説明

二重容器

【課題】外容器とその内側に配置された内容器とが接合され、外容器に易開封部を設けた二重容器であって、外力による易開封部を境にした容器の破損を抑制できる二重容器を提供する。
【解決手段】本発明の二重容器1は、胴部11と胴部11の周方向に沿って延びるジッパー部14とを有した外容器10と、外容器10の内側に配置された内容器20と、を備える。外容器10と内容器20とは、外容器10と内容器20とによって内容器20の下方に収容空間15が形成され、かつ外容器10に設けられたジッパー部14が内容器20の下24よりも上方に位置するようにして接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外容器とその内側に配置された内容器とが接合されている二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙又はプラスチックで製作されたカップ状の内容器と外容器とを有し、相対的に小型の内容器を相対的に大型の外容器内に収容し、かつ各容器の開口上縁で互いに一体化した二重容器が知られている(特許文献1)。この二重容器は、内容器と外容器とによって内容器の下方に収容空間が形成され、その収容空間は内容器に収容される物品と異なる異種物品の収容に利用される。そして、外容器の周壁には、円周方向に沿って延びる2本のミシン目が設けられて帯状の切り取り片が形成されている。この切り取り片を引き上げて外容器から切り離すことによって、二重容器は上部の二重容器と下部の容器とに分離される。これにより、内容器に物品が収容されたままの状態で、内容器の下方の収容空間に収容された異種物品を取り出す等のアクセスが可能となる。
【0003】
また、上記と同様の二重容器を開示する特許文献2が存在する。この文献には、カップ状の外容器の内部に中底部材を宙吊り状態で固定して中底部材の上方及び下方のそれぞれに物品収容室を形成するとともに、外容器の側壁部を横方向に一巡する帯状の引き剥がし片又はジッパー部を形成した容器が開示されている。この容器によれば、特許文献1の容器と同様に、帯状の引き剥がし片又はジッパー部を引き上げて切り離すことにより、中底部材の上方の物品収容室に物品が収容されたままの状態で下方の物品収容室へアクセスが可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開平4−201873号公報
【特許文献2】特開2004−314987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の二重容器は、内容器の高さ寸法が外容器の高さ寸法の略半分に設定され、切り取り片が外容器の高さ方向の略真ん中の位置に設けられている。そのため、切り取り片を構成する下側のミシン目が内容器の下縁よりも下方に位置するおそれがある。また、特許文献2の容器は、引き剥がし片又はジッパー部が中底部材の下縁よりも下方に設けられている。従って、これらの容器は、切り取り片、引き剥がし片及びジッパー部等の易開封部の背面側の支持が弱く、外力によって易開封部を境にして容器が破損し易くなる。そのため、悪意を持つ者が易開封部を押し込むことで容器が破損して商品価値が失われるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、外容器とその内側に配置された内容器とが接合され、外容器に易開封部を設けた二重容器であって、外力による易開封部を境にした容器の破損を抑制できる二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明の二重容器について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明の二重容器は、胴部(11)と前記胴部の周方向に沿って延びる易開封部(14)とを有した外容器(10)と、前記外容器の内側に配置された内容器(20)と、を備え、前記外容器と前記内容器とによって前記内容器の下方に閉空間(15)が形成され、かつ前記外容器の前記易開封部が前記内容器の下縁(24)よりも上方に位置するように前記外容器と前記内容器とが接合されていることにより、上述した課題を解決する。
【0009】
この二重容器によれば、易開封部によって外容器を上下に分離できるので、内容器に物品を収容した状態で内容器の下方の閉空間に収容した物品を取り出す等のアクセスが可能となる。しかも、外容器に設けられた易開封部は、内容器の下縁よりも上方に位置し、易開封部の背面側に内容器が存在する。そのため、仮に易開封部が悪意を持つ者に押し込まれた場合でも、易開封部の背面側が内容器に支持されて易開封部を境にした容器の破損が抑制される。
【0010】
本発明の二重容器において、前記外容器及び前記内容器のそれぞれは、底部から上端に向かう方向に横幅が広がるように構成されるとともに、前記内容器の前記方向に関する横幅の広がり具合が前記外容器の前記方向に関する横幅の広がり具合よりも大きくなるように前記外容器と前記内容器とがそれぞれ構成されていてもよい。この態様によれば、外容器の内側に内容器をはめ込み易くなり、また接着剤により外容器と内容器とを接合する際に、接合箇所以外に接着剤が付着する問題を抑制できる。
【0011】
また、本発明の二重容器においては、前記外容器と前記内容器とが上端側に偏った位置で部分的に接合されていてもよい。この態様によれば、内容器の胴部の全面が、接合の相手方に相当する外容器の胴部の内側に接着されるものではない。そのため、易開封部を境にして上下に分離された外容器の上側の部分を内容器から取り外すことが、内容器の全面が外容器に接合された態様に比べて容易となる。従って、外容器の当該上側の部分が取り外された内容器の再利用が容易となる。この内容器の再利用の態様としては種々の態様を想定できる。例えば、その内容器を上下逆さまにして置き、閉空間に収容されていた物品、例えば景品等をその内容器の底部に載置するための装飾用の装飾台として内容器を再利用できる。このような態様で内容器が再利用されることを考慮した場合には、例えば文字、図形、記号等、又はこれらの結合等で構成され上下を区別可能な模様(D)を、内容器に対して上下逆さまに印刷しておいてもよい。こうすることで、装飾台としての意匠効果を高めることができる。なお、その模様は外容器の胴部によって隠されるので、その模様を上下逆さまに印刷しても外観上の不都合はない。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、外容器に設けられた易開封部が内容器の下縁よりも上方に位置するように外容器と内容器とが接合されているので、易開封部を境にした容器の破損を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2は本発明の二重容器の一実施形態を示し、図1は二重容器の外観を示した斜視図、図2は図1のII−II線に沿った断面図である。これらの図に示すように、二重容器1は外容器10と外容器10の内側に配置された内容器20とを有し、これらの容器が互いに接合されて構成されている。外容器10及び内容器20はそれぞれ所定形状の平面状の紙を丸めて逆円錐台形状に組み立てられたカップ状の紙容器である。すなわち、外容器10及び内容器20のそれぞれは、底部から上端に向かう方向に横幅が広がる形状である。そして、内容器20の同方向に関する横幅の広がり具合は、外容器の横幅の広がり具合よりも大きくなるように構成されている。
【0014】
外容器10は胴部11と胴部11の下端に設けられた円形状の底部12とを有し、胴部11の上端にはフランジ部13が形成されている。フランジ部13は胴部11の上端が外向きに丸められて形成されている。なお、フランジ部13を省略した形態とすることもできる。一方、内容器20は、外容器10と同様に、胴部21と胴部21の下端に設けられた円形状の底部22とを有していて、胴部21の上端にフランジ部23が設けられている。フランジ部23の構成は外容器のフランジ部13と同様である。内容器20のフランジ部23の上面にはアルミ製のシートと紙が積層されて構成された蓋部30が開封可能な強度で貼り付けられている。これにより、内容器20の収容空間25が密封される。外容器10の高さ方向の寸法は内容器20の高さ方向の寸法よりも大きい。そのため、外容器10の内側に内容器20を嵌め込むように配置して外容器10と内容器20とを互いに接合することにより、内容器20の下方に閉空間としての収容空間15が形成される。
【0015】
二重容器1に形成される二つの収容空間15、25は所定の物品をそれぞれ収容できる。二つの収容空間15、25のそれぞれに収容される物品に特段の制限はないが、互いに相違する物品をこれらに収容してもよい。例えば、収容空間25に菓子等の食品Fを、収容空間15にフィギュア、模型、アクセサリー等の非食品である景品Pをそれぞれ収容してもよい(図4参照)。また、互いに異なる異種の食品を二つの収容空間15、25に収容してもよい。
【0016】
外側容器10には、胴部11の周方向に沿って延びる易開封部としての帯状のジッパー部14が設けられている。ジッパー部14は胴部を一巡するように形成されている。図1に示すように、ジッパー部14は上下にそれぞれ列をなす不連続的な複数の切り込み14aが形成されて構成され、ジッパー部14が設けられた部位は胴部11の他の部位よりも強度が弱められている。図3に示すように、ジッパー部14の一端には使用者が摘めるように摘み部14bが設けられる。その摘み部14bを使用者が摘みながら図3の矢印aの方向に引っ張ることにより、図4に示すように、外容器10の胴部11は上下に分離され、収容空間15に収容されていた景品Pを取り出すことができる。この場合、収容空間25を密封する蓋部30は閉じたままで構わない。つまり、内容器20の収容空間25に物品としての食品Fが収容された状態で、内容器20の下方に形成された収容空間25を開封することができる。
【0017】
図1及び図2に示すように、二重容器1においては、ジッパー部14が内容器20の底部22の周囲に続く下縁24よりも上方に位置するように外容器10と内容器20とが接合されている。このため、仮にジッパー部14が押し込まれても、ジッパー部14の背面側に内容器20が位置し、ジッパー部14が内容器20によって支持される。従って、ジッパー部14を境にした容器の破損が抑制される。特に、ジッパー部14によって開封される収容空間15に景品Pを収容した場合には、景品Pの内容確認や不正な取り出し等の目的のためにジッパー部14を破壊するいたずらが増加する傾向にある。二重容器1はそのような場合に有効な対策となる。
【0018】
図5は二重容器1の側面の一部を示している。図5に示すように、外容器10の胴部11には上下方向に延びる糊代部26が存在する。外容器の胴部11は、上述したが、所定形状に加工された平面状の紙材の両端が糊代部26の位置で重ねあわされた状態で接合されることにより構成される。ジッパー部14の摘み部14bは、丁度、糊代部26の位置に設けられている。糊代部26のうち、摘み部14bが設けられた領域AR1は、それ以外の領域AR2よりも接合強度が弱められている。このため、摘み部14bを剥離し易くなりジッパー部14の操作性が向上する。
【0019】
領域AR1における接合強度を他の領域AR2よりも弱める方法としては、種々の方法を採用できる。例えば、接合方法としてヒートシールを用いる場合には、摘み部14bの裏面側に抗ヒートシール剤等の接合阻害剤を塗布しておき、その上で糊代部26の長手方向に延びるヒートシールバー等の発熱体で加熱しながら熱圧着することにより、領域AR1の接合強度を他の領域AR2よりも弱めることができる。また、接合阻害剤を塗布しない方法としては、ヒートシールバー等の発熱体の領域AR1に対応する部分を切除し、このように構成した発熱体によって熱圧着することで、領域AR1の加熱が弱められて領域AR1の接合強度を他の領域AR2よりも弱めることができる。また、熱風を吹きかけて接合する方法では、その熱風を領域AR1を除いて領域AR2へ選択的に吹きかけることにより、領域AR1の接合強度を他の領域AR2よりも弱めることができる。
【0020】
(容器の接合方法)
次に、図6〜8を参照しながら、二重容器1の外容器10と内容器20との接合方法について説明する。図6は外容器10と内容器20との接合方法の第1の形態を示した部分断面図である。図6に示すように、第1の形態は外容器10のフランジ部13及び内容器20のフランジ部23を接着層3を介在させて互いに接合したものである。接着層3は適宜のものでよく、例えばホットメルト系、エマルジョン系等の各種接着剤からなるものでよい。その接着剤は、フランジ部13又はフランジ部23のいずれか一方、或いはこれらの両方に塗布してもよい。
【0021】
図7は接合方法の第2の形態を示す説明図である。第2の形態は、外容器10の胴部11の内側で、かつ上端側に偏った位置に接着剤4を胴部11の周方向に沿って塗布し、その後、内容器20を接着剤4が塗布された外容器10の内側に嵌め込むように配置して外容器10と内容器20とを互いに接着したものである。この形態によれば、内容器20を外容器10へ嵌め終わる前に内容器20の胴部21と接着剤4が接触した場合でも、その接着剤4が外容器10の胴部11の内側に流れるに過ぎないので、接着剤4が外容器10に掬われて外部へはみ出る等の外観上の不具合を回避することができる。特に、接着剤4としてホットメルト系の接着剤を使用した場合は、塗布した接着剤の厚みが厚くなりがちなので、内容器20を外容器10に嵌め終わる前に接着剤4と内容器20の胴部21が接触する機会が増加する。従って、外容器10と内容器20とを接合する接合方法として、本形態を採用することが効果的である。なお、上述したように、外容器10のフランジ部13は省略しても構わないが、そのような場合に内容器20の胴部21の外側に接着剤を塗布すると、外容器10の上縁で接着剤を掬い易くなる。従って、フランジ部13を省略して二重容器1を構成する際には、本形態を採用することが特に有効である。
【0022】
図8は接合方法の第3の形態を示す説明図である。図8に示すように、第3の形態は、第2の形態の場合とは逆に、内容器20の胴部21の外側で、かつ上端側に偏った位置に接着剤4を胴部21の周方向に沿って塗布し、その後、接着剤4が塗布された内容器20を外容器10の内側に嵌め込むように配置して外容器10と内容器20とを互いに接着したものである。この形態では、内容器20の胴部21の外側に接着剤4が塗布され、外容器10の内側に接着剤4が塗布されない。そのため、外容器10と内容器20とを接合する前に内容器20の下方に形成される収容空間25へ収容しておくべき景品P等の物品を接着剤4で汚染するおそれがない。
【0023】
なお、外容器10と内容器20とを接合する際には、どのような向きでこれらを接合しても構わない。例えば、図6に示した第1の形態では、図示の向きで外容器10をベルトコンベアーや作業台等の載置手段に載置してから内容器20を外容器10の上側から重ねるようにしてこれらを接合してもよいし、また内容器20を図示の向きと上下反対向きで載置手段に載置し、その後外容器10を上下反対向きの状態で内容器20の上側から被せるようにしてこれらを接合してもよい。また、図7に示した第2の形態においても、内容器20を図示の向きと上下反対向きにして載置手段に載置し、その後、接着剤4が塗布された外容器10を上下反対向きの状態で内容器20の上側から被せるようにしてこれらを接合してもよい。更に図8に示した第3の形態においても、接着剤4が塗布された内容器20を図示の向きと上下反対向きにして載置手段に載置し、その後、外容器10を上下反対向きの状態で内容器20の上側から被せるようにしてこれらを接合してもよい。更にまた、外容器10と内容器20とを水平方向に向けた状態でこれらを接合してもよいし、外容器10と内容器20とを水平方向に関して斜めにした状態でこれらを接合してもよい。
【0024】
以上の接合方法に関する各形態において、外容器10と内容器20とを接合するための接着剤の塗布は、フランジ部13、23、胴部11の内側、又は胴部21の外側を周方向に一巡するように連続的に行ってもよいし、周方向に離散的に行ってもよい。接着剤を離散的に塗布する場合には、二箇所以上に接着剤を塗布することが好ましく、更に、二以上の接着箇所のそれぞれを平均的に周方向に分散させることが好ましい。例えば、接着箇所が二箇所の場合には接着箇所の間隔を二重容器1の中心線を基準として180°とし、また接着箇所が三箇所の場合には接着箇所の間隔をその中心線を基準として120°としてもよい。
【0025】
(容器の再利用)
以上、図6〜図8に示した形態は、いずれも、内容器20の胴部21の全面が接合の相手方に相当する外容器10の胴部の内側に接着されるものではない。すなわち、二重容器1は、外容器20と内容器10とが上端側に偏った位置で部分的に接合される。そのため、図4に示したようにジッパー部14を引き離して外容器10を上下に分離した場合、分離された外容器10の上側の部分を内容器20から取り外すことが、内容器20の全面が外容器10に接合された形態に比べて容易となる。そのため、当該上側の部分が取り外された内容器20の再利用が容易となる。
【0026】
例えば、図9に示すように、その内容器20を上下逆さまにして置き、その内容器20を収容空間25に収容されていた景品Pを載置することが可能な景品装飾用の装飾台300として再利用することができる。この場合には、装飾台300として再利用されることを想定し、文字、図形、記号等、又はこれらの結合等で構成され上下を区別可能な模様Dを、内容器20に対して上下逆さまに印刷しておいてもよい。その模様Dは、外容器10と内容器20とが接合されて二重容器1が構成された場合には、外容器10によって隠されるので、上下逆さまに印刷しても外観上の不都合はない。
【0027】
内容器20が景品Pの装飾台300として再利用されることを前提とした場合には、図10及び図11に示すように、景品Pが装飾台300に係合させる手段を設けてもよい。図10は内容器20の底面を示した底面図、図11は、内容器20の底部22に景品Pを取付ける様子を示した説明図である。例えば、図10に示すように、内容器20の底部22に破壊容易部301、301を形成する一方で、図11に示すように、破壊容易部301、301に対応する位置に係合片302、302を景品Pの下面に設けてもよい。これによれば、図11(a)及び(b)に示すように、係合片302で破壊容易部301を押し破るようにして景品Pを底部22に取付けることにより、景品Pの係合片302が底部22と噛み合う。それにより、装飾台300から容易に外れることなく景品Pを装飾台300に設置できる。なお、破壊容易部301はミシン目等の強度低下手段により実現してもよい。
【0028】
(物品の収容方法)
次に、図12〜図14を参照して、収容空間15、25への物品の収容方法を説明する。なお、以下の説明では、収容空間25には食品Fを、収容空間15には景品Pをそれぞれ収容するものとして説明する。図12は収容方法の第1の形態を示した説明図である。この形態は、まず、図12(a)に示すように外容器10を用意し、その外容器10内に景品Pを入れる。次に、図12(b)に示すように外容器10に景品Pを入れたままの状態で、外容器10の内側に内容器20を嵌め込むように配置して外容器10と内容器20とを接合する。接合の方法は、例えば図6〜図8の形態のいずれを利用してもよい。次いで、図12(c)に示すように、外容器10と内容器20とが接合された状態で、内容器20の収容空間25へ食品Fを収容し、その後、蓋部30を内容器20のフランジ部23に貼り付けて収容空間25を密封する。以上によって、異種の物品が二重容器1の別々の空間に収容された商品が完成する。この形態は、景品Pの収容、食品Fの収容、及び外容器10と内容器20との接合の各行程を同一の場所(工場等)で行う場合に適している。
【0029】
図13は収容方法の第2の形態を示す説明図である。この形態は、まず、図13(a)に示すように、内容器20に食品Fを収めた後、蓋部30で密封し、それにより食品Fが充填された内容器20を得る。次に、図13(b)に示すように、外容器10内に景品Pを入れる。次いで、図13(c)に示すように、図13(a)で得られた内容器20と、図13(b)で景品Pが収められた外容器10とを、接合する。接合方法は、例えば図6〜図8の形態のいずれを利用してもよい。以上によって、異種の物品が二重容器1の別々の空間に収容された商品が完成する。図13(a)で得た内容器20は食品Fが密封されているので、その内容器20の輸送が比較的自由である。従って、この形態は、食品Fの収容が、景品Pの収容及び各容器の接合を行う場所と異なる場所で行われる場合に適している。
【0030】
図14は物品収容方法の第3の形態を示す説明図である。この形態は、まず、図14(a)に示すように、内容器20を上下逆さまに設置し、その状態で底部22の上に景品Pを載置する。次に、図14(b)に示すように、外容器10を上下逆さまな状態で景品Pが載置された内容器20に被せ、その後、外容器10と内容器20とを接合する。接合方法は例えば図6〜図8の形態のいずれを利用しても構わない。なお、図14(a)の工程で準備される内容器20は食品Fが収容されて密封されたものでもよいし、空のものでもよい。図14(a)の工程で食品Fが収容されて密封された内容器20を使用する場合には、図14(b)の工程により、異種の物品が二重容器1の別々の収容空間に収容された商品が完成する。一方、図14(a)の工程で空の内容器20を使用する場合には、図14(b)の工程の後に、図12(c)と同様の工程を行う必要がある。すなわち、図14(b)の工程の後に、外容器10と内容器20とが互いに接合された二重容器1を上下反転させて通常の方向に戻し、内容器20の収容空間25に食品Fを収容し、しかる後、蓋部30を内容器20のフランジ部23に貼り付けて密封する。これによって、異種の物品が二重容器1の別々の収容空間に収容された商品が完成する。この形態によれば、外容器10の底に景品Pを入れる形態と比較して、景品Pの設置が正確かつ容易に実現できる。従って、この形態は、景品Pを収容する向き等の取り扱いに制限がある場合に適している。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は以上の形態に限定されず、種々の形態で実現してよい。例えば、外容器及び内容器の材質、形状等には特に制限はない。従って、これらの容器の材質は紙以外のもの、例えばプラスチック等の樹脂材料で構成してもよい。また、これらの容器は、紙だけで構成するのではなく、紙の表面にプラスチックフィルム、金属フィルム等の異種材料を貼り付けた積層材料で構成してもよいし、紙等の材料に適宜の化学物質を含浸させて、耐水性や耐油性を付与したもので構成してもよい。また、外容器と内容器とを同一の材料で構成せずに、互いに材料を相違させてもよい。これらの容器は、その横断面が円形状のものに限らず、矩形状のものでもよい。また、これらの容器は、上述した逆円錐台形状のように、底部から上端に向かう方向に胴部の横幅が広がる形状でなく、同方向に関して胴部の横幅が一定であってもよい。また、内容器の胴部の横幅の広がり具合が外容器の広がり具合と同一でもよい。上記の実施形態のように、内容器の同方向に関する横幅の広がり具合が外容器の横幅の広がり具合よりも大きくなるように内容器及び外容器とを構成した場合には、外容器の内側に内容器をはめ込み易くなり、また接着剤により外容器と内容器とを接合する際に、接合箇所以外に接着剤が付着する問題を抑制できる利点がある。
【0032】
本発明の易開封部としては、上述したジッパー部14の他、公知の種々の手段で実現してよい。例えば、不連続の切り込みを外容器の胴部の周方向に沿って一列に形成したミシン目で易開封部を実現してもよい。この場合には、外容器の下部を捻ることによって、ミシン目を境にして外容器を上下に分離できる。また、胴部を完全に切り込みによって切断するのではなく、切り込みを中間で止めたいわゆるハーフカットで易開封部を実現することもできる。この場合には、ハーフカットを上下方向に二列設けて帯状にしてもよいし、ハーフカットを同方向に一列設けてもよい。
【0033】
なお、以上の形態では、内容器と外容器とを組み合わせた二重容器を例示したが、本発明の技術的思想が実現される限り、例えば内容器の内側に更に容器を配置して、三又はそれ以上の容器を重ね合わせた形態を本発明の技術的範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の二重容器の一実施形態を示し、二重容器の外観を示した斜視図。
【図2】図1のII−II線に沿った二重容器の断面図。
【図3】摘み部を使用者が摘みながらジッパー部を引き離す状態を示した説明図。
【図4】ジッパー部が引き離されて、外容器が上下方向に分離した状態を示した説明図。
【図5】図1に示した二重容器の側面の一部を示した部分側面図。
【図6】外容器と内容器との接合方法の第1の形態を示した部分断面図。
【図7】外容器と内容器との接合方法の第2の形態を示した説明図。
【図8】外容器と内容器との接合方法の第3の形態を示した説明図。
【図9】内容器を装飾台として再利用し、装飾台に景品を設置した状態を示す斜視図。
【図10】内容器の底面を示した底面図。
【図11】内容器の底部に景品を取付ける様子を示した説明図。
【図12】物品の収容方法の第1の形態を示した説明図。
【図13】物品の収容方法の第2の形態を示した説明図。
【図14】物品の収容方法の第3の形態を示した説明図。
【符号の説明】
【0035】
1 二重容器
10 外容器
11 胴部
14 ジッパー部(易開封部)
15 収容空間(閉空間)
20 内容器
24 下縁
D 模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と前記胴部の周方向に沿って延びる易開封部とを有した外容器と、前記外容器の内側に配置された内容器と、を備え、前記外容器と前記内容器とによって前記内容器の下方に閉空間が形成され、かつ前記外容器の前記易開封部が前記内容器の下縁よりも上方に位置するように前記外容器と前記内容器とが接合されていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
前記外容器及び前記内容器のそれぞれは、底部から上端に向かう方向に横幅が広がるように構成されるとともに、前記内容器の前記方向に関する横幅の広がり具合が前記外容器の前記方向に関する横幅の広がり具合よりも大きくなるように前記外容器と前記内容器とがそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1に記載の二重容器。
【請求項3】
前記外容器と前記内容器とが上端側に偏った位置で部分的に接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二重容器。
【請求項4】
前記内容器の胴部には、上下を区別可能な模様が、該内容器に対して上下逆さまに印刷されていることを特徴とする請求項3に記載の二重容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−118997(P2007−118997A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313506(P2005−313506)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】