人物認証装置およびコンピュータプログラム
【課題】本発明は、特徴点データが抽出されないエリアがある場合でも、適切に人物認証が可能な人物認証装置およびコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明にかかる人物認証装置は、顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段3と、抽出が可能な全エリアに対して特徴点データを抽出する、第2抽出手段4と、登録顔画像の登録特徴点データを登録する登録手段6と、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行う照合手段7とを備え、照合手段7は、照合対象特徴点データと、対応する登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行う。
【解決手段】本発明にかかる人物認証装置は、顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段3と、抽出が可能な全エリアに対して特徴点データを抽出する、第2抽出手段4と、登録顔画像の登録特徴点データを登録する登録手段6と、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行う照合手段7とを備え、照合手段7は、照合対象特徴点データと、対応する登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を利用した人物認証装置およびコンピュータプログラムに関する。特に、人物を認証対象とし、当該人物から取得した顔画像を、予め登録された顔画像と照合することにより、当該人物が予め登録された人物であるかを判定する人物認証装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人物認証装置を用いて人物認証をする場合、まず、人物(例えば歩行者)から顔画像を取得するために、人物の動線に向けて撮像カメラを設置する。
【0003】
次に、撮像カメラの撮影領域に侵入してきた人物の顔画像を単位時間あたり数コマで撮影して、画像中にある人物の顔画像を検出する。
【0004】
検出した顔画像と、予め登録された顔画像とを照合することにより、その顔画像が、予め登録した人物と同一人物の顔画像であるかを判断する。このような動作をもって、人物の認証を行う。
【0005】
ここで、検出した顔画像の顔幅が所定の大きさ以上である場合には、顔画像を同一人物あたり複数枚取得して、その後の顔照合処理に供給することができる。
【0006】
また、取得した顔画像での認証精度の向上、認証スピードの向上のため、顔画像を任意のサイズに分割して、各々の分割単位ごとに照合させるものも開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
さらに、同様の目的で、顔画像を9つのエリアに分割して、各々のエリア毎に特徴抽出を行い、照合させるものも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、顔の特徴点の定め方について、例えば特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−85249号公報
【特許文献2】特開2009−211425号公報
【特許文献3】特開昭61−175509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に示す場合では、顔画像を任意のサイズに分割する点で、顔画像には、眉毛・眼・鼻・口・ほおなどの部位があるにもかかわらず、任意に分割するために、眼や鼻等の部位が分割されるケースもあり、認証精度に影響を及ぼすケースができてしまうという問題があった。
【0011】
また、特許文献2に示す場合では、顔画像を9つのエリアに分割して、各々のエリア毎に特徴点を抽出して、照合しようとしているが、各々のエリアでも、歩行者の顔が髪の毛で眉毛が見えなかったり、眼をふさいでいたり、照合用顔画像として利用できない場合、当該エリアは不整合扱いとなり、その他のエリアが合致しても認証されないケースが発生してしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決すべくなされたものであり、特徴点が抽出されないエリアがある場合でも、適切に人物認証が可能な人物認証装置およびコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる人物認証装置は、顔画像のデータに対し、前記顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段と、前記複数のエリア毎に特徴点データを抽出する処理を、当該抽出が可能な全エリアに対して行う、抽出手段と、照合の基準とすべき登録顔画像について前記抽出した前記特徴点データを、登録顔画像の登録特徴点データとして予め登録する登録手段と、照合の対象とすべき照合対象顔画像について前記抽出した前記特徴点データである、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、前記登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う照合手段とを備え、前記照合手段は、前記照合対象特徴点データと、対応する前記登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる第1の人物認証装置によれば、顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段と、前記複数のエリア毎に特徴点データを抽出する処理を、当該抽出が可能な全エリアに対して行う、抽出手段と、照合の基準とすべき登録顔画像について前記抽出した前記特徴点データを、登録顔画像の登録特徴点データとして予め登録する登録手段と、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、前記登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う照合手段とを備え、前記照合手段は、前記照合対象特徴点データと、対応する前記登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行うことにより、特徴点データを抽出できないエリアを除いて顔画像の登録、照合を行うことができ、無駄な照合を減らし、照合での誤認証を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1にかかる人物認証装置の構成ブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる人物認証装置の、登録動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1にかかる人物認証装置の、照合動作を示すフローチャートである。
【図4】顔画像の分割の様子を示す図である。
【図5】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図6】特徴点抽出の具体例を示す図である。
【図7】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図8】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図9】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図10】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図11】顔画像の分割の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1に、本発明にかかる人物認証装置の構成図を示す。なお、人物認証装置は、ソフトウェアで実現可能であり、当該ソフトウェアは、コンピュータにインストールされて実行されることにより、コンピュータを人物認証装置として機能させることができる。
【0017】
図に示すように人物認証装置は、撮像領域内の画像を撮像する撮像手段1と、撮像手段1において取得した人物画像から、人物の顔画像(照合対象顔画像)を抽出する第1抽出手段2と、照合対象顔画像のデータに対し、複数のエリアに分割する処理を行う分割手段3とを備える。本発明では、分割手段3において分割できる顔画像のデータが取得できさえすればよく、人物画像を取得する手段や、人物画像から顔画像を抽出する手段は、必須の構成ではない。すなわち、撮像手段1、第1抽出手段2は、顔画像(照合対象顔画像および後述する登録顔画像)のデータが別途の手段から付与される場合には、必ずしも備えられなくともよい。ここで、分割手段3における分割エリアは、それぞれ任意に設定することができ、例えば、後述する特徴点データを抽出しやすいよう、顔における特徴となる部分(眼、鼻、口等)ごとに対応させて設定するのが望ましい。
【0018】
さらに、照合対象顔画像の、分割した各エリアごとに特徴点を、特徴点データ(特に、照合対象顔画像について抽出した特徴点データを、照合対象特徴点データとする)として抽出する第2抽出手段4(抽出手段)を備える。当該抽出処理は、抽出が可能なエリア全てに行われるものである。ここで特徴点とは、顔の外形、眉毛、眼、鼻、耳、口等の位置、大きさ、太さ、角度等と、それらの相対関係を指す(例えば、特許文献3参照)。各々のエリア毎での特徴点データの抽出とは、顔のパーツ(顔の外形、眉毛、眼、鼻、耳、口等)の位置、大きさ、太さ、角度等を計測し、抽出することである。
【0019】
第2抽出手段4において抽出された特徴点データは、チェック手段5において、画像(または撮像された人物)の状態によって特徴点データを抽出できなかったエリアがないかどうかがチェックされる。
【0020】
照合動作の場合、照合手段7において、得られた照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、登録手段6に予め登録されている登録顔画像の登録特徴点データとが、対応するエリアごとに照合される。このとき、チェック手段5において、特徴点データが抽出できなかったと判断されたエリアについては、照合対象から除外する。
【0021】
ここで、登録手段6における登録顔画像とは、照合の基準とすべき顔画像であり、照合対象顔画像と同様に、取得された人物画像から顔画像が抽出されたものであり、登録手段6における登録特徴点データは、分割されたエリア毎に特徴点データが抽出されたものである。分割エリアは、照合対象特徴点データと登録特徴点データとで、対応するように設定されている。
【0022】
照合結果に基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行い、照合対象顔画像に表示された顔の人物が予め登録しておいた人物と一致すると判断される場合には、通知手段8によって通知することができる。
【0023】
<A−2.登録動作>
図2は、登録顔画像および登録特徴点データの登録動作を示すフローチャートである。
【0024】
まず、撮像手段1を用いて人物画像を取得、さらに第1抽出手段2において顔画像を抽出して、分割手段3に入力する(ステップS11)。
【0025】
分割手段3において、入力された顔画像の処理対象領域を終端構造・正規化を行う(ステップS12)。さらに顔画像を5つのエリアに分割し(ステップS13)、第2抽出手段4において、各エリア毎に特徴点データを抽出する(ステップS14)。抽出の具体的内容としては、各エリアにおいて、顔のパーツ(例えば、顔の外形、眉毛、眼、鼻、耳、口等)の位置、大きさ、太さ、角度等を計測する。
【0026】
図4に、顔画像の処理対象領域5つのエリア分割を示す。図4(a)は、顔画像入力後、処理対象領域を終端構造・正規化した画像である。これを、向かって左眉毛・右眉毛・左眼・右眼・眼の下の鼻/口/頬エリアに分割したものが図4(b)である。さらに、それぞれのエリアに対して、A領域(左眉毛)・B領域(右眉毛)・C領域(左眼)・D領域(右眼)・E領域(鼻/口/頬)と設定する(図4(c))。
【0027】
取得した顔画像には、髪の毛が眉毛に掛かっているものや、髪の毛が眼に掛かっているもの等がある。このようなケースでは、例えば、眉毛の位置・大きさ・太さ・角度等を計測する場合に、眉毛形状を把握できないために、眉毛の位置・大きさ・太さ・角度等の測定が不能となる。このため、各々のエリアに分割された顔画像にて、特徴点データを抽出できない場合がある。このように特徴点データが抽出できなかったエリアが存在するか否かを、チェック手段5においてチェックする(図2のステップS15)。
【0028】
図5に、特徴点データのデータ内容リストを示す。図5(a)は、図4(b)(c)に対応する、顔画像のエリアを示したものであり、図5(b)は、顔画像に対応する特徴点データの、抽出されたパターンを示したものである。
【0029】
図5(b)に示すような、抽出されない特徴点データが存在するようなケースの具体例を、図6に示す。例えば、向かって左眉毛が髪の毛で掛かってしまった場合、図6(a)に示すように、眉毛の上の境目が見えなくなってしまい、特徴点データを抽出できないと判断される。
【0030】
又、左眼に髪の毛が掛かってしまった場合、図6(b)に示すように、眼の眼球部分が覆い隠されてしまい、まぶたや瞳・眼の輪郭を取得できず、特徴点データを抽出できないと判断される。
【0031】
第2抽出手段4においては、このようなエリアを除外して、特徴点データが抽出可能なエリアで構成される顔画像全体の特徴点データを抽出する(ステップS16)。顔画像全体に対して特徴点データを抽出するのは、エリア毎の特徴点データのみでは、顔の各パーツの計測ができるが、眼と眼との間や眼と鼻との間等の、各パーツ間の相対関係を計測できないからである。顔画像全体に対して特徴点データを抽出することで、顔の各パーツの計測とともに、パーツ内およびパーツ間の相対関係を計測することとしている。
【0032】
図6(c)は、例えば、向かって左眉毛が特徴点データを取れなかったケースのイメージ図となる。図6(d)は、例えば、向かって右眉毛が特徴点データを取れなかったケースのイメージ図となる。
【0033】
ここで、特徴点データが抽出されたエリアについての登録動作を示す。
【0034】
登録顔画像の登録特徴点データが全エリアについて抽出されている場合に、対応する照合対象顔画像の照合対象特徴点データが、髪の毛が伸びていたり、眼に掛かってしまったりして、全エリアについては抽出されない場合がある。
【0035】
このような場合に、照合に用いる特徴点データとしては、双方の顔画像で抽出がされたエリアのみ、すなわち、一方の顔画像でも、特徴点データが抽出されていないエリアについては、照合対象から除外する。
【0036】
よって、登録顔画像の特徴点データとしては、様々な抽出パターンの照合対象顔画像に対応するため、予め特徴点データの除外パターンを作成しておく(ステップS17)。すなわち、まず、抽出できた全てのエリアで特徴点データを登録(全エリアについて抽出できた場合は、全エリアについて登録)し、順次、各エリアの特徴点データが仮に抽出できなかったとして登録していく。登録は、登録手段6において行う(ステップS18)。
【0037】
登録時に、左眉毛エリアが髪の毛で隠れていた歩行者が、照合時にも、必ず左眉毛エリアが髪の毛で隠れた状態で歩行するとは限らない。風吹いていたり、髪の毛を短くしていたりすれば、特徴点データを抽出できなくなるエリアは変わってくる。
【0038】
このような場合であっても対応できるようにするため、様々なエリアの特徴点データが抽出できなかった除外パターンを作成しておく。
【0039】
このように登録しておくことで、図5(b)に示すように、照合対象特徴点データの抽出パターンに応じて、登録特徴点データの抽出パターンを使い分けることができる。
【0040】
<A−3.照合動作>
図3は、照合対象顔画像および照合対象特徴点データの照合動作を示すフローチャートである。
【0041】
まず、撮像手段1を用いて人物画像を取得、さらに第1抽出手段2において顔画像を抽出して、分割手段3に入力する(ステップS21)。
【0042】
分割手段3において、入力された照合対象顔画像の処理対象領域を終端構造・正規化を行う(ステップS22)。さらに顔画像を5つのエリアに分割し(ステップS23)、第2抽出手段4において、各エリア毎に特徴点データを抽出する(ステップS24)。顔登録時と同様に、各エリアにおいて、顔のパーツ(例えば、顔の外形、眉毛、眼、鼻、耳、口等)の位置、大きさ、太さ、角度等を計測する。
【0043】
特徴点データが抽出できなかったエリアが存在するか否かを、チェック手段5においてチェックする(ステップS25)。第2抽出手段4において、このようなエリアを除外して、特徴点データが抽出可能なエリアで構成される顔画像全体の特徴点データを抽出する(ステップS26)。
【0044】
ここで、特徴点データが抽出されたエリアについての照合動作を示す。
【0045】
登録時に特徴点データが抽出されていないエリアが、照合時には特徴点データが抽出できる場合も生じる。例えば、登録時は長髪(眉毛が眼に掛かっている)にしていたが、照合時は髪を切って丸刈り(眉毛が眼に掛からない)にしているような場合である。
【0046】
このため、照合対象顔画像の照合対象特徴点データについても、様々な抽出パターンの登録顔画像に対応するため、特徴点データの除外パターンを作成する(ステップS27)。すなわち、まず、抽出できた全エリアの特徴点データのうち、登録顔画像において特徴点データが抽出されたエリアの特徴点データを照合対象特徴点データとして抽出し、登録顔画像において特徴点データが抽出されなかったエリアの特徴点データは、仮に抽出できなかったとして照合から除外する。
【0047】
照合対象となる特徴点データが定まったら、照合対象特徴点データと登録特徴点データとを照合手段7において照合する(ステップS28)。
【0048】
照合の結果、照合対象特徴点データと登録特徴点データとが一致し、すなわち、照合対象顔画像と登録顔画像とが一致すると判断できる場合には、一致の通知をする(ステップS30)。また、不一致の場合には、非通知(ステップS31)とすることができるが、不一致の通知をしてもよい。
【0049】
登録特徴点データと照合対象特徴点データとの照合の例は、図7、8に示す。図7(a)は登録顔画像を正規化したものであり、登録特徴点データを抽出できないエリアがないケースである。図7(b)は、顔画像に対応する特徴点データの、抽出されたパターンを示したものである。特徴点データが各エリアで全て抽出できた場合(NO.1)から、向かって左眉毛なしの場合(NO.2)、その他各種の抽出パターンを備えている。
【0050】
図8(a)は照合対象顔画像を正規化したものであり、向かって左眉毛なしのパターン(NO.2)に相当する(図8(b))。ただ前述の通り、照合対象特徴点データが抽出できていないエリアが、登録特徴点データ抽出できているパターンだけとは限らないため、それ以外のパターンについても、特徴点データを抽出し備えている(図8(b))。
【0051】
照合対象顔画像が左眉毛なしのパターン(NO.2)なので、図8(b)のNO.2と、図7(b)のNO.2(登録顔画像の特徴点データリスト)とを照合することになる。当該照合は、照合手段7において行われる(図3のステップS28)。
【0052】
このように、特徴点データが抽出できなかったエリアの特徴点データを除外することで、無駄な照合動作を減らすことができる。更に、特徴点データが抽出されておらず、照合に使用できないエリアを用いて照合することに伴って生じる、誤認証を減らすことができる。その結果、人物認証スピードの向上にも寄与することができる。
【0053】
さらに、登録特徴点データと照合対象特徴点データとの照合の例は、図9、10に示す。図9(a)は登録顔画像を正規化したものであり、左眉毛が髪の毛で隠れている。図9(b)は、顔画像に対応する特徴点データの、抽出されたパターンを示したものである。左眉毛が髪の毛で隠れているため、特徴点データが各エリアで全て抽出できた場合(NO.1)が作成されない。
【0054】
図10(a)は照合対象顔画像を正規化したものであり、特徴点データを抽出できなかったエリアがないケースである。それ各種のパターンについても、特徴点データを抽出し備えている(図10(b))。
【0055】
登録顔画像が左眉毛なしのパターン(NO.2)なので、図9(b)のNO.2と、図10(b)のNO.2(照合対象顔画像の特徴点データリスト)とを照合することになる。当該照合は、照合手段7において行われる(図3のステップS28)。
【0056】
ここで、その他の顔画像(照合対象顔画像、登録顔画像)の分割パターンを図11に示す。図11(a)(b)は、鼻/口/頬部分を3つに分割するパターンである。A領域(左眉毛)・B領域(右眉毛)・C領域(左眼)・D領域(右眼)・E領域(左頬)・F領域(鼻/口)・G領域(右頬)と設定する(図11(b))。
【0057】
図11(c)(d)は、鼻/口/頬部分を4つに分割するパターンである。A領域(左眉毛)・B領域(右眉毛)・C領域(左眼)・D領域(右眼)・E領域(左頬)・F領域(鼻)・G領域(口)・H領域(右頬)と設定する(図11(d))。
【0058】
分割数が多くなる程、特徴点データを抽出できないエリアが増大することとなり、登録時・照合時の特徴点データリスト作成の負荷は増大する一方、照合の対象から除外するエリアを局所化できるため、認証精度向上につながる。
【0059】
<A−4.効果>
本発明にかかる実施の形態1によれば、人物認証装置において、顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段3と、抽出が可能な全エリアに対して特徴点データを抽出する、抽出手段としての第2抽出手段4と、登録顔画像の登録特徴点データを登録する登録手段6と、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行う照合手段7とを備え、照合手段7は、照合対象特徴点データと、対応する登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行うことで、特徴点データを抽出できないエリアを除いて顔画像の登録、照合を行うことができ、無駄な照合を減らし、照合での誤認証を減らすことができる。また、認証スピードの向上を図ることができる。
【0060】
さらに、照合不可能なエリアを照合対象から取り除くこととしているため、顔認証対象の歩行者等の、髪の毛の影響や表情の変化に、即時、臨機応変で対応することができるようになる。
【0061】
また、分割数が多くなる程、対象除外するエリアを局所化できるため、認証精度向上につながる。
【0062】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、人物認証装置において、照合手段7における照合の結果、照合対象顔画像と登録顔画像とが一致する場合にのみ通知する通知手段8をさらに備えることで、効率的に通知することができる。
【0063】
本発明の実施の形態では、各構成要素の材質、材料、実施の条件等についても記載しているが、これらは例示であって記載したものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 撮像手段、2 第1抽出手段、3 分割手段、4 第2抽出手段、5 チェック手段、6 登録手段、7 照合手段、8 通知手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を利用した人物認証装置およびコンピュータプログラムに関する。特に、人物を認証対象とし、当該人物から取得した顔画像を、予め登録された顔画像と照合することにより、当該人物が予め登録された人物であるかを判定する人物認証装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人物認証装置を用いて人物認証をする場合、まず、人物(例えば歩行者)から顔画像を取得するために、人物の動線に向けて撮像カメラを設置する。
【0003】
次に、撮像カメラの撮影領域に侵入してきた人物の顔画像を単位時間あたり数コマで撮影して、画像中にある人物の顔画像を検出する。
【0004】
検出した顔画像と、予め登録された顔画像とを照合することにより、その顔画像が、予め登録した人物と同一人物の顔画像であるかを判断する。このような動作をもって、人物の認証を行う。
【0005】
ここで、検出した顔画像の顔幅が所定の大きさ以上である場合には、顔画像を同一人物あたり複数枚取得して、その後の顔照合処理に供給することができる。
【0006】
また、取得した顔画像での認証精度の向上、認証スピードの向上のため、顔画像を任意のサイズに分割して、各々の分割単位ごとに照合させるものも開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
さらに、同様の目的で、顔画像を9つのエリアに分割して、各々のエリア毎に特徴抽出を行い、照合させるものも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、顔の特徴点の定め方について、例えば特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−85249号公報
【特許文献2】特開2009−211425号公報
【特許文献3】特開昭61−175509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に示す場合では、顔画像を任意のサイズに分割する点で、顔画像には、眉毛・眼・鼻・口・ほおなどの部位があるにもかかわらず、任意に分割するために、眼や鼻等の部位が分割されるケースもあり、認証精度に影響を及ぼすケースができてしまうという問題があった。
【0011】
また、特許文献2に示す場合では、顔画像を9つのエリアに分割して、各々のエリア毎に特徴点を抽出して、照合しようとしているが、各々のエリアでも、歩行者の顔が髪の毛で眉毛が見えなかったり、眼をふさいでいたり、照合用顔画像として利用できない場合、当該エリアは不整合扱いとなり、その他のエリアが合致しても認証されないケースが発生してしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決すべくなされたものであり、特徴点が抽出されないエリアがある場合でも、適切に人物認証が可能な人物認証装置およびコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる人物認証装置は、顔画像のデータに対し、前記顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段と、前記複数のエリア毎に特徴点データを抽出する処理を、当該抽出が可能な全エリアに対して行う、抽出手段と、照合の基準とすべき登録顔画像について前記抽出した前記特徴点データを、登録顔画像の登録特徴点データとして予め登録する登録手段と、照合の対象とすべき照合対象顔画像について前記抽出した前記特徴点データである、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、前記登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う照合手段とを備え、前記照合手段は、前記照合対象特徴点データと、対応する前記登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる第1の人物認証装置によれば、顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段と、前記複数のエリア毎に特徴点データを抽出する処理を、当該抽出が可能な全エリアに対して行う、抽出手段と、照合の基準とすべき登録顔画像について前記抽出した前記特徴点データを、登録顔画像の登録特徴点データとして予め登録する登録手段と、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、前記登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う照合手段とを備え、前記照合手段は、前記照合対象特徴点データと、対応する前記登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行うことにより、特徴点データを抽出できないエリアを除いて顔画像の登録、照合を行うことができ、無駄な照合を減らし、照合での誤認証を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1にかかる人物認証装置の構成ブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる人物認証装置の、登録動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1にかかる人物認証装置の、照合動作を示すフローチャートである。
【図4】顔画像の分割の様子を示す図である。
【図5】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図6】特徴点抽出の具体例を示す図である。
【図7】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図8】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図9】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図10】顔画像の分割と特徴点データのデータ内容リストを示す図である。
【図11】顔画像の分割の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1に、本発明にかかる人物認証装置の構成図を示す。なお、人物認証装置は、ソフトウェアで実現可能であり、当該ソフトウェアは、コンピュータにインストールされて実行されることにより、コンピュータを人物認証装置として機能させることができる。
【0017】
図に示すように人物認証装置は、撮像領域内の画像を撮像する撮像手段1と、撮像手段1において取得した人物画像から、人物の顔画像(照合対象顔画像)を抽出する第1抽出手段2と、照合対象顔画像のデータに対し、複数のエリアに分割する処理を行う分割手段3とを備える。本発明では、分割手段3において分割できる顔画像のデータが取得できさえすればよく、人物画像を取得する手段や、人物画像から顔画像を抽出する手段は、必須の構成ではない。すなわち、撮像手段1、第1抽出手段2は、顔画像(照合対象顔画像および後述する登録顔画像)のデータが別途の手段から付与される場合には、必ずしも備えられなくともよい。ここで、分割手段3における分割エリアは、それぞれ任意に設定することができ、例えば、後述する特徴点データを抽出しやすいよう、顔における特徴となる部分(眼、鼻、口等)ごとに対応させて設定するのが望ましい。
【0018】
さらに、照合対象顔画像の、分割した各エリアごとに特徴点を、特徴点データ(特に、照合対象顔画像について抽出した特徴点データを、照合対象特徴点データとする)として抽出する第2抽出手段4(抽出手段)を備える。当該抽出処理は、抽出が可能なエリア全てに行われるものである。ここで特徴点とは、顔の外形、眉毛、眼、鼻、耳、口等の位置、大きさ、太さ、角度等と、それらの相対関係を指す(例えば、特許文献3参照)。各々のエリア毎での特徴点データの抽出とは、顔のパーツ(顔の外形、眉毛、眼、鼻、耳、口等)の位置、大きさ、太さ、角度等を計測し、抽出することである。
【0019】
第2抽出手段4において抽出された特徴点データは、チェック手段5において、画像(または撮像された人物)の状態によって特徴点データを抽出できなかったエリアがないかどうかがチェックされる。
【0020】
照合動作の場合、照合手段7において、得られた照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、登録手段6に予め登録されている登録顔画像の登録特徴点データとが、対応するエリアごとに照合される。このとき、チェック手段5において、特徴点データが抽出できなかったと判断されたエリアについては、照合対象から除外する。
【0021】
ここで、登録手段6における登録顔画像とは、照合の基準とすべき顔画像であり、照合対象顔画像と同様に、取得された人物画像から顔画像が抽出されたものであり、登録手段6における登録特徴点データは、分割されたエリア毎に特徴点データが抽出されたものである。分割エリアは、照合対象特徴点データと登録特徴点データとで、対応するように設定されている。
【0022】
照合結果に基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行い、照合対象顔画像に表示された顔の人物が予め登録しておいた人物と一致すると判断される場合には、通知手段8によって通知することができる。
【0023】
<A−2.登録動作>
図2は、登録顔画像および登録特徴点データの登録動作を示すフローチャートである。
【0024】
まず、撮像手段1を用いて人物画像を取得、さらに第1抽出手段2において顔画像を抽出して、分割手段3に入力する(ステップS11)。
【0025】
分割手段3において、入力された顔画像の処理対象領域を終端構造・正規化を行う(ステップS12)。さらに顔画像を5つのエリアに分割し(ステップS13)、第2抽出手段4において、各エリア毎に特徴点データを抽出する(ステップS14)。抽出の具体的内容としては、各エリアにおいて、顔のパーツ(例えば、顔の外形、眉毛、眼、鼻、耳、口等)の位置、大きさ、太さ、角度等を計測する。
【0026】
図4に、顔画像の処理対象領域5つのエリア分割を示す。図4(a)は、顔画像入力後、処理対象領域を終端構造・正規化した画像である。これを、向かって左眉毛・右眉毛・左眼・右眼・眼の下の鼻/口/頬エリアに分割したものが図4(b)である。さらに、それぞれのエリアに対して、A領域(左眉毛)・B領域(右眉毛)・C領域(左眼)・D領域(右眼)・E領域(鼻/口/頬)と設定する(図4(c))。
【0027】
取得した顔画像には、髪の毛が眉毛に掛かっているものや、髪の毛が眼に掛かっているもの等がある。このようなケースでは、例えば、眉毛の位置・大きさ・太さ・角度等を計測する場合に、眉毛形状を把握できないために、眉毛の位置・大きさ・太さ・角度等の測定が不能となる。このため、各々のエリアに分割された顔画像にて、特徴点データを抽出できない場合がある。このように特徴点データが抽出できなかったエリアが存在するか否かを、チェック手段5においてチェックする(図2のステップS15)。
【0028】
図5に、特徴点データのデータ内容リストを示す。図5(a)は、図4(b)(c)に対応する、顔画像のエリアを示したものであり、図5(b)は、顔画像に対応する特徴点データの、抽出されたパターンを示したものである。
【0029】
図5(b)に示すような、抽出されない特徴点データが存在するようなケースの具体例を、図6に示す。例えば、向かって左眉毛が髪の毛で掛かってしまった場合、図6(a)に示すように、眉毛の上の境目が見えなくなってしまい、特徴点データを抽出できないと判断される。
【0030】
又、左眼に髪の毛が掛かってしまった場合、図6(b)に示すように、眼の眼球部分が覆い隠されてしまい、まぶたや瞳・眼の輪郭を取得できず、特徴点データを抽出できないと判断される。
【0031】
第2抽出手段4においては、このようなエリアを除外して、特徴点データが抽出可能なエリアで構成される顔画像全体の特徴点データを抽出する(ステップS16)。顔画像全体に対して特徴点データを抽出するのは、エリア毎の特徴点データのみでは、顔の各パーツの計測ができるが、眼と眼との間や眼と鼻との間等の、各パーツ間の相対関係を計測できないからである。顔画像全体に対して特徴点データを抽出することで、顔の各パーツの計測とともに、パーツ内およびパーツ間の相対関係を計測することとしている。
【0032】
図6(c)は、例えば、向かって左眉毛が特徴点データを取れなかったケースのイメージ図となる。図6(d)は、例えば、向かって右眉毛が特徴点データを取れなかったケースのイメージ図となる。
【0033】
ここで、特徴点データが抽出されたエリアについての登録動作を示す。
【0034】
登録顔画像の登録特徴点データが全エリアについて抽出されている場合に、対応する照合対象顔画像の照合対象特徴点データが、髪の毛が伸びていたり、眼に掛かってしまったりして、全エリアについては抽出されない場合がある。
【0035】
このような場合に、照合に用いる特徴点データとしては、双方の顔画像で抽出がされたエリアのみ、すなわち、一方の顔画像でも、特徴点データが抽出されていないエリアについては、照合対象から除外する。
【0036】
よって、登録顔画像の特徴点データとしては、様々な抽出パターンの照合対象顔画像に対応するため、予め特徴点データの除外パターンを作成しておく(ステップS17)。すなわち、まず、抽出できた全てのエリアで特徴点データを登録(全エリアについて抽出できた場合は、全エリアについて登録)し、順次、各エリアの特徴点データが仮に抽出できなかったとして登録していく。登録は、登録手段6において行う(ステップS18)。
【0037】
登録時に、左眉毛エリアが髪の毛で隠れていた歩行者が、照合時にも、必ず左眉毛エリアが髪の毛で隠れた状態で歩行するとは限らない。風吹いていたり、髪の毛を短くしていたりすれば、特徴点データを抽出できなくなるエリアは変わってくる。
【0038】
このような場合であっても対応できるようにするため、様々なエリアの特徴点データが抽出できなかった除外パターンを作成しておく。
【0039】
このように登録しておくことで、図5(b)に示すように、照合対象特徴点データの抽出パターンに応じて、登録特徴点データの抽出パターンを使い分けることができる。
【0040】
<A−3.照合動作>
図3は、照合対象顔画像および照合対象特徴点データの照合動作を示すフローチャートである。
【0041】
まず、撮像手段1を用いて人物画像を取得、さらに第1抽出手段2において顔画像を抽出して、分割手段3に入力する(ステップS21)。
【0042】
分割手段3において、入力された照合対象顔画像の処理対象領域を終端構造・正規化を行う(ステップS22)。さらに顔画像を5つのエリアに分割し(ステップS23)、第2抽出手段4において、各エリア毎に特徴点データを抽出する(ステップS24)。顔登録時と同様に、各エリアにおいて、顔のパーツ(例えば、顔の外形、眉毛、眼、鼻、耳、口等)の位置、大きさ、太さ、角度等を計測する。
【0043】
特徴点データが抽出できなかったエリアが存在するか否かを、チェック手段5においてチェックする(ステップS25)。第2抽出手段4において、このようなエリアを除外して、特徴点データが抽出可能なエリアで構成される顔画像全体の特徴点データを抽出する(ステップS26)。
【0044】
ここで、特徴点データが抽出されたエリアについての照合動作を示す。
【0045】
登録時に特徴点データが抽出されていないエリアが、照合時には特徴点データが抽出できる場合も生じる。例えば、登録時は長髪(眉毛が眼に掛かっている)にしていたが、照合時は髪を切って丸刈り(眉毛が眼に掛からない)にしているような場合である。
【0046】
このため、照合対象顔画像の照合対象特徴点データについても、様々な抽出パターンの登録顔画像に対応するため、特徴点データの除外パターンを作成する(ステップS27)。すなわち、まず、抽出できた全エリアの特徴点データのうち、登録顔画像において特徴点データが抽出されたエリアの特徴点データを照合対象特徴点データとして抽出し、登録顔画像において特徴点データが抽出されなかったエリアの特徴点データは、仮に抽出できなかったとして照合から除外する。
【0047】
照合対象となる特徴点データが定まったら、照合対象特徴点データと登録特徴点データとを照合手段7において照合する(ステップS28)。
【0048】
照合の結果、照合対象特徴点データと登録特徴点データとが一致し、すなわち、照合対象顔画像と登録顔画像とが一致すると判断できる場合には、一致の通知をする(ステップS30)。また、不一致の場合には、非通知(ステップS31)とすることができるが、不一致の通知をしてもよい。
【0049】
登録特徴点データと照合対象特徴点データとの照合の例は、図7、8に示す。図7(a)は登録顔画像を正規化したものであり、登録特徴点データを抽出できないエリアがないケースである。図7(b)は、顔画像に対応する特徴点データの、抽出されたパターンを示したものである。特徴点データが各エリアで全て抽出できた場合(NO.1)から、向かって左眉毛なしの場合(NO.2)、その他各種の抽出パターンを備えている。
【0050】
図8(a)は照合対象顔画像を正規化したものであり、向かって左眉毛なしのパターン(NO.2)に相当する(図8(b))。ただ前述の通り、照合対象特徴点データが抽出できていないエリアが、登録特徴点データ抽出できているパターンだけとは限らないため、それ以外のパターンについても、特徴点データを抽出し備えている(図8(b))。
【0051】
照合対象顔画像が左眉毛なしのパターン(NO.2)なので、図8(b)のNO.2と、図7(b)のNO.2(登録顔画像の特徴点データリスト)とを照合することになる。当該照合は、照合手段7において行われる(図3のステップS28)。
【0052】
このように、特徴点データが抽出できなかったエリアの特徴点データを除外することで、無駄な照合動作を減らすことができる。更に、特徴点データが抽出されておらず、照合に使用できないエリアを用いて照合することに伴って生じる、誤認証を減らすことができる。その結果、人物認証スピードの向上にも寄与することができる。
【0053】
さらに、登録特徴点データと照合対象特徴点データとの照合の例は、図9、10に示す。図9(a)は登録顔画像を正規化したものであり、左眉毛が髪の毛で隠れている。図9(b)は、顔画像に対応する特徴点データの、抽出されたパターンを示したものである。左眉毛が髪の毛で隠れているため、特徴点データが各エリアで全て抽出できた場合(NO.1)が作成されない。
【0054】
図10(a)は照合対象顔画像を正規化したものであり、特徴点データを抽出できなかったエリアがないケースである。それ各種のパターンについても、特徴点データを抽出し備えている(図10(b))。
【0055】
登録顔画像が左眉毛なしのパターン(NO.2)なので、図9(b)のNO.2と、図10(b)のNO.2(照合対象顔画像の特徴点データリスト)とを照合することになる。当該照合は、照合手段7において行われる(図3のステップS28)。
【0056】
ここで、その他の顔画像(照合対象顔画像、登録顔画像)の分割パターンを図11に示す。図11(a)(b)は、鼻/口/頬部分を3つに分割するパターンである。A領域(左眉毛)・B領域(右眉毛)・C領域(左眼)・D領域(右眼)・E領域(左頬)・F領域(鼻/口)・G領域(右頬)と設定する(図11(b))。
【0057】
図11(c)(d)は、鼻/口/頬部分を4つに分割するパターンである。A領域(左眉毛)・B領域(右眉毛)・C領域(左眼)・D領域(右眼)・E領域(左頬)・F領域(鼻)・G領域(口)・H領域(右頬)と設定する(図11(d))。
【0058】
分割数が多くなる程、特徴点データを抽出できないエリアが増大することとなり、登録時・照合時の特徴点データリスト作成の負荷は増大する一方、照合の対象から除外するエリアを局所化できるため、認証精度向上につながる。
【0059】
<A−4.効果>
本発明にかかる実施の形態1によれば、人物認証装置において、顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段3と、抽出が可能な全エリアに対して特徴点データを抽出する、抽出手段としての第2抽出手段4と、登録顔画像の登録特徴点データを登録する登録手段6と、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行う照合手段7とを備え、照合手段7は、照合対象特徴点データと、対応する登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、照合対象顔画像と登録顔画像との照合を行うことで、特徴点データを抽出できないエリアを除いて顔画像の登録、照合を行うことができ、無駄な照合を減らし、照合での誤認証を減らすことができる。また、認証スピードの向上を図ることができる。
【0060】
さらに、照合不可能なエリアを照合対象から取り除くこととしているため、顔認証対象の歩行者等の、髪の毛の影響や表情の変化に、即時、臨機応変で対応することができるようになる。
【0061】
また、分割数が多くなる程、対象除外するエリアを局所化できるため、認証精度向上につながる。
【0062】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、人物認証装置において、照合手段7における照合の結果、照合対象顔画像と登録顔画像とが一致する場合にのみ通知する通知手段8をさらに備えることで、効率的に通知することができる。
【0063】
本発明の実施の形態では、各構成要素の材質、材料、実施の条件等についても記載しているが、これらは例示であって記載したものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 撮像手段、2 第1抽出手段、3 分割手段、4 第2抽出手段、5 チェック手段、6 登録手段、7 照合手段、8 通知手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔画像のデータに対し、前記顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段と、
前記複数のエリア毎に特徴点データを抽出する処理を、当該抽出が可能な全エリアに対して行う、抽出手段と、
照合の基準とすべき登録顔画像について前記抽出した前記特徴点データを、登録顔画像の登録特徴点データとして予め登録する登録手段と、
照合の対象とすべき照合対象顔画像について前記抽出した前記特徴点データである、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、前記登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う照合手段とを備え、
前記照合手段は、前記照合対象特徴点データと、対応する前記登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う、
人物認証装置。
【請求項2】
前記分割手段は、前記照合対象顔画像を正規化し、複数のエリアに分割する処理を行う、
請求項1に記載の人物認証装置。
【請求項3】
前記分割手段は、前記照合対象顔画像を、左眉毛、右眉毛、左眼、右眼、および鼻/口/頬の5つのエリアに分割する処理を行う、
請求項1または2記載の人物認証装置。
【請求項4】
前記分割手段は、前記照合対象顔画像を、左眉毛、右眉毛、左眼、右眼、左頬、右頬、鼻/口の7つのエリアに分割する処理を行う、
請求項1または2記載の人物認証装置。
【請求項5】
前記分割手段は、前記照合対象顔画像を、左眉毛、右眉毛、左眼、右眼、左頬、右頬、鼻、口の8つのエリアに分割する処理を行う、
請求項1または2記載の人物認証装置。
【請求項6】
前記照合手段における照合の結果、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像とが一致する場合にのみ通知する通知手段をさらに備える、
請求項1〜5のいずれかに記載の人物認証装置。
【請求項7】
コンピュータにインストールされて実行されることにより、前記コンピュータを請求項1〜6のいずれかに記載の人物認証装置として機能させる、
コンピュータプログラム。
【請求項1】
顔画像のデータに対し、前記顔画像を複数のエリアに分割する処理を行う、分割手段と、
前記複数のエリア毎に特徴点データを抽出する処理を、当該抽出が可能な全エリアに対して行う、抽出手段と、
照合の基準とすべき登録顔画像について前記抽出した前記特徴点データを、登録顔画像の登録特徴点データとして予め登録する登録手段と、
照合の対象とすべき照合対象顔画像について前記抽出した前記特徴点データである、照合対象顔画像の照合対象特徴点データと、前記登録特徴点データとを、対応する各エリア毎に照合し、当該照合結果に基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う照合手段とを備え、
前記照合手段は、前記照合対象特徴点データと、対応する前記登録特徴点データとの双方が抽出されたエリアにおける照合結果のみに基づいて、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像との照合を行う、
人物認証装置。
【請求項2】
前記分割手段は、前記照合対象顔画像を正規化し、複数のエリアに分割する処理を行う、
請求項1に記載の人物認証装置。
【請求項3】
前記分割手段は、前記照合対象顔画像を、左眉毛、右眉毛、左眼、右眼、および鼻/口/頬の5つのエリアに分割する処理を行う、
請求項1または2記載の人物認証装置。
【請求項4】
前記分割手段は、前記照合対象顔画像を、左眉毛、右眉毛、左眼、右眼、左頬、右頬、鼻/口の7つのエリアに分割する処理を行う、
請求項1または2記載の人物認証装置。
【請求項5】
前記分割手段は、前記照合対象顔画像を、左眉毛、右眉毛、左眼、右眼、左頬、右頬、鼻、口の8つのエリアに分割する処理を行う、
請求項1または2記載の人物認証装置。
【請求項6】
前記照合手段における照合の結果、前記照合対象顔画像と前記登録顔画像とが一致する場合にのみ通知する通知手段をさらに備える、
請求項1〜5のいずれかに記載の人物認証装置。
【請求項7】
コンピュータにインストールされて実行されることにより、前記コンピュータを請求項1〜6のいずれかに記載の人物認証装置として機能させる、
コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−128792(P2012−128792A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281768(P2010−281768)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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