説明

交通信号システム

【課題】 停電などが発生して電力供給を切り換えたことを管制センターに確実に認識させることのできる交通信号システムを提供する。
【解決手段】 交差点に設置される信号灯器3の点灯制御を行う信号制御装置1と、バッテリ11および電源装置8から供給される電力とバッテリ11から供給される電力とを切り換える切り換えユニット9を備えてなるバックアップ装置7と、を備えてなり、信号制御装置1は、バッテリ11からの供給電力に切り換えられた際のバックアップ動作信号に基づいて、管制センター14にバックアップ動作通知を送信する通信部15を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通信号システムに係り、特に、停電などにより電源装置からの電力供給が停止された場合に、バックアップするとともに、管制センターに通知することを可能とした交通信号システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路の交差点に設置された信号灯器の点灯制御を行う交通信号システムが用いられている。そして、このような交通信号システムは、信号制御装置を備えており、この信号制御装置から、各信号灯器に対して各色の点灯信号線を個別に接続することにより、点灯制御を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、従来から、例えば、停電などにより、信号制御装置への電力供給が停止した場合に、交通信号システムが停止してしまうと、交通の混乱を招いてしまうことから、発動発電機を設置し、この発動発電機を用いて発電された電力供給に切り換えて信号灯器の点灯制御を行うようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−273096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に、交通信号システムは、管制センターにおいて、各信号制御装置による動作を監視しているものであるが、前記従来の技術のように、発動発電機による電力供給が行われている状態で、信号制御装置により通常の信号制御が行われていると、管制センター側では、停電などが生じていることを認識することができず、停電に対する対応を十分に行うことができないという問題を有している。
【0006】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、停電などが発生して電力供給を切り換えたことを管制センターに確実に認識させることのできる交通信号システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る交通信号システムは、交差点に設置される信号灯器の点灯制御を行う信号制御装置と、
バックアップ電源と、電源装置から供給される電力と前記バックアップ電源から供給される電力とを切り換える切り換えユニットとを備えてなるバックアップ装置と、を備え、
前記信号制御装置は、前記バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた際のバックアップ動作信号に基づいて、管制センターにバックアップ動作通知を送信する通信部を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記バックアップ装置は、前記バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた時に、前記通信部にバックアップ動作信号を出力するバックアップ制御部を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記信号制御装置は、前記バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた時に、前記バックアップ装置から出力される切り換え信号に基づいて前記通信部にバックアップ信号を出力するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記バックアップ電源は、バッテリであることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記バックアップ電源は、発動発電機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、信号制御装置の通信部により、バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた際のバックアップ動作信号に基づいて、管制センターにバックアップ動作通知を送信するようにしているので、管制センターで停電などが生じていることを確実に認識させることができ、停電に対する対応を行うことが可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、バックアップ装置に記バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた時に、通信部にバックアップ動作信号を出力するバックアップ制御部を設けるようにしているので、バックアップ制御部からのバックアップ動作信号に応じて通信部から管制センターにバックアップ動作通知を送信することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、信号制御装置により、バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた時に、バックアップ装置から出力される切り換え信号に基づいて通信部にバックアップ信号を出力するようにしているので、信号制御装置からのバックアップ動作信号に応じて通信部から管制センターにバックアップ動作通知を送信することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、バックアップ電源をバッテリとしているので、バッテリによりバックアップ電源を確保することができ、しかも、電力供給の切り換えを迅速に行うことができ、小型で設置スペースも少なくて済む。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、バックアップ電源を発動発電機としているので、発動発電機によりバックアップ電源を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る交通信号システムの第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る交通信号システムの第2実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は本発明に係る交通信号システムの第1実施形態を示す概略図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態においては、交通信号システムは、信号制御装置1を備えており、信号制御装置1には、信号制御部2が設けられている。また、信号制御装置1には、信号制御部2からの制御信号に基づいて道路の交差点に設置され赤、青、黄などの点灯表示を行う信号灯器3の点灯制御を行う灯器開閉部4が設けられており、信号制御装置1には、各種配線の接続を行う接続部5および各部材への電源の供給を行う電源部6がそれぞれ設けられている。さらに、本実施形態においては、信号制御装置1には、管制センター14と通信を行うための通信部15が設けられている。
【0021】
また、本実施形態においては、交通信号システムは、バックアップ装置7を備えており、バックアップ装置7には、商用ACの電源装置8が接続されている。バックアップ装置7には、電源装置8からの電力が供給される切り換えユニット9および充電器10がそれぞれ設けられており、充電器10には、この充電器10により充電が行われるバックアップ電源としてのバッテリ11が設けられている。なお、充電器10としては、例えば、リチウムイオンバッテリ11などが用いられる。さらに、バックアップ装置7には、バッテリ11から送られる直流の電力を交流の電力に変換して切り換えユニット9に出力するインバータユニット12が設けられている。
【0022】
そして、切り換えユニット9は、電源装置8から供給される電力を信号制御装置1の電源部6に送るように構成されている。そして、切り換えユニット9は、電源装置8から供給される電力の電圧値などを測定し、例えば、停電などにより電源装置8からの電力供給が停止されたことを検出した場合に、バッテリ11から供給される電力に切り換えて電源部6に供給するように構成されている。また、切り換えユニット9には、バックアップ制御部13が設けられており、本実施形態においては、このバックアップ制御部13により、バッテリの電力に切り換えられた際に、バックアップ動作信号を信号制御装置1の通信部15に出力するように構成されている。通信部15は、バックアップ動作信号が入力されたら、管制センター14に電源装置からの電力供給が停止された旨のバックアップ動作通知を送信するように構成されている。これにより、管制センター14では、信号制御装置1がバッテリにより動作している状態であることを認識することができるものである。
【0023】
また、本実施形態においては、切り換えユニット9のバックアップ制御部13により、バッテリ11から電力が供給されている間は、電力消費を押さえるために、例えば、信号灯器3を黄色または赤色で点滅動作させる閃光動作や、信号灯器3の光量を低減させる調光動作をさせるためのバックアップ制御信号を出力するように構成されており、このバックアップ制御信号は、信号制御装置1の信号制御部2に出力されるように構成されている。そして、信号制御装置1の信号制御部2は、バックアップ制御信号が入力されたら、信号灯器3の通常の制御に変えてバックアップ制御信号に基づく制御を行うように構成されている。
【0024】
なお、バックアップ制御信号は、バッテリ11による電力供給に切り換えられた直後に出力するようにしてもよいし、一定時間経過後に出力するようにしてもよい。また、閃光動作と調光動作とを同時に行うバックアップ制御信号を出力するようにしてもよいし、一定時間閃光動作のみあるいは調光動作のみを行うバックアップ制御信号を出力するようにしてもよい。このようにバッテリ11による電力供給に切り換えられた際に、どのようなバックアップ制御信号を出力させるか否かは、プログラムによりあらかじめ設定しておく。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0026】
本実施形態においては、電源装置8からの電力供給がある場合には、電源装置8からの電力が信号制御装置1の電源部6を介して信号制御部2に供給される。そして、信号制御部2により所定のプログラムに基づいて灯器開閉部4に制御信号を出力し、信号灯器3の点灯制御を行うものである。
【0027】
また、停電などにより電源装置8からの電力供給が停止したことを検出したら、切り換えユニット9によりバッテリ11からの電力供給に切り換え、バッテリ11の電力を信号制御装置1の電源部6に送る。そして、バックアップ制御部13により、バックアップ動作信号を信号制御装置1の通信部15に出力し、通信部15は、管制センター14に電源装置からの電力供給が停止された旨のバックアップ動作通知を送信するようになっている。
【0028】
また、バッテリ11による電力供給が行われている間、バックアップ制御部13から信号制御部2にバックアップ制御信号を出力し、信号制御部2は、バックアップ制御信号に基づいて信号灯器3の点灯制御を行うようになっている。
【0029】
以上述べたように、本実施形態においては、電源装置8からの電力供給が停止したことを検出したら、切り換えユニット9によりバッテリ11からの電力供給に切り換え、バックアップ制御部13によりバックアップ動作信号を通信部15に出力して、通信部15を介して管制センター14にバックアップ動作通知を送信するようにしているので、管制センター14で停電などが生じていることを確実に認識させることができ、停電に対する対応を行うことが可能となる。
【0030】
なお、前記実施形態においては、バックアップ制御部13から通信部15にバックアップ動作信号を出力するようにしたが、例えば、バックアップ制御部13から信号制御装置1の信号制御部2に電源の切り換え信号を出力し、信号制御部2が切り換え信号を入力したら、通信部15にバックアップ動作信号を出力するようにしてもよい。
【0031】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0032】
本実施形態においては、図2に示すように、バックアップ電源として発動発電機16を用いた場合の例を示している。すなわち、本実施形態においては、バックアップ装置には、発動発電機16が設けられており、バッテリおよび充電器は設けられていない。その他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0034】
本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、電源装置8からの電力供給がある場合には、電源装置8からの電力が信号制御装置1の電源部6を介して信号制御部2に供給され、信号制御部2により所定のプログラムに基づいて灯器開閉部4に制御信号を出力し、信号灯器3の点灯制御を行うものである。
【0035】
また、停電などにより電源装置8からの電力供給が停止したことを検出したら、切り換えユニット9により発動発電機16からの電力供給に切り換え、発動発電機16の電力を信号制御装置1の電源部6に送る。そして、バックアップ制御部13により、バックアップ動作信号を信号制御装置1の通信部15に出力し、通信部15は、管制センター14にバックアップ動作通知を送信する。
【0036】
以上述べたように、本実施形態においては、電源装置8からの電力供給が停止したことを検出したら、切り換えユニット9により発動発電機16からの電力供給に切り換え、バックアップ制御部13によりバックアップ動作信号を通信部15に出力して、通信部15を介して管制センター14にバックアップ動作通知を送信するようにしているので、管制センター14で停電などが生じていることを確実に認識させることができ、停電に対する対応を行うことが可能となる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 信号制御装置
2 信号制御部
3 信号灯器
4 灯器開閉部
6 電源部
7 バックアップ装置
8 電源装置
9 切り換えユニット
10 充電器
11 バッテリ
12 インバータユニット
13 バックアップ制御部
14 管制センター
15 通信部
16 発動発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点に設置される信号灯器の点灯制御を行う信号制御装置と、
バックアップ電源と、電源装置から供給される電力と前記バックアップ電源から供給される電力とを切り換える切り換えユニットとを備えてなるバックアップ装置と、を備え、
前記信号制御装置は、前記バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた際のバックアップ動作信号に基づいて、管制センターにバックアップ動作通知を送信する通信部を備えていることを特徴とする交通信号システム。
【請求項2】
前記バックアップ装置は、前記バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた時に、前記通信部にバックアップ動作信号を出力するバックアップ制御部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の交通信号システム。
【請求項3】
前記信号制御装置は、前記バックアップ電源からの供給電力に切り換えられた時に、前記バックアップ装置から出力される切り換え信号に基づいて前記通信部にバックアップ信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の交通信号システム。
【請求項4】
前記バックアップ電源は、バッテリであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の交通信号システム。
【請求項5】
前記バックアップ電源は、発動発電機であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の交通信号システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−123595(P2011−123595A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279469(P2009−279469)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】