交通信号情報提供システム、信号制御装置及び情報提供装置
【課題】感応制御が行われている場合でも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる交通信号情報提供システム、信号制御装置及び情報提供装置を提供する。
【解決手段】検出部34は、交通信号制御機2から信号灯器1への駆動線での駆動電流を電流センサ等で検出することにより、感応階梯の信号灯色が表示されているかを検出する。特定部35は、検出部34で検出した切替時点に基づいて、感応階梯の信号灯色の表示終了時点を特定する。生成部36は、感応階梯の信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む時限表を生成する。制御部31は、生成部36で生成された時限表を感応階梯の表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信する。
【解決手段】検出部34は、交通信号制御機2から信号灯器1への駆動線での駆動電流を電流センサ等で検出することにより、感応階梯の信号灯色が表示されているかを検出する。特定部35は、検出部34で検出した切替時点に基づいて、感応階梯の信号灯色の表示終了時点を特定する。生成部36は、感応階梯の信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む時限表を生成する。制御部31は、生成部36で生成された時限表を感応階梯の表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の安全運転を支援するために交通信号制御の情報を車両に対して提供する交通信号情報提供システム、該交通信号情報提供システムを構成する信号制御装置及び情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及している交通信号制御機の信号制御方式には、大別してテーブル制御タイプと歩進制御タイプが存在する。テーブル制御タイプでは、交通管制センタ等に設置した信号制御装置が、上位の中央装置等からの上位指令に基づいて、信号制御計画を決定するための基となる指令である信号制御指令情報を交通信号制御機に対して送信し、交通信号制御機はその信号制御指令情報に基づいて自ら信号制御計画を決定した上で、その信号制御計画に従って各信号灯色の表示を切り替える。通常、信号制御計画は、1サイクルの開始時点において当該1サイクル分決定される。すなわち、テーブル制御タイプでは、交通信号制御機が自ら信号制御計画を決定するため、交通信号制御機自身が将来どの時点で信号灯色が切り替わるかについての情報を保持している。
【0003】
一方、歩進制御タイプでは、交通管制センタ等に設置した信号制御装置が、上位の中央装置等からの上位指令に基づいて、信号灯器の各信号灯色の切替タイミングを含む信号制御計画を決定した上で、その切替タイミングに該当する時刻に交通信号制御機に対して切替タイミング信号(歩進指令)を送出し、その歩進指令に応じて交通信号制御機が信号灯色の表示を切り替える。歩進制御タイプでは、信号制御装置が信号制御計画を決定するため、交通信号制御機は将来どの時点で信号灯色が切り替わるかについての情報を保持していない。
【0004】
また、これまで、路側装置が保持する信号制御計画に関する情報は、車両側に提供されることはなかったが、近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、路側装置から車両側に情報を送信し、車両側では受信した情報を活用することで、車両の安全性を向上させる路車協調システムが検討されている。このようなシステムとして、例えば、信号機の作動情報を無線で車両へ送信し、車両が受信した作動情報に含まれる青信号の残表示時間に応じてブレーキ制御を行う安全運転支援システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
従来のような路車協調システムにおいて、信号制御方式が歩進制御タイプの場合、信号制御装置は歩進指令を交通信号制御機へ送出するとともに、信号制御計画に関する情報(例えば、信号情報)を情報提供装置へ送信する。情報提供装置は受信した信号情報を光ビーコン等の路側通信装置へ送信する。光ビーコンは受信した信号情報を、当該光ビーコンとの通信可能領域を通過する車両へ送信する。車両は受信した信号情報を安全走行や安全運転のために活用する。そして、この場合、車両が受信する信号情報は、交通信号制御機による信号灯色の切替タイミングと同期していることが必要である。このため、情報提供装置は、例えば、青信号の表示が開始される時点と同期して信号情報を光ビーコンに登録するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、交差点などの交通状況は随時変化している。円滑な交通制御を実現するためには、交通量などのデータを計測し、計測したデータに応じて信号灯器の切り替えタイミングを随時変更する感応制御を行う必要がある。交通信号制御機で信号情報を生成して出力しない場合、すなわち、交通信号制御機以外の外部の装置で信号情報が生成されて車両へ提供される場合において、感応制御により交通信号制御機が信号灯色の切り替えタイミングを変更したときは、実際に行われる交通信号制御と車両へ提供される信号情報とが食い違うおそれがあった。このため、感応制御が行われている交差点において、交通信号制御機が信号情報を生成しない場合には、信号情報の車両への提供を行うことができなかった。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、感応制御が行われている場合でも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる交通信号情報提供システム、該交通信号情報提供システムを構成する信号制御装置及び情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る交通信号情報提供システムは、車載機へ信号情報を提供する情報提供装置と、該信号情報に拘わらず感応制御により信号灯色を切り替える交通信号制御機と、前記情報提供装置へ信号情報を送信する信号制御装置とを備える交通信号情報提供システムにおいて、前記信号制御装置は、感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成する暫定信号情報生成手段と、該暫定信号情報生成手段で生成した暫定信号情報を前記情報提供装置へ送信する送信手段とを備え、前記情報提供装置は、前記暫定信号情報を受信する受信手段と、該受信手段で受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する送信手段と、前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する信号情報生成手段とを備え、前記送信手段は、前記信号情報生成手段で生成した信号情報を前記表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る交通信号情報提供システムは、第1発明において、前記情報提供装置は、信号灯色の切替時点を検出する検出手段と、該検出手段で検出した切替時点に基づいて、前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する終了時点特定手段とを備え、前記信号情報生成手段は、前記終了時点特定手段で特定した表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る交通信号情報提供システムは、第1発明又は第2発明において、前記感応制御は、ギャップ感応制御、ジレンマ感応制御又は特定車両優先制御のいずれかを含むことを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る交通信号情報提供システムは、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記情報提供装置が送信する信号情報を受信し、受信した信号情報を車載機へ送信する路上通信装置を備え、該路上通信装置は、前記信号情報を受信した時点からの経過時間を計時する計時手段を備え、前記信号情報を受信した時点での表示時間情報を、該受信した時点から車載機との通信時点までの経過時間で補正した表示時間情報を含む信号情報を車載機へ送信するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る信号制御装置は、信号情報を情報提供装置へ送信する信号制御装置において、感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成する暫定信号情報生成手段と、該暫定信号情報生成手段で生成した暫定信号情報を前記情報提供装置へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る情報提供装置は、信号制御装置が送信した信号情報を車載機へ提供する情報提供装置において、感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を受信する受信手段と、該受信手段で受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する送信手段と、感応制御により随時更新される信号灯色の表示終了時点を特定する表示終了時点特定手段と、前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の前記表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する信号情報生成手段とを備え、前記送信手段は、前記信号情報生成手段で生成した信号情報を前記表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
第1発明、第5発明及び第6発明にあっては、交通信号情報提供システムは、車載機へ信号情報を提供する情報提供装置と、信号情報に拘わらず感応制御により信号灯色を切り替える交通信号制御機と、情報提供装置へ信号情報を送信する信号制御装置とを備える。信号制御装置は、感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成し、生成した暫定信号情報を情報提供装置へ送信する。感応制御は、例えば、右折感応制御、ジレンマ感応制御、優先車両制御などである。暫定信号情報では、例えば、感応制御に応じて変更される可能性のある階梯の表示時間情報(表示秒数)を、例えば、最小時間と最大時間とで構成される時間幅として表わすことができる。このような階梯としては、二現示交差点であれば階梯1A、階梯2Aとすることができる。ここで、階梯1Aは主道路側に対する右折矢の表示階梯、階梯2Aは従道路側に対する右折矢の表示階梯である。
【0016】
情報提供装置は、暫定信号情報を受信し、受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する。なお、暫定信号情報の送信タイミングは、例えば、交差点の主道路側に対する青信号の直近の表示開始時点である。これにより、光ビーコンを介して車両へ提供される信号情報を、交通信号制御機による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができる。また、感応制御により表示秒数が変更される可能性のある表示灯色の表示秒数は、予め時間幅で特定されているので、かかる信号情報が車両へ提供された場合でも、交通信号制御と食い違うことはない。
【0017】
情報提供装置は、時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成し、生成した信号情報を表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信する。例えば、暫定信号情報で階梯1A(主道路側の右折矢)の表示時間情報を時間幅で特定している場合、階梯1Aの終了時点を検出し、階梯1A以降に切り替えタイミングを有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する。また、同様に、暫定信号情報で階梯2A(従道路側の右折矢)の表示時間情報を時間幅で特定している場合、階梯2Aの終了時点を検出し、階梯2A以降に切り替えタイミングを有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する。これにより、感応制御により表示秒数が変更される可能性のある表示灯色の表示終了時点で交通信号制御の実制御との切り替えタイミングの同期をとることができるので、感応制御が行われている場合に、交通信号制御機が信号情報を生成しないときでも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【0018】
第2発明にあっては、情報提供装置は、信号灯色の切替時点を検出し、検出した切替時点に基づいて、時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する。信号灯色の切替時点の検出には、例えば、交通信号制御機から信号灯器への駆動線での駆動電流を電流センサ等で検出することにより、いずれの信号灯色が表示されているかを検出することができる。例えば、時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色を駆動する電流を検出した場合は、当該信号灯色は表示中であり、電流が0になった時点で、当該信号灯色の表示終了時点とすることができる。情報提供装置は、特定した表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する。これにより、車両へ提供する信号情報を、交通信号制御機による信号灯器への実際の信号灯色制御に同期させることができる。
【0019】
第3発明にあっては、感応制御は、ギャップ感応制御、ジレンマ感応制御又は特定車両優先制御のいずれかを含む。ギャップ感応制御の一例である右折感応制御は、例えば、交差点の右折車両を検出する車両感知器からのデータに基づいて、右折車両が存在する場合には、右折矢の表示時間を延長し、右折車両が存在しない場合には、右折矢の表示時間を短縮して、右折矢の表示秒数を延長又は短縮する制御である。また、ジレンマ制御は、例えば、交差点に向かって走行する車両の位置や速度から、交差点の手前で安全に停止させ、あるいは停止させることなく交差点を安全に通過させるために、青信号の表示秒数を短縮又は延長する制御である。また、特定車両優先制御は、例えば、緊急車両やバスなどの特定車両が交差点で停止することなく他の車両に比べて優先的に走行できるように青信号の表示秒数を延長や短縮する制御である。これにより、右折感応制御、ジレンマ感応制御又は特定車両優先制御などの感応制御が行われる場合であっても、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【0020】
第4発明にあっては、情報提供装置が送信する信号情報を受信し、受信した信号情報を車載機へ送信する路上通信装置を備える。路上通信装置は、例えば、光ビーコンである。路上通信装置は、信号情報を受信した時点からの経過時間を計時する計時手段を備え、信号情報を受信した時点での表示時間情報を、当該受信した時点から車載機との通信時点までの経過時間で補正(例えば、減算)した表示時間情報を含む信号情報を車載機へ送信する。これにより、路上通信装置へ送信する信号情報を、交通信号制御機による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させた上で、路上通信装置から車両へ送信する信号情報も交通信号制御機による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができ、路上通信装置を介して車両へ提供される信号情報を、交通信号制御機による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、感応制御が行われている場合でも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの一例を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの構成の一例を示す説明図である。
【図3】本実施の形態に係る信号制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る情報提供装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】上位指令に含まれる信号情報のデータ構造の一例を示す説明図である。
【図6】時限表の一例を示す説明図である。
【図7】更新前の上位指令に基づく時限表の一例を示す説明図である。
【図8】暫定時限表の一例を示す説明図である。
【図9】階梯1A終了時点の時限表の一例を示す説明図である。
【図10】階梯2A終了時点の時限表の一例を示す説明図である。
【図11】本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの動作を示すタイムチャートである。
【図12】本実施の形態に係る信号制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本実施の形態に係る情報提供装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る交通信号情報提供システム、信号制御装置及び情報提供装置の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの一例を示す模式図であり、図2は本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの構成の一例を示す説明図であり、図3は本実施の形態に係る信号制御装置5の構成の一例を示すブロック図であり、図4は本実施の形態に係る情報提供装置3の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る交通信号情報提供システムは、少なくとも情報提供装置3及び信号制御装置5を備え、さらに、信号灯器1、交通信号制御機2、路側通信装置としての光ビーコン4、変換装置6、中央装置8などを備える。図1に示すように、交差点の所定位置には車両用の信号灯器1が設置され、交通信号制御機2による制御信号により、信号灯色の切り替えが所定の切り替えタイミングで行われる。なお、図1においては省略されているが、歩行者用の信号灯器を設置することもできる。
【0025】
交差点には、主道路R1と従道路R2とが交差しており、主道路R1の交差点から所要の位置に、光ビーコン4を設置してある。光ビーコン4は、通信可能領域41において車載機7と双方向の通信を行うことができる。すなわち、光ビーコン4を経由して車載機7へ所要の情報(例えば、信号情報)が送信される。なお、光ビーコン4に代えて、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)などを用いることもできる。なお、図1の例では、光ビーコン4を主道路R1の1箇所に設置してあるが、交差点に交差する他の方向の各道路の所要位置に設置することもできる。
【0026】
交通信号制御機2、情報提供装置3、光ビーコン4は、それぞれの交差点又は交差点付近の道路に設置され、信号制御装置5及び変換装置6は、下位の制御装置として、複数の交差点に設置されたそれぞれの交通信号制御機2及び情報提供装置3をまとめて制御する。すなわち、信号制御装置5は、それぞれの交差点に設置された複数の交通信号制御機2に接続されるとともに、変換装置6を介して、それぞれの交差点に設置された複数の情報提供装置3に接続される。信号制御装置5には、外部の上位の制御装置としての中央装置8が接続されている。なお、中央装置8、信号制御装置5、変換装置6は、交通管制センタ内に設置することができる。
【0027】
中央装置8は、所定時点1G(例えば、主道路R1に対して青信号の表示が開始される時点)前に決定した上位指令を信号制御装置5へ送信する。上位指令は、例えば、サイクル、スプリット、オフセットなどの信号制御パラメータを含む。サイクルは、信号灯器の1周期の時間(例えば、青現示から一巡した次の青現示までの時間)である。スプリットは、1サイクル中の各現示が占める時間の割合である。オフセットは、交差点間のサイクル開始タイミングの時間差である。中央装置8は、例えば、スプリットについては、1サイクル未満のタイミング(例えば、50秒など)で更新される。また、サイクルやオフセットについては、例えば、15分経過する都度更新される。
【0028】
信号制御装置5は、中央装置8が送信した上位指令を受信し、受信した上位指令に基づいて当該サイクルの歩進指令を交通信号制御機2へ送出する。より具体的には、信号制御装置5は、上位指令に基づいて、信号灯器の各信号灯色の表示秒数などを含む時限表(信号情報)を生成し、生成した時限表を変換装置6へ送信するとともに、生成した時限表で特定される信号灯色の切り替えタイミングに該当する時刻に、交通信号制御機2に対して切替タイミング信号である歩進信号(歩進指令)を送出する。歩進指令は、現示を次の階梯に進める指令である。
【0029】
交通信号制御機2は、歩進指令に応じて信号灯器1の信号灯色の表示を切り替える。また、交通信号制御機2は、不図示の車両感知器等で検出した車両に関するデータ(例えば、車両の位置、速度、車種など)を取得することができ、取得したデータに基づいて、感応制御を行うことができる。なお、交通信号制御機2は、信号情報を生成して出力しない。すなわち、交通信号制御機2は、変換装置6を介して信号制御装置5から一旦車両へ提供された信号情報に拘わらず、感応制御に応じて信号灯色を切り替える。
【0030】
感応制御は、例えば、右折感応制御で代表されるギャップ感応制御、高速感応制御、歩行者感応制御、高齢者感応制御、プロファイル感応制御、ジレンマ感応制御、特定車両優先制御などがあり、いずれのものも単独又は組み合せで採用することができる。右折感応制御は、例えば、交差点の右折車両を検出する車両感知器からのデータに基づいて、右折車両が存在する場合には、右折矢の表示時間を延長し、右折車両が存在しない場合には、右折矢の表示時間を短縮して、右折矢の表示秒数を延長又は短縮する制御である。また、ジレンマ制御は、例えば、交差点に向かって走行する車両の位置や速度から、交差点の手前で安全に停止させ、あるいは停止させることなく交差点を安全に通過させるために、青信号の表示秒数を短縮又は延長する制御である。また、特定車両優先制御は、例えば、緊急車両やバスなどの特定車両が交差点で停止することなく他の車両に比べて優先的に走行できるように青信号の表示秒数を延長や短縮する制御である。以下では、右折感応の場合について説明するが、他の感応制御にも本発明を適用することができる。
【0031】
変換装置6は、信号制御装置5から送信された時限表を車載機7へ提供するためのデータ形式に変換し、変換後の時限表を情報提供装置3へ送信する。なお、変換装置6の機能を信号制御装置5に含めて1個の装置として纏める構成とすることもできる。
【0032】
情報提供装置3は、受信した時限表を所定時点1G(例えば、主道路R1に対して青信号の表示が開始される時点)に同期して光ビーコン4へ送信することにより、時限表を光ビーコン4に登録する。光ビーコン4は、受信した時限表の現在表示中の信号灯色(例えば、青色)の表示秒数から、所定時点1G経過後の経過時間T2を減算した残表示秒数を記録しつつ、所定周期(例えば、0.1秒)が経過する都度に残表示秒数を更新し、車両との通信時点において、その時点の時限表を車両へ送信する。
【0033】
光ビーコン4は、更新対象の階梯(すなわち、交通信号制御機2が実行中の階梯)が最大の表示秒数と最小の表示秒数とを含む場合は、所定周期(例えば、0.1秒)が経過する都度に、最大の表示秒数から所定周期を減ずるとともに、最小の表示秒数から所定周期を減ずることにより信号情報を更新し、更新した信号情報を車載機へ送信する。
【0034】
一方、光ビーコン4は、更新対象の階梯(すなわち、交通信号制御機2が実行中の階梯)が最大の表示秒数と最小の表示秒数とを含まない場合は、所定周期(例えば、0.1秒)が経過する都度に、表示秒数から所定周期を減ずることにより信号情報を更新し、更新した信号情報を車載機へ送信する。これにより、信号情報の更新タイミングに関わらず信号灯色の切替タイミングと同期した信号情報を車両へ提供することができる。
【0035】
図3に示すように、信号制御装置5は、装置全体を制御する制御部51、生成部52、時限表などの所定の情報を記憶する記憶部53、中央装置8(外部)から更新された信号情報である上位指令を所定の受信時点で受信する受信部54、歩進指令や信号情報である時限表を送信する送信部55などを備える。
【0036】
生成部52は、感応制御により随時更新される信号灯色の表示秒数(表示時間情報)を時間幅で特定した暫定時限表(暫定信号情報)を生成する暫定信号情報生成手段としての機能を有する。
【0037】
暫定時限表は、例えば、感応制御に応じて変更される可能性のある階梯の表示時間情報(表示秒数)を、例えば、最小時間と最大時間とで構成される時間幅として表わすことができる。最小時間は、基準秒数から短縮秒数を減算した時間であり、最大時間は、基準秒数に延長秒数を加算した時間である。また、このような階梯(感応階梯)としては、図1に例示するような二現示交差点であれば階梯1A、階梯2Aとすることができる。ここで、階梯1Aは主道路側に対する右折矢の表示階梯、階梯2Aは従道路側に対する右折矢の表示階梯である。なお、暫定時限表の詳細は後述する。
【0038】
制御部51は、生成部52で生成した暫定時限表を、変換装置6を介して情報提供装置3へ送信する。
【0039】
暫定時限表の送信タイミングは、例えば、交差点の主道路R1に対する青信号の将来の直近の表示開始時点1Gである。これにより、光ビーコン4を介して車両へ提供される信号情報(時限表)を、交通信号制御機2による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができる。
【0040】
図4に示すように、情報提供装置3は、装置全体を制御する制御部31、時限表を受信する受信部32、時限表を車両へ提供すべく光ビーコン4へ送信する送信部33、信号灯色の切替時点を検出する検出手段としての検出部34、時間幅で特定された表示秒数(表示時間情報)に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する終了時点特定手段としての特定部35、時間幅で特定された表示秒数に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示秒数を含む時限表(信号情報)を生成する信号情報生成手段としての生成部36、時限表などの所定の情報を記憶するための記憶部37などを備える。
【0041】
検出部34は、交通信号制御機2から信号灯器1への駆動線での駆動電流を電流センサ等で検出することにより、いずれの信号灯色が表示されているかを検出する。すなわち、信号灯器1の各灯色に対応する駆動線を流れる電流を電流センサ等で検出することにより、信号灯色の切替時点を検出することができる。
【0042】
特定部35は、検出部34で検出した切替時点に基づいて、時間幅で特定された表示秒数(表示時間情報)に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する。例えば、時間幅で特定された表示秒数に対応する信号灯色を駆動する電流を検出した場合は、当該信号灯色は表示中であり、電流が0になった時点で、当該信号灯色の表示終了時点とすることができる。これにより、車両へ提供する信号情報を、交通信号制御機2による信号灯器1への実際の信号灯色制御に同期させることができる。
【0043】
生成部36は、時間幅で特定された表示秒数(表示時間情報)に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示秒数を含む時限表(信号情報)を生成する。
【0044】
例えば、暫定時限表で階梯1Aの表示秒数を時間幅(例えば、最大時間と最小時間)で特定している場合、階梯1Aの終了時点を検出し、階梯1A以降に切り替えタイミングを有する信号灯色の表示秒数を含む時限表(階梯1A終了時点の時限表)を生成する。また、同様に、暫定時限表で階梯2Aの表示秒数を時間幅で特定している場合、階梯2Aの終了時点を検出し、階梯2A以降に切り替えタイミングを有する信号灯色の表示秒数を含む時限表(階梯2A終了時点の時限表)を生成する。
【0045】
これにより、感応制御により表示秒数が変更される可能性のある表示灯色の表示終了時点で交通信号制御の実制御との切り替えタイミングの同期をとることができるので、感応制御が行われている場合でも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【0046】
制御部31は、生成部36で生成された時限表を表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信する。すなわち、制御部31は、階梯1A終了時点の時限表を階梯1A終了時点に送信し、階梯2A終了時点の時限表を階梯2A終了時点に送信する。なお、送信タイミングは、各階梯終了時点から適宜の時間だけ経過した時点でもよいが、更新された信号情報(時限表)を早いタイミングで提供するためには、階梯終了時点が好ましい。
【0047】
上述のように、光ビーコン4は、時限表を受信した時点からの経過時間を計時する計時手段を備え、時限表を受信した時点での表示秒数を、当該受信した時点から車載機7との通信時点までの経過時間で補正(例えば、減算)した表示秒数を含む時限表を車載機7へ送信する。これにより、光ビーコン4へ送信する時限表を、交通信号制御機2による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させた上で、光ビーコン4から車両へ送信する時限表も交通信号制御機2による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができ、光ビーコン4を介して車両へ提供される時限表を、交通信号制御機2による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができる。なお、経過時間T2に加えて、さらに、情報提供装置3から光ビーコン4までの間の通信所要時間を減じて表示秒数を補正してもよい。例えば、通信所要時間が0.3秒である場合、補正前の表示秒数が60秒であれば、補正後の表示秒数は59.7秒(60.0秒−0.3秒)となる。
【0048】
また、ギャップ感応制御(例えば、右折感応制御)、高速感応制御、歩行者感応制御、高齢者感応制御、プロファイル感応制御、ジレンマ感応制御、特定車両優先制御などの感応制御が行われる場合であっても、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【0049】
図5は上位指令に含まれる信号情報のデータ構造の一例を示す説明図である。図5に示す信号情報は、中央装置8から信号制御装置5へ送信される信号情報の一例を示す。図5に示すように、信号情報は、ヘッダとデータなどを備え、ヘッダには、信号情報を示す識別子、信号情報のサイズなど情報が格納されている。また、データには、情報提供灯色数、各表示灯色、各灯色の表示秒数(表示時間情報)などの情報が格納されている。
【0050】
図6は時限表の一例を示す説明図である。時限表は、信号情報と同義であるが、表現形式が異なる。図6に示すように、現示の階梯は、例えば、1G、1Y、1A、1Y、1AR、2G、2Y、2A、2Y、2ARの順序で表記されている。各階梯には、主道路R1に対しての信号灯色、従道路R2に対しての信号灯色、及び表示秒数が規定されている。例えば、階梯1Gでは、主道路R1に対する信号灯色は青色であり、従道路R2に対する信号灯色は赤色である。また、階梯1Aでは、主道路R1に対する信号灯色は青矢であり、従道路R2に対する信号灯色は赤色である。また、階梯2Aでは、主道路R1に対する信号灯色は赤色であり、従道路R2に対する信号灯色は青矢である。
【0051】
各階梯の表示秒数は、階梯1Gが50.0秒、階梯1Yが2.0秒、…というように設定されている。また、図6に示す各階梯のうち、階梯1A、階梯2Aが感応制御により表示秒数が随時変更される感応階梯である。なお、他の階梯を感応階梯とすることもできる。
【0052】
なお、以下の説明では、時限表を簡略化して表現する。図7は更新前の上位指令に基づく時限表の一例を示す説明図である。図7の時限表は、図6に例示したものから、各階梯と表示秒数を抜き出したものである。また、更新前とは、上位指令に基づいて更新される時限表を基準とした場合に、更新される時限表の1つ前の時限表という意味である。
【0053】
制御部51は、図7に例示する更新前の時限表(例えば、直近に受信した最新の上位指令に基づく時限表)を用いて暫定時限表(暫定信号情報)を生成する。
【0054】
図8は暫定時限表の一例を示す説明図である。図8に示すように、暫定時限表は、例えば、感応階梯(階梯1A、階梯2A)の表示秒数を、それぞれ、3.0秒〜15.0秒、3.0秒〜10.0秒の如く最小時間と最大時間とで構成される時間幅として表わす。
【0055】
このように、感応制御により表示秒数が変更される可能性のある表示灯色の表示秒数は、予め時間幅で特定されているので、かかる信号情報が車両へ提供された場合でも、交通信号制御と食い違うことはない。
【0056】
図9は階梯1A終了時点の時限表の一例を示す説明図であり、図10は階梯2A終了時点の時限表の一例を示す説明図である。図9に示すように、階梯1A終了時点の時限表は、図8に例示した暫定時限表に含まれる表示秒数(表示時間情報)のうち、階梯1Aの終了時点以降に切り替えタイミングを有する各階梯の表示秒数が表示されている。
【0057】
また、図10に示すように、階梯2A終了時点の時限表は、図8に例示した暫定時限表に含まれる表示秒数(表示時間情報)のうち、階梯2Aの終了時点以降に切り替えタイミングを有する各階梯の表示秒数が表示されている。なお、階梯2ARの後は、一巡後の最初の階梯(1G)以降の階梯を順次有する構成とすることができる。図10の例では、再度、階梯1Aの表示秒数が所要の時間幅で特定されている。
【0058】
図11は本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの動作を示すタイムチャートである。図11に示すように、信号制御装置5は、任意の時点で中央装置8から上位指令(信号情報)を受信する(P1参照)。
【0059】
信号制御装置5は最新の上位指令(すなわち、上位指令を受信した場合には、受信した上位指令)に基づく時限表(例えば、図7の例)を用いて、暫定時限表(例えば、図8の例)を生成し、生成した暫定時限表を情報提供装置3へ送信する(P2参照)。
【0060】
情報提供装置3は、所定時点1Gにおいて、暫定時限表を光ビーコン4へ送信して暫定時限表を光ビーコン4に登録する(P3参照)。
【0061】
情報提供装置3は、交通信号制御機2から信号灯器1へ駆動される電流を検出することにより、階梯1Aの終了時点を特定し、階梯1Aの終了時点において、階梯1A終了時点の時限表(例えば、図9の例)を生成し、光ビーコン4へ送信して階梯1A終了時点の時限表を光ビーコン4に登録する(P4参照)。
【0062】
情報提供装置3は、交通信号制御機2から信号灯器1へ駆動される電流を検出することにより、階梯2Aの終了時点を特定し、階梯2Aの終了時点において、階梯2A終了時点の時限表(例えば、図10の例)を生成し、光ビーコン4へ送信して階梯2A終了時点の時限表を光ビーコン4に登録する(P5参照)。
【0063】
なお、中央装置8から上位指令が更新された場合には、信号制御装置5は、更新された上位指令に基づいて暫定時限表を生成し、生成した暫定時限表を情報提供装置3へ送信することができる。そして、情報提供装置3は、更新された暫定時限表を受信した場合、受信した暫定時限表を用いて所要の階梯(感応階梯)の終了時点の時限表を生成することができる。
【0064】
図12は本実施の形態に係る信号制御装置5の処理手順を示すフローチャートである。制御部51は、感応制御ありか否かを判定し(S11)、感応制御ありの場合(S11でYES)、すなわち、感応制御が行われている場合には、中央装置8からの上位指令を受信したか否かを判定する(S12)。感応制御がない場合(S11でNO)、制御部51は、後述のステップS16の処理を行う。
【0065】
上位指令を受信した場合(S12でYES)、制御部51は、受信した上位指令に基づく暫定時限表を生成する(S13)。上位指令を受信していない場合(S12でNO)、例えば、記憶部53に記憶した直近(最新)の上位指令に基づく暫定時限表を生成する(S14)。
【0066】
制御部51は、生成した暫定時限表を情報提供装置3へ送信する(S15)。制御部51は、処理終了であるか否かを判定し(S16)、処理終了でない場合(S16でNO)、ステップS11以降の処理を続け、処理終了である場合(S16でYES)、処理を終了する。
【0067】
図13は本実施の形態に係る情報提供装置3の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、変換装置6を介して信号制御装置5から暫定時限表を受信したか否かを判定し(S21)、暫定時限表を受信した場合(S21でYES)、受信した暫定時限表を光ビーコン4へ送信する(S22)。なお、送信タイミングは、所定時点1Gである。暫定時限表を受信していない場合(S21でNO)、制御部31は、後述のステップS23の処理を行う。
【0068】
制御部31は、階梯1Aの表示時間が終了したか否かを判定し(S23)、階梯1Aの表示時間が終了していない場合(S23でNO)、ステップS23の処理を続ける。
【0069】
階梯1Aの表示時間が終了した場合(S23でYES)、制御部31は、階梯1A終了時点の時限表を生成して光ビーコン4へ送信する(S24)。制御部31は、階梯2Aの表意時間が終了したか否かを判定し(S25)、階梯2Aの表示時間が終了していない場合(S25でNO)、ステップS25の処理を続ける。
【0070】
階梯2Aの表示時間が終了した場合(S25でYES)、制御部31は、階梯2A終了時点の時限表を生成して光ビーコン4へ送信する(S26)。制御部31は、処理終了であるか否かを判定し(S27)、処理終了でない場合(S27でNO)、ステップS21以降の処理を続け、処理終了である場合(S27でYES)、処理を終了する。
【0071】
上述の実施の形態では、情報提供装置3が階梯1Aや階梯2Aの終了時点の時限表を生成して光ビーコン4へ送信する構成であったが、これに限定されるものではなく、情報提供装置3は階梯1Aや階梯2Aの終了時点を光ビーコン4へ通知し、光ビーコン4で階梯1Aや階梯2Aの終了時点の時限表を生成する構成としてもよい。
【0072】
上述の実施の形態は、テーブル制御タイプの交通信号制御機であっても、交通信号制御機が信号情報を生成しない場合には、適用することができる。
【0073】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 信号灯器
2 交通信号制御機
3 情報提供装置
4 光ビーコン
5 信号制御装置
6 変換装置
7 車載機
8 中央装置
31 制御部
32 受信部
33 送信部
34 検出部
35 特定部
36 生成部
37 記憶部
51 制御部
52 生成部
53 記憶部
54 受信部
55 送信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の安全運転を支援するために交通信号制御の情報を車両に対して提供する交通信号情報提供システム、該交通信号情報提供システムを構成する信号制御装置及び情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及している交通信号制御機の信号制御方式には、大別してテーブル制御タイプと歩進制御タイプが存在する。テーブル制御タイプでは、交通管制センタ等に設置した信号制御装置が、上位の中央装置等からの上位指令に基づいて、信号制御計画を決定するための基となる指令である信号制御指令情報を交通信号制御機に対して送信し、交通信号制御機はその信号制御指令情報に基づいて自ら信号制御計画を決定した上で、その信号制御計画に従って各信号灯色の表示を切り替える。通常、信号制御計画は、1サイクルの開始時点において当該1サイクル分決定される。すなわち、テーブル制御タイプでは、交通信号制御機が自ら信号制御計画を決定するため、交通信号制御機自身が将来どの時点で信号灯色が切り替わるかについての情報を保持している。
【0003】
一方、歩進制御タイプでは、交通管制センタ等に設置した信号制御装置が、上位の中央装置等からの上位指令に基づいて、信号灯器の各信号灯色の切替タイミングを含む信号制御計画を決定した上で、その切替タイミングに該当する時刻に交通信号制御機に対して切替タイミング信号(歩進指令)を送出し、その歩進指令に応じて交通信号制御機が信号灯色の表示を切り替える。歩進制御タイプでは、信号制御装置が信号制御計画を決定するため、交通信号制御機は将来どの時点で信号灯色が切り替わるかについての情報を保持していない。
【0004】
また、これまで、路側装置が保持する信号制御計画に関する情報は、車両側に提供されることはなかったが、近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、路側装置から車両側に情報を送信し、車両側では受信した情報を活用することで、車両の安全性を向上させる路車協調システムが検討されている。このようなシステムとして、例えば、信号機の作動情報を無線で車両へ送信し、車両が受信した作動情報に含まれる青信号の残表示時間に応じてブレーキ制御を行う安全運転支援システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
従来のような路車協調システムにおいて、信号制御方式が歩進制御タイプの場合、信号制御装置は歩進指令を交通信号制御機へ送出するとともに、信号制御計画に関する情報(例えば、信号情報)を情報提供装置へ送信する。情報提供装置は受信した信号情報を光ビーコン等の路側通信装置へ送信する。光ビーコンは受信した信号情報を、当該光ビーコンとの通信可能領域を通過する車両へ送信する。車両は受信した信号情報を安全走行や安全運転のために活用する。そして、この場合、車両が受信する信号情報は、交通信号制御機による信号灯色の切替タイミングと同期していることが必要である。このため、情報提供装置は、例えば、青信号の表示が開始される時点と同期して信号情報を光ビーコンに登録するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、交差点などの交通状況は随時変化している。円滑な交通制御を実現するためには、交通量などのデータを計測し、計測したデータに応じて信号灯器の切り替えタイミングを随時変更する感応制御を行う必要がある。交通信号制御機で信号情報を生成して出力しない場合、すなわち、交通信号制御機以外の外部の装置で信号情報が生成されて車両へ提供される場合において、感応制御により交通信号制御機が信号灯色の切り替えタイミングを変更したときは、実際に行われる交通信号制御と車両へ提供される信号情報とが食い違うおそれがあった。このため、感応制御が行われている交差点において、交通信号制御機が信号情報を生成しない場合には、信号情報の車両への提供を行うことができなかった。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、感応制御が行われている場合でも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる交通信号情報提供システム、該交通信号情報提供システムを構成する信号制御装置及び情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る交通信号情報提供システムは、車載機へ信号情報を提供する情報提供装置と、該信号情報に拘わらず感応制御により信号灯色を切り替える交通信号制御機と、前記情報提供装置へ信号情報を送信する信号制御装置とを備える交通信号情報提供システムにおいて、前記信号制御装置は、感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成する暫定信号情報生成手段と、該暫定信号情報生成手段で生成した暫定信号情報を前記情報提供装置へ送信する送信手段とを備え、前記情報提供装置は、前記暫定信号情報を受信する受信手段と、該受信手段で受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する送信手段と、前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する信号情報生成手段とを備え、前記送信手段は、前記信号情報生成手段で生成した信号情報を前記表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る交通信号情報提供システムは、第1発明において、前記情報提供装置は、信号灯色の切替時点を検出する検出手段と、該検出手段で検出した切替時点に基づいて、前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する終了時点特定手段とを備え、前記信号情報生成手段は、前記終了時点特定手段で特定した表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る交通信号情報提供システムは、第1発明又は第2発明において、前記感応制御は、ギャップ感応制御、ジレンマ感応制御又は特定車両優先制御のいずれかを含むことを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る交通信号情報提供システムは、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記情報提供装置が送信する信号情報を受信し、受信した信号情報を車載機へ送信する路上通信装置を備え、該路上通信装置は、前記信号情報を受信した時点からの経過時間を計時する計時手段を備え、前記信号情報を受信した時点での表示時間情報を、該受信した時点から車載機との通信時点までの経過時間で補正した表示時間情報を含む信号情報を車載機へ送信するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る信号制御装置は、信号情報を情報提供装置へ送信する信号制御装置において、感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成する暫定信号情報生成手段と、該暫定信号情報生成手段で生成した暫定信号情報を前記情報提供装置へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る情報提供装置は、信号制御装置が送信した信号情報を車載機へ提供する情報提供装置において、感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を受信する受信手段と、該受信手段で受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する送信手段と、感応制御により随時更新される信号灯色の表示終了時点を特定する表示終了時点特定手段と、前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の前記表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する信号情報生成手段とを備え、前記送信手段は、前記信号情報生成手段で生成した信号情報を前記表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
第1発明、第5発明及び第6発明にあっては、交通信号情報提供システムは、車載機へ信号情報を提供する情報提供装置と、信号情報に拘わらず感応制御により信号灯色を切り替える交通信号制御機と、情報提供装置へ信号情報を送信する信号制御装置とを備える。信号制御装置は、感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成し、生成した暫定信号情報を情報提供装置へ送信する。感応制御は、例えば、右折感応制御、ジレンマ感応制御、優先車両制御などである。暫定信号情報では、例えば、感応制御に応じて変更される可能性のある階梯の表示時間情報(表示秒数)を、例えば、最小時間と最大時間とで構成される時間幅として表わすことができる。このような階梯としては、二現示交差点であれば階梯1A、階梯2Aとすることができる。ここで、階梯1Aは主道路側に対する右折矢の表示階梯、階梯2Aは従道路側に対する右折矢の表示階梯である。
【0016】
情報提供装置は、暫定信号情報を受信し、受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する。なお、暫定信号情報の送信タイミングは、例えば、交差点の主道路側に対する青信号の直近の表示開始時点である。これにより、光ビーコンを介して車両へ提供される信号情報を、交通信号制御機による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができる。また、感応制御により表示秒数が変更される可能性のある表示灯色の表示秒数は、予め時間幅で特定されているので、かかる信号情報が車両へ提供された場合でも、交通信号制御と食い違うことはない。
【0017】
情報提供装置は、時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成し、生成した信号情報を表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信する。例えば、暫定信号情報で階梯1A(主道路側の右折矢)の表示時間情報を時間幅で特定している場合、階梯1Aの終了時点を検出し、階梯1A以降に切り替えタイミングを有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する。また、同様に、暫定信号情報で階梯2A(従道路側の右折矢)の表示時間情報を時間幅で特定している場合、階梯2Aの終了時点を検出し、階梯2A以降に切り替えタイミングを有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する。これにより、感応制御により表示秒数が変更される可能性のある表示灯色の表示終了時点で交通信号制御の実制御との切り替えタイミングの同期をとることができるので、感応制御が行われている場合に、交通信号制御機が信号情報を生成しないときでも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【0018】
第2発明にあっては、情報提供装置は、信号灯色の切替時点を検出し、検出した切替時点に基づいて、時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する。信号灯色の切替時点の検出には、例えば、交通信号制御機から信号灯器への駆動線での駆動電流を電流センサ等で検出することにより、いずれの信号灯色が表示されているかを検出することができる。例えば、時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色を駆動する電流を検出した場合は、当該信号灯色は表示中であり、電流が0になった時点で、当該信号灯色の表示終了時点とすることができる。情報提供装置は、特定した表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する。これにより、車両へ提供する信号情報を、交通信号制御機による信号灯器への実際の信号灯色制御に同期させることができる。
【0019】
第3発明にあっては、感応制御は、ギャップ感応制御、ジレンマ感応制御又は特定車両優先制御のいずれかを含む。ギャップ感応制御の一例である右折感応制御は、例えば、交差点の右折車両を検出する車両感知器からのデータに基づいて、右折車両が存在する場合には、右折矢の表示時間を延長し、右折車両が存在しない場合には、右折矢の表示時間を短縮して、右折矢の表示秒数を延長又は短縮する制御である。また、ジレンマ制御は、例えば、交差点に向かって走行する車両の位置や速度から、交差点の手前で安全に停止させ、あるいは停止させることなく交差点を安全に通過させるために、青信号の表示秒数を短縮又は延長する制御である。また、特定車両優先制御は、例えば、緊急車両やバスなどの特定車両が交差点で停止することなく他の車両に比べて優先的に走行できるように青信号の表示秒数を延長や短縮する制御である。これにより、右折感応制御、ジレンマ感応制御又は特定車両優先制御などの感応制御が行われる場合であっても、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【0020】
第4発明にあっては、情報提供装置が送信する信号情報を受信し、受信した信号情報を車載機へ送信する路上通信装置を備える。路上通信装置は、例えば、光ビーコンである。路上通信装置は、信号情報を受信した時点からの経過時間を計時する計時手段を備え、信号情報を受信した時点での表示時間情報を、当該受信した時点から車載機との通信時点までの経過時間で補正(例えば、減算)した表示時間情報を含む信号情報を車載機へ送信する。これにより、路上通信装置へ送信する信号情報を、交通信号制御機による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させた上で、路上通信装置から車両へ送信する信号情報も交通信号制御機による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができ、路上通信装置を介して車両へ提供される信号情報を、交通信号制御機による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、感応制御が行われている場合でも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの一例を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの構成の一例を示す説明図である。
【図3】本実施の形態に係る信号制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る情報提供装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】上位指令に含まれる信号情報のデータ構造の一例を示す説明図である。
【図6】時限表の一例を示す説明図である。
【図7】更新前の上位指令に基づく時限表の一例を示す説明図である。
【図8】暫定時限表の一例を示す説明図である。
【図9】階梯1A終了時点の時限表の一例を示す説明図である。
【図10】階梯2A終了時点の時限表の一例を示す説明図である。
【図11】本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの動作を示すタイムチャートである。
【図12】本実施の形態に係る信号制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本実施の形態に係る情報提供装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る交通信号情報提供システム、信号制御装置及び情報提供装置の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの一例を示す模式図であり、図2は本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの構成の一例を示す説明図であり、図3は本実施の形態に係る信号制御装置5の構成の一例を示すブロック図であり、図4は本実施の形態に係る情報提供装置3の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る交通信号情報提供システムは、少なくとも情報提供装置3及び信号制御装置5を備え、さらに、信号灯器1、交通信号制御機2、路側通信装置としての光ビーコン4、変換装置6、中央装置8などを備える。図1に示すように、交差点の所定位置には車両用の信号灯器1が設置され、交通信号制御機2による制御信号により、信号灯色の切り替えが所定の切り替えタイミングで行われる。なお、図1においては省略されているが、歩行者用の信号灯器を設置することもできる。
【0025】
交差点には、主道路R1と従道路R2とが交差しており、主道路R1の交差点から所要の位置に、光ビーコン4を設置してある。光ビーコン4は、通信可能領域41において車載機7と双方向の通信を行うことができる。すなわち、光ビーコン4を経由して車載機7へ所要の情報(例えば、信号情報)が送信される。なお、光ビーコン4に代えて、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)などを用いることもできる。なお、図1の例では、光ビーコン4を主道路R1の1箇所に設置してあるが、交差点に交差する他の方向の各道路の所要位置に設置することもできる。
【0026】
交通信号制御機2、情報提供装置3、光ビーコン4は、それぞれの交差点又は交差点付近の道路に設置され、信号制御装置5及び変換装置6は、下位の制御装置として、複数の交差点に設置されたそれぞれの交通信号制御機2及び情報提供装置3をまとめて制御する。すなわち、信号制御装置5は、それぞれの交差点に設置された複数の交通信号制御機2に接続されるとともに、変換装置6を介して、それぞれの交差点に設置された複数の情報提供装置3に接続される。信号制御装置5には、外部の上位の制御装置としての中央装置8が接続されている。なお、中央装置8、信号制御装置5、変換装置6は、交通管制センタ内に設置することができる。
【0027】
中央装置8は、所定時点1G(例えば、主道路R1に対して青信号の表示が開始される時点)前に決定した上位指令を信号制御装置5へ送信する。上位指令は、例えば、サイクル、スプリット、オフセットなどの信号制御パラメータを含む。サイクルは、信号灯器の1周期の時間(例えば、青現示から一巡した次の青現示までの時間)である。スプリットは、1サイクル中の各現示が占める時間の割合である。オフセットは、交差点間のサイクル開始タイミングの時間差である。中央装置8は、例えば、スプリットについては、1サイクル未満のタイミング(例えば、50秒など)で更新される。また、サイクルやオフセットについては、例えば、15分経過する都度更新される。
【0028】
信号制御装置5は、中央装置8が送信した上位指令を受信し、受信した上位指令に基づいて当該サイクルの歩進指令を交通信号制御機2へ送出する。より具体的には、信号制御装置5は、上位指令に基づいて、信号灯器の各信号灯色の表示秒数などを含む時限表(信号情報)を生成し、生成した時限表を変換装置6へ送信するとともに、生成した時限表で特定される信号灯色の切り替えタイミングに該当する時刻に、交通信号制御機2に対して切替タイミング信号である歩進信号(歩進指令)を送出する。歩進指令は、現示を次の階梯に進める指令である。
【0029】
交通信号制御機2は、歩進指令に応じて信号灯器1の信号灯色の表示を切り替える。また、交通信号制御機2は、不図示の車両感知器等で検出した車両に関するデータ(例えば、車両の位置、速度、車種など)を取得することができ、取得したデータに基づいて、感応制御を行うことができる。なお、交通信号制御機2は、信号情報を生成して出力しない。すなわち、交通信号制御機2は、変換装置6を介して信号制御装置5から一旦車両へ提供された信号情報に拘わらず、感応制御に応じて信号灯色を切り替える。
【0030】
感応制御は、例えば、右折感応制御で代表されるギャップ感応制御、高速感応制御、歩行者感応制御、高齢者感応制御、プロファイル感応制御、ジレンマ感応制御、特定車両優先制御などがあり、いずれのものも単独又は組み合せで採用することができる。右折感応制御は、例えば、交差点の右折車両を検出する車両感知器からのデータに基づいて、右折車両が存在する場合には、右折矢の表示時間を延長し、右折車両が存在しない場合には、右折矢の表示時間を短縮して、右折矢の表示秒数を延長又は短縮する制御である。また、ジレンマ制御は、例えば、交差点に向かって走行する車両の位置や速度から、交差点の手前で安全に停止させ、あるいは停止させることなく交差点を安全に通過させるために、青信号の表示秒数を短縮又は延長する制御である。また、特定車両優先制御は、例えば、緊急車両やバスなどの特定車両が交差点で停止することなく他の車両に比べて優先的に走行できるように青信号の表示秒数を延長や短縮する制御である。以下では、右折感応の場合について説明するが、他の感応制御にも本発明を適用することができる。
【0031】
変換装置6は、信号制御装置5から送信された時限表を車載機7へ提供するためのデータ形式に変換し、変換後の時限表を情報提供装置3へ送信する。なお、変換装置6の機能を信号制御装置5に含めて1個の装置として纏める構成とすることもできる。
【0032】
情報提供装置3は、受信した時限表を所定時点1G(例えば、主道路R1に対して青信号の表示が開始される時点)に同期して光ビーコン4へ送信することにより、時限表を光ビーコン4に登録する。光ビーコン4は、受信した時限表の現在表示中の信号灯色(例えば、青色)の表示秒数から、所定時点1G経過後の経過時間T2を減算した残表示秒数を記録しつつ、所定周期(例えば、0.1秒)が経過する都度に残表示秒数を更新し、車両との通信時点において、その時点の時限表を車両へ送信する。
【0033】
光ビーコン4は、更新対象の階梯(すなわち、交通信号制御機2が実行中の階梯)が最大の表示秒数と最小の表示秒数とを含む場合は、所定周期(例えば、0.1秒)が経過する都度に、最大の表示秒数から所定周期を減ずるとともに、最小の表示秒数から所定周期を減ずることにより信号情報を更新し、更新した信号情報を車載機へ送信する。
【0034】
一方、光ビーコン4は、更新対象の階梯(すなわち、交通信号制御機2が実行中の階梯)が最大の表示秒数と最小の表示秒数とを含まない場合は、所定周期(例えば、0.1秒)が経過する都度に、表示秒数から所定周期を減ずることにより信号情報を更新し、更新した信号情報を車載機へ送信する。これにより、信号情報の更新タイミングに関わらず信号灯色の切替タイミングと同期した信号情報を車両へ提供することができる。
【0035】
図3に示すように、信号制御装置5は、装置全体を制御する制御部51、生成部52、時限表などの所定の情報を記憶する記憶部53、中央装置8(外部)から更新された信号情報である上位指令を所定の受信時点で受信する受信部54、歩進指令や信号情報である時限表を送信する送信部55などを備える。
【0036】
生成部52は、感応制御により随時更新される信号灯色の表示秒数(表示時間情報)を時間幅で特定した暫定時限表(暫定信号情報)を生成する暫定信号情報生成手段としての機能を有する。
【0037】
暫定時限表は、例えば、感応制御に応じて変更される可能性のある階梯の表示時間情報(表示秒数)を、例えば、最小時間と最大時間とで構成される時間幅として表わすことができる。最小時間は、基準秒数から短縮秒数を減算した時間であり、最大時間は、基準秒数に延長秒数を加算した時間である。また、このような階梯(感応階梯)としては、図1に例示するような二現示交差点であれば階梯1A、階梯2Aとすることができる。ここで、階梯1Aは主道路側に対する右折矢の表示階梯、階梯2Aは従道路側に対する右折矢の表示階梯である。なお、暫定時限表の詳細は後述する。
【0038】
制御部51は、生成部52で生成した暫定時限表を、変換装置6を介して情報提供装置3へ送信する。
【0039】
暫定時限表の送信タイミングは、例えば、交差点の主道路R1に対する青信号の将来の直近の表示開始時点1Gである。これにより、光ビーコン4を介して車両へ提供される信号情報(時限表)を、交通信号制御機2による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができる。
【0040】
図4に示すように、情報提供装置3は、装置全体を制御する制御部31、時限表を受信する受信部32、時限表を車両へ提供すべく光ビーコン4へ送信する送信部33、信号灯色の切替時点を検出する検出手段としての検出部34、時間幅で特定された表示秒数(表示時間情報)に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する終了時点特定手段としての特定部35、時間幅で特定された表示秒数に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示秒数を含む時限表(信号情報)を生成する信号情報生成手段としての生成部36、時限表などの所定の情報を記憶するための記憶部37などを備える。
【0041】
検出部34は、交通信号制御機2から信号灯器1への駆動線での駆動電流を電流センサ等で検出することにより、いずれの信号灯色が表示されているかを検出する。すなわち、信号灯器1の各灯色に対応する駆動線を流れる電流を電流センサ等で検出することにより、信号灯色の切替時点を検出することができる。
【0042】
特定部35は、検出部34で検出した切替時点に基づいて、時間幅で特定された表示秒数(表示時間情報)に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する。例えば、時間幅で特定された表示秒数に対応する信号灯色を駆動する電流を検出した場合は、当該信号灯色は表示中であり、電流が0になった時点で、当該信号灯色の表示終了時点とすることができる。これにより、車両へ提供する信号情報を、交通信号制御機2による信号灯器1への実際の信号灯色制御に同期させることができる。
【0043】
生成部36は、時間幅で特定された表示秒数(表示時間情報)に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示秒数を含む時限表(信号情報)を生成する。
【0044】
例えば、暫定時限表で階梯1Aの表示秒数を時間幅(例えば、最大時間と最小時間)で特定している場合、階梯1Aの終了時点を検出し、階梯1A以降に切り替えタイミングを有する信号灯色の表示秒数を含む時限表(階梯1A終了時点の時限表)を生成する。また、同様に、暫定時限表で階梯2Aの表示秒数を時間幅で特定している場合、階梯2Aの終了時点を検出し、階梯2A以降に切り替えタイミングを有する信号灯色の表示秒数を含む時限表(階梯2A終了時点の時限表)を生成する。
【0045】
これにより、感応制御により表示秒数が変更される可能性のある表示灯色の表示終了時点で交通信号制御の実制御との切り替えタイミングの同期をとることができるので、感応制御が行われている場合でも、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【0046】
制御部31は、生成部36で生成された時限表を表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信する。すなわち、制御部31は、階梯1A終了時点の時限表を階梯1A終了時点に送信し、階梯2A終了時点の時限表を階梯2A終了時点に送信する。なお、送信タイミングは、各階梯終了時点から適宜の時間だけ経過した時点でもよいが、更新された信号情報(時限表)を早いタイミングで提供するためには、階梯終了時点が好ましい。
【0047】
上述のように、光ビーコン4は、時限表を受信した時点からの経過時間を計時する計時手段を備え、時限表を受信した時点での表示秒数を、当該受信した時点から車載機7との通信時点までの経過時間で補正(例えば、減算)した表示秒数を含む時限表を車載機7へ送信する。これにより、光ビーコン4へ送信する時限表を、交通信号制御機2による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させた上で、光ビーコン4から車両へ送信する時限表も交通信号制御機2による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができ、光ビーコン4を介して車両へ提供される時限表を、交通信号制御機2による信号灯色の切り替えタイミング(実制御)と同期させることができる。なお、経過時間T2に加えて、さらに、情報提供装置3から光ビーコン4までの間の通信所要時間を減じて表示秒数を補正してもよい。例えば、通信所要時間が0.3秒である場合、補正前の表示秒数が60秒であれば、補正後の表示秒数は59.7秒(60.0秒−0.3秒)となる。
【0048】
また、ギャップ感応制御(例えば、右折感応制御)、高速感応制御、歩行者感応制御、高齢者感応制御、プロファイル感応制御、ジレンマ感応制御、特定車両優先制御などの感応制御が行われる場合であっても、交通信号制御と食い違うことのない信号情報を車両へ提供することができる。
【0049】
図5は上位指令に含まれる信号情報のデータ構造の一例を示す説明図である。図5に示す信号情報は、中央装置8から信号制御装置5へ送信される信号情報の一例を示す。図5に示すように、信号情報は、ヘッダとデータなどを備え、ヘッダには、信号情報を示す識別子、信号情報のサイズなど情報が格納されている。また、データには、情報提供灯色数、各表示灯色、各灯色の表示秒数(表示時間情報)などの情報が格納されている。
【0050】
図6は時限表の一例を示す説明図である。時限表は、信号情報と同義であるが、表現形式が異なる。図6に示すように、現示の階梯は、例えば、1G、1Y、1A、1Y、1AR、2G、2Y、2A、2Y、2ARの順序で表記されている。各階梯には、主道路R1に対しての信号灯色、従道路R2に対しての信号灯色、及び表示秒数が規定されている。例えば、階梯1Gでは、主道路R1に対する信号灯色は青色であり、従道路R2に対する信号灯色は赤色である。また、階梯1Aでは、主道路R1に対する信号灯色は青矢であり、従道路R2に対する信号灯色は赤色である。また、階梯2Aでは、主道路R1に対する信号灯色は赤色であり、従道路R2に対する信号灯色は青矢である。
【0051】
各階梯の表示秒数は、階梯1Gが50.0秒、階梯1Yが2.0秒、…というように設定されている。また、図6に示す各階梯のうち、階梯1A、階梯2Aが感応制御により表示秒数が随時変更される感応階梯である。なお、他の階梯を感応階梯とすることもできる。
【0052】
なお、以下の説明では、時限表を簡略化して表現する。図7は更新前の上位指令に基づく時限表の一例を示す説明図である。図7の時限表は、図6に例示したものから、各階梯と表示秒数を抜き出したものである。また、更新前とは、上位指令に基づいて更新される時限表を基準とした場合に、更新される時限表の1つ前の時限表という意味である。
【0053】
制御部51は、図7に例示する更新前の時限表(例えば、直近に受信した最新の上位指令に基づく時限表)を用いて暫定時限表(暫定信号情報)を生成する。
【0054】
図8は暫定時限表の一例を示す説明図である。図8に示すように、暫定時限表は、例えば、感応階梯(階梯1A、階梯2A)の表示秒数を、それぞれ、3.0秒〜15.0秒、3.0秒〜10.0秒の如く最小時間と最大時間とで構成される時間幅として表わす。
【0055】
このように、感応制御により表示秒数が変更される可能性のある表示灯色の表示秒数は、予め時間幅で特定されているので、かかる信号情報が車両へ提供された場合でも、交通信号制御と食い違うことはない。
【0056】
図9は階梯1A終了時点の時限表の一例を示す説明図であり、図10は階梯2A終了時点の時限表の一例を示す説明図である。図9に示すように、階梯1A終了時点の時限表は、図8に例示した暫定時限表に含まれる表示秒数(表示時間情報)のうち、階梯1Aの終了時点以降に切り替えタイミングを有する各階梯の表示秒数が表示されている。
【0057】
また、図10に示すように、階梯2A終了時点の時限表は、図8に例示した暫定時限表に含まれる表示秒数(表示時間情報)のうち、階梯2Aの終了時点以降に切り替えタイミングを有する各階梯の表示秒数が表示されている。なお、階梯2ARの後は、一巡後の最初の階梯(1G)以降の階梯を順次有する構成とすることができる。図10の例では、再度、階梯1Aの表示秒数が所要の時間幅で特定されている。
【0058】
図11は本実施の形態に係る交通信号情報提供システムの動作を示すタイムチャートである。図11に示すように、信号制御装置5は、任意の時点で中央装置8から上位指令(信号情報)を受信する(P1参照)。
【0059】
信号制御装置5は最新の上位指令(すなわち、上位指令を受信した場合には、受信した上位指令)に基づく時限表(例えば、図7の例)を用いて、暫定時限表(例えば、図8の例)を生成し、生成した暫定時限表を情報提供装置3へ送信する(P2参照)。
【0060】
情報提供装置3は、所定時点1Gにおいて、暫定時限表を光ビーコン4へ送信して暫定時限表を光ビーコン4に登録する(P3参照)。
【0061】
情報提供装置3は、交通信号制御機2から信号灯器1へ駆動される電流を検出することにより、階梯1Aの終了時点を特定し、階梯1Aの終了時点において、階梯1A終了時点の時限表(例えば、図9の例)を生成し、光ビーコン4へ送信して階梯1A終了時点の時限表を光ビーコン4に登録する(P4参照)。
【0062】
情報提供装置3は、交通信号制御機2から信号灯器1へ駆動される電流を検出することにより、階梯2Aの終了時点を特定し、階梯2Aの終了時点において、階梯2A終了時点の時限表(例えば、図10の例)を生成し、光ビーコン4へ送信して階梯2A終了時点の時限表を光ビーコン4に登録する(P5参照)。
【0063】
なお、中央装置8から上位指令が更新された場合には、信号制御装置5は、更新された上位指令に基づいて暫定時限表を生成し、生成した暫定時限表を情報提供装置3へ送信することができる。そして、情報提供装置3は、更新された暫定時限表を受信した場合、受信した暫定時限表を用いて所要の階梯(感応階梯)の終了時点の時限表を生成することができる。
【0064】
図12は本実施の形態に係る信号制御装置5の処理手順を示すフローチャートである。制御部51は、感応制御ありか否かを判定し(S11)、感応制御ありの場合(S11でYES)、すなわち、感応制御が行われている場合には、中央装置8からの上位指令を受信したか否かを判定する(S12)。感応制御がない場合(S11でNO)、制御部51は、後述のステップS16の処理を行う。
【0065】
上位指令を受信した場合(S12でYES)、制御部51は、受信した上位指令に基づく暫定時限表を生成する(S13)。上位指令を受信していない場合(S12でNO)、例えば、記憶部53に記憶した直近(最新)の上位指令に基づく暫定時限表を生成する(S14)。
【0066】
制御部51は、生成した暫定時限表を情報提供装置3へ送信する(S15)。制御部51は、処理終了であるか否かを判定し(S16)、処理終了でない場合(S16でNO)、ステップS11以降の処理を続け、処理終了である場合(S16でYES)、処理を終了する。
【0067】
図13は本実施の形態に係る情報提供装置3の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、変換装置6を介して信号制御装置5から暫定時限表を受信したか否かを判定し(S21)、暫定時限表を受信した場合(S21でYES)、受信した暫定時限表を光ビーコン4へ送信する(S22)。なお、送信タイミングは、所定時点1Gである。暫定時限表を受信していない場合(S21でNO)、制御部31は、後述のステップS23の処理を行う。
【0068】
制御部31は、階梯1Aの表示時間が終了したか否かを判定し(S23)、階梯1Aの表示時間が終了していない場合(S23でNO)、ステップS23の処理を続ける。
【0069】
階梯1Aの表示時間が終了した場合(S23でYES)、制御部31は、階梯1A終了時点の時限表を生成して光ビーコン4へ送信する(S24)。制御部31は、階梯2Aの表意時間が終了したか否かを判定し(S25)、階梯2Aの表示時間が終了していない場合(S25でNO)、ステップS25の処理を続ける。
【0070】
階梯2Aの表示時間が終了した場合(S25でYES)、制御部31は、階梯2A終了時点の時限表を生成して光ビーコン4へ送信する(S26)。制御部31は、処理終了であるか否かを判定し(S27)、処理終了でない場合(S27でNO)、ステップS21以降の処理を続け、処理終了である場合(S27でYES)、処理を終了する。
【0071】
上述の実施の形態では、情報提供装置3が階梯1Aや階梯2Aの終了時点の時限表を生成して光ビーコン4へ送信する構成であったが、これに限定されるものではなく、情報提供装置3は階梯1Aや階梯2Aの終了時点を光ビーコン4へ通知し、光ビーコン4で階梯1Aや階梯2Aの終了時点の時限表を生成する構成としてもよい。
【0072】
上述の実施の形態は、テーブル制御タイプの交通信号制御機であっても、交通信号制御機が信号情報を生成しない場合には、適用することができる。
【0073】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 信号灯器
2 交通信号制御機
3 情報提供装置
4 光ビーコン
5 信号制御装置
6 変換装置
7 車載機
8 中央装置
31 制御部
32 受信部
33 送信部
34 検出部
35 特定部
36 生成部
37 記憶部
51 制御部
52 生成部
53 記憶部
54 受信部
55 送信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機へ信号情報を提供する情報提供装置と、該信号情報に拘わらず感応制御により信号灯色を切り替える交通信号制御機と、前記情報提供装置へ信号情報を送信する信号制御装置とを備える交通信号情報提供システムにおいて、
前記信号制御装置は、
感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成する暫定信号情報生成手段と、
該暫定信号情報生成手段で生成した暫定信号情報を前記情報提供装置へ送信する送信手段と
を備え、
前記情報提供装置は、
前記暫定信号情報を受信する受信手段と、
該受信手段で受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する送信手段と、
前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する信号情報生成手段と
を備え、
前記送信手段は、
前記信号情報生成手段で生成した信号情報を前記表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信するようにしてあることを特徴とする交通信号情報提供システム。
【請求項2】
前記情報提供装置は、
信号灯色の切替時点を検出する検出手段と、
該検出手段で検出した切替時点に基づいて、前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する終了時点特定手段と
を備え、
前記信号情報生成手段は、
前記終了時点特定手段で特定した表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の交通信号情報提供システム。
【請求項3】
前記感応制御は、
ギャップ感応制御、ジレンマ感応制御又は特定車両優先制御のいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通信号情報提供システム。
【請求項4】
前記情報提供装置が送信する信号情報を受信し、受信した信号情報を車載機へ送信する路上通信装置を備え、
該路上通信装置は、
前記信号情報を受信した時点からの経過時間を計時する計時手段を備え、
前記信号情報を受信した時点での表示時間情報を、該受信した時点から車載機との通信時点までの経過時間で補正した表示時間情報を含む信号情報を車載機へ送信するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の交通信号情報提供システム。
【請求項5】
信号情報を情報提供装置へ送信する信号制御装置において、
感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成する暫定信号情報生成手段と、
該暫定信号情報生成手段で生成した暫定信号情報を前記情報提供装置へ送信する送信手段と
を備えることを特徴とする信号制御装置。
【請求項6】
信号制御装置が送信した信号情報を車載機へ提供する情報提供装置において、
感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を受信する受信手段と、
該受信手段で受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する送信手段と、
感応制御により随時更新される信号灯色の表示終了時点を特定する表示終了時点特定手段と、
前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の前記表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する信号情報生成手段と
を備え、
前記送信手段は、
前記信号情報生成手段で生成した信号情報を前記表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信するようにしてあることを特徴とする情報提供装置。
【請求項1】
車載機へ信号情報を提供する情報提供装置と、該信号情報に拘わらず感応制御により信号灯色を切り替える交通信号制御機と、前記情報提供装置へ信号情報を送信する信号制御装置とを備える交通信号情報提供システムにおいて、
前記信号制御装置は、
感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成する暫定信号情報生成手段と、
該暫定信号情報生成手段で生成した暫定信号情報を前記情報提供装置へ送信する送信手段と
を備え、
前記情報提供装置は、
前記暫定信号情報を受信する受信手段と、
該受信手段で受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する送信手段と、
前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する信号情報生成手段と
を備え、
前記送信手段は、
前記信号情報生成手段で生成した信号情報を前記表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信するようにしてあることを特徴とする交通信号情報提供システム。
【請求項2】
前記情報提供装置は、
信号灯色の切替時点を検出する検出手段と、
該検出手段で検出した切替時点に基づいて、前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の表示終了時点を特定する終了時点特定手段と
を備え、
前記信号情報生成手段は、
前記終了時点特定手段で特定した表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の交通信号情報提供システム。
【請求項3】
前記感応制御は、
ギャップ感応制御、ジレンマ感応制御又は特定車両優先制御のいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通信号情報提供システム。
【請求項4】
前記情報提供装置が送信する信号情報を受信し、受信した信号情報を車載機へ送信する路上通信装置を備え、
該路上通信装置は、
前記信号情報を受信した時点からの経過時間を計時する計時手段を備え、
前記信号情報を受信した時点での表示時間情報を、該受信した時点から車載機との通信時点までの経過時間で補正した表示時間情報を含む信号情報を車載機へ送信するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の交通信号情報提供システム。
【請求項5】
信号情報を情報提供装置へ送信する信号制御装置において、
感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を生成する暫定信号情報生成手段と、
該暫定信号情報生成手段で生成した暫定信号情報を前記情報提供装置へ送信する送信手段と
を備えることを特徴とする信号制御装置。
【請求項6】
信号制御装置が送信した信号情報を車載機へ提供する情報提供装置において、
感応制御により随時更新される信号灯色の表示時間情報を時間幅で特定した暫定信号情報を受信する受信手段と、
該受信手段で受信した暫定信号情報を車載機へ提供すべく送信する送信手段と、
感応制御により随時更新される信号灯色の表示終了時点を特定する表示終了時点特定手段と、
前記時間幅で特定された表示時間情報に対応する信号灯色の前記表示終了時点以降に切替時点を有する信号灯色の表示時間情報を含む信号情報を生成する信号情報生成手段と
を備え、
前記送信手段は、
前記信号情報生成手段で生成した信号情報を前記表示終了時点以降に車載機へ提供すべく送信するようにしてあることを特徴とする情報提供装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−65556(P2011−65556A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217471(P2009−217471)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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