説明

人検知装置および人検知方法

【課題】より信頼性の高い人検知装置および人検知方法を提供する。
【解決手段】 親機11は信号をアンテナ102から送出する。子機12の検波部202は、信号を電圧に変換し、A/D変換部203は電圧をデジタル化する。信号送信部204はデジタル化されて得られた電圧値を示す信号を生成し、アンテナ201から送出する。親機11の演算部104は、信号により示される電圧の時間変化を示す値Vdを計算する。判定部106が閾値記憶部105から閾値Vthを読み出し、値Vdが閾値Vthを超えているか否かを判定する。値Vdが閾値Vthを超えていると判定された場合、検知信号送出部107が、人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人検知装置および人検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅やオフィス等の屋内への侵入犯罪が増加している。一方、少子高齢化社会が到来し、独居高齢者の増加に伴って孤独死などの新たな社会問題が生じている。このような状況の中で、安心・安全に対する社会の要求の増大に伴い、防犯や見守りといったサービスの需要が増えている。これらのサービスの要となるのが人を検知するセンサであり、現在は赤外線や画像による人の検知が主流である。赤外線センサは主に2種類あり、1つは送信機と受信機間で赤外線を送受信し、物体によって赤外線がさえぎられて送受信が出来ない場合に人がいることを検知するものである。もう1つは、人や動物が発する赤外線を検知し、人を検知するものである。
【0003】
画像センサは、カメラが撮影した画像(現画像と前画像)の差分を解析し、その差分値に変化があった場合に人を検知する。画像センサは、近年の画像処理や画像認識技術の向上により、人を精度良く検出する手段として注目を集めている。
【0004】
また、最近では、電波を利用した人の検地方法が研究されている。電波センサは、センサ自体が電波を発信するアクティブ型と、携帯電話基地局の電波など、空間中に既存の電波を利用するパッシブ型がある。アクティブ型については、ドップラー効果による周波数差分または振幅差分から人を検知するセンサや、FM−CW方式を利用したセンサが開発されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−338231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
赤外線センサは、検知感度が高いため多用されているが、直進性が強いという特性を有するため、屋内の障害物(壁、柱など)によって死角が生じる場合がある。このため、複数の赤外線センサを設置しなければならず、コストが高くなってしまう。また、人が発する赤外線を感知する場合では、ペットなどの動物を人と誤検知してしまう場合がある。
【0006】
また、画像センサは、屋内を撮影することから、一般住居などのプライバシーにかかわる場所では適用に心理的な抵抗感がある。また、画像センサは、赤外線センサと同様に、壁などに遮られた死角については画像を撮影できない。このため、複数の画像センサを設置しなければならず、コストが高くなってしまう。
【0007】
アクティブ型の電波センサは、電波を自ら発信するため、機器の消費電力が増大し、周囲の電磁環境に影響を及ぼす可能性がある。また、パッシブ型はテレビ放送波や携帯電話基地局の電波を利用することが考えられるが、室外から電波が到来するため、送信アンテナと建物の間との伝搬経路の状態に変化が生じた場合、誤検知する恐れがあった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より信頼性の高い人検知装置および人検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1の人検知装置は、無線LAN装置の親機および子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続され、前記親機は、信号を生成する手段と、前記信号を送出するアンテナと、前記子機から送信された信号を受信する手段と、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値を得る手段と、当該値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定する手段と、当該値が閾値を超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する手段とを有し、前記子機は、前記アンテナから送出された信号を受信するアンテナと、前記受信された信号を電圧に変換する手段と、当該電圧を示す信号を前記親機に送信する手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の人検知装置は、無線LAN装置の親機および子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続され、前記親機は、信号を生成する手段と、前記信号を送出するアンテナと、前記子機から送信された信号を受信する手段と、当該信号が受信された場合、人が検知されたことを示す信号を前記通信ネットワークに送出する手段とを有し、前記子機は、前記アンテナから送出された信号を受信するアンテナと、前記受信された信号を電圧に変換する手段と、当該電圧の時間変化を示す値を得る手段と、当該値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定する手段と、当該値が閾値を超えていると判定された場合、信号を前記親機に送信する手段とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項3の人検知装置は、無線LAN装置の親機および複数の子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続され、前記親機は、信号を生成する手段と、前記信号を送出するアンテナと、前記各子機から送信された信号を受信する手段と、当該各信号により示される電圧の時間変化を示す値を得る手段と、当該各値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定する手段と、当該各値が閾値を超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する手段とを有し、前記各子機は、前記アンテナから送出された信号を受信するアンテナと、前記受信された信号を電圧に変換する手段と、当該電圧を示す信号を前記親機に送信する手段とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項4の人検知装置は、無線LAN装置の親機および複数の子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続され、前記親機は、信号を生成する手段と、前記信号を送出するアンテナと、前記各子機から送信された信号を受信する手段と、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値を得る手段と、当該各値から、人がいる領域にある子機から送信された情報により得られた値を選択する手段と、該選択された値に対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する手段とを有し、前記各子機は、前記アンテナから送出された信号を受信するアンテナと、前記受信された信号を電圧に変換する手段と、当該電圧を示す信号を前記親機に送信する手段とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項5の人検知方法は、無線LAN装置の親機および子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続される人検知装置が行う人検知方法であって、前記親機は、信号を生成し、前記信号をアンテナから送出し、前記子機は、前記アンテナから送出された信号をアンテナで受信し、前記受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を前記親機に送信し、前記親機は、前記子機から送信された信号を受信し、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値を得て、当該値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定し、当該値が閾値を超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6の人検知方法は、無線LAN装置の親機および子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続される人検知装置が行う人検知方法であって、前記親機は、信号を生成し、前記信号をアンテナから送出し、前記子機は、前記アンテナから送出された信号をアンテナで受信し、前記受信された信号を電圧に変換し、当該電圧の時間変化を示す値を得て、当該値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定し、当該値が閾値を超えていると判定された場合、信号を前記親機に送信し、前記親機は、前記子機から送信された信号を受信した場合、人が検知されたことを示す信号を前記通信ネットワークに送出する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7の人検知方法は、無線LAN装置の親機および複数の子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続される人検知装置が行う人検知方法であって、前記親機は、信号を生成し、前記信号をアンテナから送出し、前記各子機は、前記アンテナから送出された信号をアンテナで受信し、前記受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を前記親機に送信し、前記親機は、前記各子機から送信された信号を受信し、当該各信号により示される電圧の時間変化を示す値を得て、当該各値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定し、当該各値が閾値を超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項8の人検知方法は、無線LAN装置の親機および複数の子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続される人検知装置が行う人検知方法であって、前記親機は、信号を生成し、前記信号をアンテナから送出し、前記各子機は、前記アンテナから送出された信号をアンテナで受信し、前記受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を前記親機に送信し、前記親機は、前記各子機から送信された信号を受信し、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値を得て、当該各値から、人がいる領域にある子機から送信された情報により得られた値を選択し、該選択された値に対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無線LAN装置の親機から子機への電波を用いることにより、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る人検知装置1の概略構成図である。
【0020】
人検知装置1は、例えば、屋内(室内など)に設置され、屋内において人(例えば侵入者)を検知し、これをその部屋のユーザが遠隔で知ることができるようにするものである。人検知装置は、無線LAN装置の親機11および子機12を備え、親機11は通信ネットワーク2に接続されている。
【0021】
親機11は、信号を生成する信号生成部101と、信号を空中に送出するアンテナ102と、子機12から送信された信号を受信する受信部103と、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値Vdを計算する演算部104と、値Vdについての閾値Vthが記憶された閾値記憶部105と、値Vdが閾値Vthを超えているか否かを判定する判定部106と、値Vdが閾値Vthを超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する検知信号送出部107とを有する。
【0022】
生成される信号は、特別なものでなくてよく、無線LANで必要なものを流用すればよい。
【0023】
子機12は、アンテナ102から送出された信号を受信するアンテナ201と、アンテナ201で受信された信号を検波により電圧に変換する検波部202と、当該電圧をデジタル化するアナログデジタル(以下、「A/D」と略記する)変換部203と、アンテナ201で受信された信号から変換された電圧がデジタル化されて得られた電圧値を示す信号を生成し、親機11に送信する信号送信部204とを備える。
【0024】
次に、人検知装置1が行う人検知方法を説明する。
【0025】
親機11では、信号生成部101が信号を生成し、アンテナ102が信号を屋内に送出する。
【0026】
子機12では、アンテナ201が、アンテナ102から送出された信号を受信する。次に、検波部202が、アンテナ201で受信された信号を検波により電圧に変換する。次に、A/D変換部203が電圧をデジタル化する。次に、信号送信部204が、アンテナ201で受信された信号から変換された電圧がデジタル化されて得られた電圧値を示す信号を生成し、アンテナ201から送出する。
【0027】
親機11では、アンテナ102が、アンテナ201から送出された信号(電波)を受信する
図2は、親機11の受信部103、演算部104、判定部106および検知信号送出部107の動作を示すフローチャートである。
【0028】
親機1では、受信部103が、アンテナ102で受信された信号を受信する(ステップS1)。次に、演算部104が、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値Vdを計算する(ステップS3)。例えば、時刻tでの電圧をV(t)とし、時刻tより前の時刻t−1での電圧をV(t−1)とすると、演算部104は、時刻tでの値Vd(t)を、式Vd(t)=|V(t)−V(t−1)|を用いて計算する。なお、値Vdは、電圧の時間微分でもよい。
【0029】
次に、判定部106が閾値記憶部105から閾値Vthを読み出し、値Vdが閾値Vthを超えているか否かを判定する(ステップS5)。値Vdが閾値Vthを超えている(YES)と判定された場合、検知信号送出部107が、人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する(ステップS7)。値Vdが閾値Vthを超えていない(NO)と判定された場合、または、ステップS7の次においては、その時点から予め定められた時間が経過したかを判定する(ステップS9)。NOと判定された場合、ステップS9を繰り返し、YESと判定された場合、ステップS1に戻る。
【0030】
図3は、値Vdの変化を例示した図である。
【0031】
値Vdは、屋内に送出された信号により得られるため、室内に人がいない場合は安定しているが、人がいる場合は不安定になる。
【0032】
よって、図3に示すように、室内に人がいない時間帯Tnにおいて、値Vdは例えば小さくなっている。一方、室内に人がいる時間帯Tyにおいては、例えば値Vdが大きくなる。これにより、値Vdが閾値Vthを超え、検知信号が送出される。検知信号は、例えば、通信ネットワーク2に接続されたコンピュータにより受信され、これにより、コンピュータを使用する部屋のユーザが、室内に人(例えば侵入者)がいるのを知ることとなる。
【0033】
次に、上記の人検知に先立ってなされる閾値Vthの決定方法を説明する。
【0034】
まず、例えば親機11がユーザに音や光でタイミングを指示し、そのタイミングに従って静止と移動を行わせる。また、親機11は、図3に示したように、値Vdの変化を得る。ユーザが静止している時間帯では、時間帯Tnのように、値Vdは例えば小さくなっている。一方、ユーザが移動してる時間帯では、時間帯Tyのように、値Vdが大きくなる。親機11は、例えば、変動している値Vdのピーク値Vdmaxの70%を計算し、これを閾値Vthとして閾値記憶部105に記憶させる。
【0035】
こうした上で、上記の人検知を行えば、室内に人(例えば侵入者)がいるときは、値Vdは少なくともピーク値Vdmaxの70%以下にはならないだろうから、人を検知することができる。
【0036】
なお、閾値Vthは、ユーザにより可変できるようにし、これにより、例えば、誤検知を防止できるようにするのが好ましい。
【0037】
以上の通り、第1の実施の形態の人検知装置1によれば、無線LAN装置の親機11から子機12への電波を用いることにより、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0038】
人検知装置1によれば、無線LAN装置の親機11および子機12を備えるとともに、親機11は通信ネットワーク2に接続され、親機11は、信号を生成する手段(信号生成部101)と、信号を送出するアンテナ102と、子機12から送信された信号を受信する手段(受信部103)と、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値Vdを得る手段(演算部104)と、値Vdが予め設定された閾値Vthを超えているか否かを判定する手段(判定部106)と、値Vdが閾値Vthを超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する手段(検知信号送出部107)とを有し、子機12は、アンテナ102から送出された信号を受信するアンテナ201と、受信された信号を電圧に変換する手段(検波部202)と、当該電圧を示す信号を親機11に送信する手段(信号送信部204)とを有することで、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0039】
人検知装置1が行う人検知方法によれば、親機11は、信号を生成し、信号をアンテナ102から送出し、子機12は、アンテナ102から送出された信号をアンテナ201で受信し、受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を親機11に送信し、親機11は、子機12から送信された信号を受信し、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値Vdを得て、値Vdが予め設定された閾値Vthを超えているか否かを判定し、値Vdが閾値Vthを超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出することで、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0040】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態に係る人検知装置1Aの概略構成図である。人検知装置1Aは、第1の実施の形態に係る人検知装置1を構成する部分と同一の部分を有するので、同一部分には同一符号を付与し、重複説明を省略する。
【0041】
人検知装置1Aは、無線LAN装置の親機11Aおよび子機12Aを備え、親機11Aは通信ネットワーク2に接続されている。
【0042】
親機11Aは、信号生成部101、アンテナ102および受信部103を有し、さらに、受信部103で信号が受信された場合、人が検知されたことを示す信号を通信ネットワーク2に送出する検知信号送出部107Aを有する。
【0043】
子機12Aは、アンテナ201、検波部202およびA/D変換部203を有し、アンテナ201で受信された信号から変換された電圧がデジタル化されて得られた電圧値の時間変化を示す値Vdを計算する演算部205と、値Vdについての閾値Vthが記憶された閾値記憶部206と、値Vdが閾値Vthを超えているか否かを判定する判定部207と、値Vdが閾値Vthを超えていると判定された場合、信号を親機11に送信する信号送信部208を有する。
【0044】
次に、人検知装置1Aが行う人検知方法を説明する。
【0045】
親機11では、信号生成部101が信号を生成し、アンテナ102が信号を屋内に送出する。
【0046】
図5は、子機12Aの動作を示すフローチャートである。
【0047】
子機12では、アンテナ201が、アンテナ102から送出された信号(電波)を受信する(ステップS101)。次に、検波部202が、アンテナ201で受信された信号を検波により電圧に変換する(ステップS103)。次に、A/D変換部203が電圧をデジタル化する(ステップS105)。次に、演算部205が、アンテナ201で受信された信号から変換された電圧がデジタル化されて得られた電圧値の時間変化を示す値Vdを計算する(ステップS107)。次に、判定部207が閾値記憶部206から閾値Vthを読み出し、値Vdが閾値Vthを超えているか否かを判定する(ステップS109)。値Vdが閾値Vthを超えている(YES)と判定された場合、信号送信部208が、信号をアンテナ201から送出する(ステップS111)。値Vdが閾値Vthを超えていない(NO)と判定された場合、または、ステップS111の次においては、その時点から予め定められた時間が経過したかを判定する(ステップS113)。NOと判定された場合、ステップS113を繰り返し、YESと判定された場合、ステップS101に戻る。
【0048】
親機11Aでは、アンテナ102が、アンテナ201から送出された信号(電波)を受信する。次に、受信部103が、アンテナ102で受信された信号を受信する。このように、受信部103で信号が受信された場合、検知信号送出部107Aは、人が検知されたことを示す信号を通信ネットワーク2に送出する。
【0049】
検知信号は、例えば、通信ネットワーク2に接続されたコンピュータにより受信され、これにより、コンピュータを使用する部屋のユーザが、室内に人(例えば侵入者)がいるのを知ることとなる。
【0050】
なお、閾値Vthの決定方法は、第1の実施の形態での方法と同様である。
【0051】
また、閾値Vthが、ユーザにより可変できるようにするのが好ましいことも、第1の実施の形態での方法と同様である。
【0052】
以上の通り、第2の実施の形態の人検知装置1Aによれば、無線LAN装置の親機11Aから子機12Aへの電波を用いることにより、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0053】
人検知装置1Aによれば、無線LAN装置の親機11Aおよび子機12Aを備えるとともに、親機11Aは通信ネットワーク2に接続され、親機11Aは、信号を生成する手段(信号生成部101)と、信号を送出するアンテナ102と、子機12Aから送信された信号を受信する手段(受信部103)と、当該信号が受信された場合、人が検知されたことを示す信号を通信ネットワーク2に送出する手段(検知信号送出部107A)とを有し、子機12Aは、アンテナ102から送出された信号を受信するアンテナ201と、受信された信号を電圧に変換する手段(検波部202)と、当該電圧の時間変化を示す値Vdを得る手段(演算部205)と、値Vdが予め設定された閾値Vthを超えているか否かを判定する手段(判定部207)と、値Vdが閾値Vthを超えていると判定された場合、信号を親機11Aに送信する手段(信号送信部208)とを有することで、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0054】
人検知装置1Aが行う人検知方法によれば、親機11Aは、信号を生成し、信号をアンテナ102から送出し、子機12Aは、アンテナ102から送出された信号をアンテナ201で受信し、受信された信号を電圧に変換し、当該電圧の時間変化を示す値Vdを得て、値Vdが予め設定された閾値Vthを超えているか否かを判定し、値Vdが閾値Vthを超えていると判定された場合、信号を親機11Aに送信し、親機11Aは、子機12Aから送信された信号を受信した場合、人が検知されたことを示す信号を通信ネットワーク2に送出する、ことで、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0055】
[第3の実施の形態]
図6は、第3の実施の形態に係る人検知装置1Bの概略構成図である。人検知装置1Bは、第1の実施の形態に係る人検知装置1の子機12を複数にしたものである。
【0056】
人検知装置1Bは、無線LAN装置の親機11および複数の子機12を備え、親機11Aは通信ネットワーク2に接続されている。
【0057】
人検知装置1Bが行う人検知方法は、人検知装置1が行う人検知方法に対して以下の点が異なる。
【0058】
受信部103は、各子機12から送信された信号(電波)を受信する。演算部104は、各信号により示される電圧の時間変化を示す値Vd、Vd、…を計算する。判定部106は、各値Vd、Vd、…が閾値Vthを超えているか否かを判定する。検知信号送出部107は、各値Vd、Vd、…が閾値Vthを超えていると判定された場合、検知信号を通信ネットワーク2に送出する。
【0059】
例えば、室外からのノイズにより、第1の実施の形態で用いられる単一の値Vdが閾値Vthを超え、これにより、誤検知がなされる場合であっても、かかるノイズによっては複数の値Vd、Vd、…が閾値Vthを超えることにはならないだろうから、室内に人がいて、各値が閾値Vthを超えたときに限り、人が検知されたこととすることにより、人を確実に検知することができる。
【0060】
なお、閾値Vthの決定方法は、第1の実施の形態での方法と同様である。
【0061】
また、閾値Vthが、ユーザにより可変できるようにするのが好ましいことも、第1の実施の形態での方法と同様である。
【0062】
また、閾値Vthを各子機12で共通にするのでなく、閾値Vthを子機12ごとに変えてもよい。
【0063】
以上の通り、第3の実施の形態の人検知装置1Bによれば、無線LAN装置の親機11から子機12への電波を用いることにより、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0064】
人検知装置1Bによれば、無線LAN装置の親機11および複数の子機12を備えるとともに、親機11は通信ネットワーク2に接続され、親機11は、信号を生成する手段(信号生成部101)と、信号を送出するアンテナ102と、各子機12から送信された信号を受信する手段(受信部103)と、当該各信号により示される電圧の時間変化を示す値Vd、Vd、…を得る手段(演算部104)と、各値Vd、Vd、…が予め設定された閾値Vthを超えているか否かを判定する手段(判定部106)と、各値Vd、Vd、…が閾値Vthを超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する手段(検知信号送出部107)とを有し、各子機12は、アンテナ102から送出された信号を受信するアンテナ201と、受信された信号を電圧に変換する手段(検波部202)と、当該電圧を示す信号を親機11に送信する手段(信号送信部204)とを有することで、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0065】
人検知装置1Bが行う人検知方法によれば、親機11は、信号を生成し、信号をアンテナ102から送出し、各子機12は、アンテナ102から送出された信号をアンテナ201で受信し、受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を親機11に送信し、親機11は、各子機12から送信された信号を受信し、当該各信号により示される電圧の時間変化を示す値Vdを得て、各値Vd、Vd、…が予め設定された閾値Vthを超えているか否かを判定し、各値Vd、Vd、…が閾値Vthを超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0066】
[第4の実施の形態]
図7は、第4の実施の形態に係る人検知装置1Cの配置を示した図である。人検知装置1Cは、第1の実施の形態に係る人検知装置1の子機12を複数にしたものである。
【0067】
人検知装置1Cは、無線LAN装置の親機11および複数の子機12を備え、親機11Aは通信ネットワーク2に接続されている。図7は、2つの子機12の一方が6畳間にあり、他方が8畳間にあることを示している。
【0068】
人検知装置1Cが行う人検知方法は、人検知装置1が行う人検知方法に対して以下の点が異なる。
【0069】
受信部103は、例えば、6畳間、8畳間にある各子機12から送信された信号(電波)を受信する。演算部104は、各信号により示される電圧の時間変化を示す値Vdを計算する。 図8は、2つの値Vdの変化を例示した図である。
【0070】
8畳間に人がいて、6畳間には人がいない場合、8畳間にある子機12から送信された信号により得られた値VdであるVd8は、6畳間にある子機12から送信された信号により得られた値VdであるVd6よりも大きくなる。
【0071】
そこで、判定部106は、各値を比較することで、図8のような場合、値Vd8を選択する。そして、検知信号送出部107は、選択された値に対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する。検知信号送出部107は、例えば、人がいる8畳間を示す部屋名を検知信号に含ませる。
【0072】
検知信号は、例えば、通信ネットワーク2に接続されたコンピュータにより受信され、これにより、コンピュータを使用するユーザが、8畳間に人(例えば侵入者)がいるのを知ることとなる。
【0073】
なお、第4の実施の形態では、閾値Vthを用いてもよい。つまり、判定部106は、閾値記憶部105から閾値Vthを読み出し、各値Vdが閾値Vthを超えているか否かを判定し、いずれかの値Vdが閾値Vthを超えていると判定された場合、その値Vdを選択し、検知信号送出部107が、選択された値に対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出するようにしてもよい。 なお、閾値Vthの決定方法は、第1の実施の形態での方法と同様である。
【0074】
また、閾値Vthが、ユーザにより可変できるようにするのが好ましいことも、第1の実施の形態での方法と同様である。
【0075】
また、閾値Vthを各子機12で共通にするのでなく、閾値Vthを子機12ごとに変えてもよい。
【0076】
第4の実施の形態では、値を比較するにしても、あるいは、閾値を用いるにしても、つまりは、人がいる領域にある子機から送信された情報により得られた値を選択し、選択された値に対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を送出すればよい。
【0077】
以上の通り、第4の実施の形態の人検知装置1Cによれば、無線LAN装置の親機11から子機12への電波を用いることにより、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0078】
人検知装置1Cによれば、無線LAN装置の親機11および複数の子機12を備えるとともに、親機11は通信ネットワーク2に接続され、親機11は、信号を生成する手段(信号生成部101)と、信号を送出するアンテナ102と、各子機12から送信された信号を受信する手段(受信部103)と、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値Vd、Vd、…を得る手段(演算部104)と、各値Vd、Vd、…から、人がいる領域にある子機12から送信された情報により得られた値Vdを選択する手段(判定部106)と、該選択された値に対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する手段(検知信号送出部107)とを有し、各子機12は、アンテナ102から送出された信号を受信するアンテナと、受信された信号を電圧に変換する手段(検波部202)と、当該電圧を示す信号を親機11に送信する手段(信号送信部204)とを有することで、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【0079】
人検知装置1Cが行う人検知方法によれば、親機11は、信号を生成し、信号をアンテナ102から送出し、各子機12は、アンテナ102から送出された信号をアンテナ201で受信し、受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を親機11に送信し、親機11は、各子機12から送信された信号を受信し、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値Vd、Vd、…を得て、各値Vd、Vd、…から、人がいる領域にある子機から送信された情報により得られた値Vdを選択し、該選択された値Vdに対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を通信ネットワーク2に送出する、ことで、周囲の電波環境の変化に影響されず、より安定した人検知が行える。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1の実施の形態に係る人検知装置1の概略構成図である。
【図2】親機11の受信部103、演算部104、判定部106および検知信号送出部107の動作を示すフローチャートである。
【図3】値Vdの変化を例示した図である。
【図4】第2の実施の形態に係る人検知装置1Aの概略構成図である。
【図5】子機12Aの動作を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態に係る人検知装置1Bの概略構成図である。
【図7】第4の実施の形態に係る人検知装置1Cの配置を示した図である。
【図8】2つの値Vdの変化を例示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B、1C…人検知装置
11、11A…親機
12、12A…子機
101…信号生成部
102、201…アンテナ
103…受信部
104、205…演算部
105…閾値記憶部
106、207…判定部
107、107A…検知信号送出部
201…アンテナ
202…検波部
203…A/D変換部
204、208…信号送信部
206…閾値記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN装置の親機および子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続され、
前記親機は、
信号を生成する手段と、前記信号を送出するアンテナと、前記子機から送信された信号を受信する手段と、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値を得る手段と、当該値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定する手段と、当該値が閾値を超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する手段とを有し、
前記子機は、
前記アンテナから送出された信号を受信するアンテナと、前記受信された信号を電圧に変換する手段と、当該電圧を示す信号を前記親機に送信する手段とを有する
ことを特徴とする人検知装置。
【請求項2】
無線LAN装置の親機および子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続され、
前記親機は、
信号を生成する手段と、前記信号を送出するアンテナと、前記子機から送信された信号を受信する手段と、当該信号が受信された場合、人が検知されたことを示す信号を前記通信ネットワークに送出する手段とを有し、
前記子機は、
前記アンテナから送出された信号を受信するアンテナと、前記受信された信号を電圧に変換する手段と、当該電圧の時間変化を示す値を得る手段と、当該値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定する手段と、当該値が閾値を超えていると判定された場合、信号を前記親機に送信する手段とを有する
ことを特徴とする人検知装置。
【請求項3】
無線LAN装置の親機および複数の子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続され、
前記親機は、
信号を生成する手段と、前記信号を送出するアンテナと、前記各子機から送信された信号を受信する手段と、当該各信号により示される電圧の時間変化を示す値を得る手段と、当該各値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定する手段と、当該各値が閾値を超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する手段とを有し、
前記各子機は、
前記アンテナから送出された信号を受信するアンテナと、前記受信された信号を電圧に変換する手段と、当該電圧を示す信号を前記親機に送信する手段とを有する
ことを特徴とする人検知装置。
【請求項4】
無線LAN装置の親機および複数の子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続され、
前記親機は、
信号を生成する手段と、前記信号を送出するアンテナと、前記各子機から送信された信号を受信する手段と、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値を得る手段と、当該各値から、人がいる領域にある子機から送信された情報により得られた値を選択する手段と、該選択された値に対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する手段とを有し、
前記各子機は、
前記アンテナから送出された信号を受信するアンテナと、前記受信された信号を電圧に変換する手段と、当該電圧を示す信号を前記親機に送信する手段とを有する
ことを特徴とする人検知装置。
【請求項5】
無線LAN装置の親機および子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続される人検知装置が行う人検知方法であって、
前記親機は、
信号を生成し、前記信号をアンテナから送出し、
前記子機は、
前記アンテナから送出された信号をアンテナで受信し、前記受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を前記親機に送信し、
前記親機は、
前記子機から送信された信号を受信し、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値を得て、当該値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定し、当該値が閾値を超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する、
ことを特徴とする人検知方法。
【請求項6】
無線LAN装置の親機および子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続される人検知装置が行う人検知方法であって、
前記親機は、
信号を生成し、前記信号をアンテナから送出し、
前記子機は、
前記アンテナから送出された信号をアンテナで受信し、前記受信された信号を電圧に変換し、当該電圧の時間変化を示す値を得て、当該値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定し、当該値が閾値を超えていると判定された場合、信号を前記親機に送信し、 前記親機は、
前記子機から送信された信号を受信した場合、人が検知されたことを示す信号を前記通信ネットワークに送出する、
ことを特徴とする人検知方法。
【請求項7】
無線LAN装置の親機および複数の子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続される人検知装置が行う人検知方法であって、
前記親機は、
信号を生成し、前記信号をアンテナから送出し、
前記各子機は、
前記アンテナから送出された信号をアンテナで受信し、前記受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を前記親機に送信し、
前記親機は、
前記各子機から送信された信号を受信し、当該各信号により示される電圧の時間変化を示す値を得て、当該各値が予め設定された閾値を超えているか否かを判定し、当該各値が閾値を超えていると判定された場合、人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する、
ことを特徴とする人検知方法。
【請求項8】
無線LAN装置の親機および複数の子機を備えるとともに、前記親機は通信ネットワークに接続される人検知装置が行う人検知方法であって、
前記親機は、
信号を生成し、前記信号をアンテナから送出し、
前記各子機は、
前記アンテナから送出された信号をアンテナで受信し、前記受信された信号を電圧に変換し、当該電圧を示す信号を前記親機に送信し、
前記親機は、
前記各子機から送信された信号を受信し、当該信号により示される電圧の時間変化を示す値を得て、当該各値から、人がいる領域にある子機から送信された情報により得られた値を選択し、該選択された値に対応する信号を送信した子機の領域で人が検知されたことを示す検知信号を前記通信ネットワークに送出する、
ことを特徴とする人検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−229318(P2009−229318A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76722(P2008−76722)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】