説明

二重ドラム式ドラムブレーキ

【課題】二重ドラム式ドラムブレーキにおける外周側パッドの偏摩耗を抑制する。
【解決手段】外周側円筒部14と内周側円筒部16とを備えた二重ドラム12の、両円筒部14,16の間に摩擦力発生装置10を配設する。摩擦力発生装置10は、外周側円筒部14の内周摩擦面50に対向する外周側パッド52と、内周側円筒部16の外周摩擦面54に対向する内周側パッド56と、それら両パッドを駆動するシリンダ集合体24とを備えたものとする。シリンダ集合体24は、第1,第2外周側シリンダ30,32と、内周側シリンダ34とを備えたものとし、第1,第2外周側シリンダ30,32を、外周側パッド52の周方向の中央に対して対称配置とせず、二重ドラム12の回転方向の下流側へ偏った配置とする。それと共に、あるいはそれに代えて、下流側の第1外周側シリンダ30のピストン42の直径を第2外周側シリンダ32のそれより大きくしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重ドラム式ドラムブレーキに関するものであり、特に、摩擦パッドの挙動の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二重ドラム式ドラムブレーキは、(a)内周摩擦面を有する外周側円筒部と、その外周側円筒部の内周側に配設されて外周摩擦面を有する内周側円筒部とを備えた二重ドラムと、(b)外周側円筒部の内周摩擦面に対向して配設され、非回転部材に、二重円筒ドラムの半径方向には移動可能かつ周方向には移動不能に保持された外周側パッドと、(c)その外周側パッドを内周摩擦面に押し付ける外周側シリンダと、(d)内周側円筒部の外周摩擦面に対向して配設され、前記非回転部材に、前記半径方向には移動可能かつ前記周方向には移動不能に保持された内周側パッドと、(e)その内周側パッドを外周摩擦面に押し付ける内周側シリンダとを含むように構成される。
【0003】
この種の二重ドラム式ドラムブレーキの1つが特許文献1に記載されている。この二重ドラム式ドラムブレーキにおいては、外周側パッドと内周側パッドとの二重ドラムに対する連れまわり力を、両パッドの、二重ドラムの回転方向における下流側の端であるトレーリングエンドの近傍部の内周摩擦面と外周摩擦面への押付力に変換することにより、制動能力の増大が図られている。
【0004】
また、特許文献2には、1つのブレーキパッドを一重ドラムの内周摩擦面に押し付けるためのホイールシリンダを複数とし、それら複数のホイールシリンダへの供給液圧を個別に制御することにより、ブレーキパッドと内周摩擦面との間の面圧分布を制御し、鳴きの発生を防止することが記載されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、内周摩擦面と外周摩擦面とを有する一重ドラムの内周側と外周側とに2つの摩擦パッドを互いに対向する状態で設け、それら2つの摩擦パッドを跨ぐ状態で浮動型キャリパを設けたドラムブレーキが記載されている。浮動キャリパに、一重ドラムの周方向に並べて2つのホイールシリンダを設けることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭49−12747号公報
【特許文献2】特開2006−22860号公報
【特許文献3】特開昭51−144874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の事情を背景として、二重ドラム式ドラムブレーキをさらに改善することを課題として為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は、二重ドラム式ドラムブレーキにおいて、外周側円筒部の内周摩擦面に対向して配設された外周側パッドを、内周摩擦面に押し付ける外周側シリンダを、外周側パッド1つに対して、二重ドラムの周方向に並べて2つ設けたことを特徴とする。
上記2つの外周側シリンダは、(a)二重ドラムの回転方向における上流側のものである上流側シリンダの中心線と外周側パッドの周方向における中央を通る中央線との距離が、下流側シリンダの中心線と前記中央線との距離より小さいことと、(b)上流側シリンダの作動力が下流側シリンダの作動力より小さいこととの少なくとも一方の条件を満たすものとされることが望ましい。
本発明によって、さらに、外周側パッドと内周側パッドとの間に張り渡され、両パッドを互いに接近する向きに付勢する引張りスプリングの中間部に作用する作用部材を設け、引張りスプリングを湾曲させることにより、外周側パッドおよび内周側パッドを、それらを保持する非回転部材に積極的に押し付けた二重ドラム式ドラムブレーキが得られる。
【発明の効果】
【0009】
二重ドラム式ドラムブレーキにおいては、周長の長い外周側円筒部の内周摩擦面に押し付けられる外周側パッドは、内周側パッドより長くすることが望ましい。しかし、その場合に、1つのホイールシリンダにより外周側パッドを内周摩擦面に押し付けると、外周側パッドが弾性変形により湾曲し、周方向における中間部の面圧が他の部分の面圧より高くなって、偏摩耗が生じる。それに対して、ホイールシリンダを周方向に並べて2つ設ければ、上記編摩耗の発生を抑制し得る。
また、外周側パッドにおいては、内周摩擦面との間に生じる摩擦力の合力の作用点が、非回転部材の、外周側パッドの連れまわり力を受ける受面に対して、外周側へ外れることを避け得ないため、外周側パッドに回転モーメントが生じ、リーディングエンド側における摩耗がトレーリングエンド側の摩耗より多くなる偏摩耗が生じる。それに対して、2つのホイールシリンダを、上記(a)と(b)との少なくとも一方の条件を満たすものとすれば、上記回転モーメントに起因する偏摩耗の発生を抑制できる。
さらに、外周側パッドと内周側パッドとの間に張り渡される引張りスプリングの中間部に作用部材を作用させて、引張りスプリングを湾曲させれば、外周側パッドと内周側パッドとを非回転部材に積極的に押し付ける力を作用させることができ、悪路(不整地)走行時における異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態である二重ドラム式ドラムブレーキの要部を示す一部断面正面図である。
【図2】本発明の別の実施形態である二重ドラム式ドラムブレーキの要部を示す一部断面正面図である。
【図3】本発明のさらに別の実施形態である二重ドラム式ドラムブレーキの要部を示す正面図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態である二重ドラム式ドラムブレーキにおける図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に本発明の一実施形態である二重ドラム式ドラムブレーキにおける1つの摩擦力発生装置10を示す。この摩擦力発生装置10は、二重ドラム12の外周側円筒部14と内周側円筒部16との間に設けられている。二重ドラム12は、外周側円筒部14と内周側円筒部16とをつなぐ図示しないディスク部を備え、そのディスク部において、車両の車輪に固定され、車輪と一体的に回転する。二重ドラムは、車両の前進時において、矢印Xで示す方向に回転する。その二重ドラムの上記ディスク部とは反対側の開口部を塞ぐ状態で、バッキングプレート20が設けられ、そのバッキングプレート20に摩擦力発生装置10が取り付けられている。なお、摩擦力発生装置10は、二重ドラム12の周方向に互いに隔たって複数、二重ドラム12の回転軸線を対称軸として軸対称に配置されるのであるが、図1にはその1つのみを代表的に示す。
【0012】
バッキングプレート20に、非回転部材としてのブラケット22が固定され、そのブラケット22に3つのホイールシリンダを備えたシリンダ集合体24が固定されている。上記3つのホイールシリンダは、第1外周側シリンダ30,第2外周側シリンダ32および内周側シリンダ34であり、第1外周側シリンダ30は、二重ドラム12の回転方向における下流側に位置する下流側シリンダであり、第2外周側シリンダ32は上流側シリンダである。各ホイールシリンダ30,32,34は、それぞれシリンダハウジング40と、それらの内部に液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン42とを備えている。第1外周側シリンダ30と第2外周側シリンダ32とのピストン42の外径は互いに同じであり、内周側シリンダ34のピストン42は上記両ピストン42によりは大きい外径を有している。そして、これら3つのホイールシリンダ30,32,34には同じ高さの液圧が供給される。
【0013】
外周側円筒部14は内周摩擦面50を有し、その内周摩擦面50に対向して摩擦パッドである外周側パッド52が設けられている。内周側円筒部16は外周摩擦面54を有し、その外周摩擦面に対向して外周側パッド56が設けられている。両摩擦パッド52,56はそれぞれ、前記ブラケット22に、二重ドラム12の半径方向には移動可能であるが、二重ドラム12の周方向には移動不能に保持されている。両摩擦パッド52,56の外側面と、ブラケット22の内側面との間には、両摩擦パッド52,56の摺動を許容するための隙間が形成されている。したがって、両摩擦パッド52,56が「二重ドラム12の周方向には移動不能」といっても、全く移動不能なわけではなく、上記隙間内においては周方向にも移動可能である。両摩擦パッド52,56間には1対の引張りコイルスプリング58が張り渡され、両摩擦パッド52,56を互いに接近する向き、すなわち、外周側パッド52が内周摩擦面50から、内周側パッド56が外周摩擦面54からそれぞれ離間する向きに付勢している。
【0014】
外周側パッド52は、二重ドラム12の周方向に平行な方向の寸法(長さ)が、二重ドラム12の回転軸線に平行な方向の寸法より大きい長手形状を有しているが、その長手方向に隔たった2箇所が、第1,第2外周側シリンダ30の2つのピストン42によって外周側円筒部14の内周摩擦面50に押し付けられる。そのため、長手方向の中央部が1つのピストン42によって内周摩擦面50に押し付けられる場合のように、外周側パッド52の弾性変形により、中央部において他の部分より面圧が高くなり、中央部の摩耗量が特に大きくなる偏摩耗の発生が抑制される。
【0015】
また、外周側パッド52が内周摩擦面50に押し付けられ、内周摩擦面50との間に生じる摩擦力により二重ドラム12に制動力を加えるのであるが、その際、外周側パッド52は二重ドラム12に連れまわろうとする。この連れまわり力は、ブラケット22の受面60によって受けられる。いま、第1,第2外周側シリンダ30,32による外周側パッド52の押付力が、外周側パッド52の中央に関して対称であると仮定すれば、外周側パッド52と内周摩擦面50との間に生じる摩擦力の合力F1の作用点は、ほぼ外周側パッド52の摩擦面上の中央に位置すると考えることができるが、この摩擦力の合力F1の作用線と、上記受面60によって外周側パッド52に加えられる反力R1の作用線とは距離L1だけ隔たたることになる。そのため、外周側パッド52には回転モーメントが生じ、外周側パッド52と内周摩擦面50との間の面圧の不均等が生じる。外周側パッド52のリーディングエンド側の面圧が、トレーリングエンド側の面圧より高くなるのであり、リーディングエンド側の摩耗量が多くなる偏摩耗が生じる。
【0016】
そこで、本実施形態においては、図1に示すように、第1,第2外周側シリンダ30,32が、外周側パッド52の中央に対して非対称に配置されている。第1外周側シリンダ30のピストン42の軸線が、第2外周側シリンダ32のピストン42の軸線に比較して、外周側パッドの中央に、より近くされているのである。そのため、上記連れまわり力に起因する回転モーメントがない状態を考えれば、外周側パッド52の面圧は、トレーリングエンド側において、リーディングエンド側より大きくなる。この面圧分布の不均等は、回転モーメントに起因する前述の面圧分布の不均等とは逆の傾向を示し、回転モーメントに起因する面圧分布の不均等が打ち消されて面圧分布が均等になるか、あるいは不均等が低減させられる。
【0017】
なお、内周側パッド56については、摩擦力の合力F2の作用線と、受面62からの反力R2の作用線とは、図1に示すようにほぼ一致しているため、内周側パッド56には回転モーメントが生じず、面圧の不均等も生じない。したがって、内周側シリンダ34のピストン42の軸線は、内周側パッド56の中央を通るようにされている。
【0018】
さらに付言すれば、外周側パッド52は、部分円筒状のリム63の内周面にウェブ64が直角に固定されて断面形状がT字形を成す金属製の部材の外周面に摩擦材65が固定された構造を有し、ウェブ64がピストン42に形成された係合溝66に嵌入することにより、ピストン42と係合させられている。この係合により、外周側パッド52の、二重ドラム12の軸方向の移動が防止されている。受面60に係合溝を形成し、この係合溝にウェブ64を嵌入させることにより、外周側パッド52の、二重ドラム12の軸方向の移動を防止してもよい。その場合には、係合溝の底面が受面として機能することになる。内周側パッド56も同様に、リム67,ウェブ68および摩擦材69を備え、ウェブ68においてピストン42と係合させられている。
【0019】
本発明の別の実施形態である二重ドラム式ドラムブレーキの摩擦力発生装置70を図2に示す。本実施形態は、シリンダ集合体72において前記実施形態と異なっており、他の部分は同じであるため、互いに対応する部分に同じ符号を付して、説明を省略する。
【0020】
シリンダ集合体72においては、下流側シリンダである第1外周側シリンダ74のピストン76の直径が、第2外周側シリンダ78のピストン76の直径より大きくされている。図示の実施形態においては、第1外周側シリンダ74のピストン76の直径が、第2外周側シリンダ78のピストン76の直径と内周側シリンダ80のピストン76の直径との中間の大きさとされている。そして、これら3つのホイールシリンダ74,78,80には同じ高さの液圧が供給される。
【0021】
そのため、前述の回転モーメントが外周側パッド52に生じない状態を考えれば、外周側パッド52と内周摩擦面50との間の面圧は、トレーリングエンド側においてリーディングエンド側より大きくなる。この面圧分布の不均等は、前記回転モーメントに起因する面圧分布の不均等とは逆の傾向を示し、回転モーメントに起因する面圧分布の不均等が打ち消されて面圧分布が均等になるか、あるいは不均等が低減させられる。
なお、本実施形態にておいは、第1,第2外周側シリンダ74,78の軸線の位置は、外周側パッド52の中央に対して対称とされているが、前記図1の実施形態と同様に、非対象とすることも可能であり、その場合には、それによって、回転モーメントに起因する面圧分布の不均等を打ち消すことが一層容易となる。
【0022】
本発明の別の実施形態を図3,図4に示す。本実施形態の摩擦力発生装置88においては、シリンダ集合体90が1つずつの外周側シリンダ92と内周側シリンダ94とを備えたものとされている。しかも、両ホイールシリンダ92,94は、両端が開口した共通のシリンダハウジング96に、2つのピストン98が互いに逆向きに嵌合された構造とされている。
【0023】
上記外周側シリンダ92および内周側シリンダ94はそれぞれ、外周側パッド100および内周側パッド102を外周側円筒部14の内周摩擦面50と、内周側円筒部16の外周摩擦面54とに押し付ける。それら2つの摩擦パッド52,54の間には、一対の引張りコイルスプリング58が張り渡され、両摩擦パッド52,54を互いに接近する向きに付勢している。これら一対の引張りコイルスプリング58の中間部には、それぞれ作用部材104,106が作用させられ、引張りコイルスプリング58が湾曲させられている。
【0024】
二重ドラム12の回転方向における下流側の引張りコイルスプリング58に作用する作用部材104は、図4に示すように、二重ドラム12の回転軸線と直交する作用面110によって引張りコイルスプリング58の中間部に作用し、引張りコイルスプリング58を、二重ドラム12の回転軸線に平行な方向に、バッキングプレート20に接近する向きに湾曲させる。したがって、引張りコイルスプリング58の外周側パッド100および内周側パッド102に接続された端部は、両摩擦パッド100,102に、両者を互いに接近させる向きの力を加えるとともに、両者をバッキングプレート20に接近させる向きの力を加える。その結果、例えば、図4に代表的に示す外周側パッド100がブラケット112の支持面114に押し付けられる。
【0025】
一方、二重ドラム12の回転方向における上流側の引張りコイルスプリング58に作用する作用部材106は、図4に示すように、二重ドラム12の回転軸線と直交する状態から傾斜させられた作用面116によって、引張りコイルスプリング58の中間部に作用するようにされている。そのため、引張りコイルスプリング58の中間部は、バッキングプレート20に接近するとともに、二重ドラム12の回転方向の下流側に向かう向きに湾曲させられ、外周側パッド100および内周側パッド102に湾曲の向きの同じ向きの力を加える。その結果、例えば、外周側パッド100は、支持面114に押し付けられるとともに受面118にも押し付けられることとなる。
【0026】
このように、外周側パッド100および内周側パッド102が、バッキングプレート20側と、二重ドラム12の回転方向の下流側とに付勢され、それぞれ支持面114と受面118とに押し付けられることにより、両摩擦パッド100,102はブラケット112により安定して保持され、車両が悪路を走行する際にも、両摩擦パッド100,102がブラケット112から離れたり、接触したりを繰り返すことが抑制され、異音の発生が抑制される。
【0027】
本発明の別の実施形態を図5に示す。この実施形態は、二重ドラム12の回転方向における上流側の引張りコイルスプリング58に作用する作用部材が、上記実施形態における作用部材104と同じ構成の作用部材とされたものである。この構成によっても、外周側パッド100および内周側パッド102(図5には外周側パッド100のみ図示)が支持面114に押し付けられることにより、悪路走行時における支持面11と両摩擦パッド100,102との衝突の繰返しによる異音の発生が抑制されるとともに、支持面114と両摩擦パッド100,102との摩擦力により、両摩擦パッド100,102のバッキングプレート20に平行な方向の移動も抑制され、それによって受面118と両摩擦パッド100,102との衝突の繰返しによる異音の発生も抑制される。
【0028】
なお、上記図3,4に記載の実施形態および図5に記載の実施形態においては、シリンダ集合体90が、前記図1および図2に示した実施形態におけるシリンダ集合体24,72とは異ならされていたが、シリンダ集合体24,72のいずれかと同じ構成を有するものとすることも、シリンダ集合体24,72の両方の特徴を備えたものとすることも可能である。
【0029】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これらは文字通り例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0030】
10:摩擦力発生装置 12:二重ドラム 14:外周側円筒部 16:内周側円筒部 20:バッキングプレート 22:ブラケット 24:シリンダ集合体 30:第1外周側シリンダ 32:第2外周側シリンダ 34:内周側シリンダ 40:シリンダハウジング 42:ピストン 50:内周摩擦面 52:外周側パッド 54:外周摩擦面 56:内周側パッド 58:引張りコイルスプリング 60:受面 62:受面 70:摩擦力発生装置 72:シリンダ集合体 74:第1外周側シリンダ 76:ピストン 78:第2外周側シリンダ 80:内周側シリンダ 90:シリンダ集合体 92:外周側シリンダ 94:内周側シリンダ 96:シリンダハウジング 98:ピストン 100:外周側パッド 102:内周側パッド 104,106:作用部材 110、114:作用面 112:ブラケット 114:支持面 118:受面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周摩擦面を有する外周側円筒部と、その外周側円筒部の内周側に配設されて外周摩擦面を有する内周側円筒部とを備えた二重ドラムと、
前記外周側円筒部の前記内周摩擦面に対向して配設され、非回転部材に、前記二重円筒ドラムの半径方向には移動可能かつ周方向には移動不能に保持された外周側パッドと、
その外周側パッドを前記内周摩擦面に押し付ける外周側シリンダと、
前記内周側円筒部の前記外周摩擦面に対向して配設され、前記非回転部材に、前記半径方向には移動可能かつ前記周方向には移動不能に保持された内周側パッドと、
その内周側パッドを前記外周摩擦面に押し付ける内周側シリンダと
を含む二重ドラム式ドラムブレーキにおいて、
前記外周側シリンダを、前記外周側パッド1つに対して、前記周方向に並べて2つ設けたことを特徴とする二重ドラム式ドラムブレーキ。
【請求項2】
(a)前記2つの外周側シリンダのうち、前記二重ドラムの回転方向における上流側のものである上流側シリンダの中心線と前記外周側パッドの前記周方向における中央を通る中央線との距離が、前記二重ドラムの回転方向における下流側のものである下流側シリンダの中心線と前記中央線との距離より小さいことと、(b)前記上流側シリンダの作動力が前記下流側シリンダの作動力より小さいこととの少なくとも一方の条件を満たす請求項1に記載の二重ドラム式ドラムブレーキ。
【請求項3】
内周摩擦面を有する外周側円筒部と、その外周側円筒部の内周側に配設されて外周摩擦面を有する内周側円筒部とを備えた二重ドラムと、
前記外周側円筒部の前記内周摩擦面に対向して配設され、非回転部材に、前記二重円筒ドラムの半径方向には移動可能かつ周方向には移動不能に保持された外周側パッドと、
その外周側パッドを前記内周摩擦面に押し付ける外周側シリンダと、
前記内周側円筒部の前記外周摩擦面に対向して配設され、前記非回転部材に、前記半径方向には移動可能かつ周方向には移動不能に保持された内周側パッドと、
その内周側パッドを前記外周摩擦面に押し付ける内周側シリンダと、
前記外周側パッドと前記内周側パッドとの間に張り渡され、両パッドを互いに接近する向きに付勢する引張りスプリングと
を含む二重ドラム式ドラムブレーキにおいて、
前記引張りスプリングの中間部に作用してその引張りスプリングを湾曲させることにより、前記外周側パッドおよび前記内周側パッドを前記非回転部材に積極的に押し付ける作用部材を設けたことを特徴とする二重ドラム式ドラムブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−242849(P2010−242849A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91488(P2009−91488)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】