説明

二重床パネル

【課題】表面板の板厚を増加させることなく、表面板の面剛性を高めることが可能であり、更に、表面板に裏面板を接合して構成されたパネル本体の曲げ強度を向上させることができる、二重床パネルを提供することにある。
【解決手段】全体として平板状を成し、かつ、表面(23)と裏面(24)と端縁(25)を有する、表面板(21)と、表面板(21)の裏面(24)に固定された裏面板(22)と、表面板(21)と裏面板(22)の間に画成された空間(46)とを有する、二重床パネル(20)である。表面板(21)に補強用のリブ(34)を形成し、リブ(34)に表面板(21)と裏面板(22)の接合部(45)を複数形成し、リブ(34)によってこれらの接合部(45)を連結した。これにより、二重床パネル(20)の曲げ剛性を増大させ、表面板(21)の面剛性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物や構築物に二重床を形成するために使用される二重床パネルに関し、更に詳細には、全体として平板状の表面板に、補強用の凹凸が形成された裏面板を接合し、この表面板と裏面板の間に空間を画成した二重床パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼板製の表面板に、プレス成形によって補強用の凹凸を形成した鋼板製の裏面板を接合し、この表面板と裏面板の間に画成された空間を軽量モルタル等の充填材で満たした二重床パネルが使用されている。例えば、特開平4−277255号公報は、フロアパネルの内部中空部に無機質充填材を注入した鋼板製フロアパネルを開示する。
【0003】
しかし、鋼板製の表面板と裏面板の間に充填材を注入した二重床パネルは、その重量が嵩むため、二重床を施工するときの搬送及び設置作業に多大の労力が必要となるばかりか、二重床が施工された躯体に大きな荷重をかけることになるから、躯体構造の強度を低下させるおそれがある。
【0004】
他方、鋼板製の表面板に、プレス成形によって補強用の凹凸を形成した鋼板製の裏面板を接合し、この表面板と裏面板の間に空間に充填材を注入しない、中空の二重床パネルが使用されている。例えば、実開昭63−116644号公報は、所定形状にプレス成形された表面処理鋼板のトッププレートとボトムプレートからなり、トッププレートとボトムプレートは縁部のほぼ全周に亘って圧締結により一体化され、かつ、トッププレート又はボトムプレートに設けた垂直壁によって外周面を形成し、垂直壁内部へ支持柱を設けてトッププレート又はボトムプレートの接触部で圧締結してなる、鋼製床パネルを開示する。
【0005】
このような中空の二重床パネルは、充填材を注入しない分だけ軽量化されるが、表面板に裏面板が接合されていない個所は、表面板のみで荷重を支えることになる。したがって、中空の二重床パネルの上に重量物を積載した台車等を走行させると、薄板で構成された表面板に局部的な凹み等の塑性変形を生じる場合がある。
【0006】
また、二重床パネルの表面板に荷重がかかると、二重床パネルは裏面板に向かって曲げ変形し、表面板に圧縮応力が生じる。このため、二重床パネルの曲げ剛性が低いと、表面板にしわが発生し、二重床パネルの曲げ強度の低下を惹起する。
【0007】
二重床パネルの表面板の凹みやしわの発生を防止するには、通常、表面板の板厚を増大させ、これにより表面板の剛性を向上させるが、表面板の板厚を増加させると二重床パネルの重量が増大し、その運搬や二重床の施工が困難になると共に、二重床パネルの材料費が増加する。
【0008】
本願の添付図面の図6は、鋼板製の表面板1に鋼板製の裏面板2を接合し、表面板1と裏面板2の間に空間3を画成した二重床パネル4を示す。裏面板2には、空間3に突出するように、複数の半球形ドーム部5がプレス成形され、表面板1と裏面板2の半球形ドーム部5の頂部はかしめ6によって接合されると共に、表面板1の縁部と裏面板2の縁部も、同様に、かしめによって接合されている(図示せず。)。二重床パネル4は、図示しない支持脚によって、建築物のスラブ7の上方に敷設され、裏面板2とスラブ7の間にケーブル等を布設するための空隙8が形成される。鋼板製の表面板1にはカーペット9が敷設されている。このような構成の二重床パネル4の上を重量物を積載した台車10が走行すると、図示のように、台車10の車輪11によって表面板1が塑性変形する場合がある。
【0009】
特開2008−121301号公報は、下面板に設けられた下面に向けて突出させた補強リブに対応した上面板の部位に、補強リブを兼ねた凹状溝を設けた、金属製中空パネルを開示する。しかし、この上面板の凹状溝は、下面板の下面側に突出した補強リブに対応する部位に形成されるから、上面板の凹状溝の下側は空間である。したがって、この凹状溝による上面板の補強効果は、必ずしも十分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−277255号公報
【特許文献2】実開昭63−116644号公報
【特許文献3】特開2008−121301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、表面板の板厚を増加させることなく、表面板の面剛性を高めることが可能であり、更に、表面板に裏面板を接合して構成されたパネル本体の曲げ強度を向上させることができる、二重床パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の二重床パネルは、全体として平板状を成し、かつ、表面と裏面と端縁を有する、表面板と、前記表面板の前記裏面に固定された裏面板と、前記表面板と前記裏面板の間に画成された空間とを有する、二重床パネルにおいて、前記表面板に補強用のリブを形成し、前記リブに前記表面板と前記裏面板の接合部を複数形成し、前記リブによって前記接合部を連結したことを特徴とする。
【0013】
本発明の二重床パネルは、また、補強用のリブを、表面板の表面に隆起し、かつ、表面に全体として網状に延在する、隆起部と、この隆起部に隣接する複数の陥没部とによって形成したことを特徴とする。
【0014】
本発明の二重床パネルは、更に、表面板の表面によって、補強用のリブの隆起部と陥没部に平坦な上面を形成し、この陥没部に隆起部に沿って延在する凹溝を形成し、この凹溝に囲繞された陥没部の上面を隆起部の上面の高さに延在させたことを特徴とする。
【0015】
本発明の二重床パネルは、また、表面板を鋼板によって形成し、この鋼板にプレス成形を施すことによって、表面板に補強用のリブを形成したことを特徴とする。
【0016】
本発明の二重床パネルは、また、裏面板を鋼板によって形成し、この鋼板にプレス成形を施すことによって、裏面板に、表面板から間隔を置いて延在する底面部と、この底面部から表面板と裏面板の間の空間に突出する複数の半球形ドーム部を形成し、これらの半球形ドーム部の頂部を、それぞれ、補強用のリブに接合したことを特徴とする。
【0017】
本発明の二重床パネルは、また、裏面板に、表面板の端縁に沿って当接する辺縁部を形成し、裏面板の辺縁部を表面板の端縁に沿って延在する補強用のリブに接合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の二重床パネルは、表面板に補強用のリブを形成することによって、表面板の板厚を増大させることなく、表面板の剛性を向上させることができる。この結果、二重床パネルの重量を増加させることなく、その耐荷重性能を向上させることが可能であり、特に、二重床パネルの曲げ剛性を増大させることができる。また、二重床パネル上を台車等の重量物が通過する場合にも、表面板が局部的に塑性変形することを防止することができる。
更に、本発明の二重床パネルは、表面板と裏面板の複数の接合部を表面板に形成した補強用のリブに形成し、これらの接合部を補強用のリブによって連結するように構成した。これにより、補強用のリブが接合部を連結する梁として機能するから、表面板の剛性を更に向上させることができる。表面板と裏面板の全ての接合部を表面板の補強用のリブに形成することができる。また、表面板と裏面板の接合部のうちの一部の接合部のみを、表面板の補強用のリブに形成することもできる。
【0019】
前述の補強用のリブを、表面板の表面に隆起し、かつ、表面に全体として網状に延在する、隆起部と、この隆起部に隣接する複数の陥没部とによって形成すると、表面板に、表面板と裏面板の接合部を連結する梁が網状に形成されるから、表面板の面剛性と二重床パネルの曲げ剛性を更に向上させることができる。
【0020】
また、表面板の表面によって隆起部と陥没部に平坦な上面を形成し、この陥没部に隆起部に沿って延在する凹溝を形成し、この凹溝に囲繞された陥没部の上面を隆起部の上面の高さに延在させれば、表面板の表面の略全体を同一の平面によって構成することができる。これにより、二重床パネルの表面板上にカーペット等を敷設すれば、歩行者が凹凸を感じることを防止することができる。
【0021】
また、表面板を鋼板によって形成し、この鋼板にプレス成形を施すことによって、表面板に補強用のリブを形成すれば、種々の形態を有する補強用のリブを容易に形成することができる。鋼鈑にプレス成形を施して補強用のリブを形成するときには、補強用リブの隆起部の上面から陥没部の上面までの深さは、鋼鈑の板厚程度に成形することができる。この深さは、例えば1.2mm乃至1.5mmとすることができる。補強用リブの隆起部の上面から陥没部の上面までの深さを小さくすることにより、前述のように陥没部の中央部を隆起させるまでもなく、隆起部の上面と陥没部の上面との段差は、二重床パネルに敷設されたカーペットの厚さによって吸収され、歩行者に違和感を与えることはない。
【0022】
更に、裏面板を鋼板によって形成し、この鋼板にプレス成形を施すことによって、裏面板に、表面板から間隔を置いて延在する底面部と、この底面部から表面板と裏面板の間の空間に突出する複数の半球形ドーム部を形成し、これらの半球形ドーム部の頂部を、それぞれ、補強用のリブに接合すると、表面板の接合部間に延在する梁の両端が、それぞれ、荷重の分散性に優れた半球形ドーム部によって強固に支持されるから、二重床パネルの曲げ剛性を著しく向上させることができる。
【0023】
そして、裏面板に、表面板の端縁に沿って当接する辺縁部を形成し、裏面板の辺縁部を表面板の端縁に沿って延在する補強用のリブに接合すれば、二重床パネルの縁部の強度を向上させることができる。なお、本発明の二重床パネルは、表面板と裏面板の間に軽量モルタル等の充填材を充填することなく、所期の剛性を具備するが、二重床パネルの重量が増加してもかまわない場合には、このような充填材を充填することもできる。表面板と裏面板の間に充填材を充填する場合には、表面板と裏面板の板厚を更に減少させることができる。本発明のその他の特徴は、図面を参照してなされる、以下の実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の二重床パネルの敷設状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図2】図2は、図1の二重床パネルを示し、図2(A)は、その二重床パネルの平面図、図2(B)は、図2(A)の線a−a、線b−b、線c−cに沿う縦断面図である。(実施例1)
【図3】図3は、図1の二重床パネルを示し、図3(A)は、その二重床パネルの裏面図、図3(B)は、図2(A)及び図3(A)の線D−Dに沿う縦断面図である。(実施例1)
【図4】図4は、本発明の二重床パネルの第二実施例を示し、図4(A)は、この二重床パネルの平面図、図4(B)は、図4(A)の線e−e、線f−f、線g−gに沿う縦断面図である。(実施例2)
【図5】図5は、本発明の二重床パネルの第三実施例を示し、図5(A)は、この二重床パネルの平面図、図5(B)は、図5(A)の線h−h、線i−i、、線j−jに沿う縦断面図である。(実施例3)
【図6】図6は、重量物を積載した台車によって二重床パネルの表面板が局部的に塑性変形する状態を示した模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の二重床パネルは、全体として平板状を成し、かつ、表面と裏面と端縁を有する、表面板と、この表面板の裏面に固定された裏面板と、この表面板と裏面板の間に画成された空間とを有する。この二重床パネルの表面板に補強用のリブを形成し、このリブに表面板と裏面板の接合部を複数形成し、このリブによって隣接する接合部同士を放射状に連結したことを特徴とする。
【実施例1】
【0026】
図1乃至3は、本発明の第一実施例の二重床パネル20を示す。二重床パネル20は、全体として平板状の表面板21と、表面板21によって閉鎖される寸法の開口を備えた全体として箱状の裏面板22を有し、表面板21と裏面板22はかしめ結合によって締結されて一体化されている。
【0027】
二重床パネル20の表面板21は、1.2mm乃至1.5mmの板厚を有する鋼鈑によって、図2(A)に示すようにその平面形状が略正方形に形成される。表面板21は、図2(A)及び(B)に示すように、表面23と裏面24と4つの端縁25を有する。これらの端縁25のうちの一つには方形の切欠き部26が形成され、また、表面板21の四隅部には弧状の切欠き部27がそれぞれ形成されている。方形の切欠き部26にはコ字状のフランジ部28が形成され、コ字状のフランジ部28は、図3(B)に示すように、表面板21の表面23に対して段差を形成している。方形の切欠き部26には、図1に示すように、アウトレットカバー29が取り付けられ、アウトレットカバー29はコ字状のフランジ部28に係止される。これに対し、弧状の切欠き部27には弧状のフランジ部30がそれぞれ形成され、弧状のフランジ部30も表面板21の表面23に対して段差を形成している。弧状の切欠き部27にはパネル固定具31が取り付けられ、パネル固定具31は弧状のフランジ部30に係合して支持脚32に締結される。支持脚32は建築物のスラブ33に設置される。
【0028】
表面板21にはプレス成形が施されて補強リブ34が形成されている。補強リブ34は、表面板21の表面23に全体として網状に延在する隆起部35と、隆起部35に隣接する複数の陥没部36とによって構成される。隆起部35は、表面板21の表面23の中央部から端縁25に亘って、表面板21の表面23の全体に連続的に延在し、隆起部25の上面37は、表面板21の表面23に同一高さで延在する平坦面を形成する。これに対し、陥没部36は、表面板21の表面23に、互いに距離を置いて、互いに連続することなく形成される。陥没部36は、図2(A)に示されているように、略三角形の平面形状を有し、隆起部35の隣接位置に形成されて、表面板21の表面23に隆起部35を画成する。陥没部36の上面38は、表面板21を構成する鋼鈑の板厚分だけ、例えば、1.2mm乃至1.5mmだけ、隆起部35の上面37から下方に延在する平坦面によって構成されている。ただし、ここに示した隆起部25の上面37と陥没部36の上面38の距離は一例であり、この距離は、二重床パネル20の上に敷設されたカーペット上を歩行する歩行者が補強リブ34の存在を感じないように、適宜設定される。
【0029】
二重床パネル20の裏面板22は、表面板21と同様に、1.2mm乃至1.5mmの板厚を有する鋼鈑によって、図3(A)及び(B)に示すように、略正方形の平面形状を有する底面部39と、底面部39を囲繞する側壁部40と、側壁部40の上端縁に形成された辺縁部41とによって、上部に開口を有する方形の箱状に成形される。このとき、裏面板22には、表面板21の方形の切欠き部26に対応する方形の切欠き部26aと、表面板21の四隅部に形成された弧状の切欠き部27に対応する弧状の切欠き部27aが形成される。また、裏面板22の底面部39には複数の半球形ドーム部42が形成され、これらの半球形ドーム部42によって裏面板22の補強がなされる。図2(B)及び図3(B)に示すように、半球形ドーム部42の形状及び寸法は、裏面板22の辺縁部41を表面板21の裏面24に当接させたとき、半球形ドーム部42の頂部43が表面板21の裏面24に当接する形状及び寸法とし、また、半球形ドーム部42の数は適当な個数とする。二重床パネル20の裏面板22の底面部39、側壁部40、辺縁部41及び半球形ドーム部42は、鋼鈑をプレス成形することによって形成することができる。
【0030】
表面板21と裏面板22は、裏面板22の辺縁部41を表面板21の端縁25に沿って表面板21の裏面24に当接させ、表面板21の端縁25を裏面板22の辺縁部41の裏側に折り重ねて、接合部44でかしめ結合される。表面板21と裏面板22は、また、図2(B)に示すように、裏面板22の半球形ドーム部42の頂部43を表面板21の裏面24に当接させ、補強リブ34の隆起部35に接合部45でかしめ結合される。これにより、表面板21と裏面板22は一体化され、表面板21と裏面板22の間に空間46が画成される。
【0031】
裏面板22の半球形ドーム部42と表面板21との接合部45は、表面板21に形成された補強リブ34の隆起部35に形成されるから、隣り合う接合部45は隆起部35によって互いに連結されている。図2(B)に示すように、隆起部35を横断する方向の断面形状はコ字状を成すから、隆起部35は剛性の高い梁を形成する。すなわち、複数の接合部45は高剛性の梁によって連結されることになる。また、補強リブ34の隆起部35は表面板21の表面23の全域に延在し、表面板21の表面23に全体として網状に延在するから、表面板21の表面23の全体の面剛性を著しく向上させることができる。更に、表面板21は、荷重分散性能に優れた半球形のドーム部42の頂部43を介して、裏面板22に接合されている。したがって、表面板21に印加された荷重は半球形ドーム部42によって効果的に分散される。よって、二重床パネル20の曲げ剛性を効果的に向上させることができる。また、裏面板22の辺縁部41を、表面板21の端縁25に沿って延在する補強用のリブ34に接合すれば、二重床パネル20の縁部の強度を向上させることができる。
【0032】
このようにして構成された二重床パネル20は、図1に示すように、支持脚32によって建築物のスラブ33の上方に支持されて敷設され、支持脚32に締結されるパネル固定具31によって固定される。敷設された二重床パネル20の表面板21の上にはカーペット47が置かれる。カーペット47は、二重床パネル20の表面板21に形成された補強用リブ34の凹凸を吸収し、歩行者に違和感を与えない。
【実施例2】
【0033】
図4(A)及び(B)は、本発明の第二実施例の二重床パネル200を示す。二重床パネル200の基本的な構成は、第一実施例の二重床パネル20と同様である。二重床パネル200に固有の特徴は、第一実施例の陥没部36に相当する表面板21の領域36Aに、補強リブ34の隆起部35に沿って延在する凹溝201を形成し、更に、凹溝201に囲繞された領域36Bの上面38を隆起部35の上面37の高さまで隆起させたことにある。これにより、表面板21の表面23は、凹溝201以外の領域が同一高さの平坦面によって構成される。そして、凹溝201の幅は小さいから、二重床パネル200が歩行者に与える違和感を小さくすることができる。二重床パネル200のその余の構成は、二重床パネル20と同様であり、図4(A)及び(B)に使用された参照番号のうち、図1乃至3の参照番号と同一の参照番号は、共通の構成要素を示すものとする。
【実施例3】
【0034】
図5(A)及び(B)は、本発明の第三実施例の二重床パネル300を示す。二重床パネル300の基本的な構成は、第二実施例の二重床パネル200と同様である。二重床パネル300に固有の特徴は、表面板21に形成された補強リブ34の隆起部35が表面板21の端縁25に平行に延び、全体として網目状を成していることにある。これに伴い、隆起部35によって囲繞された領域36Cは全体として正方形状になる。これらの領域36Cには、隆起部35に沿って延在する正方形状の凹溝201が形成され、その内側の領域36Dの上面38は、隆起部35の上面37の高さまで隆起させてある。
【0035】
また、二重床パネル300の表面板21には、その端縁25に沿って、補強リブ34の隆起部35によって囲繞された楕円形状の領域36Eが形成されている。領域36Eが楕円形を成す理由は、二重床パネル300の表面板21の端縁25に沿う部位に、正方形状の領域36Cを形成するための十分なスペースがないからである。楕円形状の領域36Eは、領域36Cと同様に、その周囲に隆起部35を画成し、隆起部35に沿って延在する楕円形状の凹溝201を有する。凹溝201の内側には、楕円形の領域36Fが画成され、この領域36Fの上面38は、隆起部35の上面37の高さまで隆起させてある。
【0036】
二重床パネル300においても、凹溝201に囲繞された領域36D及び36Fにより、表面板21の表面23は、凹溝201以外の領域が同一高さの平坦面によって構成される。凹溝201の幅は小さいから、二重床パネル300が歩行者に与える違和感を小さくすることができる。二重床パネル300のその余の構成は、二重床パネル20及び200と同様であり、図5(A)及び(B)に使用された参照番号のうち、図1乃至4の参照番号と同一の参照番号は、共通の構成要素を示すものとする。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上、本発明を鋼鈑製の中空の二重床パネルに適用した場合について説明したが、本発明は軽量モルタル等の充填材を注入した二重床パネルについても適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
20、200、300 二重床パネル
21 表面板
22 裏面板
23 表面板の表面
24 表面板の裏面
25 表面板の端縁
34 補強リブ
35 補強リブの隆起部
36 補強リブの陥没部
37 隆起部の上面
38 陥没部の上面
39 裏面板の底面部
40 裏面板の側壁部
41 裏面板の辺縁部
42 半球形ドーム部
44 接合部
45 接合部
46 空間
201 凹溝



【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体として平板状を成し、かつ、表面と裏面と端縁を有する、表面板と、前記表面板の前記裏面に固定された裏面板と、前記表面板と前記裏面板の間に画成された空間とを有する、二重床パネルにおいて、前記表面板に補強用のリブを形成し、前記リブに前記表面板と前記裏面板の接合部を複数形成し、前記リブによって前記接合部を連結したことを特徴とする、二重床パネル。
【請求項2】
請求項1に記載した二重床パネルにおいて、前記リブは、前記表面板の前記表面に隆起し、かつ、前記表面に全体として網状に延在する、隆起部と、前記隆起部に隣接する複数の陥没部とによって構成されていることを特徴とする、前記二重床パネル。
【請求項3】
請求項2に記載した二重床パネルにおいて、前記表面板の前記表面によって前記隆起部と前記陥没部に平坦な上面を形成し、前記陥没部に前記隆起部に沿って延在する凹溝を形成し、前記凹溝に囲繞された前記陥没部の前記上面を前記隆起部の前記上面の高さに延在させたことを特徴とする、前記二重床パネル。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載された二重床パネルにおいて、前記表面板を鋼板によって形成し、前記鋼板にプレス成形を施すことによって、前記表面板に前記リブを形成したことを特徴とする、前記二重床パネル。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載した二重床パネルにおいて、前記裏面板を鋼板によって形成し、前記鋼板にプレス成形を施すことによって、前記裏面板に、前記表面板から間隔を置いて延在する底面部と、前記底面部から前記表面板と前記裏面板の間の空間に突出する複数の半球形ドーム部を形成し、前記半球形ドーム部の頂部を、それぞれ、前記リブに接合したことを特徴とする、前記二重床パネル。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載した二重床パネルにおいて、前記裏面板に、前記表面板の前記端縁に沿って当接する辺縁部を形成し、前記裏面板の前記辺縁部を前記表面板の前記端縁に沿って延在する前記リブに接合したことを特徴とする、前記二重床パネル。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−157717(P2011−157717A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19877(P2010−19877)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】