説明

二輪電動車

【課題】バッテリーの電圧が満充電に近い状態で走行を開始しても、バッテリーが過充電になることを防ぎ、電力消費手段や、該電力消費手段の近傍の機器が破損することを防ぐことを課題とする。
【解決手段】車輪を駆動する電気モータと、電気モータに電力を供給するバッテリーと、電気モータに供給する電力量を増減させるアクセル装置と、電気モータとバッテリーとに繋がる第一系統と、バッテリーを迂回して電気モータに繋がる第二系統と、第一系統及び第二系統を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替える制御手段とを備えてなり、制御手段は、起動時のバッテリーの電圧に応じて第一系統を電気モータからバッテリーに向けて通電不能な状態にし、且つ第二系統を通電不能な状態にすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータで車輪を駆動させて走行する二輪電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車輪を駆動させる電気モータと、該電気モータに電力を供給するバッテリーとを備えた二輪電動車が提供されている。
【0003】
この種の二輪電動車は、走行時に運転者が操作するアクセル装置を備えている。該アクセル装置は、電気モータの駆動状態を変更させるもので、運転者による操作量に応じて電気モータに供給する電力量を増減させるようになっている。これにより、該二輪電動車は、アクセル装置に対する操作量に応じて加減速でき、また、アクセル装置に対する操作を解除すると電気モータへの電力の供給を停止するようになっている。
【0004】
そして、この種の二輪電動車には、電気モータの駆動力を車輪に直接伝達するように構成され、走行中にアクセル装置に対する操作を解除したり下り坂を走行したりしたときに、惰性による走行で車輪の回転力が電気モータに伝達されるように構成されたものがある。かかる二輪電動車は、惰性による走行時に車輪の回転力で電気モータを回転させて電気モータに電力を発生させ(電気モータを回生させ)、該電気モータが発生した電力(以下、回生電力という)でバッテリーを充電できるように構成されている。そして、該二輪電動車は、バッテリーが満充電又は満充電に近い状態で充電を行うと、該バッテリーが過充電となって破損する虞があるため、バッテリーが満充電又は満充電に近い状態で回生電力がバッテリーに供給されないように構成されている。
【0005】
具体的に説明すると、前記二輪電動車は、電気モータとバッテリーとを繋ぐ第一系統と、バッテリーを迂回して電気モータに繋がり、前記回生電力を消費する(電力を熱に換えて消費する)電力消費手段が介設された第二系統とを備えている。これに伴い、前記二輪電動車は、バッテリーの電圧の状態に応じて第一系統及び第二系統を電力を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替える制御手段を備えている。そして、該制御手段は、第一系統及び第二系統を電力を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるための基準として、第一基準電圧と該第一基準電圧よりも高い電圧の第二基準電圧とが設定されている。
【0006】
そして、この種の二輪電動車は、例えば、平坦な道や上り坂を走行する場合、バッテリーからの電力供給で電気モータを駆動させるため、走行に伴う電力消費でバッテリーの電気容量(電圧)が低下するとして、走行時にバッテリーの電圧が第一基準電圧を下回ると、制御手段によって第一系統が電力を通電可能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電不能な状態に設定されるように構成されている。これにより、該二輪電動車は、第一系統が電力を通電可能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電不能な状態に設定されている状態で惰性によって走行すると、電気モータからの回生電力が第一系統を通ってバッテリーに供給され、回生電力によってバッテリーを充電できるようになっている。
【0007】
そして、前記二輪電動車は、上述の如く、第一系統が電力を通電可能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電不能な状態に設定されている状態で惰性によって走行し続けた場合、回生電力による充電でバッテリーの電圧が上昇し続けるため、バッテリーの電圧が第二基準電圧を上回ると、制御手段によって第一系統が通電不能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電可能な状態に設定されるように構成されている。これにより、該二輪電動車は、第一系統が通電不能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電可能な状態に設定されている状態で惰性によって走行すると電気モータからの回生電力を第二系統上の電力消費手段に消費させ、電気モータに制動力を働かせる(回生ブレーキを作動させる)ようになっている。
【0008】
また、この種の二輪電動車は、起動時におけるバッテリーの電圧が第二基準電圧未満であると、制御手段によって第一系統が電力を通電可能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電不能な状態に設定され、走行中にバッテリーの電圧が第二基準電圧を超えると制御手段によって第一系統が通電不能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電可能な状態に設定されるように構成されている。これにより、前記二輪電動車は、バッテリーの電圧が第二基準電圧未満の状態で起動すると、惰性による走行を行なったときに回生電力でバッテリーを充電し、充電に伴ってバッテリーの電圧が第二基準電圧を超えると回転電力を電力消費手段に消費させるようになっている。
【0009】
そして、この種の二輪電動車は、上述の如く、第一系統が通電不能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電可能な状態に設定されている状態でアクセル装置を操作することによって平坦な道や上り坂を走行する場合、バッテリーからの電力供給で電気モータを駆動し、走行に伴う電力消費でバッテリーの電圧が第一基準電圧を下回ると、制御手段によって第一系統が電力を通電可能な状態に設定されるとともに、第二系統が電力を通電不能な状態に設定されるように構成されている。これにより、該二輪電動車は、次回の惰性による走行を行なったときに、電気モータからの回生電力でバッテリーを充電できるようになっている。
【0010】
このように、この種の二輪電動車は、バッテリーの電圧に応じて第一系統及び第二系統を電力を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えることで、バッテリーの過充電を防止できるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−95105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
例えば、二輪電動車の使用者が山頂に居住している場合、帰宅時に回生充電が行われることは少なく、帰宅時には電池の残量が少なくなっていることが多いので、帰宅後には充電を行い次の使用時には電池がほぼ満充電になっていることが多い。そして、次の使用時には坂道を下ることになるため、使用開始直後から回生充電が始まる。
【0013】
そのため、上記のような二輪電動車では、上記坂道が長く続くと、電力消費手段が長時間に亘って熱を発生させ続けることになり、電力消費手段から発生する熱の影響によって電力消費手段が破損するだけでなく、電力消費手段の近傍に配置された基板やコントローラ等の各種機器も破損する虞がある。
【0014】
このような問題を解決するには、電力消費手段の電気抵抗を大きくして熱容量を大きくすることや、電力消費手段に放熱フィンを取り付けて該電力消費手段の放熱性能を向上させることが考えられるが、前記二輪電動車は、基板やコントローラ等の各種機器を搭載できるスペースが限られているため、電力消費手段が大型になる構成を採用することができない。
【0015】
また、前記第二系統に電力が供給されている状態で、回生電力を消費させる際に発生する熱の影響によって前記電力消費手段や、該電力消費手段の近傍に配置された基板やコントローラ等の各種機器が破損する虞がある場合に、予め第二系統を通電不能な状態に設定する(回生電力を第二系統に通電させないようにする)ことも考えられるが、このようにすると、電気モータからの回生電流の行き場がなくなり、モータの破損を惹き起こす。
【0016】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、バッテリーの電圧が満充電に近い状態で走行を開始しても、バッテリーが過充電になることを防ぐことができ、電力消費手段や、該電力消費手段の近傍に配置された機器が破損することを防ぐことのできる二輪電動車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る二輪電動車は、車輪を直接駆動する電気モータと、該電気モータに電力を供給するバッテリーと、操作量に応じて前記電気モータに供給する電力量を増減させるアクセル装置と、電気モータとバッテリーとに繋がる第一系統と、バッテリーを迂回して電気モータに繋がる第二系統と、バッテリーの電圧の状態に応じて第一系統及び第二系統を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるスイッチ手段とを備え、
さらに前記電気モータはモータの回生可能動作と非回生動作を切り替えるモータの駆動制御手段を備え、
バッテリーはバッテリーを構成する各単電池の電圧を検出してその検出電圧を前記スイッチ手段に出力する電圧監視手段を備え、
前記第二系統は電気モータから発生する回生電力を熱に換えて消費するための電力消費手段を備え、
前記スイッチ手段は、第一系統及び第二系統を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるための基準として第一基準電圧と該第一基準電圧よりも低い電圧の第一復帰基準電圧とが設定され、バッテリーを構成するいずれかの単電池の電圧が第一基準電圧を上回ると第一系統のバッテリーが充電される方向の経路を通電不能な状態にすると共に第二系統を通電可能な状態にするように切り替え動作し、この動作の後でバッテリーを構成するいずれかの単電池の電圧が第一復帰基準電圧以下になると第一系統を通電可能な状態にすると共に第二系統を通電不能な状態にするように切り替え動作し、
前記駆動制御手段は、モータを回生可能動作と非回生動作に切り替えるための基準として第二基準電圧と該第二基準電圧よりも高い第三基準電圧と、第三基準電圧よりも低い電圧の第二復帰基準電圧とが設定され、
起動時にバッテリーの電圧が第二基準電圧以下であるとモータを回生可能動作とし、起動時にバッテリーの電圧が第二基準電圧を越えているとモータを非回生動作とし、この後にバッテリーの電圧が第二基準電圧以下となるとモータを回生可能動作とし、
回生可能動作中に第三基準電圧を越えるとモータを非回生動作とし、第三基準電圧を越えてモータが非回生動作となった後に第二復帰基準電圧以下になるとモータを回生可能動作とする、
ことを特徴とする。
【0018】
上記構成の二輪電動車は、スイッチ手段がバッテリーを構成するいずれかの単電池の電圧が第一基準電圧を上回ると第一系統のバッテリーが充電される方向の経路を通電不能な状態にすると共に第二系統を通電可能な状態にするように切り替え動作して、単電池の過充電を防止すると共に、放電は可能な状態にして過充電状態の速やかな解消を可能にしている。
そして、この動作の後にバッテリーを構成するいずれかの単電池の電圧が第一復帰基準電圧以下になると第一系統を通電可能な状態にすると共に第二系統を通電不能な状態にするように切り替え動作して、電力消費手段の発熱を極力少なくする。
【0019】
また、前記駆動制御手段が、起動時にバッテリーの電圧が第二基準電圧以下であるとモータを回生可能動作とし、起動時にバッテリーの電圧が第二基準電圧を越えているとモータを非回生動作とするので、バッテリーが満充電状態や満充電状態に近い状態の場合には回生充電が行われないために、山頂から下り始めるような場合であっても、下り始めてすぐにスイッチ手段が動作して電力消費手段が発熱を始めることが防がれ、電力消費手段の過度の昇温を防止できる。
【0020】
さらに、バッテリー残量が多いときには最初から回生動作が働かないので、山頂から長い坂道を下り始めたような場合であっても、下り坂の途中で回生動作が停止して回生ブレーキが突然働かなくなるということが少なくなる。
【0021】
また、回生可能動作中に第三基準電圧を越えるとモータが非回生動作となり、第三基準電圧を越えてモータが非回生動作となった後に第二復帰基準電圧以下になるとモータが回生可能動作に戻るので、回生電流が吸収されなくなってもモータの破損が抑制され、さらに、電池の過充電も防止される。
【0022】
前記スイッチ手段は、バッテリーを構成するいずれかの単電池の電圧が第一基準電圧を上回ると第一系統のバッテリーが充電される方向の経路を通電不能な状態にするようにしているが、第一系統を両方向で通電不能とする構成としても良い。この場合、単電池の電圧が第一復帰基準電圧以下になるのに上記構成より時間を要することになる。
【0023】
前記スイッチ手段の第一基準電圧は、バッテリーを構成する単電池の満充電電圧を上回り、かつ、単電池の安全性を損なわない電圧に設定するのが好ましく、第一復帰基準電圧は、電力消費手段の動作をできるだけ短くするという観点から、単電池の満充電電圧以下とするのが好ましい。
【0024】
前記駆動制御手段の第二基準電圧は、バッテリーを構成する単電池の満充電電圧の合計に対応するバッテリーの満充電電圧よりも小さい電圧とし、その差は回生充電効率と連続回生充電時間とを考慮して、想定走行条件の下で満充電となるまでに余裕のある電圧値とする。さらに、第一復帰基準電圧の合計に対応するバッテリー電圧よりも小さくするのが良い。第一復帰基準電圧は満充電にできるだけ近い値とするのが好ましく、これに対して、第二基準電圧は下り坂の途中で電池が満充電になって回生動作が停止することを避けるようにする必要があるためである。
さらに、単電池を複数組み合わせて構成しているバッテリーでは、単電池のばらつきがあるため、ばらつきがあっても条件が同じにならないようにする必要があるからである。
【0025】
前記駆動制御手段の第三基準電圧は、バッテリーを構成する単電池の電圧に関係する第一基準電圧の合計に対応するバッテリー電圧よりも大きい電圧とするのが好ましい。これは、単電池を複数組み合わせて構成しているバッテリーでは単電池のばらつきがあるため、ばらつきがあっても条件が同じにならないようにするためであり、スイッチ手段による過充電防止に対するさらなる安全装置として機能するからである。
この電圧の大きさは、モータの破損を招かないようにモータを構成する部品の耐圧を考慮して決定し、さらには、電池の過充電による破損を防止できる電圧とするのが良い。
【0026】
前記駆動制御手段の第二復帰基準電圧は、第二基準電圧と同様の理由により、第一復帰基準電圧の合計に対応するバッテリー電圧よりも小さくするのが良く、回生電力をできるだけ多く回収するために第二基準電圧より大きい方が良い。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の回生充電機能付二輪電動車によれば、バッテリーの電圧が満充電に近い状態で走行を開始しても、バッテリーが過充電になることを防ぐことができ、電力消費手段や、該電力消費手段の近傍に配置された機器が破損することを防ぐことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る二輪電動車の斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る二輪電動車の側面図を示す。
【図3】同実施形態に係る二輪電動車の正面図を示す。
【図4】同実施形態に係る二輪電動車の電力系統図を示す。
【図5】同実施形態に係る二輪電動車を走行させたときのバッテリー電圧の推移を示す。
【図6】同実施形態に係る二輪電動車を走行させたときのバッテリー電圧の推移を示す。
【図7】同実施形態に係るバッテリー電圧の推移を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係る二輪電動車について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0030】
本実施形態に係る二輪電動車は、図1及び図2に示す如く、前輪2及び後輪3を一輪ずつ備えるとともに、後輪3の両側に上下動可能な一対の補助輪4,4を備えている。そして、該二輪電動車1は、前輪2及び後輪3のうち、少なくとも前輪2が電気モータM1,M2で駆動するように構成され、ハンドル(後述するハンドルバー7)の操作で前輪2を操舵するように構成されている。
【0031】
具体的に説明すると、本実施形態に係る二輪電動車1は、運転者が着座するシート部50の取り付けられた車体フレーム5と、該車体フレーム5の前部に対して縦方向に延びる軸線回りで回転自在に取り付けられたフロントフォーク6と、該フロントフォーク6の上端側に連結されたハンドルバー7と、前記フロントフォーク6の下端部に対して前記縦方向と直交する方向(以下、横方向)に延びる軸線回りで回転可能に取り付けられた前輪2と、前記車体フレーム5の後部に対して横方向に延びる軸線を支点にして上下方向に揺動可能に取り付けられたスイングアーム8と、車体フレーム5及びスイングアーム8に懸架されたリアサスペンション9と、前記スイングアーム8に対して横方向に延びる軸線回りで回転可能に取り付けられた後輪3とを備えている。
【0032】
そして、前記二輪電動車1は、上述の如く、一対の補助輪4,4を備えており、各補助輪4,4はスイングアーム8に対して上下方向に揺動可能に取り付けられた補助アーム80に支持されている。該補助アーム80は、スイングアーム8の回転軸と略平行な回転軸を中心にして回転可能に構成されている。そして、補助輪4,4は、前記補助アーム80に対して横方向に延びる軸回りで回転自在に構成されている。
【0033】
さらに、前記二輪電動車1は、図3に示すように補助アーム80とスイングアーム8との間に独立懸架装置(以下、補助サスペンションという)81が介装され、一対の補助輪4,4のそれぞれが補助サスペンション81の付勢力で下方に押し下げられて路面に接触し、また、路面の起伏に応じて上下動するようになっている。
【0034】
これにより、前記二輪電動車1は、旋回等を円滑に行えるようにした上で転倒防止が図られている。なお、本実施形態に係る二輪電動車1は、一対の補助輪4,4が後輪3の両側に配置されることで、後輪3が三つあるように見えるが(図1参照)、ここで言う後輪3は駆動を受ける車輪のことを意味しており、回転自在な補助輪4,4は後輪3には含まれない。
【0035】
そして、本実施形態に係る二輪電動車1は、図1、図2、及び図4に示す如く、前記車輪(前輪2、及び後輪3)を駆動させる電気モータM1,M2と、該電気モータM1,M2に電力を供給するバッテリー10とを備えている。また、本実施形態に係る二輪電動車1は、運転者の操作量に応じてバッテリー10から電気モータM1,M2に供給する電力量を増減させるアクセル装置16を備えている。
【0036】
前記電気モータM1,M2は、図1及び図2に示す如く、前輪2及び後輪3の回転中心に組み込まれたインホイールモータによって構成されている。該インホイールモータM1,M2は、バッテリー(直流電源)10からの電力供給で制御駆動できれば、直流モータ又は交流モータの何れであってもよく、出力を考慮すれば、モータ効率が高効率で出力が高出力な永久磁石型同期モータを採用することが好ましい。
【0037】
また、前記インホイールモータM1,M2は、自身の駆動力を前輪2及び後輪3に直接伝達するように構成されている。これにより、前記インホイールモータM1,M2は、前輪2,後輪3の回転力が伝達されて回転すると、電力(以下、回生電力という)を発生させる。
【0038】
前記バッテリー10は、複数のセル(単電池、図示しない)が直列に接続されることによって構成されている。また、前記バッテリー10は、セルの数を特に問うものではないが、本実施形態では、10個のセル(単電池)が直列に接続されており、満充電時の電圧が41Vとなるように構成されている。さらに、本実施形態に係るバッテリー10は、後輪3の上方に配置されバッテリーボックス11に収容されている。
【0039】
前記アクセル装置16は、ハンドルバー7に取り付けられている。そして、前記アクセル装置16は、ハンドルバー7の一端部に装着されたスロットル160を備えており、該スロットル160をハンドルバー7の一端部の延びる方向の軸線回りで回転可能に構成されている。本実施形態に係る二輪電動車1は、スロットル160を回転させると、スロットル160の回転量(操作量)に応じてバッテリー10からインホイールモータM1、M2に供給する供給電力の電力量を増減させるように構成されている。
【0040】
なお、本実施形態において、加速を行うべく軸線周りの一方側に(手前側に)スロットル160を回転させることをスロットル160を開くといい、スロットル160を軸線周りの他方側に(図面奥側に)回転させることをスロットル160を閉じるということとする。
【0041】
本実施形態に係る二輪電動車1は、図4に示す如く、インホイールモータM1,M2とバッテリー10とを繋ぐ第一系統12と、バッテリー10を迂回してインホイールモータM1,M2に繋がる第二系統13とを備えている。これに伴い、前記二輪電動車1は、バッテリー10の電圧の状態に応じて第一系統12及び第二系統13を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替える制御手段14を備えている。本実施形態に係るスイッチ手段14は、図1,図2に示す如く、バッテリーボックス11に隣接して配置された制御ボックス15に収容されている。また、本実施形態に係るスイッチ手段14は、基板で構成されており、第一系統12及び第二系統13の一部が配置されている。なお、本実施形態に係る二輪電動車1は、インホイールモータM1,M2とバッテリー10が駆動制御手段18を介して第一系統12と、第二系統13とに接続されている。
【0042】
具体的に説明すると、前記第一系統12は、図4に示す如く、インホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けて通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるための充電スイッチ140と、バッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるための供給スイッチ141が設けられている。
【0043】
前記充電スイッチ140は、バッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能で且つインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けても通電可能なオン状態と、バッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能で且つインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けて通電不能なオフ状態とに切り替わることができるように構成されている。
【0044】
前記供給スイッチ141は、バッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能で且つインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けても通電可能なオン状態と、バッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電不能で且つインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けて通電可能なオフ状態とに切り替わることができるように構成されている。
【0045】
前記第二系統は、インホイールモータM1,M2から電力消費手段130に向けて通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるための消費スイッチ142が設けられている。また、前記第二系統13は、インホイールモータM1,M2から発生する回生電力を消費する電力消費手段130を備えている。本実施形態における二輪電動車1は、電力消費手段130として、抵抗器が採用されており、インホイールモータM1,M2からの回生電力を熱に換えて消費することができるように構成されている。
【0046】
前記消費スイッチ142は、インホイールモータM1,M2から電力消費手段130に向けて通電可能なオン状態と、インホイールモータM1,M2から電力消費手段130に向けて通電不能なオフ状態とに切り替わることができるように構成されている。
【0047】
本実施形態に係るスイッチ手段14は、上述のように、第一系統12及び第二系統13の一部が配置されており、充電スイッチ140と、供給スイッチ141と、消費スイッチ142とが取付けられている。これに伴い、本実施形態に係るスイッチ手段14は、バッテリー10のセル電圧に応じて充電スイッチ140、供給スイッチ141、消費スイッチ142のそれぞれを制御するスイッチ切替手段143を備えている。そして、本実施形態に係るスイッチ手段14は、第一系統12及び第二系統13を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるための基準として第一基準電圧と該第一基準電圧よりも低い電圧の第一復帰基準電圧とが設定されている。なお、本実施形態に係るスイッチ手段14は、第一基準電圧が4.15Vに設定され、第一復帰基準電圧が4.1Vに設定されている。
【0048】
本実施形態に係る二輪電動車1は、バッテリー10のセル電圧を検知する電圧検知手段144を備えており、該電圧検知手段144が検知したバッテリー10のセル電圧に基づいてスイッチ切替手段143が充電スイッチ140、供給スイッチ141、消費スイッチ142のそれぞれを制御するように構成されている。なお、電圧検知手段144はバッテリー10に内蔵された電圧監視手段からの信号により電圧を検知する。本実施形態に係る電圧検知手段144は、スイッチ手段14に組み込まれている。また、本実施形態に係る電圧検知手段144は、バッテリー10を構成する各セルの電圧を検知している。
【0049】
本実施形態に係る駆動制御手段18は、バッテリー10の電圧を検知しており、検知したバッテリー10の電圧に応じてモータを回生可能動作と非回生動作に切り替えるための基準として、第二基準電圧と該第二基準電圧よりも高い第三基準電圧と、第三基準電圧よりも低い電圧の第二復帰基準電圧とが設定されており、第二基準電圧は40V、第三基準電圧は44V、第二復帰基準電圧は40.5Vに設定されている。
【0050】
前記二輪電動車1は、起動時におけるバッテリー10の電圧が第二基準電圧以下であると、駆動制御手段18がインホイールモータM1,M2を回生可能動作とする。このとき、セル電圧は、通常、第一基準電圧以下となるため、スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)は、充電スイッチ140及び供給スイッチ141をオン状態に設定し、消費スイッチ142をオフ状態に設定する。
【0051】
前記二輪電動車1は、起動時におけるバッテリー10の電圧が第二基準電圧を超えていると、駆動制御手段18がインホイールモータM1,M2を非回生動作とする。そして、走行開始によりバッテリー電圧が低下し、第二基準電圧以下となると、インホイールモータM1,M2を回生可能動作とする。
このときもスイッチ手段14(スイッチ切替手段143)は、セル電圧に応じて動作する。
【0052】
回生可能動作の状態で走行して回生充電が行われてセル電圧が上昇し、第一基準電圧を超えると、スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)は、消費スイッチ142をオン状態にした後、充電スイッチ140をオフ状態(供給スイッチ141はオン状態のまま)にする。これによりセルの過充電は防止され、回生電流の過渡的な遮断も防止される。
【0053】
この状態で回生動作が終了すると、電池からの放電が電力消費手段130により速やかに行われてセル電圧が低下し、第一復帰基準電圧以下になると、スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)は、充電スイッチ140をオン状態(供給スイッチ141はオン状態のまま)にし、その後、消費スイッチ142をオフ状態に設定する。これにより、回生電流の過渡的な遮断が防止されつつ、充電可能な状態に復帰する。
【0054】
なお、回生動作中にスイッチ手段14が機能しない等の理由でバッテリー電圧が急上昇した場合には、第三基準電圧を超えると駆動制御手段18はインホイールモータM1,M2を非回生動作とし、これ以上の電池電圧上昇を防止すると共にモータ自身の破損を防止する。そして、バッテリー消費により、第二復帰基準電圧以下になると、駆動制御手段18はインホイールモータM1,M2を回生可能動作とする。
【0055】
本実施形態に係る二輪電動車1は、前記ハンドルに取付けられているブレーキレバーを引き操作することによって、前輪2及び後輪3の制動を行うことができるブレーキ手段17を備えている(図1及び図2では省略)。さらに、本実施形態に係る二輪電動車1は、前記アクセル装置16や、ブレーキ手段17の状態に応じてインホイールモータM1、M2の駆動状態を設定する駆動制御手段18を備えている。
【0056】
前記ブレーキ手段(例えば、ドラムブレーキ)17は、前輪2及び後輪3のそれぞれに組み込まれており、ブレーキレバーを引き操作することで制動できるようになっている。また、前記ブレーキ手段17は、前輪2及び後輪3の制動を行なっていることを駆動制御手段18に通知するための制動通知手段170を備えており、ブレーキレバーが引き操作されている間、該制動通知手段170が駆動制御手段18に信号を送信し続けるように構成されている。
【0057】
また、本実施形態に係る二輪電動車1は、パーキングブレーキレバー(図示しない)を備えており、該パーキングブレーキレバーに対する操作を行うことで前輪2又は後輪3(本実施形態においては後輪3)のブレーキ手段17が機能し、駐車時に前輪2又は後輪3(本実施形態においては後輪3)の回転を規制できるようになっている。そして、本実施形態に係る二輪電動車1は、前記駆動制御手段18がフロントフォーク6(前輪2)の上方に配置された駆動制御ボックス19に収容されている。
【0058】
そして、前記駆動制御手段18は、アクセル装置16が操作されると、該アクセル装置16の操作量(回転量)に応じてバッテリー10から電力が供給され、インホイールモータM1,M2を該電力(スロットル160の回転量)に応じた出力に設定するように構成されている。
【0059】
さらに、前記駆動制御手段18は、制動通知手段170から送信された信号を受信している間、バッテリー10からインホイールモータM1,M2への電力供給を停止させるように構成されている。
【0060】
本実施形態に係る二輪電動車1は、以上の通りであり、次に、該二輪電動車1(制御手段14)の電力の制御について添付図面を参照しつつ説明する。なお、セル電圧のばらつきはないものとする。
【0061】
図4、図5、図6及び図7を参照しつつ説明する。起動時におけるバッテリー10の電圧が第二基準電圧V2以下になっていると、駆動制御手段18が、インホイールモータM1,M2を回生充電可能動作とする。このとき、セル電圧は、第一基準電圧V1以下となっているため、充電スイッチ140及び供給スイッチ141がオン状態に設定され、消費スイッチ142がオフ状態に設定され、アクセル装置16に対する操作を解除したり、ブレーキ手段17を操作したり、下り坂を走行したりすることによって惰性で走行すると、インホイールモータM1,M2が前輪2及び後輪3の回転力によって回転するため、インホイールモータM1,M2からの回生電力がバッテリー10に供給される。これにより、前記バッテリー10は、インホイールモータM1,M2からの回生電力によって充電される。
【0062】
さらに、惰性による走行を続行すると、バッテリー10の電圧が上昇し続ける(図5における時刻T1から時刻T2までの区間を参照)。そして、スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)は、セル電圧が第二基準電圧V2/10(セル電圧はこの値の10分の一、従って基準電圧もV2の10分の一となるが、説明のため図ではバッテリー電圧に換算して記載している)を上回ると、消費スイッチ142をオン状態に設定した後に、充電スイッチ140をオフ状態に設定する。これにより、前記二輪電動車1は、スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)によって、第二系統13がインホイールモータM1,M2から電力消費手段130に向けて通電可能な状態に設定された後に、第一系統12がバッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能にされつつインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けて通電不能な状態に設定される。
【0063】
そして、前記二輪電動車1は、消費スイッチ142がオン状態に設定され、充電スイッチ140がオフ状態に設定された状態で惰性によって走行すると、インホイールモータM1,M2からの回生電力が第二系統13上の電力消費手段130によって消費される。これにより、前記二輪電動車1は、インホイールモータM1,M2からの回生電力によってバッテリー10が充電されないように(バッテリー10の電圧を上昇させないように)することができる(図5における時刻T2からT3までの区間を参照)。
【0064】
さらに、前記二輪電動車1は、供給スイッチ141がオン状態に設定されている(第一系統12をバッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能にしつつインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けて通電不能な状態に設定されている)ため、例えば、惰性による走行を終えた後に平坦な道や上り坂を走行する際に、アクセル装置16を開くと、バッテリー10からの電力供給でインホイールモータM1,M2を駆動させることができる。これにより、前記二輪電動車1は、惰性による走行を終えた後に、平坦な道や上り坂を走行するに伴って、バッテリー10の電圧が低下する(図5における時刻T3からT4までの区間を参照)。
【0065】
そして、前記スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)は、走行時にバッテリー10の電圧が第一基準電圧V1/10を下回り、第一復帰基準電圧(V2/10とV1/10の間の電圧、図示していない)を下回ると、充電スイッチ140をオン状態に設定した後に、消費スイッチ142をオフ状態に設定する。これにより、前記二輪電動車1は、第一系統12がバッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能にされつつインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けても通電可能な状態に設定された後に、第二系統13が通電不能な状態に設定されるため、惰性による走行を行なったときに、インホイールモータM1,M2からの回生電力でバッテリー10を充電することができる。
【0066】
バッテリー10の電圧が第二基準電圧V2以上で且つ第三基準電圧V3未満の状態で起動した場合は、駆動制御手段18はインホイールモータM1,M2を非回生動作とする。図6の状態の場合、スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)は、供給スイッチ141と充電スイッチ140をオン状態に設定し、消費スイッチ142をオフ状態に設定しているが、非回生動作となっているため、充電は行われずバッテリー10の電圧は低下する(図6における時刻T5からT6までの区間を参照)。そして、バッテリー10の電圧が第二基準電圧V2以下となると、駆動制御手段18はモータを回生可能動作とし、以後の動作は上記説明の動作と同じになる。
【0067】
なお、前記二輪電動車1は、第一系統12がバッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能にされつつインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けても通電可能な状態に設定され、且つ第二系統が通電不能な状態に設定されている状態から、第一系統12がバッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能にされつつインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けて通電不能な状態に設定され、且つ第二系統が通電可能な状態に設定される場合、スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)が消費スイッチ142をオン状態に設定した後に、充電スイッチ140をオフ状態に設定するため、インホイールモータM1,M2に第一系統12及び第二系統13が繋がっていない状態になることを防ぐことができる。これにより、インホイールモータM1,M2から発生した回生電力が駆動制御手段18に蓄積されることが原因となって、該駆動制御手段18が故障することを防ぐことができる。
【0068】
さらに、前記二輪電動車1は、第一系統12がバッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能にされつつインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けて通電不能な状態に設定され、且つ第二系統が通電可能な状態に設定されている状態から、第一系統12がバッテリー10からインホイールモータM1,M2に向けて通電可能にされつつインホイールモータM1,M2からバッテリー10に向けても通電可能な状態に設定され、且つ第二系統が通電不能な状態に設定されている状態にされる場合、スイッチ手段14(スイッチ切替手段143)が充電スイッチ140をオン状態に設定した後に、消費スイッチ142をオフ状態に設定するため、インホイールモータM1,M2に第一系統12及び第二系統13が接続されていない状態になることを防ぐことができる。これにより、インホイールモータM1,M2から発生した回生電力が駆動制御手段18に蓄積されることが原因となって、該駆動制御手段18が故障することを防ぐことができる。
【0069】
起動時におけるバッテリー10の電圧が第二基準電圧V1以下になっている場合について、さらに図7を用いて説明する。回生充電が進みバッテリー電圧が上昇した場合、通常であれば、第一基準電圧V2/10を上回った時点で回生充電が停止してバッテリーの電圧上昇が停止するが、バッテリー10に異常な電力が供給されることによって、該バッテリー10の電圧が第三基準電圧V3以上になった場合(図7の時刻T7から時刻T8の区間を参照)、駆動制御手段18によってインホイールモータM1,M2が非回生動作とされる。これにより、上記構成の二輪電動車1は、異常な電力がバッテリー10や電力消費手段130に供給され続けることを防ぐことができ、バッテリー10や、電力消費手段130、モータの破損を防止することができる。そして、第二復帰基準電圧V4以下になったところで、駆動制御手段18はインホイールモータM1,M2を回生可能動作に戻す。
【符号の説明】
【0070】
1…二輪電動車、2…前輪、3…後輪、4…補助輪、5…車体フレーム、6…フロントフォーク、7…ハンドルバー、8…スイングアーム、9…リアサスペンション、10…バッテリー、11…バッテリーボックス、12…第一系統、13…第二系統、14…スイッチ手段、15…制御ボックス、16…アクセル装置、17…ブレーキ手段、18…駆動制御手段、19…駆動制御ボックス、50…シート部、80…補助アーム、81…補助サスペンション、130…電力消費手段、130…回生電力消費手段、140…充電スイッチ、141…供給スイッチ、142…消費スイッチ、143…スイッチ切替手段、144…電圧検知手段、160…スロットル、170…制動通知手段、M1,M2…インホイールモータ、T1,T2,T3,T5,T6,T7,T8…時刻、V1…第一基準電圧,V2…第二基準電圧×10,V3…第三基準電圧,V4…第二復帰基準電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を直接駆動する電気モータと、該電気モータに電力を供給するバッテリーと、操作量に応じて前記電気モータに供給する電力量を増減させるアクセル装置と、電気モータとバッテリーとに繋がる第一系統と、バッテリーを迂回して電気モータに繋がる第二系統と、バッテリーの電圧の状態に応じて第一系統及び第二系統を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるスイッチ手段とを備え、
さらに前記電気モータはモータの回生可能動作と非回生動作を切り替えるモータの駆動制御手段を備え、
バッテリーはバッテリーを構成する各単電池の電圧を検出してその検出電圧を前記スイッチ手段に出力する電圧監視手段を備え、
前記第二系統は電気モータから発生する回生電力を熱に換えて消費するための電力消費手段を備え、
前記スイッチ手段は、第一系統及び第二系統を通電可能な状態と通電不能な状態とに切り替えるための基準として第一基準電圧と該第一基準電圧よりも低い電圧の第一復帰基準電圧とが設定され、バッテリーを構成するいずれかの単電池の電圧が第一基準電圧を上回ると第一系統のバッテリーが充電される方向の経路を通電不能な状態にすると共に第二系統を通電可能な状態にするように切り替え動作し、この動作の後でバッテリーを構成するいずれかの単電池の電圧が第一復帰基準電圧以下になると第一系統を通電可能な状態にすると共に第二系統を通電不能な状態にするように切り替え動作し、
前記駆動制御手段は、モータを回生可能動作と非回生動作に切り替えるための基準として第二基準電圧と該第二基準電圧よりも高い第三基準電圧と、第三基準電圧よりも低い電圧の第二復帰基準電圧とが設定され、
起動時にバッテリーの電圧が第二基準電圧以下であるとモータを回生可能動作とし、起動時にバッテリーの電圧が第二基準電圧を越えているとモータを非回生動作とし、この後にバッテリーの電圧が第二基準電圧以下となるとモータを回生可能動作とし、
回生可能動作中に第三基準電圧を越えるとモータを非回生動作とし、第三基準電圧を越えてモータが非回生動作となった後に第二復帰基準電圧以下になるとモータを回生可能動作とする、
ことを特徴とする二輪電動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−17248(P2013−17248A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146368(P2011−146368)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】