結した押圧板61a と、押圧板61a と一体に連結した板バネ54a とを備えている。嵌着基部60a は、筒状ケースCの内周壁32上部及び第1凹部33の内面上部に嵌合し、後部中央を押圧板61a を収納するための開口部63a とした周壁部64a を備え、第1凹部33の部分の周壁部64a 上面に頂板62a を延設している。周壁部64a の第1凹部33の嵌合部分は縦幅を長くし、前面下縁にはノズル43を貫通する窓孔を形成するための切欠部を穿設している。
【0038】
押圧板61a は、嵌着基部60a の周壁部64a の前部上端縁にヒンジ70を介して前縁を回動可能に連結した連結リング71の後面より後方へ一体に延設している。また、板バネ54a は連結リング71の中央を縦断する中央板部72の左右からそれぞれ外方へ弯曲下降する如く延設している。そして、図8に示す如く、図1の例と同様、周壁部64a 外周に突設した係合突起66a を筒状ケースCの前記嵌合溝35上端部に嵌着して嵌着基部60a を筒状ケースCに固定し、また、各板バネ54の先端を噴出ヘッド本体42上に当接させるとともに、押圧板61a を第2凹部34より突出させて装着している。
【0039】
この場合の二液用混合容器1を使用する際は、例えば、図8の状態から押圧板61a を押し下げると、各板バネ54a が噴出ヘッドDの本体頂壁45上をスライドしつつ噴出ヘッドDを下方へ付勢する。この際、噴出ヘッドDは両側の上向き段部36b により係止されているため下がらずにおり、押圧部としての各板バネ54の端部が噴出ヘッドD上面を外方へ移行する。そして、各板バネ54aの端部が可動係止片36の垂直板部36c にそれぞれ到達して外方へ押圧することで各可動係止片36は両側へ押し出されるため、各上向き段部36b が本体42下面から外れ、それによって噴出ヘッドDが押し下げられるため、各ステム10,10が押し込まれ、各容器体A内の液がステム先端から流路を介してノズル43先端よりそれぞれ吐出される。押圧板61a の押圧を解除すると各ステム10の上方付勢力及び各板バネ54a の弾性復元力により噴出ヘッドDが上昇するとともに、押圧板61a がもとの状態に復元し、可動係止片36も弾性復元力により元の状態に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】二液吐出容器の半断面図である。(実施例1)
【図2】二液吐出容器の縦断面図である。(実施例1)
【図3】二液吐出容器の要部分解斜視図である。(実施例1)
【図4】二液吐出容器の筒状ケースの要部斜視図である。(実施例1)
【図5】二液吐出容器の半断面図である。(実施例2)
【図6】二液吐出容器の縦断面図である。(実施例2)
【図7】付勢・係止解除部材の斜視図である。(実施例2)
【図8】二液吐出容器の要部半断面図である。(実施例3)
【図9】付勢・係止解除・操作部材の斜視図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0041】
1…二液吐出容器
A…容器体
10…ステム
B…固定筒
20…係止筒,21…頂板部,22…係合突条,23 …切溝
C…筒状ケース
30…外周壁,31…フランジ,32…内周壁,33…第1凹部,34…第2凹部,
35…嵌合溝,36…可動係止片,36a …傾斜部,36b …上向き段部,36c …垂直板部 D…噴出ヘッド
40…嵌合筒,41…底板,42…本体,43…ノズル,44…周壁,45…頂壁,
46…係止突起,47…支持筒部,48…区画壁
E…付勢・係止解除部材
50…スライド筒,51…側部切欠部,52…前部切欠部,53…連結板部,54…板バネ, 55…頂板部,56…支持筒
F…操作部材
60…嵌着基部,61…押圧板,61A …前部押圧板,61B …後部押圧板,62…頂板,
63…開口部,64…周壁部,65…連結板,66…係合突起,67…前板,
68…第1ヒンジ,69…第2ヒンジ
G…付勢・係止解除・操作部材
54a …板バネ,60a …装着基部,61a …押圧板,62a …頂板,63a …開口部,
64a …周壁部,66a …係合突起,70…ヒンジ,71…連結リング,72…中央板部, s…コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面より上方付勢状態で押込み可能にステム10を突出し、ステム10の押し下げによりステム10から収納液を噴出する如く構成した一対の容器体Aと、各ステム10に各々嵌合筒40を嵌着させて装着し、各嵌合筒40内と流路を介して連通するノズル43を有する噴出ヘッドDと、噴出ヘッドDを押し下げる押圧板61とを備えた二液吐出容器に於いて、噴出ヘッドDを係止して下方への押し下げを防止する係止手段を備え、押圧板61による押圧時に噴出ヘッドDを下方へ付勢する付勢手段を備え、噴出ヘッドDの下方付勢後に係止手段を解除する係止解除手段を備えていることを特徴とする二液吐出容器。
【請求項2】
上記係止手段が、押圧板61を揺動可能に支持する筒状ケースCの周壁に内外方向の弾性的な揺動が可能に画成するとともに、上部に被押圧部備え、且つ、下部に噴出ヘッドDを係止する上向き段部36b を備えた可動係止片36であり、上記付勢手段が、押圧板61と噴出ヘッドDとの間に介在させた付勢・係止解除部材Eの板バネ54であり、上記係止解除手段が、押圧板61の押し下げによる板バネ54の下方付勢の後に被押圧部を押圧して上向き段部36b の係止を解除する付勢・係止解除部材Eの押圧部である請求項1記載の二液吐出容器。
【請求項3】
上記可動係止片36が上部に被押圧部としての傾斜部36a を備えてなり、上記付勢・係止解除部材Eが、噴出ヘッドD周囲に押し下げ可能に嵌合させたスライド筒50と、スライド筒50に掛け渡した連結板部53両側から弯曲下降して噴出ヘッドD上面にそれぞれ先端を当接する一対の板バネ54とを備え、被押圧部に対向する位置のスライド筒50下面を押圧部とした請求項2記載の二液吐出容器。
【請求項4】
上記可動係止片36が上部に被押圧部としての垂直押圧面36c を備えてなり、上記付勢・係止解除部材Eが、噴出ヘッドD周囲に押し下げ可能に嵌合させたスライド筒50と、スライド筒50に掛け渡した連結板部53両側から弯曲下降して噴出ヘッドD上面に先端をスライド可能に当接する一対の上記板バネ54とを備え、各板バネ54の先端部を押圧部とした請求項2記載の二液吐出容器。
【請求項5】
上記係止手段が、押圧板61を揺動可能に支持する筒状ケースCの周壁に内外方向の弾性的な揺動が可能に画成するとともに、上部に被押圧部備え、且つ、下部に噴出ヘッドDを係止する上向き段部36b を備えた可動係止片36であり、上記付勢手段が、押圧板61と噴出ヘッドDとの間に介在させた付勢・係止解除部材Eのコイルスプリングsであり、上記係止解除手段が、押圧板61の押し下げによる板バネ54の下方付勢の後に被押圧部を押圧して上向き段部36b の係止を解除する付勢・係止解除部材Eの押圧部である請求項1記載の二液吐出容器。
【請求項6】
上記押圧板61を、前部押圧板61A と、前部押圧板61A の後部上面に第2ヒンジ69を介して前縁部を連結した後部押圧板61B とで構成し、後部押圧板61B を前部押圧板61A 上に折り返し可能に構成した請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の二液吐出容器。
【請求項7】
上記押圧板61と付勢・係止解除部材Eとを一体に形成した請求項1乃至請求項6のいずれせかに記載の二液吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−52816(P2010−52816A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222597(P2008−222597)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】