説明

人工餌とその製造装置及び製造方法

本発明は人工餌とその製造装置及び製造方法に係り、より詳しくは、混合部、混練部、冷却部、押出部及び真空部を含む人工餌の製造装置によって、黄土粉に人工香料を混合した後、ミックスガムを混合し、これを結合剤と練った後、所定温度以下で押出し、真空包装して人工餌を製造することにより、一度の投入で長期間にわたって魚類誘引効果を発揮し、乾燥段階を省略して、香が長く持続するだけでなく生産性が向上し、天然餌を使用しないので、生態系を保存することができる人工餌とその製造装置及び製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工餌とその製造装置及び製造方法に係り、より詳しくは、混合部、混練部、冷却部、押出部及び真空部を含む人工餌の製造装置によって、黄土粉に人工香料を混合した後、ミックスガムを混合し、これを結合剤と練った後、所定温度以下で押出しを行い、真空包装することで、人工餌を製造することにより、一度の投入で長期間にわかって魚類誘引効果を発揮し、乾燥段階を省略して、香が長期間持続することができるだけでなく、生産性が向上し、天然餌を使用しなくて生態系を保存することができる人工餌とその製造装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近海の魚介類を捕獲する方法には、底引網、はえ繩、筌などの道具を用いる多様な方法がある。このうち、底引網は、海底表面を損傷させ、水草を破壊させるため、海底の生態系を破壊させるという欠点がある。また、はえ繩は、一度に捕獲可能な量が制限され、イカなどの特定魚類に限って使用できるという欠点がある。これに対し、筌は漁船に積載可能な個数を増加させることができれば、多くの捕獲量の確保が可能であり、親環境的であるので、多様な魚種に対して広範囲に使用されている。
【0003】
このような筌方式は、筌の内部に魚介類を誘引するための餌を装着し、長いロープに多数の筌を連結して海中に漬ける方式で行われる。この際、使用される餌としては、一般的に片口鰯、鯖、鰯などの自然餌が使用される。このような自然餌は、たいてい変質、腐敗を防止するために、冷凍状態で保管されていた魚類を利用することになるので、実際使用の際、適当な大きさに一つ一つ切断するのに大変な困難があるという問題点がある。さらに、自然餌を適当な大きさに切断する作業は、高い波によって漁船の振動が激しい場合、その難しさが倍加する。また、自然餌は、潜水時間の経過につれて魚介類を誘引する固有の香が急激に減少するので、漁獲量が格段に低下することになるという問題点がある。また、自然餌は、捕獲された魚類、特に稚魚を漁業に再使用することになるので、海洋生態系を破壊することになり、長期的に漁獲量が減少することになるという問題点がある。
【0004】
一方、大韓民国登録特許第10−0232239号公報には、魚類捕獲用人工餌が開示されている。これによれば、誘引原因物質群と餌支持体群を混合し、細長状あるいは粒子状に製造して乾燥した後、包装することにより、人工餌を製造している。ここで、誘引原因物質群としては、片口鰯、鯖、鰯などの天然魚類又は魚介類加工処理副産物又は煮熟液を使用している。しかし、誘引原因物質群として天然魚類を使用する場合、前述したような問題点が存在し、魚介類加工処理副産物又は煮塾液を使用する場合、肉質部の代わりに、えら部分、内臓部分、ひれ部分などが使用されるかため、物質固有の香が多く減少して漁獲量が格段に減少するという問題点が存在する。さらに、副産物や煮塾液も魚類の稚魚から出たものなので、魚資源の保護に効果がなく、海洋生態系の破壊を助長するという問題点がある。また、副産物使用の際、新鮮度の維持が不可能な関係で、真空凍結乾燥作業を経ることになり、これにより原価が上昇し、適当な大きさに切断することが容易でないという問題点がある。
【0005】
一方、前記登録特許公報によれば、餌支持体群として、小麦粉、黄土、ゼラチン、こんにゃく、澱粉の中でいずれか1種を使用している。このうち、ゼラチンは、温度の上昇によって変性した後、冷却の際に硬化する再成形がなるので、変性によって、所望の形態に一様に成形しにくく、硬化によって、分解力、分散力が低下して、海水中で誘引原因物質群を効率よく分散させにくいという問題点がある。また、ゼラチンは、牛の骨や筋肉組職から抽出されたタンパク質成分であるので、狂牛病の問題が深刻な現実において餌用製品に使用するのに適しないだけでなく、魚介類が忌避する不純物が混合している可能性が高いという問題点がある。
【発明の開示】
【0006】
(技術的課題)
人工餌の分野は無限な潜在力を持った分野であり、国家的な次元で海洋水産業の発展のために、このような問題点を解決しなければならない必要性が発生している。また、最近には、筌釣りがレジャー用にも脚光を浴びているので、優れた人工餌の開発は相当な輸入代替の効果を生むといえる。
【0007】
(技術的解決手段)
本発明は前記のような課題を解決するためになされたもので、特に、混合部、混練部、冷却部、押出部及び真空部を含む人工餌の製造装置によって、黄土粉に人工香料を混合した後、ミックスガムを混合し、これを結合剤と練った後、所定温度以下で押出し、真空包装して人工餌を製造することにより、一度の投入で長期間にわたって魚類誘引効果を発揮し、乾燥段階を省略して、香が長く持続するだけでなく生産性が向上し、天然餌を使用しないので、生態系を保存することができる人工餌とその製造装置及び製造方法を提供することにその目的がある。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明による人工餌は、黄土粉;海産物香を含有して魚介類を誘引する人工香料;前記黄土粉と前記人工香料が水中で一定の速度で分散されるようにする分散制御剤;及び前記黄土粉、前記人工香料及び前記分散制御剤を結合させる結合剤;を含んでなることを特徴とする。
【0009】
前記人工香料は、フィッシュフレーバー(fish flavour)、蟹フレーバー(crab flavour)、イカフレーバー(cuttlefish flavour)、エビフレーバー(shrimp flavour)、ロブスターフレーバー(lobster flavour)、及び片口鰯フレーバー(anchovy flavour)の中でいずれか1種又は2種以上の混合物であることができる。
【0010】
前記分散調節剤はミックスガム(mix gum)であることができる。前記ミックスガムは、グアーガム(guar gum)、ローカストビーンガム(locust bean gum)、カラギーナン(carrageenan)及び精製グアーガムの中で選択された2種以上の混合物であることができる。前記ミックスガムは、グアーガム100重量部、ローカストビーンガム80〜120重量部、カラギーナン80〜120重量部及び精製グアーガム180〜220重量部を含むことができる。前記ミックスガムは、グアーガム20重量%、ローカストビーンガム20重量%、カラギーナン20重量%及び精製グアーガム40重量%を含むことができる。
【0011】
前記結合剤は小麦粉糊であることができる。
【0012】
前記人工餌は、前記黄土粉100重量部、前記人工香料としてのフレーバー17〜25重量部、前記分散調節剤としてのミックスガム6〜20重量部、及び前記結合剤としての小麦粉糊60〜80重量部を含むことができる。
【0013】
前記人工餌は、含水率が50〜80%の状態で包装容器に真空包装されることができる。
【0014】
また、本発明による人口餌の製造方法は、黄土粉にフレーバー(flavour)を混合して第1中間材を製造する第1中間材の製造段階;前記第1中間材にミックスガム(mix gum)を混合して第2中間材を製造する第2中間材の製造段階;前記第2中間材に結合剤を混合して練る混練段階;及び前記混練段階の後、押出す押出段階;を含むことを特徴とする。
【0015】
前記フレーバーは、フィッシュフレーバー(fish flavour)、蟹フレーバー(crab flavour)、イカフレーバー(cuttlefish flavour)、エビフレーバー(shrimp flavour)、ロブスターフレーバー(lobster flavour)、及び片口鰯フレーバー(anchovy flavour)の中でいずれか1種又は2種以上の混合物であることができる。
【0016】
前記結合剤は小麦粉糊であることができる。
【0017】
前記押出段階は27度以下で行われることができる。前記押出段階は真空状態で行われることができる。
【0018】
前記ミックスガムは、グアーガム100重量部、ローカストビーンガム80〜120重量部、カラギーナン80〜120重量部及び精製グアーガム180〜220重量部を含むことができる。
【0019】
前記押出段階の後、押出物を所定の大きさに分割し、乾燥段階を経らなかった状態で、すぐ真空包装段階が行われることができる。前記真空包装段階の後、紫外線殺菌段階をさらに含むことができる。
【0020】
また、本発明による人工餌の製造装置は、黄土粉とフレーバーの混合物にミックスガムが混合した物質に小麦粉糊をさらに加えて練る混練部;及び前記混練部に連結され、混練物を所定の形状に押出す押出部;を含み、前記押出部は真空状態に維持されることを特徴とする。
【0021】
前記押出部は、前記混練物の温度を27度以下に維持するための冷却部をさらに含むことができる。
【0022】
また、前記人工餌の製造装置は、前記黄土粉と前記フレーバーを混合する第1混合部;及び前記第1混合部に連結され、ミックスガムをさらに混合する第2混合部;をさらに含み、前記第2混合部は前記混練部に連結されることができる。
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。まず、各図面の構成要素に参照符号を付けるにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面に図示されていても、できる限り、同一符号を有することに気をつけなければならない。また、本発明の説明において、関連した公知の構成又は機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不要にあいまいにすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。また、以下に本発明の好ましい実施形態を説明するが、本発明の技術的思想はこれに限定されるか制限されないで、当業者によって多様に変形実施できることはもちろんである。
【0024】
まず、本発明の一実施形態による人工餌について説明する。
【0025】
本発明の一実施形態による人工餌は、黄土粉、人工香料、分散調節剤及び結合剤を含んで形成される。前記人工餌は、前記黄土粉100重量部に対し、前記人工香料としてフレーバー17〜25重量部、前記分散調節剤としてミックスガム6〜20重量部、及び前記結合剤として小麦粉糊60〜80重量部でなることができる。このような配合割合は、地域別、潮流別、水温別に多少変更できるが、実験の結果、このような配合割合の範囲で人工餌を製造するのが、漁獲量の増加に一番効果的なことが発見された。
【0026】
人工餌の第1成分である黄土粉は、自然状態の黄土を採掘し、その粒子の大きさをおよそ80メッシュ(mesh)に均一に形成したもので、適量の水分を加えれば粘着性を有することになって多様な形態に成形できる。通常に、黄土は、酸化カルシウム、酸化珪素、マグネシウム、アルミニウムなどの天然鉱物質と豊かなミネラルが含有されているので、汚染された水質を浄化させる作用とともに、抗菌/殺菌の作用で魚病を治癒する作用をする。よって、一般の養殖場で黄土を多く使用している。また、魚介類は、本能的に黄土を好むため、昔から釣りをするとき、釣り餌に黄土を配合したり、餌が投与される周辺に黄土を散布したりする。また、前記黄土粉は、人工香料の香を保持する役目をすることになる。
【0027】
人工餌の第2成分である人工香料は、魚介類から発生する特有の生臭のような香を発散する集魚剤の役目をする。すなわち、集魚剤として、片口鰯、鯖、鰯その他の魚介類又は加工処理磨砕副産物などを使用する代わりに、魚介類の香が添加された人工香料を使用するものである。前記人工香料としては、フレーバー(flavour)が使用される。フレーバーは、乾燥させた魚介類の粉末に各種の添加物を入れて製造した人工香料である。フレーバーとしては、フィッシュフレーバー(fish flavour)、蟹フレーバー(crab flavour)、イカフレーバー(cuttlefish flavour)、エビフレーバー(shrimp flavour)、ロブスターフレーバー(lobster flavour)、及び片口鰯フレーバー(anchovy flavour)などがある。本発明の人工香料としては、これらフレーバーの中でいずれか1種あるいは2種以上の混合物が使用できる。すなわち、特定の魚種を誘引するためには単一フレーバーが使用されて、多数の魚種を誘引するためには、1種以上の単一フレーバーを他のフレーバーと一定の割合で混合して使用する。フレーバーは、一般的に液状を成しているが、固状の粉末状態を成すこともできることはもちろんである。
【0028】
一例として、エビフレーバーは、乾燥エビ粉末に菜種オイル、トリグリセリド(triglyceride)、醤油、DL−トコフェロール(tocopherol)などが混合されて製造される。蟹フレーバーは、蟹の香りに酢酸、ジメチルスルフィド(dimethylsulfide)、酪酸(butyric acid)、プロピレングリコール(propylene glycol)などが混合されて製造される。
【0029】
集魚剤としてフレーバーのような人工香料が使用されれば、生臭と魚介類特有の香が長期間均一に維持されるので、人工餌の全体が消耗される前までは、経時によって漁獲量が減少する現象を防止することができる。また、人工香料が使用されれば、魚介類、加工処理磨砕副産物、煮塾液のような天然集魚剤の製造の際、稚魚が消費されて海洋生態系が破壊される現象を防止することができる。これとともに、天然集魚剤とほぼ同等な香を発散することになって、漁獲量を同等に維持することができ、時間が経過しても香が維持されるので、長期間の使用の後には漁獲量がむしろ増えることになる。また、人工香料が使用されれば、冷凍された天然集魚剤を適当な大きさに切断する煩わしい作業を省略することができ、生産量が向上し、労働力が節減される。一方、捕獲された魚介類の加工過程などで発生した副産物が集魚剤として使用される場合、新鮮度の維持がほとんど不可能であり、さらにこれを真空凍結乾燥させなければならないので、原価上昇の要因になる。
【0030】
人工餌の第3成分である分散調節剤は、集魚剤を含有し、黄土粉で成形された餌が水中で一定の速度で徐々に分散するように、分散速度を調節する役目をする。人工餌に分散調節剤が添加されなければ、人工餌が水中に投入されるとすぐに速い速度で分散され、速い潮流が過ぎ去る場合、あっという間に人工餌が消耗してしまう。一方、人工餌に、フレーバーの代わりに、ゼラチンのような物質が添加されれば、人工餌の製造の際、温度上昇によってお粥のように相変化が起こった後、硬く固まって再成形されるので、水中でほとんど分散しなくて、魚介類の誘引効果が格段に減少する。ゼラチンは、動物の肌、骨などに存在するタンパク質であるコラーゲンの誘導物質であり、動物の肌、骨及び筋肉の組職を酸又はアルカリで処理した後、煮沸して抽出する。ゼラチンを液体に浸せば、水分を吸収して脹れ上がり、液体が加熱されれば、脹れた部分が溶けてコロイド性(膠質性)のゾル(sol)状態になって粘性が増加するが、液体が冷却すれば、固まってゲル(gel)を形成する。ゲル状態は、高温でゾル状態への変化が可能であり、ゾルはさらに冷却させることによってゲルに戻る。ゲル及びゾル状態の形成期間及び柔軟性の程度は、タンパク質と糖の濃度、及び温度に影響を受ける。すなわち、ゼラチンが分散調節剤として使用される場合、人工餌の製造の際、撹拌及び成形の過程で圧縮するとき、温度が上昇しながらゼラチン成分が溶けてゾル状態になった後、粘性の高い状態に固まることになる。よって、ゼラチンが分散調節剤として使用された場合、人工餌が持とうとする魚類誘引時間の持続性及び誘引原因物質としての溶解、分散の機能が消滅して所望の効果を得ることができなくなる。
【0031】
したがって、発明者は、前記のようなゼラチンの問題点を解決するために、ミックスガム(mix gum)を自ら製造し、実際に魚介類の捕獲に適用して見た結果、満足な成果を得ることになった。ミックスガムは、精製グアーガム、グアーガム、カラギーナン及びローカストビーンガムを一定の重量比で混合することで製造される。
【0032】
ミックスガムの主原料である精製グアーガムとグアーガムは、インドとパキスタンなどで棲息する豆科の多年生植物であるシアナポシステトラゴノロバス(cyanaposis tetragonolobus)の種子を破砕して得られる多糖類である。これらは水化がよくでき、冷水でも易しく粘度の高いコロイド溶液を形成する。また、これらの粘液性物質は中性重合体であるので、pHと塩類に安定する。これらが水に分散して2時間程度が経過すれば、高粘度を表し、以後に粘度は増加して24時間程度で最大になる。
【0033】
前記カラギーナンはβ−1,3結合で連結されたβ−D−ガラクトース(galactose)とα−1,4結合で連結されたα−D−ガラクトースを繰り返し単位とするガラクタン(galactan)類の基本構造を形成している。カラギーナンの水溶液にカリウム塩を添加することでゲルを形成し、濃化剤としての能力を増大させることができる。蛋白反応性(protein reactivity)を有するカラギーナンは、等電点以上のpHでは陰性(−)電荷を帯び、タンパク質は陽性(+)電荷を帯びるので、カラギーナンとタンパク質が互いにイオン結合、水素結合及び静電気的結合をなしてカラギーナン−タンパク質の複合体を形成することになる。このように複合体を形成すれば、タンパク質の安全性が高くなり、他の親水性コロイドとともに存在する場合、分子とのイオン結合によって結合され、結果として相乗作用をすることになる。
【0034】
前記ローカストビーンガムは、スペイン、イタリア、ポルトガルで広く栽培されている多年生の豆科植物の種子で得られる多糖類である。ローカストビーンガムは、分子量約31万の白色又は黄褐色の粉末、顆粒状で無臭又は少しの豆香を有する。pH3.5〜9.0ではほとんど影響がなく、このような範囲外のpHでは粘度が下がる。低濃度の食塩、塩、マグネシウム、塩化カルシウムの溶液が粘度に影響を及ぼさないが、酸、特に無機酸又は酸化剤によって塩析し、粘度は低下する。熱、圧力、摩擦などによって表面張力は減少し、冷水には粘性が部分的に発現する。このようなガムが特定の割合で混合されミックスガムを製造すれば、粘着性を有するとともに、安定製の役目をし、水中で一定時間が経過するにつれて餌成分が徐々に分散するようにする役割も担当することになる。すなわち、集魚剤を含み、黄土で成形される餌は、水中で徐々に脱落される場合にだけ、特有の生臭を発散するフレーバーの成分が揮発して持続的な集魚能力を維持することができる。ミックスガムが最大の効果を発揮することになる重量比については下記の実施例で説明する。
【0035】
人工餌の第4成分である結合剤は、黄土、人工香料及びミックスガムの分子が互いに所定の結合力を維持して固まるようにする。本発明では、結合剤として小麦粉糊を使用した。この際、小麦粉糊は、一般に市販されている含水率がおよそ80%であるものが好ましい。一方、小麦粉又は澱粉のような小麦粉に適量の水分を加えて沸かす通常の方法で糊を作って冷やした状態の小麦粉糊が使用されることもできることはもちろんである。
【0036】
前記人工餌は、含水率が50〜80%の状態で包装容器に真空包装されることが好ましい。前記人工餌の含水率が50%未満であれば、別途の乾燥過程を経って製造されなければならないので、乾燥過程で人工香料の香が減少して魚介類の誘引効果が落ちるだけでなく、別途の乾燥工程によって生産性が減少することになるという問題点がある。また、人工餌の含水率が50%未満であれば、海水中で分散するまで長時間を要するので、分散速度が低下するという問題点がある。一方、前記人工餌の含水率が80%を超過すれば、流動性が臨界値を超過して海水中での分散速度があまり速くなり、保管、取扱及び移動中に人工餌が変形するか、砕けることになって、商品性が劣るという問題点がある。発明者が実験した結果によれば、製造された人工餌を天日乾燥、あるいは40度以下での熱風乾燥を行った場合、乾燥過程で人工香料が大気中に分散して、実際の魚類捕獲の時には効果が50%以上減少する結果を得た。また、天日乾燥又は熱風乾燥が行われれば、少なくとも48時間以上が必要になるので、生産性に大きな問題が発生することになる。よって、本発明者は、乾燥過程を経ずに、人工餌をすぐ真空包装することにより、一定水準の含水率が維持されるようにした。このように、人工餌を別途の乾燥方法を使用せず、一定の含水率を維持するようにした状態で筌に入れることで、短時間に生臭を発散するようにして集魚能力を向上させることになる効果を得ることができる。
【0037】
次に、本発明の一実施形態による人工餌の製造方法について説明する。
【0038】
図1は本発明の一実施形態による人工餌の製造方法のフローチャートである。
【0039】
本発明の一実施形態による人工餌の製造方法は、図1を参照すれば、第1中間材の製造段階(S10)、第2中間材の製造段階(S20)、混練段階(S30)、押出段階(S40)、真空包装段階(S50)及び紫外線殺菌段階(S60)を含む。以下で、前記第1中間材の製造段階(S10)、第2中間材の製造段階(S20)及び混練段階(S30)は順次に行わなければならない。すなわち、黄土粉にフレーバーを混合した後、この混合物にミックスガムを混合し、その後に結合剤を投入し、混練を行わなければならない。もし、その配合の手順が変わる場合には、混合がうまくならなく均一に配合されないという問題点がある。
【0040】
前記第1中間材の製造段階(S10)は、黄土粉にフレーバーを混合して第1中間材を製造する段階である。前記第1中間材とは、黄土粉とフレーバーが混合された混合物を指す。前記第1中間材の製造段階(S10)においては、黄土粉100重量部とフレーバー17〜25重量部を4〜6分程度混合することで、魚介類を誘引するための黄土粉混合物を作る。ここで、前記フレーバーは、1種の特定魚類(例えば、がざみ又はヒラメ)を誘引するために、フィッシュフレーバー、蟹フレーバー、イカフレーバー、エビフレーバー、ロブスターフレーバー及び片口鰯フレーバーの中でいずれか1種が使用でき、2種以上の魚介類を誘引するためには、前記フレーバーの中で2種以上を選択して混合して使用することができることは前述したとおりである。
【0041】
前記第2中間材の製造段階(S20)は、前記第1中間材にミックスガムを混合して第2中間材を製造する段階である。前記第2中間材は、黄土粉とフレーバーの混合物である第1中間材にミックスガムがさらに添加された混合物を指す。前記第2中間材の製造段階(S20)においては、前記第1中間材にミックスガム6〜20重量部を入れ、およそ4〜6分間混合することになる。この際、前記ミックスガムは、餌が徐々に分解して脱落するようにする作用をすることになる。前記ミックスガムは3〜5日間使用されることを基準にし、海水の温度及び潮流の強さなどによって前記ミックスガムの重量割合は調節できる。前記第2中間材の製造段階(S20)において、前記ミックスガムは、グアーガム100重量部に対し、ローカストビーンガム80〜120重量部、カラギーナン80〜120重量部及び精製グアーガム180〜220重量部でなるものが魚介類の捕獲量増加の面で好ましく、より好ましくは、グアーガム20重量%、ローカストビーンガム20重量%、カラギーナン20重量%及び精製グアーガム40重量%の組成を有することができる。これについては以下の実施例及び比較例でさらに詳細に説明する。
【0042】
前記混練段階(S30)は、前記第2中間材に結合剤を混合して練る段階である。前記結合剤として小麦粉糊を使用することは前述したとおりである。前記混練段階(S30)においては、第2中間材に小麦粉糊60〜80重量部を混合することになる。この際、小麦粉糊は、含水率がおよそ80%のものを使用するが、直接小麦粉糊を作った場合には、必ず冷やして使用しなければならない。もし、小麦粉糊を熱い状態で混練すれば、生臭を発散するフレーバーが大気中に揮発するので、魚介類の誘引能力が急減するという問題点がある。混練時間は、およそ8〜15分間行うことができ、スクリュー式混練機が使用できる。
【0043】
前記押出段階(S40)は、前記混練段階(S30)で混練物を一定圧力で圧縮し、所定の形状を有する押出口を通じて押し出す段階である。前記押出口は、球形、角形、円筒形又は円柱形のような多様な形状に形成されることができる。前記押出段階(S40)によって、混練物は細麺のような細長い形状に押出されるので、別途の分割段階(図示せず)によって、一つ当たりおよそ40〜60g程度になるように、適当な大きさに均等に分割されて個別に包装されることもできる。一方、押出し成型の際には、混練物と押出機の摩擦などによって押出部の温度が最高70度程度まで上昇することができる。すると、混練物のグアーガムが緩くなるため、成形物が所望の形状に成形できなくなる。さらに、ゾル状態のグアーガムが冷却しながら硬化すれば、グアーガムの性能が低下するだけでなく、海水中でも分散しないため、魚介類の誘引能力が低下するという問題点がある。グアーガムがゾル状態に緩くなる温度はおよそ40度程度で、より安全性を期するために、押出機の温度は27度を超えないように、別途の冷却装置が必要になる。すなわち、前記押出段階(S40)は、およそ24〜27度の一定温度で行われることが好ましい。このために、発明者が別に製作した人工餌の製造装置には、図2を参照すれば、押出部140に冷却部150を装着して、一定の温度で押出されるようにした。また、前記押出段階(S40)は、真空状態で行われることが好ましい。前記押出段階(S40)が真空雰囲気下で行われず、大気圧状態で行われれば、押出過程で空気が混練物中に注入して、短期間に人工餌が変性する可能性があるだけでなく、人工香料が大気中に揮発して魚介類の誘引効果が減少するという問題点がある。このために、発明者が別に製作した人工餌の製造装置には、図2を参照すれば、押出部140に真空部160を装着して、真空状態で押出されるようにした。一方、本発明者は、成形物を直径4mm以下の細麺又は粒子に別途に製造し包装して見た結果、製造原価が上昇するため、既存の餌の収入代替効果が低下するので、漁民が好まないことが分かった。また、前記のように細麺又は粒子に製造した場合、捕獲魚類の誘引作用が50%以上減少する結果がもたらされた。
【0044】
前記真空包装段階(S50)は、押出段階(S40)で押出され、分割段階で適当な大きさに分割された人工餌を包装紙で、内部が真空状態を維持するように、真空包装する段階である。前記押出段階(S40)の以後に、別途の乾燥段階なしに、すぐ真空包装が行われれば、包装紙内に入っている人工餌の含水率はおよそ50〜80%に維持される。このように、真空状態に包装された人工餌は常温でも保管が可能であるが、できるだけ冷ややかな所で保管することが好ましい。そして、実際の使用時には、人工餌の真空包装をなくし、人工餌を筌などに入れて海水に投入することで、魚介類を筌内に誘引することになる。
【0045】
前記紫外線殺菌段階(S60)においては、真空包装された人工餌に紫外線を照射して殺菌する段階である。前記紫外線殺菌段階(S60)は、人工餌の製造過程で流入し得る各種の細菌を除去し、人工餌を摂取する魚介類と海水環境を保護する役目をすることになる。また、真空包装と紫外線殺菌を経って人工餌が生産される場合、室温で6ヶ月以上の有效期間が確保されるので、使用者は購入原価を節減し、流通業者は流通費用を減少させることができる効果がある。
【0046】
これにより、前記人工餌は、ミックスガムの分散速度の調節によって一つ当たり少なくとも72時間にわたって魚介類を誘引することができ、潮流によって誘引香を有する微細粉末の黄土粉が持続的に分散される。よって、前記人工餌は、筌への使用の際、餌を頻繁に入れ替えなければならない不便さがなく、繰り返して使用することができるので、漁労作業の際の苦労を画期的に改善することができる。また、前記人工餌は、天然餌に劣らない揮発性の生臭を持続的に発生することができるので、魚介類を効果的に誘引することができる。また、前記人工餌は、乾燥段階なしに、真空包装状態に提供されるので、後に筌に入れられたとき、すぐ魚介類の誘引効果を期待することができる。
【0047】
次に、本発明の一実施形態による人工餌の製造装置について説明する。
【0048】
図2は本発明の一実施形態による人工餌の製造装置の構成図である。
【0049】
本発明の一実施形態による人工餌の製造装置は、図2を参照すれば、第1混合部110、第2混合部120、混練部130及び押出部140を含む。また、前記押出部140は、冷却部150及び真空部160を含む。以下では、人工餌の製造装置に第1混合部110及び第2混合部120が一体型に装着されている場合を説明するが、前記第1混合部110と第2混合部120は前記人工餌の製造装置と分離して別に形成されることができ、これにより、別に製造された混合物が前記混練部130に投入されることもできることはもちろんである。
【0050】
前記第1混合部110は、黄土粉とフレーバーが混合される部分である。前記第1混合部110は、回転方式の撹拌器が装着されて混合の役目をすることができる。前記第1混合部110では、前述した人工餌の製造方法での第1中間材の製造段階(S10)が行われる。
【0051】
前記第2混合部120は前記第1混合部110に連結され、第1混合部110から移送された混合物にミックスガムをさらに混合する部分である。前記第2混合部120も、前記第1混合部110と同様に、回転方式の撹拌器が装着されて混合の役目をすることができることはもちろんである。前記第2混合部120では、前述した人工餌の製造方法での第2中間材の製造段階(S20)が行われる。
【0052】
前記混練部130は第2混合部120に連結され、結合剤をさらに混合して練る部分である。前記結合剤としては、小麦粉糊が使用される。前記混練部130にはスクリュー式混練機が装着されることができ、これとは異なる方式で混練がなされることもできることはもちろんである。
【0053】
前記押出部140は、前記混練部130に連結され、混練物を所定の形状に押出す部分である。前記押出部140は、図2に示すように、混練部130と別に形成されて別に動作される。図示しないが、押出部と混練部は同一機能を一度に実行するように、統合することもできる。すなわち、混練部がスクリュー式混練機でなり、混練過程と同時に混練物の移送が行われて、押出口から押出されるように形成されることもできる。前記押出部140の押出口は、混練物が外部に押出される部分で、球形、角形、円筒状、円周形などの多様な形状に形成されることができる。
【0054】
また、前記押出部140では、混練物と圧縮部140の摩擦によって多くの熱が発生することになる。混練物の温度が一定温度以上に上昇すれば、ミックスガムを形成するグアーガムが変性、硬化するため、所定の効果を期待することができないことを前述した。よって、前記押出部140には、混練物をおよそ27度以下に維持するために、冷却部150がさらに装着される。前記冷却部150は、一例としておよそ円筒形の押出部140を取り囲むように形成することができ、押出成形ラインに冷却機を別途に設置することもできる。一方、本発明者が、冷却部なしに、麺製造機を利用して4mm以下の細麺状に生産して見た結果、麺製造機の温度が40度以上に上昇し、ゼラチン、こんにゃくなどが変性し、これによって人工香料の香が変性することが分かった。よって、前記押出部140の温度を一定水準以下に維持する作業は非常に重要である。これにより、押出しの以後にも、人工餌が正常性能を発揮するようにする。
【0055】
また、前記押出部140には、真空状態に維持するための真空部160がさら装着される。前記押出部140は、一例として押出成形ラインに真空ポンプを装着する方式で形成できる。これにより、本発明による人工餌の製造装置は、人工餌の変性を防止し、魚介類の誘引効果を極大化することになる。
【0056】
(有利な効果)
本発明によれば、天然餌に匹敵する揮発性の生臭で魚介類誘引効果を奏するとともに、分散速度が一定に調節されるので、餌の入れ替えなしにも、比較的長期間にわたって持続的な魚介類誘引能力を発揮するという効果がある。
【0057】
また、本発明によれば、乾燥段階なしに、すぐ真空包装することで、誘引香をそのまま保存するので、卓越した魚介類誘引能力を表すという効果がある。
【0058】
また、本発明によれば、天然魚介類又はその磨砕物、副産物などを利用しないので、海洋生態系を破壊しなく親環境的であるという効果がある。
【0059】
また、本発明によれば、人工餌の真空包装を開封し、直ちに使用することができるので、自然餌のように適当な大きさに切断する作業を省略することができ、取扱、保管及び使用が便利であるという効果がある。
【0060】
また、本発明によれば、別途の乾燥作業が不要であるので、生産性が向上し、単価の高い寒天のような物質を使用しないので、経済性を確保することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、本発明による人工餌の実施例及び比較例を相互に比較して検討する。
【0062】
我が国は、三面が海であるので、海の位置によって棲息する魚種が違う。このため、捕獲しようとする魚介類の種類に応じて、誘引原因物質群であるフレーバーの種類を異にしなければならない。また、各海域の特性のため、潮流と水温の差に応じて、ミックスガムの含量を異にすることにより、人工餌の機能を効率よくすることができることを何回の実験によって分かった。以下の実施例と比較例においては、天然餌を使用した場合(A)、ゼラチンを使用した人工餌の3種(B、C、D)及びミックスガムを使用した人工餌の3種(E、F、G)などの総7種類の餌を、70個の筌を使用して、それぞれ10個ずつ実験した。海水に投入した時間は72時間にした。漁獲量は、冷凍保管された天然餌を使用した場合を100%にし、これに対する相対量を%で表示した。また、西海岸は、仁川、大川、南海岸は統営、巨済、そして東海岸は蔚珍、束草で実験し、捕獲しようとする魚介類は、活魚類、鰻類、蟹類及び蛸類/みずだこ類に区分した。実験結果は下記表1のようである。
【0063】
【表1】

【0064】
*各餌の種類及び製造方法*
A(比較例1):天然餌/冷凍保管(鯖、鰯40g)
B(比較例2):人工餌/乾燥(ゼラチン、寒天、蟹フレーバー)
C(比較例3):人工餌/乾燥(ゼラチン、寒天、エビフレーバー)
D(比較例4):人工餌/乾燥(ゼラチン、寒天、フィッシュフレーバー)
E(実施例1):人工餌/無乾燥/真空包装(ミックスガム、エビフレーバー)
F(実施例2):人工餌/無乾燥/真空包装(ミックスガム、蟹フレーバー)
G(実施例3):人工餌/無乾燥/真空包装(ミックスガム、片口鰯フレーバー)
(ここで、ミックスガムの組成は、グアーガム20重量%、ローカストビーンガム20重量%、カラギーナン20重量%及び精製グアーガム40重量%である。)
【0065】
天然餌を使用したAは、経時によって誘引香が急激に減少するため、約3時間ごとに餌を入れ替えた。その結果、表1を参照すれば、実施例に比べ、部分的に漁獲量が高いことが分かる。これは、餌を周期的に入れ替えたことにより発生した結果であり、餌の入れ替えなしにAが海水に放置されたら、その漁獲量が少ない数値にとどまることは明らかである。実施例であるE、F、Gの場合は、1回投入した餌で72時間が経過するまで餌入れ替えがなかったにもかかわらず、天然餌を使用したAの場合に匹敵する漁獲量を表すことが分かる。
【0066】
比較例2、3、4(B、C、D)のように、ミックスガムの代わりにゼラチンと寒天を使用した場合には、実施例(E、F、G)に比べ、漁獲量が半分にも及ばないことが分かる。これは、ゼラチンの場合、押出過程での温度上昇によって変性及び硬化して海水中に充分に分散されることができないことにその理由があると分析される。一方、寒天の場合、価格が大変高いので、単価が高くなって経済性がないという欠点がある。また、比較例2、3、4(B、C、D)は、乾燥段階を経ながら固有の香が多く減少したので、魚介類誘引能力が急減した理由の一つになる。
【0067】
一方、ミックスガムとフレーバーを使用し、乾燥段階なしに真空包装した実施例(E、F、G)の場合には、地域別、魚種別に多少の差はあるが、天然餌を使用した比較例1(A)とゼラチンを使用して乾燥段階を経った比較例2、3、4(B、C、D)に比べ、優れた漁獲量を表すことが分かる。実施例は、製造過程の中で、押出段階で冷却部によって27度以下の温度で製造されたので、変性/硬化が発生しなかったし、乾燥段階なしに、すぐ真空包装した結果、固有の誘引香が減少することを防止した。よって、魚介類誘引能力が長期間にわたって維持されて、漁獲量も非常に増加した値を表した。
【0068】
一方、ミックスガムの組成を変更させて実験を実施した。ミックスガムの組成によって人工餌の分散速度が変わるので、漁獲量にも差が生じると予想し、次のように実験を実施した。他の条件は表1と同様に維持した。
【0069】
H(比較例5):人工餌/無乾燥/真空包装(ミックスガム、エビフレーバー)
*この際、ミックスガムの組成は、グアーガム30重量%、ローカストビーンガム30重量%、カラギーナン30重量%及び精製グアーガム10重量%にした。
I(比較例6):人工餌/無乾燥/真空包装(ミックスガム、エビフレーバー)
*この際、ミックスガムの組成は、グアーガム10重量%、ローカストビーンガム50重量%及び精製グアーガム40重量%にした。
【0070】
比較例5の場合には、グアーガム、ローカストビーンガム及びカラギーナンの重量比を実施例1に比べて多量にする一方、精製グアーガムの重量比を少量にした。また、比較例6の場合には、グアーガムの重量比を少量にし、カラギーナンを除いた。比較例5及び6の漁獲量の結果を表2に示した。
【0071】
【表2】

【0072】
比較例5(H)で、精製グアーガムの重量比が減少した結果、漁獲量はたいてい実施例1に比べて減少したことが分かる。一方、比較例6(I)で、カラギーナンが除かれた結果、比較例5と同様に、漁獲量が減少したことが分かる。よって、ミックスガムの分散調節能力が極大化する最適の組成が存在するという事実が分かる。ただ、このようなミックスガムの組成比は、地域別、潮流別、水温別に少しずつ変わることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、漁業、水産業及びレジャー産業に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は本発明による人工餌の製造方法のフローチャートである。
【図2】図2は本発明による人工餌の製造装置の構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄土粉と;
海産物香を含有して魚介類を誘引する人工香料と;
前記黄土粉と前記人工香料が水中で一定の速度で分散されるようにする分散制御剤と;
前記黄土粉、前記人工香料及び前記分散制御剤を結合させる結合剤と;
を含むことを特徴とする人工餌。
【請求項2】
前記人工香料は、フィッシュフレーバー(fish flavour)、蟹フレーバー(crab flavour)、イカフレーバー(cuttlefish flavour)、エビフレーバー(shrimp flavour)、ロブスターフレーバー(lobster flavour)、及び片口鰯フレーバー(anchovy flavour)のうちから選択されたいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の人工餌。
【請求項3】
前記分散調節剤は、ミックスガム(mix gum)であることを特徴とする、請求項1に記載の人工餌。
【請求項4】
前記ミックスガムは、グアーガム(guar gum)、ローカストビーンガム(locust bean gum)、カラギーナン(carrageenan)及び精製グアーガムのうちから選択された2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項3に記載の人工餌。
【請求項5】
前記ミックスガムは、グアーガム100重量部、ローカストビーンガム80〜120重量部、カラギーナン80〜120重量部及び精製グアーガム180〜220重量部を含むことを特徴とする、請求項3に記載の人工餌。
【請求項6】
前記ミックスガムは、グアーガム20重量%、ローカストビーンガム20重量%、カラギーナン20重量%及び精製グアーガム40重量%を含むことを特徴とする、請求項3に記載の人工餌。
【請求項7】
前記結合剤は小麦粉糊であることを特徴とする、請求項1に記載の人工餌。
【請求項8】
前記人工餌は、前記黄土粉100重量部、前記人工香料としてのフレーバー17〜25重量部、前記分散調節剤としてのミックスガム6〜20重量部、及び前記結合剤としての小麦粉糊60〜80重量部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の人工餌。
【請求項9】
前記人工餌は、含水率が50〜80%の状態で包装容器に真空包装されることを特徴とする、請求項1に記載の人工餌。
【請求項10】
黄土粉にフレーバー(flavour)を混合して第1中間材を製造する第1中間材の製造段階と;
前記第1中間材にミックスガム(mix gum)を混合して第2中間材を製造する第2中間材の製造段階と;
前記第2中間材に結合剤を混合して練る混練段階と;
前記混練段階の後、混練された前記第2中間材を押出す押出段階と;
を含むことを特徴とする、人工餌の製造方法。
【請求項11】
前記フレーバーは、フィッシュフレーバー(fish flavour)、蟹フレーバー(crab flavour)、イカフレーバー(cuttlefish flavour)、エビフレーバー(shrimp flavour)、ロブスターフレーバー(lobster flavour)、及び片口鰯フレーバー(anchovy flavour)のうちから選択されたいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項10に記載の人工餌の製造方法。
【請求項12】
前記結合剤は、小麦粉糊であることを特徴とする、請求項10に記載の人工餌の製造方法。
【請求項13】
前記押出段階は、27度以下で行われることを特徴とする、請求項10に記載の人工餌の製造方法。
【請求項14】
前記押出段階は、真空状態で行われることを特徴とする、請求項10に記載の人工餌の製造方法。
【請求項15】
前記ミックスガムは、グアーガム100重量部、ローカストビーンガム80〜120重量部、カラギーナン80〜120重量部及び精製グアーガム180〜220重量部を含むことを特徴とする、請求項10に記載の人工餌の製造方法。
【請求項16】
前記押出段階の後、押出物を所定の大きさに分割し、乾燥段階を経ない状態で、すぐに真空包装段階が行われることを特徴とする、請求項10に記載の人工餌の製造方法。
【請求項17】
前記真空包装段階の後、押出物を紫外線で殺菌する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の人工餌の製造方法。
【請求項18】
黄土粉とフレーバーの混合物にミックスガムが混合した物質に小麦粉糊をさらに加えて練る混練部と;
前記混練部に連結され、混練物を所定の形状に押出す押出部と;
を含み、
前記押出部は真空状態に維持されることを特徴とする、人工餌の製造装置。
【請求項19】
前記押出部は、前記混練物の温度を27度以下に維持するための冷却部をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の人工餌の製造装置。
【請求項20】
前記黄土粉と前記フレーバーを混合する第1混合部と;
前記第1混合部に連結され、ミックスガムをさらに混合する第2混合部と;
をさらに含み、
前記第2混合部は、前記混練部に連結されることを特徴とする、請求項18に記載の人工餌の製造装置。



【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−537116(P2009−537116A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548405(P2008−548405)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005674
【国際公開番号】WO2007/075013
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508191891)
【Fターム(参考)】