説明

人工知能支援の医療参照のシステムおよび方法

患者属性と1つ以上の有害事象(Adverse Events;AE)との間の相関に関する情報を識別および提供する臨床意思決定支援システムとともに使用するコンピュータ実装方法、システム、およびコンピュータ可読記憶媒体を提供する。一実施例では、プロセスは、AEと患者属性との間の相関に対してAEおよび1つ以上の患者属性を含むデータベース情報を処理することと、1つ以上のAEと1つ以上の患者属性との間の少なくとも1つの相関を識別することとを含む。相関は、1つ以上の相関ルールを決定するための相関ルール発見プロセスを介して発見されてもよく、各相関ルールは、確信度、支持度、および/または他の閾値を満たす。例示的なプロセスは、識別または発見された相関に基づいて、ユーザに情報または警告をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/171,796号(2009年4月22日出願)の利益を主張し、この出願は、その全体が本明細書に参照によりあらゆる目的のために援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、ユーザに有害事象(例えば、市販前および市販後の有害薬物事象、報告された有害事象等)および患者属性(例えば、投薬、条件、症状、医療デバイスまたは手技、人口統計データ等)を処理するコンピュータベースの臨床意思決定支援システムに関し、それにより、潜在的に重要な相関(原因であるか否かにかかわらず)に関する警告を提供すること、および/またはユーザのクエリに応答して医薬品ラベルから回収される結果に優先順位を付けることを行う。
【背景技術】
【0003】
所与の疾病または疾患の治療に対して、薬物が国の規制機関によって承認された後に、該薬物と関連付けられることが既知である安全性情報が、許容可能な複雑性要因の観点から狭く定義される、比較的小さい患者集団を登録した臨床試験からの結果の損益分析から生じることが多い。安全性情報は、一般的には、ユーザによる使用および参照に対して、薬物に付属される。さらに、いくつかの規制機関(米国食品医薬品局(FDA)等)は、市販後の安全性監視または医薬品安全性監視として既知のプロセスにおいて、様々な薬物に関する安全性情報を列記するデータベースを維持する(例えば、FDAは、安全性情報の大規模な有害事象症例報告(Adverse Event Reporting System;AERS)データベースを維持する)。
【0004】
薬物が承認され、臨床試験環境の外で使用された後に、薬物は、多くの場合、臨床試験の患者と比較すると、患者が服用している他の薬剤の数および種類、ならびに患者がすでに有している背景条件および症状の観点からみて、はるかに複雑である患者によって使用される。薬物が使用に対して承認され、有害事象(adverse event;AE)または有害薬物反応(adverse drug reaction;ADR)等の追加の安全事象が、市販後の安全性監視によって発見された後に、規制機関は、製薬業者に、注意および他の警告を薬物ラベルに追加することによって、その新しい情報を反映させるよう要求する。しかしながら、一部の薬物・薬物相互作用情報は、薬物のラベルで公開され得るが、任意の特定の薬物と関連付けられる全く新しい1組の深刻な有害事象は、1)別の追加の薬物が承認され、2つの薬物が、どちらに対しても薬物ラベルに反映されないAEもしくはADRと関連付けられたとき、あるいは2)薬物が、規制機関の承認が基づいている最初の「登録」臨床試験において認められなかった(すなわち、試験対象患者基準内になかったか、もしくは試験除外基準に列挙された)背景条件および症状もしくは他の患者属性、またはそれらが認められた場合、それらの特定の背景条件および症状もしくは他の患者属性を有する患者において、AEもしくはADRの該薬物との有意な相関の検出を可能にするために十分に高い数値で含まれなかった背景条件および症状もしくは他の患者属性を有する患者に使用されるときに認識され得る。結果として、薬物ラベルに表示されるような薬物のAEまたはADRとの関係性のみへの依存は、薬物が市場における使用に対して規制機関によって承認された後に、クリニックで観察されるAEまたはADR経験を説明するには不十分であり得る。実際に、米国国立医科学アカデミー(U.S.National Academy of Science’s Institute of Medicine)は、公開された薬物ラベルデータへのアクセスに基づく、ポイント・オブ・ケア薬物・薬物相互作用検出製品の利用可能性にもかかわらず、毎年、米国において、150万を超えるADRが報告され続けていることに注目している。さらに、薬物ラベルが公開される前でさえ、すなわち、薬物が市場における使用に対して規制機関によって承認される前に、または市場における使用に対して承認された後であるが、新しい疾病または症状に対して、もしくは新しい患者人口集団において承認される前に、該薬物は、「適応外」使用として既知であるプロセスにおいて、医療従事者によって処方されることが、規制機関によって許可される。したがって、薬物ラベルが存在しないか、または薬物が処方されている患者の種類に対して、安全性もしくは有効性情報が既存の薬物ラベルで公開されていない時に、薬物が処方される状況が多く存在する。該薬物の適応外使用と関連付けられる任意の後続のAEまたはADRは、規制機関に報告される場合もされない場合もある。それ故に、一部の医療従事者によって経験されるAEまたはADRに関する重要な意思決定支援情報は、同様に適応外使用で該薬物を処方する他の医療従事者が利用可能ではない場合がある。
【0005】
薬物ラベル情報は、薬物を製造する製薬会社によって公開される。ユーザが薬物ラベルを検索し、特定の処方薬が引き起こし得るか、または別様に関連付けられ得るAEまたはADRを見つけるために、ポイント・オブ・ケア医療参照システムまたは意思決定支援システム(DSS)を使用することができる。この機能は、医師が、どの薬物(複数を含む)が観察されたAE(単数または複数)の一因となっている可能性があるのかに関して、より情報に基づく決定を下すことを可能にする。しかしながら、FDA等の規制機関は、それらのAERSデータベースに報告されるようなFDAの市販後安全性監視に基づいて、または一般的な第4相試験から得られるような補足的臨床試験情報から、特定の安全事象に関する特定の閾値が達成されるまで、製薬業者がそれらの薬物ラベルを更新することを要求しない。結果として、薬物が何千または何十万もの患者に処方されるまで検出されることができない、より深刻なADR(一般的には、入院または死亡を引き起こすもの)の多くが、薬物が最初に市場における使用に対して承認された日から数年経つまで発見されず、薬物のラベルで公開されない。さらに、薬物(複数を含む)とAEとの間の相関が立証され、製薬業者によって薬物のラベルで公開されることがFDAによって要求される時間から、更新された薬物ラベルが公開され、医療従事者が利用可能となる前に、有意な遅延が生じ得る。その間に、ADRの頻度を低減するか、またはADRを予防するために、医療従事者は、彼らの医学的処置または予防の決定を支持するために、薬物ラベル以外の追加の薬物安全性情報源に頼らなければならない。しかしながら、特定の薬物、薬物の組み合わせ、または薬物−患者属性の組み合わせと関連付けられる深刻な安全事象が規制機関に報告された場合でさえ、それらの報告に関する情報は、医療従事者が入手しやすくない場合があり、医療専門家を、医薬品安全性監視の取り組みによって発見されたが、医療専門家にまだ公開されていない、および/または入手可能ではない、有意な薬物−AE相関に関する該情報を知らないままにする。
【0006】
さらに、DSSによるADRクエリの処理の過程において、薬物ラベルから回収され、クエリを行う医師に示される結果の順序を決定するために、事前指定ランク付けまたは優先順位付けアルゴリズムを使用することは、治療されている患者の種類に対する薬物ラベルから回収される情報の関係性を無視するか、あるいは、アルゴリズムが該情報を本来認識していると仮定する。薬物ラベルに含有されるADR情報が、市販後の世界における該ADRの重症度および頻度の現実(すなわち、薬物の承認が基づいた臨床試験で使用された比較的小さい、かつ人口統計学的に定義された患者集団以外の該薬物の安全性経験)を反映する程度は、多くの要因によって左右され、薬物ラベルが市販後の世界におけるそれらの要因の変化を反映するように更新される頻度を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に従って、警告を提供するか、または潜在的なAEを表示するために使用され得る、患者属性と1つ以上のAEとの間の相関に関する情報を識別および提供するための臨床意思決定支援システムによって使用するための、コンピュータ実装方法、システム、およびコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0008】
一実施例では、患者属性と1つ以上のAEとの間の相関に関する情報(例えば、警告)を提供するためのプロセスは、AEと患者属性との間の相関に対するAEおよび1つ以上の患者属性を含むデータベース情報を処理することを含む。AEおよび患者属性のデータベースは、処方薬または非処方薬、ハーブ系サプリメント、他の物質または食物、医療デバイス、臨床的手技、他の患者属性、人口統計データ等と関連付けられるAERSデータ、ADR、AEを含むユーザ生成報告、付加的な安全事象を含んでもよい。例示的なプロセスは、1つ以上のAEと1つ以上の患者属性との間の少なくとも1つの相関を識別することをさらに含む。相関は、1つ以上の相関ルールを決定するための相関ルール発見または他の人工知能(AI)技術プロセスによって発見されてもよく、各相関ルールは、確信度、支持度、および/または他の統計パラメータに対する1つ以上の閾値を満たす。例示的なプロセスはさらに、識別または発見された相関に基づいて、ユーザに情報を提供する。情報は、警告、報告、公報等を含んでもよい。
【0009】
一実施例では、識別された相関は、患者データ記録(例えば、病院、機関、またはユーザと関連付けられる)を処理し、潜在的なリスクまたは安全性情報の相関ルールに基づく識別に左右され得る患者のユーザに警告するために、使用されてもよい。例えば、識別された相関は、2つの薬物の使用とAEとの間の関係を識別するために使用されてもよく、それに関して、ユーザは警告される。一実施例では、処方薬およびAEを含む1組の患者データは、識別された相関に基づいて分析されてもよい。
【0010】
別の実施例では、ルール発見プロセスおよび発見された相関は、医薬品ラベルにおいて公開されるADRに関する情報を表示するために使用されてもよい。例えば、該システムおよびプロセスは、コンピュータベースの医療参照システムによって行われたADRクエリの医薬品ラベルから得られた結果の優先順位を変更するために、ルール発見プロセスを使用してもよい。通常何らかの事前指定優先順位付けアルゴリズムに従って戻される、薬物ラベルから得られた結果は、一選択肢として、AIに基づく加重係数が適用されることを可能にすることによって再びランク付けされる。例えば、例示的なプロセスは、薬物ラベルセグメント等の薬物安全性または有効性情報の記録を記憶するコンピュータ可読記憶装置にアクセスすることと、(重要な語、強調された言語等の密度に基づく、ランク付けアルゴリズムに従って、)入力された患者属性に基づいて、薬物ラベルセグメントの少なくとも一部分を順序付けることと、1つ以上の相関ルールを薬物ラベルセグメントに適用することであって、相関ルールは、AEおよび患者属性のデータベースから識別される、ことと、相関ルールに基づいて、薬物ラベルセグメントを再び順序付けることとを含む。
【0011】
他の実施形態に従って、システム、装置(例えば、コンピュータ、サーバコンピュータ等)、インターフェース、および記載したプロセスを実行するためのコンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本願は、添付の図面およびその中に含まれるスクリーンショット(図中、同様の要素は、同様の番号によって言及される)と併せて以下の説明を参照することによって、最適に理解され得る。
【図1】図1は、本明細書に記載するシステムおよびプロセスを支援するための例示的なシステムアーキテクチャおよび環境を示す。
【図2】図2は、本明細書に記載するシステムおよびプロセスを支援するための例示的なシステムアーキテクチャを示す。
【図3A】図3Aおよび3Bは、ルール発見プロセスで使用するための二項ツリーを示す。
【図3B】図3Aおよび3Bは、ルール発見プロセスで使用するための二項ツリーを示す。
【図4A】図4Aは、AEと患者属性との間の潜在的に重要な相関に関する警告をユーザに提供するための例示的なプロセスを示す。
【図4B】図4Bは、AEと患者属性との間の有意な相関を検出し、警告を提供する作用の概略図を示す。
【図5】図5は、ユーザのクエリに応答して、情報の表示(例えば、ランク付けまたは優先順位付けスコア)を変更するための例示的なプロセスを示す。
【図6】図6は、ポイント・オブ・ケアDSSに基づくADRクエリの例示的なスクリーンショットを示す。
【図7】図7は、患者によって服用されている薬物と関連付けられる医薬品ラベルから抽出される情報の例示的なスクリーンショットを示す。
【図8】図8は、所定のアルゴリズムを使用して、ランク付けまたは優先順位付けスコアを割り当てられる、抽出された情報の例示的なスクリーンショットを示す。
【図9】図9は、ADRクエリを行う医師(ユーザ)に表示し返すために順序付けられる、薬物ラベルから得られる抽出された情報の例示的なスクリーンショットを示す。
【図10】図10および11は、検索結果の変更されていない、および変更された表示の例示的なスクリーンショットを示し、変更された表示は、本明細書に記載する例示的なプロセスに基づく。
【図11】図10および11は、検索結果の変更されていない、および変更された表示の例示的なスクリーンショットを示し、変更された表示は、本明細書に記載する例示的なプロセスに基づく。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、多くの特定の構成、パラメータ等を記載する。しかしながら、かかる説明は、本発明の範囲を限定するものとして意図されず、むしろ、例示的な実施形態の説明として提供されると認識されるべきである。
【0014】
概して、一実施例では、AE(ADRを含む)および患者属性のデータベース情報を処理し、1つ以上のAEと1つ以上の患者属性との間の相関ルールを識別するためのシステムおよびプロセスを記載する。例えば、AEおよび患者属性のデータベースを評価し、所定の閾値(例えば、支持度、確信度、関心度等に対する)を満たす相関(例えば、ルール)を発見するために、1つ以上のアルゴリズムが使用されてもよい。かかるルールは、AEおよび患者属性の処理のために、医療ポイント・オブ・ケア臨床参照システムまたは意思決定支援システム(DSS)内で使用されてもよい。
【0015】
一実施例では、例示的なプロセスは、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムのユーザに、AEと患者属性との間の潜在的に重要な相関(原因であるか否かにかかわらず)を通知または警告することを含む。例えば、コンピュータベースの臨床意思決定支援システムは、概して、AE(例えば、市販前および市販後の有害薬物事象、報告されたAE等)を処理し、相関を決定し、ユーザに警告を提供する。一実施例では、相関は、患者データ(例えば、病院または機関と関連付けられる患者データ)に適用され、患者特有の警告または1人以上の患者に特有の通知を提供する。別の実施例では、ユーザのクエリに応答して、医薬品ラベルから回収される結果に優先順位を付けるためのシステムおよびプロセスを提供する。
【0016】
(I.システムアーキテクチャおよび環境)
最初に、図1を参照すると、ユーザインターフェース、装置、およびプロセスのある特定の側面および実施例が記載される、例示的な環境が提供される。概して、1つ以上のクライアント12は、サーバ10にアクセスしてもよく、それは、記載する1つ以上の例示的なプロセスを実行するためのロジックを含むか、またはそれにアクセスし、例えば、ユーザがクエリを入力すること、結果をレビューすること、情報および警告を受信すること等のためのインターフェースを提供する。サーバ10およびクライアント12は、処理ユニット、メモリ(本明細書に記載する機能の一部または全部を実行するためのロジックまたはソフトウェアを含んでもよい)、および通信インターフェース、ならびに他の従来のコンピュータコンポーネント(例えば、キーボード/キーパッドおよび/またはマウス等の入力デバイス、ディスプレイ等の出力デバイス)を有する、様々な種類のコンピュータデバイスのうちのいずれか1つを含んでもよい。例えば、クライアント12は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、手持ち式コンピュータデバイス、携帯電話、ウェブ対応電話、スマートフォン等の携帯デバイスを含んでもよい。
【0017】
クライアント12およびサーバ10は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはインターネット等のネットワーク14を介した好適な通信インターフェースを使用して、通信してもよい。クライアント12およびサーバ10は、イーサネット(登録商標)、IEEE 802.11b無線等の無線または有線通信を介して、部分的または全体的に通信してもよい。加えて、クライアント12とサーバ10との間の通信は、メールサーバ、モバイルサーバ、メディアサーバ等の様々なサーバを含むか、またはそれらと通信してもよい。
【0018】
サーバ10は、概して、ロジック(例えば、httpウェブサーバロジック)を含むか、または好ましくは本明細書に記載する形式で、クライアント12のユーザに表示するために、ローカルもしくはリモートデータベースまたは他のデータおよびコンテンツソースからアクセスされるデータをフォーマットするようにプログラムされる。例えば、サーバ10は、データをフォーマットする、および/またはローカルもしくはリモートデータベースにアクセスし、クライアント12へのインターフェース、インターフェース内の表示のためのオブジェクトに関するデータ(例えば、検索インターフェース、およびオブジェクトを表示するための表示ウィンドウを含んでもよい)、オブジェクトに関する付加的な情報および/またはコンテンツへのリンク、付加的なコンテンツおよび/または情報自体等を伝達し、表示を引き起こす。この目的のために、サーバ10は、情報を提示し、クライアント12からの入力を受信するために、共通ゲートウェイインターフェース(CGI)プロトコルおよび関連アプリケーション(または「スクリプト」、Java(登録商標)「サーブレット」、すなわち、ウェブサーバ上で起動するJava(登録商標)アプリケーション)等の様々なウェブデータインターフェース技術を利用してもよい。サーバ10は、本明細書において単数形で記載されるが、実際には、本明細書に記載する機能の一部または全部を実行するように通信(有線および/または無線)ならびに協働する、複数のコンピュータ、デバイス、データベース、関連するバックエンドデバイス等を備えてもよい。サーバ10はさらに、アカウントサーバ(例えば、Eメールサーバ)、モバイルサーバ、メディアサーバ等を含むか、またはそれらと通信してもよい。
【0019】
さらに、クライアント12に通信されるウェブページは、記事、文書、写真、音声ファイル、動画ファイル等の様々なテキストおよびメディアオブジェクトを含んでもよい。さらに、コンテンツは、例えば、ローカルで、またはリモートから記憶またはアクセスされるアプリケーションプログラミングインターフェース(API)、ウェブページ等を介して、インターフェースおよび関連ユーザデバイスによってアクセス可能なさらなるコンテンツの選択またはリンクを含んでもよい。提示されるウェブページを介してクライアント12によってアクセス可能なコンテンツは、静止画(例えば、JPEG、TIFF)、動画(例えば、MPEG、AVI、Flash)、または音声(例えば、MP3、OGG)等の様々なメディア形式を含む、任意の好適なデータ形式に適合してもよい。
【0020】
一実施例では、サーバ10は、以下に記載するように、データ(例えば、AEおよび患者属性)を処理し、相関ルール等の相関を発見するための、処理ロジック11を含むか、またはそれと通信する。処理ロジック11はさらに、検索クエリおよび関連情報を受信するためのインターフェースを表示し、ユーザ入力に基づいて結果を表示するためのロジックを含んでもよい。例えば、サーバ10は、ソフトウェアアプリケーションを実装および実行し、ならびに関連データ、コード、フォーム、ウェブページ、および他の情報をクライアント12へ/から提供するように、かつデータベースシステム関連データ、オブジェクト、およびウェブページコンテンツに記憶し、それらから回収するように構成される、1つ以上のアプリケーションサーバを含んでもよい。
【0021】
本明細書に記載する例示的な方法およびシステムは、様々な機能を実行するための別々のサーバおよびデータベースシステムの使用を記載するが、記載する機能性が実行される限り、設計選択として、単一のデバイスまたは複数のデバイスの任意の組み合わせに対して記載する機能をもたらすように動作するソフトウェアまたはプログラミングを記憶することによって、他の実施形態が実施され得ることに留意されたい。図面には示されないが、サーバ10およびデータベースシステム18は、概して、プロセッサ、RAM、ROM、クロック、ハードウェアドライバ、関連記憶装置等を含むがこれに限定されない、サーバシステム中に通常見られるような、かかる当該技術分野において認識されるコンポーネントを含む。さらに、記載する機能およびロジックは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせに含まれてもよい。
【0022】
図2は、本明細書に記載する様々なプロセスを実行するための、より詳細な例示的な医学的評価支援システム20を示す。同様の例示的な医学的評価およびDSSは、「Automated Ontology Generation System and Method」と題する、2008年2月22日出願の同時係属の国際特許出願第PCT/US2008/054778号、および「Medical Assessment Support System and Method」と題する、2009年2月23日出願の米国特許出願第12/438,530号に記載され、それらの両方は、全体として本明細書に組み込まれる。
【0023】
例示的なシステム20は、(a)システム20と、ユーザと関連付けられる電子またはコンピュータデバイスとの間の通信を促進する、ユーザインターフェース22と、(b)システム20と、ユーザがユーザインターフェース22上でシステム20に通信するクエリを提供するために使用される1つ以上のデータまたは情報源との間の通信を促進する、データインターフェース24と、(c)ユーザインターフェース22上で提出されたユーザクエリに応答して、データまたは情報源の1つ以上の検索を実施させ、ユーザインターフェース22上で検索結果をユーザに提供する処理エンジン26とを含んでもよい。
【0024】
ユーザインターフェース22は、ユーザと関連付けられるクライアントウェブブラウザ対応電子またはコンピュータデバイスと通信することが可能である、サーバ28、例えば、ウェブサーバを備えてもよい。サーバ28が通信することが可能である電子またはコンピュータデバイスとしては、パーソナルコンピュータ、PDA、およびウェブブラウザを起動することが可能である携帯電話が挙げられるがこれに限定されない。サーバ28は、Cache Server Pages(CSP)を介してデータベース管理システムにリンクされるフィールドを含有するフォームの表示を有する、クライアントブラウザを提供し、他の実施例では、Cacheベースではないリンク、インターフェース、DBMSが使用されてもよい。サーバ28およびクライアントブラウザは、以下を含んでもよいがこれに限定されない1対1の相関を維持する。(1)薬物情報入力フィールド、(2)医療デバイス入力フィールド、(3)手順入力フィールド、(4)疾患(例えば、状態または症状)情報入力フィールド、(5)データ源情報入力フィールド、(6)患者人口統計データ入力フィールド(年齢、性別等)、および(7)有害事象情報入力フィールド。全てのフィールドは、データベース管理システム(DBMS)の内部に記憶される情報にリンクされる。1人以上のユーザとの通信がウェブ以外のネットワーク(広域またはローカルエリア)上で実施される必要がある場合、サーバ28は、別の種類のサーバに置き換えるか、またはそれを追加することができると理解されるべきである。サーバ28はまた、ユーザと関連付けられ、かつ医療産業において広く使用されるメッセージング標準であるHL7メッセージングが可能である、電子またはコンピュータデバイスと通信することが可能であってもよい。サーバ28は、医療産業において存在しているか、または将来医療産業によって採用される他のメッセージングプロトコルを支援するように適合されてもよい。サーバ28は、ウェブブラウザポートおよびHL7ポートを有する単一のサーバとして図示されるが、サーバ28は、それぞれが1つ以上のポートを有する複数のサーバを備えることができると理解されるべきである。
【0025】
ユーザインターフェース22はまた、ユーザがサーバ28をバイパスし、処理エンジン26と関連付けられるデータベース管理システム(複数を含む)に直接アクセスすることを可能にする、カスタム統合ソリューションインターフェース30を備えてもよい。カスタム統合ソリューションインターフェース30は、リレーショナルデータベースまたはオブジェクト指向データベースプロトコルに従っているクエリを受理してもよい。例えば、インターフェース30は、SQL型クエリ用のODBCまたはJDBCプロトコルを利用するリレーショナルデータベースクエリを受信し、SQL形式で応答を送信することが可能であり得る。インターフェースはまた、JAVA(登録商標)、C++、VB、SOAP、.NET等に基づいたクエリを受信し、適切な形式の応答を送信することが可能であり得る。インターフェース30はさらに、必要に応じて、他のプロトコルと統合するように適合することができる。リレーショナルまたはオブジェクト指向データベースクエリを処理する能力は、キャッシュ上の処理エンジン26に基づくことによって実現され、これは、プロトコルインテリジェントであり、すなわち、クエリが基づくプロトコルを認識することが可能である。プロトコルインテリジェントである任意の他のシステムもまた採用され得ると理解されるべきである。
【0026】
本実施例では、システム20は、それぞれがサーバ26およびカスタム統合ソリューションインターフェース30に関連付けられる、ブラウザポートおよびHL7ポートによって、ユーザとの通信を提供する。システム20は、ユーザと関連付けられる電子またはコンピュータデバイスと通信するための、これらの様々なインターフェースのサブセットを採用するように適合され得ると理解されるべきである。さらに、システム20は、現在利用可能であるか、または将来利用可能になる可能性がある、ユーザと関連付けられる電子またはコンピュータデバイスと通信するための、他のインターフェースを採用するように適合され得る。
【0027】
図2を続けて参照すると、データインターフェース24は、データまたは情報用のリクエストを、一般的には、商用のデータ源であるが、私用、専用、または公共データ源を含んでいてもよいデータ源に送信し、処理エンジン26の一部である1つ以上のデータベースを構築するために利用される、これらの源からのデータまたは情報を受信するために使用される。本実施例では、データインターフェース24は、バイオマーカデータ、安全性データ、医薬品添付文書(PPI)データ、製薬会社医療情報(MI)文書、白書(図示せず)、臨床試験データ、マイクロアレイデータ、ゲノムおよび/またはプロテオームデータ、一塩基変異多型(SNP)、薬物反応シミュレーションシステム等を提供するデータ源にリクエストを送信し、任意のかかるリクエストに対する応答を受信するために使用される。データインターフェース24は、リクエストを送信することができ、上記の種類のデータまたは情報のサブセットを提供する1つ以上のデータ源に対する応答を受信する。データインターフェース24はまた、リクエストを送信し、上記の種類のデータまたは情報とは異なる種類のデータを提供する1つ以上のデータ源に対する応答を受信するように適合されることが可能である。図示された実施例では、データインターフェース24は、HL7、XML、JDBC、ODBC等を含む様々な主要通信プロトコルを支援するバックエンド通信インターフェースである。データインターフェース24はまた、異種外部システムと通信する能力を有してもよく、内部クラス構造を使用し、データを解析し、DBMSに迅速かつ効率的に統合する。DBMSは、様々な異なる方法(オブジェクト、リレーショナルテーブル、および/または他)でデータを記憶し、リレーショナルまたはオブジェクトクエリに迅速に応答することができる。
【0028】
図2を続けて参照すると、処理エンジン26は、(a)サーバ28を介してユーザによって提示される各クエリを処理する、アプリケーションサーバ32と、(b)DBMS34と、(c)指定された時間に、例えば、毎日、システム20によって維持される1つ以上のデータベースを更新する、更新プロセッサ36と、(d)オントロジーおよび/またはプロセッサ38と、(e)薬物、食品および他の物質、医療デバイス、手技、患者人口統計、および疾患のユーザ指定の組み合わせに基づく有害事象の検索(複数を含む)、ユーザ指定のAEならびに疾患および薬物のうちの少なくとも1つに基づく検索(複数を含む)を引き起こすこと、ユーザへのシステムの利点を定量化するメトリクスをユーザに提供すること、システムの使用に基づく、医療提供者であるユーザ用の継続的医学教育クレジットを監視することが可能である、クライアントデータベース管理システム40と、(f)(i)非識別化されている、すなわち、個人の名前または住所等の他の識別情報によって個人と関連付けることができない、例えばHMOの、患者の電子医療記録を含有する、非識別化電子医療記録データベース42、および/または(f)(ii)システム20の外部に存在するが、システム20にアクセス可能である、非識別化された、または別様の(電子医療記録インターフェース43を介した)電子医療記録データベースへのアクセスを可能にする、アプリケーションプログラムインターフェース(API)とを含んでもよい。図示された実施例では、処理エンジン26は、オブジェクト(Objects)および表(SQL Relational)としてデータを記憶する多次元ポストデータベース管理システムである。データは、オブジェクト指向言語(.net、Java(登録商標)、XML等)および/またはSQL、DBMSリレーショナル業界標準に従うデータベース言語を使用して、直接アクセスすることができる。DBMS34は、ユーザ応答時間を改善するために、トランザクションビットマップインデックス方式を利用してもよい。
【0029】
コンピュータを用いて、記載するプロセスのうちのいずれか1つを実行するための1つ以上のコンピュータプログラムを記憶(例えば、明確に具体化)するために、コンピュータ可読媒体を使用することができることが認識されるであろう。コンピュータプログラムは、例えば、汎用プログラミング言語(例えば、Pascal、C、C++)、または何らかの特定用途の特殊言語で書かれてもよい。
【0030】
(II.相関発見プロセス)
本発明の一側面に従って、AEおよび患者属性を含むデータを評価し、データ内の重要なパターンを識別するためのプロセスを提供する。一実施例では、相関または相関ルールは、例えば、市販後の薬物安全性監視、ユーザ報告AE等から得られるデータを含む1つ以上のデータベースに適用される相関ルール発見アルゴリズムのアプリケーションによって発見される。アルゴリズムが適用される相関は、患者によって経験される特定のAEを、それらの患者の薬剤、非薬剤介入、背景条件および症状、ならびに他の要因(すなわち、患者属性および人口統計)の特定の組み合わせに関連付ける。
【0031】
データ内で対象となるパターンを発見するための1つの例示的なデータマイニング方法は、データ内で相関またはパターンを発見するための「相関ルール発見」として既知であり、発見された相関は、一般的には、「相関ルール」と称される。相関ルールは、X=>Yの形態の表現であり、ここで、XおよびYは、アイテムセットである。概して、相関ルールは、トランザクションがXにおいて全てのアイテムを含有する場合、トランザクションは、Yにおいても全てのアイテムを含有するという相関を表す(Xは、概して、主部または前提部と称され、Yは、ルールの頭部または結論部と呼ばれる)。アイテムセットは、1組の全ての可能なアイテムの一部であるアイテムのセットである。例えば、{熱,頭痛}=>{インフルエンザ}は、アイテムセット{熱,頭痛}が真である場合、アイテムセット{インフルエンザ}は、真であることを提示する。相関ルールは、各トランザクション自体もまたアイテムセットであるトランザクションの集合体から得られ、例示的な実施例として、マーケットバスケット分析問題において、各トランザクションは、顧客が購入したアイテムを含有する。一般的には、問題のデータは、何千もの可能性のあるアイテム、および場合によっては、何百万ものトランザクションを含有する。説明の目的で、1組の可能性のあるアイテムがI={ビール,チップス,ピザ,ワイン}であり、トランザクションデータベースが表1に示す4つのトランザクションのみを含有すると考える。
【0032】
【表1】

相関ルール発見は、高頻度のアイテムセットを識別し、それらからルールを生成する。高頻度のアイテムセットは、所与の支持度閾値よりも大きい支持度を有するアイテムセットである。支持度は、トランザクションデータベースのサイズによって分割することによって正規化される、トランザクション全体のトランザクションのサブセット(その支持度と称される)として、アイテムセットがどれほどの頻度で生じるかの頻度である。例えば、{ビール,チップス}は、2回生じ、その支持度は、2/4=0.5である。対象となる相関ルールは、確信度閾値を超えるものである。ルールX=>Yの確信度は、支持度(X ∪ Y)/支持度(X)によって測定される。これは、Xが保持すると仮定した場合の、Yが保持する確率として見なすことができる。例えば、ルール:{ビール,チップス}=>{ワイン}に対して、確信度=支持度({ビール,チップス,ワイン})/支持度({ビール,チップス})=0.25/0.5=0.5である。したがって、誰かがビールおよびチップスを購入した場合に、彼らがワインも購入する確率は、0.5、または50%である。
【0033】
したがって、相関ルールは、概して、データのセットにおける高頻度な共起、例えば、どのアイテムが高頻度に一緒に生じるかを記載および識別する。これは、例えば、患者型Aが薬物BおよびCを服用し、心臓病の背景Eを有する場合、彼らがADR型Fを起こす確率と見なすことができる(関係が原因であるか否かにかかわらず。すなわち、プロセスは、潜在的な相互関係を識別し、必ずしも因果関係を識別するわけではない)。
【0034】
全ての可能性のあるルールのセットから興味深い、または重要なルールを選択するために、重要かつ興味深い様々な基準に対する制約を使用することができる。例えば、制約は、支持度および確信度に対する最小閾値を含んでもよく、ルールの支持度は、アイテムセットを含有するデータセットにおけるトランザクションの割合として定義され、ルールの確信度は、ルールが正しいトランザクションの割合、例えば、ルールが正しい確率の推定値として定義される。いくつかの実施例では、システム管理者および/またはエンドユーザは、支持度、確信度、および/または関心度の閾値を制御してもよく、所望通りに閾値を上下に調節してもよい。
【0035】
相関ルールを生成するための様々なアルゴリズムが考えられ、Apriori、Eclat、およびFrequent Pattern growth(FP−growth)、one−attribute−rule(OneR)アルゴリズムを含むがこれに限定されないことに留意されたい。さらに、他の種類の相関マイニングも考えられ、例えば、コントラストセットラーニング、K最適パターン発見、および高頻度のシーケンスマイニングが挙げられる。
【0036】
したがって、一実施例では、相関を発見するための例示的なアルゴリズム(記載する相関ルール発見アルゴリズム等)は、データベース情報、例えば、AERSデータベース、商用または専用データベース等に適合することができる。発見された相関は、支持度、確信度、および/または関心度に対する所与の閾値に対してチェックまたは検証され、様々な方法で、医療参照または臨床意思決定支援システムによって使用されてもよい。一実施例では、プロセスは、薬物とAEとの間の新しい相関を識別し、医師および患者に、潜在的なリスクを迅速に警告してもよい。
【0037】
1つの例示的な実施例では、相関ルール発見プロセスは、2つの相を含む。1)所与の支持度閾値を満たす、薬物と効果(D,X)の全ての高頻度のサブセットを発見すること(ここで、D⊂Iは薬物のサブセットであり、X∈Iは効果である)、および2)p(X|D)(確信度)が十分に高い、発見された高頻度のセットから得られる相関ルールの中から相関ルールを選択すること。
【0038】
高頻度のアイテムセットを識別するため(それは、概して、それぞれが多くのアイテムを含むアイテムセットのデータベースをスキャンすることを含む)、および高頻度のアイテムを識別するために、Apriori方法が使用されてもよい。この方法は、高頻度のアイテムを一緒に全ての可能性のある対にすることによって、高頻度のアイテムセットの候補を生成することができる。次いで、データベースは、各候補の対の頻度を決定するためにスキャンすることができる。いったん高頻度の対が識別されると、それぞれが3つのアイテムを有する高頻度のアイテムセットの候補は、各高頻度の対を別の対と一緒にすることによって生成することができる。各ステップにおいて、この方法は、長さk−1のアイテムセットから長さkの候補アイテムセットを生成することができる。この方法は、任意の長さの高頻度のパターンを識別するために反復的に続行することができる。
【0039】
別の例示的な実施例では、上記のプロセスの修正形が使用されてもよい。最初に、低い値の支持度を使用する一方で、アルゴリズムの実行時間の指数関数的増加があることに留意されたい。この実行時間の増加を回避するために、例示的なプロセスは、比較的小さいトランザクションセットに対して、上記のアルゴリズムの第1のステップを第2のステップと交代してもよい。ルール検索は、異なる効果
【0040】
【数1】

に対して、独立して生成することができ、同時に分析されるトランザクションの数を減少させるために役立ち得る。例えば、各効果Xに対して以下を発見する。
1.この効果を含有するトランザクションのセットT(X)、および
2.これらのトランザクションからの薬物の確率分布
【0041】
【数2】

ここで、トランザクションのセットT(X)における薬物頻度df(D,T(X))−D薬物の数を考える。各薬物D∈T(X)に対して、その確率を以下のように計算することができる:
【0042】
【数3】

確率分布は、以下のようにベクトルと見なすことができる:
【0043】
【数4】

3.確率変数の不確実性の基準であるエントロピーH(X)は、以下の式によって定義することができる:
【0044】
【数5】

確率が一様に分布しているとき、結果に関して最大の不確実性が存在する、すなわち、エントロピーは最高である。一方で、データが大きく歪んだ確率分布関数を有するとき、変数は、結果の小さいセットの範囲内に入る可能性が高く、したがって、不確実性およびエントロピーは低い。したがって、一実施例では、このプロセスは、エントロピー増加の順序で、全ての効果を配列またはランク付けする:X,X,...,X。効果の各々に対して発見されるルール(例えば、最小エントロピーを有する効果Xから始まり、次いで、第2の効果等)は、最終的な1組のルールに組み合わせることができる。データベースの中のアイテム間の全ての可能性のある相関ルールを生成する必要はないことに留意されたい。例えば、1組の効果X,X,...,Xに対して、相関ルールが発見されたと仮定する。プロセスまたはシステムが計算能力(実行時間、メモリ使用量等)を使い果たす場合、プロセスは、停止し得る。そのような場合でさえ、最も重要かつ有用なルールは、記載されたエントロピーの順序付けに基づいて発見される可能性が高い。
【0045】
一実施例では、薬物サブセットに関する情報は、二項ツリーを使用して記憶されてもよい。かかる表現の利点は、データベースをコンパクトなツリー構造に変換すること、ならびに高価なデータベーススキャンおよび候補生成を回避することを含み得る(当然のことながら、当業者に理解されるように、様々な他のデータ構造が使用され得る)。この特定の実施例では、根Rを有するツリー次数k≧0の二項ツリーは、Bであり、以下のように定義され得る。
k=0の場合、B=B={R}である。すなわち、次数ゼロの二項ツリーは、単一のノードRから成る。
k>0の場合、B={R,B,B,...,Bk−1}である。すなわち、次数k>0の二項ツリーは、根R、およびk個の二項サブツリー、B,B,...,Bk−1を含む。
【0046】
の根は、k個の子を有し、i番目の子は、次数k−iの二項ツリーである。その独特の構造によって、次数kの二項ツリーは、2つのツリーのうちの一方を他方のツリーの最も外側の子として取り付けることによって、自明に次数k−1の2つのツリーから構成され得る。二項ツリーの特性は、概して、以下を含む。
次数kの二項ツリーBは、2個のノードを含有する。
次数kの二項ツリーBの高さは、kである。
0≦i≦kである次数kの二項ツリーBにおけるレベルiのノード数は、二項係数
【0047】
【数6】

によって得られる。
【0048】
二項ツリーの定義および特徴を用いて、1組の二項ツリーは、T(X)内において薬物頻度に関する情報を含有するラベル付きノードによって作成することができる。次いで、このプロセスは、T(X)からの長さkの各トランザクションを二項ツリーBにマッピングし、トランザクションにおけるそれらの位置に従って、薬物IDをノードに割り当て(各薬物は、薬物IDによって、または薬物名によって、各トランザクションにおいて順序付けられる)、1つの効果に対応するツリーを組み合わせてもよい。この場合、このプロセスは、薬物頻度および対応する効果に関する情報を含有するコンパクトなデータ構造を提供する。さらに、各サブセットは、ツリーの根からの唯一のパスに対応してもよく、逆もまた同様であり、それによって、薬物サブセットとツリーパスとの間の1対1の関係を提供する。
【0049】
反単調特性を使用して、すなわち、各セットΨ∈Iおよび各サブセットφIΨに対して、以下の文は真である:支持度(φ)≧支持度(Ψ)。すなわち、一実施例では、アイテムセットの支持度レベルは、任意のアイテムをアイテムセットに追加することが、それが出現する頻度の減少のみをもたらし得るように、そのサブセットのいずれかの最小支持度レベルを超えることはできない。高頻度のアイテムのいずれのサブセットも、同様に高頻度でなければならず、どの高頻度のアイテムセットも、データベース内でそれら自体が高頻度ではないいずれのアイテムも含むことができない。これは、例示的なプロセスが、ノードのインデックスが所定の最小支持度レベルよりも小さいツリーブランチを取り除くことを可能にする。
【0050】
したがって、本実施例では、固定効果Xに対する相関ルール発見プロセスは、以下のアルゴリズムまたはプロセスに従って決定することができる:
1. T(X)に含まれる全ての薬物セットに関する情報を含有する、1組のラベル付き二項ツリーを作成する:
1.1. IDのインクリメントの順序(または任意の他の薬物の順序)でT(X)からの全ての薬物をソートする;
1.2. 1組のラベル付き二項ツリーに全てのトランザクションをマッピングする:例えば、長さkのトランザクションをツリーBでマッピングする。各トランザクションT∈T(X)に対して、以下のようにツリーをラベル付ける:
根は、ラベル付けなしの状態を保つ:
根レベルの次のツリーのノードの考慮:トランザクションのそれらの位置に従って、以下のようにノードに薬物IDを割り当てる:
【0051】
【数7】

子への薬物IDの割り当て:それらがまだラベル付けられていない場合の
【0052】
【数8】

の子の位置の各々に対して、Tにおいて
【0053】
【数9】

から右側にある
【0054】
【数10】

−薬物の識別子を割り当てる:
次のdレベルのノードの子d=2,...,k−1に対して、同一の手順を連続的に実行し、次数kのラベル付き二項ツリーBを得る:
例えば、Dが薬物であり、i=1,2,3,4である3つのトランザクション:T={D,D,D}、T={D,D,D}、およびT={D,D}を含む実施例では、これらのトランザクションに対する二項ツリーは、図3Aに示すように、概略的に表すことができる:
1.3. 該プロセスはさらに、1つの効果に対応するツリーを組み合わせてもよい。例えば、所与のノードにおいて終端する対応するパスが存在するツリーの数と等しいノードにインデックスを割り当てる。図3Aに示す上記の実施例に対して、ツリーは、図3Bに示すように見える:
次いで、該プロセスは、
tf(D,T(X))≧支持度・|T|
である、薬物Dのこのようなセットのみを調査してもよく、ここで、トランザクション頻度tf(D,T(X))は、セットDを含有するT(X)におけるトランザクションの数であり、|T|は、データベースにおけるトランザクションの総数である。
2.上記の「1.」からの各許容できるDに対して、該プロセスは、
tf(D,T(X))≧確信度・tf(D,T)
をチェックし、tf(D,T)を計算するために、薬物トランザクション表を使用することができる。
3.上記の「1.」および「2.」からの条件を満たす薬物セットは、ルールD→Xを形成し、それらは、最終的な1組の「重要な」ルールに追加される。
【0055】
相関ルールのための本明細書に記載する例示的なプロセスは、例示的であり、プロセスの修正ならびに異なるプロセスが使用されてもよいと認識されるべきである。
【0056】
(III.発見された相関に基づく警告/情報の提供)
図4Aは、相関に対する情報のデータベースを処理し、医療参照または臨床意思決定システムのユーザに、警告または情報を提供するための例示的なプロセスを示す。さらに、図4Bは、AEと患者属性との間の有意な相関を検出し、警告を提供する概略図を示し、例えば、AEおよび患者属性は、様々な遠隔位置からアクセスされ、AE検索基準に一致する潜在的なリスクに対する患者記録の診療所のデータベースをスキャンするために使用され得る。
【0057】
例示的なプロセスに従って、AEおよび患者属性データ(例えば、AERSデータ、専用データ等)のデータベースは、302においてアクセスされる。例えば、データベースは、安全性データ、バイオマーカデータ、臨床試験データ、実験室試験データ、ゲノムデータ、遺伝子データ、商用または専用データ源等を含むがこれに限定されない情報の1つ以上のデータベースを含んでもよい(例えば、図2を参照されたい)。さらに、アクセスされたデータベースは、複数のデータベースシステムを含み、プロセスを実行するプロセッサから部分的または全体的に離れていてもよい。
【0058】
データは、例えば、患者の臨床属性(例えば、薬物、医療デバイス、臨床的手技、条件、症状、人口統計データ等の間)とAEとの間のパターンまたは相関を識別するためのアルゴリズムを介して、304において処理される。一実施例では、該プロセスは、1つ以上の相関ルールを識別するための、上記のような相関ルール発見プロセスを含み、1つ以上の相関ルールは、次いで、警告もしくは通知を提供するか、または安全性情報を提示するために、医療参照システムまたはDSSによって利用され得る。
【0059】
304の処理に基づく、またはそれから得られる情報は、306においてユーザに伝達することができる。一実施例では、閾値を越える新しい、または更新された相関ルールは、日刊、週刊、月刊等を含む、多数の方法でクライアントに伝達されてもよい。さらに、情報は、Eメール、テキストメッセージ、通話、ウェブページ投稿、ニュース掲示板または広報の中に含まれる、関連付けられたユーザインターフェース内のポップアップメッセージ等を介して、警告として伝達することができる。
【0060】
一実施例では、例示的なプロセスはさらに、308において、ユーザのデータベースとルール発見プロセスから得られる情報を比較し、410において、特定の患者に対する報告または特定の警告を生成する。例えば、新しい、または更新された相関ルールは、進行中または将来の医学的意思決定を支援するために(例えば、潜在的なリスクのある患者の診療所に警告するために)、診療所の患者データベースと比較することができる。一実施例では、該システムは、患者および既知の処方薬と関連付けられる新しい潜在的なAEに関して、ユーザに警告を送信してもよい。かかる比較は、定期的に、例えば、毎週、既知の、または新しく発見された相関で行われてもよい。いくつかの実施例では、新しい相関が発見され、閾値を満たすとき、相関は、より即時にリアルタイムで、患者データを処理し、システムのユーザに警告するために使用することができる。比較プロセスは、サーバ、クライアント、またはそれらの組み合わせによって実行されてもよい。
【0061】
他の実施例では、ユーザは、特定のAEおよび患者属性の基準を提出し、基準に基づく警告を受信してもよい。警告は、任意の新しい報告に基づいてもよく、または相関が既知であるか、もしくは発見された時であってもよい。例えば、ユーザは、条件Yを有する患者の背景において報告される、または薬物Xと関連付けられる任意のAEの情報または警告を要求してもよい。別の実施例では、ユーザは、条件Yを有する患者の背景において薬物Xと関連付けられるAEの情報または警告を要求してもよく、相関は、指定またはデフォルト閾値(複数を含む)(システムのユーザまたは管理者によって調節されてもよい)を超えている相関である。
【0062】
(IV.有害薬物事象検索結果の表示および優先順位付け)
ユーザが、薬物ラベルを検索し、特定の処方薬が関連付けられ得るADR(原因であるか否かにかかわらず)を発見することを可能にするために、ポイント・オブ・ケア医療参照システムまたはDSSを使用することができる。この機能は、医師が、どの薬物が観察されたADR(単数または複数)の一因となっている可能性があるのかに関して、より情報に基づいて決定を下すことを可能にする。薬物ラベルから回収され、DSSによってADRクエリを行う医師または他の医療提供者に提示される、結果の順序を決定するための、事前指定ランク付けまたは優先順位付けアルゴリズムの使用は、アルゴリズムが、該ADRクエリを処理する過程において、薬物ラベルから回収される情報の関係性を本来認識していると仮定する。薬物ラベルに含有されるADR情報が、市販後の世界における該ADRの重症度および頻度の現実(すなわち、薬物の承認が基づいた臨床試験で使用された比較的小さい、かつ人口統計学的に定義された患者集団以外の該薬物の安全性経験)を反映する程度は、規制機関自体によって指示される強調の様々な手段を含む、多くの要因によって左右されるが、薬物ラベルが市販後の世界におけるそれらの要因の変化を反映するように更新される頻度によっても左右される。
【0063】
薬物ラベルから得られる異なる安全性情報の関係性の認識、およびそれらの重要性の適切なランク付けは、薬物が商用利用のために発売された後に回収されるADR報告の分析を実施することによって、改善されてもよい。かかる現実世界のADR報告は、概して、より長い期間にわたって、より大きい地理的領域において、かつ薬物ラベルに含有される安全性情報によって表されるよりも広い患者型の分類から、患者の薬物使用を表す。これは、薬物が、該薬物の承認のために使用される比較的小さい登録臨床試験において測定される利点およびリスクの分析に基づき承認されたばかりの時に当てはまるが、より小さい程度ではあるが、薬物が長期間市場に出回った後でさえ当てはまる。いずれの場合においても、臨床的に重要なADR情報は、暗号的に記載されるか、簡単にのみ言及されるか、または薬物ラベルが、より高い優先度が該情報に置かれる必要があり得ることを示唆する現実世界の経験を反映するために、十分に最近更新されていない場合、珍しいものとして言及されてもよい。現実世界の市販後の安全性監視から得られるADR報告およびそれらの関連付けられた要因を使用するAIベースのシステムの利点は、そうでなければ、ADRクエリに応答して回収される結果のリストからより少ない重要性または関係性で提示され得る、医薬品ラベルからの該ADR情報を「表面化させる」ための能力を提供し得る。
【0064】
AERSにおいて、全国的な医師によって現場で観察される、報告されたAEを照合する規制機関を有する国もある。これは、AERSデータセットにおいて発見される情報が、現場で報告されているそれらの有害な相互作用が医療参照システムまたはDSSのユーザにより明らかであることを確実にするために、薬物ラベル検索の結果に加重するために使用され得るため、さらなるインテリジェンスをDSS薬物ラベル検索機能に追加するために使用され得る巨大なリソースであり得る。特定の薬物と関連付けられるAE(単数または複数)が現場で多く報告されているとき、この情報は、患者におけるAE(単数または複数)を観察した医師または他の医療提供者にとって価値があり得る。
【0065】
1つの例示的な検索および表示プロセスにおいて、ユーザは、患者が経験した1つ以上のADR、患者が治療されている薬剤、非薬剤介入、患者が治療されている背景条件および症状、他の患者属性、および患者人口統計情報を識別し得るクエリを入力する。それに応答して、該システムは、1つ以上の薬物ラベルデータベース、薬物安全性または有効性情報のデータベース等の1つ以上の検索を引き起こし、ユーザへの提示のために、データベースから回収される結果を予め順序付ける。また、それに応答して、該システムは、同様の患者特性と関連付けられるADRの報告を識別するように、1つ以上のADRデータベースの1つ以上の検索を実行させ、該システムは、人工知能技術、例えば、相関ルール発見プロセスをADRデータベースに適用させ、相関ルールを発見する、および/または薬物ラベルから得られるADR情報が、本システムのユーザにどのように送達されるかに影響を与える、ランク付けまたは優先順位付けスコアを変更するために使用されてもよい加重係数を導く。
【0066】
一実施例では、識別された相関または相関ルールは、医療参照システムまたはDSSを使用して行われるADRクエリに応答して、薬物ラベルから回収される結果の提示の再順序付けに与えられる影響の大きさを決定するために合計される加重係数の構成要素として使用することができる。図5は、例示的なプロセスを示し、結果の提示の順序を決定するアルゴリズムに人工知能を適用するための選択肢を選択すると、ユーザは、相関ルール発見アルゴリズムがADR報告のデータベースを通して実行され、係数(X)に割り当てられる数学的な加重を決定することを可能にし、係数は、ADR頻度または重症度、患者への関連度、任意のADRにおける薬物の組み合わせの類似性等の変化を反映し得る。さらに、相関ルール発見は、優先順位付けまたはランク付けアルゴリズムに影響を与えるように付加的な加重係数(YおよびZ)を導くために、付加的なデータ源(AERSであるか否かにかかわらず)に適用することができる。所定のランク付けまたは優先順位付けスコアが影響を受け、その結果として、ADRクエリを行う本システムの医師または他のユーザに提示される、薬物ラベルから得られる結果の順序に影響を及ぼす程度の計算に、全ての加重係数を追加することができるか、いくつかの加重係数を追加することができるか、またはどの加重係数も追加することができない。相関ルール発見のAI技術から導かれる任意の加重係数X、Y、およびZは、薬物ラベルから得られるADR情報が医療従事者等の本システムのユーザにどのように送達されるかに影響を与える、ランク付けまたは優先順位付けスコアを変更するように適用される。
【0067】
別の実施例では、再ランク付けアルゴリズムに適用され、かつ相関ルール発見をAE相関のデータベースに適用することによっても導かれる、他の加重係数を含むルールは、任意の指定されたAEに関する報告の頻度の変化;薬剤、非薬剤介入、背景条件、および症状の任意の指定された組み合わせと関連付けられるADRおよび/もしくはAEの種類の変化;他の患者属性、または任意の特定のAEと関連付けられる、任意の患者人口統計学的要因の変化を含んでもよい。
【0068】
初期のランク付けまたは優先順位付けプロセスは、様々な既知のプロセスを含んでもよい。例えば、ランク付けまたは優先順位付けスコアは、コンピュータベースのADRクエリ処理医療参照システムまたはDSSと関連付けられる所定の優先順位付けアルゴリズムによって割り当てることができ、該スコアは、クエリを行うユーザに提示される、医薬品ラベルから得られるADR関連情報の表示の順序を決定することができる。さらに、同様の医学的評価およびDSSで使用するための例示的な検索およびランク付けプロセスは、「Automated Ontology Generation System and Method」と題する、2008年2月22日出願の、同時係属の国際特許出願第PCT/US2008/054778号、および「Medical Assessment Support System and Method」と題する、2009年2月23日出願の、米国特許出願第12/438,530号に記載され、それらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
図6〜11は、医療専門家によって行われるADRクエリに応答して、薬物ラベルから回収される結果の再ランク付けに、例示的な相関および加重プロセスがどのように適用されるかを示すユーザインターフェースの例示的なスクリーンショットを示す。このユーザインターフェースは、本プロセスを実行し、プロセッサによってコンピュータまたはコンピュータデバイス上で実行されるソフトウェアによって生成される。ユーザインターフェース自体は、プロセッサに連結され、キーボードおよびマウス等の選択デバイスを介して相互作用される、コンピュータスクリーン上に表示される。ソフトウェア(1組のコンピュータ命令)は、任意の従来のコンピュータ言語でコード化され、コンピュータプログラム製品としてプロセッサに連結される、コンピュータ可読メモリに記憶される。
【0070】
ADR報告の関連付けられたデータベースは、その同じコンピュータ内のメモリに常駐していてもよく、またはインターネット等のコンピュータネットワークを介してアクセスされる、リモートコンピュータサーバ上に常駐していてもよい。かかるデータベースへのローカルあるいはリモートアクセスは、MS SQLサーバ等の従来のデータベースアクセス技術を使用して日常的である。データベースは、本方法を実行する機関または人物によって、または政府機関等の別の機関によって維持されてもよい。さらに、本方法のために必須のソフトウェアのコード化は、本開示を考慮すると、当業者にとって日常的であり得る。
【0071】
図6は、ポイント・オブ・ケアDSSベースのADRクエリにおいて検索基準を入力するためのインターフェースの例示的なスクリーンショットを示す。本実施例では、様々な条件、症状、薬剤、およびAEが選択され、AE「死亡」を含む。さらに、患者の年齢および性別が検索リクエストで入力される。他の実施例では、付加的な、より少ない、または他のAE、他の患者属性、および/または人口統計データが検索リクエストで使用するために入力されてもよい。
【0072】
図7は、図6で入力される検索リクエストに応答して、その患者によって服用されている薬物と関連付けられる医薬品ラベルから抽出される、ADR「LFTの上昇」に関する情報の例示的なスクリーンショットを示す。最初に、検索結果が薬物ラベルから回収され(薬物A、B、およびCに対して左側に示されるように、関連結果は、その中で強調表示される)、右側のインターフェースに表示される。本実施例では、実際の薬物ラベルの複製が左側のインターフェースに示され、その中で、関連検索結果が強調表示される。しかしながら、かかる表示は必要ではない。
【0073】
図8は、所定のアルゴリズムを使用して、ランク付けまたは優先順位付けスコアを割り当てられた、抽出された情報の例示的なスクリーンショットを示す。例えば、ランク付けまたは優先順位付けのための初期のアルゴリズムは、抽出された薬物ラベルセグメント、命令型ガイダンスの有無(例えば、「すべき」または「しなければならない」の命令文)、規制機関の指示による強調手段(例えば、黒枠の警告は、実際に黒枠によって包囲されなければならない)、および/または他の要因のそれぞれにおいて、クエリで指定されるADR用語に関連した概念の密度を含んでもよく、またはそれに基づいてもよい。優先順位付けまたはランク付けは、「!」マークの数によって示され、より多くの「!」は、より大きい重要性を示す。本実施例では、結果は、薬物の種類によってさらにグループ化される。
【0074】
図9は、ADRクエリを行うユーザ、例えば、医療専門家に表示し返すために順序付けられる、薬物ラベルから得られる抽出された情報の例示的なスクリーンショットを示す。図示するように、結果は、ここで、各検索結果に割り当てられる優先順位付けまたはランク付けに基づき、トップダウンの順序で表示されるが、薬物の種類によってグループ化されていない。いくつかの実施例では、各結果の薬物の種類を識別するために、色等の可視的指標が使用されてもよい。いくつかの実施例では、右のペインに例示される情報のみがユーザに表示され、他の実施例では、中央および右のペインの両方に例示される情報が表示され、さらに他の実施例では、3つのペインに例示される全ての情報が表示される。
【0075】
図10および11は、検索結果の変更されていない表示および変更された表示の例示的なスクリーンショットを示し、変更された表示は、本明細書に記載する例示的なプロセスに基づく。図10は、AERSからAIによって導かれるか否かにかかわらず、ランク付けまたは優先順位付けアルゴリズムの加重係数、または上記のような他のデータ源によって処理される、検索結果の表示を示す。この特定の実施例では、最低の優先順位付け(すなわち、「重要性」スコアでランク付けされ、その結果として、ADRクエリを行うユーザに送達される結果の一番下に提示される検索結果が、ここで、より高い関係性を有するものと識別され、新しいランク付けまたは優先順位付けスコアが与えられる。この場合、返された結果の一番下に提示されたこの情報は、市販後の環境、すなわち、「現実世界」において経験されていたものとのその相関のため、行われたクエリにはるかに関連すると決定された。結果として、それは、ユーザに提示される結果の一番上に移動され、表示され得る。当然のことながら、他の実施例では、検索結果の表示を再びランク付けするか、または優先順位を付け直すために、様々な検索結果が上下移動させられてもよい。
【0076】
したがって、図11に見られるように、医療専門家が見る最初の情報は、ここで、潜在的に市販後経験におけるADRの重症度、「現実世界」において見られるADRの頻度、AERSデータベースからの報告、薬物ラベルに記載されたものと比較して増加した、患者の属性および個人の人口統計との相関の強度、ならびに相関ルール発見のAI方法を使用して決定される他の要因を含む、要因に基づく。他の実施例では、より多くの、またはより少ない検索結果の優先順位が付け直され、ユーザに表示されてもよい。例えば、一部のユーザが、最も関連のある結果のうちの1つまたは2つのみをリクエストする場合がある一方で、他のユーザは、全ての入手可能な検索結果を表示またはアクセスしたいと思う場合がある。
【0077】
ある特定の例示的な実施形態のみを上記に詳細に記載してきたが、当業者は、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態における多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。例えば、上記に開示される実施形態の側面は、追加の実施形態を形成するように他の組み合わせで組み合わせることができる。したがって、全てのかかる修正は、本発明の範囲内に含まれるよう意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者属性と1つ以上の有害事象(Adverse Events;AE)との間の相関に関する情報を提供するコンピュータ実装方法であって、該方法は、
コンピュータプロセッサを介して、AEと患者属性との間の相関に対するAEおよび1つ以上の患者属性を含むデータベース情報を処理することと、
1つ以上のAEと1つ以上の患者属性との間の少なくとも1つの相関を識別することであって、該少なくとも1つの相関は、閾値を満足する、ことと、
該少なくとも1つの相関に基づいて情報をユーザに提供することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記AEのうちの少なくとも1つは、有害薬物反応(Adverse Drug Reaction;ADR)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記AEおよび患者属性のうちの少なくとも1つは、AEおよび患者属性を含むユーザ生成報告を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記AEおよび患者属性のうちの少なくとも1つは、処方薬と関連付けられる報告された付加的な安全事象を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの相関は、相関ルール発見アルゴリズムによって識別される、相関ルールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記閾値は、確信度閾値を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記閾値は、支持度閾値を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
複数の相関ルールは、各相関ルールと関連付けられるエントロピー値に従って識別され、順序付けられる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
1組の前記複数の相関ルールは、最終的な1組の相関ルールに組み込まれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
患者属性は、薬物、医療デバイス、医療的または臨床的手技、条件、症状、および人口統計データのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記識別された相関に基づいて、前記ユーザへの警告の伝達を引き起こすことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記警告は、Eメール、テキストメッセージ、またはウェブページ上の投稿のうちの1つ以上を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記識別された少なくとも1つの相関を、前記ユーザと関連付けられる患者情報のデータベースと比較することをさらに含み、該情報は、該比較に基づいて該ユーザに提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
患者属性と1つ以上の有害事象(AE)との間の相関に関する情報を提供するシステムであって、該システムは、
プロセッサを備えるサーバであって、該プロセッサは、
AEと患者属性との間の相関に対してAEおよび1つ以上の患者属性を処理することと、
1つ以上のAEと1つ以上の患者属性との間の少なくとも1つの相関を識別することであって、該少なくとも1つの相関は、閾値を満たす、ことと、
該少なくとも1つの相関に基づいてクライアントへの情報の伝達を引き起こすことと
を動作可能である、サーバを備える、システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの相関は、相関ルール発見アルゴリズムによって識別される相関ルールを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
患者属性は、処方薬、市販薬、ハーブ系サプリメント、ビタミン、食物、医療デバイス、医療的または臨床的手技、条件、症状、および人口統計データのうちの1つ以上を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記識別された相関に基づいて、前記ユーザへの警告の伝達を引き起こすことをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記識別された少なくとも1つの相関を、前記ユーザと関連付けられる患者情報のデータベースと比較することをさらに含み、該情報は、該比較に基づいて該ユーザに提供される、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
患者属性と1つ以上の有害事象(AE)との間の相関に関する情報を提供するコンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、該命令は、
AEと患者属性との間の相関に対するAEおよび1つ以上の患者属性を処理することと、
1つ以上のAEと1つ以上の患者属性との間の少なくとも1つの相関を識別することであって、該少なくとも1つの相関は閾値を満足する、ことと、
該少なくとも1つの相関に基づいてクライアントへの情報の伝達を引き起こすことと
のためのものである、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの相関は、相関ルール発見アルゴリズムによって識別される相関ルールを含む、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
患者属性は、処方薬、市販薬、ハーブ系サプリメント、ビタミン、食物、医療デバイス、医療的または臨床的手技、条件、または症状、および人口統計データのうちの1つ以上を含む、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記識別された相関に基づいて、前記ユーザへの警告の伝達を引き起こすことをさらに含む、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
前記識別された少なくとも1つの相関を、前記ユーザと関連付けられる患者情報のデータベースと比較することをさらに含み、該情報は、該比較に基づいて該ユーザに提供される、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
有害薬物事象を分析するコンピュータ実装方法であって、
コンピュータプロセッサを介して、薬物の安全性または有効性情報についての記録を記憶するコンピュータ可読記憶装置にアクセスすることと、
少なくとも1つの患者属性に基づいて、該記録の少なくとも一部分を順序付けることと、
1つ以上の相関ルールを該記録に適用することであって、該相関ルールは、有害事象(AE)および患者属性のデータベースから識別される、ことと、
該1つ以上の相関ルールに基づいて、該記録を並べ替えることと、
該記録のうちの少なくとも1つを表示することと
の行為を含む、方法。
【請求項25】
薬物の安全性または有効性情報についての前記記録は、薬物ラベルセグメントを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記薬物ラベルセグメントの前記順序付けは、該薬物ラベルセグメントに見られるAEクエリに入力される有害事象検索語に関連した概念の密度に基づく、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アクセスすることの行為は、コンピュータネットワークを介して、リモートサーバにアクセスすることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
相関ルールに加重を割り当てる行為をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記加重は、前記記録の前記並べ替えに対する前記相関ルールの効果に影響を及ぼす、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記加重は、有害薬物事象の種類の重症度、患者への関連度、有害薬物事象と関連付けられる薬物の組み合わせの類似性、その薬物と関連付けられる有害薬物事象報告の頻度の最近の変化、または有害薬物事象の他の特性のうちの1つを表す、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
有害薬物事象を分析するシステムであって、該システムは、
プロセッサであって、
薬物の安全性または有効性情報の記録を記憶するコンピュータ可読記憶装置にアクセスすることと、
少なくとも1つの患者属性に基づいて、該記録の少なくとも一部分を順序付けることと、
1つ以上の相関ルールを該記録に適用することであって、該相関ルールは、有害事象(AE)および患者属性のデータベースから識別される、ことと、
該1つ以上の相関ルールに基づいて、該記録を並べ替えることと、
該記録のうちの少なくとも1つの表示をさせることと
を動作可能であるプロセッサを備える、システム。
【請求項32】
コンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、該コンピュータ可読命令は、
薬物の安全性または有効性情報の記録を記憶するコンピュータ可読記憶装置にアクセスすることと、
少なくとも1つの患者属性に基づいて、該記録の少なくとも一部分を順序付けることと、
1つ以上の相関ルールを該記録に適用することであって、該相関ルールは、有害事象(AE)および患者属性のデータベースから識別される、ことと、
該1つ以上の相関ルールに基づいて、該記録を並べ替えることと、
該記録のうちの少なくとも1つの表示をさせることと
を行うためのものである、コンピュータ可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−524945(P2012−524945A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507358(P2012−507358)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/031931
【国際公開番号】WO2010/124016
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
【出願人】(509050188)リード ホース テクノロジーズ インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】LEAD HORSE TECHNOLOGIES,INC.
【Fターム(参考)】