説明

二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びその製品の製造方法

本発明は、二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びその製品の製造方法を提供する。式(I)に示すカルベン二酸化炭素化合物をラクチドと混合させ、二軸スクリュ式押出機により反応させて押出し、ポリ乳酸及びその製品が作られる。その式中、点線は任意に選択される二重結合を表す。X1はS又はNから選択される。X2はC又はNから選択される。R1、R2は、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、ハロゲン原子、アダマンタン基、フェニル基、並びに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。R3、R4は、水素、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、1〜4個炭素原子を有するアルキル基、1〜4個炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、フェニル基、並びに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。又は、R3とR4とは連結され、3〜8個炭素原子を含有する環を形成する。又はR2とR3とは連結され、無置換の五員又は六員N-複素環を形成する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子材料分野に属し、具体的には、二軸スクリュ式押出技術を用いてポリ乳酸及びその製品を制御可能に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸は高分子材料として、良好な生物相溶性及び分解性を有し、環境を汚染せず、医薬、紡織及び包装などの分野で広く応用される見通しがある。
【0003】
現在、ポリ乳酸の合成方法は主に二種類があり、それぞれ直接重縮合と開環重合法である。その中、直接重縮合法は反応条件の要求が高く、得られる重合体の分子量が小さく、性能が悪い。従って、一般に合成高分子量のポリ乳酸は開環重合法を用いる。即ち、ラクチドの開環重合によりポリ乳酸を製造し、既に工業化生産に応用されている。例えば、特許DE10020898である。また、反応時間を短縮するため、CN1325913はマイクロ波放射によるポリ乳酸を合成する方法を開示したが、この方法は設備の制限によって大規模生産を実現できない。
【0004】
一般に、開環重合法における使用される触媒は有機スズ塩、有機亜鉛及び有機アルミニウム塩である。例えば、JP0124651、CN1544504及びCN1814644である。生成物に残留する有機金属触媒は得られるポリ乳酸の応用が制限され、例えば、生物医学、マイクロ電子などの分野に応用できない。その後、2001年にEric F.Connerほか(Eric F.Connerほか.Journal of the American Chemical Society,2002,124,914)は初めて高効率の有機触媒、即ちN-複素環式カルベンをラクチドの開環重合反応に応用した。しかし、N-複素環式カルベンは空気や水に対して敏感であり、その製造及び応用は大きく制限された。従って、その触媒されるラクチドの開環重合反応は実験室での規模のみに限り、大規模生産はできない。
【0005】
N-複素環式カルベンは空気や水に対して敏感であるという制限を克服するために、化学専門家はN-複素環式カルベンの貯蔵形式についてよく研究を行った。Hung A.Duongほか(Hung A.Duongほか.Chemical Communications,2004,112)は、N-複素環式カルベンとCO2とを反応させ、カルベン二酸化炭素化合物を生成でき、一定の温度で、カルベン二酸化炭素化合物はCO2を脱離でき、カルベンを放出することを発見した。。Adriana Tほか(Adriana Tほか.Journal of Organometallic Chemistry,2006,691,5356)はカルベン二酸化炭素化合物をN-複素環式カルベンの貯蔵形式にすることができることを提案したが、従来技術はまだカルベン二酸化炭素化合物を開環重合反応の触媒として用いることができなかった。
【0006】
最近、ラクチドの開環重合法を実現する生産プロセスは非常に少ない。一般に従来プロセスは反応釜で行う。反応押出は新しい技術として、反応釜に比べて以下の利点がある。(1)原料の計量、搬送、混合、反応及び溶融生成物の加工が一体となり、プロセスは簡単で、自動化は高く、大規模生産をできる。(2)スクリュの強い剪断混練の作用下で、反応系は良好な分散性が得られ、未反応物及び反応副生成物は適時、容易に排除される。(3)スクリュは自己清潔能力を有し、材料の滞在時間は短く、生成物は直接成形でき、製品コストは低く、性能はよい。(4)製品の化学構造及び材料のマイクロ形態構造は制御でき、製品の技術的内容が優れて、利潤は高い。(5)温度を分段制御し、より良く反応の制御を実現すると共に、エネルギー消費を低減する。但し、それ自身の特徴によって、反応押出技術の応用は一定の制限を受け、反応はワンステップで完成する必要があり、中間作業ステップはあってはいけない。反応は反応押出技術の時間制限内で完成することを制御すべきであり、一般に5〜30分である。反応は高温溶融状態で行う。反応押出技術のポリ乳酸の面についての応用は主にポリ乳酸の変性に集中している。重合時間の制限のため、反応押出技術はポリ乳酸の重合過程に応用され、主に乳酸、ラクチド又はそれらの誘導体によりプレポリマーが得られ、さらに一種又は多種単体を混合させ、二軸スクリュ式押出機で付加重合又は重縮合反応を行う。例えば、JP940215520、JP940096021である。このような方法は二つのステップで反応する必要があり、特に第一ステップの作製作業が複雑であり、反応押出技術の優勢を十分に利用していない。Jacobsen S.(Jacobsen S達.Polymer,2000,41(9),3395)は触媒としてカプリル酸第一スズとリン酸トリフェニルなどを同等量混合させ、二軸スクリュ式反応押出の開環重合によるラクチドで分子量が70000〜100000であるポリ乳酸が作られ、ラクチドのワンステップ反応押出でポリ乳酸を製造することを実現した。しかし、得られたポリ乳酸に金属残留物が含まれ、ポリ乳酸の末端構造は不明確で、ポリ乳酸の目標分子量を制御できない。これらの要因でポリ乳酸の応用分野を制限した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE10020898
【特許文献2】CN1325913
【特許文献3】JP0124651
【特許文献4】CN1544504
【特許文献5】CN1814644
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術課題は、二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びその製品の製造方法を提供することである。その方法で得られたポリ乳酸は金属残留物を含まず、分子量と末端構造を制御でき、分子量分布は狭い。
【0009】
N-複素環式カルベンは空気や水に対して極めて敏感であるので、その製造、移動及び触媒反応は無水無酸素の環境が必要である。このような要求によってN-複素環式カルベンの移動、即ちN-複素環式カルベンを反応押出システムに加えることは操作できなくなる。従って、本発明は水や酸素に安定なカルベン二酸化炭素化合物を用いて、一定の温度(脱カルボキシル温度)で、CO2を脱離した後にN-複素環式カルベンを形成する。脱カルボキシル温度は、カルベン二酸化炭素化合物環上の置換基によって決められる。本発明はカルベン二酸化炭素環状の置換基を調整し、脱カルボキシル温度に適合するカルベン二酸化炭素化合物を見つけ、ラクチドの開環重合の反応押出に応用される。即ち、選別して得られたカルベン二酸化炭素化合物の脱カルボキシル温度は、ラクチド開環重合反応に適用すると共に、反応押出のプロセスに適用する。本発明はカルベン二酸化炭素化合物を有機小分子触媒の先駆体として、ラクチドの開環重合に応用され、非常に高い触媒活性を有すると同時に、得られたポリ乳酸中の金属残留物の問題をも解決した。
【0010】
反応押出技術を有効にこの反応に応用するために、本発明はカルベン二酸化炭素化合物の触媒先駆体の選別において、反応押出技術が反応時間に対する要求を考慮した。本発明は異なる置換構造のN-複素環式カルベンを選別して、触媒活性が高いカルベン二酸化炭素化合物の触媒前駆体が得られ、それは反応速度を加速できる。また、反応押出過程において、さらに適切な温度、スクリュの直径に対する長さの比と回転数を選択でき、反応系はより良い分散性を得、さらに反応を加速する目的を達成することで、反応時間を短縮する。
【0011】
ポリ乳酸末端構造と分子量の可制御性、例えば狭い分子量分布は開環重合反応に活発な水素化合物(R-O-H)が含有されるものを開始剤として加え、開始されたポリ乳酸末端構造はそれぞれR-O-と-OHである。ラクチド単体と開始剤の割合は、得られるポリ乳酸の目標分子量を決める。開始剤が存在する場合、N-複素環式カルベンで触媒されるラクチド開環重合が活性重合であると同時に、反応押出システムは良好な分散性を有し、得られたポリ乳酸は狭い分子量分布を達成できる。
【0012】
従って、本発明のカルベン二酸化炭素化合物を触媒前駆体として、ラクチドと混合させ、反応押出技術によって、反応押出過程においてN-複素環式カルベンを放出し、ラクチドの開環重合反応を触媒し、ワンステップで可制御分子量と末端構造、金属残留物を含まない狭い分子量分布のポリ乳酸及びその製品を合成できる。
【0013】
本発明の技術解決案は以下の通りである。
【0014】
二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びその製品の製造方法であって、式(I)に示すカルベン二酸化炭素化合物をラクチドと混合させ、二軸スクリュ式押出機により反応させて押出し、ポリ乳酸及びその製品が作られる。
【化1】

【0015】
その式中、点線は任意に選択される二重結合を表す。X1はS又はNから選択される。X2はC又はNから選択される。R1、R2は水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、ハロゲン原子、アダマンタン、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。R3、R4は水素、ハロゲン原子、シアン基、ヒドロキシル基、1〜4個炭素原子を有するアルキル基、1〜4個炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。又はR3とR4とは連結され、3〜8個炭素原子を含有するシクロアルキル又はシクロアルケニルを形成する。又はR3とR4とは連結され、ベンゼン環を形成する。又はR2とR3とは連結され、無置換の五員又は六員N-複素環を形成する。
【0016】
前記カルベン二酸化炭素化合物の具体構造は、式(II)に示されてもよい。
【化2】

【0017】
その式中、R1、R2は水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、ハロゲン原子、アダマンタン、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。R3、R4は水素、ハロゲン原子、シアン基、ヒドロキシル基、1〜4個炭素原子を有するアルキル基、1〜4個炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。又はR3とR4とは連結され、3〜8個炭素原子を含有するシクロアルケニルを形成する。又はR3とR4とは連結され、ベンゼン環を形成する。
【0018】
前記カルベン二酸化炭素化合物の具体構造は、式(III)に示されてもよい。
【化3】

【0019】
その式中、R1、R2は水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、ハロゲン原子、アダマンタン、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。R3、R4は水素、ハロゲン原子、シアン基、ヒドロキシル基、1〜4個炭素原子を有するアルキル基、1〜4個炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。又はR3とR4とは連結され、3〜8個炭素原子を含有するシクロアルキルを形成する。
【0020】
前記カルベン二酸化炭素化合物の具体構造は、式(IV)に示されてもよい。
【化4】

【0021】
その式中、R1は水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、ハロゲン原子、アダマンタン、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の一種から選択される。R3、R4は水素、ハロゲン原子、シアン基、ヒドロキシル基、1〜4個炭素原子を有するアルキル基、1〜4個炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。又はR3とR4とは連結され、3〜8個炭素原子を含有するシクロアルケニルを形成する。又はR3とR4とは連結され、ベンゼン環を形成する。
【0022】
前記カルベン二酸化炭素化合物の具体構造は、式(V)に示されてもよい。
【化5】

【0023】
その中、R1、R2は水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、ハロゲン原子、アダマンタン、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の同一であるか又は異なる基から選択される。R3は水素、ハロゲン原子、シアン基、ヒドロキシル基、1〜4個炭素原子を有するアルキル基、1〜4個炭素原子を有し、且つハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたアルキル基、フェニル基、及びハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアン基中の一種又は多種に置換されたフェニル基中の一種から選択される。またはR2とR3とは連結され、無置換の五員又は六員N-複素環を形成する。
【0024】
前記方法では、カルベン二酸化炭素化合物とラクチドとをモル比1:5〜2000で混合させ、好ましくは1:100〜1000である。前記ラクチドが左旋ラクチド、右旋ラクチド、メソラクチド、もしくはラセミラクチド、又は、左旋ラクチドと、右旋ラクチドと、メソラクチドとの任意割合での混合物であってもよい。
【0025】
前記方法では、開始剤としてヒドロキシル基を含有する化合物を用いてもよく、好ましくはアルコール系化合物、例えばベンジルアルコール又はフェニルエタノールである。開始剤とラクチドとのモル比は1/10000〜1/2であってもよく、好ましくは1/1000〜1/100である。
【0026】
前記方法での二軸スクリュ式押出機は、具体的に二軸スクリュ式同方向噛合型押出機であり、そのシリンダー上に多数の加熱ユニットを用いて分段で加熱し、各段の温度は循環冷却水により単独で制御する。各加熱ユニットの温度は50℃〜300℃の間の何れか同一であるか又は異なる温度であってもよく、好ましくは100℃〜200℃中の何れか同一であるか又は異なる温度である。シリンダー中の気圧は0.5KPa〜1KPaであってもよい。スクリュの長さと直径との比は30〜70であってもよい。スクリュの回転数は5rpm〜200rpmであってもよい。材料供給速度は0.5kg/h〜5kg/hであってもよい。前記二軸スクリュ式押出機のヘッドは成形装置に連結され、ポリ乳酸及びその製品が直接押出成形されてもよい。
【0027】
本発明は提供される二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸を制御可能に製造する方法について、反応押出過程では、カルベン二酸化炭素化合物がCO2を脱離し、N-複素環式カルベンを形成し、ラクチドの開環重合反応を触媒する。脱離したCO2は放出され、残留の触媒は有機物であり、分解でき、且つ用量が少なく、ポリ乳酸の性質に影響を及ぼさない。また、すべての重合過程は活性重合であり、ポリ乳酸の分子量を制御でき、分子量の分布が狭く、且つ末端基は正確に制御できる。本発明の方法はワンステップ反応であり、過程が速く、操作が簡単で、経済的、効率がよく、大規模生産に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は二軸スクリュ式押出機のシリンダーのゾーン分けの略図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0030】
以下の実施例によって本発明についてさらに説明する。実施例は説明するためのものであるが、本発明を限定するものではない。本分野の全ての一般の技術者はこれらの実施例を理解でき、如何なる方式を用いても本発明を制限せず、本発明の主旨及び本発明の範囲を逸出しないように、本発明に対して適当な補正及びデータ変換をしてもよい。
【0031】
以下の実施例では、全て先ずアルゴンで二軸スクリュ式押出機を洗浄し、そしてラクチド、開始剤(又は無し)及びカルベン二酸化炭素化合物を均一に混合させ、等速で押出機に加える。実施例に使用されるカルベン二酸化炭素化合物の構造式及び番号を、表1及び表2に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
図1は二軸スクリュ式押出機のシリンダーのゾーン分けの略図であり、以下の実施例中の二軸スクリュ式押出機のシリンダーは4ゾーンを均等に分け、各段の温度は循環冷却水によって温度をそれぞれ制御する。二軸スクリュ式押出機の操作方法は本技術分野の従来技術に属し、本技術分野の技術者は以下の二軸スクリュ式押出機のパラメーターに基づき操作を完成することができる。
【0035】
実施例におけるポリ乳酸の分子量及び分子量分布はゲル浸透(クロマトグラフィーによって測定して得られた(クロロホルムは流動相であり、35℃で、ポリスチレンの標準品を参照する)。
【実施例】
【0036】
[実施例1]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:80rpm、真空度:0.5kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:1.75kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:140℃、IIゾーン:185℃、IIIゾーン:200℃、IVゾーン:185℃
左旋ラクチド(672g、4.67mol)と、カルベン二酸化炭素化合物a(0.36g、0.002mol)とを均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が2.5万であるポリ乳酸628gが得られ、分子量分布は2.1である。
【0037】
[実施例2]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:50rpm、真空度:0.5kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:0.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:120℃、IIゾーン:175℃、IIIゾーン:180℃、IVゾーン:175℃
右旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物b(1210.38g、2.8mol)とを均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が0.6万であるポリ乳酸1882gが得られ、分子量分布は2.2である。
【0038】
[実施例3]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:80rpm、真空度:0.5kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:1.25kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:120℃、IIゾーン:175℃、IIIゾーン:180℃、IVゾーン:175℃
メソラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物c(18.15g、0.084mol)と、ベンジルアルコール(3.03g、0.028mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が6.8万であるポリ乳酸1942gが得られ、分子量分布は1.4である。
【0039】
[実施例4]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:50rpm、真空度:0.8kPa、
長さと直径との比:40、材料供給速度:1.75kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:120℃、IIゾーン:175℃、IIIゾーン:180℃、IVゾーン:175℃
ラセミラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物d(15.83g、0.07mol)と、ベンジルアルコール(2.49g、0.023mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が8.4万であるポリ乳酸1964gが得られ、分子量分布は1.7である。
【0040】
[実施例5]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:80rpm、真空度:0.5kPa、
長さと直径との比:40、材料供給速度:4.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:145℃、IIゾーン:185℃、IIIゾーン:200℃、IVゾーン:185℃
ラセミラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物e(6.66g、0.028mol)と、ベンジルアルコール(0.90g、0.028mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が5.9万であるポリ乳酸1975gが得られ、分子量分布は1.5である。
【0041】
[実施例6]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:5rpm、真空度:1kPa、
長さと直径との比:70、材料供給速度:4.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:50℃、IIゾーン:145℃、IIIゾーン:200℃、IVゾーン:185℃
メソラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物f(4.87g、0.014mol)と、フェニルエタノール(1.71g、0.014mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、押出機のヘッドは成形装置に連結され、直接に押出成形され、分子量が10.4万であるポリ乳酸1966gが得られ、分子量分布は1.6である。
【0042】
[実施例7]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:150rpm、真空度:0.5kPa、
長さと直径との比:30、材料供給速度:4.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:145℃、IIゾーン:150℃、IIIゾーン:170℃、IVゾーン:135℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物g(1293.49g、2.8mol)と、メタノール(224.21g、7mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が288であるポリ乳酸1905gが得られ、分子量分布は1.5である。
【0043】
[実施例8]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:200rpm、真空度:0.5kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:4.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:170℃、IIゾーン:185℃、IIIゾーン:200℃、IVゾーン:140℃
右旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物h(119.75g、0.35mol)と、メタノール(5.61g、0.175mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が1.1万であるポリ乳酸1924gが得られ、分子量分布は1.7である。
【0044】
[実施例9]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:80rpm、真空度:1kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:4.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:90℃、IIゾーン:120℃、IIIゾーン:150℃、IVゾーン:140℃
右旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物i(1.62g、0.007mol)と、フェニルエタノール(0.17g、0.0014mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加え、二軸スクリュ式押出機のヘッドに成形装置を追加設置する。前記操作パラメーターによって反応押出を行って膜に成形し、空気冷却する。
【0045】
[実施例10]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:5rpm、真空度:1kPa、
長さと直径との比:40、材料供給速度:4.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:145℃、IIゾーン:185℃、IIIゾーン:300℃、IVゾーン:185℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物j(7.22g、0.023mol)と、メタノール(0.05g、0.0014mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が8.5万であるポリ乳酸1953gが得られ、分子量分布は2.2である。
【0046】
[実施例11]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:100rpm、真空度:0.5kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:165℃、IIゾーン:200℃、IIIゾーン:300℃、IVゾーン:185℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物k(5.63g、0.028mol)と、ベンジルアルコール(3.03g、0.028mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が7.8万であるポリ乳酸1906gが得られ、分子量分布は1.7である。
【0047】
[実施例12]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:150rpm、真空度:1kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:1.0kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:145℃、IIゾーン:185℃、IIIゾーン:200℃、IVゾーン:165℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物l(7.87g、0.028mol)と、ベンジルアルコール(6.05g、0.056mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が3.1万であるポリ乳酸1983gが得られ、分子量分布は1.4である。
【0048】
[実施例13]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:125rpm、真空度:0.8kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:1.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:165℃、IIゾーン:200℃、IIIゾーン:250℃、IVゾーン:185℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物m(4.44g、0.023mol)と、ベンジルアルコール(3.78g、0.035mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が5.3万であるポリ乳酸1943gが得られ、分子量分布は1.7である。
【0049】
[実施例14]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:150rpm、真空度:1kPa、
長さと直径との比:40、材料供給速度:1.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:180℃、IIゾーン:225℃、IIIゾーン:300℃、IVゾーン:185℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物n(5.04g、0.023mol)と、メタノール(0.74g、0.023mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が9.2万であるポリ乳酸1921gが得られ、分子量分布は1.8である。
【0050】
[実施例15]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:150rpm、真空度:0.7kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:2.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:200℃、IIゾーン:250℃、IIIゾーン:300℃、IVゾーン:165℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物o(26.18g、0.07mol)と、ベンジルアルコール(7.56g、0.07mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が2.4万であるポリ乳酸1945gが得られ、分子量分布は1.4である。
【0051】
[実施例16]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:150rpm、真空度:1kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:1.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:165℃、IIゾーン:185℃、IIIゾーン:250℃、IVゾーン:185℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物p(6.56g、0.023mol)と、ベンジルアルコール(3.78g、0.035mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が5.8万であるポリ乳酸1994gが得られ、分子量分布は1.5である。
【0052】
[実施例17]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:125rpm、真空度:1kPa、
長さと直径との比:40、材料供給速度:1.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:185℃、IIゾーン:225℃、IIIゾーン:300℃、IVゾーン:165℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物q(4.37g、0.018mol)と、フェニルエタノール(2.20g、0.018mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が10.9万であるポリ乳酸1903gが得られ、分子量分布は2.0である。
【0053】
[実施例18]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:150rpm、真空度:0.8kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:1.0kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:200℃、IIゾーン:225℃、IIIゾーン:280℃、IVゾーン:165℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物r(8.14g、0.023mol)と、ベンジルアルコール(3.78g、0.035mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が5.6万であるポリ乳酸1963gが得られ、分子量分布は1.8である。
【0054】
[実施例19]
二軸スクリュ式押出機のパラメーターの設置は以下の通りである。
スクリュ回転数:125rpm、真空度:0.5kPa、
長さと直径との比:48、材料供給速度:1.5kg/h
シリンダーの各ゾーンの温度の設置は以下の通りである。
Iゾーン:145℃、IIゾーン:165℃、IIIゾーン:250℃、IVゾーン:185℃
左旋ラクチド(2016g、14mol)と、カルベン二酸化炭素化合物s(5.36g、0.035mol)と、ベンジルアルコール(7.56g、0.07mol)を均一に混合させ、等速で二軸スクリュ式押出機に加える。前記操作パラメーターによって反応押出を行い、空気冷却し、分子量が3.5万であるポリ乳酸1935gが得られ、分子量分布は1.4である。
【符号の説明】
【0055】
図1において、1は材料供給段、2はIゾーン、3はIIゾーン、4はIIIゾーン、5はIVゾーン、6は材料供給漏斗、7は真空バルブである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法であって、
式(I)に示すカルベン二酸化炭素化合物をラクチドと混合させ、二軸スクリュ式押出機により反応させて押出し、ポリ乳酸及びポリ乳酸製品が作られること、
【化1】

ここで、その式中、
点線は任意に選択される二重結合を表し、
X1はS又はNから選択され、
X2はC又はNから選択され、
R1、R2は同一であるか又は異なると共に、R1、R2は、
水素、
1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜10個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、
ハロゲン原子、
アダマンタン基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
R3、R4は同一であるか又は異なると共に、R3、R4は、
水素、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ヒドロキシル基、
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜4個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
又は、R3とR4とは連結され、3〜8個の炭素原子を含有するシクロアルキル、もしくはシクロアルケニルを形成し、
又は、R3とR4とは連結され、ベンゼン環を形成し、
又は、R2とR3とは連結され、無置換の五員又は六員N-複素環を形成する、
ことを特徴とする二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項2】
前記カルベン二酸化炭素化合物の構造は、式(II)に示されるものであり、
【化2】

ここで、その式中、
R1、R2は同一であるか異なると共に、R1、R2は、
水素、
1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜10個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、
ハロゲン原子、
アダマンタン基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
R3、R4は同一であるか異なると共に、R3、R4は、
水素、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ヒドロキシル基、
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜4個炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
又は、R3とR4とは連結され、3〜8個の炭素原子を含有するシクロアルケニルを形成し、
又は、R3とR4とは連結され、ベンゼン環を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項3】
前記カルベン二酸化炭素化合物の構造は、式(III)に示されるものであり、
【化3】

ここで、その式中、
R1、R2は同一であるか異なると共に、R1、R2は、
水素、
1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜10個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、
ハロゲン原子、
アダマンタン基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
R3、R4は同一であるか異なると共に、R3、R4は、
水素、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ヒドロキシル基、
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜4個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
又は、R3とR4とは連結され、3〜8個の炭素原子を含有するシクロアルキルを形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項4】
前記カルベン二酸化炭素化合物の構造は、式(IV)に示されるものであり、
【化4】

ここで、その式中、
R1は、
水素、
1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜10個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、
ハロゲン原子、
アダマンタン基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
R3、R4は同一であるか異なると共に、R3、R4は、
水素、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ヒドロキシル基、
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜4個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
又は、R3とR4とは連結され、3〜8個の炭素原子を含有するシクロアルケニルを形成し、
又は、R3とR4とは連結され、ベンゼン環を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項5】
前記カルベン二酸化炭素化合物の構造は、式(V)に示されるものであり、
【化5】

ここで、その式中、
R1、R2は同一であるか異なると共に、R1、R2は、
水素、
1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜10個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、
ハロゲン原子、
アダマンタン基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
R3は、
水素、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ヒドロキシル基、
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、
1〜4個の炭素原子を有し、且つ、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つアルキル基、
フェニル基、並びに、
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基及びシアノ基からなる群から選択される一種以上の置換基を持つフェニル基、
からなる群から選択されるものであり、
又は、R2とR3とは連結され、無置換の五員又は六員N-複素環を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項6】
前記カルベン二酸化炭素化合物とラクチドとをモル比1:5〜2000で混合させ、好ましくは1:100〜1000で混合させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項7】
前記ラクチドが、左旋ラクチド、右旋ラクチド、メソラクチド、もしくはラセミラクチド、又は、左旋ラクチドと、右旋ラクチドと、メソラクチドとの任意割合での混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項8】
前記方法では、開始剤としてヒドロキシル基を含有する化合物を用い、好ましくはアルコール系化合物、例えばベンジルアルコール又はフェニルエタノールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項9】
前記開始剤とラクチドとのモル比は1/10000〜1/2であり、好ましくは1/1000〜1/100であることを特徴とする請求項8に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項10】
前記二軸スクリュ式押出機は、二軸スクリュ式同方向噛合型押出機であり、そのシリンダー上に多数の加熱ユニットを用いて分段で加熱し、各段の温度は循環冷却水によりそれぞれ制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項11】
反応する押出過程において、前記二軸スクリュ式押出機の各加熱ユニットの温度は50℃〜300℃であり、好ましくは100℃〜200℃の間の何れか同一であるか又は異なる温度であることを特徴とする請求項10に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項12】
前記二軸スクリュ式押出機のシリンダー内の気圧は0.5KPa〜1KPaであることを特徴とする請求項10に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項13】
前記二軸スクリュ式押出機のスクリュの長さと直径との比は30〜70であることを特徴とする請求項10に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項14】
前記二軸スクリュ式押出機のスクリュの回転数は5rpm〜200rpmであることを特徴とする請求項10に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項15】
前記二軸スクリュ式押出機のスクリュの材料供給速度は0.5kg/h〜5kg/hであることを特徴とする請求項10に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。
【請求項16】
前記二軸スクリュ式押出機のヘッドは成形装置に連結され、ポリ乳酸及びその製品が直接押出成形されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の二軸スクリュ式押出機によるポリ乳酸及びポリ乳酸製品の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−501358(P2012−501358A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524171(P2011−524171)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/CN2009/073674
【国際公開番号】WO2010/022683
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511053919)南京工▲業▼大学 (3)
【Fターム(参考)】