説明

二輪走行玩具用発射装置

【課題】 小型で安価にして且つ携帯が容易であり、何処でも走行玩具を勢い良く発射することにより長距離を走らせて楽しく遊ぶことのできる発射装置を提供する。
【解決手段】 略水平な平坦板111の前方に下方へ傾斜する傾斜板115を有する台部105の後方に、後輪を平坦板111から浮かせて後輪軸受けを支持する支持部及び支持段部295を有し、支持部及び支持段部295の前方に係止体195を有し、且つ、後輪と同軸の歯車と噛合する係合歯車277を備えたギアーボックスを備え、台部105の側方にプッシュボタン223を備えたグリップ220が取り付けられ、プッシュボタン223を押下したとき、係止体195を降下させるリンク機構をグリップ受け部133及び台部105に内蔵し、係止体195が降下したとき、後輪軸受けが支持部及び支持段部295から外れて後輪を平坦板111に着地させて発射する発射装置100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライホイールを用い、補助輪を有することなく前後二輪での走行を行う走行玩具の発射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、フライホイールを高速回転させたときの軸安定性を利用し、自転車の形やオートバイの形をして前輪及び後輪での二輪による走行をさせることのできる玩具が種々提供されている。
このような玩具では、フライホイールの回転により玩具を立てた状態に維持するのみでなく、フライホイールの回転によって車輪を回転させて玩具の走行を行わせるものが多い。
【0003】
更に、単に玩具を走行させるのみでなく、エンジンから火花を発するように見せる工夫と合わせてフライホイールを一方の側壁側に偏倚させておき、フライホイールの回転速度が低下すると車体を若干傾けてカーブ走行を行うようにする玩具が提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
又、後輪をフライホイールとして回転させることにより二輪走行を行わせるのみでなく、マフラー形状の突出部を後輪の両側で後方に突出させ、この突出部の後端と後輪とを接地させて一輪走行(ウイリー走行)を可能とし、走行状態に変化を持たせる玩具も提案されている(例えば特許文献2)。
【0005】
尚、このような二輪走行玩具は、後輪を接地させて玩具を手で移動させることによりフライホイールに回転を与えるようにする場合のみでなく、後輪にピニオンギヤを設けておき、ラックベルトの歯をピニオンギヤに噛合させ、ラックベルトを引っ張ることにより後輪を回転させてフライホイールを高速回転させ、二輪走行玩具を走らせるようにするものがある(例えば特許文献2)。
【0006】
更には、フライホイールの高速回転を容易に行って二輪走行玩具を勢いよく発射するため、二輪走行玩具の後輪に設けたピニオンギヤを回転させ易くすると共に、スプリングを用いて二輪走行玩具を前方に放出することができるようにした発射装置も提案されている(例えば特許文献3)。
【特許文献1】実開昭62−139580号公報
【特許文献2】実開昭58−86192号公報
【特許文献3】実開平3−18894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のようにフライホイールを用いた二輪走行玩具は、フライホイールを組み込む後輪を高速回転させることにより、面白く又楽しく遊ぶことができるも、発射装置などの道具を用いなければ、フライホイールを高速回転させることが簡単にはできず、走行玩具を勢い良く走らせることができない欠点があった。
【0008】
そして、前述の後輪を回転させた二輪走行玩具をスプリングにより前方に放出する発射装置は、走行玩具を勢い良く発射させることはできるも、発射装置が複雑且つ大型化し、携帯に不便を感じることがあり、又、高価となる欠点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点を解決し、小型で安価にして且つ携帯が容易であり、何処でも走行玩具を勢い良く走らせて楽しく遊ぶことのできる発射装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、略水平な平坦板111の前方に平坦板111から連続して下方へ傾斜する傾斜板115を有する台部105の後方に、走行玩具350の後輪363を平坦板111から浮かせて走行玩具350の後輪軸受け373を支持する支持部143及び支持段部295を有し、支持部143及び支持段部295の前方に後輪軸受け373が支持部143及び支持段部295から落下することを防止する第1係止体193及び第2係止体195を有し、且つ、走行玩具350における後輪363と同軸の歯車と噛合する係合歯車277を備えたギアーボックス270を台部105に備え、台部105の側方にグリップ受け部133を有してグリップ受け部133にプッシュボタン223を備えたグリップ220が取り付けられ、プッシュボタン223を押下したとき、第1係止体193及び第2係止体195を降下させるリンク機構をグリップ受け部133及び台部105に内蔵し、第1係止体193及び第2係止体195が降下したとき、後輪軸受け373が支持部143及び支持段部295から外れて後輪363を平坦板111に着地させ、走行玩具350を平坦板111及び傾斜板115の上を走行させて発射する発射装置100である。
【0011】
また、ギアーボックス270は、ベルト挿入穴301及びベルト貫通穴305を有してラックベルト310を貫通可能とし、ラックベルト310と噛合する第1小歯車271と複数の歯車を内蔵し、係合歯車277と同軸とされて係合歯車277と一体的に回転する出力歯車を内蔵した複数の歯車によって第1小歯車271よりも高速回転させるものであり、第1小歯車271から出力歯車に回転を伝達するときには出力歯車と噛合する可動歯車を備えていることが好ましい。
【0012】
そして、この発射装置100は、走行玩具350の後輪363を覆う後輪カバー241を備えた台カバー230を有し、平坦板111に設けたギアーボックス穴149に挿入されたギアーボックス270を台カバー230で上から押圧して固定し、台部105側方のグリップ受け部133にグリップ220を着脱可能とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、平坦板と傾斜板とを有する台部の後方に支持部や支持段部とギアーボックスを有し、ギアーボックスの係合歯車を走行玩具の歯車と噛合させて後輪を高速回転させることができ、回転した後輪を平坦板に着地させ、平坦板及び傾斜板を走行させて床などの走行面に走行玩具を発射する装置であるから、単純な発射装置とし、小型軽量化が容易であり、携帯が容易であって走行玩具の発射を容易且つ確実とすることができる。
【0014】
また、ギアーボックスに出力歯車と噛合する可動歯車を内蔵する発射装置は、ラックベルトなどにより走行玩具の後輪を回転させた後、可動歯車と出力歯車との噛合を外し、走行玩具を発射装置で支持した状態のときの後輪の回転速度の低下を少なくすることができる。
【0015】
そして、台カバーによりギアーボックスを固定し、グリップを着脱自在とした発射装置は、発射装置の分解及び組み立てが簡単に行えるものであり、分解して携帯することが容易であり、走行玩具の持ち運びを容易として自由な場所で遊ぶことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る二輪走行玩具350用発射装置100の最良の形態は、略水平な平坦板111の前方に平坦板111から連続して下方へ傾斜する傾斜板115を有する台部105の後方に、走行玩具350の後輪363を平坦板111から浮かせて走行玩具350の後輪軸受け373を支持する支持部143及び支持段部295を有し、支持部143及び支持段部295の前方に後輪軸受け373が支持部143及び支持段部295から落下することを防止する第1係止体193及び第2係止体195を有し、且つ、後輪363と同軸の歯車と噛合する係合歯車277を備えたギアーボックス270を備え、ギアーボックス270は平坦板111に設けたギアーボックス穴149にギアーボックス270の下方が挿入され、走行玩具350の後輪363を覆う後輪カバー241を備えた台カバー230を台部105に有し、ギアーボックス穴149に挿入されたギアーボックス270を台カバー230で上方から押圧して固定し、台部105の側方にグリップ受け部133を有してグリップ受け部133にプッシュボタン223を備えたグリップ220が着脱可能に取り付けられ、プッシュボタン223を押下したとき、第1係止体193及び第2係止体195を降下させるリンク機構をグリップ受け部133及び台部105に内蔵し、第1係止体193及び第2係止体195が降下したとき、後輪軸受け373が支持部143及び支持段部295から外れて後輪363を平坦板111に着地させ、走行玩具350を平坦板111及び傾斜板115の上を走行させて発射する発射装置100とするものである。
【0017】
また、ギアーボックス270は、ベルト挿入穴301及びベルト貫通穴305を有してラックベルト310を貫通可能とし、ラックベルト310と噛合する第1小歯車271と複数の歯車による歯車列を内蔵し、係合歯車277と同軸とされて係合歯車277と一体的に回転する出力歯車である第3歯車275を複数の歯車によって第1小歯車271よりも高速回転させるものとし、第1小歯車271から出力歯車に回転を伝達するときには出力歯車と噛合する可動歯車としての第2大歯車281を歯車列に備えていることが好ましい。
【実施例】
【0018】
本発明に係る発射装置で発射する走行玩具は、図1に示すように、自転車またはオートバイなどの形状を模した走行体360にライダー人形355を乗車させた走行玩具であり、前輪361及び後輪363を回転自在とした走行玩具350である。
更にこの走行玩具350は、後輪363の軸受け部を両側に突出させた後輪軸受け373を有すると共に、後輪363にフライホイール364が組み込まれ、且つ、後輪363と同軸として後輪363と一体に回転する小径歯車371を有するものである。
【0019】
従って、この二輪走行玩具350は、走行体360または後輪軸受け373を手や指で支持し、小径歯車371にラックベルト310のラックまたは高速回転させた歯車の歯を噛合させてフライホイール364を組み込んだ後輪363を高速回転させることができるようにされているものである。
【0020】
そして、本発明に係る発射装置は、図2及び図3に示すように、平坦板111及び平坦板111の前方で平坦板111から連続する傾斜板115などを有する台部105を有し、平坦板111の後方に係合歯車277を備えたギアーボックス270を組み込み、後輪カバー241を有する台カバー230をギアーボックス270に被せた発射装置100であって、台部105の側方にプッシュボタン223を備えたグリップ220を有する発射装置100である。
【0021】
この台部105は、図3及び図4に示すように、先端を傾斜板115により薄くし、発射装置100を床などに置いて発射装置100から発射する走行玩具350を滑らかに床へ着地させるものとし、平坦板111を床から僅かに高くして内部にストッパーのリンク機構となるストッパー板190などを組み込むものである。
【0022】
この台部105における平坦板111の後方には、仕切り板141やギアーボックス穴149を有し、右側壁板121は先端から傾斜板115の傾斜に合わせて後方を順次高くし、平坦板111に沿って一定高さとした後、ギアーボックス穴149よりも僅かに前方で走行玩具350の後輪363の半径よりも僅かに高くしているものである。
【0023】
また、仕切り板141は、右側壁板121よりもわずかに高くされ、右側壁板121と平行に平坦板111の後方上面に設けられるものであり、平坦板111の後端に添って設ける後壁板123から前方にギアーボックス穴149の前後長さと略同一長さとして設けられ、前方上端の角部に矩形の切り欠きを設けて高さを僅かに低くした支持部143を形成しているものである。
【0024】
そして、この仕切り板141の前方へ延長するように平坦板111に長方形の係止板穴145を設けて平坦板111の裏面に貫通する穴を形成し、係止板穴145の前端から右側壁板121へ右側壁板121と同一高さとする板状の前壁側部119を形成するものである。
また、後壁板123は、右側壁板121の後端と同一高さとして平坦板111の幅に等しい幅とし、後壁板123の左端近傍の上端には後方に突出する半円柱状の係合受け突起125を設けるものである。
【0025】
この係合受け突起125は、後端に係合受け突起125よりも少なくとも下方に突出する鍔部126を有し、半円形の中心となる上面には溝状の切欠き部127を有するものである。
また、左側壁板122は、図5に示すように、先端から傾斜板115の傾斜に合わせて後方を順次高くし、平坦板111に沿って一定高さとされてギアーボックス穴149の側方に設けるグリップ受け部133に接続されるものである。
【0026】
このグリップ受け部133は、平坦板111の後方近傍から側方に矩形に突出して突出方向先端を半円形状とされる前方後円柱形状であって、内部を空腔とすると共に上端にはグリップ挿入穴135としての窪みを有し、グリップ挿入穴135の中央には、図4に示すように、内部空腔に貫通する貫通穴137を有して後述する押圧ブロック201の押圧受け部207を突出させているものである。
【0027】
そして、このグリップ受け部133の平坦板111側には後壁板123からギアーボックス穴149の前端よりも僅かに前方の位置まで後壁板123と同一高さの板状のグリップ受け側壁131を有し、グリップ受け側壁131の前端から平坦板111の上に立設する板状の前壁本体部117を有しているものである。
なお、前壁本体部117は、後壁板123及びグリップ受け側壁131と同一高さとし、上端の一部には切り欠いたベルト受け溝129を有するものである。
【0028】
また、この台部105の上カバー110は、ギアーボックス穴149の仕切り板141の側において、ギアーボックス穴149の縁に沿って後壁板123から台部105の先端に至る浅溝状の溝部113を平坦板111及び傾斜板115の上面に直線状に有し、また、グリップ受け側壁131の内側に沿って平坦板111と同一高さの位置にはギアーボックス穴149の方向に突出する長方形の板状体を固定板部147として有している。
【0029】
更に、グリップ受け側壁131及び固定板部147にはギアーボックス穴149とグリップ受け部133の内腔とを連通させる切欠き部151を形成すると共に、ギアーボックス穴149の内側前方隅角部には、前壁本体部117の内側の平坦板111に切欠き溝153を有しているものである。
そして、この上カバー110の平坦板111の下面にはストッパー板190を収納し、グリップ受け部133の内腔には押圧ブロック201を収納し、ストッパー板190や押圧ブロック201によるリンク機構を形成して底板160を上カバー110にビス止めするものである。
【0030】
この底板160は、上カバー110の平坦板111と略同一大きさとされる本体板161を有し、本体板161の前縁には前端壁163が立設され、本体板161の右端に沿って右側壁167が、本体板161の後端に沿って後端壁165が、本体板161の左端に沿って左側壁171が立設されるものである。
【0031】
なお、底板160の左側後方には、グリップ受け部133に合わせて側方へ矩形に突出し、突出先端を半円形とする膨出部169が本体板161に形成され、左側壁171は直線形状とこの膨出部169の外縁に沿って湾曲した形状とを組み合わせたものとされるものである。
【0032】
そして、前端壁163の内側には、板状の支持板185を前端壁163の両端近くにおいて本体板161から立設し、また、後端壁165と直角に後端壁165から前方に板状の間仕切り板183を立設し、膨出部169には筒状のバネ受け部181を立設しているものである。
【0033】
また、間仕切り板183は、図6に示すように、底板160を上カバー110の内部に収納したとき、底板160の本体板161が上カバー110の右側壁板121や左側壁板122、後壁板123から突出しない高さとされるものであり、この間仕切り板183は上カバー110のギアーボックス穴149の内側に沿った位置に配置されるものである。
【0034】
更に、底板160の右側壁167は上カバー110の右側壁板121の内側に摺接し、底板160の後端壁165は上カバー110の後壁板123の内側に、左側壁171は左側壁板122の内側に摺接して底板160の位置決めを行うものであり、前述のように間仕切り板183の上端を平坦板111の下面に当接すると共に、前端壁163の上端を傾斜板115における平坦板111の近くの下面に当接し、本体板161の膨出部169などの所要箇所に設けたビス穴187に埋設するビスにより上カバー110に固定されるものである。
【0035】
なお、前端壁163の内側に設けた支持板185は、後述するストッパー板190の軸突起191を下から支持するものであり、上カバー110の内側に設けた軸受け板155の下端に設けた凹部に軸突起191を挿入させた状態で軸突起191を下方から支持するものである。
【0036】
このストッパー板190は、略矩形の板状体であり、前端の左右に小円柱状の軸突起191を突出させ、後端の右側には板状の第1係止体193を上方に延設し、後端の略中央には棒状の第2係止体195を上方に延設しているものであり、この第2係止体195の右側には後端から所要深さの切り込みとした切込み部199を有するものであり、左側方後端から後方に突出する棒状の係合棒197を有するものである。
【0037】
そして、このストッパー板190は、第1係止体193を上カバー110の係止板穴145に貫通させ、第2係止体195を上カバー110の切欠き溝153に挿入し、底板160における間仕切り板183の前端をストッパー板190の切り込み部に挟み込むようにして軸突起191を軸受け板155の凹部に挿入してこの軸突起191を揺動中心として揺動可能に台部105に組み込むものである。
【0038】
また、前記ストッパー板190と合わせてリンク機構を形成する押圧ブロック201は、グリップ受け部133の内腔形状に合わせて矩形の一辺から半円状に突出した半円と長方形との組み合わせ形状とされる天板部203を有し、半円の中心から円柱状に上方に突出した突出体205及びこの突出体205の両側から天板部203の矩形の一辺と平行な板状の突出板206を突出体205と同一高さとして有するものである。
【0039】
そして、突出体205と同心状として突出体205から上方に突出する円柱状の押圧受け部207を有し、押圧受け部207の直径はグリップ受け部133に設けた貫通穴137の直径よりも僅かに小さい直径としているものである。
更に、天板部203の下面には、押圧受け部207や突出体205と同軸の円柱棒状体としたバネ受け棒211を有し、天板部203の外周から垂下する複数のスライド側板209を有すると共に、方形部分の下面には板状の係合板部213を垂下し、係合板部213の下端から側方に棒状の挟持突起215を2本突出させているものである。
【0040】
従って、バネ受け棒211をつる巻バネのスプリング219に挿入し、スプリング219の下端を底板160のバネ受け部181に挿入して押圧ブロック201をグリップ受け部133の内腔に挿入すると、スライド側板209により内腔内を上下方向に摺動可能に組み込むことができるものであり、スプリング219の押圧力により突出板206や突出体205の上端をグリップ受け部133の天板下面に押圧して押圧受け部207を貫通穴137から僅かに突出させるものである。
【0041】
また、挟持突起215の先端を上カバー110の切欠き部151から平坦板111の下方に突出させ、平坦板111の下面に配置したストッパー板190の係合棒197を2本の挟持突起215の間に挟みこむものである。
従って、押圧ブロック201をスプリング219の力に抗して押し下げると、ストッパー板190の軸突起191を回転中心としてストッパー板190の後端を下方に下げるようにストッパー板190を僅かに回動させることができ、係止板穴145を貫通する第1係止体193や切欠き溝153に挿入されて平坦板111の上方に突出している第2係止体195を降下させることができる。
【0042】
そして、この台部105のギアーボックス穴149に挿入するギアーボックス270は、上壁板285、前壁板269、後壁板123、底壁板291、及び、側壁板283で構成する本体の内側に複数の歯車を内蔵してカバー板281を被せているものであり、側壁板283及びカバー板281には上壁板285と平行に線状の突出部293を有するものである。
【0043】
また、側壁板283の前方上方には係合歯車277を有し、係合歯車277の上方において、ギアーボックス270の隅角である前壁板289、上壁板285、側壁板283の交点に切欠き部297を備えると共に、この切欠き部297に水平な支持段部295を形成しているものである。
【0044】
更に、このギアーボックス270は、後壁板287の下方から底壁板291の後方には湾曲面を形成して後壁板287と底壁板291とを接続しているものであり、後壁板287のカバー板281側にはベルト挿入穴301を、前壁板289のカバー板281側にはベルト貫通穴305を有するものである。
【0045】
そして、このギアーボックス270の内部には、図7に示すように、ベルト挿入穴301から挿入されるラックベルト310のラックと噛合する第1小歯車271及び第1小歯車271と同軸一体とされた第1大歯車272をギアーボックス270の内部後方上方部分に有し、この第1大歯車272と噛合する第2小歯車273及び第2小歯車273と同軸一体とされた第2大歯車274を第1小歯車271の前方下方に有し、第2大歯車274と僅かな間隙を設けて配置される第3歯車275を第2小歯車273の前方上方に有するものである。
【0046】
この第3歯車275は、側壁板283の外方に設けた係合歯車277よりも小さく、係合歯車277と同軸として係合歯車277と一体的に回転する出力歯車とするものであり、第2小歯車273及び第2大歯車274の回転軸は、第1小歯車271及び第1大歯車272の回転軸位置を中心とする円弧状の長穴とした軸受け部を側壁板及びカバー板281の内側に設けて支持することにより可動歯車としているものである。
【0047】
なお、上壁板285の内側には、ベルト押え303を突出させ、ベルト本体311のラックが第1小歯車271の歯部から外れないようにラックベルト310のベルト本体311を第1小歯車271の近くから離れないように規制しているものである。
従って、ベルト挿入穴301からベルト貫通穴305にラックベルト310のベルト本体311を貫通させるように挿入し、このベルト挿入穴301の近くに位置させた指掛部315に指を掛けてラックベルト310を素早く後方に引き抜くと、ベルト本体311のラックと噛合する第1小歯車271及び同軸の第1大歯車272は前方の歯を上方へ移動させるように回転し、第1小歯車271と噛合する第2小歯車273及び第2小歯車273と同軸一体の第2大歯車274は、その後方の歯を上方へ移動させるように回転する。
【0048】
そして、第2小歯車273及び第2大歯車274は、その軸を長穴状の軸受けにより支持した可動歯車とされているため、回転を開始する際に長穴に沿って上方に移動することにより第2大歯車274を出力歯車である第3歯車275と噛合させて回転することとなり、第3歯車275の後方を下に即ち第3歯車275の上方を後方へ移動させるように回転させることになる。
【0049】
なお、ラックベルト310のベルト本体311が引き抜かれた後は、可動歯車である第2小歯車273及び第2大歯車274はその自重により長穴状の軸受けに沿って下方に移動し、第3歯車275と第2大歯車274との噛合を切り離すものである。
また、このギアーボックス270は、内側上方前方の隅角に切欠き部297を形成しているため、この切欠き部297に第2係止体195の先端を位置させるようにしてギアーボックス穴149に挿入すると、後壁板287と底壁板291とを湾曲面によって接続するようにギアーボックス270の後方下方を円弧状としているため、円滑にギアーボックス270の下方をギアーボックス穴149に挿入することができるものである。
【0050】
そして、側壁板283に設けた突出部293を平坦板111の溝部113の近くに載せ、カバー板281に設けた突出部293を固定板部147に載せて後壁板287を台部105の後壁板123の内側に接するようにしてギアーボックス穴149に挿入固定することができるものである。
【0051】
なお、切欠き部297に設けた支持段部295は仕切り板141の上方前方に設けた支持部143と同一高さにして、且つ、台部105の後壁板123から同一距離と成るように形成しているものであり、第2係止体195の先端は、支持段部295よりも僅かに高く、第1係止体193の上端も支持部143よりも僅かに高くなるように形成しているものである。
【0052】
更に、ギアーボックス270をギアーボックス穴149に固定したとき、ベルト挿入穴301の下半が係合受け突起125に設けた切欠き部127の位置に一致し、ベルト貫通穴305の下半が前壁本体部117に設けたベルト受け溝129の位置に一致するようにしている。
【0053】
そして、この台部105に取り付ける台カバー230は、台部105の右側壁板121からグリップ受け側壁131に至る幅にして後壁板123から前壁本体部117及び前壁側部119に至る長さの上面板231を有し、図3及び図5に示すように、上面板231の左側に左側壁部237を、右側に右側壁部235を、後方に後壁部233を、前方に前壁部239を有し、前壁部239及び上面板231の一部には開口部243を有すると共に、上面板231の開口部243を覆う後輪カバー241を有するものである。
【0054】
また、後壁部233の右端近くには係合突起251を突出させ、係合突起251の先端は係合突起251よりも少なくとも上方に突出する鍔部255を有し、係合突起251の下面中央には溝状の凹部253を有するものである。
この係合突起251は、台部105上カバー110の後壁板123に設けた係合受け突起125に重ね合わせるものであり、凹部253はギアーボックス270のベルト挿入穴301の上半と一致する位置及び形状としているものである。
【0055】
また、前壁部239の下端には、前壁本体部117のベルト受け溝129の位置に合わせて一部切欠いた凹欠部257を有し、この凹欠部257はギアーボックス270のベルト貫通穴305の上半と一致する位置及び形状としているものである。
更に、右側壁部235及び左側壁部237の内側前端には、右側壁部235及び左側壁部237から下方に垂下し下端を前方に突出させたL字状の係合爪249を有し、右側壁部235及び左側壁部237の内側後端近くには右側壁部235及び左側壁部237から下方に突出する係止爪247を有するものである。
【0056】
従って、L字状の係合爪249における前方に突出する下端を台部105の前壁本体部117や前壁側部119に係合させて上面板231でギアーボックス270を覆うようにして係止爪247をグリップ受け側壁131や左側壁板122の内側に挿入すれば、台カバー230の右側壁部235を台部上カバー110の右側壁板121の上端に載置し、台カバー230の後壁部233を台部上カバー110の後壁板123の上端に載置し、台カバー230の左側壁部237を台部上カバー110のグリップ受け側壁131の上端に載置するようにして上面板231の下面でギアーボックス270の上壁板285を上方から押圧固定するものである。
【0057】
なお、台カバー230の上面板231の上には、適宜の装飾体245を付加しているものである。
そして、この台カバー230を台部105に固定するのに使用する係合リング260は、長円形の平板形状とし、長軸方向両端近くには板状に突出するつまみ部265を有し、短軸方向に頂点を、長軸方向には短辺を平行に対向させた6角形の係合穴263を有するものであり、この係合穴263の長軸方向に対向した2つの短辺間の距離が長軸方向の頂点間の距離よりも大きくしているものである。
【0058】
従って、係合リング260の長軸方向を垂直方向として係合突起251及び係合受け突起125を重ねた状態で係合穴263に通した後、図8に示すように、係合リング260を90度回転させると、係合リング260は係合突起251の鍔部255や係合受け突起125の鍔部126に係止され、且つ、係合穴263の短軸方向幅により係合突起251を係合受け突起125に密着させ、台カバー230の後方が持ち上がらないように、ひいては台カバー230が台部105から外れないようにすることができるものである。
【0059】
そして、グリップ220は、掌で握る大きさとした円柱状のグリップ本体221を有し、グリップ本体221の下端には短円筒状の挿入部227を有し、挿入部227の外周対向位置に各々水平方向に突出する係止突起225を有するものである。
従って、この挿入部227をグリップ挿入穴135に挿入し、グリップ本体221を僅かに回転させると係止突起225が係止部139と係合し、グリップ220をグリップ受け部133に固定するように取り付けることができるものである。
【0060】
また、このグリップ本体221の内部には、グリップ本体221の軸方向に沿って上下移動を可能としたプッシュバーを内蔵させるものであり、このプッシュバーの上端をプッシュボタン223としてグリップ本体221の上端に突出させており、プッシュバーの下端を押圧受け部207の上端に接触載置しているものである。
【0061】
従って、グリップ受け部133に固定したグリップ220のプッシュボタン223を押下するとプッシュバーを介して押圧受け部207、即ちリンク機構の押圧ブロック201を降下させることができ、押圧ブロック201の挟持突起215で挟んだストッパー板190の係合棒197を降下させ、平坦板111の上方に突出している第1係止体193や第2係止体195を降下させることができるものである。
【0062】
このため、後輪軸受け373をギアーボックス270の支持段部295及び仕切り板141の支持部143に載置すれば、走行玩具350の小径歯車371を係合歯車277と噛合させて後輪363を後輪カバー241の内側に収納し、第1係止体193や第2係止体195により後輪軸受け373を支持段部295や支持部143から外れないように支持段部295や支持部143に載置した状態で走行玩具350を台部105の上に乗せて支持することができるものである。
【0063】
そして、ベルト挿入穴301から挿入したラックベルト310を素早く引き抜くと、第1小歯車271を回転させ、第2小歯車273及び第3小歯車をより高速で回転させて係合歯車277により後輪363を高速回転させることができ、走行玩具350の向きや溝部113の向きを所定方向としてプッシュボタン223を押し込めば、第1係止体193や第2係止体195を降下させて支持段部295や支持部143に不安定に支持されていた後輪軸受け373を支持段部295や支持部143から前方に落下させ、後輪363を平坦板111の溝部113に着地させて走行玩具350を発射することができるものである。
【0064】
なお、ラックベルト310を引き抜いた後は、可動歯車である第2大歯車274が出力歯車である第3歯車275から離れるため、フライホイールによる後輪363の回転に合わせて係合歯車277及び出力歯車とされた第3歯車275のみが回転し、加速歯車列である第1小歯車271乃至第2大歯車274には回転が伝達されないため、フライホイール364の回転への抵抗が小さく、後輪363の回転速度の減少を少なくすることができ、方向を定めて走行玩具350を床などの走行面に発射するまでの時間が多少経過しても、後輪363の高速回転を持続させて勢い良く走行面の上を走らせるように走行玩具350を発射することができるものである。
【0065】
また、グリップ220をグリップ受け部133に着脱可能としているため、グリップ220を外して小型として携帯することを容易とし、遊び場所を選択して持ち運ぶことが容易にできるものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る二輪走行玩具の発射装置は、容易に走行玩具のフライホイールを高速回転させて発射することができると共に、単純な構造にして携帯が容易な二輪走行玩具用発射装置である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】二輪走行玩具の一例を示す側面図。
【図2】本発明に係る二輪走行玩具用発射装置の斜視図。
【図3】本発明に係る二輪走行玩具用発射装置の分解斜視図。
【図4】本発明に係る二輪走行玩具用発射装置の台部の分解斜視図。
【図5】本発明に係る二輪走行玩具用発射装置の分解斜視図。
【図6】本発明に係る二輪走行玩具用発射装置の断面側面図。
【図7】本発明に係る二輪走行玩具用発射装置におけるギアーボックスの内部構造を示す図。
【図8】本発明に係る二輪走行玩具用発射装置の背面図。
【図9】本発明に係る二輪走行玩具用発射装置から走行玩具を発射する状態を示す図。
【符号の説明】
【0068】
100 発射装置
105 台部
110 上カバー 111 平坦板
113 溝部 115 傾斜板
117 前壁本体部 119 前壁側部
121 右側壁板 122 左側壁板
123 後壁板 125 係合受け突起
126 鍔部 127 切欠き部
129 ベルト受け溝 131 グリップ受け側壁131
133 グリップ受け部 135 グリップ挿入穴
137 貫通穴 139 係止部
141 仕切り板 143 支持部
145 係止板穴 147 固定板部
149 ギアーボックス穴 151 切欠き部
153 切欠き溝 155 軸受け板
160 底板
161 本体板 163 前端壁
165 後端壁 167 右側壁
169 膨出部 171 左側壁
181 バネ受け部 183 間仕切り板
185 支持板 187 ビス穴
190 ストッパー板
191 軸突起 193 第1係止体
195 第2係止体 197 係合棒
199 切込み部
201 押圧ブロック
203 天板部 205 突出体
206 突出板 207 押圧受け部
209 スライド側板 211 バネ受け棒
213 係合板部 215 挟持突起
219 スプリング
220 グリップ
221 グリップ本体 223 プッシュボタン
225 係止突起 227 挿入部
230 台カバー
231 上面板 233 後壁部
235 右側壁部 237 左側壁部
239 前壁部 241 後輪カバー
243 開口部 245 装飾体
247 係止爪 249 係合爪
251 係合突起 253 凹部
255 鍔部 257 凹欠部
260 係合リング
263 係合穴 265 つまみ部
270 ギアーボックス
271 第1小歯車 272 第1大歯車
273 第2小歯車 274 第2大歯車
275 第3歯車 277 係合歯車
281 カバー板 283 側壁板
285 上壁板 287 後壁板
289 前壁板 291 底壁板
293 突出部 295 支持段部
297 切欠き部 301 ベルト挿入穴
303 ベルト押え 305 ベルト貫通穴
310 ラックベルト
311 ベルト本体 315 指掛部
350 走行玩具
355 ライダー人形
360 走行体
361 前輪 363 後輪
364 フライホイール 371 小径歯車
373 後輪軸受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平な平坦板の前方に平坦板から連続して下方へ傾斜する傾斜板を有する台部の後方に、走行玩具の後輪を平坦板から浮かせて後輪軸受けを支持する支持部及び支持段部を有し、支持部及び支持段部の前方に後輪軸受けが支持部及び支持段部から落下することを防止する係止体を有し、且つ、後輪と同軸の歯車と噛合する係合歯車を備えたギアーボックスを備え、台部の側方にグリップ受け部を有してグリップ受け部にプッシュボタンを備えたグリップが取り付けられ、プッシュボタンを押下したとき、前記係止体を降下させるリンク機構をグリップ受け部及び台部に内蔵し、係止体が降下したとき、後輪軸受けが支持部及び支持段部から外れて後輪を平坦板に着地させ、走行玩具を平坦板及び傾斜板の上を走行させて発射することを特徴とする二輪走行玩具用発射装置。
【請求項2】
ギアーボックスは、ベルト挿入穴及びベルト貫通穴を有してラックベルトを貫通可能とし、ラックベルトと噛合する第1小歯車と複数の歯車を内蔵し、係合歯車と同軸とされて係合歯車と一体的に回転する出力歯車を内蔵した複数の歯車によって第1小歯車よりも高速回転させるものであり、第1小歯車から出力歯車に回転を伝達するときに出力歯車と噛合する可動歯車を備えていることを特徴とする請求項1に記載した二輪走行玩具用発射装置。
【請求項3】
走行玩具の後輪を覆う後輪カバーを備えた台カバーを有し、平坦板に設けたギアーボックス穴に挿入されたギアーボックスを台カバーで上方から押圧して固定し、台部側方のグリップ受け部にグリップを着脱可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載した二輪走行玩具用発射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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