説明

人形体

【課題】 人形体において、関節を再現する連結部分を容易に揺動させることができる一方で、所定の角度で当該連結部分を長時間維持させることができるようにする。
【解決手段】 胸部102と腰部103とが回動可能に連結された人形体であって、胸部102に回動可能に接続され、直立状態において、腰部103に対して、第1の当接位置と第2の当接位置にて当接させることが可能な当接部301を備え、当接部301は、直立状態において、腰部103を回動させた場合に、前記第1の当接位置にて腰部103より受ける力のうち、当接部301を回動させるように作用する力の向きと、前記第2の当接位置にて腰部103より受ける力のうち、当接部301を回動させるように作用する力の向きとが、反対方向となるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の形状をした模型玩具である人形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、人形体においては、人間の関節の動きを再現すべく様々な工夫が施されている。例えば、胸部と腰部の連結部分においては前後左右の揺動が可能な構成が再現されている。
【0003】
一般に、このような精巧な人形体は主として観賞用に室内に飾られることが多く、様々なポーズをとらせた状態で保持させておくことが多い。このため、連結部分において連結された各部は、相互に一定の角度を長時間維持し、それぞれの重みによって揺動してしまわないようにしておくことが重要である。
【0004】
一方、人形体の胸部背面側には装飾用のパーツが取り付けられることが多く、前述のように胸部と腰部との連結部分が前後方向に揺動可能に構成されていると、当該装飾用パーツの重みにより胸部が腰部に対して直立状態を保つことができない。この結果、胸部は相対的に後方に揺動していくこととなり、結果、装飾用のパーツを取り付けると、人形体が直立状態を維持できなくなってしまうという問題があった。
【0005】
これに対して、従来は、連結部分の摩擦力を高めることで対応していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、連結部分の摩擦力を高めすぎると、ユーザが人形体に他のポーズをとらせるべく、連結部分に連結された各部を揺動させようとしても、簡単に揺動させることができなくなってしまう。特に、揺動させるためにユーザが押圧した部位が、剛性の低い部位であった場合にあっては、当該部位が破損することにもなりかねない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、人形体において、関節を再現する連結部分を容易に揺動させることができる一方で、所定の角度で当該連結部分を長時間維持させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係る人形体は以下のような構成を備える。即ち、
第1の部材と第2の部材とを回動可能に連結することで、人間の関節の動きを再現する人形体であって、
前記第1の部材に回動可能に接続され、前記第1の部材と前記第2の部材とが略平行な位置にある場合に、前記第2の部材に対して、第1の当接位置と第2の当接位置にて当接させることが可能な当接部材を備え、
前記当接部材は、
前記第2の部材に対して当接させた状態で、前記第2の部材を回動させる場合に、前記第1の当接位置にて前記第2の部材より受ける力のうち、該当接部材を回動させるように作用する力の向きと、前記第2の当接位置にて前記第2の部材より受ける力のうち、該当接部材を回動させるように作用する力の向きとが、反対方向となるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人形体において、関節を再現する連結部分を容易に揺動させることができる一方で、所定の角度で当該連結部分を長時間維持させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
<人形体の外観構成>
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる人形体100の外観構成を示す図である。同図において、101は頭部、102は胸部、103は腰部、104は大腿部、105は脚部、106は腕部をそれぞれ示している。
【0012】
107は装飾具であり、人形体100の胸部102の背面側に着脱可能に取り付けられている。
【0013】
<胸部及び腰部の構成>
図2(A)、(B)は、人形体100の頭部101、大腿部104、脚部105、腕部106を取り外し、胸部102と腰部103ならびに装飾具107のみを取り出した状態を、人形体100の左側面から見た様子を示している。
【0014】
胸部102と腰部103は、それぞれ胸部形成部(胸部の骨格を形成する内部部材。不図示)ならびに腰部形成部(腰部の骨格を形成する内部部材。不図示)を備え、その外側に胸部カバー201ならびに腰部カバー202が着脱可能に取り付けられている。胸部形成部と腰部形成部との間には、連結部分(図2(A)、(B)において不図示)が設けられており、胸部形成部と腰部形成部とを当該連結部分回りに相対的に回動させることで、例えば、図2(A)に示す直立状態(胸部102と腰部103とが一直線上にあり、人形体100が直立した状態)から、図2(B)に示す上体反らし状態(胸部102が腰部103に対して所定の角度分(θ)、背面方向に曲がっており、人形体100が上体を反らせた状態)に移行させることができる。
【0015】
なお、人形体100を直立状態から、上体反らし状態に移行させるには、ユーザが手で腰部103を保持した状態で、胸部102を背面方向に押圧することにより行われる。
【0016】
図3は、図2(A)、(B)に対して、更に装飾具107を取り外し、背面側から見た様子を示す図である。同図に示すように、腰部103の背面側は、腰部カバー202の一部が切り欠かれており、胸部形成部に回動可能に取り付けられた当接部301が、当該切り欠かれた部分に収まるように構成されている。当接部301は、図2(A)に示す直立状態を長時間維持するために用いられる部材であり、詳細は後述する。
【0017】
<胸部形成部ならびに腰部形成部の構成>
図4(A)乃至(C)は、胸部形成部と腰部形成部との間の相対的な回動運動を説明するための断面図である(図3のA−A断面図であり、腰部形成部及び胸部形成部を人形体100の左側面から見た様子を示している。このため、紙面左側が人形体100の前面側を、紙面右側が人形体100の背面側をそれぞれ示すこととなる。なお、説明を簡略化するために、ここでは当接部301や胸部カバー201、腰部カバー202は省略している)。
【0018】
図4(A)において、401は胸部形成部であり、402は腰部形成部である(胸部カバー201および腰部カバー202を取り外した状態を示している)。
【0019】
403は連結部であり、これにより胸部形成部401と腰部形成部402とは相対的に回動する。なお、図4(B)は、腰部形成部402が胸部形成部401に対して連結部403回りを、右回りに回動した様子を示している(この場合、人形体100は、上体が前かがみの姿勢となる。以下、右回りとは、人形体100を左側面から見た場合において、腰部形成部402を連結部403に対して回動させた際に、上体が前かがみの姿勢になる方向をいうものとする)。また、図4(C)は、腰部形成部402が胸部形成部401に対して連結部403回りを、左回りに回動した様子を示している(この場合、人形体100は、上体を背面方向に反らせた姿勢となる。以下、左回りとは、人形体100を左側面から見た場合において、腰部形成部402を連結部に対して、回動させた際に、上体が反った姿勢になる方向をいうものとする)。
【0020】
図4(B)および(C)からわかるように、腰部形成部402の連結部403回りの回動範囲は、所定の範囲内に制限されている。具体的には、右回りに回動させた場合にあっては、腰部形成部402の前面側上面404と、胸部形成部401の前面側下面405とが接触する位置までである。また、腰部形成部402を左回りに回動させた場合にあっては、腰部形成部402の背面側上面406と、胸部形成部401の背面側下面407とが接触する位置までである。
【0021】
<直立状態を維持するための構成>
次に図5を用いて、胸部形成部401と腰部形成部402との間において、図2(A)に示す直立状態を維持するための構成(当接部301)について説明する。図5は、図3のA−A断面図である。なお、図5では、当接部301の作用をわかりやすくするために、腰部形成部402の背面側に腰部カバー202が取り付けられた状態における断面図を示している。
【0022】
上述のように、当接部301は、胸部形成部401の背面側に、その一端が回転軸501回りに回動可能に取り付けられている。当接部301は、平面形状を有する平面部を備え、中央付近には該平面部に直交する凸部502が設けられている。
【0023】
ここで、胸部形成部401と腰部形成部402とが、図2(A)に示す直立状態にあって、かつ、当接部301が胸部形成部401ならびに腰部形成部402の直立状態を維持させるための位置にある場合(以下、このような状態を、“当接部301をセットした状態”と呼ぶ)には、凸部502の下面503は、腰部形成部402の背面側上面406に当接し(第1の当接位置)、また、当接部301の底面504は腰部カバー202の背面側上面505に当接する(第2の当接位置)よう構成されている。
【0024】
このように構成することにより、当接部301をセットした状態では、腰部形成部402が連結部403に対して左回りに回動することはなく(つまり上体反らし状態になることはなく)、図2(A)に示す直立状態を維持することができる。
【0025】
<当接部301の作用>
図6を用いて、当接部301の作用について詳細に説明する。腰部形成部402を連結部403に対して左回り(矢印600)に回動させようとすると、腰部形成部402の背面側上面406は、上方向(矢印602)に移動しようとする。
【0026】
ここで、背面側上面406の移動方向である矢印602は、連結部403の回転中心601と、腰部形成部402の背面側上面406(第1の当接位置)とを結ぶ直線603に直交する方向である。そして、連結部403の回転中心601は、腰部形成部402の背面側上面406(第1の当接位置)よりも上下方向において下側に位置しているため(背面側上面406(第1の当接位置)は回転中心601よりも胸部102側に位置しているため)、矢印602は、紙面上方向であって、かつ垂直方向よりもやや左側を向くこととなる。
【0027】
一方、当接部301の凸部502の下面503では、腰部形成部402を連結部403に対して左回りに回動させようとした場合、矢印602方向の力を受けることとなる。上述のように矢印602方向は、紙面上方向であって、かつ垂直方向よりもやや左側を向いていることから、当接部301の凸部502の下面503が受ける力は、当接部301の凸部502の下面503に垂直な方向602−1と平行な方向602−2とに分けることができる(図6下の拡大図参照)。
【0028】
当接部301の凸部502の下面503が受ける力のうち、垂直方向602−1の力は、回転軸501が胸部形成部401から受ける抗力によって相殺される(つまり、当接部301が垂直方向に動作することはない)。一方、平行方向602−2の力は、当接部301を回転軸501に対して右回りに回転させようと作用する。
【0029】
ここで、当接部301の底面504では、腰部形成部402を連結部403に対して左回りに回動させようとした場合、腰部カバー202の背面側上面505(第2の当接位置)より矢印604方向の力を受けることとなる。矢印604は、連結部403の回転中心601と、腰部カバー202の背面側上面505(第2の当接位置)とを結ぶ直線603に直交する方向である。そして、連結部403の回転中心601は、腰部カバー202の背面側上面505(第2の当接位置)よりも上下方向において上側に位置しているため(背面側上面505(第2の当接位置)は、回転中心601よりも腰部103側に位置しているため)、矢印604は、紙面上方向であって、かつ垂直方向よりもやや右側を向くこととなる。この結果、当接部301の底面504が受ける力は、当接部301の底面504に垂直な方向604−1と平行な方向602−2とに分けることができる(図6右の拡大図参照)。
【0030】
当接部301の底面504が受ける力のうち、垂直方向604−1の力は、回転軸501が胸部形成部401から受ける抗力によって相殺される(つまり、当接部301が垂直方向に動作することはない)。一方、平行方向604−2の力は、当接部301を回転軸501に対して左回りに回転させようと作用するが、上述の平行方向602−2の力との間で相殺されることとなる(つまり、当接部301を回動させるよう作用する平行方向602−2の力と平行方向604−2の力とは、互いに反対方向となるよう構成されている)。
【0031】
この結果、当接部301が回動することはなく、腰部形成部402が回動することもない。つまり、図2(A)に示す直立状態を維持することができる。
【0032】
なお、当接部301をセットした状態であっても、腰部形成部402は連結部403に対して右回りに回動させることは可能である。図7は、腰部形成部402を連結部403に対して右回りに回動させた様子を示す図である。腰部形成部402の右回りの回動に対して、当接部301は当接しないため、当接部301をセットした状態であっても、右回りに回動させるべく、ユーザが腰部103を押圧すると、右回りに回動させることはできる。
【0033】
ここで、人形体100は、胸部102の背面側に装飾具107が取り付けられているため、人形体100の直立状態を維持させようとした場合、人形体100の上体が反る方向に胸部102が回転する傾向がある(つまり、腰部形成部402が連結部403に対して右回りに回動してしまうことはない)。このため、腰部形成部402が連結部403に対して左回りに回動することを防止することができれば直立状態を維持することが可能となり、本実施形態では、当接部301を胸部102の背面側にのみ取り付けることとしている。ただし、本発明は特にこれに限定されるものではなく、背面側のみならず、背面側と前面側の両方に取り付けるようにしてもよい。
【0034】
<ユーザの操作>
次に図8を用いて、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作について説明する。
【0035】
図8(A)は、当接部301がセットされ、人形体100が直立状態にある場合を示している。図8(A)において、ユーザは、当接部301を左回りに回動させることで、セットを解除することができる。図8(B)は、人形体100が直立状態にあって、当接部301のセットを解除した様子を示している。
【0036】
これにより、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動させることが可能となる。ユーザは、腰部形成部402が連結部403に対して左回りに回動するように押圧することで、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動する。図8(C)は、腰部形成部402が左回りの回動限界まで回動され、人形体が上体反らし状態となった様子を示している。以上の操作により、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させることができる。
【0037】
なお、上体反らし状態から、再び、直立状態に戻すには、反対の操作をする。つまり、腰部形成部402を右回りに直立状態の位置まで回動させる(図8(B))。次に、当接部301を回転軸501に対して右回りに回動させ、腰部カバー202の切り欠き部に収まるようにセットする(図8(A))。これにより人形体100の直立状態を維持させることが可能となる。
【0038】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、胸部形成部401の背面側に当接部301を設け、腰部形成部402の左回りの回動を阻止するように作用させることで、人形体100の直立状態を維持させることが可能となった。
【0039】
また、本実施形態によれば、当接部301のセットを解除することにより、従来の腰部形成部と同様の回動動作を確保することが可能である。
【0040】
つまり、人形体において、関節を再現する連結部分を容易に揺動させることができる一方で、所定の角度で当該連結部分を長時間維持させることができるようになる。
【0041】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、人形体の腰部と胸部との連結部分について説明したが、本発明は特にこれに限定されるものではない。例えば、大腿部と脚部との連結部分においても適用可能である(連結部分において連結された各部が、一直線上に位置する状態を維持することが求められる連結部分であれば、同様に適用可能である)。
【0042】
また、上記第1の実施形態では、当接部301が平面形状を有し、当接部301をセットした状態では、当接部301が腰部カバー202の切り欠き部に収まるように構成されているが、本発明は特にこれに限定されるものではない。ただし、このような構成にすることで、人形体100が直立状態にある際、当接部301が腰部カバー202と一体化し、当接部301が目立たなくすることができるという付帯的効果が得られる。
【0043】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、当接部301を回動させるように作用する力の向きが、第1の当接位置と第2の当接位置とにおいて反対方向となるように構成することで、人形体100の直立状態を維持させることとしたが、本発明は特にこれに限定されない。例えば、腰部形成部402の左回りの回動限界を縮めるように当接部を構成してもよい。
【0044】
<直立状態を維持するための構成>
図9は、本実施形態にかかる当接部の構成を説明するための図である。同図において、902は当接部であり、第1の当接位置において、腰部形成部402の背面側上面406と胸部形成部401の背面側下面407との間に挟持される挟持部903と、挟持部903を回転軸901回りに回動させるために、ユーザが操作する操作部904とを備える。
【0045】
同図に示すように、挟持部903は、図2(A)に示す直立状態において腰部形成部402の背面側上面406と胸部形成部401の背面側下面407との間に発生する隙間に等しい厚みを有している。このため、当接部902をセットした状態においては、腰部形成部402の矢印方向への回動が妨げられ(つまり上体反らし状態になることはなく)、図2(A)に示す直立状態を維持することができる(つまり、当接部902をセットした状態においては、腰部形成部402の左回りの回動限界が直立状態の位置となる)。
【0046】
<ユーザの操作>
次に図10を用いて、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作について説明する。
【0047】
図10(A)は、当接部902がセットされ、人形体100が直立状態にある場合を示している。図10(A)において、ユーザは、腰部形成部402を右回りに回動させることで、当接部902を右回りに回動させることが可能となり、これにより当接部902のセットを解除することができる。図10(B)は、操作部904を操作し、当接部902を右回りに回動させることで、人形体100が当接部902のセットを解除した様子を示している。
【0048】
これにより、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動させることが可能となる。ユーザが、腰部形成部402を連結部403に対して左回りに回動するように押圧することで、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動する。図10(C)は、腰部形成部402が左回りの回動限界まで回動され、人形体が上体反らし状態となった様子を示している。以上の操作により、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させることができる。
【0049】
なお、上体反らし状態から、再び、直立状態に戻すには、反対の操作をする。つまり、腰部形成部402を右回りに、上体が前かがみの姿勢となる位置まで回動させる(図10(B))。次に、当接部902を回転軸901に対して右回りに回動させ、胸部形成部401の背面側下面407に当接させる。その後、腰部形成部402を左回りに回動させ、挟持部903を挟持する。これにより、人形体100の直立状態を維持させることが可能となる。
【0050】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態よりも簡素な構造により、人形体100の直立状態を維持させることが可能となる。
【0051】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、当接部を胸部形成部401に回動可能に取り付けることとしたが、本発明は特にこれに限られず、例えば、当接部を胸部形成部401にスライド可能に取り付けるようにしてもよい。
【0052】
<直立状態を維持するための構成>
図11は、本実施形態にかかる当接部の構成を説明するための図である。同図において、1102は当接部であり、上記第3の実施形態同様、第1の当接位置において、腰部形成部402の背面側上面406と胸部形成部401の背面側下面407との間に挟持される挟持部1103と、挟持部1103を溝部1105に沿って保持部1101内をスライドさせるために、ユーザが操作する操作部1104とを備える。
【0053】
同図に示すように、挟持部1103は、図2(A)に示す直立状態において腰部形成部402の背面側上面406と胸部形成部401の背面側下面407との間に発生する隙間に等しい厚みを有している。このため、当接部1102をセットした状態においては、腰部形成部402の矢印方向への回動が妨げられ(つまり上体反らし状態になることはなく)、図2(A)に示す直立状態を維持することができる(つまり、当接部1102をセットした状態においては腰部形成部402の左回りの回動限界が直立状態の位置となる)。
【0054】
<ユーザの操作>
次に図12を用いて、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作について説明する。
【0055】
図12(A)は、当接部1102がセットされ、人形体100が直立状態にある場合を示している。図12(A)において、ユーザが当接部1102を紙面右側方向(人形体100の背面側)にスライドさせることで、当接部1102のセットを解除することができる。図12(B)は、人形体100が当接部1102のセットを解除した様子を示している。
【0056】
これにより、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動させることが可能となる。ユーザが、腰部形成部402を連結部403に対して左回りに回動するように押圧することで、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動する。図12(C)は、腰部形成部402が左回りの回動限界まで回動され、人形体が上体反らし状態となった様子を示している。以上の操作により、人形体100を直立状態から上体反らし上体に移行させることができる。
【0057】
なお、上体反らし状態から、再び、直立状態に戻すには、反対の操作をする。つまり、腰部形成部402を左回りに直立状態の位置まで回動させる(図12(B))。次に当接部1102を紙面左側(人形体100の前面側)にスライドさせ、腰部形成部402の背面側上面406および胸部形成部401の背面側下面407に当接させる。これにより、人形体100の直立状態を維持させることが可能となる。
【0058】
[第5の実施形態]
上記第3及び第4の実施形態では、当接部が第1の当接位置において腰部形成部402の背面側上面406と胸部形成部401の背面側下面407との間に挟持されるように構成することとしたが、本発明は特にこれに限られない。例えば、当接部が第2の当接位置において、腰部カバー202の背面側上面505と胸部形成部401の背面側下面407との間において挟持されるように構成してもよい。
【0059】
<直立状態を維持するための構成>
図13は、本実施形態にかかる当接部の構成を説明するための図である。同図において、1301は当接部であり、第2の当接位置において、腰部カバー202の背面側上面505と胸部形成部401の背面側下面407との間において挟持されている。
【0060】
腰部カバー202には、当該当接部1301を収容するための収容部1302が設けられ、当接部1301を収容することができるように構成されている。
【0061】
同図に示すように、当接部1301は、図2(A)に示す直立状態において腰部カバー202の背面側上面505と胸部形成部401の背面側下面407との間に発生する隙間に等しい長さを有している。このため、当接部1301をセットした状態においては、腰部形成部402の矢印方向への回動が妨げられ(つまり上体反らし状態になることはなく)、図2(A)に示す直立状態を維持することができる(つまり、当接部1301をセットした状態においては、腰部形成部402の左回りの回動限界が直立状態の位置となる)。
【0062】
<ユーザの操作>
次に図14を用いて、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作について説明する。
【0063】
図14(A)は、当接部1301がセットされ、人形体100が直立状態にある場合を示している。図14(A)において、ユーザは、当接部1301を腰部カバー202内に収容する。これにより、当接部1301のセットを解除することができる。図14(B)は、人形体100が当接部1301のセットを解除した様子を示している。
【0064】
これにより、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動させることが可能となる。ユーザが、腰部形成部402を連結部403に対して左回りに回動するように押圧することで、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動する。図14(C)は、腰部形成部402が左回りの回動限界まで回動され、人形体が上体反らし状態となった様子を示している。以上の操作により、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させることができる。
【0065】
なお、上体反らし状態から、再び、直立状態に戻すには、反対の操作をする。つまり、腰部形成部402を右回りに、直立状態の位置まで回動させる(図14(B))。次に、当接部1301を腰部カバー202より取り出し、腰部カバー202の背面側上面505と胸部形成部401の背面側下面407に当接させる。これにより、人形体100の直立状態を維持させることが可能となる。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態よりも簡素な構造により、人形体100の直立状態を維持させることが可能となる。
【0067】
[第6の実施形態]
上記第5の実施形態では、当接部を腰部カバー202内に収容可能に取り付けることとしたが、本発明は特にこれに限られず、例えば、胸部形成部401に回動可能に取り付けるようにしてもよい。
【0068】
<直立状態を維持するための構成>
図15は、本実施形態に係る当接部の構成を説明するための図である。同図において、1500は当接部であり、上記第5の実施形態同様、第2の当接位置において、腰部カバー202の背面側上面505と胸部形成部401の背面側下面407との間において挟持されている(なお、紙面右側に示す図は、当接部1500を正面から見た様子を示している)。
【0069】
当接部1500は、腰部カバー202の背面側上面505と胸部形成部401の背面側下面407との間に挟持される挟持部1502と、挟持部1502を回転させるための回転軸1503と、回転操作するための操作部1505と、操作部1505と回転軸1503とを接合する接合部1504とを備える。なお、胸部形成部401には、回転軸1503を軸支するための軸支部1501が配されている。
【0070】
同図に示すように、挟持部1502は、図2(A)に示す直立状態において腰部カバー202の背面側上面505と胸部形成部401の背面側下面407との間に発生する隙間に等しい長さを有している。このため、当接部1500をセットした状態においては、腰部形成部402の矢印方向への回動が妨げられ(つまり上体反らし状態になることはなく)、図2(A)に示す直立状態を維持することができる(つまり、当接部1500をセットした状態においては、腰部形成部402の左回りの回動限界が直立状態の位置となる)。
【0071】
<ユーザの操作>
次に図16を用いて、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作について説明する。
【0072】
図16(A)は、当接部1500がセットされ、人形体100が直立状態にある場合を示している。図16(A)において、ユーザは、操作部1505を操作することにより、当接部1500を90度回動させる。これにより、当接部1500のセットを解除することができる。図16(B)は、人形体100が当接部1500のセットを解除した様子を示している。
【0073】
これにより、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動させることが可能となる。ユーザが、腰部形成部402を連結部403に対して左回りに回動するように押圧することで、腰部形成部402は連結部403に対して左回りに回動する。図16(C)は、腰部形成部402が左回りの回動限界まで回動され、人形体が上体反らし状態となった様子を示している。以上の操作により、人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させることができる。
【0074】
なお、上体反らし状態から、再び、直立状態に戻すには、反対の操作をする。つまり、腰部形成部402を右回りに、直立状態の位置まで回動させる(図16(B))。次に、当接部1500を90°回動させ、腰部カバー202の背面側上面505と胸部形成部401の背面側下面407に当接させる。これにより、人形体100の直立状態を維持させることが可能となる。
【0075】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態よりも簡素な構造により、人形体100の直立状態を維持させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる人形体100の外観構成を示す図である。
【図2】人形体100の頭部101、大腿部104、脚部105、腕部106を取り外し、胸部102と腰部103ならびに装飾具107のみを取り出した状態を、人形体100の左側面から見た様子を示した図である。
【図3】図2に対して、更に装飾具107を取り外し、背面側から見た様子を示す図である。
【図4】胸部形成部と腰部形成部との間の相対的な回動運動を説明するための断面図である。
【図5】胸部形成部401と腰部形成部402との間において直立状態を維持させるための構成を説明するための図である。
【図6】当接部301の作用について説明するための図である。
【図7】腰部形成部402を連結部403に対して右回りに回動させた様子を示す図である。
【図8】人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作を説明するための図である。
【図9】胸部形成部401と腰部形成部402との間において直立状態を維持させるための構成を説明するための図である。
【図10】人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作を説明するための図である。
【図11】胸部形成部401と腰部形成部402との間において直立状態を維持させるための構成を説明するための図である。
【図12】人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作を説明するための図である。
【図13】胸部形成部401と腰部形成部402との間において直立状態を維持させるための構成を説明するための図である。
【図14】人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作を説明するための図である。
【図15】胸部形成部401と腰部形成部402との間において直立状態を維持させるための構成を説明するための図である。
【図16】人形体100を直立状態から上体反らし状態に移行させる際のユーザの操作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0077】
100:人形体
101:頭部
102:胸部
103:腰部
104:大腿部
105:脚部
106:腕部
107:装飾具
301:当接部
401:胸部形成部
402:腰部形成部
403:連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と第2の部材とを回動可能に連結することで、人間の関節の動きを再現する人形体であって、
前記第1の部材に回動可能に接続され、前記第1の部材と前記第2の部材とが略平行な位置にある場合に、前記第2の部材に対して、第1の当接位置と第2の当接位置にて当接させることが可能な当接部材を備え、
前記当接部材は、
前記第2の部材に対して当接させた状態で、前記第2の部材を回動させた場合に、前記第1の当接位置にて前記第2の部材より受ける力のうち、該当接部材を回動させるように作用する力の向きと、前記第2の当接位置にて前記第2の部材より受ける力のうち、該当接部材を回動させるように作用する力の向きとが、反対方向となるように構成されていることを特徴とする人形体。
【請求項2】
前記当接部材は、平面形状を有する平面部と該平面部と直交する凸部とを備え、該平面部の一端は、前記第1の部材に回動可能に接続され、該平面部の他端は、前記第1の当接位置を構成し、該凸部は前記第2の当接位置を構成することを特徴とする請求項1に記載の人形体。
【請求項3】
前記第1の当接位置は、前記第1の部材と前記第2の部材とが回動可能に連結された回転中心よりも、前記第1の部材側にあり、前記第2の当接位置は、前記第1の部材と前記第2の部材とが稼動可能に連結された回転中心よりも、前記第2の部材側にあることを特徴とする請求項2に記載の人形体。
【請求項4】
前記第1の部材と前記第2の部材とが略平行な位置にある場合において、前記当接部材は、前記平面部を、該第1の部材および第2の部材に略平行な位置に回動させた場合に、前記第2の部材に対して、前記第1の当接位置と第2の当接位置にて当接させることが可能であることを特徴とする請求項3に記載の人形体。
【請求項5】
前記第2の部材は、切り欠き部を備え、前記第1の部材と前記第2の部材とが略平行な位置にあり、かつ前記当接部材が、前記第2の部材に対して、前記第1の当接位置と第2の当接位置にて当接した状態において、該当接部材が、該切り欠き部に収容されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の人形体。
【請求項6】
前記第1の部材は胸部であり、前記第2の部材は腰部であり、前記当接部材は、前記胸部の背面側に回動可能に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の人形体。
【請求項7】
第1の部材と第2の部材とを回動可能に連結することで、人間の関節の動きを再現する人形体であって、
前記第1の部材と前記第2の部材とが略平行な位置にある場合に、前記第1の部材および第2の部材に当接可能な当接部材を備えることを特徴とする人形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−125871(P2008−125871A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315307(P2006−315307)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】