説明

二酸化炭素によるマイクロバブルの応用

【課題】マイクロバブル(超微細気泡)発生装置により、二酸化炭素のマイクロバブルを浴槽などの水槽内で製造できる方法と装置を提供する。
【解決手段】マイクロバブル(超微細気泡)発生装置の吸入空気取り入れ系統に、二酸化炭素ガス容器と減圧弁を配し、ある条件での圧力と流量で供給することにより可能となる。溶解効率は理論量の100%に近く、使用ガスの量が従来法に比べて極端に少なくて良く、経済的であり、当然のことながら、装置もコンパクトとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近来、話題となってきたマイクロバブル(水中に微細な泡を発生させる方法や装置)が空気中の空気や酸素の液体中の気泡による効能であったのに対し、その応用分野として、炭酸水の効果を併せ持たせることによって、産業上の多くの分野で利用できることとなるようにせしめた方法とその装置である。公知となっている空気(酸素)マイクロバブルの洗浄効果などに加え、二酸化炭素を併せ使用できるようにすれば、炭酸水(高pH酸性水)としての産業上の利用分野たとえば建設における強アルカリ水の中和、環境浄化、そして人への効能としての炭酸泉浴効果、治療効果などを加え、メタンハイドレードの開発、固定化、発泡ポリマーの開発、船舶推進抵抗の軽減化、水産物の汚染防止、除毒、洗浄効果、そして炭酸泉浴としての血管拡張作用、坑炎症作用、美容効果、洗浄効果、飲料としてなど、従来にないない効能と継続する機能を有することとなり、しかも超小型の装置や少ないガス(CO)で利用できるようにしたものであり、このことは家庭でも手軽に利用できることとなる。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特許3620797
【特許文献2】
【非特許文献1】2002−273183
【非特許文献2】2002−336323
【非特許文献3】2002−336668
【非特許文献4】2004−261414
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクロバブル発生装置は、大きな話題となっており各種の方式が考案、産学官こぞって研究開発応用に邁進している。参考文献(特許)も特開等、公開、登録も特許公報されており、実際の産業分野でも利用され始めている。
しかしながら、これらの方法は全て、水或いは温水ポンプによる水に圧縮或いは吸引する空気を用いるものであり、その効果は空気中の酸素(O)やオゾン(O)を水中に溶解・溶存させることによる効能を利用するものであり、加えて微細気泡が水中で自己加圧効果などと呼ばれ、長い間留まり容易に脱気せず、大きな洗浄効果を示すことが実証されている。
一方、炭酸泉浴はヨーロッパでは昔から療養やリハビイテーションに幅広く利用されている。我が国でも鉱泉水に二酸化炭素(CO)が1,000ppm以上溶存するものを療養泉の基準として(温泉法)これを「炭酸泉」と定義している。そして日本の医療機関なども炭酸泉の研究が進められ、その有効性が注目されている。
しかしながら、我が国の温泉は二酸化炭素の溶存量(炭酸泉源)が少なく、高濃度の炭酸泉での有効性の認知が、炭酸水源が多く存在するヨーロッパなどに比べ大幅に遅れている。
そして利用者は、炭酸泉を訪れ入浴治療などを行っている。
人工的に二酸化炭素を水中に溶解させるには、高圧ガス容器を用い様々な方法で吹き込むものは市場に存在、公知であり、風呂には固形剤(炭酸ガス発生剤)なども存在普及しているが、効率良く溶解させる方法はなかった。(温水に約200〜300ppm溶解が限度で溶解効率も10%以下であった)
高分子膜を用いての溶解装置も開発されているが、経済的でなく、一般への普及は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
公知或いは公開されているマイクロバブル発生装置/超微細気泡発生装置には、いずれも空気を導入する系を有しており、いずれの場合も水ポンプ(1)を使用し、それぞれの方法で水に空気を混入させている。
本発明考案は、この空気導入系(2)に二酸化炭素が充填されたミニガスカートリッジ(小型容器)(7)と、このガスを減圧し流量を調節する減圧弁(8)を取り付け、開閉弁(9)を配し接続される。水ポンプ(1)は浴槽(12)に投入された水吸入ノズル(3)から吸入管(4)を介し吐出管(5)から吐出ノズル(6)を介し浴槽内に吐き出される。この時、水ポンプ(1)の吐出側に接続され、圧力と流量が調節された二酸化炭素ガスがマイクロバブル(11)となって噴出される。
ポンプが運転中「COマイクロバブル」は浴槽内に噴出し続け、運転時間と共に浴槽内の二酸化炭素溶存量が増加していく。一旦溶存された温水を吸引循環するため浴槽内の溶存二酸化炭素(DCO)は加速度的に溶存度を上げていく。
COを注入しない場合は、空気導入系(2)から空気が吸入されるが、COマイクロバブルにせんとするときは開閉弁(9)を開けることでCO減圧弁(8)によって予め圧力と流量が設定され、COマイクロバブルが発生する。即ち送気されたCOは、逆止弁(10)によって空気回路を遮断し、COに切り替えられる。
【発明の効果】
【0005】
二酸化炭素ガス(CO)をマイクロバブルレベル(5〜30μm:ミクロン)として水中に噴出させることによって溶解量は理論値に合致し、供給(使用)ガス量が、ほぼ100%の効率で溶解され、ロスが皆無であることが確認された。
【0006】
溶解速度は、水槽が50L〜200Lを使用する場合に於いて、その水温に対する1,000ppm飽和量に5分〜10分間で直線的に溶解させることが出来る。
【0007】
溶解量の調節は、CO供給減圧弁による流量調整と運転時間によって容易にコントロールできる。
【0008】
空気によるマイクロバブルと二酸化炭素によるマイクロバブルの切り替えは、二酸化炭素の減圧弁出口のバルブを開閉する操作のみで、切り替え可能である。
*空気の場合は、牛乳のごとき白濁状態であり、COの場合は若干透明度が低くなるものの、透明状態とはならないので、マイクロバブルの噴出状態がビジュアルに解る。
【0009】
浴槽などの水槽内のマイクロバブル環境では、洗浄効果を発揮し、通常の入浴等で使用していた石けん、洗剤やシャンプーなどを不要とする。
*その結果、洗剤排水などによる環境汚染問題を生じない。
*シャンプー、パーマネント、ヘアーダイ等での環境はpH3〜5であり、すすぎ水は水道水などpH7〜8でありブロー(乾燥)で毛髪などにダメージを及ぼす。しかしながら本法によればCOマイクロバブル水によりpH5.2〜5.5にすることで、収斂作用を生じ、毛髪のキューティクルが改善されることが解っている。
【0010】
約1,000ppmのDCO環境は、温泉法に基づく炭酸泉をなり、血管拡張作用、坑炎症作用、血液流動性改善作用、酸素解離作用(bohr効果=スキンケア作用)での療養泉としての治療、健康に寄与できることとなる。
*家庭で簡単に炭酸泉浴が可能となり、自宅療養、床擦れ(褥創)対策、アトピー性皮膚疾患冷え性などの健康維持・管理並びに美容効果に寄与できる。
*ペットなどの皮膚疾患、洗体、蚤、ダニ対応が可能となる。
【0011】
二酸化炭素(CO)は静菌作用を有することが実証されており、水と空気(酸素)による酸化、褐変、腐敗、腐食などに対し衛生上などの防御機能を有する。
【0012】
使用する二酸化炭素は、食品添加物・医療用に酸化炭素グレードであり管理されたガスである。二酸化炭素ガスの大気中の許容濃度は5,000ppm(ACGH、TLV、TWA、労働安全衛生法)であり、風呂などで過剰のCOを放出すると炭酸ガス中毒(二酸化血症)の恐れがあるが、COマイクロバブルは水への飽和状態で、溶解しており、しかも蒸散せず長時間滞留するため、その危険がない。
【0013】
他のいかなる溶解装置よりも溶解効率が高い(ほぼ100%)ため、使用する二酸化炭素ガスの消費量が少なく、経済的である。
*ミニガスカートリッジは高圧ガス保安法適用除外容器(100ml以下)を使用しており、家庭で手軽に使用できる(浴室などでの大型ボンベによる設置場所、安全性、危険性などが皆無である)
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
公知であり、いかなるマイクロバブル発生装置に、理論飽和(溶存)量の確保が可能である小型の二酸化炭素ガスカートリッジを装着するのみで、ヨーロッパで実証されて普及されている治療、療養効果など健康、美容に画期的効果を有する高炭酸泉が、家庭で、可搬式にても提供することにある。
【実施例】
【0015】
市販されている超微細気泡発生装置、2機種を用い実験した。そのシステムフローは図面の通りである。目標値を40℃の温水に、溶存二酸化炭素(DCO)1,000ppmをとした。コントロール値として、12℃の場合の測定も行った。
理論(飽和)溶解量に依れば、二酸化炭素の水への溶解度は、0℃で3,400ppm(mg/L)12℃で2,400ppm、40℃では、1,000ppmである。
水ポンプの吐出量が7.51/minであり、ミニガスカートリッジ(CO:74g=37NL)を用い、減圧弁は設定圧0.3MPa、流量を2NL/minに設定した。
運転時間に対するCOの溶解量は、80mg/minとなり、約12分で1,000ppm(mg/L)となった。
40℃の温水で運転し、12分で1,000ppmに達し、運転を中止してより約1分〜2分間温水中のDCOは上昇し、約1,100ppmとなり、その後約30分経過後でも、温水中のDCOは900ppm以上であり一旦溶解したDCOは容易に蒸散しないことが判明した。
これは空気によるマイクロバブルに於いて白濁する超微細気泡が長期間、水槽に滞留することが解っていたが、溶存ガスの定量性は確認していなかった。この白濁する現象は、二酸化炭素の場合は若干透明度がアップするものの、水深10cmの手などが見えないレベルとなる。
この結果、マイクロバブルによるCOの溶解は、理論値に合致し、注目すべきは、供給(使用)ガス量が、ほぼ100%の効率で溶解され、ロスが皆無であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明考案は、マイクロバブル装置での高溶解性と洗浄性に注目、これに二酸化炭素を用いることによって、少量のガスを効率良く溶解させ、1,000ppm以上の「炭酸泉」を製造し、その効能をマイクロバブルの効能とを併わせて利用できるようにしたことである。
即ち、本法によれば、洗顔、美容、入浴などにおいて炭酸泉を家庭で容易に使用でき、血管拡張作用、坑炎症作用、血液流動性改善作用、酸素解離作用(bohr効果=スキンケア作用)での療養泉としての治療、健康に寄与できることとなる。加えて、従来の炭酸泉にない洗浄効果は、石けん、洗剤を用いない洗髪、洗体が可能であり病人、介護入浴などへ大いに寄与できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マイクロバブル発生装置の水ポンプ1の水吸入ノズル3と吐出ノズル6を浴槽などに投入、水ポンプの出口側の空気導入系2に二酸化炭素のガスカートリッジ7と減圧弁8を装着し、マイクロバブル装置を起動し、開閉弁9を開ければ、逆止弁10が働き、空気導入系2を遮断し、吐出ノズル6から白煙状のマイクロバブル11が噴出する。開閉弁9を閉じれば、空気によるマイクロバブルが浴槽内に噴出する。3は吸入ノズル4は吸入管であり、5は吐出管、12は浴槽 13は温水である。
【図2】浴槽・風呂、フットバス(足・手浴)、シンクでの洗面、洗顔、洗髪、ウオッシュレットへの接続、そしてシャワーなどに接続してのペットの洗浄などへの応用例を示すものである。
【符号の説明】
【0018】
第1図の
1は、水ポンプ 2は、空気導入系 3は、水吸入ノズル 4は、吸入管 5は、吐出管 6は、吐出ノズル 7は、二酸化炭素ガスカートリッジ 8は、減圧弁 9は、開閉弁 10は、逆止弁 11は、マイクロバブル 12は、浴槽 13は、温水である。
第2図の
aは、マクロバブル発生装置 bは、浴槽 cは、フットバス dは、洗面シンク eは、ウオッシュレット fは、ペット洗浄シャワーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバブル発生装置/超微細気泡製造装置の空気導入系に、二酸化炭素ガス容器、減圧弁を配し、圧力、流量を制御し、二酸化炭素ガスを供給し、二酸化炭素のマイクロバブルを浴槽などの水槽内で製造できるようにした方法と装置。
【請求項2】
空気によるマイクロバブル発生と、二酸化炭素によるマイクロバブルを交互或いは単独でワンタッチで切り替えれるようにしたこと。
【請求項3】
COマイクロバブルによるDCOの溶解量のコントロールは減圧弁の流量と、供給時間で制御できるようにしたこと。
【請求項4】
40℃の浴槽に5〜10分程度で許容量(飽和)である1,000ppmまで完全溶解させるようにしたこと。ポンプ能力に対する適正(高効率)流量を定めたこと。
*飽和限界を超えるガスを供給しないようにしたこと。
【請求項5】
本システムにより、マイクロバブルの持つ、高溶解効率、長時間滞留、洗浄機能、白濁泡ビジュアル性と、治療、療養、健康、美容効果が実証されている高濃度DCO炭酸泉の持つ機能を併せ持つようにしたこと。
【請求項6】
高圧ガス保安法適用除外小型容器(高圧ガス保安協会認定小型容器)ミニガスカートリッジを用いコンパクト化、家庭などでも、手軽に、安全に使用出来るようにしたこと。
【請求項7】
空気、二酸化炭素のみならず、産業上、研究などで要求される機能水を製造するために必要な酸素、窒素、アルゴン、亜酸化窒素等のガスカートリッジを使用できるようにしたこと。
【請求項8】
COマイクロバブルを、浴槽、風呂、フットバス(足浴)、洗面、洗顔、洗髪、ウオッシュレット、ペット用、飲料用、洗濯用として応用出来るようにしたこと。
(介護用などの洗剤を用いない移動風呂等にも応用できるようにしたことを含む)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−320675(P2006−320675A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174213(P2005−174213)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(501246905)
【Fターム(参考)】