説明

亜鉛錯体による抗糖尿病薬剤

【課題】 本発明の目的は、長期投与においても安全性が高く、糖尿病治療、糖尿病合併症の予防および/または治療が行える薬剤を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオンを基本骨格とする種々の誘導体からなる化合物を配位子として含有する亜鉛有機錯体を、血糖降下薬、血圧降下薬、レプチン抵抗性改善薬、インスリン抵抗性改善薬として提案し、糖尿病治療薬、糖尿病合併症予防薬および/または治療薬として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖降下作用、血圧降下作用、レプチン抵抗性改善作用、インスリン抵抗性改善作用をもち、3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオンを基本骨格とする種々の誘導体からなる化合物を配位子として含有する亜鉛有機錯体を含む、糖尿病治療薬剤、糖尿病合併症予防薬剤および治療薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病はインスリンの絶対的または相対的欠乏により引き起こされる。1型糖尿病や重症の2型糖尿病における有効な糖尿病治療法としては、ヒトインスリンの皮下注射が知られている。特に糖尿病性昏睡、インスリン依存性糖尿病などにおいては、ヒトインスリンの皮下注射が治療法として必須である。
【0003】
また、軽症の成人型糖尿病においては、食事療法、運動療法が主な治療法であるが、これらの治療法で有効な効果が得られない場合、日常生活の「生活の質:クオリティー オブ ライフ」の向上を目的として、経口血糖降下薬が用いられている。代表的な経口血糖降下薬として、トルブタミドなどのスルホニル尿素系の薬剤や、ボグリボースなどのα−グルコシダーゼ阻害薬の存在が知られている(非特許文献1−2参照)。
【0004】
スルホニル尿素薬は、ランゲルハンス島β細胞にあるATPで抑制されるKチャネルを抑制することにより、β細胞を脱分極し、電位依存性カルシウムチャネルを開き、細胞内カルシウムを上昇することにより内因性インスリン分泌を促進して血糖値を降下させる(非特許文献1参照)。またα−グルコシダーゼ阻害薬は、腸管のα−グルコシダーゼを阻害することにより、糖質の分解、吸収を遅延することにより、食直後の高血糖を是正し、糖尿病状態を改善する(非特許文献2参照)。
【0005】
このような作用機構から、インスリンやスルホニル尿素薬、α−グルコシダーゼ阻害薬は、高血糖、糖尿、多尿、多飲、血管障害などの症状を呈する代謝疾患である糖尿病には有効であるが、低血糖により意識障害、脱力感、疲労感、動悸などの副作用が問題となっている(非特許文献3参照)。
【0006】
一方、3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン類は、(化1)の構造を有する化合物であり、一般に化粧品成分の抗菌薬として知られている(特許文献1参照)。
【0007】
【化1】

【0008】
現在3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン類は、前記作用にもとづきシャンプーなどの化粧品中の細菌増殖阻害などを目的として、使用されている(特許文献1参照)が、この化合物を配位子にもつ金属錯体の医薬品としての使用は報告されていない。
【0009】
一方、亜鉛はインスリン様作用を持つことが報告されており、種々の亜鉛錯体が糖尿病モデル動物を用いた実験で、糖尿病治療薬としての可能性が示されているが(特許文献2−3および非特許文献4参照)、さらに、低毒性で活性の高い多様な錯体から、より有用な血糖降下剤の開発、糖尿病合併症の予防および治療効果をあわせもつ抗糖尿病薬剤の開発が望まれており、本発明で用いた亜鉛錯体は、その可能性を有している。
【0010】
【非特許文献1】Proks P., Reimann F., Green N., Gribble F., Ashcroft F., Diabetes, 51, S368−378 (2002)
【非特許文献2】後藤由夫、山田憲一、大山武、臨床成人病、22、127−134(1992)
【非特許文献3】Fanelli C.G., Porcellati F., Pampanelli S., Diabetes Metab Res Rev, 20, S32−42 (2004)
【非特許文献4】小嶋良種、吉川豊、ビタミン、79、155−165(2005)
【特許文献1】Austin P. William, Singer Michael, Eur. Pat. Appl. (1992), CODEN: EPXXDW EP 498636
【特許文献2】小嶋、桜井、亜鉛(II)有機錯体からなる血糖降下剤、PCT:WO 01/39769 A1
【特許文献3】小嶋、桜井、吉川、血糖降下剤、PCT:WO 02/060432 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる従来の問題点を解決し、既存のインスリン、インスリン分泌促進剤およびα−グルコシダーゼ阻害剤が有する低血糖障害などの副作用が少なく、かつ糖尿病治療に有効な血糖降下薬、糖尿病合併症予防および治療に有効な血圧降下薬、レプチン抵抗性改善薬、インスリン抵抗性改善薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのような課題を克服するために、本発明は、亜鉛イオンよりも毒性が低く、ほど良い安定性をもち、ほど良い脂溶性をもつ3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン類を配位子とする亜鉛錯体からなる糖尿病治療薬、糖尿病合併症予防薬および治療薬を提供することを目的とする。血糖降下作用を有する亜鉛錯体は、申請者らにより数多く開発されてきたが、健康を複合的に予防し、治療しうる錯体は今までにあまり開発されてこなかった。
【0013】
本発明では、血糖値降下作用を有し、高血圧改善作用、レプチン抵抗性改善作用、およびインスリン抵抗性改善作用を有し、安全に予防、治療が行える薬剤としての3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン類を配位子とする亜鉛錯体を提供することを目的とする。3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン類を亜鉛に配位させることで、亜鉛イオンより吸収率や安全性を高め、血糖降下作用だけでなく高血圧改善作用ももたせることが可能となった。
【0014】
この発明が解決しようとしている課題は、前記、亜鉛錯体を有効成分として含有する医薬組成物であり、糖尿病、高血圧症、レプチン抵抗性およびインスリン抵抗性を改善する為の医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、前記した亜鉛錯体のほかに、さらに製薬上許容される単体及びそれらの混合物を含有してなる医薬組成物が好ましい。
【0015】
本発明は、亜鉛と錯体を形成し得る有機化合物と亜鉛源とを含んでなる薬剤に関する。亜鉛と錯体を形成し得る有機化合物としては、例えば、(化1)の他に、メルカプトメチルアミン誘導体等が好ましいものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明で用いられる亜鉛源としては、ヒトおよび/または他の動物への投与に好適な亜鉛源であればどのようなものでもよいが、例えば、亜鉛の鉱産塩や亜鉛有機錯体などが好ましいものとして挙げられる。亜鉛の鉱産塩としては、例えば、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、水酸化亜鉛等が挙げられる。なお、亜鉛源として亜鉛の鉱産塩を使用した場合には、pH調整剤として、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム等の塩基性水溶液や、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等の緩衝液を併用してもよい。本発明にかかる薬剤の形状は、粉末状、顆粒状、錠剤型、カプセル、液状、ゲル状、その他いずれのものでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る、亜鉛と錯体を形成し得る有機化合物と亜鉛源とを含んでなる薬剤は、亜鉛イオンよりも毒性が低く、ほど良い安定性をもち、ほど良い脂溶性をもち、かつ血糖降下作用、糖尿病合併症改善作用(例えば、血圧降下作用、高レプチン血症改善作用および高インスリン血症改善作用など)をもつ亜鉛錯体を含んでなる薬剤として大いに期待されるものである。さらに、糖尿病患者やその予備群などの健康状態をよくし、耐糖能障害、多嚢胞性卵巣症候群、高脂質血症、アテロ−ム性動脈硬化症、心臓血管疾患、狭心症、或いは、味覚障害などの予防や治療に効果のある薬剤として大いに期待されるものである。
また、本発明の錯体は、長期間の摂取においても、実質的な副作用を伴わず、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の製造例および実施例は、この発明を説明するために示したものであり、本発明はこれらの実施例や試験例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
本発明で用いた、3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン誘導体は、p−置換アセトフェノンに臭素を反応させ得られるα−ブロモアセトフェノンにヒドロキシルアミン塩酸塩を反応させオキシム体を作成し、さらにオキシム体にキサントゲン酸エチルエステルカリウム塩を反応させ、さらに塩化亜鉛存在下で環化させることにより合成した。(非特許文献5)
【0020】
【非特許文献5】Hartung J. and Schwarz M., ”Organic Syntheses”, ed by Hegedus, L.S. Organic Syntheses Inc, USA, Vol 79, P.228(2002)
【実施例2】
【0021】
Bis(2,3−Dihydro−4−methyl−2−thioxo−3−thiazololato)zinc錯体(Zn(THIA−Me))の合成は、水/エタノールの混合溶媒中で酢酸亜鉛と市販の配位子(THIA−Me)をモル比1:2で混合し、析出した固体をろ別洗浄することによって合成した。H−NMRスペクトル(δ、DMSO−d、400 MHz):2.28(3H、s、CH) and 7.05 ppm (1H、s、5−CH)、IRスペクトル (KBr):3099(C−H)、1432(C−H)、1374(C−H)、and 1037(C=S) cm−1 、元素分析値:実験値、C:26.85、H:2.25、N:7.83%、Zn(CNOSに対する計算値、C:26.96、H:2.13、N:7.84%
【実施例3】
【0022】
Bis(2,3−dihydro−2−thioxo−4−(p−nitrophenyl)−3−thiazololato)zinc錯体(Zn(THIA−Phe−NO))の合成は、水/テトラヒドロフラン混合溶媒中、水酸化リチウム存在下硫酸亜鉛と配位子をモル比1:2で混合し、析出した固体をろ別洗浄することによって合成した。
H−NMRスペクトル(δ、CDCl、400 MHz):7.15(1H、s、CH)、8.08(2H、d、J=8.7 Hz、3,5−CH) and 8.30 ppm(2H、d、J=8.7 Hz、2,6−CH)、IRスペクトル (KBr):3119(C−H)、1513(NO)、1347(NO)、1002(C=S) and 857(C−H)cm−1 、元素分析値:実験値、C:31.73、H:1.92、N:8.22%、Zn(C・3HClに対する計算値、C:32.08、H:1.80、N:8.04%
【実施例4】
【0023】
Bis(2,3−dihydro−2−thioxo−4−(p−chlorophenyl)−3−thiazololato)zinc錯体(Zn(THIA−Phe−Cl))の合成は、水/テトラヒドロフラン混合溶媒中、水酸化リチウム存在下硫酸亜鉛と配位子をモル比1:2で混合し、析出した固体をろ別洗浄することによって合成した。H−NMRスペクトル(δ、CDCl、400 MHz):6.95(1H、s、CH)、7.41(2H、d、J=8.8Hz、3,5−CH)and 7.78ppm(2H、d、J=8.8Hz、2,6−CH)、IRスペクトル(KBr):3073(C−H)、1480(C−H)、1056(C=S)and 831(C−H) cm−1、元素分析値:実験値、C:44.93、H:3.77、N:4.03%、Zn(CClNOS・2THFに対する計算値、C:44.87、H:3.45、N:3.98%
(薬理試験例1)
【0024】
腹腔内投与における抗糖尿病作用の評価には、2型糖尿病モデル動物のKK−Aマウスを用いた。KK−Aマウスに一日一回、14日間腹腔内に血糖値が250 mg/dL以上の日には、3 mg Zn/kg体重となるように、250 mg/dL以下の日には、1.5 mg Zn/kg体重、100 mg/dL以下の日は0.1 mg Zn/kg体重となるように錯体を投与した。錯体投与時には、血糖値、体重、摂餌量、摂水量を同時にモニターした。
14日間投与終了後、16時間絶食させ、グルコースを1 g グルコース/kg体重となるように投与し、糖負荷試験を行った。
また、投与終了後にHbA1c及び血圧の測定を行い、血清レプチン濃度および血清インスリン濃度は、眼窩採血から得られた血液を用い測定を行った。
錯体投与群としてZn(THIA−Phe−NO)およびZn(THIA−Phe−Cl)を腹腔内投与したときの血糖値の変化及び体重の増減をそれぞれ図1と2に示し、糖負荷試験の結果を図3に示す。さらにHbA1c値、血圧、血清レプチン濃度および血清インスリン濃度の結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

p<0.0001 vs.錯体非投与群、**p<0.001 vs.錯体非投与群、p<0.005 vs.錯体非投与群、##p<0.01 vs.錯体非投与群、p<0.05 vs.錯体非投与群
表1は、Zn(THIA−Phe−NO)およびZn(THIA−Phe−Cl)2のHbA1c値、血圧、血清レプチン濃度、血清インスリン濃度を表したものである。
【0026】
図1に示すように、血糖値は錯体投与後低下し始め、14日間の投与終了時には、投与前と比較してZn(THIA−Phe−NO)投与群では約200 mg/dL低下し、Zn(THIA−Phe−Cl)投与群では約350 mg/dL低下した。
体重は、投与開始後数日は減少する傾向があり、その後は維持された(図5)。
14日間の投与終了後に行った糖負荷試験では、図3に見られるように、Zn(THIA−Phe−NO)およびZn(THIA−Phe−Cl)投与群は、錯体非投与(14日間自由に餌・水を摂取させ、体重のみ毎日観測した)群と比較して有意に低下しており耐糖能の改善が見られた。
さらに、表1に見られるように、HbA1c値も、錯体非投与群と比較して有意に低下していた。これらの結果から、Zn(THIA−Phe−NO)およびZn(THIA−Phe−Cl)錯体の血糖値の低下は一時的なものではなく、長期にわたって持続的であることが示された。
表1に示すように、Zn(THIA−Phe−NO)およびZn(THIA−Phe−Cl)錯体は、血清インスリン濃度、血清レプチン濃度を低下させ、高血圧状態を改善させることが示された。
(薬理試験例2)
【0027】
経口投与における抗糖尿病作用の評価には、2型糖尿病モデル動物のKK−Aマウスを用いた。KK−Aマウスに一日一回14日間、10 mg Zn/kg体重となるように錯体を投与した。錯体投与時には、血糖値、体重、摂餌量、摂水量を同時にモニターした。14日間投与終了後、16時間絶食させ、グルコースを1 g グルコース/kg体重となるように投与し、糖負荷試験を行った。また、投与終了後にHbA1c値及び血圧の測定を行い、血清レプチン濃度および血清インスリン濃度は、眼窩採血から得られた血液を用い測定を行った。
錯体投与群として、Zn(THIA−Me)を、経口投与したときの血糖値の変化及び体重の増減をそれぞれ図4と5に示し、糖負荷試験の結果を図6に示す。さらにHbA1c値、血圧、血清レプチン濃度、血清インスリン濃度の結果を表2に示す。
【0028】
【表2】

**p<0.001 vs.錯体非投与群、##p<0.01 vs.錯体非投与群
表2は、Zn(THIA−Me)投与時のHbA1c値、血圧、血清レプチン濃度、血清インスリン濃度を表したものである。
【0029】
図4に示すように、血糖値は錯体投与後低下し始め、14日間の投与終了時には、投与前と比較して約300 mg/dL低下した。
体重は、投与期間中に大きな変化は見られなかった(図5)。この結果からZn(THIA−Me)錯体投与による体重減少などの大きな副作用は観測されなかった。
14日間の投与終了後に行った糖負荷試験では、図6に見られるように、Zn(THIA−Me)錯体投与群は、錯体非投与群と比較して、大きな差は見られなかった。
しかしながら、表2に見られるように、HbA1c値は6.2(0.6)%であった。これらの結果から、Zn(THIA−Me)の血糖値の低下は一時的なものではなく、長期に渡って持続的であることが示された。さらに、Zn(THIA−Me)錯体は、高血圧状態を改善させることが示された。
以上の結果から、Zn(THIA−Me)錯体は、経口投与で持続的な血糖降下作用および高血圧改善効果を示すことが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係わるZn(THIA−Phe−NO)およびZn(THIA−Phe−Cl)を一日一回腹腔内投与したときの血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、Zn(THIA−Phe−NO)投与群(■)、Zn(THIA−Phe−Cl)投与群(○)。p<0.05 vs.錯体非投与群、**p<0.005 vs.錯体非投与群
【図2】本発明に係わるZn(THIA−Phe−NO)およびZn(THIA−Phe−Cl)を一日一回腹腔内投与したときの体重の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、Zn(THIA−Phe−NO)投与群(■)、Zn(THIA−Phe−Cl)投与群(○)。
【図3】14日間、Zn(THIA−Phe−NO)およびZn(THIA−Phe−Cl)を投与後、糖負荷試験を行った時の血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、Zn(THIA−Phe−NO)投与群(■)、Zn(THIA−Phe−Cl)投与群(○)。p<0.05 vs.錯体非投与群、**p<0.01 vs.錯体非投与群
【図4】本発明に係わるZn(THIA−Me)錯体を一日一回経口投与したときの血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、Zn(THIA−Me)投与群(□)。p<0.05 vs.錯体非投与群
【図5】本発明に係わるZn(THIA−Me)錯体を一日一回経口投与したときの体重の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、Zn(THIA−Me)投与群(□)。
【図6】14日間、Zn(THIA−Me)錯体を投与後、糖負荷試験を行った時の血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、Zn(THIA−Me)錯体投与群(□)。p<0.05 vs.錯体非投与群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛と錯体を形成し得る、3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン及びそれらの誘導体からなる有機化合物を配位子とする亜鉛源とを含んでなる、抗糖尿病薬剤、糖尿病合併症の予防および/または治療のための薬剤。
【請求項2】
亜鉛源が亜鉛の鉱産塩又は有機錯体である請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
【化1】

3−ヒドロキシチアゾール−2(3H)−チオン類が、一般式(化1)、(式中、Rはアルキル基、又はアルキル基、ハロゲン基、水酸基、アルコキシ基、アルキルで置換されてもよいアミノ基が置換したベンゼン環を示す。)で表される誘導体。
【請求項4】
チアゾール環を有する有機物類が、一般式(化1)であらわされる化合物及びそれらの混合物からなる請求項1に記載の薬剤。
【請求項5】
抗糖尿病薬剤、糖尿病合併症の予防および/または治療のための薬剤が、血糖降下作用、血圧降下作用、レプチン抵抗性改善作用、インスリン抵抗性改善作用を有する物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−1899(P2007−1899A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182212(P2005−182212)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(305029830)
【Fターム(参考)】