説明

付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物

【課題】優れた耐熱性、電気絶縁性、機械的強度、光学的特性を有し、気体透過性や耐薬品性、過酷な使用条件下での耐水性、耐加水分解性、ガスバリヤー性などに優れた特性を有するシリコーンゴムを提供する。
【解決手段】(A)式(a)


で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー、(B)式(b)R2aSiO(4-a)/2(b)で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、(C)オルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(D)白金族金属系触媒を含有する付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた耐熱性、機械的強度、電気絶縁性、電気特性、耐薬品性、耐水性を有する硬化物を与える付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬化してシリコーンゴム弾性体となる硬化性シリコーンゴム組成物はよく知られており、その耐候性、耐熱性、電気絶縁性等の優れた性質を利用して、電気電子部品のガスケット材、ポッティング材、コーティング材、ロール材、型取り材等の成型材料、電線被覆用材料等に、また自動車用部品として広く使用されている。
【0003】
しかし、シリコーン特有のシロキサン結合によるイオン結合性から、耐酸性、耐アルカリ性などの耐薬品性や耐水性、気体透過性、また高温加湿下での使用などの極めて厳しい使用環境では、シリコーンの優れた特性を発揮することができない。
【0004】
その対策として、シロキサン結合の一部をシルエチレン結合としたポリマー(再表01/030887:特許文献1)やシルフェニレン結合としたポリマー(特開平5−320350号公報:特許文献2)が知られている。しかし、合成しにくく量産性に乏しい。ポリマーが高価など問題点を有し、特殊な用途、分野以外商品化されていない。
【0005】
また、炭化ケイ素系セラミックスの前駆体としてシルメチレンシロキサン結合からなるポリジアリールシルメチレンシロキサンが知られている(特開平8−109264号公報、特開平8−109265号公報、特開平8−109266号公報:特許文献3〜5)。本ポリマーは高融点の結晶性熱可塑性ケイ素系高分子で、耐熱性、絶縁性、電気特性、耐薬品性、耐水性に優れるが、成型加工性が悪く、実用化されていない。成型加工性の改良が種々試みられており、シリコーンポリマーとの混合物(特開平9−227781号公報:特許文献6)による加工性改良、ポリジアリールシルメチレンシロキサンとポリアルキルシルメチレンシロキサン系との混合物(特開平9−227782号公報、特開平9−227783号公報:特許文献7〜8)などが検討されている。また、基板上にポリシルメチレンシロキサンを製膜する方法として、ジシラシクロブタン膜を金属微粒子膜で開環重合する方法(特許第3069655号公報:特許文献9)が知られている。しかし、ジアリール系シルメチレンシロキサンポリマーは高結晶性熱可塑性ポリマーであり、合成しにくいこと、高価であること、加工性が悪いことから炭化ケイ素系セラミックスの前躯体としての活用が検討されたが、ポリマーとしての特性を生かした熱硬化性組成物は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】再表01/030887
【特許文献2】特開平5−320350号公報
【特許文献3】特開平8−109264号公報
【特許文献4】特開平8−109265号公報
【特許文献5】特開平8−109266号公報
【特許文献6】特開平9−227781号公報
【特許文献7】特開平9−227782号公報
【特許文献8】特開平9−227783号公報
【特許文献9】特許第3069655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、耐熱性、電気絶縁特性、耐薬品性、耐水性などの諸特性に優れるとともに、透明性、高屈折率特性など光学特性や成型加工性に優れ、気体透過性などガスバリヤー性に優れた硬化物を与えるシルメチレンシロキサンコポリマー結合を有するケイ素系ポリマーを含む付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ケイ素原子に結合した付加反応基であるアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー又はこのポリマーとケイ素原子に結合した付加反応基であるアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンとの混合物に、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び白金族金属系触媒を含有する付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物が有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
従って、本発明は、下記に示す付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物を提供する。
請求項1:
(A)下記一般式(a)
【化1】


(式中、R1は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、(R013SiCH2−、(R013SiO−より選ばれ、R01は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基を示し、m=1〜100、n=3〜1,000、o=1〜20である。)
で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー:1〜100質量%、
(B)下記平均組成式(b)
2aSiO(4-a)/2 (b)
(式中、R2は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、aは0.7≦a≦3.0を満足する数である。)
で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン:0〜99質量%、
(但し、(A),(B)成分の合計は100質量%である)
(C)架橋剤が、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中2個以上有し、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサン組成物中の全アルケニル基1モル当たり、本(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量のオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(D)白金族金属系触媒:有効量
を含有する付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
請求項2:
(A)成分の式(a)において、R1が独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、(R013SiCH2−及び(R013SiO−(R01は上記の通り)より選ばれるものである請求項1記載のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
請求項3:
(C)成分の架橋剤が、
(C1)下記一般式(c1)
【化2】


(式中、R3は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、水素原子、(R033SiCH2−、(R033SiO−基より選ばれ、R03は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基を示し、x=0〜100である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン、及び
(C2)下記平均組成式(c2)
4bcSiO(4-b-c)/2 (c2)
(式中、R4は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、水素原子、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、b及びcは0.7≦b≦2.1、0.001≦c≦1.0、かつ0.8≦b+c≦3.0を満足する正数である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
から選ばれるものである請求項1又は2記載のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
請求項4:
(C2)成分が、下記一般式(c2’)
【化3】


(式中、R40は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基、水素原子、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、(R0403SiO−より選ばれ、R040は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示し、y=0〜50である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである請求項3記載のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
請求項5:
(A)下記一般式(a’)
【化4】


(式中、R10はメチル基、Y(CH32SiCH2−、Y(CH32SiO−より選ばれ、Yはビニル基であり、m=1〜100、n=3〜1,000、o=1〜20である。)
で表され、ケイ素原子に結合したビニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー:60〜100質量%、
(B)下記平均組成式(b)
2aSiO(4-a)/2 (b)
(式中、R2は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、aは0.7≦a≦3.0を満足する数である。)
で表され、末端にケイ素原子に結合したビニル基を1分子中に2個以上有したオルガノポリシロキサン:0〜40質量%、
(但し、(A),(B)成分の合計は100質量%である)
(C)(C1)下記一般式(c1)
【化5】


(式中、R3は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、水素原子、(R033SiCH2−、(R033SiO−基より選ばれ、R03は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基を示し、x=0〜100である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン、及び
(C2)下記平均組成式(c2’)
【化6】


(式中、R40は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基、水素原子、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、(R0403SiO−より選ばれ、R040は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示し、y=0〜50である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
から選ばれ、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物中の全アルケニル基1モル当たり、本(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量のオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)白金族金属系触媒:有効量
を含有する請求項1記載のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物は、優れた耐熱性、電気絶縁性、機械的強度、光学的特性を有し、シリコーンゴムの欠点である気体透過性や耐薬品性、過酷な使用条件下での耐水性、耐加水分解性、ガスバリヤー性などに優れた特性を有する硬化物を与える。また、その作業性や成型加工性は、従来のシリコーンゴム同様の加工性を有し、成型装置など従来の加工機械がそのまま転用できる。
本発明の付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物から得られる成型体は、シリコーンゴムと同様に絶縁材料、封止材料、ケーブル、パッキン、コネクター等の電気、電子部品、自動車部品、半導体装置等に好適に用いられる。また、その光学的特性を生かし、レンズや透明封止材料などの用途に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明は、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物に関する。
【0012】
<(A)オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー>
(A)成分は、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物の主剤(ベースポリマー)であり、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマーで、下記一般式(a)で表される。
【0013】
【化7】


(式中、R1は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、(R013SiCH2−、(R013SiO−より選ばれ、R01は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基を示し、m=1〜100、n=3〜1,000、o=1〜20である。)
【0014】
1、R01としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された、例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等;また、メトキシ基,エトキシ基等のアルコキシ基、水酸基、塩素,フッ素等のハロゲン原子が挙げられる。
【0015】
オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマーは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有することから、ビニル基、アリル基を必ず含有する。中でも合成のし易さ、耐熱性からビニル基が好ましい。その他の有機基としてはメチル基及びフェニル基が好ましい。特にメチル基が組成物の硬化特性や柔軟性から好ましく、R1の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。なお、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子は、R1の5モル%以下、特に3モル%以下であることが好ましい。
【0016】
上記式(1a)のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマーとしては、特に下記一般式(a’)で示されるものが好ましい。
【化8】


(式中、R10はメチル基、Y(CH32SiCH2−、Y(CH32SiO−より選ばれ、Yはビニル基であり、m=1〜100、n=3〜1,000、o=1〜20である。)
【0017】
重合度(m)は、好ましくは30〜100、更に好ましくは50〜100である。重合度が高い方がシルメチレン結合の効果である高強度やガスバリヤー性、耐水性、高屈折率などの特性が得られる。
重合度(n)は3〜1,000であるが、重合度が高いとコポリマー中のシルメチレン結合の割合が低下することから、好ましくは3〜300、更に好ましくは3〜100である。
重合度(m)、(n)の繰り返し指数(o)は、1であれば、コポリマーはブロックポリマーである。重合度(m)、重合度(n)にもよるが上記最適範囲の重合度であれば、繰り返し指数(o)は好ましくは5〜15である。
【0018】
また、(A)成分の粘度は、25℃において、30〜10,000,000mm2/s、好ましくは100〜10,000,000mm2/sである。なお、この粘度は、オストワルド粘度計による値である。
【0019】
アルケニル基含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマーの合成方法は、例えば次のような反応により合成される。なお、下記式において、Meはメチル基、Viはビニル基を示す(以下、同じ)。
メトキシ基含有シルメチレンモノマー[MeO(Me)2SiCH2Si(Me)2OMe]とメトキシ基含有シランあるいはシロキサン[MeO(Me)2(SiO)nSi(Me)2OMe:n=0〜1,000]を塩酸などの酸性雰囲気で共加水分解反応する。また、クロル基含有シルメチレンモノマー[Cl(Me)2SiCH2Si(Me)2Cl]とクロルシランあるいは末端クロル基含有シロキサン[Cl(Me)2(SiO)nSi(Me)2Cl:n=0〜1,000]を同様に酸性下で共加水分解反応させてコポリマーを合成する。次いで合成したコポリマーの末端に1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビニルジシロキサンとアルカリ重合触媒(KOH)を用いて末端にビニル基を導入して、目的物のアルケニル基含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマーを合成する。
別法として、メトキシ基含有シルメチレンモノマー[MeO(Me)2SiCH2Si(Me)2OMe]単独で塩酸などの酸性雰囲気で加水分解反応する。また、クロル基含有シルメチレンモノマー[Cl(Me)2SiCH2Si(Me)2Cl]単独で同様に酸性下で加水分解反応させ、その後中和してシルメチレンポリマーを合成する。次いでコポリマー成分に相当するジメチル環状物と合成したシルメチレンポリマーの末端にビニル基を導入するための原料として1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビニルジシロキサンとアルカリ重合触媒(KOH)を用いて、目的物のアルケニル基含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマーを合成する。
【0020】
<(B)オルガノポリシロキサン>
(B)成分は、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物の主剤(ベースポリマー)に添加する副主剤であり、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンで、下記平均組成式(b)で示される。
2aSiO(4-a)/2 (b)
(式中、R2は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、aは0.7≦a≦3.0を満足する数である。)
【0021】
(B)成分の分子構造は特に制限されず、例えば、線状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等の、いずれの分子構造でも(B)成分として使用することができる。(B)成分が線状構造を有する場合、アルケニル基は、分子鎖末端及び分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよい。また、室温(25℃)において液状であるオルガノポリシロキサンを好ましく使用できる。
上記式(b)の中で、特に線状及び分岐状ポリマーとして、下記一般式(b’)
【化9】


(式中、R2は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、p=0〜100である。)
で表されるケイ素原子に結合したビニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンレジンが用いられる。
【0022】
2としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された、例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等;また、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有することから、ビニル基、アリル基を必ず含有する。中でも合成のし易さ、耐熱性からビニル基が好ましい。その他の有機基としてはメチル基及びフェニル基が好ましい。特にメチル基が(A)成分との相溶性組成物の硬化特性や柔軟性から好ましく、R2の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。線状ポリマータイプでは、例えば分子鎖両末端ジメチルビニル基停止ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニル基停止ポリジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が好ましい。なお、R2において、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子は、R2の5モル%以下、特に2モル%以下が好ましい。
オルガノポリシロキサンレジンタイプでは、(Me)2ViSiO1/2単位と(Me)3SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(Me)2ViSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(Me)2ViSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体などが好ましい。
【0023】
(A)成分と(B)成分の配合割合は、その合計割合を100質量%とした場合、(A)成分が1〜100質量%、(B)成分が99〜0質量%、好ましくは(A)成分が60〜100質量%、(B)成分が40〜0質量%である。(A)成分が1質量%未満では、耐薬品性、耐水性、光学的特性などオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマーの特徴が発現しない。好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。
【0024】
<(C)架橋剤>
(C)成分の架橋剤は、(D)成分の白金族金属系触媒の触媒作用により、上記(A)成分のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー、(B)成分のオルガノポリシロキサンと付加反応して架橋結合を形成し、三次元網状構造のゴム弾性体を与える架橋剤である。
【0025】
(C)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンから選択され、下記一般式(c1)、(c2)で表される。
【0026】
(C1)下記一般式(c1)
【化10】


(式中、R3は独立に炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基、水素原子、(R033SiCH2−、(R033SiO−基より選ばれ、R03は独立に炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基を示し、x=0〜100である。)
で表されるケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン。
【0027】
(C2)下記平均組成式(c2)
4bcSiO(4-b-c)/2 (c2)
(式中、R4は、独立に炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基、水素原子、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、b及びcは好ましくは0.7≦b≦2.1、0.001≦c≦1.0、かつ0.8≦b+c≦3.0、より好ましくは1.0≦b≦2.0、0.01≦c≦1.0、かつ1.5≦b+c≦2.5を満足する正数である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン。
【0028】
なお、上記R3、R03、R4としては、R1と同様のものが例示されるが、脂肪族不飽和結合を有さないものが好ましい。
また、R4及び後述するR40において、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子は、R4の5モル%以下、特に2モル%以下であることが好ましい。
【0029】
上記平均組成式(c2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
この場合、上記式(2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記一般式(c2’)で示されるものが好ましい。
【化11】


(式中、R40は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基、水素原子、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、(R0403SiO−より選ばれ、R040は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示し、y=0〜50である。)
【0030】
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を少なくとも2個(通常、2〜200個)、好ましくは3個以上(通常、3〜100個)含有する。(C)成分は、(A)成分及び/又は(B)成分と反応し、架橋剤として作用する。
【0031】
(C)成分の分子構造は特に制限されず、例えば、線状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等の、いずれの分子構造でも(C)成分として使用することができる。(C)成分が線状構造を有する場合、Si−H基は、分子鎖末端及び分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよい。また、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)が、通常、2〜200個、好ましくは3〜100個程度であり、室温(25℃)において液状であるオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましく使用できる。
【0032】
(C)成分の添加量は、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物中のケイ素原子に結合した全アルケニル基1モル当たり、(C)成分中のSi−H基の量が0.1〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。このとき、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物中に存在する全アルケニル基に対する(A)成分中のケイ素原子と結合したアルケニル基の割合は50〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましい。
(C)成分の添加量が、(C)成分中のSi−H基の量が0.1モルより少なくなる量であると、本発明の組成物から得られる硬化物の架橋密度が低くなりすぎ、機械強度が不足する。また、耐熱性が悪影響を受ける。一方、添加量が上記Si−H基の量が5.0モルより多くなる量であると、硬化物中に脱水素反応による発泡が生じる。また、金型からの離型性の低下など加工性が低下し、更に残存Si−H基による物性の経時変化の発現や硬化物の耐熱性の低下など悪影響を受ける。
【0033】
<(D)白金族金属系触媒>
(D)成分の白金族金属系触媒は、(A)成分又は(A)成分と(B)成分との混合物の主剤と(C)成分の架橋剤との付加硬化反応(ヒドロシリル化)を促進させるための触媒として使用される。(D)成分としては、公知の白金族金属系触媒を用いることができるが、白金もしくは白金化合物を用いることが好ましい。(D)成分の具体例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体が挙げられる。
【0034】
(D)成分の添加量は、触媒としての有効量であり、希望する硬化速度に応じて適宜増減すればよいが、(A)成分又は(A)成分と(B)成分との混合物の主剤100質量%に対して、白金族金属に換算して質量基準で好ましくは0.1〜1,000ppm、より好ましくは1〜200ppmの範囲である。
【0035】
<他の配合成分>
本発明の付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物には、上記(A)〜(D)成分に加えて、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、補強性充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、導電性付与剤、接着性付与剤、着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤など各種機能性添加剤を配合してもよい。例えば、煙霧質シリカ、沈澱法シリカなどの補強性充填剤、けいそう土、グラファイト、酸化アルミニウム、マイカ、クレイ、カーボン、酸化チタン、ガラスビーズなどの充填剤、導電材料、顔料、滑剤、離型剤としてのポリジメチルシロキサンなどを添加することができる。
【0036】
本発明の付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物は、上記成分を混合することによって得ることができる。
この組成物は60〜200℃、好ましくは80〜160℃で10〜480分、好ましくは30〜240分加熱することによって硬化させることができる。
【0037】
本発明の付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物は、そのシルメチレンシロキサン結合に由来する特徴から、機械的特性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、耐水性などの特性に優れた硬化物を与える。
【0038】
また、透明性、高屈折率特性などの光学特性や成型加工性に優れ、気体透過性などガスバリヤー性に優れるシルメチレンシロキサンコポリマー結合を有するケイ素系ポリマーで、特に透明性、高屈折率特性などの光学特性と耐熱性、ガスバリヤーを必要とするLED用レンズやLED用封止材料に最適な材料である。
【実施例】
【0039】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記において、「部」は質量部を意味する。また、Meはメチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を示す。
[合成例1]アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−1)の合成
メトキシ基含有シルメチレンモノマー[MeO(Me)2SiCH2Si(Me)2OMe]153.6gとジメトキシジメチルシランMeO(Me)2SiOMe120gをキシレン200gに溶解した。水100gと12N塩酸15gを混合した塩酸水溶液を上記シルメチレンモノマー混合溶媒系に60℃で滴下し、加水分解反応をした。次いで、60℃で3時間熟成反応をした後、廃酸分離、水洗洗浄し、140℃で共沸脱水して、オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(a−1)を合成した。
このオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(a−1)にアルケニル基を導入するために、(a−1)190.8gに1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン(TMDVS)0.186gと0.2gのアルカリ重合触媒(KOH)を用いて180℃で5時間重合し、次いで、中和、濾過の後、160℃/5mmHgで30分間ストリップして、アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−1)を調製した。
【0040】
[合成例2]アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−2)の合成
合成例1と同様に、メトキシ基含有シルメチレンモノマー[MeO(Me)2SiCH2Si(Me)2OMe]230.4gとジメトキシジメチルシランMeO(Me)2SiOMe90gをキシレン200gに溶解した。水100gと12N塩酸15gを混合した塩酸水溶液を上記シルメチレンモノマー混合溶媒系に60℃で滴下し、加水分解反応をした。次いで、60℃で3時間熟成反応をした後、廃酸分離、水洗洗浄し、140℃で共沸脱水して、オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(a−2)を合成した。
このオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(a−2)にアルケニル基を導入するために、(a−2)190.8gに1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン(TMDVS)0.127gと0.2gのアルカリ重合触媒(KOH)を用いて180℃で5時間重合し、次いで、中和、濾過の後、160℃/5mmHgで30分間ストリップして、アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−2)を調製した。
【0041】
[合成例3]アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−3)の合成
合成例1と同様に、メトキシ基含有シルメチレンモノマー[MeO(Me)2SiCH2Si(Me)2OMe]192gとジメトキシジメチルシランMeO(Me)2SiOMe480gをキシレン200gに溶解した。水100gと12N塩酸15gを混合した塩酸水溶液を上記シルメチレンモノマー混合溶媒系に60℃で滴下し、加水分解反応をした。次いで、60℃で3時間熟成反応をした後、廃酸分離、水洗洗浄し、140℃で共沸脱水して、オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(a−3)を合成した。
このオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(a−3)にアルケニル基を導入するために、(a−3)190.8gに1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン(TMDVS)0.127gと0.2gのアルカリ重合触媒(KOH)を用いて180℃で5時間重合し、次いで、中和、濾過の後、160℃/5mmHgで30分間ストリップして、アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−3)を調製した。
【0042】
[合成例4]架橋剤成分(C−1)の合成
フェニルトリクロルシラン423部、テトラメチルメチルジシロキサン589.6部及びトルエン530部からなる混合物を水2,500部中に激しく撹拌しながら60分間で滴下した。更に60分間撹拌を行ったのち、中性となるまで水洗した。この混合物を硫酸曹達で脱水後、シロキサン分を蒸溜(沸点160℃/0.09MPa)にて分離精製して架橋剤成分(C−1)を得た。
【0043】
[実施例1]
アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−1)90部に、SiO2単位50モル%、(CH33SiO0.5単位42.5モル%及びViMe2SiO0.5単位7.5モル%からなるレジン構造のビニルメチルシロキサン(以下、「VMQ」とする)レジン10部、ハイドロジェン含有ポリシロキサン(C−1)4.5部(Si−H/Si−Vi=3)、白金触媒として白金含有量が2質量%の塩化白金酸アルコール溶液(D−1)0.1部を添加し、150℃/1hr加熱硬化させてシートを成型した。透明性に優れ、水蒸気透過性の少ないシートが得られた。その物性を表1に示す。
【0044】
A−1:
【化12】


(m=80、n=100、o=10)
【0045】
C−1:
【化13】

【0046】
[実施例2]
実施例1と同様に、アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−2)80部に、VMQレジン20部、ハイドロジェン含有ポリシロキサン(C−1)7.39部(Si−H/Si−Vi=3)、白金触媒(D−1)0.1部を添加し、150℃/1hr加熱硬化させてシートを成型した。透明性に優れ、水蒸気透過性の少ないシートが得られた。その物性を表1に示す。
【0047】
A−2:
【化14】


(m=80、n=50、o=15)
【0048】
[実施例3]
実施例1と同様に、アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−2)64部に、両末端ビニル基含有ジメチル・ジフェニルポリシロキサン共重合体(B−1)[Vi(Me)2SiO[SiMe2O]68[SiPh2O]30Si(Me)2Vi]16部、VMQレジン20部、ハイドロジェン含有ポリシロキサン(C−1)8.9部(Si−H/Si−Vi=3)、白金触媒(D−1)0.1部を添加し、150℃/1hr加熱硬化させてシートを成型した。透明性に優れ、水蒸気透過性の少ないシートが得られた。その物性を表1に示す。
【0049】
[実施例4]
実施例1と同様に、アルケニル基末端含有オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー(A−3)100部に、ハイドロジェン含有ポリシロキサン(C−1)40部(Si−H/Si−Vi=1.0)、白金触媒(D−1)0.1部を添加し、150℃/1hr加熱硬化させてシートを成型した。透明性に優れ、水蒸気透過性の少ないシートが得られた。その物性を表1に示す。
【0050】
A−3:
【化15】


(m=1、n=4、o=1)
【0051】
[比較例1]
実施例1と同様に、両末端ビニル基含有ジメチル・ジフェニルポリシロキサン(B−1)80部、VMQレジン20部、ハイドロジェン含有ポリシロキサン(C−1)12.8g(Si−H/Si−Vi=3)、白金触媒(D−1)0.1部を添加し、150℃/1hr加熱硬化させてシートを成型した。透明性は優れていたが、機械的強度が弱く、水蒸気透過性が大きいシートが得られた。その物性を表1に示す。
【0052】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(a)
【化1】


(式中、R1は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、(R013SiCH2−、(R013SiO−より選ばれ、R01は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基を示し、m=1〜100、n=3〜1,000、o=1〜20である。)
で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー:1〜100質量%、
(B)下記平均組成式(b)
2aSiO(4-a)/2 (b)
(式中、R2は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、aは0.7≦a≦3.0を満足する数である。)
で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン:0〜99質量%、
(但し、(A),(B)成分の合計は100質量%である)
(C)架橋剤が、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中2個以上有し、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサン組成物中の全アルケニル基1モル当たり、本(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量のオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(D)白金族金属系触媒:有効量
を含有する付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
【請求項2】
(A)成分の式(a)において、R1が独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、(R013SiCH2−及び(R013SiO−(R01は上記の通り)より選ばれるものである請求項1記載のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
【請求項3】
(C)成分の架橋剤が、
(C1)下記一般式(c1)
【化2】


(式中、R3は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、水素原子、(R033SiCH2−、(R033SiO−基より選ばれ、R03は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基を示し、x=0〜100である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン、及び
(C2)下記平均組成式(c2)
4bcSiO(4-b-c)/2 (c2)
(式中、R4は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、水素原子、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、b及びcは0.7≦b≦2.1、0.001≦c≦1.0、かつ0.8≦b+c≦3.0を満足する正数である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
から選ばれるものである請求項1又は2記載のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
【請求項4】
(C2)成分が、下記一般式(c2’)
【化3】


(式中、R40は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基、水素原子、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、(R0403SiO−より選ばれ、R040は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示し、y=0〜50である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである請求項3記載のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。
【請求項5】
(A)下記一般式(a’)
【化4】


(式中、R10はメチル基、Y(CH32SiCH2−、Y(CH32SiO−より選ばれ、Yはビニル基であり、m=1〜100、n=3〜1,000、o=1〜20である。)
で表され、ケイ素原子に結合したビニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー:60〜100質量%、
(B)下記平均組成式(b)
2aSiO(4-a)/2 (b)
(式中、R2は独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子より選ばれ、aは0.7≦a≦3.0を満足する数である。)
で表され、末端にケイ素原子に結合したビニル基を1分子中に2個以上有したオルガノポリシロキサン:0〜40質量%、
(但し、(A),(B)成分の合計は100質量%である)
(C)(C1)下記一般式(c1)
【化5】


(式中、R3は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基、水素原子、(R033SiCH2−、(R033SiO−基より選ばれ、R03は独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基を示し、x=0〜100である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン、及び
(C2)下記平均組成式(c2’)
【化6】


(式中、R40は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基、水素原子、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、(R0403SiO−より選ばれ、R040は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示し、y=0〜50である。)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
から選ばれ、付加反応硬化型オルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物中の全アルケニル基1モル当たり、本(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量のオルガノハイドロジェンポリシルメチレンシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)白金族金属系触媒:有効量
を含有する請求項1記載のオルガノポリシルメチレンシロキサンコポリマー組成物。

【公開番号】特開2012−193342(P2012−193342A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22988(P2012−22988)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】