説明

二重壁への貫通孔形成方法、換気パイプの配設方法、及びセンター位置表示具

【課題】二重壁に貫通孔を形成するに際して、各壁板に対する各円穿孔のセンター位置相互の配置精度を高める。
【解決手段】ホールソー(穿孔具)を用いた第1円穿孔により、一方の壁板2の外側から、空間部4に配設された換気パイプ保持具(配設体)Sの開口21が臨む第1透孔H11を形成し、当該第1透孔H11に臨む配設体の開口21内に配置されて、他方の壁板3に形成予定の第2透孔H12のセンター位置C22を表示するセンター位置表示具E1により特定される第2円穿孔のセンター位置C22を、第1透孔H12及び換気パイプ保持具S内を通して、一方の壁板2の外側からロングドリルにより他方の壁板3にセンター位置表示貫通孔を形成し、他方の壁板3の外側からホールソーのセンター軸を貫通孔51に当てがい、他方の壁板3に第1透孔H11に対して特定の位置関係を有する第2透孔H12を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2回の円穿孔によって、各々の壁板が空間部を介して対向立設された二重壁に貫通孔を形成する方法、前記二重壁に貫通孔を形成して換気パイプを配設する方法、及び二重壁に貫通孔を形成する際に使用されるセンター位置表示具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二重壁(中空壁)は、各々の壁板が空間部を介して対向立設された構成であって、当該二重壁の各壁板を穿孔して貫通孔を形成するには、通常の刃長を有するホールソーにより2回の円穿孔を行う方法と、刃長の長いホールソーにより1回の円穿孔を行う方法とがある。
【0003】
前者の方法では、各壁板を個別に穿孔するために、後に穿孔される壁板に対する透孔のセンター位置を、既に穿孔された別の壁板の透孔のセンター位置に対して合わせて(両センター位置が同一の水平線上に配置される場合のみならず、両センター位置が設定長だけ上下又は左右にずれている場合も含む)特定する必要がある。このように、先の円穿孔のセンター位置を基準にして、後の円穿孔のセンター位置を定めて表示する作業は、大変に面倒であると共に、手間がかかり、ひいては作業能率の低下となる。
【0004】
後者の方法では、刃長の長いホールソーを使用するために、取り扱いが不便であると共に、後の円穿孔の際には、刃長が長い分だけ刃体が振れ易く、これが原因で刃体の折損の恐れのある危険な作業となる。特に、前後の2回の円穿孔の各センター位置が左右又は上下にずれている場合には、そのずれ量は、作業者の有する穿孔技術のみに依存することとなって、貫通孔の穿孔精度(最初の円穿孔のセンター位置に対する後の円穿孔のセンター位置の配置精度)が低下する。なお、出願人の調査では、「各々の壁板が空間部を介して対向立設された二重壁に貫通孔を形成する方法」に関する先行技術文献は存在していなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、各々の壁板が空間部を介して対向立設された二重壁に貫通孔を形成するに際して、各壁板に対する第1及び第2の各円穿孔のセンター位置相互の配置精度を高め、しかも能率よく穿孔可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、各々の壁板が空間部を介して対向立設されて二重壁が形成され、当該二重壁の両側に流体の流通路や配線・配管材を貫通するように配設すべく、前記二重壁に貫通孔を形成する方法であって、センター軸と、当該センター軸の周囲を回転して円穿孔を形成可能とする穿孔刃とを備えた穿孔具を用いて、一方の壁板の外側から当該一方の壁板を貫通する第1円穿孔により第1透孔を形成し、前記第1透孔に対して他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置を表示するセンター位置表示具を、前記一方の壁板の外側から当該壁板に配置することにより、他方の壁板に対する第2円穿孔のセンター位置を特定し、当該センター位置表示具により特定された第2円穿孔のセンター位置を前記第1透孔を通じて、一方の壁板の外側からに二重壁を貫通可能な長さのドリルで他方の壁板に向けて貫通孔を形成することで、第2円穿孔のセンター位置を表示するセンター位置表示孔を形成し、他方の壁板に形成されたセンター位置表示孔に、他方の壁板の内側から前記穿孔具のセンター軸を当てがって、当該センター位置表示孔を中心とする第2円穿孔により前記他方の壁板に前記第1透孔に対して特定の位置関係を有する第2透孔を形成することを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、他方の壁板に対する第2円穿孔のセンター位置は、第1円穿孔により一方の壁板に形成された第1透孔を基準にして特定されるため、二重壁を構成する各壁板に穿孔された第1及び第2の各透孔のセンター位置は、特定の関係を有して配置される。ここで、「特定の関係」とは、各透孔のセンター位置を結ぶ線分が水平であって、各透孔のセンター位置を通る軸線(センター位置を通り、かつ壁板に垂直な線)が共通であったり、或いは第1透孔のセンター位置を通る軸線に対して第2透孔のセンター位置が上下、又は左右、若しくはこれらを合成した方向に設定量だけずれて配置されている関係をいう。よって、通常の刃長を有する既存のホールソーを使用して、二重壁を構成する各壁板に穿孔される第1及び第2の各透孔のセンター位置が「特定の関係」を有するようにして、当該二重壁に貫通孔を容易に形成できる。
【0008】
また、請求項2の発明は、各々の壁板が空間部を介して対向立設されて二重壁が形成されて、前記空間部に配設体が配設され、前記二重壁の両側に流体の流通路や配線・配管材を前記配設体を通って貫通するように配設すべく、前記二重壁に貫通孔を形成する方法であって、センター軸と、当該センター軸の周囲を回転して円穿孔を形成可能とする穿孔刃とを備えた穿孔具を用いた第1円穿孔により、一方の壁板の外側から当該一方の壁板を貫通して、前記空間部に配設された配設体の開口が前記一方の壁板の外側に臨む第1透孔を形成し、当該第1透孔に臨む配設体の開口内に配置されて、他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置を表示するセンター位置表示具、又は当該配設体に形成された前記第2透孔のセンター位置を表示するセンター位置表示部により特定される第2円穿孔のセンター位置を、前記第1透孔及び配設体内を通して、一方の壁板の外側から二重壁を貫通可能な長さのドリルにより他方の壁板の内側に向けて貫通孔を形成することで、第2円穿孔のセンター位置を表示するセンター位置表示孔を形成し、他方の壁板の外側から前記穿孔具のセンター軸を前記センター位置表示孔に当てがい、当該センター位置表示孔を中心とする第2円穿孔により、他方の壁板に第1透孔に対して特定の位置関係を有する第2透孔を形成することを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に対して、他方の壁板に対する第2円穿孔のセンター位置の特定の基準が異なる。即ち、請求項1の発明では、第1円穿孔により一方の壁板に形成された第1透孔が基準となるのに対して、請求項2の発明では、第1円穿孔により一方の壁板の壁表に開口が臨んだ配設体が基準となる点が異なり、二重壁を構成する各壁板に穿孔された第1及び第2の各透孔のセンター位置は、特定の関係を有して配置される点は共通している。また、二重壁を構成する空間部に予め配設体が配設された状態において、二重壁を構成する各壁板に、センター位置が特定の関係を有する第1及び第2の各透孔を穿孔して、二重壁に貫通孔を形成できる利点がある。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記配設体には、壁表に開口を臨ませるための第1透孔のセンター位置を特定すべく一方の壁板の外側から探知可能な被探知部を備えており、前記一方の壁板の外側から前記被探知部を探知して、当該探知により前記第1円穿孔のセンター位置を特定して第1透孔を形成することを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明によれば、二重壁の空間部に配設された配設体には、当該二重壁を構成する一方の壁板の外側から探知可能であって、当該配設体の開口を壁表に臨ませる第1透孔のセンター位置を表示する被探知部を備えているため、配設体が二重壁内に隠蔽されたままで、第1透孔を形成するための第1円穿孔のセンター位置を前記一方の壁板の外側から正確に探知できる。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、特定された第2円穿孔のセンター位置は、前記第1円穿孔の中心を通り、かつ壁板に対して垂直な軸線に対して垂直上方又は垂直下方にずれた位置であることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明によれば、特定された第2円穿孔のセンター位置は、第1円穿孔の軸線上に存在している場合に限られず、当該軸線に対して垂直上方又は垂直下方にずれた位置であって、第1及び第2の各円穿孔のセンター位置を結ぶ線分が傾斜している場合であっても、第2円穿孔のセンター位置は正確に特定可能となる。
【0014】
また、請求項5の発明は、各々の壁板が空間部を介して対向立設されて二重壁が形成されて、前記空間部に換気パイプ保持具が配設され、前記二重壁に前記換気パイプ保持具の開口を通る貫通孔を形成して、当該貫通孔に換気パイプを配設する方法であって、第1円穿孔により一方の壁板の外側から当該一方の壁板に、前記空間部に配設された換気パイプ保持具の開口を壁表に臨ませるべく第1透孔を形成し、前記第1透孔により開口が壁表に臨んだ前記換気パイプ保持具に、他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置を表示する表示部を備えたセンター位置表示具を取着し、前記センター位置表示具の表示部により表示される第2円穿孔のセンター位置を、前記一方の壁板の外側から前記第1透孔を貫通して挿入された二重壁を貫通可能な長さのドリルにより他方の壁板に穿孔された貫通孔により形成し、前記貫通孔を中心とする第2円穿孔により他方の壁板に第2透孔を形成し、前記第1及び第2の各円穿孔により前記二重壁に形成された貫通孔に、当該二重壁の外側から換気パイプを挿入して、壁内で換気パイプ保持具で保持させることで、前記貫通孔に対して換気パイプを配設することを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明は、請求項2の発明において、二重壁の空間部に配設される配設体が、換気パイプの一端部を保持する換気パイプ保持具であって、前記二重壁に換気パイプ保持具の開口を通る貫通孔を形成して、当該貫通孔に対して換気パイプを配設するものであって、第1及び第2の各円穿孔により、二重壁を構成する各壁板に特定の位置関係を有する第1及び第2の各透孔を形成する方法自体は、請求項2の発明と同様である。
【0016】
また、請求項6の発明は、各々の壁板が空間部を介して対向して立設されて二重壁が形成されて、前記空間部に配設体が配設され、前記二重壁の両側に流体の流通路や配線・配管材を貫通するように配設すべく前記二重壁に貫通孔を形成する際に、前記各々の壁板の一方に対して前記貫通孔のセンター位置を表示する表示具であって、第1円穿孔により一方の壁板に形成された第1透孔を通して壁表から、壁内に配設された前記配設体に取着可能な取着部と、第2円穿孔により他方の壁板に形成予定の第2透孔の中心位置を表示する表示部とを備え、前記表示部は、第1透孔内を貫通して壁内に挿入されたドリルを、他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置へガイドするガイド部より構成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項6の発明によれば、第1円穿孔により二重壁を構成する一方の壁板に第1透孔を形成した後に、当該第1透孔により開口が壁外に臨んだ配設体に取着部を介してセンター位置表示具を取着して、前記第1透孔を貫通して壁内に挿入されたドリルをセンター位置表示具のガイド部でガイドして、前記ドリルにより他方の壁板に貫通孔を穿孔すると、当該貫通孔は第2円穿孔のセンター位置を表示する。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記ガイド部は、筒状に形成されてドリルが貫通可能であることを特徴としている。
【0019】
請求項7の発明によれば、センター位置表示具に形成されていて、他方の壁板に第2円穿孔のセンター位置となる貫通孔を穿孔するドリルのガイド部が、当該ドリルを貫通可能な筒状に形成されているため、ドリルにより前記貫通孔を穿孔する際に、当該ドリルの振れが少なくなって、第2円穿孔のセンター位置の形成位置の精度が高められる。
【0020】
また、請求項8の発明は、請求項6又は7の発明において、前記配設体に取着した状態で、一方の壁板に形成された第1透孔のセンター位置の軸線に対して垂直上方又は垂直下方にずれた位置に、他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置を表示すべく、前記取着部に対してガイド部が傾斜しているか、或いはガイド部が水平線に対して傾斜するように前記配設体に対して取着部が取着可能であることを特徴としている。
【0021】
請求項8の発明によれば、二重壁の空間部に配設された配設体に取着部を介してセンター位置表示具を取着すると、ガイド部が斜上方又は斜下方に向けて傾斜配置されて、当該ガイド部に貫通されたドリルにより貫通孔として他方の壁板に形成されている第2透孔のセンター位置は、一方の壁板に形成された第1透孔のセンター位置の軸線に対して垂直上方又は垂直下方にずれた位置に表示される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る二重壁への貫通孔形成方法によれば、各々の壁板が空間部を介して対向立設された二重壁に貫通孔を形成するに際して、穿孔済の第1円穿孔のセンター位置、或いは第1円穿孔により壁表に臨んだ壁内の配設体の位置を基準にして、第2円穿孔のセンター位置を特定して当該第2円穿孔を行うことにより、二重壁を構成する各壁板に対する円穿孔の各センター位置相互の配置精度を高め、しかも能率よく前記貫通孔を形成することができる。
【0023】
また、本発明に係るセンター位置表示具によれば、第1円穿孔により二重壁を構成する一方の壁板に第1透孔を形成した後に、当該第1透孔により開口が壁外に臨んだ配設体に取着部を介してセンター位置表示具を取着して、前記第1透孔を貫通して壁内に挿入されたドリルをセンター位置表示具のガイド部でガイドして、前記ドリルにより他方の壁板に貫通孔を穿孔すると、当該貫通孔は第2円穿孔のセンター位置を表示することになって、二重壁を構成する各壁板に形成される第1及び第2の各透孔のセンター位置が特定の関係を有するようにして、正確に円穿孔できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、複数の最良の実施形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
最初に、二重壁Wの内部に配設された換気パイプ保持具Sに対して換気パイプPを配設する方法について説明する。二重壁Wは、図4及び図10に示されるように、柱1の両側に各々の壁板2,3が配置され、当該各々の壁板2,3が空間部4を介して対向して立設された中空壁であって、前記柱1の側面(二重壁Wの壁面と直交する面)に換気パイプ保持具Sが固定される。
【0026】
次に、図1及び図3を参照して、前記柱1に固定される換気パイプ保持具Sについて説明する。図1は、二重壁W内に立設された柱1に換気パイプ保持具Sが固定された状態の斜視図であり、図2は、換気パイプ保持具Sの中央縦断面図である。換気パイプ保持具Sは、二重壁Wに形成された貫通孔H1 を構成する室外側の第2透孔H12から挿通された換気パイプPの端部を部分挿入して保持する部材であって、全体形状が方形状をなしていて、本体部11の各縦辺及び各横辺にフランジ板状の縦側板部12及び横側板部13がそれぞれ背面側に向けて一体に設けられた構成である。換気パイプ保持具Sは、縦中心線C1 に対しては左右対称形状であるが、横中心線C2 に対しては上下非対称形状となっている。縦側板部12及び横側板部13の長手方向の中央部は、いずれも凹部12a,13aが形成されて、各縦側板部12の凹部12aには、それぞれ縦横の各桟部14,15が形成されて、特定の桟部14,15の側面側の端面には、前記縦側板部12の板面よりも僅かに突出して、柱1等の被固定物に突刺される小突刺体14a,15aが一体に形成されている。下方に配置される横側板部13の凹部13aには、長手方向の中央部に磁石16が保持された棒状の被探知具17が折取り可能に配置されている。
【0027】
また、本体部11の背面には、パイプ接続筒18が一体に形成され、当該パイプ接続筒18の後端部であって、しかも上下に対向する部分には、当該パイプ接続筒18に先端部が挿入された換気パイプPをテープを介して貼り付けるための各々の貼り代片19が上下方向に対向して後方に突出して形成されている(図2参照)。なお、本発明に係る換気パイプの配設方法では、前記貼り代片19は使用しない。本体部11の前面には、前記パイプ接続筒18に接続される開口21が形成されていて、本体部11の前面における前記開口21を除く部分には、換気扇Vの前板61(いずれも図7参照)をビス止めするための無数のビス螺入下孔20が全面に亘って群状となって形成されている。本体部11の前面の開口21に臨む部分であって、しかも縦中心線C1 と交差する部分には、前記被探知具17及びセンター位置表示具E1 の両端部を嵌め込むための各々の嵌込み溝22が前面、及び開口21の側にそれぞれ開口した形態で対向して形成されている。上下一対の各嵌込み溝22の深さは同一である。本体部11の前面の開口21に臨む部分であって、しかも横中心線C2 と交差する部分には、上下方向の中心(センター)を表示する各々のセンター表示溝23が対向して形成されている。本体部11の前面における前記センター表示溝23の上方には、ビスB1 を介して換気パイプ保持具Sを柱1に固定する際に、ビスB1 を回転させるドライバー(図示せず)を挿入するドライバー挿入孔24が形成され、縦側板部12には、前記ドライバー挿入孔24に連続したビス挿通孔25が形成されている(図1参照)。
【0028】
また、建物の屋外側に配管される換気パイプPは、内部に発生した水滴等が屋外に排出され易いように、屋外側が僅かに低くなるように傾斜配管する必要があるため、本体部11の背面側に形成されたパイプ接続筒18の軸心C12は、本体部11に形成された開口21の軸心C11に対して角度(θ)だけ傾斜している。また、パイプ接続筒18の手前側の端部であって、しかも周方向に沿って最も低い部分には、当該パイプ接続筒18に挿入される換気パイプPの挿入端を当接させて挿入規制するための挿入規制片26が折取り可能に設けられている。なお、図1及び図2において、27は、換気扇Vのコードを挿通させるためのコード挿通孔である。
【0029】
次に、図3ないし図7を参照して、二重壁Wに貫通孔H1 を形成して、当該貫通孔H1 に換気パイプPを配設する方法について説明する。図3−A及び図3−Bの(イ)ないし(ヘ)は、施工順序を説明する二重壁Wの縦断面図であり、図4は、二重壁Wの空間部4に配設された換気パイプ保持具Sの開口21の軸心C11の位置を磁気探知器Aにより探知している状態の斜視図であり、図5は、壁板2に形成された第1透孔H11を通して換気パイプ保持具Sにセンター位置表示具E1 をセットする状態の斜視図であり、図6は、換気パイプ保持具Sにセットされたセンター位置表示具E1 及びロングドリル71を使用して、壁板3に対する第2円穿孔のセンター位置を表示している状態の斜視図であり、図7は、二重壁Wの空間部4に配設された換気パイプ保持具Sに対して換気扇Vを取付ける状態を示す斜視図である。
【0030】
まず、図1に示されるように、換気パイプ保持具Sに折取り可能に取付けられた棒状の被探知具17を折り取って、当該被探知具17の両端部を、開口21の周縁部に対向配置された上下各々の各嵌込み溝22に嵌め込むと、被探知具17の長手方向の中央に配置された磁石16は、開口21の軸心C11に配置される。そして、二重壁Wを形成するために柱1の両側に各壁板2,3を立設する前に、前記柱1の壁板2,3が密着しない側面1aに換気パイプ保持具Sの一方の縦側板部12を押圧状態で密着させることにより、当該縦側板部12の凹部12aに形成された縦横の各桟部14,15の各小突刺体14a,15aを前記側面1aに突刺させると共に、前記換気パイプ保持具Sのドライバー挿入孔24を通してビス挿通孔25に傾斜姿勢で配置されたビスB1 をドライバー(図示せず)により回転させて柱1に螺入させる。これにより、柱1の側面1aに換気パイプ保持具Sが垂直で、かつ片持ち状となって固定される。換気パイプ保持具Sは、柱1における壁板2が当接される側面1bに対して僅かに後退した位置に、本体部11のビス螺入下孔20が形成されている面が換気扇Vを取付ける側を向いて配設される。
【0031】
次に、柱1の両側に壁板2,3をそれぞれ立設して、当該壁板2,3を柱1等に固定すると、壁板2,3が空間部4を介して対向立設された二重壁Wが形成されて、当該二重壁Wの空間部4に換気パイプ保持具Sが配設される。この結果、換気パイプ保持具Sは、二重壁W内に隠蔽される。
【0032】
次に、図3−A(イ)及び図4に示されるように、磁気を探知可能な磁気探知器Aを使用して、二重壁W内に隠蔽されている換気パイプ保持具Sの開口21の軸心C11の位置である磁石16を探知して、壁板2に当該探知位置〔図3−A(イ)参照〕を罫書く。当該探知位置は、壁板2に対する第1円穿孔のセンター位置C21を表示する。なお、上記実施例の被探知具17は、予め換気パイプ保持具Sに備え付けられているをのを折り取って使用するものであるが、棒状をした被探知具17は、換気パイプ保持具Sの開口21に直径方向に沿って一体に配設されていて、使用後に折り取って処分したり、或いは別体の専用の被探知具を換気パイプ保持具Sの開口21に直径方向に沿って装着する構成であってもよい。また、換気パイプ保持具Sの開口20の軸心C11以外の部分に被探知部が設けられている場合には、当該被探知部を壁板2の外側から探知して当該探知点を壁板2に罫書き、その後に当該罫書き位置を基準にして、壁板2に対して第1円穿孔のセンター位置C21を罫書くことも可能である。
【0033】
次に、図3−A(ロ)に示されるように、板材に円形孔を穿孔するためのホールソーFを使用した第1円穿孔により、壁板2に換気パイプ保持具Sの開口21よりも大きな内径の第1透孔H11を穿孔する。ホールソーFは、センター軸31と、当該センター軸31の回りに回転して円穿孔が可能な穿孔刃32とを備えており、穿孔の進行に応じて、穿孔刃32に対してセンター軸31が相対的に移動する形式のものと、穿孔刃32とセンター軸31とが一体となって移動する形式のものとがあり、いずれの形式であってもよい。図示のホールソーFは、前者の形式であって、センター軸31は、ドリル機能を有していないが、後者の形式のホールソーのセンター軸31は、ドリル機能を有している。なお、図3−A及び図3−Bにおいて、33は、穿孔刃32を覆うカバーを示す。そして、ホールソーFのセンター軸31を第1円穿孔のセンター位置C21に当てがって、穿孔刃32を壁板2に押し付けると、壁板2に対してセンター軸31は前後方向に不動のままで、穿孔刃32が前進して、第1透孔H11が形成される。柱1の側面1aには、側面1bよりも僅かに後退した位置に換気パイプ保持具Sが固定されているため、ホールソーFによる穿孔終了時においても、前記隙間の存在により、換気パイプ保持具Sの本体部11の前面を損傷させる恐れがなくなる。なお、第1透孔H11の穿孔後においては、後にセットするセンター位置表示具E1 をセット可能にするために、換気パイプ保持具Sから被探知具17を取り外しておく。
【0034】
次に、センター位置表示具E1 を使用して、他方の壁板3に対する第2円穿孔のセンター位置C22を表示する。当該センター位置C22は、換気パイプ保持具Sのパイプ接続筒18の軸心C12が、開口21の軸心C11に対して角度(θ)だけ下方に傾斜していることに対応させて、第1円穿孔のセンター位置C21と第2円穿孔のセンター位置C22とを結ぶ線分と水平線との傾斜角度が前記角度(θ)となるように、第2円穿孔のセンター位置C22は、第1円穿孔のセンター位置C21を通る水平軸線に対して所定長だけ垂直下方に配置させる必要がある。センター位置表示具E1 は、上記条件を満たすように、第2円穿孔のセンター位置C21を簡単かつ確実に表示できる器具である。
【0035】
ここで、図8ないし図10を参照して、センター位置表示具E1 について簡単に説明する。図8(イ),(ロ)は、それぞれセンター位置表示具E1 を前面及び背面からみた斜視図であり、図9は、換気パイプ保持具Sにセンター位置表示具E1 をセットした状態の断面図であり、図10は、壁板2に形成された第1透孔H11のセンター位置C21を通る軸心C31と、第2透孔H12のセンター位置C22を通る軸心C32とを結ぶ直線Lと前記軸心C31とのなす角度が(θ)であることを説明する図である。センター位置表示具E1 は、長手方向の両端面が換気パイプ保持具Sの開口21の内周面に嵌合可能な円弧面に形成された平板状の取着板部41と、当該取着板部41の背面側であって、しかも長手方向の両端部に背面側に向けて突設されて、保持具Sのパイプ接続筒18の部分まで挿入可能な断面円弧状をした上下一対の挿入ガイド片42a,42bと、前記取着板部41の背面側の長手方向の中央部に背面側に向けて、当該取着板部41に対して垂直に突設されたガイド筒部43と、前記取着板部41の長手方向の両端面に互いに逆方向を向いて突設されて、保持具Sの上下一対の嵌込み溝22に嵌合される一対の嵌合突起体44,45とを備えている。ここで、ガイド筒部43の軸心C13は、一対の嵌合突起体44,45を結ぶ線分の中央部に配置され、各嵌合突起体44,45は、取着板部41の長手方向に沿って形成された長手方向突起体部44a,45aの前面又は背面に前後方向突起体部44b,45bが一体に形成された構成である。前後方向突起体部44b,45bの突出長は、各嵌合突起体44,45を保持具Sの各嵌込み溝22に嵌合させた状態で、ガイド筒部43の軸心C13と保持具Sのパイプ接続筒18の軸心C12とが合致するように定めてある。なお、下方に配置される挿入ガイド片42bは、保持具Sの挿入規制片26との干渉を回避するために突出方向と直交する方向の中央部が欠落されている。
【0036】
このため、図3ーA(ハ)及び図9に示されるように、センター位置表示具E1 のガイド筒部43を背面側に突出したままの姿勢で、取着板部41の長手方向(セット状態では上下方向)の両端部に形成された各嵌合突起体44,45を、換気パイプ保持具Sの各嵌込み溝22に嵌合させると、上方の嵌込み溝22の底面には、嵌合突起体44の長手方向突起体部44aが当接すると共に、下方の嵌込み溝22の底面には、嵌合突起体45の前後方向突起体部45bが当接することにより、ガイド筒部43の軸心C13は、換気パイプ保持具Sの開口21の軸心C11に対して角度(θ)だけ下方に傾斜する。このため、図3−B(ニ)、図6及び図10に示されるように、換気パイプ保持具Sにセットされたセンター位置表示具E1 のガイド筒部43に挿通された二重壁Wを貫通可能な長さのロングドリル71により、別の壁板3にセンター位置表示貫通孔51を穿孔すると、当該センター位置表示貫通孔51の軸心位置(センター位置表示具E1 のガイド筒部43の軸心C13の延長線と壁板3とが交差する位置)は、壁板3に対する第2円穿孔のセンター位置C22となる。図10に示されるように、第1及び第2の各円穿孔のセンター位置C21,C22を結ぶ直線Lは、センター位置C21をセンターとする第1円穿孔により壁板に形成される第1透孔H11の軸心C31に対して角度(θ)だけ下方に傾斜している。なお、センター位置表示具E1 の取着板部41の貫通孔43aの上下には、奥方の視認性を良好にするための一対の透孔46が形成されている。
【0037】
なお、上記センター位置表示具E1 は、壁板2に対する第1円穿孔のセンター位置C21を通る軸線(当該センター位置を通って、壁板2に対して垂直な直線)の垂直下方に所定距離だけ離れた位置に、壁板3に対する第2円穿孔のセンター位置C22を表示する器具であって、取着板部41の長手方向の中央部に板面に対して垂直にガイド筒部43が形成されて、取着板部41の長手方向の両端部の互いに反対の面に嵌合突起体44,45を形成した構成であるが、取着板部41の長手方向の中央部に形成するガイド筒部43を、当該取着板部41に対して設定角度だけ傾斜させて形成することも可能である。
【0038】
図3−A(ハ)に示されるように、換気パイプ保持具Sに形成された上下一対の各嵌込み溝22にセンター位置表示具E1 を上記したようにしてセットし、この状態で、図3−B(ニ)及び図6に示されるように、センター位置表示具E1 のガイド筒部43の貫通孔43aにロングドリル71を挿通して、第1透孔H11が穿孔された壁板2と対向する別の壁板3に対してセンター位置表示貫通孔51を形成すると、当該センター位置表示貫通孔51の軸心は、壁板3に対する第2円穿孔のセンター位置C22となる。
【0039】
次に、図3−B(ホ)に示されるように、壁板3に形成された前記センター位置表示貫通孔51の軸心であるセンター位置C22をセンターとして、ホールソーFにより当該壁板3に第2円穿孔を行うと、図10に示されるように、第1円穿孔により壁板2に穿孔された第1透孔H11のセンター位置C21を通る軸心C31の垂直下方に所定長さだけ離れた位置にセンター位置C22を有する第2透孔H12が別の壁板3に形成され、対向する各壁板2,3に形成される第1及び第2の各透孔H11,H12の有する上記の関係を請求項2における「特定の関係」という。また、第2円穿孔のセンターであるセンター位置C22を形成するセンター位置表示貫通孔51の軸心は、壁板3に対して角度(θ)だけ傾斜しているが、ホールソーFの穿孔刃32は、壁板3に対して垂直となって第2透孔H12が穿孔される。なお、第2透孔H12の穿孔後においては、換気パイプ保持具Sからセンター位置表示具E1 を取り外す。
【0040】
最後に、図3−B(ヘ)に示されるように、壁板3に穿孔された第2透孔H12を通して壁板3の外側から換気パイプPを、二重壁W内の柱1に固定されている換気パイプ保持具Sのパイプ接続筒18に挿入すると、当該保持具Sに換気パイプPが、前記パイプ接続筒18の軸心C12の傾斜角度(θ)と同一角度だけ傾斜した姿勢で保持される。なお、図3−B(ヘ)において、壁板2に形成された第1透孔H11のセンター位置C21を通る軸心C31と、第2透孔H12のセンター位置C22を通る軸心C32とを結ぶ直線Lと、パイプ接続筒18の軸心C12とは、厳密には互いに平行であって、上下方向に僅かにずれているが、このずれ量は僅少であるので、前記軸心C12と直線Lとは、同一直線上に存在するものと見做している。
【0041】
なお、図7に示されるように、壁板2の表側には換気扇Vの前板61が配置されて、換気扇Vの本体部62は、換気パイプ保持具Sの開口21を通って前記換気パイプPの内部(二重壁Wの空間部4)に配置され、上下一対のビスB2 を介して換気扇Vの前板61は、換気パイプ保持具Sの本体部11に固定され、前記本体部11には、カバー63が嵌められる。
【0042】
また、上記実施例では、第2透孔H12の軸心C32は、第1透孔H11の軸心C31よりも低い位置であるが、換気パイプ保持具Sに対するセンター位置表示具E1 のセット方向を上記方向に対して上下反転させると、第2透孔H12の軸心C32は、第1透孔H11の軸心C31よりも高い位置に配置されて、各軸心C31,C32を結ぶ直線の傾斜角度は同一であるが、傾斜方向が異なることになる。
【実施例2】
【0043】
次に、図11、図12−A及び図12−Bを参照して、二重壁Wに対して貫通孔H2 を形成する方法について説明する。図11は、上記した貫通孔形成方法の実施に使用されるセンター位置表示具E2 を背面側から見た斜視図であり、図12−A及び図12−Bの(イ)ないし(ニ)は、センター位置表示具E2 を使用して二重壁Wに貫通孔H2 を形成する順序を説明する断面図である。センター位置表示具E2 は、図11及び図12−A(ロ)に示されるように、浅い箱状に形成されて、長手方向に沿った各第1側板部81は平板状であるが、短手方向(幅方向)に沿って配置されて、長手方向に沿って対向している各第2側板部82は、縦断面がセットする透孔の内径に対応した円弧状に形成されていて、当該第2側板部82の開口側の端部には、外方に向けてフランジ状に突出した当接板部83が底板部84と平行に形成された構成である。第2側板部82の幅方向の中央部は、一部が底板部84に進入した形態でコの字状に切り欠かれて、開口側が自由端部となった弾性片85が形成されて、当該弾性片85の外面には、セットする透孔の内周面に対する係合力を高めるための凹凸部85aが形成されている。前記弾性片85の非変形時においては、その外面は、第1側板部81の外面よりも外方に突出している。また、底板部84の背面の長手方向及び幅方向の双方の中央部には、ロングドリル71を挿通して位置決めするための所定長のガイド筒部86が突設されている。ガイド筒部86の軸心C14は、底板部84に対して垂直となっている。
【0044】
二重壁Wの構造は、上記した通りであって、予め判明している壁板2に対する第1穿孔のセンター位置C41を罫書いておいて、ホールソーFを使用して、壁板2に第1透孔H21を形成する〔図12−A( イ)〕。次に、壁板2に形成された第1透孔H21の外側から当該第1透孔H21に対してセンター位置表示具E2 を押し付けると、一対の弾性片85が内方に弾性変形されると共に、当該弾性片85の弾性復元力により、その外側の凹凸部85aが第1透孔H21の内周面に係合してそのままセットされた状態となる〔図12−A( ロ)〕。この状態では、センター位置表示具E2 のガイド筒部86の軸心C14は、第1透孔H21の軸心C51上に配置されるため、センター位置表示具E2 のガイド筒部86の貫通孔86aにロングドリル71を挿通して、第1透孔H21が形成された壁板2と対向する別の壁板3にセンター位置表示貫通孔91を形成すると、当該センター位置表示貫通孔91の軸心は、第1透孔H21の軸心C51となる。
【0045】
次に、前記センター位置表示貫通孔91の軸心C51を壁板3に対する第2円穿孔のセンター位置として、ホールソーFにより第2透孔H22を形成すると、二重壁Wに貫通孔H2 が形成される〔図12−B( ハ),(ニ)〕。貫通孔H2 を構成する第1及び第2の各透孔H21,H22の軸心C51, C52は水平であって互いに合致している。貫通孔H2 には、例えば換気パイプP等が挿通配管される。
【0046】
また、上記したセンター位置表示具E2 は、ガイド筒部86の軸心C14が底板部84に対して垂直となっているが、前記軸心C14を底板部84に対して所定角度だけ傾斜させると、壁板2,3に対する第1及び第2の各円穿孔の中心を結ぶ直線が上記した所定角度だけ傾斜するため、二重壁Wに対して換気パイプ等を傾斜させて挿通配管させることが可能となる。
【0047】
また、壁板3に対する第2円穿孔のセンター位置C42の特定は、上記実施例のように、センター位置表示具E2 を使用してセンター位置表示貫通孔91を穿孔すると、センター位置C42の特定を1工程でできて能率が高まるが、壁板3の内側にセンター位置C42を罫書き、その後に、当該罫書き位置を基準にしてセンタードリルにより壁板3に貫通孔を穿孔してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】二重壁W内に立設された柱1に換気パイプ保持具Sが固定された状態の斜視図である。
【図2】換気パイプ保持具Sの中央縦断面図である。
【図3−A】(イ)ないし(ハ)は、施工順序を説明する二重壁Wの縦断面図である。
【図3−B】(ニ)ないし(ヘ)は、施工順序を説明する二重壁Wの縦断面図である。
【図4】二重壁Wの空間部4に配設された換気パイプ保持具Sの開口21の軸心C11の位置を磁気探知器Aにより探知している状態の斜視図である。
【図5】壁板2に形成された第1透孔H11を通して換気パイプ保持具Sにセンター位置表示具E1 をセットする状態の斜視図である。
【図6】換気パイプ保持具Sにセットされたセンター位置表示具E1 及びロングドリル71を使用して、壁板3に対する第2円穿孔のセンター位置を表示している状態の斜視図である。
【図7】二重壁Wの空間部4に配設された換気パイプ保持具Sに対して換気扇Vを取付ける状態を示す斜視図である。
【図8】(イ),(ロ)は、それぞれセンター位置表示具E1 を前面及び背面からみた斜視図である。
【図9】換気パイプ保持具Sにセンター位置表示具E1 をセットした状態の断面図である。
【図10】壁板2に形成された第1透孔H11のセンター位置C21を通る軸心C31と、第2透孔H12のセンター位置C22を通る軸心C32とを結ぶ直線Lと前記軸心C31とのなす角度が(θ)であることを説明する図である。
【図11】センター位置表示具E2 を背面側から見た斜視図である。
【図12−A】(イ)及び(ロ)は、センター位置表示具E2 を使用して二重壁Wに貫通孔H2 を形成する順序を説明する断面図である。
【図12−B】(ハ)及び(ニ)は、センター位置表示具E2 を使用して二重壁Wに貫通孔H2 を形成する順序を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0049】
A:磁気探知器
11:換気パイプ保持具の開口の軸心
12:換気パイプ保持具のパイプ接続筒の軸心
13,C14:センター位置表示具のガイド筒部の軸心
21:貫通孔H1 の第1円穿孔のセンター位置
22:貫通孔H1 の第2円穿孔のセンター位置
31:貫通孔H1 の第1透孔H11の軸心
32:貫通孔H1 の第2透孔H12の軸心
41:貫通孔H2 の第1円穿孔のセンター位置
42:貫通孔H2 の第2円穿孔のセンター位置
51:貫通孔H2 の第1透孔H21の軸心
52:貫通孔H2 の第2透孔H22の軸心
1 ,E2 :センター位置表示具
F:ホールソー(穿孔具)
1 ,H2 :貫通孔
11,H21:第1透孔
12,H22:第2透孔
L:第1及び第2の各円穿孔のセンター位置を通る直線
P:換気パイプ
S:換気パイプ保持具(配設体)
W:二重壁
1:柱
2,3:壁板
4:空間部
11:換気パイプ保持具の本体部
16:磁石
17:被探知具
22:嵌込み溝
31:センター軸
32:穿孔刃
41:取着板部
43:ガイド筒部
44,45:嵌合突起体
51,91:センター位置表示貫通孔(センター位置表示孔)
71:ロングドリル(センタードリル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の壁板が空間部を介して対向立設されて二重壁が形成され、当該二重壁の両側に流体の流通路や配線・配管材を貫通するように配設すべく、前記二重壁に貫通孔を形成する方法であって、
センター軸と、当該センター軸の周囲を回転して円穿孔を形成可能とする穿孔刃とを備えた穿孔具を用いて、一方の壁板の外側から当該一方の壁板を貫通する第1円穿孔により第1透孔を形成し、前記第1透孔に対して他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置を表示するセンター位置表示具を、前記一方の壁板の外側から当該壁板に配置することにより、他方の壁板に対する第2円穿孔のセンター位置を特定し、
当該センター位置表示具により特定された第2円穿孔のセンター位置を前記第1透孔を通じて、一方の壁板の外側から二重壁を貫通可能な長さのドリルで他方の壁板に向けて貫通孔を形成することで、第2円穿孔のセンター位置を表示するセンター位置表示孔を形成し、
他方の壁板に形成されたセンター位置表示孔に、他方の壁板の内側から前記穿孔具のセンター軸を当てがって、当該センター位置表示孔を中心とする第2円穿孔により前記他方の壁板に前記第1透孔に対して特定の位置関係を有する第2透孔を形成することを特徴とする二重壁への貫通孔形成方法。
【請求項2】
各々の壁板が空間部を介して対向立設されて二重壁が形成されて、前記空間部に配設体が配設され、前記二重壁の両側に流体の流通路や配線・配管材を前記配設体を通って貫通するように配設すべく、前記二重壁に貫通孔を形成する方法であって、
センター軸と、当該センター軸の周囲を回転して円穿孔を形成可能とする穿孔刃とを備えた穿孔具を用いた第1円穿孔により、一方の壁板の外側から当該一方の壁板を貫通して、前記空間部に配設された配設体の開口が前記一方の壁板の外側に臨む第1透孔を形成し、
当該第1透孔に臨む配設体の開口内に配置されて、他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置を表示するセンター位置表示具、又は当該配設体に形成された前記第2透孔のセンター位置を表示するセンター位置表示部により特定される第2円穿孔のセンター位置を、前記第1透孔及び配設体内を通して、一方の壁板の外側から二重壁を貫通可能な長さのドリルにより他方の壁板の内側に向けて貫通孔を形成することで、第2円穿孔のセンター位置を表示するセンター位置表示孔を形成し、
他方の壁板の外側から前記穿孔具のセンター軸を前記センター位置表示孔に当てがい、当該センター位置表示孔を中心とする第2円穿孔により、他方の壁板に第1透孔に対して特定の位置関係を有する第2透孔を形成することを特徴とする二重壁への貫通孔形成方法。
【請求項3】
前記配設体には、壁表に開口を臨ませるための第1透孔のセンター位置を特定すべく一方の壁板の外側から探知可能な被探知部を備えており、前記一方の壁板の外側から前記被探知部を探知して、当該探知により前記第1円穿孔のセンター位置を特定して第1透孔を形成することを特徴とする請求項2に記載の二重壁への貫通孔形成方法。
【請求項4】
特定された第2円穿孔のセンター位置は、前記第1円穿孔の中心を通り、かつ壁板に対して垂直な軸線に対して垂直上方又は垂直下方にずれた位置であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の二重壁への貫通孔形成方法。
【請求項5】
各々の壁板が空間部を介して対向立設されて二重壁が形成されて、前記空間部に換気パイプ保持具が配設され、前記二重壁に前記換気パイプ保持具の開口を通る貫通孔を形成して、当該貫通孔に換気パイプを配設する方法であって、
第1円穿孔により一方の壁板の外側から当該一方の壁板に、前記空間部に配設された換気パイプ保持具の開口を壁表に臨ませるべく第1透孔を形成し、
前記第1透孔により開口が壁表に臨んだ前記換気パイプ保持具に、他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置を表示する表示部を備えたセンター位置表示具を取着し、
前記センター位置表示具の表示部により表示される第2円穿孔のセンター位置を、前記一方の壁板の外側から前記第1透孔を貫通して挿入された二重壁を貫通可能な長さのドリルにより他方の壁板に穿孔された貫通孔により形成し、
前記貫通孔を中心とする第2円穿孔により他方の壁板に第2透孔を形成し、
前記第1及び第2の各円穿孔により前記二重壁に形成された貫通孔に、当該二重壁の外側から換気パイプを挿入して、壁内で換気パイプ保持具で保持させることで、前記貫通孔に対して換気パイプを配設することを特徴とする二重壁への換気パイプの配設方法。
【請求項6】
各々の壁板が空間部を介して対向して立設されて二重壁が形成されて、前記空間部に配設体が配設され、前記二重壁の両側に流体の流通路や配線・配管材を貫通するように配設すべく前記二重壁に貫通孔を形成する際に、前記各々の壁板の一方に対して前記貫通孔のセンター位置を表示する表示具であって、
第1円穿孔により一方の壁板に形成された第1透孔を通して壁表から、壁内に配設された前記配設体に取着可能な取着部と、
第2円穿孔により他方の壁板に形成予定の第2透孔の中心位置を表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、第1透孔内を貫通して壁内に挿入されたドリルを、他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置へガイドするガイド部より構成されていることを特徴とするセンター位置表示具。
【請求項7】
前記ガイド部は、筒状に形成されてドリルが貫通可能であることを特徴とする請求項6に記載のセンター位置表示具。
【請求項8】
前記配設体に取着した状態で、一方の壁板に形成された第1透孔のセンター位置の軸線に対して垂直上方又は垂直下方にずれた位置に、他方の壁板に形成予定の第2透孔のセンター位置を表示すべく、前記取着部に対してガイド部が傾斜しているか、或いはガイド部が水平線に対して傾斜するように前記配設体に対して取着部が取着可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載のセンター位置表示具。

【図1】
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【図2】
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【図3−A】
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【図3−B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−A】
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【図12−B】
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【公開番号】特開2008−93785(P2008−93785A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278443(P2006−278443)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】