説明

井桁枠の組立構造物

【課題】間伐材等の木材を大量に有効利用し、施工を早く安く簡単にして立体的な構造物を構築することができる井桁枠の組立構造物を提供すること。
【解決手段】所要間隔をあけて並列した木材1を井桁状に組み付けて2重の井桁枠2を形成するとともに、該井桁枠2の四隅のコーナ穴21に挿入する支柱3を地面に連設し、上下の井桁枠2が支柱3の連設方向に所定寸法ずれるように、複数の井桁枠2を支柱3に嵌挿し積み重ねて連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間伐材等の木材を用いた井桁枠の組立構造物に関し、特に、間伐材等の木材を大量に有効利用し、施工を早く安く簡単にして立体的な構造物を構築することができる井桁枠の組立構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
杉や檜等の人工林では、成長に伴って立木が混み過ぎたときに、その一部を間引く間伐作業が行われるが、間伐材はこの間伐作業によって副次的に生じる。
間引きされた間伐材は小径であり、その用途は限られ価値も低く、近年では、間伐作業後その場に放置されたり、あるいは間伐作業自体が行われず、森林の荒廃が危惧されている。
【0003】
そこで、最近では、間伐材を使うことが森林の整備につながると、間伐材の利用を促進する動きが活発になっており、本件出願人も、下記の特許文献1〜3に示すように、路肩の防草構造や緑化路面構造として間伐材を用いた土木構造物を提案している。
【0004】
しかしながら、これら従来の土木構造物は、間伐材を概ね平面的に用いることから、土留め壁や堰堤等の立体的な構造物を構築することができなかった。
【特許文献1】特開2004−183270号公報
【特許文献2】特開2005−61044号公報
【特許文献3】特開2005−83115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の間伐材を用いた土木構造物が有する問題点に鑑み、間伐材等の木材を大量に有効利用し、施工を早く安く簡単にして立体的な構造物を構築することができる井桁枠の組立構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の井桁枠の組立構造物は、所要間隔をあけて並列した木材を井桁状に組み付けて2重の井桁枠を形成するとともに、該井桁枠の四隅のコーナ穴に挿入する支柱を地面に連設し、上下の井桁枠が支柱の連設方向に所定寸法ずれるように、複数の井桁枠を支柱に嵌挿し積み重ねて連結したことを特徴とする。
【0007】
この場合において、井桁枠のコーナ穴間に形成される連設方向の枠穴に、複数の木材を縦方向に挿入することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の井桁枠の組立構造物によれば、所要間隔をあけて並列した木材を井桁状に組み付けて2重の井桁枠を形成するとともに、該井桁枠の四隅のコーナ穴に挿入する支柱を地面に連設し、上下の井桁枠が支柱の連設方向に所定寸法ずれるように、複数の井桁枠を支柱に嵌挿し積み重ねて連結することから、施工を早く安く簡単にして、間伐材等の木材で堤防状の立体的な構造物を構築し、土留め壁や堰堤等に利用することができる。
また、この組立構造物は、井桁枠と支柱を固定していないので、柔軟性がある柔構造であり、支柱は杭の役目を果たすので滑動に強く、井桁枠を積み重ねて連結していくので、強度を増しながら構造物を必要な大きさにすることができる。
そして、この組立構造物は、井桁枠を直角方向に延設したり、また、井桁枠を台形に形成することにより、カーブにも対応することができ、さらに、井桁枠の積み重ね数を調整することにより、地面の段差にも対応することができる。
【0009】
また、井桁枠のコーナ穴間に形成される連設方向の枠穴に、複数の木材を縦方向に挿入することにより、構造物の両側に間伐材等の木材による壁を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の井桁枠の組立構造物の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に、本発明の井桁枠の組立構造物の一実施例を示す。
この井桁枠の組立構造物は、所要間隔をあけて並列した間伐材等の木材1を井桁状に組み付けて2重の井桁枠2を形成するとともに、該井桁枠2の四隅のコーナ穴21に挿入する支柱3を地面に連設し、上下の井桁枠2が支柱3の連設方向に所定寸法ずれるように、複数の井桁枠2を支柱3に嵌挿し積み重ねて連結している。
【0012】
井桁枠2は、図1(b)や図2(a)(b)に示すように、支柱3や他の間伐材等の木材が入る間隔があくように2本の間伐材等の木材1を並列させ、このように並列する4組の間伐材等の木材1を井桁状にボルト4で固定することにより、正方形の2重の井桁枠2を形成している。
井桁枠2の四隅には、支柱3が挿入されるコーナ穴21が区画形成されるとともに、各コーナ穴21の間には、他の間伐材等の木材1aを縦に挿入するための枠穴22が区画形成されている。
本実施例では、支柱3の連設方向の枠穴22と、組立構造物の端部の枠穴22とに、複数の間伐材等の木材1aを縦方向に杭として挿入し、組立構造物の両側と端部に間伐材等の木材1aによる壁を囲いのように形成している。
【0013】
また、カーブ用の井桁枠2aは、図3(a)に示すように、並行する2組の間伐材等の木材1を、一方の辺で間隔を狭くして固定することにより、平面視が台形になるように形成する。
井桁枠2、2aに使用する間伐材等の木材1は、その太さや長さなどの寸法規格を一定にすることによって、在庫や供給体制を整えることができる。
【0014】
また、図3(b)に示すように、組立構造物の端部用の枠体5として、支柱3や他の間伐材等の木材が入る間隔があくように2本の間伐材等の木材1を並列させ、この並列する間伐材等の木材1の両端を、やはり同様の間隔をあけて並列する2本1組の短尺の間伐材等の木材1bでそれぞれ固定する。
この端部用枠体5は、終端の支柱3に嵌挿することにより、組立構造物の端部に位置する井桁枠2の上下間の空隙を埋めるスペーサとなる。
【0015】
支柱3は、間伐材等の木材や鋼材等からなり、井桁枠2又はカーブ用井桁枠2aの四隅のコーナ穴21の間隔で、杭として地面に打ち込み、所定の方向に連設される。
これらの支柱3には、上下の井桁枠2が支柱3の連設方向に所定寸法ずれるように、複数の井桁枠2が支柱3に嵌挿され積み重ねて連結されるが、上記所定寸法ずれる井桁枠2は、1枚ごとにずれてもよいし、複数枚ずつずれるようにしてもよい。
また、上下の井桁枠2を支柱3の連設方向にずらせる寸法は、この組立構造物の用途、要求強度等に応じて適宜設定することができ、一般的にずらせる寸法を小さく設定することによって、強度の大きい組立構造物を構築することができる。
【0016】
このように構成される本実施例の井桁枠の組立構造物は、連結した井桁枠2の枠内に土砂や採石を投入して、土留め壁や堰堤等の土木構造物として利用したり、あるいは、井桁枠2の枠内を空にすることにより、水路として利用したりすることができる。
【0017】
なお、本実施例の井桁枠の組立構造物に用いる木材1、1a、1b及び支柱3には、間伐材を好適に用いることができるが、適宜形状の他の木材(丸木材、角木材、板材)を間伐材と併用したり、間伐材に代えて用いることもでき、本発明は、これを排除するものでない。
【0018】
かくして、本実施例の井桁枠の組立構造物によれば、所要間隔をあけて並列した間伐材等の木材1を井桁状に組み付けて2重の井桁枠2を形成するとともに、該井桁枠2の四隅のコーナ穴21に挿入する支柱3を地面に連設し、上下の井桁枠2が支柱3の連設方向に所定寸法ずれるように、複数の井桁枠2を支柱3に嵌挿し積み重ねて連結することから、施工を早く安く簡単にして、間伐材等の木材で堤防状の立体的な構造物を構築し、土留め壁や堰堤等に利用することができる。
また、この組立構造物は、井桁枠2と支柱3を固定していないので、柔軟性がある柔構造であり、支柱3は杭の役目を果たすので滑動に強く、井桁枠2を積み重ねて連結していくので、強度を増しながら構造物を必要な大きさにすることができる。
そして、この組立構造物は、井桁枠2を直角方向に延設したり、また、井桁枠2aを台形に形成することにより、カーブにも対応することができ、さらに、井桁枠2の積み重ね数を調整することにより、地面の段差にも対応することができる。
【0019】
この場合、図1に示すように、井桁枠2のコーナ穴21間に形成される連設方向の枠穴22に、複数の間伐材等の木材1aを縦方向に挿入することにより、構造物の両側に間伐材等の木材による壁を形成することができる。
【0020】
以上、本発明の井桁枠の組立構造物について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の井桁枠の組立構造物は、施工を早く安く簡単にして、間伐材等の木材で立体的な構造物を構築することができるという特性を有していることから、例えば、間伐材等の木材を大量に有効利用する土木構造物として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の井桁枠の組立構造物の一実施例を示し、(a)は一部を透視した斜視図、(b)は井桁枠の斜視図、(c)は端部用枠体の斜視図、(d)は支柱の正面図である。
【図2】(a)は井桁枠の平面図、(b)は同側面図、(c)は支柱の正面図である。
【図3】(a)はカーブ用井桁枠の平面図、(b)は端部用枠体の平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 木材
1a 枠穴用の木材
1b 短尺の木材
2 井桁枠
2a カーブ用井桁枠
21 コーナ穴
22 枠穴
3 支柱
4 ボルト
5 端部用枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要間隔をあけて並列した木材を井桁状に組み付けて2重の井桁枠を形成するとともに、該井桁枠の四隅のコーナ穴に挿入する支柱を地面に連設し、上下の井桁枠が支柱の連設方向に所定寸法ずれるように、複数の井桁枠を支柱に嵌挿し積み重ねて連結したことを特徴とする井桁枠の組立構造物。
【請求項2】
井桁枠のコーナ穴間に形成される連設方向の枠穴に、複数の木材を縦方向に挿入したことを特徴とする請求項1記載の井桁枠の組立構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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