説明

人間の視覚機能の最適化のための高次収差補正

本発明は、高性能光学デバイスで高次光学収差を補正し、および/または最適化することにより人間の視覚機能を最適化することに関する。最適化は、双眼鏡、ライフル銃のスコープ、望遠鏡、顕微鏡、暗視ゴーグル、およびレーザ用眼球保護デバイスなどの、低光量状態の下で使用される高性能デバイスに対し特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高次光学収差を補正し、および/または最適化することにより人間の視覚機能を最適化することに関する。この最適化は、特に低光量状態の下で高性能の活動を行わせる場合にとりわけ有用である。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)項に従って米国仮特許出願第60/800,988号の優先権の利益を主張するものである。この出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
人間の目の波面誤差は、ドラムの表面に似ている。ドラムの直径は、目の瞳孔の直径を表す。収差がなかったとすれば、ドラムの表面は、平坦であろう。しかし、ほとんどどのような正常眼にも、波面の進みまたは遅れにより表される光学誤差があり、同様に、ドラム面にも丘と谷がある。円形の穴の上の滑らかな表面は、ゼルニケ多項式を掛けた係数の総和として記述することができる。人間の目の光学収差は、現在ではほぼ例外なくこのようにして記述される。最低次のゼルニケ収差は、図1に示されている。「ゼルニケピラミッド」には、ゼルニケピストン、頂点、および傾斜を含む第1の2本の線(半径方向次数)が示されている。従来のガラスは、角柱、球面、円柱補正を含む。角柱は、単純に頂点と傾斜であるが、球面と円柱は、焦点ずれと非点収差との一次結合である。
【0004】
図1には、二次から四次までのゼルニケが示されている。非点収差、球面、頂点、および傾斜は、「低次」収差と考えられる。より高い半径方向次数の他のすべての収差は、「高次」収差と総称される。従来のガラスでは、可能な最もよい低次補正を行おうとする。
【0005】
平均瞳孔サイズは、年齢とともに著しく減少する。18歳から40歳までの人々の瞳孔径は、曇りの日の夕方に典型的な照明条件(44cd/m)については6.5mmを中心とする近傍内にある2,3。6.5mmの瞳孔における平均した高次二乗平均平方根(RMS)波面誤差は、0.38mミクロンのオーダーである。多くの人々が、高次収差のより大きなレベルを有する。比較のため、3mmの日中の瞳孔における類似のRMS波面誤差を得るには、1.2ジオプターの球面誤差を必要とし、これが大きいと考えられる。残っている球面誤差は、適応させるプロセスを通じてレンズの可変収束能を介してゼロにすることができるが、目は、高次収差の量を変化させる機構を持たない。
【0006】
視力は、小物体に対する解像力を特徴付ける。鋭敏さは、視覚能力の一部のみに対する尺度である。しかし、これは、視力のよりよく知られている尺度の1つである。健常眼に対する視力対年齢の母集団平均が、図2にまとめられており、18歳から80歳までの範囲の223人の被検者のlogMAR VAを示している。データに対する最良の線形および双線形フィットが図に示されている。被検者は、測定に可能な最良の従来の低次補正を使用した。
【0007】
図2のグラフにおいて、6/6は、20/20のメートル法換算値である。6/3は、20/10のメートル法換算値であり、人間の中心窩内の錐体細胞の密度による予測ナイキスト解像限界をおおよそ表す。理論上、光学収差がなかったとすれば、人間の目は、約20/10の分数視力を持つであろうが、正確な値は個人個人で違うことは確かである。最近になるまで、世界記録は、20/8であった。25〜29歳の若者は、典型的には、最良の視力を有し、視力は、一般的に、30歳頃を境に年齢とともに衰える。年齢とともに低下する理由が、議論の的である。3つの主要理論は、高次収差の増大と付随する瞳孔サイズの縮小、眼球内散乱と透過損失の増大、錐体細胞および/または神経節細胞の喪失を含む。発表されている報告は、健常眼に対する最初の2つの理論を支持する傾向がある。
【0008】
特に若い目について、与えられた年齢におけるデータの分散は、高次収差が存在するからというのがもっぱらの理由と思われる。人は若いときに良好な視力を得ることが決してなかったなら、神経発生により、生存中にナイキスト解像限界で、またはその付近で物を見ることを妨げられうるという一理論があるが、これは屈折弱視と呼ばれる病気である。しかしながら、適応光学素子を使用して高次収差を補正すると、すべての被検者の視力が著しく改善する。最近の研究では、高次補正された被検者の半分が、一貫して、20/8を超える視力を示していた。したがって、高次収差の補正による視力改善は、単なる理論上のことではない。
【0009】
高次収差補正の予想される最大のメリットの1つは、コントラスト感度の改善である。瞳孔径および高次収差のレベルが両方とも増大するときの低光量状態で、コントラスト感度は、低下し始める。これは、2つの有害な効果を有する。1つは、例えば、運転、狩猟、および軍事用途では重要ないくつかの低コントラスト物体を検出することがもはや可能でなくなることがあるという効果である。カムフラージュの定義はまさに、周辺状況によく整合させることによりコントラストを低くするということなのである。他の問題は、物体を検出することができるとしても、検出および認識プロセスは長くかかるという点である。複数の研究は、コントラスト感度を下げると反応時間が長くなることを一貫して示している10,11
【0010】
典型的な人々に影響を及ぼす3つの主要な高次収差として、コマ収差、三つ葉状収差、および球面収差がある。コマ収差は、コントラスト感度の著しい損失を引き起こす可能性のある非対称収差である。図3は、6.0mmの瞳孔内に0.19ミクロンのRMS値のコマ収差を有する被検者に対するハイコントラスト視力表光学シミュレーションを示している12。これは、平均値の標準偏差内にある13。このシミュレーションでは、他のすべての収差は、完全に補正されていると仮定している。一番上の線は、20/100である。
【0011】
低コントラスト状況では、文字は、よりいっそう認識しがたくなり、もちろん、コマ収差のほかにも他の多くの収差がありうる。比較のため、6.0mmの瞳孔に基づく非収差(収差なし)視力表シミュレーションが図4に示されている。
【0012】
変調伝達関数(MTF)は、光学系が空間周波数に対しコントラストをどれだけよく保存するかを特徴付ける。瞳孔が6.0mmである収差のない回折限界眼のMTFが、図5に示されている。
【0013】
0.19ミクロンのコマ収差だけを6.0mmの瞳孔に導入したMTFのグラフが図6に示されている。
【0014】
MTF曲線は、単一のコマ収差により、すべての空間周波数においてひどく下がっている。球および円柱が、最適に補正されてもいない場合、それに加えて、低次収差のせいでひどいコントラスト損失が生じる。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/800,988号明細書
【特許文献2】米国特許第6,813,082号明細書
【特許文献3】米国特許第6,989,938号明細書
【特許文献4】米国特許第6,682,195号明細書
【特許文献5】米国特許第6,712,466号明細書
【特許文献6】米国特許第6,840,619号明細書
【特許文献7】米国特許第6,942,339号明細書
【特許文献8】米国特許第7,021,764号明細書
【特許文献9】米国特許第6,781,681号明細書
【特許文献10】米国特許第7,034,949号明細書
【特許文献11】米国特許第6,761,454号明細書
【特許文献12】米国特許第6,836,371号明細書
【特許文献13】米国特許第6,934,088号明細書
【特許文献14】米国特許第6,976,641号明細書
【特許文献15】米国特許出願第2006/0052547号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、双眼鏡、ライフル銃のスコープ、望遠鏡、顕微鏡、暗視ゴーグル、およびレーザ用眼球保護デバイスを使用したときの人間の目の高次収差の個人化された補正および最適化を行うものである。本発明は、これらのデバイスにおけるコントラスト感度および低コントラスト視力を著しく高める。これらの視力に関するメリットが得られるとともに、これらのメリットは、上記のデバイスを使用するときに軍用と民生用の両方の用途のパフォーマンスを高めるうえで大いに役立つ。
【0016】
[技術的目的]
コントラスト感度および低コントラスト視力は、個人化された高次収差補正および最適化を加えて双眼鏡を使用する場合に改善される。
【0017】
コントラスト感度、低コントラスト視力、および副尺視力は、個人化された高次収差補正および最適化を加えてライフル銃のスコープを使用する場合に改善される。射手は、高次収差補正および最適化を使用するときに射撃をうまくグループ化することができる。
【0018】
暗視ゴーグルでは、コントラスト感度は、誇示化された高次収差補正および最適化を加え、HT内のエイリアシングを制限するMTF制御を行うことで改善される。
【0019】
コントラスト感度および低コントラスト視力は、個人化された高次収差補正および最適化を加えてレーザ用眼球保護デバイスを使用する場合に改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
現在、限られた視野に対し積極的な高次収差補正のみを行うことができる。したがって、限られた視野で自然に動作するデバイスは、このタイプの光学補正の理想的候補と言える。高次収差最適化が大きなメリットと期待される他のカテゴリには、瞳孔サイズが著しく増大する低光量状態が関わる。光学収差は、一般に、瞳孔径の増大とともに劇的に増大し、そのため、視覚に大きな影響を及ぼしうる。本発明では、デバイス内の高次波面補正の4つのモードを取りあげる。これらは以下のとおりである。
双眼鏡
ライフル銃のスコープ
暗視デバイス
レーザ用眼球保護眼鏡/ゴーグル
【0021】
最初の3つは、当然、限られた視野を使用する。最後の2つのモードは、本質的に、目に入る光のレベルを下げることを伴い、すべての状態において瞳孔サイズ増大を強制する。最初の2つのモードは、多くの場合、瞳孔サイズが増大する低光量状態で使用される。
【0022】
被検者の高次収差は、Z−View(登録商標)波面収差測定装置(サンジエゴ所在のOphthonix, Inc.社)などの波面センサを使用して測定される。次いで、よく知られている技術を使用して、高次収差補正要素が製造され、取り外し可能要素として注目するデバイス内に組み込まれる。この収差補正要素は、ユーザの目の高次収差を補正し、最適化することに加えて、さらに、デバイスそれ自体における残留高次誤差も補正する。例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,813,082号,第6,989,938号、第6,682,195号、第6,712,466号、第6,840,619号、第6,942,339号、第7,021,764号、第6,781,681号、第7,034,949号、第6,761,454号、第6,836,371号、第6,934,088号、および第6,976,641号を参照のこと。
【0023】
[最適な高次収差]
視能の質を特徴付ける作業は、複数の独立の見地と多数の視力尺度があるため、煩雑である。しかし、2種類の尺度が広く使用されており、それぞれ視力とコントラスト感度である。人間の目が、5mmなど大きな瞳孔径に対し回折限界となっている場合(つまり、すべての収差が消去される)、コントラスト感度と視力は両方とも、可能な値と比べて最適でない値にまで低下する。なぜそうなのかをよく理解するために、また最適な視力に何が必要なのかを考えるために、両方の視点からの状況について調べる。
【0024】
[コントラスト感度]
コントラスト感度は、正弦格子の検出を伴う。網膜などの検出器上に結像された格子の方向および周波数を正しく識別するために、ナイキスト基準では、最低でも波長当たり2つの検出要素(例えば、中心窩錐体)を持たせる。中心窩内の錐体の感覚は、2.5ミクロンのオーダーであり、おおよそ30アーク秒に対応する。これから、しばしば引用される、最大解像能約60サイクル/度(cpd)が得られ、これはスネレン視力20/10に対応する14
【0025】
2つのレーザビームの干渉を利用することで、網膜上に所望の波長の正弦格子を生成し、目の光学系をバイパスすることが可能である。これが行われると、被検者は、60cpd未満の格子の波長および向きを正しく識別する。しかし、網膜上により短い波長がもたらされると、パターンはそのまま被検者から見えるが、報告される波長および向きは正しくない。ナイキスト限界を超える格子が、移動させられると、これらは、間違った方向に移動するように知覚される。生じるのは、60cpdを超える光出力は、60cpd未満の空間周波数にエイリアスされ、したがって、ノイズになる15。ナイキスト限界を超える空間周波数が網膜を活性化するのを許すのは、逆効果であり、何かがそこにあるということを示す生の検出にそのまま寄与するけれども、シーン(風景)の正しい認識を妨げる。検出視力と分解視力とが区別される。検出視力は、何かがそこにあるかどうか、または何かが変化したかどうかを告げる能力である。これは、人が物体を正しく認識し、識別し、その運動方向を決定することを可能にする分解視力である。検出視力はよいが、分解視力がよくないパイロットは、遠距離にある空中の他の飛行機を見ることができるだろうが、空間周波数への網膜のエイリアシングにより、飛行機が近づいてきていると不正に結論し、運動方向の判断を誤ることになるであろう。これは、軍事的機能を最適化するために最大化されなければならない分解視力である。
【0026】
全く同じ現象が、デジタルカメラでも生じる。カメラレンズの光学素子が良すぎる場合、高い十分な空間周波数を含むシーンを写真に撮るときに、エイリアシングが像の劣化を引き起こす。これは、典型的には、アンチエイリアシングフィルタを使用することで解消される。
【0027】
変調伝達関数つまりMTFは光学系により物体から像に移されるコントラストの量の尺度である。これは、典型的には、空間周波数に対する関数として指定される。これは、光学系の品質の尺度である。より高いMTFは、空間周波数が検出要素のナイキスト限界よりも高くない限り、一般的に良いことである。MTFの観点からは、実行すべき最適な作業は、ナイキストよりも下でMTFを最大にし、ナイキストより上で最小にすることである。ここでもまた、人間の目については、ナイキストは、おおよそ60cpdである。瞳孔径が2mmから8mmの範囲の回折限界眼に対するMTFが、図7〜11にプロットされている。直径3mmを超えると、60cpdよりも高いMTFが、急速に上昇し始める。瞳孔径が約3mmよりも大きい回折限界眼を望む人はいないということがポイントである。したがって、中心直径3mmを超える収差構造は、ナイキストよりも高く最小にしながら、ナイキストよりも低くMTFを最大にするようなものでなければならない。これは、対称的高次収差の正しい量を用意することにより達成される。
【0028】
[視力]
視力に対する状況が異なると想像できる。高コントラスト物体上でくっきりしたエッジの解像を行おうとした場合、よい光学系がどれだけ傷つく可能性があるだろうか。点広がり関数つまりPSFは、星などの点光源を見たときの網膜上の光の分布を示す。PSF直径または半値全幅(FWHM)は、光学収差がない場合に瞳孔サイズが大きくなると小さくなる。PSFが単一の錐体光受容体よりも小さくなるのであればそれは問題になるだろうか。
【0029】
この間違った考えは、網膜情報を使用して脳が場所をどのように知覚するかを評価することはできないということに発している。人間は、中心窩下錐体精度で定期的に場所を検出できることはよく知られている。副尺視力検査では、典型的には、人々は、3つの点を2アーク秒未満で整列できる。中心窩錐体光受容体は、35アーク秒に等しい直径を有する。何が起きるかというと、PSFが複数の錐体と同時に重なり、脳が、錐体下精度で位置を補間するのである16。PSFが、単一の錐体しか一度に照射されないくらい狭くなるとすれば、可能な精度は、35アーク秒または1錐体直径にまで減少するであろう。
【0030】
副尺視力は、視覚にとって非常に重要である。これにより、脳は、2つの目の網膜上にある像のわずかに異なる位置に注目することにより距離を非常に正確に計ることができる。
【0031】
視力の観点からは、なすべき最良の作業は、複数の錐体光受容体、好ましくは3つの錐体光受容体を包含する直径を有するPSFを形成することである。対称的PSFは、非対称のものよりもよく、したがって、最適なのはすべての方位角非対称収差が、補正され、排除されるべきである。錐体光受容体の直径は、おおよそ30アーク秒または約半アーク分である。瞳孔径が2mmから8mmの範囲の回折限界眼に対するPSFのFWHMは、図7〜11のプロットの隣のデータ欄に示されている。PSFの直径は、回折限界瞳孔の直径が増大すると減少する。複数錐体重なり基準は、直径約3mmを超える回折限界瞳孔については満たされなくなり始めることがわかる。
【0032】
[瞳孔径に対するMTFおよびPSF計算]
図7〜11に示されている計算は、Visual Optics Lab VOL−CTソフトウェア(バージョン6.89)を使用して行った(参考文献17を参照)。これらは、人間の中心窩のナイキスト解像限界に近い、60cpdを超えるMTFは、収差が存在していない場合に瞳孔径が直径3mmを超えたときに増大することを示している。同時に、PSF直径は、複数の錐体と重なり合うことがなくなるように減少する。中心窩錐体直径は、約0.5アーク秒である。
【0033】
[優れた視力を持つ目の例]
臨床治験被検者の右目(被検者A)は、眼鏡またはコンタクトをせずに20/12の視力で測定されたが、これは、若い人の場合と同じくらい良いといってよいくらいである。被検者Aは、その時点では46歳であり、視力はいっそう印象的である。被検者Aは、補助照準具を使用したペレットガンで60ヤードのところにある1”の標的に当てることができると主張し、このことを「恐ろしいくらい良い」と説明している。4.5mm瞳孔上の被検者Aの高次RMSは、0.66ミクロンであり、低次RMSは、0.98ミクロンであり、合計1.2ミクロンとなるが、あまり印象的には思われなかった。その時点でなおいっそう不可解なことに、良い視力は、著しい収差量を持つ目に由来する可能性があると示唆していた。しかし、干渉縞パターンが被検者Aの目全体にプロットされた場合、波面の中心3mm直径が例外的に平坦であり、半径が大きくなると、収差は大いに効果を現した。図12を参照のこと。これは、最良の視力に対し中心3mmのみを補正する経験則が効くことを示している。被検者Aの場合、高次非点収差および球面収差は、中心3mm領域内の球と非点収差により補正される。
【0034】
被検者「B」は、直径3.0mmのところで目のそれぞれにおいて高次の収差の0.03ミクロンRMSを持っていた。被検者Bは、ほとんど、全体的なコントラスト感度表で高得点をとることができた。検査パターンのいくつかは、直接面前に置かれたときに多くの人々には見えない可能性がある。答えを見て、正しい解答を行っていたかどうか調べなければならなかった。被検者Bの波面データは、約3.0mmまでしか得られなかったが、それは、被検者Bの瞳孔が小さかったからである。被検者Bの目は、優れたコントラスト感度が完全な3mm瞳孔により可能であることを示している。並外れたコントラスト感度を得るのに瞳孔が大きい必要はないのである。
【0035】
適応光学素子を使用する最近の実験では、3人の被検者の視力が、直径3mmの瞳孔について完全に補正され、次いで、直径5.8mmの瞳孔について完全に補正された。人間の中心窩に対するナイキスト解像限界は、約20/10と予測され、すでに測定されている世界記録は、20/8であった。3mm補正による視力は、3人の被検者すべてにおいて20/7と測定され、本質的に、世界記録に匹敵している。しかし、視力は、5.8mm補正でさらに改善することはなかった。理論上与えられた詳細は、5.8mm補正により視機能が実際に低下したかどうかを示していなかった。これらの結果は、ナイキスト解像限界の予測を確認するものであり、解像限界を超えるMTFは、分解視力には役立たないという考えと一致している。
【0036】
人間の目の最適な光学補正というのは、大きな瞳孔径に対しすべての収差を単純に補正することではない。これは、多くの人々にとって最初に把握することが困難なものである。人々にとって、よりよい光学系がときには視力を下げることがあるということは信じがたいことである。理由は、光学系にではなく、網膜の構造にある。
【0037】
直径最適化以下の瞳孔径に対し視力を最適化するために、実行すべき最適な作業は、すべての収差をなくすことである。たぶん驚くことであろうが、直径3mmを超える瞳孔径では、状況は異なるのである。直径3mmを超える瞳孔の場合、実行すべき最適な作業は、ナイキストよりも下でMTFを最大にし、ナイキストより上で最小にすることである。それとは別に、PSFは、対称的にされなければならず、また中心窩内の約3つの光受容体と重なるような直径でなければならない。
【0038】
[高次補正の実行]
実用的な高次補正の実施は、現在進行中にある。角膜手術および眼内レンズなどの侵襲的手技を使用した高次の補正の試みは、外科手術および治癒過程により生じる収差の不確定性と変動によりこれまで難航していた。角膜レーザ外科手術には、高次収差レベルをかなり悪化させるという長い歴史がある。波面収差測定装置を使用することで、LASIKまたはRK被検者を識別することが容易であるが、それは、高次レベルが基準よりもかなり高いからである。少数の被検者は運がよいが、大半は、外科処置により引き起こされた高次収差の増大によるコントラスト感度の減少に悩まされる。最近の波面ベースの補正技術の導入は、たぶんレーザ/角膜外科手術が、高次レベルの悪化を平均して回避できるのではないかという希望をもたらした。コンタクトは、もう1つの可能性があるが、大きな問題として、最適な位置でコンタクトの位置および回転を安定させることが伴う。コンタクトそれ自体は、目の収差を変え、このことは、確実に予測され、考慮されなければならない。コンタクトによる高次補正は、まだ実証されていない。臨床治験では、眼鏡のレンズの高次補正による視機能の改善が実証されている。
【0039】
高次収差を補正し、最適化する前に、低次収差を補正しなければならない。対象を正確に屈折させるのが困難であるため、最適な低次の処方は常に得られない。Z−View(登録商標)波面収差測定装置(サンジエゴ所在のOphthonix, Inc.社から市販されている)は、人間の目を迅速に、また正確に屈折させ、最適な低次の処方を決定する。これは、被検者の主観的入力なしで行われ、人間が誤りを犯す可能性が小さくできる。それに加えて、高次収差の完全な解析が得られる。次いで、波面誘導レンズ技術により、眼鏡および他のデバイスにおける高次収差を補正することができる。例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,813,082号、第6,989,938号、第6,712,466号、第6,840,619号、第6,942,339号、第7,021,764号、および米国特許出願第2006/0052547号を参照のこと。
【0040】
[適応]
視力は、目の光学系、網膜、および脳の3つの主な要素を伴う。光学系は、MTFおよびPSFを決定する。網膜構造は、PSFおよびMTFに制約を課し、光学系は、最適な視力を実現しなければならない。最後に、人が実際に見るものは、目から入ってくる情報に基づき、脳が計算するものである。目の収差のせいで、網膜上の直線の像は、実際には、歪み、ぼやけている。しかし、それでも、直線と認め、ぼやけていることに気づかない。これは、脳内の処理によるものである。
【0041】
適応光学素子を伴う興味深い実験では、被検者は、自分の収差を消され、次いで、収差を回転された形で再構成された。興味深いのは、被検者が、回転された収差により視力およびコントラストの著しい減少を被ったことである。新しい光学状況で半時間見た後、視力喪失の大半は消え去った。結論として、脳が目に存在する収差に適応し、この適応が視能を改善するといえる。しかし、新しい収差構成に適応するのに時間がかかる。最大のメリットを引き出すために適応期間をどれだけの長さにすればよいかは知られていない。しかし、多くの状況において、3日あれば十分ということが証明されている。例えば、世界の像を上下逆さにひっくり返すゴーグルを着用したときに、3日後、完全に普段と変わらぬ様子で働き、小切手に署名し、握手し、といったことを行うことができる。次にゴーグルを外したときに、通常機能が保持されているが、それは、脳がまだ以前使用したソフトウェアを持っているからであり、それでも、1時間かそこらは気持ちの悪い感覚が残る。レーザ損傷により生じた小さな暗点は、視野の一部を遮り続けるが、数日後被検者が連続して気づけるようになるわけではない。これらの例および他の例は、かなりのレベルの適応が、数日あれば十分可能であることを示唆している。
【0042】
その結果、高次収差補正が実行されたときに、人は、最大の視覚的メリットを瞬時に経験できると期待すべきではないということになる。むしろ、脳が最適な形で新しい状況を利用することを学習できるよう、適応に数日間の余裕をみるべきである。
【0043】
[軍用およびスポーツ用のデバイスに対する高次補正の適用]
[双眼鏡]
双眼鏡は、開発の長い歴史を持つ非常に進歩した光学デバイスである。本質的に、双眼鏡は、拡大された像の両眼視を可能にするため並べて配置した2つの望遠鏡である。双眼鏡は、人間の視界を拡大するので、両眼視機能に対する性能指数の1つは、双眼鏡を使用して標的を検出できる最大範囲である。双眼鏡効率は、
【0044】
【数1】

【0045】
として定義される。
【0046】
ただし、Eは、双眼鏡効率であり、Rは、標的が双眼鏡で検出される範囲であり、rは、標的が肉眼で検出される範囲である。実験は、双眼鏡効率は、図13に示されているようなハンドヘルド型双眼鏡についてはなおいっそう、倍率が高くなると理想値から減少することを示している。
【0047】
ハンドヘルド型の場合、単純なモデルは、倍率の増大によるドロップオフは、ユーザが引き起こす震えまたは振動によるものが大半であることを示している。効率損失のうちの比較的小さな部分は、レンズの度および倍率とともに増大する双眼鏡の光学系の光学的欠陥によるものである。所定の時間内に等しいサイズの像を認識する確率は、低くなり、認識時間は、倍率の増加にほぼ比例して増大する。観察時間は無制限ではない。多数の個人が完全な集中力をもって長時間にわたり10×から15×の倍率の双眼鏡を使用する経験から、可能な最大観察時間は、平均して2〜3分になることを示している。また研究により、低コントラスト検出タスクは、高コントラスト棒グラフに比べて双眼鏡性能のはるかに高い感度を持つ尺度であることが示されている。
【0048】
双眼鏡効率を定義する式は、
R=E・r
と書き直せる。
【0049】
物体が検出されうる範囲Rを大きくするには、双眼鏡効率E、双眼鏡なしで物体を検出できる範囲r、またはその両方を高めるとよい。双眼鏡光学系における収差を補正することにより、Eの小さな改善が可能になると思われる。ユーザの目の収差を補正することにより、rの有意な改善が、特に、瞳孔径が増大する低光量状態において可能でなければならない。両方の補正を、単一の収差補正光学素子で同時に実行できる。
【0050】
理想的には、角膜の位置で測定された収差に基づく高次収差補正要素は、角膜に共役な光学系内の配置で位置決めされる。望遠鏡または双眼鏡の接眼レンズを出た光は、ほぼ照準が合わされ、したがって、位相板を外部的に接眼レンズに留めさせることが可能である。角膜からの有限な距離による補正を計算し、設計に組み込むことができる。しかし、これらの補正は、小さくなる可能性がある。高次補正は、軸方向位置に対して影響されることが比較的少ないことが示されている(目からの距離)。3人の人間の被検者の位相板補正を伴う研究では、位相板が最適な位置から5瞳孔半径だけ離れたときに3人の被検者のうちの2人が95%の補正を保持した。第3の、最悪の場合は、補正の度合いは85%に減らされたが、これは、それでも、相当な補正レベルである。これが意味するのは、望遠鏡および双眼鏡などの光学デバイスの高次補正は、光学デバイス内に「ハック(hack;切り刻むこと)」しなくてもよく、単純に位相板を接眼レンズに貼り付けるだけでよいため、検査しやすいということである。また、光学補正は、個人化されるけれども、光学デバイスそれ自体は個人化されないことを意味する。これは、任意の個人が使用することができる。目のために製造された補正板を有するものは誰でも、優れた正常視能を使用してエンハンストモードでデバイスを使用できる。このコンセプトの検証は、簡単である。補正のないプラセボ位相板と高次補正位相板が、二重マスク研究における接眼レンズに貼り付けられ、視力検査結果が比較される。
【0051】
[ライフル銃のスコープ]
ライフル銃のスコープの典型的な役割は、バックグラウンド内の物体とともにレチクルを一列に並べることである。このタスクの最適化は、副尺視力の最適化を必要とする。その最も単純な形態では、副尺視力は、2つの直線がいつ揃えられるのかの判断を伴う。人間の目の中の中心窩錐体は、おおよそ35アーク秒だけ隔てられ、そのため可能な最良の位置合わせは、約35アーク秒以内であると素朴に仮定することがある。しかし、人間は、そのような線を定期的に2アーク秒よりもよく揃えることができる。この理由は、専ら、網膜上の直線の像の幅が、複数の錐体を包含するだけ十分に広く、脳は、錐体下間隔精度への位置を補間することを学習するからである。
【0052】
高次収差は、網膜上の直線の形状を歪ませ、コントラストを低下させて直線を検出しにくくし、直線の幅を過剰に広げて、副尺視力を低減させうる。しかし、減光では典型的な例えば直径5mmの瞳孔上ですべての光学収差を補正するとすれば、網膜上の狭い直線の像の幅は、単一錐体の幅よりも小さくなるであろう。この場合、補間は不可能なので、副尺視力は、実際には、35アーク秒まで低下する。この実施例は、大きな瞳孔(直径3mmよりも大きい)上のすべての高次収差を素朴に補正することは、実際には、逆効果であることを示している。また、副尺視力の減退を被る完全に異なる仕方は2つある、つまり小さな瞳孔では高次収差が多すぎるか、または大きな瞳孔では収差が少なすぎるか、またはより正確には、最適でない高次収差構造があることも示されている。このような理由から、これは、たぶん、単純に「補正」ではなく、高次収差「最適化」を指すのがより適切である。
【0053】
最終検査では、補正を含まない平面型光学素子を使用するか、またはスコープに取り付けられた個人化された高次補正素子を用いて、ベテランの射手を使用して二重マスク研究を行う。この研究では、高次補正を使用して標的内の弾痕の統計的に有意な、より緊密な集団を探す。しかし、この検査の前に、高次補正を使用したコントラスト感度および視力の単純増加を探す。
【0054】
[暗視デバイス]
軍事、警察、およびスポーツ活動は、夜間などの低光量状態において頻繁に行われ、特に暗視デバイス(NVD)および暗視ゴーグル(NVG)を使用するのが、現在では一般的である。NVGの解像度は、主に、イメージ増強管(HT)により制限され、HTから1ミリメートル毎に30線対のオーダーであり、その結果、視力限界は約20/40である。プログラム可能な波面光学素子が、NVGで視覚機能を改善する可能性のある異なる領域が以下のように2つある。
・対物側でMTFを制御することにより光電陰極で発生するエイリアスノイズを最小にすること。
・光量レベルが低いため瞳孔が典型的には開いたユーザの高次収差を最適化し、接眼レンズ側でMTFを制御すること。
【0055】
対物側−イメージ増強管(HT)は、1mm当たり30線対のような解像限界を有する。空間周波数成分が空間周波数限界を超えている対象により透過される光の成分は、イメージ増強管により検出されるが、より低い空間周波数にエイリアスされ、結局ノイズとして終わる。理想的には、対象の変調伝達関数またはMTFは、空間周波数限界よりも下で可能な限り大きく、この限界よりも上で可能な限り小さい。しかし、これで非常にうまくゆくためには、光学系設計者は、対象に導入されうる非常に固有の可変量の方位角対称収差を利用できる必要がある。他の問題が、いつでも既製品の光学素子である、使用されるレンズの選択を左右することが多い。しかし、本明細書で説明されている波面プログラム可能レンズ技術を使用することで、最適な高次収差を容易に作ることが可能である。この補正板は、主要なノイズ源を最小にすることによりコントラスト感度を改善する。
【0056】
接眼レンズ側−イメージ増強管は、空間分解能が制限されているため、空間周波数限界よりも上の接眼レンズ光学系内のMTFは、目にノイズを送り届けることしかできない。空間周波数限界よりも上のMTFは、接眼レンズ光学系の方位角対称収差を制御することにより最小にすることができる。接眼レンズ側の補正板は、所望の方法でMTFを制御するように作ることができる。補正板は、さらに、ユーザの目に特有の高次収差を最適化することもできる。ユーザの収差は、波面収差測定装置を使用して測定されるであろう。瞳孔径は、目に届くシーン輝度から推定できる。これは、典型的には2〜4.5cd/mであり、その結果、平均瞳孔径は、比較的若い成人では5mmよりも大きい。イメージ増強管を使用したとしても、目に送られる光量レベルは、日中レベルよりもかなり低く、瞳孔径は、著しく増大する。高次収差のレベルは、瞳孔径とともに劇的に増大し、コントラスト感度に影響を及ぼす。ユーザの高次収差の最適化により、コントラスト感度は、最適化される。
【0057】
上記の強化により、システムを通じて視力のわずかの増大がありうるが、HTの制限により、これは小さなものとなりうる。しかし、視力は視覚の1つの尺度にすぎず、視覚機能を完全には表さない。コントラスト感度は、視覚機能のよい尺度である。同じ視力を持つ人2人が、非常に異なるコントラスト感度曲線を有することもある。よいコントラスト感度を持つ人は、よく見え、速く認識し、反応する。視力は、最高の検出可能空間周波数のみにおけるコントラスト感度の一尺度である。NVGの高次補正で予想される有意なコントラスト改善およびノイズ低減の結果、視覚機能が向上し、認識および反応時間が短くなるであろう。NVGは、最適な個人化された補正光学系がある場合とない場合に二重マスク研究において検査することができる。光パワーのないプラセボ補正板は、ゼロの場合に使用される。
【0058】
[レーザ用眼球保護眼鏡/ゴーグル]
技術が進歩するとともに、人間の目に非常に危険なレーザが、手軽に入手でき、広く使われるようになってきた。レーザポインタの形態でパッケージされた大量生産レーザは、クラス4のレーザ安全性指定(>0.5ワット平均出力)に近づきつつある、つまり、かなり容易に発火(発光)を開始できるということである。その結果、近代戦では、目に安全でないレーザの使用は、ほとんど確実である。そして、米国民が心配しなければならないのは敵だけではないのである。米軍それ自体が、多数の危険なレーザを使用しており、多数の事故が文書に記録されている。最近の商用定期航空パイロットは、飛行中の民間航空機めがけてレーザビームが発射されたと報告している。その結果、すべての配備要員は、ときおり、レーザ用眼球保護(LEP)ゴーグルまたは眼鏡を着用する必要がある場合がある。LEPの欠点は、ほとんどの主要な脅威波長から保護するためには、利用可能な光の実質的部分をブロックしなければならないという点である。したがって、レーザ用眼球保護デバイスは、暗色サングラスに似ていることが多い。低光量状態では、そのようなLEPデバイスは、視能をひどく低下させる。LEPデバイスを着用していても視能増強を得られることが、大きく求められている。
【0059】
減光時に、瞳孔径は大きくなり、高次収差レベルは劇的に高まる。これは、正確に、高次収差最適化および補正が可能な最大のメリットをもたらす状態である。高次単色収差に加えて、人間の目には深刻な色収差もある。高次収差および色収差の同時補正には相乗効果があるが、それというのも、これら2つのカテゴリの収差が互いにある程度補正し合うからである。したがって、色収差が、単色高次収差に加えて補正される場合、視覚改善はおおよそ2倍になる。
【0060】
LEPの場合の色収差補正は、フィルタリングによるスペクトル狭帯域化から生じる。LEPデバイスの通過帯域は、レーザ技術それ自体が発展するとともに発展している実体である。しかし、いくつかの一般的原理を活用することができる。近赤外線および赤色波長を発生するレーザは、短波長のレーザに比べてワット当たりの経済性がよく、一般的にコンパクトで軽量であり、その結果、LEPデバイスは、近赤外線およびスペクトルの赤色端をブロックする傾向がある。ピーク明所視感度は、緑色にあり、そのため、最大光度を通しながら最も幅広い保護は、たぶんスペクトルの赤色端と青色端の両方をブロックすることである。しかし、532nmで動作する周波数倍増レーザが利用できるためには、その特定の緑色波長もブロックする必要がある場合がある。LEPフィルタリングの正味の効果は、人間の目に入るスペクトル範囲を一般的に狭めることである。これにより、目に入る光の量が減り一般的に視能を下げるが、それは問題となる。しかし、これは、色収差を効果的にも低減し、高次収差補正と組み合わせると、視覚機能が向上し、これは好機と言える。
【0061】
人間の目の縦色収差は、図14に示されている。
【0062】
藍色と深紅との間には、2.5ジオプター(diopter)の差があり、これは非常に大きい。これが意味するのは、藍色について完全に焦点を合わせると、深紅は、焦点から2.5ジオプターだけずれるということである。複数の要因が、この収差の重大さを緩和する。主に、明所視応答曲線は、青色または赤色に比べて緑色の光に対し目の感度がかなり高いことを示している。さらに、単色高次収差は、目の焦点深度を増大し、それにより、色収差にも対抗する。スペクトル狭帯域化を通じた単独の色収差の補正は、恐らく単色収差との相互作用のため、視力またはコントラストをそれほど高めることはない。しかし、色収差と単色収差の両方を補正すると、コントラストが劇的に改善され、また視力も改善する。レーザ用眼球保護に特有のスペクトル狭帯域化は、視覚能力の実質的改善をもたらす高次収差補正の理想的な状況を生み出す。
【0063】
眼鏡またはゴーグルに似た一般的なLEPデバイスは、それらのデバイスが本質的に視野に制限されていないという点で本明細書で説明されている他の用途と異なる。眼鏡は、一般的に、視野を最小限度制限するように設計されている。したがって、積極的な高次補正領域はそれ自体、制限された視野を有するので、高次領域は、LEPデバイス内の視覚「スイートスポット(sweet spot)」を表す。この状況は、老眼、近くに焦点を合わせられない状況に対処するために、おおよそ45歳以上の被検者が着用する累進多焦点レンズ(PAL)と類似している。近距離領域および付加チャネルは特に、制限された視野を有する。近距離領域または付加チャネルを注目する物体に揃えるためには、頭部を動かす必要があり、適応に数日を要する。それでも実質的にすべての被検者が、PALに適応することができ、PALは、すべての販売された多焦点レンズの半分以上を占めており、制限された視野を持つ解決手段が受け入れられることを証明する結果となっている。PALの場合に何が生じているのかというと、脳が、パワーチャネルの周りの移行領域を無視することを学習し、有益なパワー増加のみに注目するということである。目と頭は、パワーチャネルから最適な効果を得るように移動することを学習する。
【0064】
高次補正の場合、補正された視野は、補正の空間周波数成分に依存し、空間周波数成分が低いほど大きい。高次補正は、補正の一部と引き換えに視野を広げるために実行することができる。コマ収差は、最低の空間周波数成分を含む高次収差である。そのようなものとして、これは、最大可能な視野を維持しながら補正が最もしやすい高次収差である。視野と高次最適化および補正の程度との間のトレードオフの関係を考慮しなければならない。
【0065】
要するに、LEPは、典型的には、スペクトルフィルタリングによる色収差を低減する。このような場合、高次収差の補正および最適化による視覚的なメリットは、おおよそ倍になる。眼鏡またはゴーグル形式では、積極的な高次収差補正が、ユーザが適応し、使用を学習しなければならない視覚スイートスポットを生み出す。
【0066】
高次収差補正が加わると、適当な適応期間の後に、コントラスト感度および視力が著しく改善される。
【0067】
[波面収差測定装置]
対象を屈折させるのは、時間がかかり、ときには難しく、たいてい不正確なものとなる。本発明の技術で使用される好ましい波面センサは、例えば、文字通り一瞬のうちに、素早く正確に対象を屈折させることができるZ−View収差測定装置などの自己結像回折収差測定装置である。高次収差を含む波面収差は、自動的に記録される。目のこの指紋は、目の光学的品質に関する完全な情報を含む。Z−View(登録商標)収差測定装置の新規性のある設計は、同様に市販されているHartmann−Shackセンサに基づく収差測定装置に比べて精度は同程度にすぎないが、空間分解能が高く、本発明により波面測定を行うときにも使用できる。
【0068】
図15は、「自己結像」またはタルボット効果と呼ばれる波動光学の原理に基づく自己結像回折収差測定装置の機能を示す流れ図である。タルボット効果は、いくつかの輝度変調パターンが系の光学的瞳に置かれ、平面波を照射されると、像が伝搬路に沿った予測可能な位置に再び出現する(タルボット平面)という事実に基づく。追加の光学素子は、これらの像を形成するのに必要でない。自己結像する変調パターンの部分集合は、二次元正弦格子などのすべての周期的構造を含む。変調パターンは、複数のタルボット平面のうちの1つの平面の位置に置かれた結像検出器により記録することができる。光学系が、波面収差を含む場合、変調パターンの像は、周期的変調要素に関して歪む。周期的「キャリア」輝度パターンに対する歪みは、記録された輝度値に適用されるコンピュータアルゴリズムを通じて抽出することができる。このコンピュータアルゴリズムは、測定された輝度のフーリエ変換と、キャリア信号からの収差情報のその後の抽出に基づく。回折センサについては、他のところでさらに詳しく説明されている。
【0069】
典型的なHartmann−Shackシステムは、直径7mmの瞳内で50〜200個の測定点を使用し、最新の「高解像度」システムでさえ、約3,500点を使用する。波面の曲率が、サブ開口上で著しく変化する場合、収差が高い空間周波数であるため、または収差が、低い空間周波数であるが、大きさが大きいため、その結果、HSセンサ内の焦点スポットはぼやけ、特定しにくくなる。自己結像回折WFSでは、二次元格子を使用し、7mmの瞳上に17,000個を超える有効要素を有する。このように空間分解能が高いほど、大きな波面曲率により失敗する確率が低くなる。しかし、両方のタイプのセンサは、スポットまたは有効要素像が、位置敏感型検出器上で重なるようにずれた場合に問題を生じる。格子とカメラとの間の距離が短いため、自己結像回折センサ内で要素を重ね合わせるのに要素間の100ジオプターの局所パワーが必要である。
【0070】
[感光性樹脂眼鏡技術]
従来の眼鏡は、目の収差に対し円柱、球面、および角柱補正を行う。iZon(登録商標)眼鏡レンズ技術は、高次と低次の両方の収差を補正でき、また回折要素をオンデマンドで「書き込める」プログラム可能な光学層、つまり、感光性樹脂層を含む。感光性樹脂層の屈折率を変化させることで、目の高次収差またはレンズ内の固有収差を補正する可変屈折率プロファイルを形成することができる。収差は、最適な視覚的内容を生み出すように排除または修正できる。基本的に、想像できるどのような光学設計も、非常に正確なレベルでレンズ内にプログラムすることができる。主な高次収差は、コマ収差、三つ葉状収差、および球面収差である。コマ収差は、点広がり関数またはPSFで彗星のようなテールを形成する収差であり、コントラスト感度を下げる。球面収差は、最小網膜スポットサイズ、したがって視力に直接影響を及ぼしうる。したがって、高次収差の最適化および補正は、視覚に対し非常に著しい影響を及ぼしうる。感光性樹脂レンズ内にプログラムされた回折設計を使用することで、薄く軽い眼鏡内に角柱を形成することができる。回折要素も、従来の角柱および大きな処方による色収差を取り除くことができ、また焦点深度を目立って高める。個々の被検者に合わせて手直しした光学パターンをプログラムすることにより、被検者の網膜像を機能障害のある網膜組織の周りにワープ(warp;湾曲)させ、それにより実質的な盲点をなくすことができる。自由曲面生成器をプログラム可能な感光性樹脂層と組み合わせることにより、想像できる実質的にどのような光学素子をも形成できる。
【0071】
iZon(登録商標)レンズは3つの層からなる。外側の層は、高屈折率眼科用ポリマーからなる。中心の層は、屈折率を変えることができる薄いプログラム可能ポリマー層である。この屈折率変更は、紫外線を当てることでプログラム可能であり、考えられうる実質的にどのようなパターンをも生成できる。動的な範囲制限があり、典型的には、ポリマー層内に書き込まれた屈折率分布パターンが、複数の外層のうちの1つまたは複数の層上の表面プロファイル生成と組み合わされ、所望の光学設計がなされる。屈折率分布層を固定し、さらなる紫外線照射に影響されないようにすることができる。次いで、光学プロファイルを劣化させることなく眼鏡レンズを直射日光に曝すことができる。
【0072】
レーザベースの直接デジタルレンズライタを使用して、所望のパターンをポリマー層にプログラムする。ビットマップまたはゼルニケ値のいずれかを使用して、書き込みパターンを指定することができる。図16および17は、感光性樹脂レンズにプログラムされた、直径6mmの特定のゼルニケパターンを示している。図16は、感光性樹脂レンズに書き込まれた理論的、および実際の干渉稿0.20μm Z4,−4 + 0.29μm Z4,0 を示しており、図17は、感光性樹脂レンズに書き込まれた理論的、および実際の干渉稿0.21μm Z4,−2 + 0.29μm Z4,0を示している。
【0073】
理論的干渉縞パターンは、Zygo干渉計を使用して記録された実際の干渉縞パターンとともに示されている。図18では、レンズブランク内の二次収差は、直径8mmの円内で消去されており、従来の製造工程で持ち込まれた収差が補正可能であることを示している。次いで、被検者の目の収差に対する補正が、領域内に書き込まれており、これは、高次収差補正が、この技術により達成されることを例示している。理論的干渉縞パターンとの比較は、優れた一致を示している。
【0074】
[公共の目的]
本発明は、軍隊でよく使用される特定のデバイスを使用したときに人間の視能を高めることを対象とする。しかし、同じまたは類似のデバイスの多くは、一般大衆により使用されている。ハンターは、ライフル銃のスコープを使用し、光量レベルが低い早朝または夕方に視力の増大を利用する。低視力の人は、しばしば、小型の望遠鏡を使用して、道路標識などの遠方にある物体を見る。これらの人々のほとんどは、偏心視を用いているため、高次コマ収差のレベルは、著しく高く、高次収差補正および最適化を大きく利用することができる。野鳥観察者、森林警備官、狩猟者、および野生生物の熱狂的愛好者を含む、多くの人々は、さまざまな状況において双眼鏡を使用し、多くは、デバイスを使用したときの視力向上を活用する。本明細書で説明されている技術は、顕微鏡および望遠鏡に応用可能である。例えば、天文学者および病理学者は、自分のデバイスを通してよりはっきりと見られるように個人化された接眼レンズを用意することを好むと思われる。コントラスト感度のレベル改善に関連する認識時間の低下とともに、生産性が増大すると予想されうる。視力の向上とともに、デバイスを使用したときに利用できる情報が増える。色補正のあるLEPアプリケーションで実際に視覚メリットが倍になる場合、特殊化された視覚最適化を行う全く新しい手段が見えてくる。平均以上の視覚スイートスポットを持つスペクトル狭帯域化サングラスは、多くの一般大衆だけでなく他の政府機関の人々によって使用される。
【0075】
[方法例]
[双眼鏡]
臨床治験のため30人の被検者が募集される。研究被検者の高次収差は、Z−View(登録商標)波面収差測定装置を使用して測定される。研究で使用される双眼鏡(典型的な軍用双眼鏡)の収差は、干渉計を使用して測定される。組み合わされた被検者測定結果およびデバイス測定結果に基づく高次収差補正光学素子は、双眼鏡の接眼レンズに貼り付けられるように作られる。デバイス(双眼鏡)光学誤差が潜在的に有意である場合、被検者デバイス測定結果にのみ基づく高次補正光学素子は、デバイスの光学誤差の寄与分を後から推定することができるように作られる。さらに、高次収差補正を含まないプラセボ光学補正要素が、いずれの検査被検者も医療従事者もどの補正要素が検査中に使用されているかを知ることのないように作られる。二重マスク化臨床治験を使用し、適応にかかる時間を最小とする文書に記載されている一定範囲の照明条件の下で双眼鏡を使用するコントラスト感度および低コントラスト視力が測定される。次に臨床治験を完了した被検者は、次の数週間にわたり最低でも8時間の累積時間を費やして高次収差補正がなされている双眼鏡を覗き、適応のための時間を決める必要がある。双眼鏡を覗く累積時間が、推定され、記録される。二重マスク化臨床治験を繰り返し(プラセボを含む)、文書に記載されている一定範囲の照明条件の下で双眼鏡を使用してコントラスト感度および低コントラスト視力を測定する。高次補正を行う双眼鏡は、視力を高める。
【0076】
[ライフル銃のスコープ]
臨床治験のため30人の被検者が募集される。これらは、スコープを使用して射撃する少なくとも最低限の経験を有する被検者たちである。研究被検者の高次収差は、Z−View(登録商標)波面収差測定装置を使用して測定される。研究で使用されるライフル銃のスコープの収差は、干渉計を使用して測定される。組み合わされた被検者測定結果およびデバイス測定結果に基づく高次収差補正光学素子は、ライフル銃のスコープの接眼レンズ端に貼り付けられるように作られる。デバイス(ライフル銃のスコープ)光学誤差が潜在的に有意である場合、被検者測定結果にのみ基づく高次補正光学素子は、デバイスの光学誤差の寄与分を後から推定することができるように作られる。さらに、高次収差補正を含まないプラセボ光学補正要素が、いずれの検査被検者も医療従事者もどの補正要素が検査中に使用されているかを知ることのないように作られる。二重マスク化臨床治験を使用し、適応にかかる時間を最小とする文書に記載されている一定範囲の照明条件の下でライフル銃のスコープを使用するコントラスト感度、低コントラスト視力、および副尺視力が測定される。次に臨床治験を完了した被検者は、次の数週間にわたり最低でも8時間の累積時間を費やして収差補正がなされているライフル銃のスコープを覗き、適応のための時間を決める必要がある。スコープを覗く累積時間が、記録される。二重マスク化臨床治験を繰り返し(プラセボを含む)、文書に記載されている一定範囲の照明条件の下でライフル銃のスコープを使用してコントラスト感度、低コントラスト視力、および副尺視力を測定する。次いで射撃練習場における臨床治験が、研究群内の検査被検者により実施される。高次補正アタッチメントを付けたライフル銃のスコープを使用する被検者は、射撃得点が高い。
【0077】
[暗視ゴーグル(NVG)]
臨床治験のため30人の被検者が募集される。研究被検者の高次収差は、Z−View(登録商標)波面収差測定装置を使用して測定される。研究で使用されるNVG(典型的な軍用NVG)の接眼レンズおよび対物光学素子の収差は、干渉計を使用して測定される。接眼レンズに対する組み合わされた被検者測定結果およびデバイス測定結果に基づく高次収差最適化光学素子は、NVGの接眼レンズに貼り付けられるように作られる。対物端のデバイス測定結果に基づく高次収差最適化光学素子は、さらに、NVGの対物端に貼り付けられるように作られる。接眼レンズ端または対物端のデバイス光学誤差が潜在的に有意である場合、被検者測定結果にのみ基づく高次補正光学素子は、さらに、デバイスの光学誤差の寄与分を後から推定することができるように作られる。さらに、高次収差補正を含まないプラセボ光学補正要素が、いずれの検査被検者も医療従事者もどの補正要素が検査中に使用されているかを知ることのないように両端について作られる。二重マスク化臨床治験を使用し、適応にかかる時間を最小とする文書に記載されている一定範囲の照明条件の下でNVGを使用するコントラスト感度および低コントラスト視力が測定される。次に臨床治験を完了した被検者は、次の数週間にわたり最低でも8時間の累積時間を費やして収差補正がなされているNVGを覗き、適応のための時間を決める必要がある。NVGを覗く累積時間が、推定され、記録される。二重マスク化臨床治験を繰り返し(プラセボを含む)、文書に記載されている一定範囲の照明条件の下でNVGを使用してコントラスト感度および低コントラスト視力を測定する。高次収差補正を含むNVGは、視力を高める。
【0078】
[レーザ用眼球保護眼鏡(LEP)]
臨床治験のため30人の被検者が募集される。研究被検者の高次収差は、Z−View(登録商標)波面収差測定装置を使用して測定される。LEPデバイスは、有意なスペクトル狭帯域化も有する研究において使用されるように選択される。スペクトル狭帯域化は、スペクトロメーターおよびデンシトメーターを使用して測定される。感光性樹脂プログラム可能光学素子は、同じ分光透過率を持つように作られる。追求すべき2つの並列アプローチがある。1つは、LEPメーカーから得たレンズブランクを使用してプログラム可能レンズを製造すること、または実際の最終LEPデバイスそれ自体を修正することである。最も単純な方法は、未処理の着色および/またはコーティングレンズブランクをLEPメーカーから入手し、高次補正が感光性樹脂層内にプログラムされた感光性樹脂コーティングを施すことである。次いで、感光性樹脂層は、好ましくは真空コーティング設備を使用してハードコーティングされる。それとは別に、実際のLEPデバイスは、細くし、ラミネートする工程に通してプログラム可能レンズに転換される。他のアプローチは、染料とコーティングを使用して感光性樹脂レンズ内のLEPの波長特性に対する光学密度を十分精度で模倣するものである。利用できる染料の例としては、Gentex Corporation社のA−195およびGlendale Laser Eyewear and Specialty Filtersから入手可能な他の染料がある。組み合わされた被検者測定結果およびデバイス測定結果に基づく高次収差補正光学素子が作られる。さらに、高次収差補正を含まないプラセボ光学補正要素が、いずれの検査被検者も医療従事者もどの補正要素が検査中に使用されているかを知ることのないように作られる。二重マスク化臨床治験を使用し、適応にかかる時間を最小とする文書に記載されている一定範囲の照明条件の下でLEPデバイスを使用するコントラスト感度および低コントラスト視力が測定される。次に臨床治験を完了した被検者は、次の数週間にわたり最低でも8時間の累積時間を費やして高次収差補正がなされているLEPデバイスを覗き、適応のための時間を決める必要がある。LEPデバイスを覗く累積時間が、推定され、記録される。二重マスク化臨床治験を繰り返し(プラセボを含む)、文書に記載されている一定範囲の照明条件の下でLEPデバイスを使用してコントラスト感度および低コントラスト視力を測定する。研究参加者は、LEPデバイス内の視覚スイートスポットを使用しているときの視覚「スイートスポット」の有用性の感想とその適応経験についてのアンケートに答える。高次収差補正を行うLEPデバイスは、視力を高める。
【0079】
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【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】二次から四次までのゼルニケ収差をグラフィックで表した図である。
【図2】健常眼に対する視力対年齢の母集団平均を示すグラフである。
【図3】6.0mmの瞳孔内に0.19ミクロンのRMS値のコマ収差を有する被検者に対するハイコントラスト視力表光学シミュレーションの図である。
【図4】収差のない6.0mmの瞳孔を有する被検者に対する視力表の光学シミュレーションの図である。
【図5】収差のない6.0mmの瞳孔を有する被検者のMTFを示すグラフである。
【図6】0.19ミクロンのコマ収差のある6.0mmの瞳孔を有する被検者のMTFを示すグラフである。
【図7】Visual Optics Lab VOL−CTソフトウェア(バージョン6.89)を使用して得られたさまざまなPSFおよびMTFのグラフである。
【図8】Visual Optics Lab VOL−CTソフトウェア(バージョン6.89)を使用して得られたさまざまなPSFおよびMTFのグラフである。
【図9】Visual Optics Lab VOL−CTソフトウェア(バージョン6.89)を使用して得られたさまざまなPSFおよびMTFのグラフである。
【図10】Visual Optics Lab VOL−CTソフトウェア(バージョン6.89)を使用して得られたさまざまなPSFおよびMTFのグラフである。
【図11】Visual Optics Lab VOL−CTソフトウェア(バージョン6.89)を使用して得られたさまざまなPSFおよびMTFのグラフである。
【図12】全収差干渉縞パターン(OD)の図である。
【図13】双眼鏡の効率対倍率を示すグラフである。
【図14】人間の目の縦色収差を示すグラフである。
【図15】自己結像タルボット効果を使用する回折波面センサの動作を示す図である。
【図16】プログラムされた高次レンズに基づく理論的干渉縞パターンおよび実際の干渉縞パターンを示す図である。
【図17】プログラムされた高次レンズに基づく理論的干渉縞パターンおよび実際の干渉縞パターンを示す図である。
【図18】プログラムされた高次レンズに基づく理論的干渉縞パターンおよび実際の干渉縞パターンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)可変屈折率を有し、(b)被検者の目の、1つまたは複数の高次収差を補正する硬化ポリマー材料を備える、望遠鏡、顕微鏡、ライフル銃のスコープ、または双眼鏡の接眼レンズに装着することができる取り外し可能な光学素子。
【請求項2】
硬化ポリマー材料は、さらに、前記望遠鏡、顕微鏡、ライフル銃のスコープ、または双眼鏡の光学系内の収差を補正する請求項1に記載の取り外し可能な光学素子。
【請求項3】
瞳孔サイズが3mmである前記高次収差が補正され、瞳孔サイズ3mmを超える高次収差は補正されない被検者の目の高次収差を最適化する段階を含む被検者の副尺視力を改善する方法。
【請求項4】
(a)可変屈折率を有し、(b)被検者の目の、1つまたは複数の高次収差を補正する硬化ポリマー材料を備える、暗視デバイスの接眼レンズに装着することができる取り外し可能な光学素子。
【請求項5】
(a)可変屈折率を有し、(b)暗視デバイスの空間周波数成分を超える空間周波数成分を有する光を相殺する硬化ポリマー材料を備える、暗視デバイスの対物側に装着することができる取り外し可能な光学素子。
【請求項6】
(a)可変屈折率を有し、(b)被検者の目の単色収差を補正する硬化ポリマー材料を備える、レーザ用眼球保護デバイス内の光学素子。

【図3】
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【図4】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2009−537869(P2009−537869A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511228(P2009−511228)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/069086
【国際公開番号】WO2007/137100
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(504159981)オフソニックス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】