説明

亜鉛めっきスチールを処理するための3価クロム不動態化剤

1つの実施形態では、本発明は、金属表面、特に亜鉛含有表面を不動態化するのに有用な組成物を提供し、この組成物は以下の構成成分を含み、好ましくは実質的に以下の構成成分からなり、最も好ましくは以下の構成成分からなり、ここで構成成分は、水および:
(A)溶解ホスフェートイオン;
(B)溶解3価クロムイオン;
(C)Ti、Zr、Hf、Si、Sn、Al、GeおよびB、好ましくはTi、Siおよび/またはZrからなる群より選択される元素の錯化フルオライドの少なくとも1種の溶解アニオン;
(D)溶解フリーフルオライドイオンの任意の成分;
(E)有機酸抑制剤、好ましくは第4級アンモニウム化合物を含む有機酸抑制剤;および任意に、
(F)pH調整成分;および任意に有機ヒドロキシ酸である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2008年4月25日に提出された米国仮出願第61/048,004号の利益を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
(技術分野)
本発明は、亜鉛および亜鉛合金(以下、亜鉛含有)金属表面の腐食に対する耐性を強化するための処理に関し、より具体的には、本明細書では「不動態化剤(paasivators)」または「不動態化」組成物、溶液などと呼ばれる液状処理組成物類に関する。これらの液状処理組成物は、化学的に「活性」な金属表面、特に亜鉛めっきスチールの表面のような亜鉛含有表面と接触させた場合、外部から適用されるいかなる起電力も必要とせずに金属表面と化学的に反応し、(i)水への溶解性が非常に小さく、(ii)通常、金属表面から誘導される一部のカチオンおよび処理組成物から誘導される一部のアニオンを含み、および(iii)処理されていない同じ金属表面と比較して、処理された金属表面の耐性を、そのように処理された金属表面と後で接触する状態になる可能性がある多くの通常の腐食性水性液状組成物による腐食に対して増強する、接着層被膜を金属表面上に形成する。
【0002】
より具体的には、本発明はそのような被膜を形成し、溶解ホスフェート(リン酸塩)アニオン、また溶液中に3価クロムとともに、フルオロジルコネート、フルオロチタネート、フルオロシリケート、フルオロボレート、およびフルオロアルミネートアニオンの少なくとも1つ、および任意に、少なくとも1種の酸抑制剤および/または少なくとも1種の無機金属化合物を含む、6価クロムが含まれていない水性処理組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
水性6価クロムを含有し、またホスフェート(リン酸塩)および上記フルオロメタレート(フルオロ金属塩)イオンの1つも含む様々な不動態化組成物は当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,807,442号(1998年9月15日、Goodreauに対して)、同第5,091,023号(1992年2月25日、Saekiらに対して)、同第4,749,418号(1988年6月7日、Saekiらに対して)、同第4,668,305号(1987年5月26日、Dollmanらに対して)に教示されており、これら全体は、本明細書における明示的な記載と矛盾しない限り参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
6価クロムの環境および安全への影響に関する認識が高まり、不動態化剤での6価クロムのすべて、またはその一部を3価クロムに置き換えようとする試みがなされてきた。例えば、米国特許出願公開第2004/0173289号に教示されている。しかしながら、そうすることで予期せぬ課題が生じた。ある従来の3価クロム不動態化の作業浴は、浴中で基体、特に亜鉛含有表面を有する基体からの金属の溶解に部分的には起因して老化後(エージング後)安定性を失う。すなわち、3価クロム不動態化の作業浴中に亜鉛が蓄積するのは、例えば、迅速な金属被覆工程が100平方フィート/分を超えて浴を通過する場合、工業上、重大な問題である。
【0005】
先行技術のCr(VI)不動態化組成物は、浴中の基体からの金属の溶解を抑制するために6価クロムの酸化性質を利用しており、これがCr(VI)作業浴に適した安定性を与えた。不動態化浴においてCr(VI)をCr(III)で置き換えると基体からの金属溶解の酸化抑制が失われ、その結果、浴が不安定になった。従来の考察では、Cr(III)不動態化組成物にCr(VI)の代わりに他の酸化剤、例えば、硝酸塩およびペルオキシドを添加しなければならないと教示している。そうすることで、この組成物が作業浴中に作成された場合、これらの酸化剤は浴中の基体からの金属の溶解を抑制すると考えられる。この先行技術の手段は一部は成功であったが、しかし他の問題を起こし被覆組成物への添加に制限が生じた。例えば、これらの置換酸化剤の存在は、あらゆる有機材料、特に、不動態化組成物中でCr(VI)をCr(III)に還元するために使用された残留有機材料との反応によって毒性ガス、例えば、NOおよびCOを生成した。また、酸化剤の存在は、有機添加物が酸化剤と反応すると予想できる限り、有利となる可能性がある他の有機添加物の使用を制限した。従って、Cr(III)作業浴中において、Cr(VI)の不存在下、およびこの浴中において反応して有害ガスを生成する他の酸化剤の不存在下で、Znの蓄積を低下させる手段が必要とされている。
【0006】
従来のCr(VI)が含まれていない3価クロムを含有する被膜の別の欠点は、それらがCr(VI)含有クロム組成物を使用して不動態化された類似の基体と比較して、耐腐食性が低下した被覆金属基体をもたらすことである。また、従来のCr(VI)が含まれていない3価クロムを含有する不動態化組成物は、浴中のCr(III)を安定化するために多量のホスフェートも必要とするが、しかし過剰のホスフェートの存在はまた、耐腐食性(例えば、中性塩スプレー試験)を低下および被覆基体の染みが増加させるなどの欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、特に亜鉛含有表面を不動態化することにおいて、改善された生成物の安定性および被覆基体の優れた耐腐食性および耐変色性を提供する組成物および方法に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当出願人は、従来の3価クロム不動態化と比較して著しく改善された耐塩スプレー腐食性、耐変色性および/または導電率性能を有する被覆金属基体を提供し、貯蔵中に毒性ガスを発生せず、および改善された作業浴の安定性を有する3価クロムを含有する不動態化組成物を開発してきた。
【0009】
従来のCr(III)を含有する不動態化組成物を使って不動態化された金属基体の耐腐食性を改善する試みで、当出願人は、腐食抑制剤として有用であると考えられる様々な有機材料を、亜鉛含有表面上のCr(VI)フリーの3価クロム含有被膜剤に導入した。被覆基体の耐腐食性がこれらの材料の添加では改善されないこと、および有害なガスが生じることが判明した。ある種の有機材料を含む作業浴中に予想外の結果、すなわち、亜鉛含有表面を有する基体から溶解した亜鉛金属の量は作業浴中の酸が消費されるにつれて低下し、なおも不動態化被膜を生成することが認められた。また、作業浴中へ溶解するこの亜鉛の量が驚くべきほど低下したことは、配合物から酸化剤を除去することを可能にし、それにより毒性ガスが生成する危険性を低下させた。
【0010】
Cr(VI)を含有せず3価クロムを含有する不動態化被膜の耐腐食性を改善するに当たって、追加の検討がなされた。従来の考えでは、亜鉛含有表面を被覆するのに酸化剤が存在しないと、Cr(III)と組合わせたフルオライドおよびホスフェートを高い濃度で必要とした。これらの配合物の欠点は、高い濃度のフルオライドがステンレススチール被覆装置に損傷を与えることであった。フルオライドを除去すると耐腐食性は低下し、一方、フルオライドの低下およびホスフェートの増加は、水と接触した場合に不動態化基体の変色を引き起した。多数の実験により当出願人は、Cr(III)カチオンに対するホスフェートアニオンの比の低下およびフルオロメタレートアニオンの添加によって、本組成物で被覆された基体の耐腐食性が顕著に改善されることを見いだした。本発明の組成物は、この組成物で被覆された亜鉛含有表面の塩スプレー抵抗をほぼ2倍にする。また、被覆された基体の抵抗率は、同じ基体上の従来の3価クロム被膜と比較すると有利にも低下するので、この被覆基体を電子機器分野で使用できるようにする。
【0011】
本発明の様々な実施形態は、金属の処理で直接に使用するための作業用組成物、水で希釈することによって、そのような作業用組成物が調製できる作成濃縮物、本発明の作業用組成物の最適な性能を維持するため適した補充剤濃縮物、本発明の組成物で金属を処理するための方法、およびそれ自身従来の追加のステップ、例えば、清浄化、すすぎ、およびその後の塗装を含む広範な方法または本発明の1つの実施形態に従って処理された金属表面上に有機バインダーを含有する保護被膜を設置する同様な上塗り(オーバーコート)方法、を含む。また、本発明の方法に従って処理された表面を含む製造品も本発明の範囲内にある。
【0012】
実施例を除いて、または明示的に指示された場合は、材料の量または反応および/または使用条件を指示する本明細書のすべての数量は、本発明の最も広い範囲を記述するのに語「約」によって修正さるものとして理解されうる。記載された数値の制限内での実施が一般に好ましい。また、明示的にそれとは反対に記載されていない限り、パーセント、「部数」、および比の値は重量によるものであり、用語「ポリマー」は、「オリゴマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」などを含み;本発明に関連した所定の目的のために適したまたは好ましいとする材料の群または種類の記載は、この群または種類のメンバーの任意の2つ以上の混合物が同様に適しているかまたは好ましいことを意味し;化学用語における構成要素の記載は、明細書で特定された任意の組合せに対して添加時の構成要素を意味し、一旦混合された混合物の構成要素の間での化学相互作用を必ずしも除外するものではなく;イオン性形態にある材料の規格は、全体として組成物にとって電気的に中性を形成するのに充分な対イオンの存在を意味し(すなわち、黙示的に特定されたいかなる対イオンが好ましくは、可能な限りにおいてイオン性形態で明示的に特定された他の構成要素の中から選択されるべきであり、そうでなければ、そのような対イオンは、本発明の目的に対して不利に作用する対イオンを除く以外、自由に選択されてよい);本明細書では頭字語または他の略語の最初の定義はすべてその後の同じ略語の使用に適合し、最初に定義された略語の通常の文法的な変化について準用し;用語「塗装」は、より特定の用語、例えば、ラッカー、エナメル、ワニス、セラックニス、トップコートなどによって指定することができるようなすべての材料を含み;および用語「モル」およびその変化は、存在する原子の数および種類によって定義される元素、イオン、およびあらゆる他の化学種、さらには充分に定義された分子を有する化合物に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
1つの実施形態では、本発明は、金属表面、特に亜鉛含有表面を不動態化するのに有用な組成物を提供し、この組成物は、以下の構成成分を含み、好ましくは実質的に以下の構成成分からなり、最も好ましくは以下の構成成分からなり:ここで構成成分は、水および:
(A)溶解ホスフェートイオン(リン酸塩イオン)成分;
(B)溶解3価クロムイオン成分;
(C)Ti、Zr、Hf、Si、Sn、Al、GeおよびB、好ましくはTi、Siおよび/またはZrからなる群より選択される元素の錯化フルオライドの少なくとも1種の溶解アニオン成分;
(D)任意の、溶解フリーフルオライドイオン(フッ化物イオン)の成分;
(E)好ましくは第4級アンモニウム化合物を含む有機酸抑制剤の成分;および任意に、必ずしも好ましいわけではないが、下記の成分の1種以上:
(F)pH調整成分;
(G)溶解した、安定して懸濁した、または溶解かつ安定して懸濁した、組成物中に以前から存在する6価クロムを3価クロムに還元する有機物質、および/または前記還元によって生成された有機物質の成分;
(H)少なくとも1種の溶解無機金属化合物;および
(I)金属イオン封鎖剤、湿潤剤、および消泡剤からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる添加物、
である。
【0014】
本発明の組成物は、6価クロムが含まれておらず、先行技術の6価クロムを含有する不動態化剤と、望ましくは同等に機能し、ある態様ではそれよりも優れた不動態化剤として開発された。好ましわけではないが、本発明の配合物は6価クロムを含めて調整されてもよい。本発明の組成物は、好ましくは、0.04、0.02、0.01、0.001、0.0001、0.00001、0.000001重量%未満の6価クロムを含み、最も好ましくは実質的に6価クロムを含まない。本発明の組成物中に存在する6価クロムの量は最小限にされるのが望ましく、痕跡量のみで存在するのが好ましく、6価クロムが存在しないのが最も好ましい。
【0015】
ペルオキシドおよび硝酸塩のような酸化剤は、本発明の組成物においては望ましくないものとして確認されており、それらの酸化剤の存在は、6価クロムのように本発明の生成物において最小限にされる。本組成物は硝酸塩およびペルオキシドの存在なしで開発された。本発明の組成物は、0.04、0.02、0.01、0.001、0.0001、0.00001、0.000001重量%未満の硝酸塩またはペルオキシドを含むことが特に好ましく、実質的に硝酸塩またはペルオキシドを含まないことが最も好ましい。
【0016】
成分(A)に含まれる溶解ホスフェートイオンは、当該技術分野において公知である様々な供給源から得られうる。通常、ホスフェート含有量の大部分は組成物にリン酸を添加することで供給されうるが、溶液中のすべての解離していないリン酸およびすべてのそのアニオン性イオン化生成物のホスフェートイオンとしての化学量論的当量は、塩の形態で組成物に添加された任意の2水素ホスフェート、1水素ホスフェート、または完全に中和されたホスフェートイオンのホスフェートイオンとしての化学量論的当量とともに、ホスフェートイオンの一部を形成すると理解されるうる。これは、実際のイオン化および/または、組成物中に存在する一部の他の化学種を生成するためである反応の程度とは関係がない。組成物中に任意のメタリン酸、他の縮合リン酸、またはこれらの酸の任意の塩が存在する場合、ホスフェートとしてのそれらの化学量論的当量もホスフェート成分の一部と考えられる。しかしながら、一般にホスフェート成分の最初の供給源としてオルトリン酸およびその塩を利用することは、少なくとも部分的に経済上の理由で好ましい。
【0017】
本発明の作業用の不動態化水性液体組成物では、上記ホスフェートイオンの濃度および/またはそれらの化学量論的当量は、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、全組成物の少なくとも2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、9.0、10.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0または17.0グラム/リッター(以下、通常は「g/L」と短縮される)であることが好ましく、および独立して、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、400、200、100、90、80、75、70、60、50、45、40または34g/Lよりは大きくないことが好ましい。
【0018】
成分(B)に含まれる溶解3価クロムイオンは、3価クロムカチオンの塩を使って本発明の組成物を製造する過程で直接水に添加されてよく、または、好ましくは少なくとも経済的な理由で、3価クロム成分(B)は、本発明の組成物を製造する過程において6価クロムを添加し、および次いでタンニン酸、でんぷん、アルコール、ヒドラジン、スクロースなどのような還元剤を添加してこの6価クロムを3価クロムに転化することによって得られることができる。アルコール類、例えば、ソルビトールは還元剤として最も好ましく、なぜなら残存する成分(G)がほとんどないか全くない濃縮溶液を生じやすいからである。適した還元剤の量は、それによって達成される還元の量によって決まり、当業者であれば容易に計算されうる。好ましくは、最初の6価クロム含有量を転化するために使用されるどんな還元剤も、酸化されたとき、それ自体から水および二酸化炭素のようなガス状生成物だけを生成し、この生成物は組成物から抜け出す。しかしながら、一部の他の生成物または還元剤の酸化によって形成された生成物は、任意の成分(G)として本発明の組成物中に留まることができる。
【0019】
本発明の作業用の不動態化水性液体組成物では、3価クロムイオンの濃度は、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、全組成物の少なくとも1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、9.0、10.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0または17.0グラム/リッター(以下、通常は「g/L」と短縮される)であることが好ましく、および独立して、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、75、70、60、50、45、40、35、30、25、20g/Lよりは大きくないことが好ましい。
【0020】
さらに、それらの実際の濃度とは独立して、ホスフェートイオンおよび3価クロムイオンの濃度は、それの間の比が、作業用組成物および作業用濃度を調製するために使用された濃縮溶液において、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、少なくとも、0.1:1.0、0.15:1.0、0.25:1.0、0.35:1.0、0.45:1.0、0.50:1.0、0.55:1.0、0.60:1.0、0.65:1.0、0.75:1.0または0.90:1.0であり、および独立して、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、7.5:1.0、5:1.0、4:1.0、3.5:1.0、3.2:1.0、2.5:1.0、2.0:1.0、1.75:1.0または1.5:1.0より大きくはないことが好ましい。ホスフェートおよびクロムの濃度をこれらの比の内に維持することは、金属表面上に被膜を保持するのに役立つ。
【0021】
成分(C)である、Ti、Zr、Hf、Si、Sn、Al、GeおよびB(好ましくは、Ti、Zrおよび/またはSi、最も好ましくは、Si)からなる群より選択される元素の錯化フルオライドの少なくとも1種の溶解アニオンは、酸または塩として添加されるか、またはイン・サイチューで充分なHFの存在下、適当なオキシドの溶解によって形成されうる。この錯化フルオライドは、水に可溶性または水に分散性でなければならず、少なくとも4つのフッ素原子およびTi、Zr、Hf、Si、Sn、Al、GeまたはBからなる群より選択される元素の少なくとも1つの原子を含むアニオンを含むことが好ましい。この錯化フルオライド(場合によっては、当業者によって「フルオロメタレート(フルオロ金属塩)」と呼ばれる)は、下記の一般組成式(I):
(I)
[式中、各p、q、r、およびsは、負ではない整数を表し、Tは、Ti、Zr、Hf、Si、Sn、Al、Ge、およびBからなる群より選択される化学原子記号を表し、rは少なくとも4であり、qは少なくとも1であり、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、3、2、または1より大きくないことが好ましく、TがBを表さない場合、r+sは少なくとも6であり、sは、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、2、1、または0より大きくないことが好ましく、および(TがAlを表さない場合)pは、(2+s)より大きくはないことが好ましく、これらの好適な条件はすべては互いに独立することが好ましい。]
を有する分子を有する物質であることが好ましい。H原子の1つ以上は、適したカチオン、例えば、アンモニウム、金属、またはアルカリ金属カチオンによって置き換えられてよい(例えば、錯化フルオライドは塩の形態であってよく、ただし、そのような塩は水に可溶性または水に分散性である)。
【0022】
酸は通常、経済的に好ましく、および下でさらに考察されるように本組成物の真の酸性度は好ましいからである。そして本発明の組成物またはその前駆体組成物に溶解した任意の供給源材料において、上で列挙されたあらゆるフルオロメタレートイオンとして全体の化学量論的当量は、起きる実際のイオン化の程度に関係なくフルオロメタレート成分の一部と考えることができる。それらの化学性質とは無関係に、本発明の作業用処理組成物に溶解したフルオロメタレートアニオンの全濃度は、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、少なくとも、0.5、1.0、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、6.0、7.5、8.5、10.0、12.0、または13.0g/Lであることが好ましく、および
独立して、主として経済的な理由で、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、60、50、45、40、38、37.5、35.0、32.5、30.0、28.0、27.0、26.0、25.0、24.0、または23.0g/Lより大きくはないことが好ましい。
【0023】
適した錯化フルオライドの例示としては、HTiF、HZrF、HHfF、HSiF(これは特に好ましい)、HGeF、HSnF、HAlF、ZnSiF、およびHBF、および塩(完全に、ならびに部分的に中和されている)およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適した錯化フルオライド塩の例としては、NHMF、SrMF、MgMF、NaMFおよびLiMFが挙げられ、ここで「M」は、Ti、Zr、Hf、Si、Sn、Al、およびGeからなる群より選択される。
【0024】
成分(D)の任意の溶解フリーフルオライドイオンは、任意の適した供給源、例えば、フッ化水素酸および水に可溶性のフッ化水素酸の中性および酸性塩から供給されうる。フッ化水素酸は、通常、少なくとも部分的に経済的な理由で好ましく、成分(D)が存在する場合、HFとしてその化学量論的当量で測定される成分(D)の全濃度は、本発明の作業用水溶液にその化学構造で存在しても、または存在しなくても、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、少なくとも、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.1、1.3、1.5、1.7、1.9、2.1、2.3、2.5、2.7、2.9、3.1、または3.3g/Lであることが好ましく、および独立して、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、25、20、15、10、8、7.0、6.0、5.0、4.5、4.0、または3.5g/Lより大きくはないことが好ましい。一般に、成分(D)の濃度がより高いと、本発明の濃縮された水溶液の安定性には有利に働く。しかし、成分(D)の濃度が高すぎると、作業用組成物(多くのフリーフルオライドを有する本発明の濃縮水溶液を希釈することによって作成されたもの)で処理されている金属にあまりにも激しい攻撃を生じさせうる。金属表面への過度に激しい攻撃が起きる場合は、金属上に形成された被覆層の腐食防御価値は小さくなり、極端な場合は密着性被覆層が全く生じない恐れがある。
【0025】
1つの実施形態では、HFは、それ自体として本発明の組成物に添加されない。この実施形態では、ある種の原材料は微量のHFを含みまたは水性酸性組成物に溶解したときにHFを発生することを当業者であれば認識すると考えられるように、HFの量は下限値に保たれることが好ましい。
【0026】
有機酸抑制剤(E)の成分は、典型的には一般式:(R)(式中、各Rは独立して、水素;直鎖または分岐鎖であってもよいアルキル基;置換されていても、置換されていなくてもよいシクロアルキル、アリールおよび複素環式基;から選択されるものであり、ここで望ましくは、R基の2個以下は水素であり、Xは、例えば、ハライドのようなアニオンを表す)で表される第4級アンモニウム化合物を含む、組成物を含む。そのような化合物の例としては、N−アルキル、N−シクロアルキルおよびN−アルキルアリール置換および未置換ピリジニウムハライド、例えば、N−シクロヘキシルピリジニウムブロマイド、N−オクチルピリジニウムブロマイド、N−ドデシルピリジニウムブロマイド、N,N−ジドデシルジピリジニウムジブロマイド、N−テトラデシルピリジニウムブロマイド、N−ベンジルキノリニウムブロマイド、1−ベンジルキノリニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、N−ドデシルベンジルピリジニウムクロライド、N−ドデシルキノリニウムブロマイド、N−(1−メチルナフチル)キノリニウムクロライド、1−ベンジルキノリニウムクロライド、N−ベンジルキノリニウムクロライドなどが挙げられる。他の第4級アンモニウム化合物としては、モノクロロメチル化およびビスクロロメチル化ピリジニウムハライド、エトキシ化およびプロポキシル化第4級アンモニウム化合物、ポリアルキレンアミンおよびポリアルキレンポリアミン第4級化ポリマー、特に、ポリアルキレンアミンおよびポリアルキレンポリアミンアリールハライド第4級化ポリマー、任意にグリオキサールで第4級化されたポリマーが挙げられ、例えば、ポリエチレンポリアミンベンジルブロマイド、ポリエチレンポリアミンベンジルクロライド、ポリメチレンポリアミンベンジルブロマイド、ポリメチレンポリアミンベンジルクロライドが挙げられる。適していると考えられるさらなる抑制剤としては、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(2−ウンデシルアミドエチルアミノ)−プロパン−1−トリエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシ−3−(2−ヘプタデシルアミドエチルアミノ)−プロパン−1−トリエチルアンモニウムヒドロキシド、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。本発明の酸抑制剤成分は、芳香族第4級アンモニウム化合物および、特に、アリール置換キノリニウムハライド、特に、1−ベンジルキノリニウムハライドを含むことが望ましい。
【0027】
本発明の作業用の不動態化水性液体組成物では、有機酸抑制剤の濃度は、不動態化被膜を堆積するために必要な基体のエッチングを必要以上に妨げずに、金属基体が作業浴中に溶解するのを少なくするように選択される。作業浴では、有機酸抑制剤の濃度は、前記のように一般式(R)で表される第4級アンモニウム化合物として測定され、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、全組成物の少なくとも0.001、0.0025、0.005、0.010、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.07、0.08、0.09、または0.10グラム/リッター(以下、通常は「g/L」と短縮される)であることが好ましく、および独立して、以下に与えられた順序で優先傾向を有し、2.0、1.75、1.50、1.25、1.0、0.75、0.50、0.45、0.40、0.375、0.30、0.25、0.20、または0.15g/Lより大きくはないことが好ましい。
【0028】
一般に、金属表面に耐腐食性を付与する不動態化組成物の有効性は、組成物のpHに影響されうる。1種以上のpH調整成分(F)を、本発明の組成物において使用することができる。本発明の作業用処理配合物のpHは、0.5から5.0でなければならず、1.0から4.5がより好ましく、および1.5から2.5が最も好ましい。このpHは、pH調整成分、例えば、酸、例えば、リン酸またはカルボン酸、例えば、酢酸、クエン酸、および/またはグリコール酸、または塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、または水酸化アンモニウムを用いて調整されうる。少なくとも1つの実施形態では、リンゴ酸など、例えば、D−またはL−
リンゴ酸、特に、DL−リンゴ酸は、特に有効であることが見いだされた。一般に、酸はpHを下げ、組成物の有効性を最適化するために組成物に添加される。有機酸、例えば、ヒドロキシ有機酸、ならびに無機酸はいずれも使用されうるが、一般に、リンを含有する酸(例えば、リン酸)のような鉱酸を使用することが好ましいと考えられる。成分(A)のホスフェートイオンは、全体がまたは一部がこのリンを含有する酸から由来したものであってよい。
【0029】
他の任意の成分は、溶解した、安定に懸濁した、または溶解し安定に懸濁した有機物質であって、組成物中に先に存在する6価クロムを3価クロムに還元する有機物質、および/または還元することによって生成された有機物質の成分(G)である。好ましくは、最初に6価クロム内容物が存在する場合、これを3価クロムに転化するために使用される任意の還元剤は、酸化されたとき、それ自体から水および二酸化炭素のようなガス状生成物だけを生成し、これらは組成物を製造する間に組成物から抜け出す。しかしながら、一部の還元剤および還元剤の酸化によって形成された生成物は、例えば、ソルビトールおよび/またはソルビトールと溶液中の他の成分(限定されないがCr(VI)などを含めて)との反応生成物のような任意の成分(G)として本発明の組成物に残っていてもよい。
【0030】
少なくとも1種の溶解無機金属化合物である任意の成分(H)は、様々な理由で、例えば、非限定的な例として、不動態化金属表面の耐腐食性を改善および/または被膜の堆積を開始するために含まれてよい。この溶解無機金属化合物は、作業浴に可溶性であり、それから由来する金属イオンは被膜中に包含されうる。成分(H)は、作業浴およびこの作業浴を作成するためのあらゆる濃縮物のいずれにも可溶性であることが望ましい。適した成分(H)の例としては、Co、Ni、SiおよびZnのオキシドおよび炭酸塩が挙げられる。Znの量は、作業浴中、約50ppmから1500ppmの範囲であることが望ましい。独立して、Coの量は0.1−50g/Lの範囲であることが望ましい。
【0031】
被覆方法を容易にするために、任意の成分(I)に対応する1種以上の材料である、金属イオン封鎖剤、湿潤剤、および消泡剤からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる添加物は使用されてよい。そのような材料のタイプおよび量の選択は、当業者の知識、技術の範囲内であり、過度の実験をすることなく実施されることができる。
【0032】
本発明の関係する態様では、ただ水だけで希釈することにより作業浴を作成するために、貯蔵安定な濃縮物が提供される。貯蔵安定ということは、濃縮物を120°F(48.9℃)で、以下の順序で優先傾向を有し、1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、24週間貯蔵した後、以下の順序で優先傾向を有し、10、7.5、5、4、3、2、1重量%未満の析出が生じることを意味する。安定な濃縮物は、非限定的な例として、以下の成分を含む;実質的に以下の成分からなる;または以下の成分からなることができ、ここで成分は、10−30重量%の溶解ホスフェートイオンの成分;2−8重量%の溶解3価クロムの成分;1−20重量%の、Ti、Zr、Hf、Si、Sn、Al、GeおよびB、好ましくはTi、Siおよび/またはZrからなる群より選択される元素の錯化フルオライドの少なくとも1種の溶解アニオン成分;0.01から0.09重量%の有機酸抑制剤成分、好ましくは第4級アンモニウム化合物を含む有機酸抑制剤成分である。また、この濃縮物は、下記の任意の成分の1種以上を含むことができ、これらの成分が存在する場合、以下の量で含むことができ、これらの成分は:ゼロから2重量%の量の溶解フリーフルオライドイオン成分;この濃縮物のpHを0.2から5.0にするのに充分な量のpH調整成分;溶解した、安定に懸濁した、または溶解しかつ安定に懸濁した有機物質であって、先に組成物中に存在する6価クロムを3価クロムに還元する有機物質、および/または還元することによって生成された有機物質の成分;上記の1種以上の溶解無機金属化合物であって、無機Zn金属化合物が存在する場合、この濃縮物中のZn金属の量は、0.001から0.05重量%の間であることが望ましく、無機Co金属化合物が存在する場合、この濃縮物中のCo金属の量は、0.01から0.5重量%の間であることが望ましく、無機Ni金属化合物が存在する場合、この濃縮物中のNi金属の量は、0.01から0.5重量%の間であることが望ましく;および(I)金属イオン封鎖剤、湿潤剤、および消泡剤からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる添加物である。
【0033】
本発明の濃縮物は、所望であれば、例えば、塗布ペンまたは塗布ブラシを使用する場合、または被覆基体を修復する場合、薄めずにそのまま使用されうる。作業浴中で使用するために希釈される場合、例えば、吹き付け塗り、ローラー塗りまたは浸漬では、濃縮物を水に1重量%で希釈して使用することから薄めずにそのまま使用することまで選択することができる。ただ経済的な理由では、この濃縮物は1−50重量%の希釈で使用されることが望ましい。好ましい実施形態では、この濃縮物は水に5重量%から75重量%、最も好ましくは10−50重量%の濃度である。
【0034】
本発明の異なる態様では、任意に不動態化される前記金属基体の表面を清浄化するステップ、前記不動態化される金属基体の表面を、本明細書に記載された不動態化組成物と、前記金属表面上に被膜を形成するのに充分な時間接触させるステップ、および前記被膜を乾燥させるステップを含む、亜鉛含有金属基体を処理する方法が提供される。この方法は、鉄含有金属のような前駆体金属基体を、亜鉛含有金属で被覆するステップを含んでいてよく、それにより不動態化組成物と接触させる前に、不動態化される金属基体表面を作り出すことができる。任意に本発明の方法は、前記金属表面上の不動態化被膜が少なくとも1種の有機バインダーを含む保護層でオーバーコートされるステップを含んでいてよい。
【0035】
亜鉛めっきされた金属表面が本発明に関連して言及される場合、それらは電解亜鉛めっきまたは溶融亜鉛めっきまたはさらに合金亜鉛めっきされたスチ−ル、好ましくは電解亜鉛めっきまたは溶融亜鉛めっきされたスチールストリップの材料表面であると理解される。亜鉛めっきされたスチール、特に電解亜鉛めっきされたスチールをストリップ形態で使用することは、最近、重要性が相当に増してきた。本発明との関連で、表現「亜鉛めっきされたスチール」は、電解亜鉛めっきされたスチ−ルおよび溶融亜鉛めっきされたスチールも包含すると理解され、およびまた一般に、合金亜鉛めっきされたスチ−ル、亜鉛/ニッケル合金、亜鉛/鉄合金(登録商標Galvanneal)および亜鉛/アルミニウム合金[Eastern Alloys Inc.(Maybrook、New York)からの登録商標GALFAN、BIEC International Inc.(Vancouver、Washington)からの登録商標Galvalume]にも適用される。
【0036】
本発明の実施は、さらに下記の非限定的な実施例を考察することによって理解され、本発明の利益は下記の実施例によって理解されうる。
【実施例】
【0037】
(清浄化手順)
特に断りのない限り被覆されたすべてのパネルとして、ACT Laboratoriesからの4”×12”の溶融亜鉛めっきされた(HDG)G70パネルを用いた。特に断りのない限り、これらのパネルを、水道水中の2.5容積%(容積/容積)のParcolene 1200[Henkel Corporation(Madison Heights、MI)から商品が入手可能である]でスプレー清浄化した。清浄化は140°F(60℃)で10−15秒間行なった。パネルを熱水(約130°F:54.4℃)で約15秒間すすぎ、5秒間水気を切り、平滑なローラー上で拭き取って水気を切り、フラッシュ空気で乾燥した。
【0038】
(被覆手順)
別に指示する場合を除き、パネルの頂部近辺に処理組成物のうちの1つを水平線状に塗布し、次いで3番の引き下げ棒(draw−down bar)を使って、被膜を下側にパネル表面全体にわたって広げることによってすべてのパネルを被覆した。別に指示する場合を除き、すべての処理溶液は室温であり、室温のパネルに塗布した。
【0039】
(試験手順)
中性塩スプレー試験をASTM B−117に従って実施した。スタックおよびクリーブランド(Stack and Cleveland)試験を、当該技術分野において公知である標準的業界手順に従って実施した。
【0040】
パネルの光沢を、Novo−gloss(商標) Elcometer 402を用い、光入射角60°で測定した。結果が高いほど被膜はより光沢がある。
【0041】
抵抗率:被覆パネルの抵抗率を測定するため、Loresta EP計測器を使用し、マニュアルモードによって最低(×10−2)スケール、例えば、0.011×10−2=0.11ミリオームの読みで操作した。抵抗率は、被覆パネルが静電気を放散させる能力の測定である。抵抗率が低いほど、被覆パネルは電子機器産業では重要である静電気を放散することが効果的にできる。いずれの場合にも、8回の測定を「合格」と考えられる<1ミリオームの読みで実施した。実施した8回の測定で、「合格」の読みの数を報告する。
【0042】
<実施例1>
配合物:
Ex.165A:硝酸塩を含まず、3価クロムを含有する不動態化剤を、以下の手順に従ってベース配合物およびコントロールとして作成した。撹拌子を取り付けたカバーされたステンレススチールビーカーに、混合しながら2770gの脱イオン水、3440.0gの75%HPO(26.3モル)、923.2g(9.23モル)のCrOを添加し、温度<80℃を保ちながら徐々に288.0gの70%ソルビトール溶液を添加し、80℃/3時間、後加熱した。Cr+6に対して試験し(酸−ヨウ化物+でんぷん指示薬によって<1ppm)および冷却した。全重量を7600gに調整した。81.0gの48%HF試薬(1.93モル)、次いで37.6gのCoCOを徐々に添加した。CoCOを溶解(ガス抜けと共に)して、全重量を9600gに調整し、5.0重量%のCr+3溶液を得た。
【0043】
30gのEx.165Aを脱イオン水で全100gに希釈し、次いで表1の添加物を包含させて作業溶液を作成した:
【0044】
【表1】

【0045】
有機酸抑制剤1(以下OAI 1)は、アリールキノリニウムハライドなどのキノリニウムハライド類を9−11.25重量%含む。
【0046】
有機酸抑制剤3(以下OAI 3)は、4重量%のポリアルキレンポリアミンアリールハライドのグリオキサールで第4級化されたポリマー、18.6重量%のヘキサメチレンテトラミンxHCl、および2重量%のエトキシ化脂肪族アミンを含む。
【0047】
0.5×2.0”の純粋亜鉛の切取り試片を、イソプロピルアルコールおよびScotch−Briteパッドで清浄化し水ですすいだ。以下に列挙された各実施例に対しては、清浄化した切取り試片を撹拌せずに表1の作業浴と接触させ、指示された時間接触の後、試片からの金属の損失を測定した。表2を参照されたし。次いで、作業浴中の亜鉛の蓄積を計算した。表3を参照されたし。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
<実施例2>
配合物:
Ex.177AC:別の3価クロムを含有する不動態化濃縮物を、実施例1と同じ方法で表4の配合に従って調製した。濃縮物Ex.177ACは、Ex.165Aにおけるホスフェートの含有がより低い型(Ex.165AのCr:POのモル比1:2.9に対して1:2.0である)であり、より濃縮したもので、この90gはCr、Co、HF含量を基準にすると165Aの100gと同じである。
【0051】
【表4】

【0052】
表4の作業溶液を、27.0gのEx.177ACを全100gに脱イオン水で希釈し、次いで表5に記載の添加物を包含させて作成した。
【0053】
【表5】

【0054】
実施例1の手順を、新しい0.5×2.0”の純粋な亜鉛パネルおよび表5に記載の配合物を使って繰返し、結果を下の表6および表7に示す。
【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
<実施例3>
3価クロムを含有する不動態化剤の新しい作業溶液を、Ex.177AC濃縮物をベースに作成した。表8の作業溶液を、27.0gのEx.177ACと3.0gの70%グリコール酸とを混合し、全100gに脱イオン水で希釈し、次いで表8に記載の添加物を包含させることによって作成した。
【0058】
【表8】

【0059】
実施例1の手順を、新しい0.5×2.0”の純粋亜鉛のパネルおよび表8に記載の配合物を使って繰返し、その結果を下の表9および表10に示す。
【0060】
【表9】

【0061】
【表10】

【0062】
<実施例4>
3価クロムを含有する不動態化剤の新しい作業溶液を、Ex.177AC濃縮物をベースに作成した。表11の作業溶液を、27.0gのEx.177ACと3.0gの25%HSiFとを混合し、全100gに脱イオン水で希釈し、次いで表11に記載の添加物を包含させることによって作成した。
【0063】
【表11】

【0064】
実施例1の手順を、新しい0.5×2.0”の純粋亜鉛のパネルおよび表11に記載の配合物を使って繰返し、その結果を下の表12に示す。
【0065】
【表12】

【0066】
実施例1−4を使用して被覆されたパネルの試験
ACT Laboratoriesからの4”×12”の溶融亜鉛めっき(HDG)G70パネルを、実施例1、2、3および4(各20g+10g脱イオン水)、さらには表Aに示すような数種の市販の比較例の作業浴を使用して被覆した。巻き線型(wire wound)3番の引き下げ棒を用いて作業溶液の組成物で被覆した後、各パネルを乾燥するまで赤外線オーブンの下に置いた。各パネルの底部上において、光沢および抵抗率の評価を実施した。被膜の光沢を下記の手順で測定した:パネルの光沢を、Novo−gloss(商標)Elcometer 402を用いて60°の光入射角で5回測定して平均した。数値の結果が高いほど被膜はより光沢がある。
【0067】
パネルの抵抗率を、下記の手順に従って同じ処理に掛けた8つのパネル領域を試験することによって評価した:Loresta EP計測器を被覆パネルの抵抗率を測定するために使用し、マニュアルモードによって最低(×10−2)スケール、例えば、0.011×10−2=0.11ミリオームの読みで測定した。抵抗率は、被覆パネルが静電気を放散する能力の測定である。抵抗率が低いほど、被覆パネルは静電気をより効果的に放散することができ、これは電子機器産業で重要である。いずれの場合にも、8回の測定を「合格」と考えられる<1ミリオームの読みで実施した。実施した8回の測定で「合格」の読みの数を報告する。
【0068】
次いでパネルをASTM B117に従って中性塩スプレーに曝した。また、これらの結果を表Aに示す。
【0069】
【表13】

【0070】
比較Ex.1(Ex.136A)は、フルオライドを含まず、市販の3価クロム硝酸塩/ホスフェートおよびコバルトを含有し、6%の分散ヒュームドシリカが添加された不動態化剤である。
【0071】
比較Ex.2(6020)は、市販の3価クロム、硝酸塩、ホスフェート、フルオライドおよびコバルトを含有する、微量の(<20ppm)Cr+6を含んだ不動態化剤である。
【0072】
<実施例5>
配合物:
3価クロムを含有し、より低いホスフェート濃度を保持する2種の不動態化濃縮物を、還元ステージの間にHSiFを存在させて調製した。これは、フリーのHFを除去しようとする試みを示す。HSiFは、すべてのフリーHFを除去するのには適していなかった。Ex.183AおよびEx.184Aを、表13に記載の配合物に従って
実施例1と同じ方法で作成した。
【0073】
【表14】

【0074】
Ex.183A:5.264%の全Crを有し、<1ppmCr+6で試験した。溶液は、SiOのように思われる微細な白色砂状のスラッジを有した。ろ過物をすすぎ、減圧下、150°F(65.6℃)で乾燥して秤量した。ろ過物の質量は、100%のSiOを基準とする理論最高値の20%である10.84gであった。
【0075】
この部分分解により、当量のF−を放出したと推定される。
【0076】
Ex.184A:5.88%の全Crを有し、<1ppmCr+6を達成するためにさらに2時間/85℃を必要とした。溶液は透明であった。
【0077】
<実施例6>
様々な量のリン酸を含有する新しい配合物を以下のように調製した。還元の間にHSiFおよびHFを共に使用すると、スラッジを防ぎながらより低いホスフェート濃度が可能になることに注目されたし。SS試験パネルを使用して、製造装置に及ぼす影響を決定した:
【0078】
Ex.209B:1375gの脱イオン水、960gの75%HPO(7.35モル)、76.4gの48%HF試薬(1.82モル)、360gのCrO(3.6モル)、124.0gの70%ソルビトール、80℃/3時間の後加熱(<1ppmCr+6)、全重量を2880g、Crとして6.50%に調節。Cr:PO=1.00:2.04。
【0079】
Ex.210C:1500gの脱イオン水、816.7gの75%HPO(6.25モル)、76.4gの48%HF試薬(1.82モル)、360gのCrO(3.6モル)、124.0gの70%ソルビトール、80℃/3時間の後加熱(<1ppmCr+6)、全重量を2880g、Crとして6.50%に調節。〜1gの硬い緑色スケールを水位線で観測した。Cr:PO=1.00:1.74。
【0080】
Ex.229A:1600gの脱イオン水、720.0gの75%HPO(5.51モル)、76.4gの48%HF試薬(1.82モル)、561.6gの25%HSiF(0.974モル)、360gのCrO(3.6モル)、124.0gの70%ソルビトール、80℃/3時間の後加熱(<1ppmCr+6)、全重量を3566g、Crとして5.25%に調節。反応器は非常に清浄であった。注記:2×2”のSSパネルを還元の間、浮かせ、一夜冷却した。304/316合金は、目に見える影響または重量損失が検出されなかった。Cr:PO=1.00:1.53。
【0081】
Ex.215A:1500gの脱イオン水、624.0gの75%HPO(4.78モル)、76.4gの48%HF試薬(1.82モル)、561.6gの25%HSiF(0.974モル)、360gのCrO(3.6モル)、124.0gの70%ソルビトール、80°C/3時間の後加熱(<1ppmCr+6)、全重量を3566g、Crとして5.25%に調節。反応器は非常に清浄であった。注記:2×2”のSSパネルを還元の間、浮かせた。304/316合金は、目に見える影響または重量損失が検出されなかった。Cr:PO=1.00:1.33。
【0082】
Ex.216E(比較Ex.4):1250gの脱イオン水、939.7gの75%HPO(7.20モル)、360gのCrO(3.6モル)、211.3gの50%グルコン酸、80℃/2時間の後加熱(<1ppmCr+6)、水位線での一部の堆積(〜0.5gの不溶物)。注記:2×2”のSSパネルを還元の間、浮かせた。304/316合金は、目に見える影響または重量損失が検出されなかった。脱イオン水で重量を2791.0gに調節した後、1860.6gのCr(NO(10%溶液)、23.4gの尿素顆粒を混合し、15分混合してボトルに詰めた。2オンス(56.7g)プラスチックボトル中に30g、空気を排気し、175°F(79.4℃)の熱浴中で90分加熱、冷却してガス発生なし。Cr:PO=1.00:2.00。
【0083】
<実施例7>
Ex.230D:769.23gのEx.
Ex.230E:769.23gのEx.210C+150.0gの25%HSiF+40.0gの70%グリコール酸+3.0gのOAI 1+37.77gの脱イオン水
Ex.230F:952.38gのEx.215A+40.0gの70%グリコール酸+3.0gのOAI 1+4.62gの脱イオン水
Ex.230G:952.38gのEx.229A+40.0gの70%グリコール酸+3.0gのOAI 1+4.62gの脱イオン水
Ex.230H:952.38gのEx.229A+3.0gのOAI 1+44.62gの脱イオン水
Ex.242A:500gのEx.230G+0.156gのZnO(Znとして250ppm)。混合して24時間放置。
【0084】
実施例5−7を使用して被覆されたパネルの試験
巻き線型3番の引き下げ棒を用いて作業溶液の組成物で被覆した後、各パネル(95°F(35℃)に予備乾燥)を空気乾燥させた。
【0085】
【表15】

【0086】
実施例7を使用してローラー塗布機で被覆されたパネルの試験
ACT Laboratoriesからの4”×12”の溶融亜鉛めっき(HDG)G70パネルを、市販の比較例を含めて、表Cに記載の組成物を様々な希釈で使用して被覆した。工業的使用により近づけるために、溝付きローラー塗布機の〜1 1/2(1.5)クランクを使用して組成物を塗布した。4つの加熱変動を行なった:加熱なし(NH);60秒間、〜95°F(35℃)で送風しながらのパネルの予備加熱(MH);60秒間、〜110°F(43.3℃)で送風しながらのパネルの予備加熱(HH);または12秒間、赤外線オーブン中での塗布後の乾燥。被膜重量を下記の手順に従って測定した:Henkel分析方法305B:モデル2501Portaspecエックス線蛍光装置。被覆パネルをPortaspec中に置き、クロムに対する「カウント」を行い、公知の被膜重量およびクロム含量を有するコントロールに対する「カウント」と比較した。バックグラウンド測定値(ブランクから差引かれる)より上の比例するカウントに基づいて、被膜重量を計算した。本明細書で列挙された手順と合致させて、各パネルの底部上で光沢および抵抗率の評価を実施した。
【0087】
【表16】

【0088】
表Cの被覆パネルを、ASTM B117に従って中性塩スプレーに曝した。試験結果を表Dに示す。
【0089】
【表17】

【0090】
表Cの被覆パネルを、スタッキングに対する耐腐食性を試験した。試験結果を表Eに示す。
【0091】
【表18】

【0092】
スタック試験は、同じ試験で同じパネルの頂部および底部のいずれも使用することを注目されたし。
【0093】
<実施例8>
新し配合物を以下のように調製した:
Ex.244A:500gのEx.230H+0.156gのZnO(Znとして250ppm)。混合して、24時間エージング。
【0094】
Ex.244B:500gのEx.242A+12.8gの75%HPO。混合して、24時間エージング。
【0095】
Ex.244C:421gのEx.230H+10.79gの75%HPO+0.131gのZnO(Znとして250ppm)。混合して、24時間エージング。
【0096】
Ex.230G:Ex.242Aと類似、ただしZnは含まない。
【0097】
実施例7からのローラー塗布機を使用する被覆および試験のための手順を、上に列挙された配合物を用い、新しいパネルを使って繰返した。試験結果を表F、GおよびHに示す。
【0098】
【表19】

【0099】
【表20】

【0100】
【表21】

【0101】
【表22】

【0102】
本発明の有機酸抑制剤を浴中で使用した場合、耐腐食性能に顕著な影響を与えず、浴中への亜鉛の溶解速度の顕著な改善を認めた。グリコール酸およびHSiFはいずれも耐腐食性を向上し、一方、低い抵抗率を保持している。驚くべき結果は、浴中の少量のZnが塩スプレー抵抗を改善するということであり、このことは作業浴中のZn濃度を高めて被膜品質の低下を生じるという従来の理解をベースにしては予想されなかった。HSiFおよびグリコール酸を共に採用した場合、一貫して良好な抵抗率および耐腐食性を認めた。この度、コバルトおよび硝酸塩を含まず、ステンレススチール合金への攻撃を防ぐためにフルオライド濃度が充分に低い不動態化剤は、市販製品より優れており、実質的にこれらの障害を回避することができる。
【0103】
<実施例9>
Ex.248A(Ex.229A濃縮物に類似した最適化方法):1600gの脱イオン水、1.16gのZnO粉末、720.0gの75%HPO(5.51モル)、76.4gの48%HF試薬(1.82モル)、(注記:この度はZnOが溶解)、561.6gの25%HSiF(0.974モル)、360gのCrO(3.6モル)、124.0gの70%ソルビトール、80℃/3時間(<1ppmCr+6)の後加熱。全重量を3566g、Crとして5.25%に調節。反応器は非常に清浄であった。
【0104】
新しい配合物を以下のとおり調製した:
Ex.267A:952.9gのEx.248A、40.0gのグリコール酸、4.1脱イオン水、3.0gのOAI 1。混合し、24時間エージング
Ex.267B:180.0gのEx.267A、3.5gのポリオキシエチレン(12)Cocoamine CAS 77−92−9
Ex.267C:180.0gのEx.267A、7.2gの加水分解コラーゲン CAS 68410−45−7
Ex.268A(Ex.267A類似であるが、グリコール酸が脱落):952.9gのEx.248A、4.1gの脱イオン水、3.0gのOAI 1。混合して24時間エージング
Ex.268B:172.8gのEx.268A、7.2gのクエン酸無水物
Ex.268C:172.8gのEx.268A、7.2gのシュウ酸二水和物
Ex.268D:172.8gのEx.268A、7.2gのD−酒石酸
Ex.268E:172.8gのEx.268A、7.2gのコハク酸(全ては溶解しない)
Ex.268F:172.8gのEx.268A、7.2gのマレイン酸
Ex.268G:172.8gのEx.268A、7.2gのマロン酸
Ex.268H:172.8gのEx.268A、7.2gのDL−リンゴ酸
Ex.268I:172.8gのEx.268A、7.2gの40%フィチン酸
Ex.268J:172.8gのEx.268A、7.2gのスルファミン酸。
【0105】
実施例7からの被覆手順(ローラー塗布機を使用)を上で列挙された配合物を用いて新しいパネルで繰返した。試験結果を表I、JおよびKおよびLに示す。
【0106】
【表23】

【0107】
【表24】

【0108】
【表25】

【0109】
【表26】

【0110】
【表27】

【0111】
【表28】

【0112】
【表29】

【0113】
<実施例10>
Galvalume(商標)基体を4×12×0.024”領域に切断。次いでこれらを150°F(65.6℃)(非エッチング)4%Ridoline321で45秒間スプレー清浄化、15秒HWR、スキージーを使用、および送風乾燥。一部のパネルは部分的な脱湿潤を示したので、各パネルをIPAで拭き取り、別の清浄化されたワイパーを使用して各パネルの表面を乾燥。実施例7からのローラー塗布機を使用する被覆のための手順を、Galvalume(商標)パネルを用い、上で列挙された配合物の2種を使用して繰返した。これらの被覆パネルの試験結果を、表M、N、O、およびPに示す。
【0114】
【表30】

【0115】
【表31】

【0116】
【表32】

【0117】
【表33】

【0118】
結果は、ホスフェート、HSiF、ステンレススチール攻撃(試験された304/316合金)を阻害する濃度のHF、ヒドロキシカルボン酸、および有機亜鉛溶解抑制剤の組み合わせを含む、製造が容易でコスト効率の良いCr+3組成物を示す。
【0119】
ある実施形態では、最適化された使用割合(Cr被膜重量)は、最近入手できる生成物より30−40%少ないように思われる。ある実施形態では、グリコール酸に加えて、DL−リンゴ酸は有利な効果をもたらす。また、DL−リンゴ酸は、処方中のグリコール酸から結果として検出される可能性があるVOC含量を除くのに役立つことができる。ある実施形態では、エトキシ化脂肪族アミンまたは加水分解コラーゲンの形態にあるポリペプチドの添加により、塩スプレーおよびスタック性能が顕著に向上する結果となる。ある実施形態では、消泡剤、例えば、Surfynol(登録商標)DF−70を提供できる。
【0120】
少なくともある実施形態では、抑制剤を組成物に使用すると、同じ被覆組成物を、金属コイルの全長(最初のフィートから最後まで同じ亜鉛濃度)および追加のコイルにわたるのが可能なように維持するのに役立つことが判明した。少量の有効な抑制剤が、抑制剤がない場合に通常見られる亜鉛の堆積を最高99+%防ぐことができると考えられる。
【0121】
実施例10のような少なくともある実施形態では、本組成物は、市販の硝酸塩を含有する不動態化剤に比較して、スタックおよび浸漬試験においてすらGalvalume(登録商標)での改善された性能を実証した。硝酸塩を含有する配合物を避けることは、安全に低い経費で製造することを可能にすると考えられる。なぜなら、すべてのCr+3含量は、調製されたCr(NO)溶液よりもむしろクロム酸の還元から誘導することができるからである。また、配合物中の硝酸塩は、残存または追加の有機物と反応して後でNOガスを生成する。
【0122】
本発明の実施形態を例示および説明してきたが、これらの実施形態が本発明のすべての可能な形態を例示および説明することを意図していない。むしろ、本明細書で使用された言葉は、制限するよりも説明するための言葉であり、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り様々に変化させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基体を処理するための不動態化組成物であって、水および下記の成分:
溶解ホスフェートイオン、
溶解3価クロムイオン、
溶解フルオロメタレートイオン、および
有機抑制剤を含む、組成物。
【請求項2】
前記混合物が、実質的に6価クロムを含まず、さらに、ヒドロキシ有機酸を含む、請求項1に記載の不動態化組成物。
【請求項3】
前記抑制剤が、第4級化アンモニウム化合物を含む、請求項1に記載の不動態化組成物。
【請求項4】
前記3価クロムイオンに対するホスフェートイオンの重量比が、0.10:1.0から7.5:1.0の範囲にある、請求項1に記載の不動態化組成物。
【請求項5】
前記3価クロムイオンに対するホスフェートイオンの重量比が、0.650:1.0から2.5:1.0の範囲にある、請求項1に記載の不動態化組成物。
【請求項6】
前記第4級化アンモニウム化合物が、5から14の範囲にある数の環構成炭素原子を有する窒素原子含有環を少なくとも1つ含む、請求項3に記載の不動態化組成物。
【請求項7】
前記窒素原子含有環が、アリールキノリニウムハライドまたはヒドロキシドを含む、請求項6に記載の不動態化組成物。
【請求項8】
さらに、
溶解フリーフルオライドイオンおよび;
溶解無機金属化合物、添加物を混合する前に6価クロムイオンが存在する場合、前記6価クロムイオンを3価クロムイオンに還元することができる有機組成物、およびpH調整組成物からなる群より選択される少なくとも1種の第1添加物
を含む、請求項1に記載の不動態化組成物。
【請求項9】
さらに、金属イオン封鎖剤、湿潤剤、消泡剤、およびフルオライドイオンからなる群より選択される少なくとも1種の第2添加物を含む、請求項8に記載の不動態化組成物。
【請求項10】
前記3価クロムイオンが、組成物中に1g/Lから75g/Lの範囲で存在し;
前記ホスフェートイオンが、組成物中に2g/Lから400g/Lの範囲で存在し;
前記フルオロメタレートイオンが、組成物中に0.5g/Lから60g/Lの範囲で存在し;および
前記組成物が、0.5から5.0のpHを有する、
請求項1に記載の不動態化組成物。
【請求項11】
前記抑制剤が、組成物中に0.001g/Lから2g/Lの範囲にある量を有する第4級化アンモニウム化合物を含む、請求項10に記載の不動態化組成物。
【請求項12】
被覆された金属物品であって、その上に被覆を有する亜鉛含有金属基体を含み、前記被覆が請求項1−11のいずれかに記載の不動態化組成物の乾燥生成物を含む、被覆された金属物品。
【請求項13】
金属基体上に不動態化被膜を製造するための方法であって、金属基体を、前記金属基体上に不動態化被膜を形成するのに充分な時間および充分な温度で不動態化組成物と接触させるステップを含み、前記不動態化組成物が水および下記の成分:
溶解ホスフェートイオン、
溶解3価クロムイオン、
溶解フルオロメタレートイオン、および
有機酸抑制剤を含む、方法。
【請求項14】
前記不動態化組成物が、被覆されたパネルを形成するためにG70の亜鉛被覆重量の表面を有する溶融亜鉛めっき加工された(HDG)パネルに塗布される場合、前記被覆されたパネルは、ASTM B117に従った試験で中性塩スプレーに少なくとも168時間曝した後、前記HDGパネルの面積の50%から前記HDGパネルの面積の100%の範囲にわたる前記HDGパネルの腐食されていない表面部分を保持することができる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記3価クロムイオンに対するホスフェートイオンの重量比が、0.10:1.0から7.5:1.0の範囲にあり、前記組成物がさらにヒドロキシ有機酸を含む、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2011−518953(P2011−518953A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506495(P2011−506495)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/041815
【国際公開番号】WO2009/132344
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】