説明

人の身体によって排出される液体の吸引システム、およびそのための液体センサー

人の身体によって排出される身体液体(例えば、尿または分泌物)を除去するために、吸引システムが開示される。吸引システムは、液体センサーを有する身体インターフェイスデバイス、および身体インターフェイスデバイスに結合される吸引ユニットを備える。液体センサーは温度センサー、および/または抵抗ブリッジを備える。吸引システムは、真空チャンバー、真空チャンバーをあらかじめ真空で充たすためのポンプ、真空チャンバーと身体インターフェイスデバイスとの間に結合されるバルブ、および液体センサーにおいての身体液体の検出に応答して真空チャンバーから身体インターフェイスデバイスへ吸引吸込みを適用するバルブを制御するための制御回路を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、人の身体によって排出される液体を除去するための吸引システムに関する。本発明は特に尿の除去に適するが、本発明は尿のみに限定されることはなく、他の身体の液体および分泌物のために用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
特許文献1、特許文献2、および特許文献3は人間の尿の吸引システムを説明する。尿除去システムはしびんへの吸込みに適用する電気ポンプを含む。しびんは、液体の尿の存在が検出されるときにポンプを自動的に起動するための液体センサーを含む。3つの特許はすべて、センサーが液体に接触するときに液体を介する導通によって閉じるノーマルオープンの回路を形成する電極の形態で液体センサーを説明する。最後の特許も光学センサーの形態を取る代替的な液体センサーを説明する。
【0003】
尿を除去するためのそのような自動吸引システムの使用は、伝統的な尿管理技術に比較して十分な利点を提供する可能性を有している。例えば、システムは患者が、おむつを頻繁にチェックし交換するという病院スタッフまたは他の介護者の必然的な負担を伴う、尿を回収するためのおむつを着用する必要性を回避し得る。システムは尿を抜き取るための在宅の尿カテーテルに対する必要性も回避し得る。実質的に長時間カテーテルを挿入されている患者が罹患する院内尿道感染は相当な比率で存在する。そのような感染は、それらが致命的であり得、どれほど少なくとも院内での回復時間と病院スタッフおよび介護者の負担の増大を招くので、非常に重大である。
【0004】
商業上の需要を満たし、顧客の人気を改善するために従来技術設計の吸引液体除去システムにおける改善が望まれている。本発明の考案において、発明者は、改善のためになる1つの局面が尿を吸引するシステムの応答スピードにあるということを理解していた。本発明はこれらの問題に耐えることを念頭に発明された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,002,541号明細書
【特許文献2】米国特許第4,747,166号明細書
【特許文献3】米国特許第4,631,061号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(本発明の概要)
本発明の考案において、従来技術の液体検知技術を改善することが望まれていることが理解されていた。従来技術の液体検知技法は、実質的に短い回路の2つの電極に対して十分な量の液体に依存せざるを得ないことにより、または十分な導通感度を提供するためにしびんの広範囲にわたって電極を提供せざるを得ないことにより、非常に感度が悪いものであり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの局面において、本発明は、人の身体によって排出される身体液体を除去する吸引システムのための、温度センサーである液体センサーを提供する。
【0008】
温度センサーの使用は、センサーを広範囲に配置する必要なく、身体から出る身体液体の確実で迅速な表示を可能にする。尿のような液体は、周囲室温(通常、約23℃)よりも顕著に高く、また人間の皮膚に接近して配置されるセンサーの周囲温度(通常、約32℃)よりも高い、約37℃の温度で身体から出る。
【0009】
液体の存在は、(i)温度の急激な変化、および/または(ii)36℃を越えるというような、閾値を越える温度上昇の検出によって検出される。
【0010】
別の局面において、本発明は、人の身体によって排出される身体液体を除去する吸引システムのための、1つ以上のブリッジ要素の液体との接触に応答するブリッジ出力を生成する抵抗ブリッジ回路を備える液体センサーを提供する。ブリッジ回路は少なくとも1つの、液体が接触するときに抵抗が変化する要素を備える。要素は第1および第2の離れる方向に距離を置かれた電極を備える。
【0011】
液体センサーは、ブリッジ出力をモニターするモニター回路をさらに備え得る。
【0012】
ブリッジ回路の使用は、抵抗のゆるやかな変化を容易に検出され得るようにすることによって、高感度の液体検出器を提供する。これは、例えば、徹底的に短い回路の2つの電極に対して十分な量の液体に依存するよりも速い応答を提供する。
【0013】
また、別の局面での本発明の考案において、発明者は、一旦液体が検出されたときの吸引吸込みの適用態様を改善することが望まれていることを理解していた。上記の従来技術の技法は、吸込みポンプがスピードに達する間の遅れを本来的に含む。より強力なポンプを使用することも可能であり得るが、コスト、重量および装置の電力消費量がかなり加算される。
【0014】
この局面によると、本発明は、人の身体によって排出される身体液体を除去する吸引システムを提供し、システムは、真空チャンバー、真空チャンバーを真空で充たすためのポンプ、自身を介して液体が回収され液体センサーを有する身体インターフェイスデバイス(例えば、しびん)、身体インターフェイスデバイスから液体を出す方向に吸込むためにチャンバーから身体インターフェイスデバイスへの真空適用を制御する電子制御バルブ、およびバルブを制御する制御回路を備える。
【0015】
そのような配置では、ポンプがスタートアップし標準のくみ上げ容量に達するのを待つよりも早く、あらかじめ真空にされた真空チャンバーから真空が適用され得る。これは迅速な応答および身体インターフェイスデバイスからの大量の液体の除去を容易にし、それにより、流出のおそれまたは身体インターフェイスデバイスの飽和を軽減する。真空チャンバーの使用はまた、ポンプの容量よりも大きな瞬時の吸込みを提供する。
【0016】
バルブは、開口サイズに従って吸込み量を様々に調整するために、様々な開口のバルブであり得る。あるいは、バルブは開/閉バルブであり得る。制御回路は、パルス制御信号を生成することにより開/閉バルブの有効開口を制御するように構成され得る。有効開口は、パルス制御信号のオン−タイム対オフ−タイムの比で定義される。あるいは、バルブは、真空チャンバーからの2つ以上の、様々な抵抗を有する様々な吸込み経路の間で選択するための切替バルブであり得る。経路は、真空チャンバーからの大量吸込みを適用するための比較的無制限の経路、およびより少量の吸込みを適用するための比較的制限された経路を含み得る。
【0017】
別の概略の局面において、本発明は、人の身体によって排出される身体液体(例えば、尿または分泌物)を除去する吸引システムを提供する。吸引システムは、液体センサーを有する身体インターフェイスデバイス、および身体インターフェイスデバイスに結合される吸引ユニットを備える。液体センサーは温度センサーまたは抵抗ブリッジを備える。吸引ユニットは、真空チャンバー、真空チャンバーをあらかじめ真空で充たすためのポンプ、真空チャンバーと身体インターフェイスデバイスとの間に結合されるバルブ、および液体センサーの位置で身体液体の検出に応答して真空チャンバーから身体インターフェイスデバイスへ吸引吸込みを適用するバルブを制御するための制御回路を備える。
【0018】
本明細書を通して用いられるように、用語「真空」は大気圧よりも低い任意の圧力をいう。1つの形態において、用語「真空」は101kPaよりも低い圧力をいう。真空で「充たす」とは、真空を生成するために空気を除去することを意味する。また、本明細書に用いられるように、用語「しびん」は、人の身体の開口部から尿を直接受容するように構成される任意の形態または形状の任意のデバイス(例えば、カップ形状の女性用しびん、男性用コンドームしびん、または尿ストーミー身体装備)をいう。
【0019】
重要であると考えられる特徴が上記および/または特許請求の範囲の中で強調されるが、出願人は本明細書に開示されるおよび/または本発明の図に示される任意の新しい特徴または考えに対する特許請求の範囲の保護を、主眼点がその上に置かれるか否かにかかわらず、要求し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は液体除去システムの第1の実施形態の概略的なブロックダイアグラムである。
【図2】図2は液体除去システムのしびんの概略的な透視図である。
【図3】図3は抵抗ブリッジの概略的な回路ダイアグラムである。
【図4】図4は液体除去システムの第2の実施形態の概略的なブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
同一の参照数字は以下に説明される実施形態の各々において同一のまたは均等の特徴を示すために用いられる。
【0022】
図1を参照して、人の身体によって排出される液体を除去するための吸引システム12は一般に、吸引ユニット12aおよび吸引ユニット12aに柔軟な導管12cによって結合される身体インターフェイスデバイス12bを備える。柔軟な導管12cは吸引ユニット12aの一部分および/または身体インターフェイスデバイス12bの一部分とみなされ得る。身体インターフェイスデバイス12bは、回収されることが望まれる身体液体の排出位置で、またはその周りで身体に適合するように構成される。尿の除去の実施例において、身体インターフェイスデバイス12bは、男性または女性の着用者の生殖器領域、または外科的尿ストーミーに適合するように構成される。女性に対しては、身体インターフェイスデバイス12bは、しびんにぴったり適合する形態を取る(本明細書に図示されるように)。男性に対しては、身体インターフェイスデバイス12bはコンドームの形態を取る(図示されていない)。尿ストーマットにとって、身体インターフェイスデバイス12bはストーマ装備の形態を取る(図示されていない)。本発明の実施形態は、尿の除去が、除去される液体の量および液体排出速度の観点から最も挑戦的であるので、特に尿の除去に適している。器具の、液体を検出し除去する応答速度は、尿排出を管理する上で器具の能力における重要なファクターである。
【0023】
吸引ユニット12aは、真空チャンバー3、真空チャンバー3から空気を除去して真空チャンバー3を真空にするポンプ2、真空チャンバー3から身体インターフェイスデバイス12bへの真空の適用を制御するための、電子的に制御される制御バルブ9、およびバルブ9を制御する制御回路10を備える。真空チャンバー3内の圧力は圧力センサースイッチ1によってモニターされ、それは次に電力源4から(マスターデバイスオン/オフスイッチ5を介して)ポンプ2への電力適用を制御する。圧力が所定の(87.6kPaのような)閾値を越えるとき、圧力センサースイッチ1は閉じて、空気を汲み出し真空チャンバー3を真空で充たすためにポンプ2を操作する。一旦圧力が閾値未満に降下すると、圧力センサースイッチ1は開いてポンプ2を止める。圧力センサースイッチ1は真空チャンバー3内の圧力をモニターし続け、真空チャンバー3内を低圧真空に維持するのに必要なようにポンプ2を操作する。圧力センサースイッチ1は、ポンプ2が短時間の断続的な態様で連続的に起動することを回避するために、オプションとしてスイッチング閾値にヒステリシスを含み得る。加えて、あるいは、ポンプ2は、スイッチング閾値に到った後に所定の時間、汲み出し続けるよう制御され得る。
【0024】
本発明の実施形態において、制御バルブ9は、3ポートのソレノイド操作の切替バルブであり、身体インターフェイスデバイス12bを2つの並列の経路5a、5bのうちの1つを介して真空チャンバー3に結合する。経路5aは、身体インターフェイスデバイス12bに最大吸込みを適用して、液体が検出されたときに液体を除去するための、実質的に無制限の高真空経路である。経路5bは、器具の静止状態にある身体インターフェイスデバイス12bにゆるやかな吸込み(または吸込みなし)を適用するための、比較的制限された(高真空経路5aよりは制限される)低真空経路である。1つの形態においては、すべての吸込みを打ち切ることが望まれ、別の形態においては、身体インターフェイスデバイスが乾き続けるようにゆるやかな吸込みを維持し、液体または他の不純物の液滴を除去し、および/または身体インターフェイスデバイス12bに皮膚を優しく密着させることが望まれ得る。経路5b内のニードルバルブ8は、低真空のレベルが所望の量に調整されることを可能にし、またはニードルバルブ8を閉じることで打ち切られる吸込みのために調整されることを可能にする。本発明の実施形態において、フェールセーフとして、制御バルブ9は、制御バルブ9に電力が適用されずソレノイドが起動されていないときには低真空経路5bが選択され、ソレノイドを起動するために電力が制御バルブ9に適用されるときのみ高真空経路5aが選択されるように構成される。ただ2つの経路5a,5bのみが図示されているが、様々な流れ抵抗を持つ追加の並行経路が提供され得、それらの中で、吸込み制御の精細さを増加させるために制御バルブ9が経路を選択することが理解される。
【0025】
制御回路10は身体インターフェイスデバイス12b内に配置された液体センサー13からの入力を受信する。液体センサー13からの電気信号は、電気ケーブル33によって制御回路10に伝達される。1つの形態において、液体センサー13は、身体インターフェイスデバイス12bにおいて温度を測定する温度センサーを備える。比較的暖かい尿または身体分泌物のような身体液体が身体インターフェイスデバイス12b内に排出されるとき、温度は上昇する。身体液体の存在は、30℃と42℃との間で所定の閾値を越える温度値、および/または2秒以内に少なくとも1℃の温度上昇率を温度センサーが検知することで検出される。温度センサーの使用は、排出された身体液体の存在の確実で迅速な表示を提供し得る。
【0026】
別の形態において、液体センサー13は図3に示されるような抵抗ブリッジ回路を備え、液体に応答する少なくとも1つの要素Aを備える。要素Aは液体の存在に応答する抵抗を有し得る。要素Aは2つの離れる方向に距離を置かれた端子を備え得る。抵抗ブリッジ回路の使用は、少量の液体の存在においてさえも電気抵抗の変化を検知する液体センサーを提供し得る。
【0027】
あるいは、液体センサーは抵抗ブリッジ回路に温度センサーを備える、上記の両方の組み合わせであり得る。
【0028】
使用に際しては、制御回路10は、身体インターフェイスデバイス12bに入る身体液体の存在を検出するために、液体センサー13からの出力をモニターする。液体が検出されると、制御回路10は、身体インターフェイスデバイス12bに真空チャンバー3からの最大吸込みを適用するために高真空経路5aを選択するよう制御バルブ9を起動する。液体は柔軟な導管12c、制御バルブ9、および真空チャンバー3への高真空経路5aを介して身体インターフェイスデバイス12bから吸込まれる。真空チャンバー3において、液体は重力のもとで回収チャンバー7内に落下する。回収チャンバー7はオプションとして吸引ユニット12aに提供され得、または吸引ユニット12aの外部設備に結合され得る。どちらの場合にも、回収チャンバー7は、クリーニング、中身の取り出し、取り替えのために、適切なコネクター6によって取り外し可能に結合され得る。好ましくは、コネクター6はクイック分離のコネクターである。コネクターバルブ6aは、回収チャンバー7が取り外されるときに真空チャンバー3の真空が流出することを防止する。コネクターバルブ6aはコネクター6が分離されるときに手動で、または自動で操作され得る。回収チャンバー7はオプションとして、開状態と閉状態との間でトグルされ得るドレンバルブ7bを有するドレン排出部7aを含む。回収チャンバー7はオプションとして、回収された液体の量が視覚的に検査され測定されるように、目盛り7cを有して透明でもあり得、または目盛り付きの窓を含み得もする。
【0029】
あらかじめ真空で充たされた真空チャンバー3の使用は、真空ポンプのスタートまたは最大ポンプ速度への到達に関連するいかなる遅れもなく、大量の液体さえも速やかに除去するために、身体インターフェイスデバイス12bに高真空が迅速に適用されることを可能にする。また、液体は、ポンプの容量よりも大きな瞬間的容量で身体インターフェイスデバイスから吸い出され得る。その代わり、ポンプ2は真空チャンバー3をあらかじめ真空で充たし、規定時間を越えて真空チャンバー3の真空を維持しまたは再度真空で充たすために用いられる。ポンプ2はそれゆえ望ましくは比較的小さくおよび/または軽量であり得る。
【0030】
一旦、液体の大部分が吸い出されると、液体センサー13は液体なしの出力信号を発生させる。例えば、温度センサーの場合には、温度は周囲温度に向かって降下する。抵抗ブリッジの場合には、抵抗が液体のない前の値に戻る。応答して、制御回路10は、静止操作のために制御バルブ9の起動を停止し、低真空(または望まれる場合には吸込みなし)を適用する。制御回路10は、液体のないことが検出されるとすぐにか、または、液体のないことが検出された後、所定の遅延時間の後に、制御バルブ9の起動を停止し得る。
【0031】
手動スイッチ11も、制御回路10に結合されており、望まれるときには真空チャンバー3からの高真空吸込みを手動で命令するために提供される。手動スイッチ11は、バックアップのフェールセーフ制御と同様に、患者または介護者に追加の融通性を提供する。高真空吸込みは、所定の時間の間(制御回路10の中のタイマー回路を使って)か、手動スイッチ11が押し下げられ続けている間(スプリング搭載のプレスメイクのスイッチの場合)か、または、手動スイッチ11が高真空吸込みの停止を命令するために再度トグルされるか操作されるまでの間、適用され得る。
【0032】
図1の概略図、および図2のより詳細な図を参照して、身体インターフェイスデバイス12bはクリーニングを容易にするために、身体に取り外し可能に取り付け可能であり、再取り付け可能である。身体インターフェイスデバイス12bのカバー部品15は、快適性および身体へのシールを提供するために、身体アタッチメント14aの近傍に配置される、柔軟なブーツまたはスカート14を有し得る。ブーツ14は、真空が適用されるときに密着動作を与え得る。身体アタッチメント14aは、皮膚16およびブーツ14に粘着剤でかみ合い得る。カバー部品15は、柔らかくて幾分剛性のある、および/または柔軟な材料から作られる外部覆いを備える。2つのチャンバーがカバー15内に構成され、チャンバー分割部30によって分割される。第1のまたは内側のチャンバー15aの中に、カバー部品15が身体に最も近接する出入口領域において、カバー15の全内部領域を覆い、第1の内側チャンバー15aの主要要素である、内側の連続発泡体24がある。複数の小さな空気導入口27が、内側の連続発泡体24の外縁部周囲および下側に提供されている。
【0033】
チャンバー分割部30は、内側の連続発泡体24の下側に直接的に提供されており、内側の連続発泡体24よりも流体浸透に対する抵抗がある材料から成る。チャンバー分割部30は、外部覆い29にシールを提供するように取り付けられている。チャンバー分割部30は、そこを除去流体が通過する、中央のスリット開口部28を有する。空気導入口27は、導入口27からチャンバー分割部30に沿って中央のスリット開口部28に入る空気流れを提供するように配置され、それによって流体を中央のスリット開口部28に向ける。単体の中央のスリット開口部28の代替として、チャンバー分割部30はその表面上に複数の穴から成る開口を備え得る。
【0034】
チャンバー分割部30の下には、チャンバー分割部30および外部覆い29を支持し、これらによって閉じ込められる外側の連続発泡体23がある。液体センサー13(温度センサーまたは抵抗ブリッジ)は、中央のスリット開口部28の中央および例えば(女性の尿除去システムにおける)尿道の直接のライン内にあるように、外側の連続発泡体23の上部に配置されている。接続導管31は、外部覆い29および/または外側の連続発泡体23に取り付けられており、接続導管31が配置される外部覆い29内の穴は尿道および液体センサー13のあるライン内にあり、液体が吸い出される経路を提供する。液体センサー13からの電気ケーブル33は外側の連続発泡体23を通り抜け、外部覆い29を通り抜けて、吸引ユニット12aに向かう接続導管31に添う。接続導管31および電気ケーブル33は、(i)着用者が身体インターフェイスデバイス12bを身体から取り除くことなしに吸引ユニット12aを一時的に分離し、および/または(ii)身体インターフェイスデバイス12bまたはそのカバー部品15を交換することを可能にするクイック分離25を含む。クイック分離25は、吸込み接続導管31および電気ケーブル33のための分離コネクターを備え得、またはクイック分離25は、共有のコネクターハウジング内において両者のコネクターを一体化し得る。
【0035】
身体インターフェイスデバイス12bの別の実施形態において、クイック分離25は、接続導管31の先導端がカバー部品15の開口部および外側のチャンバー15bに挿入される接続導管31の近接端近傍に配置される一方の部分を有し得る。液体センサー13は、接続導管31の外側表面に装着され得、クイック分離25は、接続導管31を有する液体センサー13が身体インターフェイスデバイス12b特定のクイック分離25のもう一方の部分を通り抜け、尿流れのライン内にあるように中央のスリット開口部28に整列するように構成される。クイック分離25はこの整列を提供する特徴を有する。接続導管31は、その端の近傍に、身体インターフェイスデバイス12bに接続されるときに外側のチャンバー15bの内部にあるような、複数の開口部を有する。接続導管31の開口端は、接続導管31の端近傍の他の開口部を越えて真空をもたらすような制限を有し得る。また、接続導管31および電気ケーブル33の末端は、吸引ユニット12aから分離され得る(図示されていない)。この実施形態は接続導管31および液体センサー13が身体インターフェイスデバイス12bから完全に取り外されて、新規の身体インターフェイスデバイス12bまたは身体から排出される液体の回収に用いられる他のインターフェイスに接続されることを可能にする。さらに、液体センサー13を有する接続導管31は取り替え可能であり得、吸引ユニット12aが新規の接続導管およびセンサーに再使用されることを可能にする。
【0036】
排尿または液体分泌が生じると、液体は内側の連続発泡体24を通り抜け、液体センサー13に接触する。制御回路10は、前述のように、制御バルブ9を操作して高真空を適用する。外側の連続発泡体23から成る外側のチャンバーは、中央のスリット開口部28を介して吸引する適用された高真空によって減圧される。大気は、中央のスリット開口部28を介して排出される液体を外側のチャンバーおよび接続導管31に送り、身体から外に出すために、空気導入口27を介してチャンバー分割部30の上部表面に沿って吸引される。
【0037】
本発明の実施形態は、特に人の身体からの尿の除去に適し、図示される身体インターフェイスデバイス12bは女性の身体に適合するしびんとして形作られる。しかしながら、身体インターフェイスデバイス12bは、男性のペニスに適合するためにコンドームとして形作られ得ることが理解される。しびん身体インターフェイスデバイス12bが尿ストーマットのストーマへの接続のために構成され得ることも理解される。身体インターフェイスデバイス12bの他の構成が、身体から回収されるべき液体または分泌物の種類に基づいて提供され得る。
【0038】
図4は、第1の実施形態に類似の、液体除去システムの第2の実施形態を示す。主要な相違点は、第2の実施形態においては、単一の導管経路5cが真空チャンバー3と身体インターフェイスデバイス12bとの間に提供されていることである。真空チャンバー3から身体インターフェイスデバイス12bに適用される真空の量は、制御回路10の制御のもとで、制御バルブ20によって可変に調整される。
【0039】
制御バルブ20は可変の開口またはオリフィスを有し得る。可変開口バルブは位置サーボ制御バルブのような連続的な可変開口バルブ、または所定の複数の不連続な開口サイズを有するバルブを含む。どちらの場合にも、バルブ部材の位置、および開口サイズは制御回路10からの制御信号によって制御される。
【0040】
あるいは、制御バルブ20は、オン/オフ形式のものであり得、パルス変調された開/閉制御信号によって有効開口が制御される。有効開口は、相対的なオン(開):オフ(閉)期間として定義される制御パルスのマーク:スペースの比率に依存する。
【0041】
制御回路10は、身体インターフェイスデバイス12bに適用される真空を可変に調整するために、制御バルブ20を制御する制御信号を生成するように構成される。制御回路10は、液体センサー13からの、および真空センサー18(これは第1の実施形態の圧力センサースイッチ1に取って代わる)からの入力を受信する。制御回路10はオプションとして流体フローセンサー20aからのさらなる入力を受信する。流体フローセンサー20aは導管5cを通る流速を測定する。流体フローセンサー20aは、便利なことに制御バルブ20内に含まれ得る。制御バルブ20の制御に加えて、制御回路10はポンプ2を制御する。制御回路10は、第1の実施形態におけるように、手動スイッチ11からの手動の命令入力をも受信し得る。
【0042】
吸引システム12aの機能は、制御回路10が、真空センサー18、液体センサー13、および流体フローセンサー20aからの入力に基づいて、ポンプ2、および制御バルブ9の制御を監視するということを除いて、第1の実施形態に対して説明されたものに類似している。制御回路10は、バルブ開口を制御することにより高真空および低真空(または真空なし)の状態を提供するために、制御バルブ20を制御する。
【0043】
制御回路10は、単に存在またはその反対を検出する代わりに、身体インターフェイスデバイス12bに入る液体の量または速度を決定し、身体から液体が排出される速度に基づいた速度で液体を除去するために、制御バルブ20を可変に制御して液体の量に応じた真空量を適用するために作動し得る。これは着用者にとってより快適であり得る。
【0044】
加えて、あるいは、液体の流速に基づいて、制御回路10は、真空チャンバー3内の真空をできるだけ長く保つために、ポンプ2を通常よりも早く起動するように構成され得る。
【0045】
制御回路10は、入力信号を用いて、生成される出力制御信号を定義するあらかじめプログラムされた情報マップにアクセスするような、あらかじめプログラムされた態様で、入力に応答するように構成されたマイクロコントローラーを含み得る。制御回路10は、真空レベルスイッチングおよび液体検出を、可変のセンサー入力に基づく制御回路10の中で判断し得るか、または、その判断はセンサーそれ自体において実行され得る。センサーのスイッチング閾値は管理者によってプログラムに組まれ得る。
【0046】
前述の説明は単に本発明の好ましい実施形態を示すものであり、多くの修正、改善、および均等物が本発明の特許請求範囲に含まれ得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の身体によって排出される液体を除去するための吸引システムに用いられる液体センサーであって、該液体センサーは排出される身体液体の存在を検知するように構成され、該液体センサーは温度センサー、および/または液体に応答する抵抗ブリッジである、液体センサー。
【請求項2】
前記液体センサーは前記温度センサーであり、30℃と42℃との間の所定の閾値を越える温度が検出されるときに、前記身体液体の存在を示す出力信号を発生させる制御回路をさらに備える、請求項1に記載の液体センサー。
【請求項3】
前記液体センサーは前記温度センサーであり、所定の増加率を越える温度が検出されるときに、前記身体液体の存在を示す出力信号を発生させる制御回路をさらに備える、請求項1に記載の液体センサー。
【請求項4】
前記閾値は30℃と42℃との間にある、請求項2に記載の液体センサー。
【請求項5】
前記閾値は2秒以内での少なくとも1℃の温度上昇である、請求項2に記載の液体センサー。
【請求項6】
前記液体センサーは前記液体に応答する抵抗ブリッジであり、該抵抗ブリッジは、液体による接触に応答する抵抗を有する少なくとも1つの要素を備える、請求項1に記載の液体センサー。
【請求項7】
変化閾値を越える変化が検知されるときに、前記身体液体の存在を示す出力信号を生成するように構成される制御回路をさらに備える、請求項1に記載の液体センサー。
【請求項8】
液体を除去する吸引システムの部分として人の身体に適合するための身体インターフェイスデバイスであって、該液体は該人の身体によって該身体インターフェイスデバイスの中に排出され、該身体インターフェイスデバイスは、
吸込み通路を収容するハウジングと、
該身体インターフェイスデバイス内の該排出身体液体の存在を検出するための液体センサーであって、該液体センサーは温度センサー、および/または液体に応答する抵抗ブリッジである、液体センサーと
を備える、デバイス。
【請求項9】
前記吸込み通路を吸引ユニットの吸引通路に取り外し可能に接続するための吸引コネクターと、前記液体センサーを該吸引ユニットに電気的に接続するための電気信号コネクターとをさらに備える、請求項8に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項10】
前記ハウジングはチャンバー分割部によって分割される第1および第2のチャンバーを提供し、
該第1のチャンバーは、前記身体からのオフセットおよび身体液体の初期放出容量を提供するために該ハウジングのインターフェイス出入口において提供され、
該第2のチャンバーは該第1のチャンバーへの吸込み適用のために該第1のチャンバーの背後に提供される、
請求項8に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項11】
前記吸引通路および電気信号コネクターは前記吸引ユニットに取り外し可能に接続され、前記液体センサーは該吸引通路に取り付けられる、請求項9に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項12】
前記第1および第2のチャンバーのうちの少なくとも1つは連続発泡体材料を含み、前記チャンバー分割部は連続発泡体材料よりも浸透性がないように構成される、請求項10に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項13】
前記チャンバー分割部は前記複数のチャンバー間に流体流れを導くように構成される、請求項10に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項14】
前記チャンバー分割部は、自身に1つ以上の切れ目を有する、概して流体非浸透性の材料からなる壁を備える、請求項10に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項15】
前記切れ目はスリットの形態を取る、請求項14に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項16】
前記切れ目は複数の開口を備える、請求項14に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項17】
前記ハウジングは、液体を前記第1のチャンバーから前記第2のチャンバーまで輸送する空気流れを引き起こすために、該第1のチャンバーと連絡する複数の空気導入口の開口を備える、請求項10に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項18】
前記液体センサーは少なくとも1つの前記チャンバーと密接な連絡を取るようにして配置される、請求項10に記載の身体インターフェイスデバイス。
【請求項19】
人の身体から排出される身体液体を除去するための吸引システムであって、
該システムは、
該身体によって排出される身体液体を受容するための、該人の身体に適合する身体インターフェイスデバイスであって、該身体インターフェイスデバイスは温度センサー、および/または液体に応答する抵抗ブリッジから成る群から選択される液体センサーを備える、身体インターフェイスデバイスと、
吸引吸込み源と、
該液体センサーの出力に応答し、該身体液体を除去するために該身体インターフェイスデバイスへの吸引吸込みの適用を制御するように構成される制御回路と
を備える、システム。
【請求項20】
人の身体から排出される身体液体を除去するための吸引システムであって、
該システムは、
該身体によって排出される身体液体を受容するための、該人の身体に適合する身体インターフェイスデバイスであって、該身体インターフェイスデバイスは液体センサーを含む、身体インターフェイスデバイスと、
真空を貯蔵するための真空チャンバーと、
該真空チャンバーを真空で充たすために該真空チャンバーに結合されるポンプと、
該真空チャンバーから該身体インターフェイスデバイスへの吸引吸込みの適用を制御するための、該身体インターフェイスデバイスと該真空チャンバーとの間に結合された制御バルブと、
該液体センサーの出力に応答し、該バルブを制御するように結合された制御回路と
を備える、システム。
【請求項21】
前記制御回路は、前記排出された身体液体の存在が前記液体センサーによって検出されるときに、高吸引吸込みを適用するために前記制御バルブを制御するように構成される、請求項20に記載の吸引システム。
【請求項22】
前記制御回路は、前記排出された身体液体の存在が前記液体センサーによって検出されないときに、吸引吸込みを減少または停止させるために前記制御バルブを制御するように構成される、請求項20に記載の吸引システム。
【請求項23】
前記制御回路は、一旦、前記排出された身体液体の存在が前記液体センサーによってもはや検出されなくなると、所定の時間、高吸引吸込みを継続するように前記制御バルブを制御し、その後に前記制御回路は吸引吸込みを減少または停止させるために前記制御バルブを制御するように構成される、請求項22に記載の吸引システム。
【請求項24】
前記ポンプは、前記真空チャンバー内の圧力が所定の閾値を越えるときはいつでも該真空チャンバーを真空で充たすように制御される、請求項20に記載の吸引システム。
【請求項25】
前記真空チャンバー内の圧力レベルを検知するための前記真空チャンバーに結合される真空センサーであって、前記ポンプは該真空センサーによって生成される信号に応答して制御される、真空センサーをさらに備える、請求項24に記載の吸引システム。
【請求項26】
吸引される液体の回収のための回収チャンバーに取り外し可能に結合されるコネクターをさらに備え、該コネクターは、該回収チャンバーが該コネクターから分離されるときに該真空が流出するのを防止するコネクターバルブを含む、請求項20に記載の吸引システム。
【請求項27】
前記制御バルブは、複数の流路のうちの1つを選択するための切替バルブ、連続的に可変の開口バルブ、複数の固定の開口サイズを有する可変開口バルブ、開/閉バルブ、のうちから選択される、請求項20に記載の吸引システム。
【請求項28】
前記制御バルブは、実質的に無制限の高真空経路と比較的制限される低真空経路との間を選択する切替バルブである、請求項27に記載の吸引システム。
【請求項29】
前記制御回路は、検知される入力値へのあらかじめプログラムされた制御応答を含む情報マップを有するコントローラーを備える、請求項20に記載の吸引システム。
【請求項30】
前記人の身体から排出される身体液体を除去するシステムを形成するための、身体インターフェイスデバイスに結合される吸引システムであって、
該吸引システムは、
自身への吸込みを適用するために該身体インターフェイスデバイスの吸引経路に結合する吸引コネクターと、
該液体センサーからの信号を受信するために、該身体インターフェイスデバイスの液体センサーに結合される信号コネクターと、
真空を貯蔵するための真空チャンバーと、
該真空チャンバーを真空で充たすためのポンプと、
該真空チャンバーと該吸引コネクターとの間に結合される制御バルブと、
該液体センサーからの信号に応答して該真空チャンバーからの吸引吸込みを適用するように該制御バルブを制御するための、該制御バルブと該信号コネクターに結合される制御回路と
を備える、システム。
【請求項31】
人の身体によって排出される身体液体を除去する吸引システムの身体インターフェイスデバイスにおいて、該身体インターフェイスデバイスに到達する排出された身体液体の存在を検出する方法であって、該方法は、該身体インターフェイスデバイスにおける温度をモニターすることを含む、方法。
【請求項32】
人の身体によって排出される身体液体を除去する吸引システムの身体インターフェイスデバイスにおいて、該身体インターフェイスに到達する排出された身体液体の存在を検出する方法であって、該方法は、該液体の存在に応答する抵抗を有する少なくとも1つの要素を含み、該身体インターフェイスデバイスに配置される、抵抗ブリッジ回路の出力をモニターすることを含む、方法。
【請求項33】
人の身体によって排出される身体液体を除去する吸引システムの身体インターフェイスデバイスに吸引吸込みを適用する方法であって、
該方法は、
真空を貯蔵するために真空チャンバーをあらかじめ真空で充たすことと、
該身体インターフェイスデバイスに到達する該液体の存在を検出することと、
該液体の検出に応答して、該真空チャンバーから該身体インターフェイスデバイスへ吸込みを適用するバルブを制御することと
を含む、方法。
【請求項34】
前記真空チャンバー内の圧力が閾値を越えるときはいつでも該真空チャンバーを真空で充たすためにポンプを操作することを、さらに含む、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−536439(P2010−536439A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521224(P2010−521224)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/073494
【国際公開番号】WO2009/026237
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(509342795)コンバテック テクノロジーズ インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】