説明

人工股関節用カップ部材の試験装置

【課題】カップ部材における応力分布をより一様に近づけるとともに、装置構成の複雑化を大幅に抑制することができる人工股関節用カップ部材の試験装置を提供する。
【解決手段】外面側支持具12は、カップ部材100をその側方において外面側から支持する。面圧発生機構13は、カップ部材100の内面100aに対して、接触して面圧を発生させる面圧発生媒体を内面100aにおける中心部分を含む中心領域100bの周辺を囲む中心周辺領域100cに接触させて面圧を発生させるとともに中心領域100bに対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工股関節において用いられるカップ部材に対してその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人工股関節として、体内に埋入されて骨盤側に配置されるカップ部材とこのカップ部材に対して大腿骨側に配置されて更にカップ部材に対して可動自在に嵌め込まれる骨頭ボールとを備えるものが用いられている。このような人工股関節においては、カップ部材は、その内面においてセラミック製の骨頭ボールと接触することになる。このため、欠陥のあるカップ部材を検知する試験としては、セラミック製の骨頭ボールを使用してカップ部材の内面に荷重を負荷することが考えられる。しかし、骨頭ボールをカップ部材の内面に直接当接させて荷重を付与する試験を行うと、カップ部材の内面に疵が発生してしまい易く、かかる試験を行うことで逆にカップ部材の破損を招き易くなってしまう虞がある。そのため、特許文献1に開示されているように、人工股関節において用いられるカップ部材に対して骨頭ボール以外の手段によってその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置が知られている。
【0003】
特許文献1においては、人工股関節用カップ部材の試験装置として、カップ部材の内面に対してポンチを用いて面圧を付与する試験装置と、圧力液体を用いて面圧を付与する試験装置とが開示されている。特許文献1におけるポンチを用いて面圧を付与する試験装置は、ポンチの先端側に設けた球欠体と称する球状体の一部を成す形状の面圧発生媒体である圧子を介してカップ部材の内面に対して面圧を付与するようになっている。この球欠体(圧子)はポリテトラフルオロエチレンを材料として形成されており、カップ部材の内面に対して疵が発生してしまうことを防止するようになっている。そして、かかる試験装置においては、カップ部材をその最大外周の縁部領域にて保持装置により支持した状態で、ポンチから上記の球欠体を介してカップ部材の内面に面圧を付与するととともに、カップ部材に対して球欠体とは反対側から球欠体の中心線の方向に沿って上記のポンチによる荷重とは逆向きの支持力も負荷するように構成されている。この逆向きの支持力は、球欠体に荷重を負荷するポンチとは別のポンチを用いて負荷されるようになっている。このように、この試験装置においては、逆向きの支持力(荷重)を別途負荷することで、カップ部材における応力分布をより一様に近づけることを目的としている。
【0004】
また、特許文献1における圧力液体を用いて面圧を付与する試験装置は、カップ部材の内面との間で面圧発生媒体である圧力液体が充填されるスペースを形成する金属ブロックが設けられている。このスペースは環状のシールエレメントによって封止されている。そして、金属ブロックには圧力液体の供給管路としての孔が形成されており、この孔を介して圧力液体が上記のスペースに供給されてカップ部材の内面に対して面圧が付与されるようになっている。このように、この試験装置では、面圧発生媒体として圧力液体を用いることで、カップ部材の内面に対して疵が発生してしまうことを防止するようになっている。そして、この試験装置においては、前述のポンチを用いて面圧を付与する試験装置と同様に、カップ部材をその最大外周の縁部領域にて保持装置により支持した状態で、圧力液体によりカップ部材の内面に面圧を付与するととともに、カップ部材に対して圧力液体が作用する側とは反対側から圧力液体による付勢方向とは逆向きの支持力も負荷するように構成されている。この試験装置においても、逆向きの支持力(荷重)を別途負荷することで、カップ部材における応力分布をより一様に近づけることを目的としている。
【0005】
【特許文献1】特表2002−525569号公報(第6−10頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された人工股関節用カップ部材の試験装置においては、ポンチを用いて面圧を付与する試験装置及び圧力液体を用いて面圧を付与する試験装置のいずれにおいても、カップ部材における応力部分をより一様に近づけることを目的としている。しかしながら、そのためには上述のように、いずれの試験装置においても、カップ部材に対してその内面に上方から面圧を負荷するとともにその負荷方向とは逆向きの荷重を下方から負荷することが必要となる。このため、上方から面圧を負荷するための機構と、この機構による負荷方向とは逆向きの荷重を負荷するためのもう1つの機構とが必要となる。このため、カップ部材に対して面圧や荷重を負荷する機構が複数必要となり、装置の構成が複雑化してしまうことになる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、人工股関節において用いられるカップ部材に対してその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置に関し、カップ部材における応力分布をより一様に近づけることができるとともに、装置構成の複雑化を大幅に抑制することができる人工股関節用カップ部材の試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
上記目的を達成するための第1発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、人工股関節において用いられるカップ部材に対してその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置であって、前記カップ部材をその側方において外面側から支持する外面側支持具と、前記カップ部材の内面に対して、接触して面圧を発生させる面圧発生媒体を前記内面における中心部分を含む中心領域の周辺を囲む中心周辺領域に接触させて面圧を発生させるとともに前記中心領域に対しては前記面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明によると、カップ部材は、その側方の外面側から支持された状態で、その内面に面圧発生機構によって面圧が付与されることになる。そして、面圧発生機構は、カップ部材の内面に対して面圧発生媒体を中心周辺領域に接触させて面圧を発生させるとともに中心領域に対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つようになっている。このため、面圧発生機構によって内面に面圧が付与されたカップ部材においては、中心周辺領域に面圧が作用し、中心領域においては面圧が作用しない状態に保たれることになる。
カップ部材の内面に対して全体的に面圧が作用すると、カップ部材の中心部分において分布荷重による曲げモーメントが大きくなりその部分の応力が高くなってしまうことになる。このため、従来技術においては、面圧が負荷される方向とは逆方向に荷重を負荷することで、カップ部材の中心部分が高応力になることを緩和していた。しかしながら、本発明によると、上述のように、中心周辺領域に面圧が作用して中心領域においては面圧が作用しない状態に保たれるため、分布荷重によってカップ部材の中心部分に作用する曲げモーメントを従来よりも大幅に小さくすることができるため、その中心部分における応力が過度に高くなってしまうことを効率よく抑制することができる。これにより、カップ部材の中心部分においてその周辺の部分に比して応力が過度に高くなってしまうことなくその周辺の部分と同等の水準の応力分布に近づけることができる。そして、面圧や荷重を発生させる機構としては、上述の面圧発生機構だけの簡便な構成でよく、面圧を負荷する方向と逆向きの荷重を負荷するためのもう1つの機構は不要となる。
従って、カップ部材における応力分布をより一様に近づけることができるとともに、装置構成の複雑化を大幅に抑制することができる人工股関節用カップ部材の試験装置を提供することができる。
【0010】
第2発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、第1発明の人工股関節用カップ部材の試験装置において、前記面圧発生機構は、前記カップ部材の内面に対して前記中心領域とは接触せずに当該中心領域に隣接する空間を区画するとともに前記中心周辺領域に当接する前記面圧発生媒体である圧子と、前記圧子から前記カップ部材の内面に向かう付勢荷重を発生させる付勢機構と、を有し、前記付勢機構による付勢荷重によって前記圧子が前記カップ部材の内面を押圧することで前記中心周辺領域に面圧を発生させるとともに、前記圧子と前記中心領域との非接触状態を保つことを特徴とする。
【0011】
この発明によると、中心領域とは接触せずに中心周辺領域に当接する面圧発生媒体である圧子が付勢機構による付勢荷重によってカップ部材の内面を押圧する。このような圧子と付勢機構とからなる面圧発生機構により、中心周辺領域に面圧を発生させるとともに中心領域に対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構を簡易な構成によって実現することができる。
【0012】
第3発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、第2発明の人工股関節用カップ部材の試験装置において、前記圧子は、前記カップ部材の内面に沿う形状に形成されて前記中心周辺領域に当接する第1リング状曲面部と、前記第1リング状曲面部に周囲を囲まれるとともに平坦に形成されて前記第1リング状曲面部が前記中心周辺領域に当接した状態で前記中心領域に対して空間を介して対向する平坦部と、前記平坦部と反対側に形成されて前記付勢機構による付勢荷重が作用する付勢荷重作用部と、を有していることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、第1リング状曲面部がカップ部材の内面の中心周辺領域と当接するとともに第1リング状曲面部に囲まれた平坦部が中心領域に対して空間を介して対向することになる。そして、この状態で平坦部と反対側の付勢荷重作用部から付勢機構による付勢荷重が作用することで、中心領域には面圧が作用せずに中心周辺領域に面圧が作用することになる。このような圧子を用いることで、中心周辺領域に面圧を発生させるとともに中心領域に対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構を極めて簡易な構成によって実現することができる。
【0014】
第4発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、第2発明の人工股関節用カップ部材の試験装置において、前記圧子は、前記カップ部材の内面に沿う形状に形成されて前記中心周辺領域に当接する第2リング状曲面部と、前記第2リング状曲面部に周囲を囲まれるとともに当該圧子を貫通するように形成されて前記第2リング状曲面部が前記中心周辺領域に当接した状態で前記中心領域に対して空間として対向する貫通孔と、前記第2リング状曲面部と反対側において前記貫通孔の周囲に形成され前記付勢機構による付勢荷重が作用する付勢荷重作用部と、を有していることを特徴とする。
【0015】
この発明によると、第2リング状曲面部がカップ部材の内面の中心周辺領域と当接するとともに第2リング状曲面部に囲まれた貫通孔が中心領域に対して空間として対向することになる。そして、この状態で第2リング状曲面部と反対側の付勢荷重作用部から付勢機構による付勢荷重が作用することで、中心領域には面圧が作用せずに中心周辺領域に面圧が作用することになる。このような圧子を用いることで、中心周辺領域に面圧を発生させるとともに中心領域に対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構を極めて簡易な構成によって実現することができる。
【0016】
第5発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、第1発明の人工股関節用カップ部材の試験装置において、前記面圧発生機構は、前記カップ部材の内面に対して前記中心周辺領域と前記中心領域との境界に沿う位置で当接する第1シール部と、前記カップ部材の内面に対して前記中心周辺領域の外周に沿う位置で当接する第2シール部と、前記第1シール部及び前記第2シール部を介して前記カップ部材の内面を押圧するとともに前記中心周辺領域に隣接する空間として前記面圧発生媒体である圧力液体が導入される液圧室を前記カップ部材の内面との間で区画する液圧室区画部材と、前記液圧室に圧力液体を供給する圧力液体供給機構と、を有し、前記圧力液体供給機構により前記液圧室に圧力液体を供給することで前記中心周辺領域に面圧を発生させるとともに圧力液体と前記中心領域との非接触状態を保つことを特徴とする。
【0017】
この発明によると、液圧室区画部材がカップ部材の内面との間で第1シール部及び第2シール部を介して対向して圧力液体が導入される液圧室を区画する。そして、この液圧室に圧力液体供給機構から圧力液体が供給されることで中心領域とは接触せずに中心周辺領域に接触する面圧発生媒体である圧力液体がカップ部材の内面に面圧を発生させる。このような第1及び第2シール部と液圧室区画部材と圧力液体供給機構とを備える面圧発生機構により、中心周辺領域に面圧を発生させるとともに中心領域に対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構を簡易な構成によって実現することができる。
【0018】
第6発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、第5発明の人工股関節用カップ部材の試験装置において、前記圧力液体供給機構は、圧力液体を吐出するポンプと、前記ポンプに接続されるとともに前記液圧室区画部材の内部を通過して前記液圧室に対して前記第1シール部と前記第2シール部との間で連通する圧力液体通路と、を有していることを特徴とする。
【0019】
この発明によると、ポンプから吐出された圧力液体が液圧室区画部材の内部を通過するように形成された圧力液体通路を介して途中で漏れることなく確実に液圧室に供給される。このため、このような簡易な圧力液体通路を液圧室区画部材に設けることで、圧力液体が高圧であってもその圧力液体を液圧室に供給することができる構造を容易に実現することができる。
【0020】
第7発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、第5発明又は第7発明の人工股関節用カップ部材の試験装置において、前記第1シール部及び前記第2シール部のそれぞれは、樹脂材料で形成されたリング状の第1樹脂シールと当該第1樹脂シールを形成する樹脂材料よりも硬度の高い樹脂材料で形成されたリング状の第2樹脂シールとを有し、前記各第1樹脂シールは前記液圧室を介して互いに対向するように配置され、前記各第2樹脂シールは前記各第1樹脂シールに対して前記液圧室の反対側にて隣接するように配置されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によると、液圧室区画部材とカップ部材の内面との間の液圧室に供給された圧力液体は、第1シール部と第2シール部とにより封止される。そして、第1シール部及び第2シール部のそれぞれは、内側(液圧室側)に配置される硬度の低い第1樹脂シールとその外側(第1樹脂シールに対して液圧室とは反対側)に配置されて硬度の高い第2樹脂シールとを備えて構成されている。このため、変形し易い第1樹脂シールを内側に配置することで封止対象面に対する高い追従性を発揮することができるとともに、硬度の高い第2樹脂シールを外側に配置することで高い剛性を備えたシール部材としての機能も発揮することができる。そして、このように内側の第1樹脂シールと外側の第2樹脂シールという複層構造にすることで、低圧のときには主に第1樹脂シールが変形して圧力液体を封止し、高圧のときには更に第2樹脂シールが変形して圧力液体を封止することができるため、低圧から高圧の広い圧力範囲に亘って着実に圧力液体を封止することができる。
【0022】
第8発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、第2発明乃至第4発明のいずれかの人工股関節用カップ部材の試験装置において、一対の前記カップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の前記外面側支持具を有し、前記付勢機構は、一対の前記外面側支持具を当該外面側支持具同士が対向する方向に向かって押圧することで、前記圧子から一対の前記カップ部材の各内面に向かう付勢荷重を発生させることを特徴とする。
【0023】
この発明によると、一対のカップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具が設けられ、付勢機構が一対の外面側支持具をそれらが対向する方向に向かって押圧して付勢荷重を発生させるようになっている。このため、本発明の試験装置においては、一対のカップ部材を同時に試験することが可能となる。このように、1回の試験で2個のカップ部材を試験することができることで、試験効率を大幅に向上させることができ、試験のために要する費用や工数も大幅に低減することができる。また、さらに上記の一対の外面側支持具を複数対備えた試験装置とすることで、複数対のカップ部材を同時に試験することも可能となる。この場合、1回の試験で多くのカップ部材を試験することができ、さらに飛躍的に試験効率を向上させることができる。そして、本発明の試験装置においては、一対の外面側支持具に対して付勢機構が1つのみ備えられていればよいため、一対のカップ部材を1つの付勢機構で試験することができ、さらに、試験装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0024】
第9発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、第5発明乃至第7発明のいずれかの人工股関節用カップ部材の試験装置において、一対の前記カップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の前記外面側支持具を有し、前記液圧室区画部材は、一対の前記カップ部材の各内面との間で一対の前記液圧室をそれぞれ区画し、前記圧力液体供給機構は、一対の前記液圧室にそれぞれ圧力液体を供給することを特徴とする。
【0025】
この発明によると、一対のカップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具が設けられ、一対のカップ部材の各内面との間で液圧室区画部材により区画される一対の液圧室に対して、圧力液体供給機構がそれぞれ圧力液体を供給するようになっている。このため、本発明の試験装置においては、一対のカップ部材を同時に試験することが可能となる。このように、1回の試験で2個のカップ部材を試験することができることで、試験効率を大幅に向上させることができ、試験のために要する費用や工数も大幅に低減することができる。また、さらに上記の一対の外面側支持具と液圧室区画部材とを複数セット備えた試験装置とすることで、複数対のカップ部材を同時に試験することも可能となる。この場合、1回の試験で多くのカップ部材を試験することができ、さらに飛躍的に試験効率を向上させることができる。そして、本発明の試験装置においては、一対の外面側支持具に対して液圧室区画部材及び圧力液体供給機構が1セットのみ備えられていればよいため、一対のカップ部材を1セットの液圧室区画部材及び圧力液体供給機構で試験することができ、さらに、試験装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0026】
尚、他の観点に係る発明として、下記の第10発明又は第11発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置を構成してもよい。
【0027】
第10発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、人工股関節において用いられるカップ部材に対してその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置であって、一対の前記カップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具と、前記一対のカップ部材の内面に沿って接触する接触面を有するとともに当該接触面にて前記内面に当接して面圧を発生させる面圧発生部材と、一対の前記外面側支持具を当該外面側支持具同士が対向する方向に向かって押圧することで、前記面圧発生部材から一対の前記カップ部材の各内面に向かう付勢荷重を発生させる荷重発生機構と、を備えていることを特徴とする。
【0028】
この発明によると、一対のカップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具が設けられている。そして、荷重発生機構が一対の外面側支持具をそれらが対向する方向に向かって押圧し、これにより、面圧発生部材から一対のカップ部材の各内面に向かう付勢荷重を発生させるようになっている。このため、本発明の試験装置においては、一対のカップ部材を同時に試験することが可能となる。このように、1回の試験で2個のカップ部材を試験することができることで、試験効率を大幅に向上させることができ、試験のために要する費用や工数も大幅に低減することができる。また、さらに上記の一対の外面側支持具を複数対備えた試験装置とすることで、複数対のカップ部材を同時に試験することも可能となる。この場合、1回の試験で多くのカップ部材を試験することができ、さらに飛躍的に試験効率を向上させることができる。そして、本発明の試験装置においては、一対の外面側支持具に対して荷重発生機構が1つのみ備えられていればよいため、一対のカップ部材を1つの荷重発生機構で試験することができ、さらに、試験装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0029】
第11発明に係る人工股関節用カップ部材の試験装置は、人工股関節において用いられるカップ部材に対してその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置であって、一対の前記カップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具と、前記カップ部材の内面に当接するシール部材と、前記シール部材を介して前記カップ部材の内面を押圧するとともに圧力液体が導入される液圧室を前記カップ部材の内面との間で区画する液圧室区画要素と、前記液圧室に圧力液体を供給する圧力液体供給機構と、を備え、前記液圧室区画要素が一対の前記カップ部材の各内面との間で一対の前記液圧室をそれぞれ区画し、前記圧力液体供給機構が一対の前記液圧室にそれぞれ圧力液体を供給することで、一対の前記カップ部材の各内面に面圧を発生させることを特徴とする。
【0030】
この発明によると、一対のカップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具が設けられ、一対のカップ部材の各内面との間で液圧室区画要素により区画される一対の液圧室に対して、圧力液体供給機構がそれぞれ圧力液体を供給し、これにより、一対のカップ部材の各内面に面圧を付与するようになっている。このため、本発明の試験装置においては、一対のカップ部材を同時に試験することが可能となる。このように、1回の試験で2個のカップ部材を試験することができることで、試験効率を大幅に向上させることができ、試験のために要する費用や工数も大幅に低減することができる。また、さらに上記の一対の外面側支持具と液圧室区画要素を複数セット備えた試験装置とすることで、複数対のカップ部材を同時に試験することも可能となる。この場合、1回の試験で多くのカップ部材を試験することができ、さらに飛躍的に試験効率を向上させることができる。そして、本発明の試験装置においては、一対の外面側支持具に対して液圧室区画要素及び圧力液体供給機構が1セットのみ備えられていればよいため、一対のカップ部材を1セットの液圧室区画要素及び圧力液体供給機構で試験することができ、さらに、試験装置の構成の簡易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、人工股関節において用いられるカップ部材に対してその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置として広く適用することができるものである。
【0032】
まず、本実施形態に係る試験装置によって試験が行われる人工股関節用カップ部材について、人工股関節とともに説明する。図1は、人工股関節を説明する模式図であって、左股関節に対して人工股関節置換術が行われる場合における人工股関節の配置を骨盤103(二点鎖線で示す)及び大腿骨104(断面図で示す)とともに示したものである。図1に示すように、人工股関節においては、カップ部材100、骨頭ボール101、及びステム102が用いられる。尚、カップ部材100及び骨頭ボール101は、断面図で示している。カップ部材100は、球面の一部を構成するように形成された内面100aを有しており、骨盤103側に配置される。骨頭ボール101は、カップ部材100に対して大腿骨104側に配置されて更にカップ部材100に対して可動自在に嵌め込まれる。この骨頭ボール101は、大腿骨104に埋入される大腿骨用コンポーネントであるステム102に結合されている。これらの要素を用いて人工股関節が構成される。本実施形態に係る試験装置は、このような人工股関節において用いられるカップ部材100に対してその内面100aに面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するために用いられる。
【0033】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る人工股関節用カップ部材の試験装置1(以下単に、試験装置1という)を例示する正面図であり、図3はその側面図である。図2及び図3に示す試験装置1は、基台ケース11、外面側支持具12、面圧発生機構13、などを備えて構成されている。そして、面圧発生機構13は、圧子14(図5を参照)と付勢機構15とを備えている。付勢機構15は、図2及び図3によく示すように、モータ16、昇降駆動装置17、制御ユニット18、コントローラ19、圧子支持具20などを備えて構成されている。モータ16、昇降駆動装置17、及び圧子支持具20は、基台ケース11の正面側に配置されており、制御ユニット18、及びコントローラ19は、基台ケース11の内部に配置されている。
【0034】
図2及び図3に示すように、モータ16は、スクリュー機構として構成されている昇降駆動装置17と連結されており、モータ16の回転により昇降駆動装置17の上端部に取り付けられた支持テーブル23の上下方向の昇降動作が行われるようになっている。尚、図2及び図3では、昇降駆動装置17が上昇動作を行う前の状態と、上昇動作を行って図2中の矢印(A)方向に支持テーブル23を上昇させた状態(図2では実線で、図3では二点鎖線で示している)とをいずれも図示している。昇降駆動装置17の上端部に取り付けられた支持テーブル23の上には、外面側支持具12が配置されている。また、圧子支持具20は、基台ケース11の上部に取り付けられたブラケット24に取り付けられている。そして、後述するように、外面側支持具12と圧子支持具20との間において圧子14と試験対象であるカップ部材100とが配置され(図5を参照)、モータ16の回転を制御して昇降駆動装置17を上昇方向に駆動することで、付勢機構15として、圧子14からカップ部材100の内面100aに向かう付勢荷重を発生させることができるようになっている。また、支持テーブル23の下側にはロードセル22が配置されている。このロードセル22によって、支持テーブル23とブラケット24との間、すなわち、圧子支持具20と外面側支持具12との間でカップ部材100に対して作用している荷重を検出することができるようになっている。ロードセル22にて検出された荷重検出信号は信号線25を介してコントローラ19へと入力されるようになっている。
【0035】
図4は、試験装置1のブロック図を示したものである。この図4に示すように、制御ユニット18は、モータ制御装置21を備えて構成されている。このモータ制御装置21は、コントローラ19から入力される指令に基づいてモータ16の回転を制御するようになっており、これにより、モータ16に対してスクリュー軸が連結された昇降駆動装置17の昇降動作を制御するようになっている。
【0036】
図3及び図4に示すコントローラ19は、例えば汎用のパーソナルコンピュータを用いて構成されており、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HD(Hard Disk)、入・出力回路などを備えて構成されている。このコントローラ19には、ロードセル22から前述の荷重検出信号が入力され、この荷重検出信号に基づいて、所定の荷重となるまでモータ16が駆動されるようにモータ制御装置21へとモータ16の出力指令が入力されることになる。このように、所定の荷重となるようにモータ16が駆動されることで、圧子14を介してカップ部材100の内面100aに所定の面圧が作用することになる。
【0037】
図5は、外面側支持具12と圧子支持具20との間において圧子14及びカップ部材100が配置されている状態を示す断面図を示したものである。尚、図5では、圧子支持具20以外の要素を断面図で示している。図5に示すように、試験対象であるカップ部材100は、外面側にはその側方において、円錐面の一部を構成するように設けられた外開き状のテーパ状面100bが周方向の縁部分に沿って形成されている。また、前述したように、カップ部材100には、球面の一部を構成するように設けられた内面100aが形成されている。
【0038】
外面側支持具12は、図5に示すように、保持部材26、リング状支持部材27、及びテーパリング28を備えて構成されている。保持部材26は、周壁が円筒状に形成されるとともに上部に向かって開口する内部空間29を区画する箱状体の部材として形成され、例えば、鋼製の部材として形成されている。この保持部材26は、支持テーブル23上に配置される(図2参照)。そして、保持部材26には、上部に開口している内周側の縁部分に沿う位置に、円形の段状に凹むように形成された凹部26aが設けられている。
【0039】
リング状支持部材27は、リング状の部材として形成され、例えば、鋼製の部材として形成されている。このリング状支持部材27は、外周部分及び底面部分の形状が保持部材26の凹部26aに嵌り合う形状に形成されている。また、リング状支持部材27の内周側には、円錐曲面の一部を構成するように内側にすり鉢状に窄まる内周側テーパ面27bが形成されている。
【0040】
テーパリング28は、肉厚の薄いリング状の部材として形成され、例えば、鋼よりも延性の高い銅等の軟質金属材料や硬質の樹脂材料等で形成されている。このテーパリング28の外周側は、リング状支持部材27の内周側テーパ面27aに対して楔状に係合して嵌り込むように円錐曲面の一部を構成するテーパ状の面として形成されている。また、テーパリング28の内周側には、円錐曲面の一部を構成するように内側にすり鉢状に窄まるテーパ支持面28aが形成されている。このテーパ支持面28aに対しては、カップ部材100の側方の外周に設けられたテーパ状面100bが楔状に係合して嵌り込むようになっている。これにより、カップ部材100は、保持部材26の内側の内部空間29に配置された状態で、テーパ状面100bにてテーパリング28に支持される。そして、テーパリング28はリング状支持部材27と係合して支持され、リング状支持部材27は保持部材26の凹部26aと係合して支持される。即ち、外面側支持具12は、カップ部材100をその側方において外面側からテーパ状面100bにて支持するようになっている。
【0041】
次に、前述した付勢機構15とともに面圧発生機構13を構成する圧子14について説明する。図5に示すように、圧子14は、半球状の頭頂部分が平坦に形成された部材として形成され、第1リング状曲面部14a、平坦部14b、及び付勢荷重作用部14cが設けられている。この圧子14は、樹脂材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等)で形成されている。そして、第1リング状曲面部14aは、カップ部材100の内面100aに沿う形状に形成されており、内面100aにおける中心部分を含む中心領域100bの周辺を含む中心周辺領域100cに当接するように形成されている。平坦部14bは、第1リング状曲面部14aに周囲を囲まれるとともに平坦に形成されており、第1リング状曲面部14aが中心周辺領域100cに当接した状態(図5の状態)で中心領域100bに対して空間30を介して対向するようになっている。付勢荷重作用部14cは、圧子支持具20の先端部分と平面同士で当接する部分として設けられている。即ち、付勢荷重作用部14cは、平坦部14bと反対側に形成されて付勢機構15による付勢荷重が圧子支持具20の先端を介して作用する部分として形成されている。尚、圧子14は、圧子支持具20の先端に対して固定されるものであっても、固定されない状態で配置されるものであってもよく、いずれにおいても本実施形態において適用することができる。
【0042】
圧子14は、上述した構成を備えることで、カップ部材100の内面100aに対して中心領域100bとは接触せずに中心領域100bに隣接する空間30を区画するとともに中心周辺領域100cに当接して(接触して)面圧を発生させる面圧発生媒体として設けられている。また、かかる圧子14と付勢機構15とを備えることで、面圧発生機構13は、カップ部材100の内面100aに対して、圧子14を中心周辺領域100cに接触させて面圧を発生させるとともに中心領域100bに対しては圧子14を非接触状態に保つ機構として設けられている。
【0043】
次に、上述した試験装置1によってカップ部材100に対してその内面100aに面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知する試験(この試験を以下、プルーフテストという)の試験方法について説明する。プルーフテストを行う場合は、まず、昇降駆動装置17を駆動して支持テーブル23を所定の位置まで上昇させた状態で、外面側支持具12を支持テーブル23上に配置し、さらに、外面側支持具12に対してカップ部材100を前述のように支持させる。そして、カップ部材100の内面100aの中心と圧子14の中心(平坦部14bの中心)とが同一線上に位置するように、圧子14をカップ部材100の内面100aに対して配置する。その状態にて、圧子支持具20の先端部が圧子14の付勢荷重作用部14cに当接する位置となるように、支持テーブル23の高さを適宜調整する。この状態で、モータ16によって付勢機構15としての付勢荷重を付与できる状態になる。
【0044】
プルーフテストに際しては、まず、コントローラ19からの指令に基づいてモータ16が駆動されてカップ部材100に対して付勢荷重の付与が開始される。付勢荷重の付与開始後は、コントローラ19からの指令に基づいて、プルーフテストとして必要な面圧をカップ部材100の内面100aに付与することができる所定の荷重となるまで徐々にモータ16が制御される。この状態においては、試験装置1は、付勢機構15による付勢荷重によって圧子14がカップ部材100の内面100aを押圧することで中心周辺領域100cに面圧を発生させるとともに、圧子14の中心領域100bとの非接触状態を保つようになっている。所定の荷重まで達した後は、所定時間の間その状態が保持されて、カップ部材100に亀裂の発生等の破損が生じなければプルーフテストでは合格となる。
【0045】
以上説明した試験装置1によると、カップ部材100は、その側方の外面側から支持された状態で、その内面100aに面圧発生機構13によって面圧が付与されることになる。そして、面圧発生機構13は、カップ部材100の内面100aに対して面圧発生媒体である圧子14を中心周辺領域100cに接触させて面圧を発生させるとともに中心領域100bに対しては圧子14を非接触状態に保つようになっている。このため、面圧発生機構13によって内面100aに面圧が付与されたカップ部材100においては、中心周辺領域100cに面圧が作用し、中心領域100bにおいては面圧が作用しない状態に保たれることになる。
【0046】
尚、本願発明者らは、有限要素法によるシミュレーションを行って、カップ部材100の内面100aに対して全体的に面圧を作用させた場合(条件1)、従来技術と同様に、面圧の方向とは逆向きの支持力を負荷した場合(条件2)、本実施形態に係る試験装置1によって付与される面圧(即ち、圧子14が中心領域100bには接触せずに中心周辺領域100cに接触して発生させる面圧)を作用させた場合(条件3)、のそれぞれについてカップ部材100に生じる応力分布を解析した。図15、図16、図17にそれぞれ、条件1、条件2、条件3における解析結果を示す。この結果、プルーフテストとして要求される水準の面圧をカップ部材100に発生させると、図15に示すように、条件1では、カップ部材100の中心に過度に高応力となった領域が発生した。一方、図16及び図17にそれぞれ示すように、条件2及び条件3では、プルーフテストとして要求される水準の面圧をカップ部材100に発生させても、カップ部材100の中心部分とその周辺の部分とにおいて同等の水準の応力分布とすることができることを確認できた。即ち、図17に示すように、条件3では、面圧方向とは逆向きの支持力を負荷するための機構を別途設けなくても、カップ部材100の中心部分とその周辺の部分とにおいて同等の水準の応力分布とすることができることを確認できた。
【0047】
このように、試験装置1によると、中心周辺領域100cに面圧が作用して中心領域100bにおいては面圧が作用しない状態に保たれるため、分布荷重によってカップ部材100の中心部分に作用する曲げモーメントを従来よりも大幅に小さくすることができるため、その中心部分における応力が過度に高くなってしまうことを効率よく抑制することができる。これにより、カップ部材100の中心部分においてその周辺の部分に比して応力が過度に高くなってしまうことなくその周辺の部分と同等の水準の応力分布に近づけることができる。そして、面圧や荷重を発生させる機構としては、上述の面圧発生機構13だけの簡便な構成でよく、面圧を負荷する方向と逆向きの荷重を負荷するためのもう1つの機構は不要となる。
従って、カップ部材100における応力分布をより一様に近づけることができるとともに、装置構成の複雑化を大幅に抑制することができる人工股関節用カップ部材の試験装置1を提供することができる。
【0048】
また、試験装置1によると、中心領域100bとは接触せずに中心周辺領域100cに当接する面圧発生媒体である圧子14が付勢機構15による付勢荷重によってカップ部材100の内面100aを押圧する。このような圧子14と付勢機構15とからなる面圧発生機構13により、中心周辺領域100cに面圧を発生させるとともに中心領域100bに対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構を簡易な構成によって実現することができる。
【0049】
また、試験装置1によると、第1リング状曲面部14aがカップ部材100の内面100aの中心周辺領域100cと当接するとともに第1リング状曲面部14aに囲まれた平坦部14bが中心領域100bに対して空間30を介して対向することになる。そして、この状態で平坦部14bと反対側の付勢荷重作用部14cから付勢機構15による付勢荷重が作用することで、中心領域100bには面圧が作用せずに中心周辺領域100cに面圧が作用することになる。このような圧子14を用いることで、中心周辺領域100cに面圧を発生させるとともに中心領域100bに対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構13を極めて簡易な構成によって実現することができる。
【0050】
(第1実施形態の第1変形例)
次に、第1実施形態における変形例について説明する。図6は、第1実施形態における第1変形例を説明する図であって、図5と同様に圧子31及びカップ部材100の近傍の状態を示す断面図である。図6にその要部を示す第1変形例に係る試験装置は、試験装置1と同様に構成されるが、圧子31の構成が試験装置1とは異なっている。尚、圧子31以外の要素については、試験装置1と同様に構成されるため、図6において同一の符合を付して説明を割愛する。
【0051】
図6に示すように、圧子31は、半球状の頭頂部分に貫通した孔が形成された部材として形成され、第2リング状曲面部31a、貫通孔31b、及び付勢荷重作用部31cが設けられている。この圧子31は、樹脂材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等)で形成されている。そして、第2リング状曲面部31aは、カップ部材100の内面100aに沿う形状に形成されており、内面100aにおける中心周辺領域100cに当接するように形成されている。貫通孔31bは、第2リング状曲面部31aに周囲を囲まれるとともにこの圧子31を貫通するように形成されている。そして、貫通孔31bは、リング状曲面部31aが中心周辺領域100cに当接した状態で中心領域100bに対して空間として対向するようになっている。付勢荷重作用部31cは、第2リング状曲面部31aと反対側において貫通孔31bの周囲に形成されて付勢機構15による付勢荷重が圧子支持具20の先端を介して作用する部分として形成されている。尚、圧子31は、圧子支持具20の先端に対して固定されるものであっても、固定されない状態で配置されるものであってもよく、いずれにおいても第1変形例において適用することができる。
【0052】
圧子31は、上述した構成を備えることで、試験装置1の圧子14と同様に、カップ部材100の内面100aに対して中心領域100bとは接触せずに中心領域100bに隣接する空間を区画するとともに中心周辺領域100cに当接して(接触して)面圧を発生させる面圧発生媒体として設けられている。
【0053】
上述した第1変形例に係る試験装置によっても試験装置1と同様に、カップ部材100における応力分布をより一様に近づけることができるとともに、装置構成の複雑化を大幅に抑制することができる人工股関節用カップ部材の試験装置を提供することができる。そして、この第1変形例に係る試験装置によると、第2リング状曲面部31aがカップ部材100の内面100aの中心周辺領域100cと当接するとともに第2リング状曲面部31aに囲まれた貫通孔31bが中心領域に対して空間として対向することになる。そして、この状態で第2リング状曲面部31aと反対側の付勢荷重作用部31cから付勢機構15による付勢荷重が作用することで、中心領域100bには面圧が作用せずに中心周辺領域100cに面圧が作用することになる。このような圧子31を用いることで、中心周辺領域100cに面圧を発生させるとともに中心領域100bに対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構を極めて簡易な構成によって実現することができる。
【0054】
(第1実施形態の第2変形例)
次の変形例について説明する。図7は、第1実施形態における第2変形例を説明する図であって、図5と同様に圧子14及びカップ部材100の近傍の状態を示す断面図である。図7にその要部を示す第2変形例に係る試験装置は、試験装置1と同様に構成されるが、一対の外面側支持具(12、12)を備え、一対のカップ部材(100、100)に対して同時にプルーフテストを行うことができる構成である点が、試験装置1とは異なっている。尚、試験装置1と同様に構成される要素については、図7において同一の符合を付して説明を割愛する。
【0055】
図7に示すように、第2変形例に係る試験装置においては、一対の外面側支持具(12、12)と、一対の圧子(14、14)とが備えられている。一対の外面側支持具(12、12)は、一対のカップ部材(100、100)をそれぞれの内面100a同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持するように配置されている。そして、各外面側支持具12及び各圧子14との間には、各カップ部材100が試験装置1と同様に配置されることになる。
【0056】
また、この第2変形例に係る試験装置においては、圧子支持具32の構成が試験装置1の圧子支持具20とは異なっている。圧子支持具32は、円柱状の部材として形成され、一対の圧子(14、14)の間に配置されるようになっている。そして、圧子支持具32の両端面(32a、32a)がそれぞれ一対の圧子(14、14)の各付勢荷重作用部14cに当接するようになっている。即ち、第2変形例に係る試験装置においては、圧子支持具32の上下方向両側に一対の圧子(14、14)がそれぞれ配置され、さらにその上下方向両側に一対のカップ部材(100、100)が内面100a同士が対向するようにそれぞれ配置され、さらにその上下方向両側に一対の外面側支持具(12、12)がそれぞれ配置されるようになっている。これらの圧子支持具32、一対の圧子(14、14)、一対のカップ部材(100、100)、及び一対の外面側支持具(12、12)は、ブラケット24に取り付けられた支持部材33と、支持テーブル23と、の間に配置される。そして、付勢機構15は、一対の外面側支持具(12、12)をこの外面側支持具12同士が対抗する方向に向かって押圧することで、各圧子14から一対のカップ部材(100、100)の各内面100aに向かう付勢荷重を発生させるようになっている。
【0057】
上述した第2変形例に係る試験装置によっても試験装置1と同様に、カップ部材100における応力分布をより一様に近づけることができるとともに、装置構成の複雑化を大幅に抑制することができる人工股関節用カップ部材の試験装置を提供することができる。そして、この第1変形例に係る試験装置によると、一対のカップ部材(100、100)をそれぞれの内面100a同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具(12、12)が設けられ、付勢機構15が一対の外面側支持具(12、12)をそれらが対向する方向に向かって押圧して付勢荷重を発生させるようになっている。このため、この変形例に係る試験装置においては、一対のカップ部材(100、100)を同時に試験することが可能となる。このように、1回の試験で2個のカップ部材100を試験することができることで、試験効率を大幅に向上させることができ、試験のために要する費用や工数も大幅に低減することができる。また、さらに上記の一対の外面側支持具(12、12)を複数対備えた試験装置とすることで、複数対のカップ部材100を同時に試験することも可能となる。この場合、1回の試験で多くのカップ部材100を試験することができ、さらに飛躍的に試験効率を向上させることができる。そして、この変形例に係る試験装置においては、一対の外面側支持具(12、12)に対して付勢機構15が1つのみ備えられていればよいため、一対のカップ部材(100、100)を1つの付勢機構15で試験することができ、さらに、試験装置の構成の簡易化を図ることができる。尚、本変形例の更なる変形例として、一対の圧子(14、14)及び圧子支持具32が一体形成された形態の圧子を構成してもよい。
【0058】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、第2実施形態に係る人工股関節用カップ部材の試験装置2(以下単に、試験装置2という)を例示する側面図である。また、図9は試験装置2のブロック図であり、図10はカップ部材100の近傍の状態を示す断面図である。図8乃至図10に示す試験装置2は、基台ケース11、外面側支持具12、面圧発生機構34、などを備えて構成されている。そして、面圧発生機構34は、モータ16、昇降駆動装置17、制御ユニット18a、コントローラ19a、ポンプユニット35、第1シール部41、第2シール部42、液圧室区画部材47、圧力水供給機構(圧力液体供給機構)48などを備えて構成されている。尚、第2実施形態の説明においては、第1実施形態と同様の要素については、同一の符号を付して説明を割愛する。
【0059】
図8に示すように、ポンプユニット35には、図示しないタンクから吸い込んだ水を昇圧して圧力水(圧力液体)として供給するポンプ36が備えられており、ポンプ36から供給される圧力水は、水管38を介して後述する液圧室区画部材47へと供給されるようになっている。また、図8及び図9に示すように、ポンプ36から液圧室区画部材47へと水を供給する経路(図8では破線の矢印で図示)である水管38には圧力水の水圧を検知する水圧メータ37が設けられている。そして、水圧メータ37にて検出された水圧検出信号は信号線39によりコントローラ19aへと入力されるようになっている。
【0060】
制御ユニット18aは、図9に示すように、モータ制御装置21とポンプ制御装置40とを備えて構成されている。ポンプ制御装置40は、コントローラ19aから入力される指令に基づいて、例えばポンプ36を駆動している図示しないポンプモータの回転数を制御することにより、ポンプ36から吐出される圧力水の圧力を制御するようになっている。尚、モータ制御装置21は、第1実施形態のモータ制御装置21と同様に構成される。
【0061】
図8及び図9に示すコントローラ19aは、第1実施形態のコントローラ19と同様に、例えば汎用のパーソナルコンピュータを用いて構成されている。このコントローラ19aには、第1実施形態と同様に、ロードセル22から荷重検出信号が入力され、この荷重検出信号に基づいて、所定の荷重となるまでモータ16が駆動されるようにモータ制御装置21へとモータ16の出力指令が入力されることになる。また、コントローラ19aには、水圧メータ37からの前述の水圧検出信号が入力され、この水圧検出信号に基づいて、所定の水圧となるまでポンプ36が駆動されるようにポンプ制御装置40へとポンプ36の出力指令が入力されることになる。このように、所定の水圧となるようにポンプ36が駆動されることで、後述するように、カップ部材の100の内面100aに所定の面圧が水圧として作用することになる。
【0062】
次に、カップ部材100の近傍の断面図を示す10図に基づいて、第1シール部41、第2シール部42、液圧室区画部材47、圧力水供給機構48の構成について説明する。
【0063】
第1シール部41は、カップ部材100の内面100aに対して中心周辺領域100cと中心領域100bとの境界に沿う位置で当接して圧力水を封止する手段として設けられている。この第1シール部41は、液圧室区画部材47において段状に突出する円柱状の先端円柱部47aの先端側の縁部分に沿って形成された凹部に対して密着するように嵌め込まれるとともに、カップ部材100の内面100aに密着可能に配置されることになる。そして、この第1シール部41は、樹脂材料で形成されたリング状(円環状)の第1樹脂シール43と、この第1樹脂シール43を形成する樹脂材料よりも硬度の高い樹脂材料で形成されたリング状の第2樹脂シール44と、を備えて構成されている。第1樹脂シール43は、その周方向と垂直な断面が円形断面又は楕円形断面に形成され、例えばポリエチレンで形成されている。また、第2樹脂シール44は、その周方向と垂直な断面が四角形断面に形成され、例えばシリコンゴムで形成されている。尚、図10に示す例では、カップ部材100の内面100aに沿うように、第1樹脂シール43と第2樹脂シール44とがそれらの径方向において同心状に隣接して配設されている。
【0064】
第2シール部42は、カップ部材100の内面100aに対して中心周辺領域100cの外周に沿う位置で当接して圧力水を封止する手段として設けられている。この第2シール部42は、液圧室区画部材47の最外周の段状の部分を形成する円柱状の胴体円柱部47bの先端側の縁部分に沿って形成された凹部に対して密着するように嵌め込まれるとともに、カップ部材100の内面100aに密着可能に配置されることになる。そして、この第1シール部41は、第1樹脂シール部42と同様に、樹脂材料で形成されたリング状の第1樹脂シール45と、この第1樹脂シール45を形成する樹脂材料よりも硬度の高い樹脂材料で形成されたリング状の第2樹脂シール46と、を備えて構成されている。第1樹脂シール43は、その周方向と垂直な断面が円形断面又は楕円形断面に形成され、例えばポリエチレンで形成されている。また、第2樹脂シール44は、その周方向と垂直な断面が四角形断面に形成され、例えばシリコンゴムで形成されている。尚、図10に示す例では、カップ部材100の内面100aに沿うように、第1樹脂シール45と第2樹脂シール46とがそれらの高さ方向において段積み状に重ねられるように配設されている。
【0065】
また、液圧室区画部材47は、ブラケット24に取り付けられており、前述したように、胴体円柱部47bから先端円柱部47aが段状に突出する外形に形成されている。胴体円中部47bの外形円の中心と先端円柱部47aの外形円の中心とは同心上に配置されている。そして、この液圧室区画部材47は、第1シール部41及び第2シール部42を介してカップ部材100の内面100aを押圧するとともに中心周辺領域100cに隣接する空間として面圧発生媒体である圧力水が導入される液圧室50をカップ部材100の内面100aとの間で区画するように形成されている。尚、各第1樹脂シール(43、45)は液圧室50を介して互いに対向するように配置され、各第2樹脂シール(44、47)は各第1樹脂シール(43、45)に対して液圧室50の反対側にて隣接するように配置されている。また、この液圧室区画部材47には、ポンプ36に水管38を介して接続されるとともに液圧室50に対して第1シール部41と第2シール部42との間で連通する圧力水通路(圧力液体通路)49が形成されている。即ち、圧力水通路49は、液圧室区画部材47の内部を通過する孔として形成されている。
【0066】
圧力水供給機構48は、圧力水を吐出するポンプ36と前述した圧力水通路49とを備えて構成されており、液圧室50に圧力水を供給する手段として設けられている。試験装置2は、第1シール部41及び第2シール部42で封止された液圧室50に圧力水供給機構48により圧力水を供給することでカップ部材100の内面100aにおける中心周辺領域100cに面圧を発生させるとともに圧力水と中心領域との非接触状態を保つようになっている。
【0067】
次に、上述した試験装置2によってカップ部材100に対してその内面100aに面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するプルーフテストの方法について説明する。かかるプルーフテストを行う場合は、まず、昇降駆動装置17を駆動して支持テーブル23を所定の位置まで上昇させた状態で、外面側支持具12を支持テーブル23上に配置し、さらに、外面側支持具12に対してカップ部材100を支持させる。そして、カップ部材100の内面100aの中心と液圧室区画部材47の中心(先端円柱部47aの中心)とが同一線上に位置するように、外面支持具12及びカップ部材100を液圧室区画部材47に対して配置する。その状態にて、液圧室区画部材47に取り付けられている第1シール部41及び第2シール部42がカップ部材100の内面100aに当接する位置となるように、支持テーブル23の高さを適宜調整する。この状態で、面圧発生機構34によってカップ部材100の内面100aに対して面圧を付与するプルーフテストを開始できる状態になる。
【0068】
プルーフテストに際しては、まず、コントローラ19aからの指令に基づいてモータ16が駆動されてカップ部材100に対して予備荷重が付与される。そして、予備荷重を付与した状態でコントローラ19aからの指令に基づいた水圧の圧力水がポンプ36から水管38及び圧力水通路49を経て液圧室50へと供給され始めることになる。このとき、液圧室50の水圧がカップ部材100に作用するため、カップ部材100には上下方向の荷重が作用することになる。液圧室50への圧力水の導入の開始後は、コントローラ19aからの指令に基づいて、プルーフテストとして必要な面圧をカップ部材100の内面100aに付与するために、所定の水圧となるまで徐々に水圧が上昇するようにポンプ36を制御するとともに、これに対応させてモータ12を制御しながら、所定の荷重となるまで徐々にモータ16が制御される。このように液圧室50に水圧が付加されている間は、第1シール部42と第2シール部42とによって、カップ部材100の内面100aの中心周辺領域100cと液圧室区画部材47との間が封止されている。そして、この状態においては、試験装置2は、圧力液体供給機構48により液圧室50に圧力水を供給することで中心周辺領域100cに面圧を発生させるとともに、圧力水と中心領域100bとの非接触状態を保つようになっている。所定の荷重まで達した後は、所定時間の間その状態が保持されて、カップ部材100に亀裂の発生等の破損が生じなければプルーフテストでは合格となる。
【0069】
以上説明した試験装置2によると、カップ部材100は、その側方の外面側から支持された状態で、その内面100aに面圧発生機構34によって面圧が付与されることになる。そして、面圧発生機構34は、カップ部材100の内面100aに対して面圧発生媒体である圧力水を中心周辺領域100cに接触させて面圧を発生させるとともに中心領域100bに対しては圧力水を非接触状態に保つようになっている。このため、面圧発生機構34によって内面100aに面圧が付与されたカップ部材100においては、中心周辺領域100cに面圧が作用し、中心領域100bにおいては面圧が作用しない状態に保たれることになる。
【0070】
この試験装置2によると、中心周辺領域100cに面圧が作用して中心領域100bにおいては面圧が作用しない状態に保たれるため、分布荷重によってカップ部材100の中心部分に作用する曲げモーメントを従来よりも大幅に小さくすることができるため、その中心部分における応力が過度に高くなってしまうことを効率よく抑制することができる。これにより、カップ部材100の中心部分においてその周辺の部分に比して応力が過度に高くなってしまうことなくその周辺の部分と同等の水準の応力分布に近づけることができる。そして、面圧や荷重を発生させる機構としては、上述の面圧発生機構34だけの簡便な構成でよく、面圧を負荷する方向と逆向きの荷重を負荷するためのもう1つの機構は不要となる。
従って、カップ部材100における応力分布をより一様に近づけることができるとともに、装置構成の複雑化を大幅に抑制することができる人工股関節用カップ部材の試験装置2を提供することができる。
【0071】
また、試験装置2によると、液圧室区画部材47がカップ部材100の内面100aとの間で第1シール部41及び第2シール部42を介して対向して圧力水が導入される液圧室50を区画する。そして、この液圧室50に圧力水供給機構48から圧力水が供給されることで中心領域100bとは接触せずに中心周辺領域100cに接触する面圧発生媒体である圧力水がカップ部材100の内面100aに面圧を発生させる。このような第1及び第2シール部(41、42)と液圧室区画部材47と圧力水供給機構48とを備える面圧発生機構34により、中心周辺領域100cに面圧を発生させるとともに中心領域100bに対しては面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構34を簡易な構成によって実現することができる。
【0072】
また、試験装置2によると、ポンプ36から吐出された圧力水が液圧室区画部材47の内部を通過するように形成された圧力水通路49を介して途中で漏れることなく確実に液圧室50に供給される。このため、このような簡易な圧力水通路49を液圧室区画部材47に設けることで、圧力水が高圧であってもその圧力水を液圧室50に供給することができる構造を容易に実現することができる。
【0073】
また、試験装置2によると、液圧室区画部材47とカップ部材100の内面100aとの間の液圧室50に供給された圧力水は、第1シール部41と第2シール部42とにより封止される。そして、第1シール部41及び第2シール部42のそれぞれは、内側(液圧室50側)に配置される硬度の低い第1樹脂シール(43、45)とその外側(第1樹脂シール(43、45)に対して液圧室50とは反対側)に配置されて硬度の高い第2樹脂シール(44、46)とを備えて構成されている。このため、変形し易い第1樹脂シール(43、45)を内側に配置することで封止対象面に対する高い追従性を発揮することができるとともに、硬度の高い第2樹脂シール(44、46)を外側に配置することで高い剛性を備えたシール部材としての機能も発揮することができる。そして、このように内側の第1樹脂シール(43、45)と外側の第2樹脂シール(44、46)という複層構造にすることで、低圧のときには主に第1樹脂シール(43、45)が変形して圧力水を封止し、高圧のときには更に第2樹脂シール(44、46)が変形して圧力水を封止することができるため、低圧から高圧の広い圧力範囲に亘って着実に圧力水を封止することができる。
【0074】
(第2実施形態の第1変形例)
次に、第2実施形態における変形例について説明する。図11は、第2実施形態における第1変形例を説明する図であって、第2シール部51の近傍の状態を示す断面図である。図11にその要部を示す第1変形例に係る試験装置は、試験装置2と同様に構成されるが、第1シール部(図示せず)及び第2シール部51の構成が試験装置2とは異なっている。
【0075】
図11(a)に示すように、第2シール部51は、試験装置2の第2シール部42と同じ位置に配置されるが、第2シール部42とは異なり、三層シール構造で圧力水を封止する手段として設けられている。この第2シール部51は、樹脂材料で形成されたリング状の第1樹脂シール52と、この第1樹脂シール52を形成する樹脂材料よりも硬度の高い樹脂材料で形成されたリング状の第2樹脂シール53と、金属製の金属シール54と、を備えて構成されている。第1樹脂シール52は、その周方向と垂直な断面が円形断面又は楕円形断面に形成され、例えばポリエチレンで形成されている。第2樹脂シール53は、その周方向と垂直な断面が台形断面に形成され、例えばシリコンゴムで形成されている。第2樹脂シール53の外周側には、円錐曲面の一部を構成するテーパ状面53aが形成されており、このテーパ状面53aにてカップ部材100の内面100aに当接するようになっている。
【0076】
金属シール54は、その周方向と垂直な断面が台形断面又は五角形断面に形成され、例えば軟質金属材料としての銅で形成されている。図11(b)は、金属シール54の外周側を拡大して示す断面図であるが、金属シール54の外周側には、円錐曲面の一部を構成するテーパ状面54aと、テーパ状面54aの窄まっている端部側に形成された面取り部分54bとが設けられている。金属シール54は、このテーパ状面54a及び面取り部分54bにてカップ部材100の内面100aに当接することで、過度な接触応力が発生してしまうことを緩和して、内面100aに疵が発生することを防止するようになっている。尚、図11に示す例では、カップ部材100の内面100aに沿うように、第1樹脂シール52、第2樹脂シール53、及び金属シール54がそれらの高さ方向において段積み状に重ねられるように配設されている。尚、図11(c)は、金属シール54の変形例である金属シール55を示したものである。金属シール54においてはその外周側にテーパ状面54a及び面取り部分54bが設けられていたが、図11(c)に示す金属シール55のように、途中で傾斜角が変化する2段階の斜面として構成されたテーパ状面55a及びテーパ状面55bを備えるものであってもよい。
【0077】
また、図11では図示していないが、この変形例においては、第1シール部についても、第1樹脂シール、第2樹脂シール、及び金属シールを備える三層シール構造として設けられる。そして、第1シール部及び第2シール部51においては、各第1樹脂シールが液圧室50を介して互いに対向するように配置され、各第2樹脂シールは各第1樹脂シールに対して液圧室50の反対側にて隣接するように配置され、さらに、各金属シールは各第2樹脂シールに対して各第1樹脂シールの反対側にて隣接するように配置されている。このように、第1シール部及び第2シール部51を三層シール構造とすることで、第2樹脂シールの外側でも金属シールにて圧力水を封止することができるため、さらに高圧の領域まで広い範囲に亘って着実に圧力水を封止することができる。
【0078】
(第2実施形態の第2変形例)
次の変形例について説明する。図12は、第2実施形態における第2変形例を説明する図であって、カップ部材100の近傍の状態を示す断面図である。図12にその要部を示す第2変形例に係る試験装置は、試験装置2と同様に構成されるが、一対の外面側支持具(12、12)を備え、一対のカップ部材(100、100)に対して同時にプルーフテストを行うことができる構成である点が、試験装置2とは異なっている。尚、試験装置2と同様に構成される要素については、図12におけて同一の符合を付している。
【0079】
図12に示すように、第2変形例に係る試験装置においては、一対の外面側支持具(12、12)と、第1シール部56と、第2シール部57と、液圧室区画部材58とが備えられている。一対の外面側支持具(12、12)は、一対のカップ部材(100、100)をそれぞれの内面100a同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持するように配置されている。第1シール部56及び第2シール部57は、それぞれ試験装置2の第1シール部41及び第2シール部42と同じ位置に配置されるが、いずれも円形断面を有するリング状に形成され、樹脂製として設けられている。そして、第1シール部56及び第2シール部57は、一対のカップ部材(100、100)に対応して一対ずつ設けられている。
【0080】
液圧室区画部材58は、各第1シール部56及び各第2シール部57を介してカップ部材100の内面100aを押圧するとともに、中心周辺領域100cに隣接する空間として圧力水が導入される一対の液圧室(50、50)を一対のカップ部材(100、100)の各内面100aとの間でそれぞれ区画するように設けられている。また、液圧室区画部材58には、水管38に接続する圧力水通路59が、二手に分岐して一対の液圧室(50、50)のそれぞれに連通するように形成されている。そして、ポンプ36と圧力水通路59とを備えて構成される圧力水供給機構は、一対の液圧室(50、50)にそれぞれ圧力水を供給するようになっている。
【0081】
上述した第2変形例に係る試験装置によっても試験装置2と同様に、カップ部材100における応力分布をより一様に近づけることができるとともに、装置構成の複雑化を大幅に抑制することができる人工股関節用カップ部材の試験装置を提供することができる。そして、この第2変形例に係る試験装置によると、一対のカップ部材(100、100)をそれぞれの内面100a同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具(12、12)が設けられ、一対のカップ部材(100、100)の各内面100aとの間で液圧室区画部材58により区画される一対の液圧室(50、50)に対して、圧力水供給機構がそれぞれ圧力水を供給するようになっている。このため、この変形例に係る試験装置においては、一対のカップ部材(100、100)を同時に試験することが可能となる。このように、1回の試験で2個のカップ部材(100、100)を試験することができることで、試験効率を大幅に向上させることができ、試験のために要する費用や工数も大幅に低減することができる。また、さらに上記の一対の外面側支持具(12、12)と液圧室区画部材58とを複数セット備えた試験装置とすることで、複数対のカップ部材100を同時に試験することも可能となる。この場合、1回の試験で多くのカップ部材100を試験することができ、さらに飛躍的に試験効率を向上させることができる。そして、この変形例に係る試験装置においては、一対の外面側支持具(12、12)に対して液圧室区画部材58及び圧力水供給機構が1セットのみ備えられていればよいため、一対のカップ部材(100、100)を1セットの液圧室区画部材58及び圧力水供給機構で試験することができ、さらに、試験装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0082】
(他の実施形態)
次に、本発明における他の実施形態について説明する。図13は、他の実施形態に係る人工股関節用カップ部材の試験装置を説明する図であって、カップ部材100の近傍の状態を示す断面図である。図13に示す試験装置は、カップ部材100に対してその内面100aに面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置であって、第1実施形態の第2変形例に係る試験装置と同様に構成されている。即ち、一対の外面側支持具(12、12)を備え、一対のカップ部材(100、100)に対して同時にプルーフテストを行うことができる構成を備えている。しかし、中心領域100bに接触せずに中心周辺領域100cに当接する圧子14とは異なる構成の面圧発生部材60が備えられている点が、第1実施形態の第2変形例に係る試験装置とは異なっている。尚、試験装置1や第1実施形態の第2変形例に係る試験装置と同様に構成される要素については、図13において同一の符合を付して説明を割愛する。
【0083】
図13にその要部を示す試験装置においては、一対の外面側支持具(12、12)と、面圧発生部材60と、荷重発生機構とが備えられている。一対の外面側支持具(12、12)は、一対のカップ部材(100、100)をそれぞれの内面100a同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持するように配置されている。面圧発生部材60は、一対のカップ部材(100、100)の内面100aに沿って接触する一対の接触面(60a、60a)を有するとともにこの接触面60aにて内面100aに当接して面圧を発生させるようになっている。即ち、面圧発生部材60を挟んでその上下方向両側に一対のカップ部材(100、100)が内面100a同士を対向させて配置され、更にその上下方向両側に一対の外面側支持具(12、12)が配置されている。荷重発生機構は、付勢機構15と同様に構成されており、一対の前記外面側支持具(12、12)をこれらの外面側支持具同士12が対向する方向に向かって押圧することで、面圧発生部材60から一対のカップ部材(100、100)の各内面100aに向かう付勢荷重を発生させる機構として設けられている。
【0084】
この試験装置によると、一対のカップ部材(100、100)をそれぞれの内面100a同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具(12、12)が設けられている。そして、荷重発生機構が一対の外面側支持具(12、12)をそれらが対向する方向に向かって押圧し、これにより、面圧発生部材60から一対のカップ部材(100、100)の各内面100aに向かう付勢荷重を発生させるようになっている。このため、この試験装置においては、一対のカップ部材(100、100)を同時に試験することが可能となる。このように、1回の試験で2個のカップ部材(100、100)を試験することができることで、試験効率を大幅に向上させることができ、試験のために要する費用や工数も大幅に低減することができる。また、さらに上記の一対の外面側支持具(12、12)を複数対備えた試験装置とすることで、複数対のカップ部材100を同時に試験することも可能となる。この場合、1回の試験で多くのカップ部材100を試験することができ、さらに飛躍的に試験効率を向上させることができる。そして、この試験装置においては、一対の外面側支持具(12、12)に対して荷重発生機構が1つのみ備えられていればよいため、一対のカップ部材(100、100)を1つの荷重発生機構で試験することができ、さらに、試験装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0085】
また、図14は、更に他の実施形態に係る人工股関節用カップ部材の試験装置を説明する図であって、カップ部材100の近傍の状態を示す断面図である。図14に示す試験装置は、カップ部材100に対してその内面100aに面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置であって、第2実施形態の第2変形例に係る試験装置と同様に構成されている。即ち、一対の外面側支持具(12、12)を備え、一対のカップ部材(100、100)に対して同時にプルーフテストを行うことができる構成を備えている。しかし、カップ部材100の内面100aへの圧力水の接触の形態において、第2実施形態の第2変形例に係る試験装置とは異なっている。尚、試験装置2や第2実施形態の第2変形例に係る試験装置と同様に構成される要素については、図14においては同一の符合を付して説明を割愛する。
【0086】
図14にその要部を示す試験装置においては、一対の外面側支持具(12、12)と、一対のシール部材(61、61)と、液圧室区画要素62と、圧力水供給機構(圧力液体供給機構)とが備えられている。一対の外面側支持具(12、12)は、一対のカップ部材(100、100)の内面100a同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持するように配置されている。一対のシール部材(61、61)は、一対のカップ部材(100、100)の各内面100aに対して当接するように配置され、円形断面を有するリング状に形成され、樹脂製として設けられている。液圧室区画要素62は、一対のシール部材(61、61)を介して一対のカップ部材(100、100)の各内面100aを押圧するとともに、圧力水が導入される一対の液圧室(64、64)を一対のカップ部材(100、100)の各内面100aとの間でそれぞれ区画するように設けられている。また、液圧室区画要素62には、水管38に接続する圧力水通路(圧力液体通路)63が、二手に分岐して一対の液圧室(64、64)のそれぞれに連通するように形成されている。そして、ポンプ36と圧力水通路63とを備えて構成される圧力水供給機構(圧力液体供給機構)は、一対の液圧室(64、64)に圧力水を供給するようになっている。この圧力水供給機構が、一対の液圧室(64、64)にそれぞれ圧力水を供給することで、一対のカップ部材(100、100)の各内面100aに面圧を発生させるようになっている。
【0087】
この試験装置によると、一対のカップ部材(100、100)をそれぞれの内面100a同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の外面側支持具(12、12)が設けられ、一対のカップ部材(100、100)の各内面100aとの間で液圧室区画要素62により区画される一対の液圧室(64、64)に対して、圧力水供給機構がそれぞれ圧力水を供給し、これにより、一対のカップ部材(100、100)の各内面100aに面圧を付与するようになっている。このため、この試験装置においては、一対のカップ部材(100、100)を同時に試験することが可能となる。このように、1回の試験で2個のカップ部材(100、100)を試験することができることで、試験効率を大幅に向上させることができ、試験のために要する費用や工数も大幅に低減することができる。また、さらに上記の一対の外面側支持具(12、12)と液圧室区画要素62を複数セット備えた試験装置とすることで、複数対のカップ部材100を同時に試験することも可能となる。この場合、1回の試験で多くのカップ部材100を試験することができ、さらに飛躍的に試験効率を向上させることができる。そして、この試験装置においては、一対の外面側支持具(12、12)に対して液圧室区画要素62及び圧力水供給機構が1セットのみ備えられていればよいため、一対のカップ部材(100、100)を1セットの液圧室区画要素62及び圧力液体供給機構で試験することができ、さらに、試験装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、第1及び第2実施形態において、外面側支持具の形状を適宜変更して実施してもよい。また、第2実施形態において、圧力液体は圧力水以外のもの(例えば、圧油)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、人工股関節において用いられるカップ部材に対してその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置として広く適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】人工股関節を説明する模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る人工股関節用カップ部材の試験装置を例示する正面図である。
【図3】図2に示す人工股関節用カップ部材の試験装置の側面図である。
【図4】図2に示す人工股関節用カップ部材の試験装置のブロック図である。
【図5】図2に示す人工股関節用カップ部材の試験装置における要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の第1変形例の人工股関節用カップ部材の試験装置における要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の第2変形例の人工股関節用カップ部材の試験装置における要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る人工股関節用カップ部材の試験装置を例示する側面図である。
【図9】図8に示す人工股関節用カップ部材の試験装置のブロック図である。
【図10】図8に示す人工股関節用カップ部材の試験装置における要部拡大断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態の第1変形例の人工股関節用カップ部材の試験装置における要部拡大断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態の第2変形例の人工股関節用カップ部材の試験装置における要部拡大断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る人工股関節用カップ部材の試験装置における要部拡大断面図である。
【図14】本発明の更に他の実施形態に係る人工股関節用カップ部材の試験装置における要部拡大断面図である。
【図15】カップ部材の内面に対して全体的に面圧を作用させた場合(条件1)の解析結果を示す図である。
【図16】面圧の方向とは逆向きの支持力を負荷した場合(条件2)の解析結果を示す図である。
【図17】本実施形態に係る試験装置によって付与される面圧を作用させた場合(条件3)の解析結果を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 人工股関節用カップ部材の試験装置
12 外面側支持具
13 面圧発生機構
14 圧子(面圧発生媒体)
15 付勢機構
100 カップ部材
100a 内面
100b 中心領域
100c 中心周辺領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工股関節において用いられるカップ部材に対してその内面に面圧を付与して欠陥のあるカップ部材を検知するための人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
前記カップ部材をその側方において外面側から支持する外面側支持具と、
前記カップ部材の内面に対して、接触して面圧を発生させる面圧発生媒体を前記内面における中心部分を含む中心領域の周辺を囲む中心周辺領域に接触させて面圧を発生させるとともに前記中心領域に対しては前記面圧発生媒体を非接触状態に保つ面圧発生機構と、
を備えていることを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
前記面圧発生機構は、
前記カップ部材の内面に対して前記中心領域とは接触せずに当該中心領域に隣接する空間を区画するとともに前記中心周辺領域に当接する前記面圧発生媒体である圧子と、
前記圧子から前記カップ部材の内面に向かう付勢荷重を発生させる付勢機構と、
を有し、
前記付勢機構による付勢荷重によって前記圧子が前記カップ部材の内面を押圧することで前記中心周辺領域に面圧を発生させるとともに、前記圧子と前記中心領域との非接触状態を保つことを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。
【請求項3】
請求項2に記載の人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
前記圧子は、
前記カップ部材の内面に沿う形状に形成されて前記中心周辺領域に当接する第1リング状曲面部と、
前記第1リング状曲面部に周囲を囲まれるとともに平坦に形成されて前記第1リング状曲面部が前記中心周辺領域に当接した状態で前記中心領域に対して空間を介して対向する平坦部と、
前記平坦部と反対側に形成されて前記付勢機構による付勢荷重が作用する付勢荷重作用部と、
を有していることを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。
【請求項4】
請求項2に記載の人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
前記圧子は、
前記カップ部材の内面に沿う形状に形成されて前記中心周辺領域に当接する第2リング状曲面部と、
前記第2リング状曲面部に周囲を囲まれるとともに当該圧子を貫通するように形成されて前記第2リング状曲面部が前記中心周辺領域に当接した状態で前記中心領域に対して空間として対向する貫通孔と、
前記第2リング状曲面部と反対側において前記貫通孔の周囲に形成され前記付勢機構による付勢荷重が作用する付勢荷重作用部と、
を有していることを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。
【請求項5】
請求項1に記載の人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
前記面圧発生機構は、
前記カップ部材の内面に対して前記中心周辺領域と前記中心領域との境界に沿う位置で当接する第1シール部と、
前記カップ部材の内面に対して前記中心周辺領域の外周に沿う位置で当接する第2シール部と、
前記第1シール部及び前記第2シール部を介して前記カップ部材の内面を押圧するとともに前記中心周辺領域に隣接する空間として前記面圧発生媒体である圧力液体が導入される液圧室を前記カップ部材の内面との間で区画する液圧室区画部材と、
前記液圧室に圧力液体を供給する圧力液体供給機構と、
を有し、
前記圧力液体供給機構により前記液圧室に圧力液体を供給することで前記中心周辺領域に面圧を発生させるとともに圧力液体と前記中心領域との非接触状態を保つことを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。
【請求項6】
請求項5に記載の人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
前記圧力液体供給機構は、
圧力液体を吐出するポンプと、
前記ポンプに接続されるとともに前記液圧室区画部材の内部を通過して前記液圧室に対して前記第1シール部と前記第2シール部との間で連通する圧力液体通路と、
を有していることを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
前記第1シール部及び前記第2シール部のそれぞれは、樹脂材料で形成されたリング状の第1樹脂シールと当該第1樹脂シールを形成する樹脂材料よりも硬度の高い樹脂材料で形成されたリング状の第2樹脂シールとを有し、前記各第1樹脂シールは前記液圧室を介して互いに対向するように配置され、前記各第2樹脂シールは前記各第1樹脂シールに対して前記液圧室の反対側にて隣接するように配置されていることを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。
【請求項8】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
一対の前記カップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の前記外面側支持具を有し、
前記付勢機構は、一対の前記外面側支持具を当該外面側支持具同士が対向する方向に向かって押圧することで、前記圧子から一対の前記カップ部材の各内面に向かう付勢荷重を発生させることを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。
【請求項9】
請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の人工股関節用カップ部材の試験装置であって、
一対の前記カップ部材をそれぞれの内面同士が対向するようにそれぞれの側方において外面側から支持する一対の前記外面側支持具を有し、
前記液圧室区画部材は、一対の前記カップ部材の各内面との間で一対の前記液圧室をそれぞれ区画し、
前記圧力液体供給機構は、一対の前記液圧室にそれぞれ圧力液体を供給することを特徴とする、人工股関節用カップ部材の試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−61069(P2009−61069A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230946(P2007−230946)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(504418084)日本メディカルマテリアル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】