説明

交通機関案内システム

【課題】交通機関の路線を用いた移動経路の通知において、利用者にとっての利便性を向上させる手段を提供する。
【解決手段】登録受付サーバ10は、携帯電話1から端末識別子と目的地の情報を記憶しておき、交通機関の路線に乗車する直前の利用者から出発地の情報を受信したとき、その時刻を取得すると共に、記憶した目的地と端末識別子を読み出して、それらを組み合わせた経路検索情報を交通機関検索サーバ2に送信し、交通機関検索サーバ2は受信した出発地を起点に目的地に最短時間で移動できる移動経路を検索して、その移動経路から目的地や乗換えのため利用者が降車する停車場の情報を特定し、受信した時刻と出発地をもとに利用者が乗車した車両を特定し、その車両が降車する停車場に所定範囲内に近づいたときに、端末識別子をもとに利用者の携帯端末に降車を促す通知を送信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通機関を利用している利用者に対して移動経路に関する情報を通知する交通機関案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の交通機関案内システムは、利用者の携帯端末に備えられたGPS機能によって利用者の位置を確認すると共に、その位置が乗換駅や目的地となる駅から一定距離内となったときに、利用者の携帯端末に乗換駅や目的地となる駅に近づいた旨の通知を送信している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−114149号公報(段落「0082」、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、利用者の携帯端末にGPS機能が設けられていることが条件となるため、利用者はGPS機能が設けられた携帯端末を持つ者に限られてしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために、携帯端末からの端末識別子や目的地、出発地の情報を受信する受付サーバと、該受付サーバから目的地と出発地の情報を受け取って交通機関の路線を利用する移動経路を検索する他、各路線の車両の位置を検知する検索サーバとを備える交通機関案内システムであって、前記受付サーバは、利用者の携帯端末から端末識別子と目的地の情報を受信して記憶部に記憶しておき、交通機関の路線に乗車する直前の利用者から出発地の情報を受信したとき、そのときの時刻を取得すると共に、前記記憶部に記憶した目的地と端末識別子を読み出して、前記出発地、前記目的地、前記端末識別子、前記時刻を経路検索情報として前記検索サーバに送信し、前記検索サーバは、受信した前記出発地を起点に前記目的地に最短時間で移動できる移動経路を検索して、その移動経路から目的地や乗換えのため利用者が降車する停車場の情報を特定し、さらに受信した前記時刻と前記出発地をもとに利用者が乗車した車両を特定し、該車両が前記降車する停車場に所定範囲内に近づいたときに、前記端末識別子をもとに利用者の携帯端末に降車を促す通知を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
これにより、本発明は、GPS機能の有無に関係なく、受付サーバおよび検索サーバとの間で情報の送受信ができる携帯電話を有する利用者であれば、目的地あるいは乗換えの停車場を通知することができるので、さらに利便性が向上してこのようなシステムを利用できる利用者を増やすことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、図面を参照して本発明による交通機関案内システムの実施例について説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は実施例1の交通機関案内システムを示すブロック図である。
図1において、1は携帯端末としての携帯電話であり、インターネット回線を介して鉄道やバス等の交通機関を利用する移動経路案内情報を取得する機能を有する他、表示画面に移動経路案内情報を取得するための目的地となる交通機関の降車場所を示す目的地情報や、出発地点となる乗車場所を示す乗車場所情報等の各種情報を入力する入力画面を表示する機能を有する。
【0008】
2は交通機関検索サーバであり、乗車場所情報および目的地情報にもとづいて移動経路案内情報を構成する機能を有する。
3は検索サーバ制御部であり、検索サーバ記憶部4に格納された移動経路案内情報を構成するためのプログラムに従って移動経路案内情報の構成に必要な各種処理を実行する。
4は検索サーバ記憶部であり、検索サーバ制御部3が実行する移動経路案内情報を構成するためのプログラムや各交通機関の路線と各路線間の接続に関する情報等を格納する他、検索サーバ制御部3による処理結果等を記憶する。
【0009】
5は路線特定手段であり、検索サーバ制御部3と検索サーバ記憶部4に格納された移動経路案内情報を構成するためのプログラムとによって実現され、乗車場所情報にもとづいて交通機関の路線情報を特定する機能を有する。
6は経路決定手段であり、検索サーバ制御部3と検索サーバ記憶部4に格納された移動経路案内情報を構成するためのプログラムとによって実現され、路線情報と目的地情報とから出発地点からの路線を用いて目的地まで最短時間で移動する移動経路を決定する機能を有する。
【0010】
7は接近検知手段であり、検索サーバ制御部3と検索サーバ記憶部4に格納された移動経路案内情報を構成するためのプログラムとによって実現され、各交通機関のサーバが管理する運行管理システムや自動列車制御装置、バスロケーションシステム等に基づいて駅や停留所等の停車場に入ってくる車両の情報を専用回線を介して取得する機能を有する。
8は案内通知手段であり、検索サーバ制御部3と検索サーバ記憶部4に格納された移動経路案内情報を構成するためのプログラムとによって実現され、利用者の携帯電話1宛に降車を通知する電子メールを送信する機能を有する。
【0011】
10は登録受付サーバであり、インターネット上で交通機関を利用する移動経路案内情報を取得するための目的地情報や乗車場所情報を受付けるサイトを有し、このサイトを介して受信した目的地情報と乗車場所情報等からなる経路検索情報や移動経路情報を登録情報データベース10aに記憶する他、登録した目的地情報や乗車場所情報を専用回線を介して交通機関検索サーバ2に送信する機能を有する。
【0012】
上述した構成の作用について、図2に示す実施例1の交通機関案内システムの動作を示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。
S1、利用者が携帯電話1によって、登録受付サーバ10が有する交通機関の経路検索のためのサイトに接続し、そのサイト内にある目的地となる停車場を定めるためのページに接続すると、携帯電話1はその表示画面に目的地情報や、利用者へ経路を電子メールで通知する際に必要なメールアドレスの入力欄等を配した目的地設定画面を表示する。
【0013】
ここでは、利用者は表示された目的地設定画面に目的地情報とメールアドレスを入力し、それらの情報を登録受付サーバ10に送信するための入力操作を行うと、入力された目的地情報とメールアドレスは登録受付サーバ10に送信される。
S2、登録受付サーバ10は、目的地情報とメールアドレスとを受信すると、識別子となるID番号を採番し、そのID番号と登録が終了した旨の画面を携帯電話1が接続しているサイトを介して携帯電話1の表示画面に表示し、受信した目的地情報、メールアドレスと採番したID番号を関連づけて経路検索情報として登録情報データベース10aに記憶する。
【0014】
利用者は、携帯電話1での接続を一旦切断し、目的地に向かう際に車両に乗る前に携帯電話1で経路検索のためのサイトに接続する。
S3、利用者が携帯電話1で経路検索のためのサイトに接続してそこから出発地となる乗車場所を定めて移動経路の情報を取得するためのページに接続すると、携帯電話1はその表示画面に出発地情報としての乗車場所情報とID番号の入力欄等を配した乗車場所設定画面を表示する。
【0015】
利用者が乗車場所設定画面の入力欄への入力を行い、入力した内容を登録受付サーバ10に送信するための入力操作を行うと、携帯電話1は入力された乗車場所情報とID番号とを登録受付サーバ10に送信する。
ここで、図3は経路検索情報を示すデータ例である。
S4、登録受付サーバ10は、乗車場所情報とID番号を受信すると、そのID番号をもとに登録情報データベース10aから経路検索情報を読み出し、読み出した経路検索情報を受信した乗車場所情報に含めることで、図3に示すように経路検索情報をID番号と目的地情報、乗車場所情報、メールアドレスとで構成して記憶する。
【0016】
S5、また登録受付サーバ10は、図示しない時計機能によって現在時刻を認識し、その現在時刻を上記経路検索情報のID番号、目的地情報、出発地情報に加えて構成し、そのように構成した経路検索情報を交通機関検索サーバ2に送信する。
ここで、乗車場所から目的地までは1つの路線で移動できるものとする。
S6、交通機関検索サーバ2の検索サーバ制御部3は、受信した経路検索情報の乗車場所情報と目的地情報とをもとに、乗車場所情報を起点として目的地情報への路線情報や移動経路、移動経路に沿って利用者が次に降車する停車場の情報、現在時刻に基づく利用者が乗車する車両番号を特定し、その特定した路線情報、移動経路、停車場の情報、車両番号に受信したID番号を関連付けて構成した移動経路情報を登録受付サーバ10に送信する。
【0017】
ここで、図4は移動経路情報のデータ例である。
このときの利用者が次に降車する停車場の情報は、乗換えが無い場合には目的地情報となり、乗換えがある場合には乗換えの停車場となる。なお乗換えの場合については後述する。
S7、登録受付サーバ10は、受信した移動経路情報を登録情報データベース10aに記憶しておき、その移動経路情報のID番号をもとに経路検索情報を検索し、該当する経路検索情報のメールアドレスを読み出し、読み出したメールアドレスと、記憶した移動経路情報の車両番号と停車場の情報を付した利用者通知依頼を交通機関検索サーバ2に送信する。
【0018】
S8、検索サーバ制御部3は、受信した利用者通知依頼を検索サーバ記憶部4に記憶しておき、受信した車両番号の車両の位置を常に取得しておき、その車両が目的地より1つ前の停車場に入ろうとしている等、所定の範囲内に移動したことを認識したときに、受信した利用者通知依頼のメールアドレス宛に目的地に近づいている旨の電子メールを案内通知手段により送信する。
【0019】
なお、上記では乗換え無しに目的地まで到達できる場合を説明したが、乗換えが必要な場合、上記ステップS6以降の処理は以下のようになる。
交通機関検索サーバ2の検索サーバ制御部3は、受信した経路検索情報の乗車場所情報と目的地情報とをもとにした路線情報やその路線での停車場の情報、現在時刻から利用者が乗車する車両番号を特定し、受信したID番号と車両番号、路線情報、停車場の情報としての乗換え場所の情報を組み合わせた移動経路情報を登録受付サーバ10に送信する。
【0020】
登録受付サーバ10は、受信した移動経路情報を登録情報データベース10aに記憶するが、利用者が乗換えのために降車する停車場と路線との組み合わせに区分する、つまり乗換えがあるときは停車場の情報は、目的地情報でなく乗換えの停車場の情報となる。
例えば電車移動で出発地であるA駅からB駅で乗換えてC駅へ移動するような場合、図4に示すようにB駅へ向かう車両番号を、B駅を示す情報とID番号とに関連づけて移動経路情報として記憶する。
【0021】
そして登録受付サーバ10は、その利用者のID番号をもとに記憶した経路検索情報からメールアドレスと移動経路の情報とを読み出し、その移動経路の情報からB駅から乗換える路線の情報を特定すると共に、特定した路線の情報とメールアドレス、B駅を示す情報、車両番号を付した利用者通知依頼を交通機関検索サーバ2に送信する。
検索サーバ制御部3は、受信した利用者通知依頼を検索サーバ記憶部4に記憶しておき、該当する車両の位置を常に取得する。
【0022】
検索サーバ制御部3は、車両が乗換えの1つ前の駅に入ろうとしていることを認識したときに、受信した利用者通知依頼のメールアドレス宛にB駅に近づいている旨と、B駅から乗換える路線の情報、新たな路線の車両に乗換える前に再度経路検索のためのサイトから移動経路の情報を取得するためのページに接続するように促す旨の通知を送信する。
そして利用者はB駅で降車して路線を乗換える前に、携帯電話1で移動経路の情報を取得するためのページに接続し、そのときのB駅を乗車場所とした乗車場所情報とID情報を入力し、入力した乗車場所情報とID情報を送信するための入力操作を行う。
【0023】
登録受付サーバ10は、受信した乗車場所情報のID番号から移動経路の情報を読み出し、B駅からC駅までの移動経路を特定する他、現在時刻から利用者が乗車するとされる路線の車両番号を認識し、認識した車両番号とID番号、C駅を示す情報を関連づけて新たに移動経路情報として記憶する。
登録受付サーバ10は、受信したID番号をもとに経路検索情報のメールアドレスを読み出し、そのメールアドレスと新たに記憶した移動経路情報に含まれる車両番号と目的地情報としてのC駅を示す情報を付した利用者通知依頼を交通機関検索サーバ2に送信する。
【0024】
検索サーバ制御部3は、受信した利用者通知依頼を検索サーバ記憶部4に記憶しておき、受信した車両番号の車両の位置を常に取得しておき、その車両が目的地であるC駅より1つ前の駅に入ろうとしていることを認識したときに、受信した利用者通知依頼のメールアドレス宛に目的地に近づいている旨の電子メールを案内通知手段により送信する。
このようにして、乗換えが必要な場合には、乗換えの停車場に近づいたことを電子メールで通知し、そのあと乗換え前に再度利用者に携帯電話1で乗換えの停車場を乗車場所とする乗車場所情報を送信させるようにすることで、路線を乗換えた後の目的地となる停車場に近づいたことを通知する。
【0025】
以上説明したように、本実施例では、GPS機能の搭載に関係なくインターネットに接続できる携帯電話を用いることで、目的地あるいは乗換えの停車場を利用者に通知することができるので、このようなシステムを利用する利用者にとってより利便性を向上させることができる。
なお、利用者が居眠り等によって携帯電話への通知に気付かずに乗り過ごしてしまった場合等、登録情報データベースに記憶した移動経路情報と異なる経路となってしまう場合は、利用者が車両に乗車する前に乗車場所情報を携帯電話で登録受付サーバに送信することで、登録受付サーバ10と交通機関検索サーバ2との間で新たに移動経路の検索を行うようにしてもよい。
【0026】
このようにすることによって、利用者側によって不測の事態が発生しても別の移動経路を示すことができ、より利便性を向上させることができる。
また、上記では利用者の携帯電話1に電子メールを送信して降車を通知したが、これに限らず直接電話をかけるようにして、降車を知らせる音声ガイダンスを出力するようにしてもよく、その場合は利用者からメールアドレスを取得する代わりに電話番号を取得するようにする。
【0027】
また、携帯電話を用いた場合を例に説明したが、これに限らずPDA(Personal Digital Assistant)等のように電子メール送受信やインターネット回線に接続する機能を備える携帯端末であってもよい。
【実施例2】
【0028】
図5は実施例2の交通機関案内システムを示すブロック図である。
本実施例において、上記実施例1と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、本実施例の交通機関検索サーバ2は、上記実施例1に対して路線特定手段5を省き、各路線の車両に路線情報と車両を特定する情報とを組み合わせて構成する車両特定情報を掲示しておき、携帯電話1に表示される乗車場所設定画面のページ内に車両特定情報を入力するための入力欄を設けるようにしたことが相違する。
【0029】
図6は車両特定情報の車両への掲示例を示す説明図である。
図6に示すように、本実施例では各路線の車両ごとに、その路線情報および車両を特定する情報とを組み合わせた車両特定情報を掲示し、その掲示場所は車両の扉脇や窓脇等の利用者にとって見やすい場所となっている。
上記の構成の作用について説明する。
【0030】
なお、ここでは車両特定情報は数字や文字を組み合わせて構成されるものとし、車両特定番号として説明する。
上記実施例1と同様にして、登録受付サーバ10は、携帯電話1から目的地情報やメールアドレスを受信すると、ID番号を採番してそのID番号と目的地情報、メールアドレスを関連づけて経路検索情報を記憶する。
【0031】
そして、利用者が出発地となる乗車場所にて車両に乗り込んでから経路検索のためのサイトに接続してそこから移動経路の情報を取得するためのページに接続すると、携帯電話1は表示画面に乗車場所情報とID番号、車両特定番号の入力欄等を配した乗車場所設定画面を表示する。
利用者が乗車場所設定画面の入力欄への入力を行い、入力した内容を登録受付サーバ10に送信するための入力操作を行うと、携帯電話1は入力された乗車場所情報とID番号、車両特定番号を登録受付サーバ10に送信する。
【0032】
登録受付サーバ10は、受信したID番号をもとに登録情報データベース10aから経路検索情報を読み出し、読み出した経路検索情報に受信した乗車場所情報を含めることで、経路検索情報を構成して記憶する。
また登録受付サーバ10は、記憶した経路検索情報のID番号、目的地情報、出発地情報に受信した車両特定番号を付した経路検索情報を交通機関検索サーバ2に送信する。
【0033】
交通機関検索サーバ2の検索サーバ制御部3は、受信した経路検索情報の乗車場所情報や目的地情報、車両特定番号をもとに、移動経路および移動経路に沿って利用者が次に降車する停車場の情報を特定し、特定した移動経路、停車場の情報に受信したID番号、車両特定番号を関連付けて移動経路情報を構成し、その移動経路情報を登録受付サーバ10に送信する。
【0034】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、携帯電話から車両特定番号を登録受付サーバに送信するようにしたため、上記実施例1の交通機関検索サーバの路線特定手段を省くことができるため、検索サーバ記憶部に記憶するプログラムの作成をより簡素化できる。
なお、上記実施例2においては、車両特定番号を利用者が携帯電話の表示された画面に入力するものとして説明したが、その入力方法として車両特定番号を表わすQRコードを車両内に掲示して、携帯電話のデジタルカメラで読み取ったQRコードから車両特定番号を取得して表示された画面に入力するようにしてもよい。
【実施例3】
【0035】
図7は実施例3の交通機関案内システムを示すブロック図であり、上記実施例2と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、本実施例において、携帯電話1にはメールアドレスや電話番号等の端末識別子が記録されたICチップが備えられているものとする。
図7において、30は利用者が乗車する交通機関の車両であり、車両特定情報を格納する車両情報格納部31、その車両特定情報等の各種情報を専用回線を介して交通機関検索サーバ2に送信するデータ送信部32、また利用者が携帯電話1を近づけることでその携帯電話1に記録された情報の読取りを行う媒体読取部33を備える。
【0036】
また、媒体読取部33は車両30内の扉や窓の近辺等、利用者にとって見やすい場所に設けられているものとする。
上記構成の作用について説明する。
利用者は出発地となる乗車場所にて車両30に乗車し、その車両30に設けられた媒体読取部33に携帯電話1を近づける。
【0037】
車両30は、媒体読取部33によって携帯電話1からメールアドレスを読取ると共に、車両情報格納部31から車両特定情報を読み出し、その車両特定情報とメールアドレスとをデータ送信部32によって交通機関検索サーバ2に送信する。
交通機関検索サーバ2の検索サーバ制御部3は、受信した車両特定情報を検索サーバ記憶部4に記憶し、受信したメールアドレスを付した目的地情報送信依頼を登録受付サーバ10に送信する。
【0038】
登録受付サーバ10は、受信したメールアドレスをもとに登録情報データベース10aから経路検索情報を検索し、該当する経路検索情報の目的地情報とID番号を読み出して、その目的地情報を交通機関検索サーバ2に送信する。
検索サーバ制御部3は、記憶した車両特定情報を読み出し、受信した目的地情報と車両特定情報から移動経路と利用者が次に降車する停車場の情報を特定して、その移動経路と停車場の情報、車両特定情報、受信したID番号とで移動経路情報を構成して登録受付サーバ10に送信する。
【0039】
以上説明したように、本実施例は上記実施例2の効果に加えて、車両に設けられた媒体読取部で利用者の携帯電話からメールアドレスを読取り、そのメールアドレスと車両情報格納部が格納する車両特定情報を交通機関検索サーバに送信し、そこから交通機関検索サーバと登録受付サーバ10との交信処理で移動経路情報を構成するので、車両に乗り込んだ利用者に携帯電話で車両特定番号を入力させて登録受付サーバに送信させる手間を省くことができ、さらに携帯電話での車両特定番号の入力ミスの発生を防止することができる。
【0040】
なお、上記実施例3においては、携帯電話を例に説明したが、これに限らずICチップを組み込んだPDA等の携帯端末や、利用者の携帯電話の端末識別子を記録したICカード等を用いるようにしても同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0041】
本実施例の交通機関案内システムの構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、登録受付サーバ10は、経路検索情報と共にその利用者のメールアドレスを交通機関検索サーバ2に送信する。
そして交通機関検索サーバ2の検索サーバ制御部3は、上記実施例1のステップS6に示すようにして構成した移動経路情報を登録受付サーバ10に送信する一方、その移動経路情報の移動経路に従って利用者が用いる路線および乗換えの停車場等の情報を受信した利用者のメールアドレス宛に送信するものとする。
【0042】
以上説明したように、本実施例は上記実施例1の効果に加えて利用者の携帯電話に移動経路に従う路線や乗換えの停車場を通知するので、利用者にとっての利便性が向上するという効果が得られる。
【実施例5】
【0043】
図8は実施例5の交通機関案内システムを示すブロック図である。
なお、上記実施例4と同一の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図8において、40は他経路検索手段であり、検索サーバ制御部3と検索サーバ記憶部4に格納された移動経路案内情報を構成するためのプログラムとによって実現され、経路決定手段6によって決定する移動経路以外の移動経路の候補として、最短時間,最も安い運賃等といった条件ごとに複数検索して決定する機能を有する。
【0044】
上記のように構成した本実施例の交通機関案内システムにおいて、交通機関検索サーバ2の検索サーバ制御部3は、登録受付サーバ10から経路検索情報を受信する際に同時に利用者のメールアドレスを受信するようにし、経路決定手段6によって決定する移動経路以外の移動経路を他経路検索手段40で複数検索して決定し、上記実施例1のステップS6に示すようにして構成した移動経路情報を登録受付サーバ10に送信する一方で、経路決定手段6による移動経路と他経路検索手段40による複数の移動経路とを利用者のメールアドレス宛に送信するものとする。
【0045】
以上説明したように、本実施例においては、上記実施例4の効果に加えて、利用者に複数の移動経路を通知することで、利用者は交通機関の状況や自身の嗜好に応じて移動経路を決めて行動することができるという効果が得られる。
【実施例6】
【0046】
本実施例の交通機関案内システムの構成は上記実施例5と同様であり、交通機関検索サーバ2から携帯電話1へ電子メールと共に、交通機関検索サーバ2からの電子メールの受信動作を変更させる電文を送信することが相違する。
そのため、検索サーバ記憶部4は携帯端末1に対して着信動作を変更させるための着信動作変更用データを格納する。
【0047】
ここで、着信動作の変更とは、例えば携帯電話1に対して一定時間着信音を鳴らすと共に振動させ続けることや、マナーモード等で着信音が鳴らない設定であっても、着信音を鳴らさせる等のように、電子メール着信時の動作内容を変更させることである。
そして、検索サーバ制御部3が、利用者の携帯電話1に対して電子メールを送信するときに、検索サーバ記憶部4から着信内容変更用データを読み出し、読み出した着信動作変更用データを付した着信動作変更電文を同時に送信する。
【0048】
以上説明したように、本実施例は上記実施例5の効果に加えて、利用者の携帯電話の着信動作を変更させることで、利用者は乗換えや目的地に到着した旨の通知に気がつき易くなり、利用者が通知に気が付かないことでの乗り過ごしを防止できる。
【実施例7】
【0049】
本実施例の交通機関案内システムの構成は上記実施例3と同様であるが、携帯電話に乗換えや目的地である停車場が近づいている旨を通知する際に、電子マネーの徴収を必要とする点が相違する。
そのため、利用者が有する携帯電話1には電子マネー機能が備えられており、車両30の媒体読取部33には、携帯電話1の読取りと共に格納された電子マネーの残額を読取って認識し、そこから一定額分を徴収する機能が設けられているものとする。
【0050】
これによって、車両30は、利用者によって携帯電話1が媒体読取部33に近づけられたときに、その媒体読取部33によって電子マネーの残額を認識し、その残額が本システムを利用するための利用料金額以上であって残額から利用料金額を徴収したときに、上記実施例3と同様にして携帯電話1からメールアドレスを読取ると共に、車両情報格納部31から車両特定情報を読み出し、その車両特定情報とメールアドレスとをデータ送信部32によって交通機関検索サーバ2に送信するものとする。
【0051】
なお、電子マネーの残額が利用料金額に満たない場合には、特に利用料金額の減額等は行わず、利用者にとっては本システムを利用できないようになる。
以上説明したように、本実施例においては上記実施例3の効果に加えて利用者が交通機関案内システムを利用する毎に利用料金を徴収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例1の交通機関案内システムを示すブロック図
【図2】実施例1の交通機関案内システムの動作を示すフローチャート
【図3】経路検索情報を示すデータ例
【図4】移動経路情報のデータ例
【図5】実施例2の交通機関案内システムを示すブロック図
【図6】車両特定情報の車両への掲示例を示す説明図
【図7】実施例3の交通機関案内システムを示すブロック図
【図8】実施例5の交通機関案内システムを示すブロック図
【符号の説明】
【0053】
1 携帯電話
2 交通機関検索サーバ
3 検索サーバ制御部
4 検索サーバ記憶部
5 路線特定手段
6 経路決定手段
7 接近検知手段
8 案内通知手段
10 登録受付サーバ
10a 登録情報データベース
30 車両
31 車両情報格納部
32 データ送信部
33 媒体読取部
40 他経路検索手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末からの端末識別子や目的地、出発地の情報を受信する受付サーバと、該受付サーバから目的地と出発地の情報を受け取って交通機関の路線を利用する移動経路を検索する他、各路線の車両の位置を検知する検索サーバとを備える交通機関案内システムであって、
前記受付サーバは、利用者の携帯端末から端末識別子と目的地の情報を受信して記憶部に記憶しておき、交通機関の路線に乗車する直前の利用者から出発地の情報を受信したとき、そのときの時刻を取得すると共に、前記記憶部に記憶した目的地と端末識別子を読み出して、前記出発地、前記目的地、前記端末識別子、前記時刻を経路検索情報として前記検索サーバに送信し、
前記検索サーバは、受信した前記出発地を起点に前記目的地に最短時間で移動できる移動経路を検索して、その移動経路から目的地や乗換えのため利用者が降車する停車場の情報を特定し、
さらに受信した前記時刻と前記出発地をもとに利用者が乗車した車両を特定し、該車両が前記降車する停車場に所定範囲内に近づいたときに、前記端末識別子をもとに利用者の携帯端末に降車を促す通知を送信することを特徴とする交通機関案内システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交通機関案内システムにおいて、
前記検索サーバは、前記携帯端末に送信する通知の内容が乗換えのために降車を促す内容の場合に、その内容に別の路線の車両に乗る直前に携帯端末でその停車場を出発地の情報として前記受付サーバに送信するよう促す内容を加えることを特徴とする交通機関案内システム。
【請求項3】
請求項1、または請求項2に記載の交通機関案内システムにおいて、
各路線の車両に車両識別子を設けて、
前記受付サーバは、携帯端末で入力された車両識別子を受信して、該車両識別子を前記経路検索情報と共に前記検索サーバに送信し、
前記検索サーバは、受信した前記車両識別子をもとにその車両が停車している停車場の位置を検知し、その停車場を出発地として該出発地を起点に前記目的地への移動経路を検索することを特徴とする交通機関案内システム。
【請求項4】
請求項1、または請求項2に記載の交通機関案内システムにおいて、
各路線の車両は、その車両識別子を記憶する記憶手段と、近づけられた前記携帯端末から端末識別子を読取る読取手段と、前記受付サーバへの通信手段とを備え、
利用者の携帯端末の端末識別子を読取ったとき、記憶している車両識別子を読み出して前記端末識別子と車両識別子とを前記受付サーバに送信し、
前記受付サーバは、受信した端末識別子と同じ端末識別子と共に記憶した目的地を読み出し、その目的地と受信した車両識別子を前記検索サーバに送信し、
前記検索サーバは、受信した車両識別子をもとに、その車両が停車している停車場の位置を検知し、その停車場を出発地として該出発地を起点に受信した前記目的地への移動経路を検索することを特徴とする交通機関案内システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載の交通機関案内システムにおいて、
前記検索サーバは、検索した移動経路を前記携帯端末に送信することを特徴とする交通機関案内システム。
【請求項6】
請求項5に記載の交通機関案内システムにおいて、
前記検索サーバは、前記移動経路について時間や料金等の条件の設定を記憶し、
設定された条件ごとに複数の移動経路を検索して、その複数の移動経路を前記携帯端末に送信することを特徴とする交通機関案内システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6に記載の交通機関案内システムにおいて、
前記携帯端末は、外部からの通知を受信したときに着信動作を行う機能を有し、
前記検索サーバは、前記携帯端末に前記降車を促す通知と共に、該通知を受信するときの着信動作を変更させる電文を送信することを特徴とする交通機関案内システム。
【請求項8】
請求項4に記載の交通機関案内システムにおいて、
前記車両は、前記読取手段に近づけられた携帯端末に格納された電子マネーを徴収する徴収手段を備え、
前記携帯端末から電子マネーを徴収したとき、前記携帯端末の端末識別子を読取ると共に、記憶している前記車両識別子を読み出して前記端末識別子と車両識別子とを前記受付サーバに送信することを特徴とする交通機関案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−111330(P2010−111330A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287151(P2008−287151)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】