説明

二重容器

【課題】内装容器の交換作業中に内容物がこぼれることを防止することを目的とする。
【解決手段】内容物を収容する内装容器2と、内装容器2を収容する外装容器3と、を備える二重容器1において、内装容器2に、内装容器本体4とその口部40に緩んだ状態で螺着された内装キャップ5とが備えられ、外装容器3に、外装容器本体7とその口部70に螺着された外装キャップ8とが備えられ、内装キャップ5に、内装容器本体4の内部に連通されると共に内装キャップ5を締め込むことで閉塞される連通口58と、内装キャップ5の外面に形成された第一係合部56と、が設けられ、外装キャップ8に、連通口58を介して内装容器本体4の内部に連通する注出口80と、第一係合部56に対して係合する第二係合部87と、が設けられ、内装キャップ5と外装キャップ8とが同軸上に配設され、内装キャップ5のねじ方向と外装キャップ8のねじ方向とが互いに逆向きである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装容器の内側に内装容器が収容されている二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の二重容器としては、従来、例えば下記特許文献1に記載されているような、外装容器の内側に、上端が開放された内装容器が収容された構成が知られている。前記した外装容器は、内装容器を収容する外装容器本体と、この外装容器本体の口部に装着される外装キャップと、を備えている。前記した外装キャップには、内装容器の内側に連通する注出口が設けられており、この注出口から内装容器内の内容物を注出させることができる。また、この二重容器によれば、外装キャップを取り外すことで外装容器本体内の内装容器を出し入れすることができるので、内装容器の交換を行うことができる。
【特許文献1】特開2004−307049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の二重容器では、内装容器を交換する際、内装容器の上端が開放された状態で、内装容器を外装容器本体内から取り出したり外装容器本体内に入れたりするため、内装容器の交換作業中に内装容器内の内容物がこぼれ易いという問題がある。
【0004】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、内装容器の交換作業中に内装容器内の内容物がこぼれることを防止することができる二重容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る二重容器は、内容物を収容する内装容器と、該内装容器を収容する外装容器と、を備える二重容器において、前記内装容器には、外周面に雄ねじが形成された口部を有する内装容器本体と、該内装容器本体の口部に緩んだ状態で螺着された内装キャップと、が備えられ、前記外装容器には、外周面に雄ねじが形成された口部を有する外装容器本体と、該外装容器本体の口部に螺着された外装キャップと、が備えられ、前記内装キャップには、前記内装容器本体の内部に連通されているとともに当該内装キャップを締め込むことで閉塞される連通口と、該内装キャップの外面に形成された第一係合部と、がそれぞれ設けられ、前記外装キャップには、前記連通口を介して前記内装容器本体の内部に連通する注出口と、前記第一係合部に対してキャップ周方向に係合する第二係合部と、がそれぞれ設けられており、前記内装キャップと前記外装キャップとが同軸上に配設されているとともに、前記内装キャップのねじ方向と前記外装キャップのねじ方向とが互いに逆向きになっていることを特徴としている。
【0006】
このような特徴により、外装容器内に収容された内装容器を交換する際には、まず、外装キャップと外装容器本体とを相対的に軸回転させて、外装容器本体の口部に螺着された外装キャップを緩めて取り外す。このとき、内装キャップの第一係合部と外装キャップの第二係合部とが周方向に互いに係合されているので、外装キャップと共に内装キャップが同方向に軸回転する。そして、内装キャップのねじ方向は外装キャップのねじ方向と逆向きになっているので、外装キャップを緩める方向に内装キャップが軸回転することで、当該内装キャップは内装容器本体の口部に締め込まれ、その結果、上記した連通口が閉塞される。したがって、外装キャップを外装容器本体の口部から取り外したとき、外装容器本体内に収容された内装容器は、内装キャップが内装容器本体の口部に締め込まれて連通口が閉塞された密封状態となる。次に、その内装容器を外装容器本体内から取り出した後、内容物を再充填した元の内装容器、若しくは、内容物が充填された新たな内装容器を、外装容器本体の中に投入する。このとき、外装容器本体の中に投入する内装容器の内装キャップを締め込んでおき、内装キャップの連通口を閉塞させておく。次に、外装容器本体の口部に外装キャップを被せ、その外装キャップと外装容器本体とを相対的に軸回転させて外装容器本体の口部に外装キャップを締め込んで螺着させる。このとき、内装キャップの第一係合部と外装キャップの第二係合部とが周方向に互いに係合されているので、外装キャップと共に内装キャップが同方向に軸回転する。そして、内装キャップのねじ方向は外装キャップのねじ方向と逆向きになっているので、外装キャップを締め込む方向に内装キャップが軸回転することで、内装容器本体の口部に螺着された内装キャップが緩められ、その結果、上記した連通口が開放され、内装容器が開封される。
【0007】
また、本発明に係る二重容器は、前記外装容器本体の内面に、前記内装容器本体の外面に設けられた第三係合部に対して前記キャップ周方向に係合する第四係合部が設けられていることが好ましい。
【0008】
これにより、外装キャップと外装容器本体とを相対的に軸回転させて、外装キャップと共に内装キャップを軸回転させる際、内装容器本体の第三係合部と外装容器本体の第四係合部とが周方向に互いに係合されているので、内装容器本体と外装容器本体との相対的な軸回転が規制され、内装キャップと内装容器本体との共回りが防止される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る二重容器によれば、内装容器を交換する際、その内装容器が密封されているので、内装容器の交換作業中に内装容器本体内の内容物がこぼれることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る二重容器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1は本実施の形態における二重容器1の半断面図であり、図2は後述する内装容器2の分解半断面図であり、図3は後述する外装容器3の分解半断面図であり、図4は外装キャップ8を緩めた状態を表す二重容器1の半断面図である。
なお、図1に示す一点鎖線Oは、二重容器1の中心軸線を示している。また、本実施の形態では、中心軸線O方向を「軸方向」とし、中心軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、中心軸線O回りの方向を「周方向」とする。また、後述する内装容器本体4および外装容器本体7の口部40,70側(図1における上側)を上側とし、その反対側(図1における下側)を下側とする。
【0011】
図1に示すように、二重容器1は、液体や粘性体等の流体状の内容物を収容する内装容器2と、その内装容器2を収容する外装容器3と、を備える容器であり、内装容器2の交換が可能なレフィール容器である。
【0012】
[内装容器]
まず、内装容器2の構成について説明する。
図1、図2に示すように、内装容器2は、内装容器本体4と、その内装容器本体4の口部40に緩んだ状態で螺着された内装キャップ5と、内装キャップ5の内側に配設された中栓部材6と、を備えている。
【0013】
内装容器本体4は、軸方向に沿って延在する合成樹脂製のボトル容器であり、その概略構成としては、軸方向に沿って延在する円筒形状の胴部41と、その胴部41の下端に設けられた底部42と、胴部41の上端に設けられた肩部43と、肩部43の中央部分から立設された略円筒形状の口部40と、を備えている。
【0014】
胴部41の外周面には、軸方向に沿って延設された凸リブ44(本発明における第三係合部に相当する。)が複数突設されている。これら複数の凸リブ44は、胴部41の周方向に間隔をおいて均等に配設されている。底部42は、胴部41の下端を閉塞する壁部であり、中心軸線Oに対して略垂直に配設されている。この底部42の中央部分は、上方に向けてドーム状に窪んでいる。肩部43は、胴部41の上端から上方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー状の壁部である。口部40は軸方向に沿って延在する略円筒形状の筒部であり、その外周面には雄ねじ45が形成されている。この雄ねじ45は、左回り(反時計回り)に螺旋状に巻かれた左ねじである。具体的に説明すると、雄ねじ45は、図2に示すように、内装容器本体4の側面視において左上りに延設されている。
【0015】
内装キャップ5は、後述する外装キャップ8の内側に配置された合成樹脂製のキャップであり、その概略構成としては、中心軸線Oに対して垂直に配設された円環板状の天壁部50と、天壁部50の外縁から軸方向に沿って垂下された円筒状の周壁部51と、周壁部51の内側に配設されているとともに天壁部50の下面から軸方向に沿って垂下された円筒状の下側嵌合筒部52と、天壁部50の内縁から軸方向に沿って立設された円筒状の上側嵌合筒部53と、上側嵌合筒部53の上端に形成された先端壁部54と、を備えている。
【0016】
周壁部51の内周面には、上記した内装容器本体4の口部40の雄ねじ45に螺合される雌ねじ55が形成されている。この雌ねじ55は、上記した口部40に対して左回りに回転させることで締め込まれる雌ねじであって、左回り(反時計回り)に螺旋状に巻かれた左ねじである。具体的に説明すると、雌ねじ55は、図2に示すように、内装キャップ5の縦断面視において右上りに延設されている。また、周壁部51の外周面には、軸方向に沿って延設された凹溝56(本発明における第一係合部に相当する。)が複数形成されている。この凹溝56は、周壁部51の上端から下端にかけて延設されており、複数の凹溝56は、周壁部51の周方向に間隔をおいて均等に配設されている。
【0017】
上側嵌合筒部53の外周面には、径方向外側に膨出した係合凸部57が全周に亘って延設されている。先端壁部54には、上側嵌合筒部53及び下側嵌合筒部52の内部を介して内装容器本体4の内部に連通する連通口58が形成されている。この連通口58は、内装キャップ5を内装容器本体4の口部40に対して締め込むことで閉塞される開口である。具体的に説明すると、連通口58は、その内側に後述する中栓部材6の弁体63を嵌合させることが可能な開口であり、内装キャップ5の締め込み動作に伴って内装キャップ5が中栓部材6に対して相対的に下方に移動することで、連通口58の内側に弁体63が嵌合されて連通口58が閉塞される。そして、口部40に締め込まれた内装キャップ5を緩めることで、内装キャップ5が中栓部材6に対して相対的に上方に移動し、連通口58の内側から弁体63が離間されて連通口58が開放される。つまり、連通口58は、内装キャップ5の軸回転動作に伴い開閉される。
なお、上記した周壁部51、下側嵌合筒部52及び上側嵌合筒部53は、中心軸線Oを共通軸にして同軸上に配設されている。
【0018】
中栓部材6は、内装容器本体4の口部40に装着される合成樹脂製の部材であり、その概略構成としては、中心軸線Oに対して垂直に配設された円環板状の天壁部60と、天壁部60の下面から軸方向に沿って垂下された円筒状の外側嵌合筒部61と、外側嵌合筒部61の内側に配設されているとともに天壁部60の内縁から軸方向に沿って垂下された円筒状の内側嵌合筒部62と、天壁部60の内側に配設されて軸方向に沿って延設されたピン状の弁体63と、弁体63の下端外縁から垂下された内筒部64と、を備えている。
【0019】
天壁部60の外径は、内装容器本体4の口部40の外径よりも小さく、且つ口部40の内径よりも大きくなっており、天壁部60の外縁部の下面が内装容器本体4の口部40の上端面に当接され、天壁部60は口部40上に載置されている。外側嵌合筒部61は、内装容器本体4の口部40の内側に嵌合されている。内側嵌合筒部62の内側には、上記した内装キャップ5の下側嵌合筒部52が軸方向に摺動自在に嵌合されている。弁体63は、下方から上方に向かうに従い漸次縮径された縦断面視台形の台形円錐状のピンであり、上記した内装キャップ5の上側嵌合筒部53の内側に配設されている。この弁体63の上端部は上記した連通口58の内側に嵌合可能になっており、また、この弁体63の外周面と内装キャップ5の内面(上側嵌合筒部53の内周面、天壁部50の内縁面、及び下側嵌合筒部52の内周面)との間には隙間があけられ、内容物が流通可能になっている。内筒部64の下端と内側嵌合筒部62の下端とは図示せぬ連結部を介して連結されている。
なお、上記した外側嵌合筒部61、内側嵌合筒部62、弁体63及び内筒部64は、中心軸線Oを共通軸にして同軸上に配設されている。
【0020】
[外装容器]
次に、外装容器3の構成について説明する。
図1、図3に示すように、外装容器3は、外装容器本体7と、外装容器本体7の口部70に螺着された外装キャップ8と、外装キャップ8に形成された注出口80を覆うオーバーキャップ9と、を備えている。
【0021】
外装容器本体7は、軸方向に沿って延在する合成樹脂製のボトル容器であり、その概略構成としては、軸方向に沿って延在する円筒形状の胴部71と、その胴部71の下端に設けられた底部72と、胴部71の上端に設けられた略円筒形状の口部70と、を備えている。
【0022】
胴部71は、中心軸線Oを共通軸にして内装容器本体4の胴部41と同軸上に配設されており、胴部71の内周面には、上記した内装容器本体4の凸リブ44に対して周方向に係合する凹溝73(本発明における第四係合部に相当する。)が形成されている。凹溝73は、胴部71の上端から下端にかけて軸方向に沿って延設されており、この凹溝73の内側には、凸リブ44が軸方向に摺動可能に嵌め込まれている。これにより、外装容器本体7と内装容器本体4との中心軸線O回りの相対回転が規制されている。なお、上記した凹溝73は、内装容器本体4の複数の凸リブ44にそれぞれ対向する位置に形成されており、胴部71の周方向に間隔をおいて複数均等に配設されている。
【0023】
底部72は、胴部71の下端を閉塞する壁部であり、中心軸線Oに対して略垂直に配設されている。口部70は、軸方向に沿って延在する略円筒形状の筒部であり、中心軸線Oを共通軸にして内装容器本体4の口部40と同軸上に配設されている。この口部70には、上記した凹溝73の上端から連続的に延設されたスリット74が形成されている。このスリット74は、口部70の上端から下端にかけて軸方向に沿って延在する開口であり、上記した複数の凹溝73の延長線上にそれぞれ形成されている。また、口部70の外周面には雄ねじ75が形成されている。この雄ねじ75は、右回り(時計回り)に螺旋状に巻かれた右ねじであり、この雄ねじ75と上記した内装容器本体4の口部40の雄ねじ45とは、そのねじ方向が逆向きになっている。具体的に説明すると、雄ねじ75は、図3に示すように、外装容器本体7の側面視において右上りに延設されている。
【0024】
外装キャップ8は、中心軸線Oを共通軸にして上記した内装キャップ5と同軸上に配設された合成樹脂製のキャップであり、その概略構成としては、中心軸線Oに対して垂直に配設された円環板状の天壁部81と、天壁部81の外縁から軸方向に沿って垂下された筒形状の周壁部82と、周壁部82の内側に配設されているとともに天壁部81の下面から軸方向に沿って垂下された円筒状の係合筒部83と、係合筒部83の内側に配設されているとともに天壁部81の下面から軸方向に沿って垂下された円筒状の嵌合筒部84と、天壁部81の内縁から軸方向に沿って立設された筒状の注出口80と、を備えている。
【0025】
周壁部82は、オーバーキャップ9が螺着される小径の上段部88と、外装容器本体7の口部70に螺着する大径の下段部89と、を備える多段円筒形状の筒部である。上段部88の外周面には、雄ねじ85が形成されている。下段部89の内周面には、上記した外装容器本体7の口部70の雄ねじ75に螺合される雌ねじ86が形成されている。この雌ねじ86は、上記した口部70に対して右回りに回転させることで締め込まれる雌ねじであって、右回り(時計回り)に螺旋状に巻かれた右ねじである。つまり、この雌ねじ86と上記した内装キャップ5の雌ねじ55とは、そのねじ方向が逆向きになっている。具体的に説明すると、雌ねじ86は、図3に示すように、外装キャップ8の縦断面視において左上りに延設されている。
【0026】
係合筒部83は、その内径が上記した内装キャップ5の周壁部51の外径よりも大きい直筒部である。この係合筒部83の内側には、前記周壁部51が軸方向に移動可能に挿入されており、係合筒部83の内周面には、前記周壁部51の凹溝56に対して周方向に係合する凸リブ87(本発明における第二係合部に相当する。)が複数突設されている。この凸リブ87は、係合筒部83の上端から下端にかけて軸方向に沿って延設されており、この凸リブ87は、前記凹溝56の内側に軸方向に摺動可能に嵌め込まれている。これにより、外装キャップ8と内装キャップ5との中心軸線O回りの相対回転が規制されている。なお、上記した凸リブ87は、内装キャップ5の凹溝56にそれぞれ対向する位置に形成されており、外装キャップ8の周方向に間隔をおいて複数均等に配設されている。
【0027】
嵌合筒部84は、その内径が上記した内装キャップ5の上側嵌合筒部53の外径よりも大きい直筒部である。この嵌合筒部84の内側には、前記上側嵌合筒部53が軸方向に移動可能に嵌合されており、嵌合筒部84の内周面には、上側嵌合筒部53の係合凸部57が摺接されている。
注出口80は、下方から上方に向かうに従い漸次縮径された縦断面視台形の台形円錐形状の筒部である。この注出口80は、内装キャップ5の連通口58に連通されており、この連通口58、上側嵌合筒部53の内部及び下側嵌合筒部52の内部を介して内装容器本体4の内側に連通されている。
なお、上記した周壁部82、係合筒部83、嵌合筒部84及び注出口80は、中心軸線Oを共通軸にして同軸上に配設されている。
【0028】
オーバーキャップ9は、外装キャップ8の上部を覆う合成樹脂製のキャップであり、その概略構成としては、天壁部90と、天壁部90の外縁から軸方向に沿って垂下された筒形状の周壁部91と、を備えている。天壁部90は、上方に向けて湾曲した曲面形状の壁部であり、天壁部90の下面には、注出口80の上端部の内側に嵌合される嵌合筒部92が垂設されている。周壁部91は、その外周面が径方向外側に弓形に膨出した円筒部であり、この周壁部91の内周面には、上記した外装キャップ8の上段部88の雄ねじ85に螺合される雌ねじ93が形成されている。
【0029】
次に、上記した構成からなる二重容器1の作用について説明する。
【0030】
内装容器本体4内の内容物を注出する際には、まず、オーバーキャップ9を外装キャップ8から取り外す。具体的に説明すると、オーバーキャップ9と外装キャップ8とを相対的に中心軸線O回りに回転させ、外装キャップ8の周壁部82の上段部88に螺着されたオーバーキャップ9を取り外す。
【0031】
次に、オーバーキャップ9が取り外された二重容器1(外装容器3)を傾ける。これにより、内装容器本体4内の内容物が、中栓部材6の内側嵌合筒部62内を通って内装キャップ5の下側嵌合筒部52内に流入し、下側嵌合筒部52内から上側嵌合筒部53内に流入する。そして、上側嵌合筒部53内の内容物は、連通口58を通って外装キャップ8の注出口80内に流入し、注出口80の先端から外部に注出される。また、このとき、外装容器本体7の胴部71を指等で押圧し、外装容器本体7の胴部71とともに内装容器本体4の胴部41をスクイズ変形させてもよい。これにより、内装容器本体4の内圧が上昇し、内装容器本体4内の内容物が効率的に注出される。
【0032】
また、外装容器3内に収容された内装容器2を交換する際には、まず、外装キャップ8と外装容器本体7とを中心軸線O回りに相対的に回転させて、外装容器本体7の口部70に螺着された外装キャップ8を緩めて取り外す。このとき、内装キャップ5の凹溝56と外装キャップ8の凸リブ87とが周方向に互いに係合されているので、外装キャップ8と共に内装キャップ5が同方向に軸回転する。また、外装容器本体7の凹溝73と内装容器本体4の凸リブ44とが周方向に互いに係合されているので、外装容器本体7と内装容器本体4との相対的な軸回転が規制され、内装容器本体4と内装キャップ5との共周りが防止される。そして、内装キャップ5のねじ方向は外装キャップ8のねじ方向と逆向きになっているので、外装キャップ8を緩める方向に内装キャップ5が軸回転することで、当該内装キャップ5が内装容器本体4の口部40に締め込まれる。この内装キャップ5の締め込み動作に伴って内装キャップ5が中栓部材6に対して相対的に下方に移動し、連通口58の内側に中栓部材6の弁体63が嵌合され、連通口58が閉塞される。
【0033】
次に、外装キャップ8が取り外された外装容器本体7の口部70から外装容器本体7内に収容された内装容器2を取り出す。このとき、上述したように、内装キャップ5は内装容器本体4の口部40に締め込まれており、内装キャップ5の連通口58は閉塞されているので、内装容器2は密封された状態となっている。
【0034】
次に、新たな内装容器2を外装容器本体7の口部70から外装容器本体7内に投入する。このとき、新たな内装容器2の内装キャップ5は、その内装容器本体4の口部40に締め込んで連通口58を閉塞した密封状態にしておく。また、外装容器本体7の口部70に内装容器2の下端部を挿入する際、内装容器本体4の凸リブ44と外装容器本体7のスリット74との位置合わせを行い、凸リブ44をスリット74の内側に挿入させる。そして、内装容器2をそのまま軸方向に真直ぐと外装容器本体7内に挿入し、凸リブ44を外装容器本体7の凹溝56に沿って移動させ、凹溝56内に凸リブ44を嵌合させる。
なお、外装容器本体7から取り出した内装容器2に内容物を再充填して、再び外装容器本体7の中に投入してもよい。
【0035】
次に、外装容器本体7の口部70の上端に外装キャップ8を被せる。このとき、外装キャップ8の凸リブ87と内装キャップ5の凹溝56との位置合わせを行い、凸リブ87を凹溝56の内側に挿入させる。
続いて、外装キャップ8と外装容器本体7とを相対的に中心軸線O周りに回転させ、外装容器本体7の口部70に外装キャップ8を締め込んで螺着させる。このとき、内装キャップ5の凹溝56と外装キャップ8の凸リブ87とが周方向に互いに係合されているので、外装キャップ8と共に内装キャップ5が同方向に軸回転する。また、外装容器本体7の凹溝73と内装容器本体4の凸リブ44とが周方向に互いに係合されているので、外装容器本体7と内装容器本体4との相対的な軸回転が規制され、内装容器本体4と内装キャップ5との共周りが防止される。そして、内装キャップ5のねじ方向は外装キャップ8のねじ方向と逆向きになっているので、外装キャップ8を締め込む方向に内装キャップ5が軸回転することで、内装容器本体4の口部40に螺着された内装キャップ5が緩められる。この内装キャップ5を緩ませる動作に伴って内装キャップ5が中栓部材6に対して相対的に上方に移動し、連通口58の内側に嵌合された中栓部材6の弁体63が下方に離間され、連通口58が開放される。これにより、二重容器1を傾けて内装容器本体4内の内容物を注出させることができる状態となる。
以上により、内装容器2の交換作業が完了する。
【0036】
上記した構成からなる二重容器1によれば、内装容器2を交換する際、その内装容器2が密封されているので、内装容器2の交換作業中に内装容器本体4内の内容物がこぼれることを防止することができる。
【0037】
また、上記した二重容器1では、外装キャップ8とともに内装キャップ5を軸回転させる際、外装容器本体7の凹溝73と内装容器本体4の凸リブ44とによって内装容器本体4と内装キャップ5との共周りが防止されるので、外装キャップ8と共に内装キャップ5を軸回転させることで、内装キャップ5を確実に締め込んだり緩めたりすることができ、外装キャップ8の軸回転操作によって連通口58を確実に開閉させることができる。
【0038】
また、上記した二重容器1では、中栓部材6に内側嵌合筒部62が設けられ、この内側嵌合筒部62の内側に内装キャップ5の下側嵌合筒部52が嵌合されているので、内装容器本体4内の内容物を注出させる際に、内装容器本体4の口部40と内装キャップ5との螺着部分から内容物の一部が漏出することを防止することができる。
さらに、上記した二重容器1では、外装キャップ8に嵌合筒部84が設けられ、この嵌合筒部84の内側に内装キャップ5の上側嵌合筒部53が嵌合されているので、内装容器本体4内の内容物を注出させる際に、外装キャップ8の内側に内容物の一部が漏出することを防止することができる。
【0039】
以上、本発明に係る二重容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、外装キャップの上端にオーバーキャップが螺着されているが、外装キャップとオーバーキャップとがアンダーカット嵌合されていてもよく、或いは、外装キャップに対してオーバーキャップがヒンジを介して連結されていてもよく、さらに、オーバーキャップを省略することも可能である。
【0040】
また、上記した実施の形態では、内装キャップ5に凹溝56(第一係合部)が形成され、外装キャップ8に凸リブ87(第二係合部)が設けられているが、本発明は、内装キャップ5に凸リブを設け、外装キャップ8に凹溝を形成し、この凹溝内に凸リブが嵌合されて周方向に係合された構成にすることも可能である。さらに、本発明は、内装キャップ5及び外装キャップ8にそれぞれ凸リブを形成して、凸リブ同士を周方向に係合させる構成にすることも可能であり、その他の形状の係合部(第一、第二係合部)を内装キャップ5及び外装キャップ8に設けることも可能である。
【0041】
また、上記した実施の形態では、内装容器本体4に凸リブ44(第三係合部)が設けられ、外装容器本体7に凹溝73(第四係合部)が形成されているが、本発明は、内装容器本体4に凹溝を形成し、外装容器本体7に凸リブを設け、この凸リブを凹溝内に嵌合させて周方向に係合させる構成にすることも可能である。さらに、本発明は、内装容器本体4及び外装容器本体7にそれぞれ凸リブを形成して、凸リブ同士を周方向に係合させる構成にすることも可能であり、その他の形状の係合部(第三、第四係合部)を内装容器本体4及び外装容器本体7に設けることも可能である。
さらに、本発明は、上記した内装容器本体4の凸リブ44(第三係合部)及び外装容器本体7の凹溝73(第四係合部)を省略することも可能であり、例えば、内装容器本体及び外装容器本体をそれぞれ同様な角筒形状にすることで、内装容器本体と外装容器本体との相対的な軸回転を規制することができ、内装キャップと内装容器本体との共回りを防止することができる。
【0042】
また、上記した実施の形態では、中栓部材6に内側嵌合筒部62が設けられ、この内側嵌合筒部62内に嵌合する下側嵌合筒部52が内装キャップ5に設けられているが、本発明は、上記した内側嵌合筒部62及び下側嵌合筒部52を省略した構成にすることも可能である。
【0043】
また、上記した実施の形態では、連通口58の内側に弁体63が嵌合されたり離間されたりすることで連通口58が開閉される構成となっているが、本発明は、上記した構成に限定されず、例えば、連通口58を下方から塞ぐ閉塞板が設けられ、この閉塞板を先端壁部54の下面に当接させたり離間させたりすることで連通口58を開閉させることも可能である。或いは、連通口58に連通する孔が形成された板部材を先端壁部54に積層させ、この板部材と内装キャップ5とを相対的に軸回転させることで、連通口58と前記孔とをずらして連通口58を閉塞させたり、連通口58と前記孔とを一致させて連通口58を開放させたりする構成であってもよい。
【0044】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る実施の形態を説明するための二重容器の半断面図である。
【図2】本発明に係る実施の形態を説明するための内装容器の分解半断面図である。
【図3】本発明に係る実施の形態を説明するための外装容器の分解半断面図である。
【図4】本発明に係る実施の形態を説明するための外装キャップを緩めた状態を表した二重容器の半断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 二重容器
2 内装容器
3 外装容器
4 内装容器本体
5 内装キャップ
7 外装容器本体
8 外装キャップ
40 口部
44 凸リブ(第三係合部)
45 雄ねじ
56 凹溝(第一係合部)
70 口部
73 凹溝(第四係合部)
75 雄ねじ
87 凸リブ(第二係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する内装容器と、該内装容器を収容する外装容器と、を備える二重容器において、
前記内装容器には、外周面に雄ねじが形成された口部を有する内装容器本体と、該内装容器本体の口部に緩んだ状態で螺着された内装キャップと、が備えられ、
前記外装容器には、外周面に雄ねじが形成された口部を有する外装容器本体と、該外装容器本体の口部に螺着された外装キャップと、が備えられ、
前記内装キャップには、前記内装容器本体の内部に連通されているとともに当該内装キャップを締め込むことで閉塞される連通口と、該内装キャップの外面に形成された第一係合部と、がそれぞれ設けられ、
前記外装キャップには、前記連通口を介して前記内装容器本体の内部に連通する注出口と、前記第一係合部に対してキャップ周方向に係合する第二係合部と、がそれぞれ設けられており、
前記内装キャップと前記外装キャップとが同軸上に配設されているとともに、前記内装キャップのねじ方向と前記外装キャップのねじ方向とが互いに逆向きになっていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
請求項1記載の二重容器において、
前記外装容器本体の内面には、前記内装容器本体の外面に設けられた第三係合部に対して前記キャップ周方向に係合する第四係合部が設けられていることを特徴とする二重容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−286471(P2009−286471A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143624(P2008−143624)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】