説明

交換可能な針を有する注射器

注射器はシリンジ(12)を備えており、当該シリンジは、シリンジ長手軸(L)方向に延在する軸方向の内部凹部(14)を備え、当該内部凹部においてピストン(16)が軸方向に移動可能にガイドされ、当該ピストンは、内部凹部(14)を半径方向に画定する内壁(14a)の部分とともに、流体受容体積を限定するのに利用され、かつ注射器は針(24)を有しており、当該針はシリンジ(12)の長手方向端(12a)で、シリンジ(12)と接続可能あるいは接続されており、針(24)はシリンジ近傍の長手方向端(24a)に連結形状(28)を備え、当該連結形状によって針(24)は、シリンジ(12)の対応連結形状(30)と接続可能であり、連結形状(28)と対応連結形状(30)とから成る形状が挿入部(32)を備え、当該挿入部は注射器(10)が組み立てられた状態でそのつど別の形状の連結用凹部(34)に受容されており、注射器(10)が組立てられた状態で連結用凹部(34)から挿入部(32)が引き抜き移動するのを防ぐ安全手段(46)がさらに備わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィーなどにおいてサンプル処理をするために用いられるような注射器に関する。そのような注射器はシリンジを備えており、当該シリンジは、シリンジ長手軸方向に延在する軸方向の内部凹部を有し、当該内部凹部においてピストンが軸方向に移動可能にガイドされる。当該ピストンは、内部凹部を半径方向に画定する内壁の部分とともに、流体受容体積を限定するのに利用される。シリンジ長手軸はその際、原則的に軸方向を特定する。これと直交する方向は、本発明の意味においては、半径方向である。
【0002】
さらにそのような注射器は、シリンジの長手方向端で、シリンジと接続可能あるいは接続されている針を備える。
【背景技術】
【0003】
医療分野では、針がシリンジ近傍の長手方向端に連結形状を備え、当該連結形状によって針は、シリンジの対応連結形状と接続可能な注射器が、原則的に知られている。このとき、従来技術から知られている医療用注射器では、対応連結形状は、注射器が組み立てられた状態で連結形状の連結用凹部に受容されている挿入部を備えている。
【0004】
医療分野で知られている、針とシリンジとの連結は、ラボの領域での応用には不充分である。当該連結は、強度ととりわけ密閉度とに対する必要な要求を満たしておらず、その結果注射器によって採取され注入されるべき流体の純度は、充分な程度で保証されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ本発明の課題は、従来技術から知られている注射器を、上述の欠点を克服するよう改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従えば、この課題は、注射器が組立てられた状態で連結用凹部から挿入部が引き抜き移動するのを防ぐ安全手段が備わっている、冒頭で挙げられたような注射器によって解決される。
【0007】
備えられている安全手段によって、もはや針をシリンジから分離することができず、その結果針はシリンジにしっかりと連結される。
【0008】
針をシリンジに固定し、シリンジから取り外し、かつ針とシリンジとの連結部を特に好ましく密閉することは、以下によって達成され得る。すなわち、安全手段が、軸方向での操作によって移動可能な軸方向調節部材を備え、その結果軸方向調節部材は、連結用凹部に挿入される挿入部に対して軸方向の圧力をかけることができる。
【0009】
針とシリンジとの連結部の有利な密閉は、以下によってさらに高められ得る。すなわち、安全手段は応力形状を備えており、当該応力形状は注射器が組み立てられた状態で、針に配設された応力対応形状と係合する。
【0010】
第1テーパ部であって、当該テーパ部を支える形状の開放された長手方向端に向かって先細になっており、かつ注射器が組み立てられた状態で少なくとも部分的に、そのつど別の形状の受容凹部に挿入されている第1テーパ部を、応力形状と応力対応形状とから成る形状が備えており、かつ第1拡張部であって、当該拡張部を支える形状の開放された長手方向端に向かって拡張する第1拡張部を、受容凹部が備えており、その際、注射器が組み立てられた状態でテーパ部が、少なくともシリンジ長手軸を中心とした周線に沿って線状に、特に好ましくは周接触面に沿って広範囲に拡張部に当接するよう、好適には軸方向の第1テーパ部のテーパ延在と、軸方向の第1拡張部の拡張延在とが、実質的に互いに適合する場合、応力形状と応力対応形状とは、特に容易かつ確実に、互いに密閉係合することができる。
【0011】
このとき、第1テーパ部が円錐部を備え、好適には受容凹部が円錐形の凹部を備えていることが、構造上考えられていてよい。特に好ましくは、円錐部と円錐形の凹部とは、同一の円錐角を備えている。
【0012】
注射器を製造するために必要な部材を減らすために、応力形状が一体的に軸方向調節部材に形成されていることが考えられていてよい。
【0013】
他方で、応力形状が、軸方向調節部材とは別に設けられた、軸方向調節部材によって軸方向に移動可能な応力部材に形成されている場合、注射器部材の互いとの組立ては、部材にとって特に注意深く行われ得る。すなわちこの場合、相対運動が意図的に問題とならない位置でもたらされ、問題となる位置での注射器部材間の相対運動を減らすことができ、それによって部材損傷の危険が減少する。
【0014】
シリンジに対して相対的に、針を同時に確実かつ正確に位置合わせする際に、シリンジと外界とに対して針を特に良好に密閉することは、本発明の第1のさらなる形態に従えば、針とともに動くための、応力形状を備える部材が形成されていることによって、確実なものとなり得る。本発明の別の第2のさらなる形態に従えば、少なくとも、シリンジに対して相対的に、針を正確に位置合わせすることは、針とともに動くための軸方向調節部材が形成されていることによって、確実なものとなり得る。
【0015】
針と「ともに動くための」部材の形成は、部材を針と一体的に形成することによってか、あるいは部材を針と固定接続することによって達成され得る。
【0016】
有利かつできるだけ厳密に、軸方向調節部材を位置合わせするために、当該部材が、軸方向に動くためのガイド部材に接してガイドされていることが考えられていてよい。
【0017】
構造上の見地から、ガイド部材は、シリンジ、特に針近傍のシリンジの長手方向端に設けられたスリーブを備えていてよい。
【0018】
ガイド部材をシリンジと特にしっかりと接続するために、ガイド部材特にスリーブは、加圧しておよび/あるいは貼着してシリンジと接合されていることが考えられていてよい。
【0019】
ガイド部材に対して相対的に、軸方向調節部材を特に容易、確実かつ同時に精確に位置合わせすることは、ガイド部材特にスリーブがねじ、好適には雌ねじを備え、かつ軸方向調節部材が、ねじと係合しているあるいは係合可能なカウンターねじ、好適には雄ねじを有するボルトを備えることによって、達成され得る。その際、位置合わせの精確さは、ねじとカウンターねじとの選択されたピッチに依存する。
【0020】
好適にはガイド部材のねじは雌ねじであり、その結果軸方向調節部材を当該ガイド部材にねじ込むことができる。これによって注射器の半径方向の寸法が大きくなりすぎるのを防ぐ。
【0021】
それぞれの使用の場合にそのつど適合可能であるゆえに有利な、注射器のモジュラー構造のために、連結形状が別個の連結部材に備わっていることが、考えられていてよい。
【0022】
軸方向における、連結部材の規定された位置合わせのためと、かつそれによってできるだけ良好な連結作用と密閉作用とを確実にするために、連結部材は、シリンジの対応当接面に当接するための突起部、好適には半径方向突起部を備えていることが考えられてよい。
【0023】
連結部材によってもたらされ得る密閉作用は、当該連結部材が弾力性のある材質で作られていることによって、さらに高められ得る。この場合挿入部は、連結部材に設けられている限りにおいて、連結用凹部への挿入を容易にするために、場合によっては挿入勾配を有して、円筒状部を備えており、挿入部の円筒状部が連結用凹部に挿入され、上述の応力形状による応力によって、連結用凹部の、配設された内壁に密着して当接する。
【0024】
同様に、胴部分が膨らんだ外観を有する挿入部を形成することが考えられてよく、その結果挿入部を連結用凹部に挿入する際に、弾力性のある材料を変形させることで、すでに半径方向の予応力がもたらされ得る。しかしながら、シリンジと連結部材との連結箇所での間隙は、避けられるべきである。なぜなら、注射器に複数回次々に連続して充填する際に、その流体受容体積に受容された流体を汚染しかねない材料が、その間隙に集まりかねないからである。
【0025】
連結部材を硬い材質から作り、シリンジの同様に硬い対応連結形状に、硬い連結部材を密着して当接させることが、同様に考えられてよい。
【0026】
挿入部と連結用凹部とが硬い材料から作られている場合でも、形成物の少なくとも1つがポリテトラフルオロエチレンのような弾力性と可塑性のある材質から作られている場合でも、連結形状と対応連結形状との間の連結箇所の良好な密閉効果は、次の方法によって達成され得る。すなわち、第2テーパ部であって、当該テーパ部を支える形状の開放された長手方向端に向かって先細になっており、かつ注射器が組み立てられた状態で少なくとも部分的に、そのつど別の形状の連結用凹部に挿入されている第2テーパ部を挿入部が備えており、かつ第2拡張部であって、当該拡張部を支える形状の開放された長手方向端に向かって拡張する第2拡張部を連結用凹部が備えており、その際、注射器が組み立てられた状態で第2テーパ部が、少なくともシリンジ長手軸を中心とした周線に沿って線状に、特に好ましくは周接触面に沿って広範囲に第2拡張部に当接するよう、好適には軸方向の第2テーパ部のテーパ延在と、軸方向の第2拡張部の拡張延在とが、実質的に互いに適合する。このとき、すでにわずかなテーパ角もしくは拡張角によって、望まれる連結結果と密閉結果とがもたらされ得る。
【0027】
製造技術上の観点から特に容易でそれゆえ好ましくは、挿入部が円錐部を備え、好適には連結用凹部が円錐形の凹部を備えている。
【0028】
挿入部が、注射器が組み立てられた状態でシリンジの対応面に密着して当接する、半径方向の延伸コンポーネントを有する端部面を備えることによって、連結箇所の密閉効果はさらに高められ得る。しかしながらこれはとりわけ、連結に関与する形状の少なくとも1つが、弾力性のある材料から作られている場合に、望ましからざる二重嵌合を回避するために得策である。
【0029】
まさに、ここで記述された注射器をラボで使用する際に、特にクロマトグラフィーにおいて、注射器に吸い上げられた流体の汚染を避けることが、非常に重要である。そのために、注射器の使用中に、注射器によって採取されるべきおよび/あるいは注入されるべき流体と接触する、注射器の面の少なくとも一部、好適にはすべての面にコーティングが施されていることが考えられてよい。当該コーティングは、特に滑らかで、多くの流体に対して不活性かつ同時に透明な表面を提供する、水晶あるいはガラスのコーティングであってよい。コーティングは、いわゆるナノテクノロジーによって、針の内側および/あるいは外側に塗布されていてよい。コーティングは、それ自体知られた方法で、ゾル・ゲル法によって、注射器の問題となる壁面もしくは壁面部に塗布されてよい。
【0030】
本発明は以下に、添付された図に基づいて詳述される。図に示されるのは以下である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る注射器の、第1実施形態の部分断面図である。
【図2】図1の第1実施形態の、針とシリンジとの連結部の長手方向詳細断面図である。
【図3】針とシリンジとの連結部の、第2実施形態である。
【図4】針とシリンジとの連結部の、第3実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、全般的に10が付いている、本発明に係る注射器の第1実施形態が説明されている。注射器10は、シリンジ長手軸Lの方向に延在する内部凹部14を有するシリンジ12を備えており、当該内部凹部14においてピストン16がシリンジ長手軸Lの方向すなわち軸方向に移動可能に受容されている。
【0033】
ピストン16は、ピストン16と固定して接合されているピストン棒18によって移動可能であり、当該ピストン棒18は操作端部20を介して引く操作と押す操作とがなされ得る。
【0034】
針近傍の、シリンジ12の長手方向端12aを向いているピストン面16aは、内部凹部14を半径方向に画定する周内壁の部分14aとともに、流体受容体積22を限定するのに利用される。
【0035】
図1に示されている注射器10はさらに、針カニューレ26を有する針24を備えている。針24は、組み立てられた状態におけるシリンジ近傍の長手方向端24aに連結形状28を備え、当該連結形状28は、針24をシリンジ12と連結させるために、シリンジ12の、針近傍の長手方向端12aで対応連結形状30と係合する。
【0036】
針24とシリンジ12との連結の詳細な形態は、図2に表されている。図2は、図1において円で囲まれ「II」と付けられた詳細を拡大して示している。
【0037】
図2で示されている第1実施例においては、連結形状28は、対応連結形状30の連結用凹部34に挿入されている、ほぼ円筒状の挿入部32を備えている。連結用凹部34への挿入部32の挿入を容易にするために、挿入部32は、連結用凹部34に挿入される長手方向端に、挿入勾配もしくは周りを走る挿入面取り面を備える。
【0038】
挿入部32は、弾力性のあるプラスチック、本例ではポリテトラフルオロエチレンから作られる連結部材36の、一体的な構成部材である。
【0039】
当該部材36は、挿入部32の反対側にある長手方向端に、クランプコーンの形で応力対応形状38を備えている。
【0040】
応力対応形状38と挿入部32との間で軸方向に、連結部材36に接して、円周方向に周りを走る半径方向突起部40が形成されており、当該半径方向突起部40は、注射器10が組み立てられた状態で、シリンジ12の対応当接面42に当接する。半径方向突起部40が対応当接面42に当接すると、連結部材36の正しい位置が確定される。
【0041】
中央を貫通する、連結部材36の凹部44には、針カニューレ26が挿入されている。
【0042】
原則的に針カニューレ26は、接着あるいは同様のものによって連結部材36と接合されていてよい。好ましくは、流体受容室22に採取された流体の、接着剤の構成要素による望ましからざる汚染を回避するために、針カニューレ26は、単に力接続的もしくは摩擦接続的に連結部材36に保持されている。
【0043】
シリンジ12の長手方向端12aの半径方向ショルダ部に、スリーブ状のガイド部材46が、圧接と貼着とによってシリンジ12と接合されている。
【0044】
ガイド部材46は雌ねじ48を備え、当該雌ねじに、雄ねじ52を有する締め付けボルト50の形の軸方向調節部材が、シリンジ長手軸Lに沿って軸方向に移動可能に螺入されている。
【0045】
中央凹部54に針カニューレ26が貫入されており、このとき中央凹部54の直径は針カニューレ26の外径よりも大きい。
【0046】
締め付けボルト50の鉢形の凹部56には、応力部材58が受容されており、当該応力部材は共に動くために、貼着、溶接あるいは何か他の方法で針カニューレ26と接合されている。
【0047】
応力部材58は、円錐形の受容凹部60の形で応力形状を備え、当該受容凹部に、連結部材36の円錐形の応力対応形状38が軸方向に突出している。
【0048】
締め付けボルト50の、シリンジから離れた端面にある、工具はめ込み凹部62にはめ込まれた工具を用いて、締め付けボルト50をシリンジ12に向かって回すことにより、弾力性のある連結部材36は、意図的に弾力性を持って変形されることができ、その結果連結部材36は間隙をつくらずに連結部材12に密着して当接する。
【0049】
図2で示された第1実施例においては、連結用凹部34は、段差なく内部凹部14に移行する。
【0050】
図3では、別の第2実施例が表されている。図2と同じ部材は同じ符号が付されているが、数字が100だけ大きくなっている。
【0051】
図3の実施形態は、記載が明確に指摘される図1と図2の実施形態と異なっている限りにおいてのみ、以下に記述される。
【0052】
図3に表されている第2実施形態は、極めてわずかな容積の注射器、すなわち内部凹部114が非常に小さな直径である注射器に適している。
【0053】
連結用凹部134が、シリンジ112の内部凹部114より大きな直径を有していることが分かる。
【0054】
それゆえ連結用凹部134は、半径方向の段差を形成して内部凹部114に移行する。そのため、締め付けボルト150と応力部材158とを用いて、連結部材136に充分変形圧力をかけた場合、挿入部132の端面側の端部面164は、シリンジ112の対応面166に密着して当接することができる。
【0055】
図4においては、針とシリンジとの連結部を有する本発明に係る注射器の、第3実施形態が表されている。
【0056】
図1から図3の実施形態と同じ部材は、図4に記載の第3実施形態において同じ符号が付されているが、数字が200もしくは100大きくなっている。第3実施形態は、記載が他の点では明確に指摘されている、最初の2つの実施形態と異なっている限りにおいてのみ、記述される。
【0057】
図4で示されている実施形態では、挿入部232がシリンジ212の対応連結形状230に設けられており、一方で連結用凹部234が針224の連結形状228に形成されている。
【0058】
連結部材236の半径方向突起部240は、これまでの実施形態とは逆に、連結部材236の、シリンジから離れた長手方向端に、半径方向内側に延伸している。
【0059】
同様にこれまでの実施形態とは逆に、応力部材258は、スリーブ状のガイド部材246で軸方向に支持されている。
【0060】
締め付けボルト250は、共に回転するために、針カニューレ226と接合されている。
【0061】
連結部材236の応力対応形状238は、シリンジ212の挿入部232を、半径方向外側で半径方向に取り囲んでおり、応力部材258の円錐形の受容凹部260に当接する。
【符号の説明】
【0062】
10,110,210 注射器
12,112,212 シリンジ
12a,112a,212a 長手方向端
14,114,214 内部凹部
14a 周内壁の部分
16 ピストン
16a ピストン面
18 ピストン棒
20 操作端部
22,122,222 流体受容体積
24,124,224 針
24a,124a,224a 長手方向端
26,126,226 針カニューレ
28,128,228 連結形状
30,130,230 対応連結形状
32,132,232 挿入部
34,134,234 連結用凹部
36,136,236 連結部材
38,138,238 応力対応形状
40,140,240 半径方向突起部
42,142,242 対応当接面
44 凹部
46,146,246 ガイド部材
48,148,248 雌ねじ
50,150,250 締め付けボルト
52,152,252 雄ねじ
54 中央凹部
56 凹部
58,158,258 応力部材
60,160,260 応力形状
62 工具はめ込み凹部
164 端部面
166 対応面
L シリンジ長手軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器であって、シリンジ(12;112;212)を有しており、該シリンジは、シリンジ長手軸(L)方向に延在する軸方向の内部凹部(14;114;214)を備え、該内部凹部においてピストン(16)が軸方向に移動可能にガイドされ、該ピストンは、前記内部凹部(14)を半径方向に画定する内壁(14a)の部分とともに、流体受容体積を限定するのに利用され、かつ注射器は針(24)を有しており、該針は前記シリンジ(12;112;212)の長手方向端(12a;112a;212a)で、前記シリンジ(12;112;212)と接続可能あるいは接続されている、注射器において、
前記針(24;124;224)はシリンジ近傍の長手方向端(24a;124a;224a)に連結形状(28;128;228)を備え、該連結形状によって前記針(24;124;224)は、前記シリンジ(12;112;212)の対応連結形状(30;130;230)と接続可能であり、前記連結形状(28;128;228)と前記対応連結形状(30;130;230)とから成る形状が挿入部(32;132;232)を備え、該挿入部は前記注射器(10;110;210)が組み立てられた状態でそのつど別の形状の連結用凹部(34;134;234)に受容されており、前記注射器(10;110;210)が組立てられた状態で前記連結用凹部(34;134;234)から前記挿入部(32;132;232)が引き抜き移動するのを防ぐ安全手段(46,50;146,150;246,250)がさらに備わっていることを特徴とする注射器。
【請求項2】
前記安全手段(46,50;146,150;246,250)が、軸方向での操作によって移動可能な軸方向調節部材(50;150;250)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記安全手段(46,50;146,150;246,250)は応力形状(60;160;260)を備えており、該応力形状は前記注射器(10;110;210)が組み立てられた状態で、前記針(24)に配設された応力対応形状(38;138;238)と係合することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の注射器。
【請求項4】
第1テーパ部(38;138;238)であって、該テーパ部を支える形状の開放された長手方向端に向かって先細になっており、かつ前記注射器(10;110;210)が組み立てられた状態で少なくとも部分的に、そのつど別の形状の受容凹部(60;160;260)に挿入されている第1テーパ部(38;138;238)を、応力形状(60;160;260)と応力対応形状(38;138;238)とから成る形状が備えており、かつ第1拡張部であって、該拡張部を支える形状の開放された長手方向端に向かって拡張する第1拡張部を、前記受容凹部(60;160;260)が備えており、前記注射器(10;110;210)が組み立てられた状態で前記テーパ部(38;138;238)が、少なくとも前記シリンジ長手軸(L)を中心とした周線に沿って線状に、特に好ましくは周接触面に沿って広範囲に前記拡張部に当接するよう、好適には軸方向の前記第1テーパ部(38;138;238)のテーパ延在と、軸方向の前記第1拡張部の拡張延在とが、実質的に互いに適合することを特徴とする請求項3に記載の注射器。
【請求項5】
前記第1テーパ部(38;138;238)が円錐部を備え、好適には前記受容凹部が円錐形の凹部(60;160;260)を備えていることを特徴とする請求項4に記載の注射器。
【請求項6】
前記応力形状(60;160;260)が、一体的に前記軸方向調節部材(50;150;250)に形成されていることを特徴とする請求項2に従属した請求項4あるいは5に記載の注射器。
【請求項7】
前記応力形状(60;160;260)が、前記軸方向調節部材(50;150;250)とは別に設けられた、該軸方向調節部材(50;150;250)によって軸方向に移動可能な応力部材(58;158;258)に形成されていることを特徴とする請求項2に従属した請求項4あるいは5に記載の注射器。
【請求項8】
前記針(224)とともに動くための、前記応力形状(60;160;260)を備える部材(58;158)が形成されていることを特徴とする請求項6あるいは7に記載の注射器。
【請求項9】
前記針(224)とともに動くための前記軸方向調節部材(50;150;250)が形成されていることを特徴とする請求項2に従属した請求項2から8のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項10】
前記軸方向調節部材(50;150;250)が、軸方向に動くためのガイド部材(46;146;246)に接してガイドされていることを特徴とする請求項2に従属した請求項2から9のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項11】
前記ガイド部材(46;146;246)は、前記シリンジ(12;112;212)、特に針近傍のシリンジの長手方向端(12a;112a;212a)に設けられたスリーブを備えていることを特徴とする請求項10に記載の注射器。
【請求項12】
前記ガイド部材(46;146;246)特に前記スリーブは、加圧しておよび/あるいは貼着して前記シリンジ(12;112;212)と接合されていることを特徴とする請求項10あるいは11に記載の注射器。
【請求項13】
前記ガイド部材(46;146;246)特に前記スリーブがねじ(48;148;248)、好適には雌ねじ(48;148;248)を備え、かつ前記軸方向調節部材(50;150;250)が、前記ねじ(48;148;248)と係合しているあるいは係合可能なカウンターねじ(52;152;252)、好適には雄ねじ(52;152;252)を有するボルト(50;150;250)を備えていることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項14】
前記連結形状(28;128;228)が別個の連結部材(36;136;236)に備わっていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項15】
前記連結部材(36;136;236)は、前記シリンジ(12;112;212)の対応当接面(42;142;242)に当接するための突起部(40;140;240)、好適には半径方向突起部(40;140;240)を備えていることを特徴とする請求項14に記載の注射器。
【請求項16】
前記連結部材(36;136;236)が、弾力性のある材質で作られていることを特徴とする請求項14あるいは15に記載の注射器。
【請求項17】
第2テーパ部であって、該テーパ部を支える形状の開放された長手方向端に向かって先細になっており、かつ前記注射器(10;110;210)が組み立てられた状態で少なくとも部分的に、そのつど別の形状の前記連結用凹部(34;134;234)に挿入されている第2テーパ部を前記挿入部(32;132;232)が備えており、かつ第2拡張部であって、該拡張部を支える形状の開放された長手方向端に向かって拡張する第2拡張部を前記連結用凹部(34;134;234)が備えており、前記注射器(10;110;210)が組み立てられた状態で前記第2テーパ部が、少なくとも前記シリンジ長手軸(L)を中心とした周線に沿って線状に、特に好ましくは周接触面に沿って広範囲に前記第2拡張部に当接するよう、好適には軸方向の前記第2テーパ部のテーパ延在と、軸方向の前記第2拡張部の拡張延在とが、実質的に互いに適合することを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項18】
前記挿入部(32;132;232)が円錐部を備え、好適には前記連結用凹部(34;134;234)が円錐形の凹部を備えていることを特徴とする請求項17に記載の注射器。
【請求項19】
前記挿入部(132)が、前記注射器(110)が組み立てられた状態で前記シリンジ(112)の対応面(166)に密着して当接する、半径方向の延伸コンポーネントを有する端部面(164)を備えていることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項20】
前記注射器(10)の使用中に、該注射器(10)によって採取されるべきおよび/あるいは注入されるべき流体と接触する、前記注射器(10)の面(14a;16a)の少なくとも一部、好適にはすべての面にコーティングが施されていることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項21】
前記コーティングは、水晶あるいはガラスのコーティングであることを特徴とする請求項20に記載の注射器。
【請求項22】
前記針(24;124;224)の表面、特に内側表面および/あるいは外側表面にコーティングが施され、特にナノテクノロジーのプロセスによって塗布されていることを特徴とする請求項20または21に記載の注射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−539499(P2010−539499A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525262(P2010−525262)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007911
【国際公開番号】WO2009/036994
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(501401397)ハミルトン・ボナドゥーツ・アーゲー (8)
【Fターム(参考)】