説明

代替フッ化ホウ素前駆体を使用するホウ素イオン注入および注入のための大きな水素化ホウ素の形成

ホウ素含有イオンを、三フッ化ホウ素と比較してより容易に劈開する、フッ化ホウ素含有ドーパント種を用いて、注入する方法。ホウ素含有イオンを、三フッ化ホウ素と比較してより容易に劈開する、フッ化ホウ素含有ドーパント種を用いて注入することを含む、半導体デバイスの製造方法。水素化ホウ素前駆体を供給するシステム、および水素化ホウ素前駆体を形成する方法、ならびに水素化ホウ素を供給する方法もまた、開示される。発明の一つの実施形態において、集積回路のような半導体製品を製造するために、水素化ホウ素前駆体は、クラスターホウ素注入のために生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素注入の改良された方法に関し、特に、三フッ化ホウ素よりも容易に劈開されるホウ素含有ドーパント種を利用する、ホウ素含有イオンを注入する方法に関し、かつその方法において使用する組成物に関する。本発明はまた、水素化ホウ素前駆体の供給方法に関し、また、水素化ホウ素前駆体の供給源に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、集積回路製造において、制御された量のドーパント不純物(例えば、ホウ素)をマイクロ電子デバイスのウェハに正確に導入するために用いられ、マイクロ電子デバイス/半導体製造において、非常に重要なプロセスである。そのような注入システムにおいて、イオン供給源(またはイオンソース)は、所望のドーパント元素のガス(「供給原料」(または「フィードストック」))をイオン化し、イオンは所望のエネルギのイオンビームの形態で、供給源から取り出される。引き出し(または抽出)は、高電圧を、適切な形状にされた引き出し電極であって、引き出されたビームが通過するための孔を組み込んでいる電極に印加することにより、達成される。イオンビームはそれから、ドーパント不純物を注入し、所望の導電率の領域を形成するために、マイクロ電子デバイスのウエハのような被加工物の表面に向けられる。それから、注入されたドーパント原子はアニーリングにより活性化されて電気的に活性なドーパント領域を形成する。
【0003】
現在、当該分野のデバイスの製造において、10〜15以上の注入工程が存在する。ウエハ寸法を大きくし、限界寸法を減少させ、および回路の複雑さを増大させることは、より良好なプロセス制御、低エネルギで、高いビーム電流を解放すること、および平均故障間隔(mean time between failures;MTBT)の減少に関して、イオン注入ツールに対し、より大きな要求がなされている。
【0004】
三フッ化ホウ素(BF)は、従来、ホウ素ドーパント不純物の供給源であった。しかしながら、BFは、イオン注入で一般的に用いられる他のドーパント種(AsH=274kJ mole−1およびP-H(=297kJ mole−1)と比較して、B−F結合(757kJ mole−1)を破壊するためには、相当の量のエネルギを必要とする点で問題である。その結果、ホウ素注入の際に、イオン供給源は高アーク電圧にて運転しなければならない。高アーク電圧はイオン供給源領域で熱いフィラメント又はカソードを攻撃する高エネルギイオンを生成し、カソードの故障又はスパッタ腐食を助長する。
【0005】
イオン注入器に供給されるBFドーパントの公称80%は、そのまま排出され、このことは、BFがイオン化されていないか、あるいはイオン化されても、フラグメントが再結合するかのいずれかを示していることが既に報告されている。明らかに、高アーク電圧におけるBFの低イオン化は、既に非常に非効率的であるプロセスをさらに悪化させている。
【0006】
このように、MTBF、プロセス効率、およびツールの寿命を向上させ、イオン供給領域にて不揮発性種の蓄積を低くするために、ホウ素元素ガスとして使用する代替のホウ素含有ドーパント前駆体を提供することが、継続的に必要とされている。
【0007】
ホウ素クラスター注入は、三フッ化ホウ素を使用する注入に必要とされるエネルギレベルよりも低いエネルギレベルにて、イオン注入効率を上昇させる方法である。ホウ素クラスター注入の典型的な方法は、デカボラン(B10)およびオクタデカボラン(B18)水素化ホウ素前駆体を、使用する。これらの前駆体は、室温にて固体であり、比較的低い蒸気圧を有する。これらの前駆体の使用は、遠く離れた容器(またはコンテナ)から前駆体物質を昇華させること、および得られた蒸気を、流体フローのラインに沿ってクラスター注入のための半導体ツールへ移動させることを伴う。これらのプロセスは、不十分な物質のフローおよび濃縮という、潜在的な副次的悪影響を伴う。前者に対抗するために、固体供給源を含む容器は、一定且つ正確な温度に加熱することを要する。不必要な濃縮を避けるために、ツールに至るラインを、熱追跡する必要がある。
【0008】
デカボランおよびオクタデカボランを前駆体として使用する、ホウ素クラスターの注入は、さらなる課題を呈しており、課題として下記に特定されたものが挙げられる。
・固体コンテナおよび輸送ラインを熱追跡することは、費用がかかり、煩わしく、イオン注入器においては実施することが難しく、装置の改装が困難であり、失敗しやすい。
・バランスのとれていない熱負荷は、冷たいスポットでの濃縮に至る可能性があり、詰まり又は不均一な流量をもたらす。
・固体物質に加えられた過剰な熱は、分解に至る可能性があり、不純物および不均一な流量をもたらす。
・昇華した物質の流量は、蒸発器の利用可能な表面積に左右される。時が経つにつれて、固体が使い尽くされ(または劣化し)、再結晶されるので、蒸発器の表面積が減少し、詰められる蒸発器の寿命の間に、流量の減少を招く。
・ツール内の物質の量を測定することが非常に困難であり、蒸気圧のみに基づいている。
・ツールへの物質の供給を制御することが困難であり、かつ費用がかかる。
・デカボランおよびオクタデカボラン物質は、高価である。
・イオン供給源に隣り合う蒸発器の設置は、熱追跡される輸送ラインを注入器内部に設置することに関する問題を最小限にするように、多くの場合、行われるが、安全および法律上の懸念に帰結し得る危険な行為である。
【0009】
したがって、当該分野において、クラスターホウ素注入のための新しいシステム、方法、および前駆体に対する要求があり、当該要求には、従来のホウ素含有イオンの注入と比較して、クラスターホウ素注入のための前駆体を注入のためのツールに送る、改良された方法であって、前駆体がツールへ容易に輸送をされることを可能にする方法に対する要求も含まれている。
【発明の開示】
【0010】
(発明の要旨)
【0011】
本発明は、三フッ化ホウ素よりも容易に劈開される、ホウ素含有ドーパント種を用いて、ホウ素含有イオンを注入する方法に関する。より具体的には、本発明は、効率;MTBF;および三フッ化ホウ素よりも容易に劈開されるホウ素含有ドーパント種を使用する、イオン供給源のハードウェアの寿命を向上させることに関する。
【0012】
一つの要旨において、本発明は、ホウ素含有イオンを注入する方法であって、
真空チャンバー(または真空容器、真空槽もしくは減圧チャンバー)内の気化したホウ素含有ドーパント種を、イオン化条件にてイオン化し、ホウ素含有イオンを生じさせること;および
ホウ素含有イオンを、電場により加速させて、ホウ素含有イオンをデバイスの基体に注入すること
を含み、
ホウ素含有ドーパント種が、BF以外の種から実質的に成る
方法に関する。
【0013】
他の形態によれば、ホウ素含有ドーパント種は、ホウ素含有ドーパント種の全体の重量を基準として、20重量%未満のBFを含み、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満のBFを含み、さらにより好ましくは、ホウ素含有ドーパント種が、実質的にBFを含まない。最も好ましくは、ホウ素含有ドーパント種は、三フッ化ホウ素をまったく含まない。
【0014】
別の要旨において、本発明は、ホウ素含有イオンを注入する方法であって、
真空チャンバー(または真空容器もしくは真空槽)にて、気化したフッ化ホウ素ドーパント種を、イオン化条件にてイオン化し、ホウ素含有イオンを生じさせること;および
ホウ素含有イオンを、電場により加速させて、ホウ素含有イオンをデバイスの基体に注入すること
を含み、
フッ化ホウ素ドーパント種が、B24、B(BF2)3CO、BF2CH3、BF2CF3、BF2Cl、BFCl2、BF(CH3)2、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、H4BF32、H4BF33、B812、B1012、および(F2B)3BCOから成る群から選択された化合物を含む
方法に関する。
【0015】
本発明の別の要旨は、ホウ素含有ドーパント種を含む組成物または試薬に関する。当該組成物または試薬はホウ素含有イオン注入に有用である。一つの形態によれば、組成物または試薬は、BF以外の種から実質的になる。別の形態によれば、ホウ素含有ドーパント種は、ホウ素含有ドーパント種の全体を基準にして、20重量%より少ないBFを含み、より好ましくは10重量%より少ないBFを含み、さらに好ましくは5重量%より少ないBFを含み、さらにより好ましくは、ホウ素含有ドーパント種が実質的にBFを含まない。最も好ましいホウ素含有ドーパント種は、三フッ化ホウ素をまったく含まない。別の形態によれば、組成物または試薬は、700kJ/モル未満、より好ましくは650kJ/モル未満、さらにより好ましくは600kJ/モル未満のエネルギで、容易に劈開される、ホウ素含有ドーパント種を含む。一つの好ましい形態によれば、フッ化ホウ素ドーパント種は、B24、B(BF2)3CO、BF2CH3、BF2CF3、BF2Cl、BFCl2、BF(CH32、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、H4BF32、H4BF33、B812、B1012、および(F2B)3BCOから成る群から選択されたホウ素含有化合物を含む。
【0016】
本発明のさらに別の要旨は、イオン注入供給源(またはイオン注入ソース)への物質の供給において使用するのに適した、保管およびデリバリ(または輸送用)容器であって、本発明のホウ素含有ドーパント種を含む(またはそれを入れる)容器に関する。一つの形態において、容器はシリンダである。別の形態において、容器は、米国特許第5,518,528号;米国特許第5,704,965号;米国特許第5,704,967号;米国特許第5,935,305号;米国特許第6,406,519号;米国特許第6,204,180号;米国特許第5,837,027号;米国特許第6,743,278号;米国特許第6,089,027号;米国特許第6,101,816号;米国特許第6,343,476号;米国特許第6,660,063号;米国特許第6,592,653号;米国特許第6,132,492号;米国特許第5,851,270号;米国特許第5,916,245号;米国特許第5,761,910号;米国特許第6,083,298号;米国特許第6,592,653号;および米国特許第5,707,424号で説明されているような、大気圧より低い(または減圧)容器である。これらの文献は、各文献の全体が引用により本明細書に組み込まれる。好ましい容器として、例えば、SDS(登録商標)およびVAC(登録商標)デリバリ容器(ATMI, Inc. Danbury, コネチカット州、米国から入手可能である)が挙げられるが、これらに限定されない。別の要旨によれば、容器は、米国特許第6,868,869号; 米国特許第6,740,586号;米国特許出願第10/201,518号; 米国特許出願第10/858,509号; 米国特許出願第10/625,179号; 米国特許出願10/028,743号; 米国仮特許出願第60/662,515号; および米国仮特許出願第60/662,396号に記載されているようなアンプルである。これらの文献は、引用により、各文献の全体が本明細書に組み込まれる。
【0017】
さらにまた別の要旨において、本発明は、マイクロ電子デバイスを製造する方法であって、気化したフッ化ホウ素ドーパント種を、真空チャンバー内で、イオン化条件にてイオン化して、ホウ素含有イオンを生成すること、およびホウ素含有イオンを電場により加速して、ホウ素含有イオンをデバイスの基体に注入すること、および必要に応じて、前記デバイスの基体でマイクロ電子デバイスを組み立てることを含み、フッ化ホウ素ドーパント種が、BF以外の種から実質的に成る、方法に関する。より好ましくは、ホウ素含有ドーパント種は、BFを実質的に含まない。最も好ましくは、ホウ素含有ドーパント種は、三フッ化ホウ素をまったく含まない。
【0018】
本発明のさらに別の要旨は、改良されたマイクロ電子デバイス、およびそれを組み込んだ製品であって、ここで説明する方法および組成物を用い、さらに必要に応じて、マイクロ電子デバイスを製品に組み込んで製造される電子デバイスおよび製品に関する。
【0019】
本発明はまた、水素化ホウ素前駆体を製造する方法、および水素化ホウ素前駆体を供給する方法に関する。より具体的には、本発明は、クラスターホウ素注入のために、ホウ素含有ガスから生成する、水素化ホウ素前駆体に関する。加えて、本発明は、水素化ホウ素前駆体の供給源(またはソース)に関する。
【0020】
一つの要旨において、本発明は、クラスターホウ素注入のための水素化ホウ素を製造する方法を提供する。当該方法は、ホウ素含有ガスを供給(または用意)すること、およびホウ素含有ガスのより高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発することを含む。
【0021】
別の要旨において、本発明は、水素化ホウ素前駆体を供給する方法を提供する。当該方法は、ホウ素含有ガスを供給(または用意)すること、ホウ素含有ガスのより高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発すること、および当該より高次のホウ素含有クラスターをクラスターホウ素注入のためのツールに供給することを含む。一つの形態において、変換は、ツールに隣り合う反応器において、実施される。別の形態において、反応器は、ツール内にある。
【0022】
別の要旨において、本発明は、水素化ホウ素前駆体の供給源であって、
ホウ素含有ガス供給源;
ホウ素含有ガス供給源からのホウ素含有ガスが、より高次のホウ素含有クラスターへ転換することを誘発する容器;
ホウ素含有ガス供給源と反応器を、相互に繋ぐフロー回路;および
必要に応じて、前記フロー回路内で、質量または圧力コントローラ
を含む供給源に関する。
【0023】
別の要旨において、本発明は、マイクロ電子デバイスを製造する設備であって、本発明の水素化ホウ素前駆体の供給源、およびマイクロ電子デバイスの製造ツールであって、水素化ホウ素前駆体の供給源とフロー連通した状態で連結されているツールを含む、デバイスに関する。
【0024】
本発明のさらに別の要旨は、マイクロ電子デバイスを製造する方法であって、前記の方法により製造されたクラスターホウ素種を用いて、クラスターホウ素イオンを注入することを含む方法に関する。
【0025】
本発明のさらにまた別の要旨は、前記の方法により製造された、クラスターホウ素種の使用を含む、クラスターホウ素イオンの注入方法に関する。
【0026】
本発明の他の要旨、特徴および形態は、あとに続く開示および添付の請求の範囲から、より十分に明らかになるであろう。
【0027】
(発明の詳細な説明および好ましい形態)
本発明は、効率、MTBFおよびイオン注入器の寿命を向上させるために、三フッ化ホウ素よりも容易に劈開する、代替のホウ素含有前駆体を使用する、ホウ素含有イオンに富むイオンビームを生成することに関する。
【0028】
本発明はまた、クラスターイオン注入のための水素化ホウ素前駆体を形成する方法、およびそのような前駆体をクラスターイオン注入で使用するために供給する方法に関する。加えて、本発明は、水素化ホウ素前駆体の供給源に関する。
【0029】
本発明の一形態は、700kJ/モル未満、好ましくは650kJ/モル未満、さらにより好ましくは600kJ/モル未満のエネルギで、容易に劈開される、ホウ素含有ドーパント種を使用する、ホウ素含有イオンの注入方法に関する。本発明はまた、そのような種を含む組成物又は供給(又はデリバリー)システムに関する。
【0030】
ここで使用される、「イオン供給領域」は、真空チャンバー、ソースアークチャンバー、ソース絶縁体、引き出し電極、抑制電極、高電圧絶縁体、およびソースブッシングを含む。
【0031】
ここで使用される、「マイクロ電子デバイス」は、マイクロエレクトロニクス、集積回路またはコンピュータチップアプリケーションおよびパッケージングで使用するために製造される、マイクロ電子機械システム(MEMS)、フラットパネルディスプレイ、および半導体基板に相当する。「マイクロ電子デバイス」という用語は、何らかの形で制限されることを意味するものではなく、最終的にマイクロ電子デバイスまたはマイクロ電子アセンブリになる、いずれの基体をも含む。
【0032】
ここで使用される、「前駆体」(またはプリカーサ)は、先にあり、別の分子または構造の源(もしくはソース)である、任意の分子または構造を含む。「ホウ素前駆体」は、ホウ素を含む前駆体であって、種々の注入方法において、ホウ素イオンの源として使用され得る。同様に、「水素化ホウ素前駆体」は、水素化ホウ素を含み、注入の際にホウ素イオンの源となり得る。
【0033】
ホウ素イオン(B)は、シリコン基体において、p型領域を形成するために、一般的に注入されるが、ここでは、浅いp型のドープ領域を有する電子デバイスを、当業者に周知であるように、ホウ素を含む分子イオンを注入することにより製造する方法もまた、意図されている。例えば、BFのような分子イオンは、低有効ホウ素エネルギをBFイオンの高い引き出しエネルギにて得るために注入してよい。
【0034】
本発明者らは、ホウ素含有ドーパント化合物の結合エネルギを低下させることは、必要とされるアーク電圧が付随して低下することに帰結し、イオン供給源の寿命を長くすると、仮定した。
【0035】
したがって、本発明の一つの形態は、ホウ素含有イオンを注入する方法であって、常套の熱カソードイオンの供給源を使用して、100ボルト未満、好ましくは90ボルト未満、より好ましくは80ボルト未満、最も好ましくは70ボルト未満のアーク電圧を使用して、または別のイオン供給源を使用して、それに匹敵する電圧を使用して、高いイオン化効率(少なくとも15%)にて、ホウ素含有ドーパント種をイオン化することを含む方法に関する。そのために、一つの要旨において、本発明は、ホウ素含有イオンをマイクロ電子デバイスの基体に注入する方法であって、ホウ素含有前駆体原料を気化させて、気化ホウ素含有ドーパント種を生成すること(ホウ素含有前駆体供給原料が液体または固体であるとき)、気化したホウ素含有ドーパント種をイオン化して、ホウ素含有イオンを生成すること、およびホウ素含有イオンを電場により加速して、それをマイクロ電子デバイスの基体に注入することを含み、ホウ素含有前駆体原料が、実質的な量の三フッ化ホウ素を含まない、方法に関する。好ましくは、ホウ素含有前駆体は、ハロゲン種を含む。ハロゲン種として、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。より好ましくは、ホウ素含有前駆体は、フッ化ホウ素前駆体である。以下において、フッ化ホウ素前駆体への言及は、何らかの形で制限することを意味しているものではないことが、理解されるべきである。
【0036】
ここで意図されるホウ素含有前駆体として、B24、B(BF2)3CO、BF2CH3、BF2CF3、BF2Cl、BFCl2、BF(CH3)2、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、4BF32、H4BF33、B812、B1012、(F2B)3BCO、およびその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。別法として、前述のホウ素含有前駆体のフッ素原子は、一部または全部が別のハロゲン原子で置換されてよい(例えば、BCl、BBr、BCl等)。特に好ましい形態において、ホウ素含有前駆体は、Bを含む。Bは、BFにおけるB−F結合を劈開するのに必要とされるアーク電圧よりも低いアーク電圧にて、B−B結合でのホモリティックな劈開(または開裂)に付されると期待される。したがって、本発明の別の形態は、ホウ素含有イオンを注入する方法であって、ホウ素含有前躯体をB−B結合にて劈開することを含む方法に関する。本発明の別の形態は、少なくとも一つのB−B結合を有する、ホウ素含有前駆体を含む、組成物または供給システム(またはデリバリー・システム)に関する。
【0037】
好ましくは、代替のホウ素含有前駆体種は、約100kJ/モル〜約650kJ/モル、より好ましくは約300kJ/モル〜約550kJ/モルの範囲内にある、解離エネルギを必要とする。
【0038】
別の形態において、本発明は、ホウ素含有イオンをマイクロ電子デバイスの基体に注入する方法であって、ホウ素含有前駆体原料を気化させて、気化したホウ素含有ドーパント種を生成し(ホウ素含有前駆体原料が、液体または固体であるとき)、気化したホウ素含有ドーパント種をイオン化して、ホウ素含有イオンを生成すること、およびホウ素含有イオンを電場により加速して、これをマイクロ電子デバイスの基体に注入することを含み、ホウ素含有前駆体原料が三フッ化ホウ素と少なくとも一つの追加のホウ素含有前駆体とを含み、当該追加の前駆体が、B24、B(BF2)3CO、BF2CH3、BF2CF3、BF2Cl、BFCl2、BF(CH3)2、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、4BF32、H4BF33、B812、B1012、(F2B)3BCOおよびその組み合わせから選択される、少なくとも一つの前駆体である、方法に関する。別法として、上述のフッ素含有前駆体のフッ素原子は、他のハロゲン原子で部分的にまたは全部置換されてよい(例えばBCl、BBr、BCl等)。
【0039】
別の形態において、代替のホウ素含有前駆体種は、より高次のボランおよびカルボラン、小さなnido型カルボラン、例えば、CB59、C248、C337、C426、およびC237;開いたかご型カルボラン、例えば、C237、CB59、C248、C337、C426、C2713;および小さいクロソ型(closo)カルボラン、例えば、C23、C246、C257、CB57、C268、C279、C2810、C2911、C21012である。加えて、これらのカルボランの誘導体を使用して、フッ素供給源(またはソース)との組み合わせにおいて、カルボランの化学的特性(即ち、蒸気圧、毒性、反応性)を変化させ、最適にするために、使用してよい。より高次のボランおよびカルボランは、ハロゲン化されたホウ素含有前駆体よりも安定した化合物となる傾向にあり、イオン注入のためのより低いアーク電圧にて、Bフラグメントを提供し得る。必要に応じて、また好ましくは、ホウ素含有前駆体種がより高次のボランおよび/またはカルボランを含む場合、ホウ素含有前駆体原料は、少なくとも一つのフッ素供給源を含んでよい。
【0040】
さらに別の形態において、代替のホウ素含有前駆体は、必要に応じてフッ素供給源の存在下で、少なくとも一つの前記ハロゲン化ホウ素含有前駆体、ならびにより高次のボランおよび/またはカルボランを含んでよい。
【0041】
代替のホウ素含有前駆体を解離するために必要とされるアーク電圧が低くなることに加えて、代替の種は好ましくは、解離して、揮発性であり、かつ真空チャンバーの内側およびイオン供給源領域の他の部品をめっきしない、副生成物となる。さらに、代替のホウ素含有前駆体は、好ましくは、低い炭素含有量を有する(即ち、一分子あたり3未満、好ましくは、2未満、最も好ましくは1未満の炭素原子)。炭素の付着物は、イオン供給源部品の寿命を短くするからである。
【0042】
フッ化ホウ素含有前駆体を使用することの利点は、イオン供給源で生成される、フッ素ラジカルの発生を含む。当該フッ素ラジカルは、イオン供給領域の部品の壁に付着したホウ素と反応し、それにより当該部品を清浄に保つからである。この目的のために、フッ化ホウ素含有ドーパント種が、イオン化の間に十分なフッ素ラジカルを生成しない場合には、イオン化の間、フッ素含有種(例えば、F)をイオン供給源領域に導入して、部品およびチャンバーの清浄プロセスに役立たせてよい。フッ化ホウ素含有ドーパント種に対するフッ素含有種の量は、当業者であれば容易に決定できる。したがって、本発明の一つの形態は、BF3、BCl3、BBr3、B24、B2Cl2、B(BF23CO、BF2CH3、BF2CF3、BF2Cl、BFCl2、BF(CH32、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、H4BF32、H4BF33、B812、B1012、(F2B)3BCO、CB59、C248、C337、C426、C237、C237、CB59、C248、C337、C426、C2713、C235、C246、C257、CB57、C268、C79、C2810、C2911、C21012、(Cl2B)3BCOおよびそれらの組合せから成る群より選択される、ホウ素含有ドーパント種、およびフッ素含有種(例えば、F)を含む、ホウ素含有イオン前駆体を用いて、ホウ素含有イオンを注入する方法に関する。
【0043】
本発明の別の形態において、希ガス(例えば、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノン)を、ホウ素含有ドーパント種と共に混合してよく、あるいは希ガスをホウ素含有ドーパント種と混合するために、真空チャンバーに別途供給してよく、それにより気相試薬組成物を形成する。理論に拘束されることを望むものではないが、希ガスは、ホウ素含有ドーパント種と衝突して、ドーパント種がより低いアーク電圧にて解離するのを助けると考えられる。加えて、ホウ素含有前駆体を希ガスと相互に混合させると、操作条件がより穏やかになる(又はより好都合なものとなる)。したがって、本発明の別の要旨は、任意のホウ素含有前駆体(例えば、BFまたは前記の前駆体の組)を使用し、かつイオン化効率を向上させるために希ガスを添加して、ホウ素含有イオンを注入する方法に関する。本発明のこの要旨に関して、ホウ素含有前駆体は、BFであることが好ましい。
【0044】
ここでは、供給原料が、代替のホウ素含有前駆体に加えて、三フッ化ホウ素を含むこともまた、意図されている。例えば、原料は、原料の全重量を基準として、約0.01重量%〜約90重量%のBFを含んでよい。
【0045】
実際には、液体および/または固体のホウ素含有前駆体原料は、当業者に周知である、気化方法(例えば、減圧、加熱等)を用いて、真空チャンバーの前または真空チャンバーにて、気化され、一方、ガス状の前駆体原料は、真空チャンバーに直接、導入される。イオン供給源は、ガス状のドーパント種で満たされた真空チャンバーに電子を導入することにより、生成する。幾つかのタイプのイオン供給源は、市販されている注入システムにおいて、一般的に用いられている。市販されている注入システムとして、熱電極を用い、電気アークにより作動する、フリーマン(Freeman)およびベルナス(Bernas)タイプ、マグネトロン、間接的に加熱されるカソード供給源、およびRFプラズマ供給源が使用され、これらがすべて真空において作動する、マイクロ波タイプが挙げられる。電子とガス状のドーパント種との衝突は、正および負のドーパントイオンから成る、イオン化されたプラズマの生成をもたらす。負または正のバイアスをかけた引き出し電極は、それぞれ、正または負のイオンが、開口部を通過して、コリメートされた(または平行になった)イオンビームが外に出ることを許容し、このイオンビームは、マイクロ電子デバイスの被加工物(またはワークピース)に向けて加速される。
【0046】
クラスターホウ素注入は、従来のホウ素前駆体(例えば、三フッ化ホウ素、ジボラン等)の使用に対し、イオン注入の効率を増大させる。プロセスで注入される注入器は、そのようなホウ素前駆体を使用する従来のドーパント供給プロセスよりも、低いエネルギで作動し得る。クラスターの使用は、複数のホウ素の供給を一回で行うことを可能にする。本発明は、種々の要旨において、水素化ホウ素前駆体を形成する方法、水素化ホウ素の供給源、およびホウ素クラスター注入のために水素化ホウ素前駆体を供給(又は運ぶ)する方法を提供する。
【0047】
水素化ホウ素のジボラン(6)は、毒性を有し、可燃性であり、自燃性(または自前発火性)を有し、危険であり、かつひどく不快な臭いを有する。室温で分解して、より高次のボラン、例えば、BH、B、B等を生成する。分解反応は、下記の反応を含み得る。
【0048】
【化1】

【0049】
高速で分解するために、ガスは、一般に、30%以下の濃度でのみ、市販されている。本発明は、この自然の分解プロセス、およびより高次のボランの形成を利用して、クラスターホウ素注入で使用する水素化ホウ素前駆体を生成する。好ましくは、水素化ホウ素前駆体の生成は、前駆体の使用ポイント(または場所)の近くで、又はそのポイントにて実施される。
【0050】
一つの形態において、本発明は、圧力制御された、またはフローが制御されたボラン供給源であって、図1に示すように、当該供給源からボラン供給物質が、その内部で反応するための反応器に、ガスとして導入されて、当該反応器の内部で高次のホウ素クラスターを生成し、それから当該高次のホウ素クラスターを、ホウ素クラスターを注入するツールに流す、ボラン供給源を提供する。
【0051】
図1は、本発明の一形態のクラスターホウ素供給プロセスシステム10の模式図である。ホウ素前駆体は、円筒形の容器12であって、その上側部分に固定されたバルブヘッド・アセンブリ14を有する容器12に含まれる。容器およびヘッドバルブ・アセンブリは、ガスボックス16に入れられ、そのボックスの中で、当該ヘッドバルブ・アセンブリは、輸送ライン18と接続されている。ガスボックス16の外側の輸送ライン18は、その内部に質量または圧力制御器20を有し、ホウ素前駆体の蒸気のフローを調節する。
【0052】
円筒形の容器は、好ましくは、ガスの状態のホウ素供給物質を含む。
【0053】
別法として、好ましさの程度はより小さいが、容器は、固体の状態のホウ素供給物質を含み、固体を気化させるために、ガスボックス内部で容器を加熱して、前駆体蒸気を形成してよい。容器は、任意の適切な方法(部品を加熱する、および/または図1に示されていないデバイス、例えば、加熱ジャケット、ガスボックス内の対流式熱伝導を使用することにより、あるいは、所望の量のホウ素前駆体蒸気を生成するのに適した他の任意の方法で、加熱することができる。
【0054】
輸送ライン18は、その下流側の端部において、反応器22に結合されて、当該容器の中で、より高次のボラン種、例えば、BH、B、B等の生成をもたらす。図示するように、反応器22は、半導体ツール24に隣り合うように配置され、反応器はツールと流体供給の関係にあり、より高次のボランが直接的に反応器からツールに流れるようにされている。
【0055】
本発明の種々の要旨において、反応器は、ツールから独立して、またはツールに隣り合うようにして、またはツールの内部に、配置されてよい。ツールは、例えば、イオン注入器のユニット、またはホウ素前駆体流体を使用する他のツールを含んでよい。好ましい形態において、ツールは、マイクロ電子デバイスを製造するツールである。
【0056】
好ましい実施において、ボラン供給源はガスである。そのようなホウ素含有ガスは、輸送するのが容易である。供給源物質(またはソース・マテリアル)であるホウ素含有ガスは、当業者に知られている任意の方法で、使用する前に、保管することができる。そのような保管方法として、不活性ガス(例えば、水素、アルゴン、ヘリウムまたは窒素)中で、希釈された形態のガスの保管、およびきちんとしたガスの保管を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例示的なボラン供給ガスとして、ジボランおよびペンタボランが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0057】
ボラン含有ガスは、供給容器から反応器に運ばれるので、ボラン含有ガスは、図1に例示的に示されている、コントローラ、例えば質量または圧力コントローラ20を通過することが好ましい。そのようなコントローラは、質量または圧力を調節して、反応器への供給の間、ガスが所望の状態のままとなるようにすることができる。そのような制御は、固体物質および熱追跡ラインを経由するフローを利用する従来の方法よりも、好都合である。コントローラの使用は、本発明において必要とされないが、反応器へ向かう前駆体の所望のフローを提供するうえで、非常に好都合である。
【0058】
ボラン含有ガスに加えて、追加の一または複数の反応体を供給してよい。そのような追加の反応体は、ガス供給源から反応器への輸送の任意のポイントにて加えてよく、あるいは、反応器それ自体に加えてよい。そのような一または複数の反応体は、したがって、反応の動力学(もしくは速度)または効率を向上させるために、用いることができ、あるいはより複雑なより高次のホウ素種を形成するために、用いることができる。そのような反応体の使用は、ホウ素に対する水素の比の最適化して、所望の生成物を形成することを許容する。例えば、不揮発性のホウ素ポリマーの形成は、適切なH混合物であって、詰まらない物質の収率を最大にする混合物を使用することにより、抑えられる。
【0059】
ジボランが、本発明において使用されるガスである場合、ジボランのガスの濃度は、1000ppm〜30重量%の範囲であってよい。ジボランの元の濃度は30%よりも大きいが、それは保管容器において安定でなく、分解する。30%よりも大きい濃度が、反応器へ供給されることを望む場合、ガスを反応器に輸送するラインにおいて、濃縮器を用いてよい。
【0060】
そのような濃縮器は、図2で示される前駆体供給システムにおいて、模式的に図示されており、当該システムにおいて、供給ライン30内の希釈されたジボランの供給ストリーム(または流れ)は、H2ゲッター/ジボラン濃縮器32に流されて、得られる濃縮されたジボランは、より高次のボランを形成するために、反応器34に流され、当該より高次のボランは、反応器から放出ライン36内に放出される。
【0061】
30%を超えるジボランが望まれる状態において、濃縮器が使用されて、ライン中のHの量を減らす。そのように水素を減らすことは、より高次のボラン種から水素を除去するために、Hゲッターまたは浸透法(例えば、水素選択的透過性膜)を用いて、達成してよい。
【0062】
より高次のボランを生成する本発明を実施するときに用いられる反応器は、得られるクラスターを使用する地点の近くに配置することができる。そのような配置は、クラスターを使用するツールから独立していてよく、あるいは当該ツールに隣り合っていてよく、あるいは当該ツール内にあってよい。反応器の内部において、2よりも多いホウ素が存在するホウ素分子の生成をもたらす反応が、誘発される。種々の形態において、反応器内の反応の温度は、室温〜400℃の範囲内にあってよく、また、種々の形態において、反応器内の圧力は、真空〜1000psiの範囲内にあってよい。
【0063】
そのような目的のために、ここでの開示を基にして、当業界のスキルの範囲内で、種々のタイプの反応器を用いることができる。ホウ素クラスターの生成を誘発する任意の反応器の使用は、本発明の範囲に包含される。本発明を実施する際に、有用に用いられ得る反応器には、加熱反応器;触媒反応器;加熱触媒反応器;UVランプ;電気、マイクロ波もしくは高周波数の放電またはプラズマを用いる反応器;充填反応器;多段階加熱反応器;ホットプレート;高圧反応器;および同心の管状(またはチューブ状)反応器が含まれるが、これらに限定されるものではない。ここで挙げた反応器のタイプは、相互に排他的なものではなく、例えば、加熱充填触媒反応器(図4参照)または多段階加熱同心反応器(図5を参照)を、本発明の特定の形態において用いることができる。
【0064】
本発明の実施において有用に用いられる加熱反応器は、加熱されるいずれの反応器をも含み得る。そのような反応器は、加熱壁反応器(heated wall reactor)、加熱充填反応器、冷却壁反応器(cold wall reactor)、内部に加熱されたセクションを備える反応器、反応器の全体にわたって多段階温度勾配を含む反応器であってよい。加熱反応器には、反応の誘発において熱が用いられる、任意の反応器が含まれる。種々のタイプの加熱反応器は、図3〜8において、例示的に示されている。
【0065】
本発明の実施に際して有用に用いられる触媒反応器は、反応器内で反応を促進する、いずれの反応器をも含み得る。触媒は、反応に加えてよく、または反応器それ自体の一体化された部分にあってよい。触媒として、鉄、アルミニウム、銅、アルミナ、白金、ホウ素、炭素、炭素吸着剤、および活性炭を挙げることができるが、これらに限定されない。触媒が反応器の一部である場合、それらは、反応器の構造的な表面に取り付けられてよく、またはビーズもしくはペレットとして反応器に充填してよく、あるいは反応器は任意の公知のフロー構成、例えば、チューブ、ハニカムまたはビーズ(もしくは玉状物)を備える、触媒が含浸された媒体を含んでよい。広く様々なタイプの触媒反応器を用いてよい。
【0066】
本発明の方法またはシステムで使用される高圧反応器は、反応が高圧にて生じることを許容する、いずれの反応器を含んでよい。高い圧力は、当業界で公知の任意の方法によって生じさせてよい。例えば、反応器内の圧力は、ホウ素含有クラスターを半導体ツールに送るために、反応器内で圧力が増加するように、反応器の出口領域にて、オリフィスまたはスリットを使用することにより、生じさせることができる。典型的には、ツールがイオン注入器であるとき、ツール内の圧力は減圧(例えば、大気圧よりも低い圧力)である。
【0067】
図3は、高圧反応器40の模式図であり、当該反応器において、高い圧力は、出口への通路44における狭窄(または、すぼみ)により生成され、それにより、ホウ素クラスター生成反応が反応器内で、ツール内の圧力よりも高い圧力にて生じる。反応器は、入口42を有し、当該入口にて、ジボランまたはボラン混合物を、反応器の内部体積(または容積、もしくは内部の空間)に導入することができ、その内部でより大きなホウ素クラスターを形成するようにジボランまたはボラン混合物を反応させ、当該クラスターは、反応器の出口から放出される。この反応器の枠組みにおいて、P1およびT1は、P2およびT2よりも大きい。
【0068】
本発明の方法またはシステムで使用される充填反応器には、充填物質を含む任意の反応器が含まれ得る。充填物質は、反応が起きるように表面反応を単純に増加させて、熱伝導を向上させる、あるいは触媒効果を提供するために、用いることができる。充填物質にはまた、公知のフロー設計(またはフロー構成)、例えば、チューブ、ハニカム、またはビーズを有する、触媒を含浸させた媒体が含まれる。
【0069】
図4は、本発明の実施の際に有用に用いられ得る、加熱充填反応器50の模式図である。反応器は、入口60を有し、当該入口により、ジボランまたはボラン混合物を反応器の内部体積(または内部容積)に導入することができる。内部体積52は、表面エリアの反応を増強させるものを含み、あるいは、触媒で充填されており、放出ライン56において反応器から放出される、より大きなホウ素クラスターを生成する。
【0070】
本発明で使用する同心管状反応器には、複数の管を有する、任意の反応器が含まれる。図5において説明のための例を示す。この例においては、複数のガスが、反応器内の反応のために組み合わされ、加熱されたゾーンにおける重要な地点(またはクリティカルなポイント)において反応が生じる。
【0071】
図5の反応器70は、内部同心チューブ72を含み、当該チューブは、反応器の主たる囲い(またはメインケーシング)と同心であり、それらの間で環状通路を画定する。環状の通路は、矢印Bで示される方向に一又は複数の反応体が入る、反応体供給入口74と、流体連通している。そのように導入された一又は複数の反応体は、内部同心チューブ72の出口端部にて、チューブ72内に矢印Aで示す方向に流入する、ジボランまたはボラン混合物と混ざる。熱またはプラズマエネルギが、反応ゾーン76にて混合する流体ストリームのそれぞれに導入されて、反応器70から出口にて放出される、より大きなホウ素クラスターを生成する。当該クラスターは矢印Cで示す方向に放出される。
【0072】
本発明の実施において有用である、多段階加熱反応器には、反応器の一部から別の部分にかけて、温度変化している任意の反応器が含まれ得る。そのような反応器には、冷/熱反応器、および温度勾配を有する加熱反応器が含まれるが、これらに限定されない。そのような温度変化を使用すると、クラスター変換率(または変換速度)の効率(または有効性)を最大限にする、または所望のように反応を制御することができる。例えば、反応器は、反応器の出口から離れて配置される加熱ゾーンを有することができ、それにより、さもなければ生じるかもしれない詰まりを最小限にする。
【0073】
図6は、本発明のシステムにおいて使用される、冷/熱反応器80の模式図である。反応器80は、入口82を有し、ジボランまたはボラン混合物が当該入口を経由して、反応器の内部体積83に導入される。内部体積83は、加熱ゾーン84をその中で有し、それは必要に応じて触媒を含んでよい。反応器80内で生成されたより大きなホウ素クラスターは、反応器から、出口86にて放出される。
【0074】
図7は、本発明のシステムで使用する、多段階加熱反応器90の模式図である。反応器90は、矢印Aで模式的に示すように、ジボランまたはボラン混合物を導入するための入口を有する。反応器は、多段階熱勾配を特徴とし、より大きなホウ素クラスターを生成する反応を行う。当該クラスターは、矢印Bで模式的に示すように、反応器から出口に放出される。
【0075】
図8は、プラズマまたは電気的な、マイクロ波または高周波放電を利用する反応器94の模式図であり、本発明のシステムで使用されるようになっている。反応器94は、内部体積97を囲み、当該内部体積内に、より大きなホウ素クラスターを生成する反応を誘発するための電気的またはプラズマ放電領域96を有する、管状の入口通路95が延びている。当該クラスターは、反応器出口98から放出される。
【0076】
ホットプレート(または熱板)もまた、本発明の実施に際して、反応器として使用してよい。そのような反応器において、ジボラン又は他の供給源ガス(もしくはソースガス)は、表面で誘発される反応によって、瞬間的に反応させられる。
【0077】
ホウ素クラスターは、形成されると、クラスターホウ素の注入において使用するためのツールに送られ得る。反応器からのツールへの供給は、任意の適切な方法で実行することができる。反応器が、ツールに隣り合っている又はツール内部にある場合、供給は、クラスターホウ素のストリーム(または流れ)を反応器から出て行かせて、ツール内に進行させることによって、単純に実施され得る。
【0078】
したがって、本発明は、水素化ホウ素前駆体を、クラスターホウ素の注入のために、形成する方法であって、ホウ素含有ガスを反応器に供給すること、および反応器内で、ホウ素含有ガスのより高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発させることを含む。
【0079】
より高次のホウ素種を形成するための反応に付されるホウ素含有ガスは、ジボラン、ペンタボラン、および他のいずれの適当なホウ素供給源試薬(そのような供給源試薬種の2以上の混合物を含む)から選択することができる。
【0080】
本発明の様々な形態において、反応器は、加熱反応器;触媒反応器;加熱触媒反応器;UVランプ;電気的なマイクロ波もしくは高周波放電;またはプラズマを含む反応器;充填された反応器;多段階加熱反応器;ホットプレート;高圧反応器;および同心管状反応器の中から、選択される。反応器は、触媒、例えば、鉄、アルミニウム、銅、アルミナ、白金、ホウ素、炭素、および活性炭を、さらに含んでよい。より高次のホウ素含有クラスターの誘発は、反応器内でホウ素含有ガスを加熱すること、熱的なプラズマエネルギをホウ素含有ガスに反応器内で供給すること、多段階の温度勾配を反応器内のホウ素含有ガスに与えること、室温〜400℃の範囲内の温度にて、および/または、真空から1000psiの範囲内にある圧力にて、より高次のホウ素含有クラスターの誘発のために反応を実施することを、含み得る。反応は、より高次のホウ素含有クラスターを形成する前に又はそれと同時に、さらに一または複数の反応体を反応器に加えて、実施することができる。
【0081】
一つの要旨において、本発明は、水素化ホウ素前駆体を、クラスターホウ素注入のために供給する方法であって、ホウ素含有ガスを反応器に供給すること、反応器内でホウ素含有ガスのより高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発すること、およびより高次のホウ素含有クラスターをクラスターホウ素注入用のツールに供給することを伴う、方法を意図している。
【0082】
別の要旨において、本発明は、ホウ素含有ガス供給源、反応器、および輸送ラインまたはホウ素含有ガス供給源と反応器を相互接続する他のフロー回路を含み、場合により質量または圧力コントローラを前記ラインまたは回路に含む、水素化ホウ素前駆体供給源を提供する。
【0083】
広く様々な特定の配置が、より高次のホウ素種を形成するために用いて、当該種の利用設備へ供給してよいことが、理解されよう。利用設備は、いずれの適切なタイプのものであってよく、例えば、当該設備として、マイクロ電子デバイスの製造ツール、例えば、イオン注入器、堆積チャンバー等が挙げられる。
【0084】
したがって、本発明は、種々の特定の形態を参照して説明したが、本発明はそのように限定されず、当業者によって理解されるように、種々の他の改変および形態に及び、またそれらを包含していることが理解されるであろう。したがって、本発明は、後の請求の範囲に従って、広く解釈されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の一形態の水素化ホウ素前駆体の供給システムの模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施において有効に用いられ得る、直列に並んだジボランの濃縮器の模式図である。
【図3】図3は、高い圧力を出口への通路における狭窄により形成し、反応器内のホウ素クラスター形成反応がツール内の圧力よりも高い圧力にて生じる、高圧反応器の模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施において有効に用いられ得る、加熱充填反応器の模式図である。
【図5】図5は、本発明の実施において有効に用いられ得る、同心のチューブ構成を備えた反応器の模式図である。
【図6】図6は、本発明のシステムにおいて使用する、冷/熱反応器の模式図である。
【図7】図7は、本発明のシステムにおいて使用する、多段階温度加熱反応器の模式図である。
【図8】図8は、プラズマまたは電気放電を利用し、本発明のシステムで使用されるようにした、反応器の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ素含有イオンを注入する方法であって、
気化したホウ素含有ドーパント種を真空チャンバー内で、イオン化条件にて、イオン化して、ホウ素含有イオンを生成すること;および
ホウ素含有イオンを電場により加速して、ホウ素含有イオンをデバイスの基体に注入すること
を含み、
ホウ素含有ドーパント種が三フッ化ホウ素を含まない、
方法。
【請求項2】
ホウ素含有ドーパント種が、B24、B(BF2)3CO、BF2CH3、BF2CF3、BF2Cl、BFCl2、BF(CH3)2、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、H4BF32、H4BF33、B812、B1012、および(F2B)3BCOから成る群より選択される化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホウ素含有ドーパント種が、B24を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ホウ素含有ドーパント種が、ガスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ホウ素含有ドーパント種が、固体および液体から成る群より選択される、物理的な相を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ホウ素含有ドーパント種を含む原料を、気化条件にて気化して、気化したホウ素含有ドーパント種を生成することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記気化条件が、前記原料を圧力差に付すことを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記気化条件が、前記原料を加熱することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記イオン化条件が、電気アークで誘発されるイオン化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基体が、半導体の基体、フラットパネルディスプレイ、およびマイクロ電子機械システム(MEMS)から成る群より選択される物品を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ホウ素含有イオン注入の後に、基体をアニーリングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
希ガスを、真空チャンバーにて、又は真空チャンバーの上流にて、導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記希ガスが、前記ホウ素含有ドーパント種のイオン化を助ける、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記希ガスが、ネオン、アルゴン、クリプトンおよびキセノンから成る群より選択される種を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ホウ素含有イオンが、BおよびBFから成る群より選択されるカチオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ホウ素含有イオンを注入する方法であって、
気化したフッ化ホウ素ドーパント種を、真空チャンバーで、イオン化条件にてイオン化して、ホウ素含有イオンを生成すること;および
前記ホウ素含有イオンを電場により加速して、ホウ素含有イオンをデバイスの基体に注入すること
を含み、
フッ化ホウ素ドーパント種が、B24、B(BF2)3CO、BF2CH3、BF2CF3、BF2Cl、BFCl2、BF(CH3)2、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、H4BF32、H4BF33、B812、B1012、(F2B)3BCOおよびそれらの組み合わせから成る群より選択される化合物を含む、
方法。
【請求項17】
前記フッ化ホウ素ドーパント種が、B24を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記フッ化ホウ素ドーパント種が、ガスを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記フッ化ホウ素ドーパント種が、固体および液体から成る群より選択される、物理的な相を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記フッ化ホウ素ドーパント種を含む原料を、気化条件にて気化して、気化したフッ化ホウ素ドーパント種を生成することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記気化条件が、前記原料を圧力差に付すことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記気化条件が、前記原料を加熱することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記イオン化条件が、電気アークで誘発されるイオン化を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記基体が、半導体の基体、フラットパネルディスプレイ、およびマイクロ電子機械システム(MEMS)から成る群より選択される物品を構成する、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記ホウ素含有イオン注入の後に、基体をアニーリングすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
希ガスを、真空チャンバーにて、又は真空チャンバーの上流にて、導入することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記希ガスが、前記フッ化ホウ素ドーパント種のイオン化を助ける、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記希ガスが、ネオン、アルゴン、クリプトンおよびキセノンから成る群から選択される種を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ホウ素含有イオンが、BおよびBFから成る群より選択されるカチオンを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記フッ化ホウ素ドーパント種が、BFをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
24、B(BF2)3CO、BF2CH3、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、H4BF32、H4BF33、B812、B1012、(F2B)3BCO、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、少なくとも一つのフッ化ホウ素ドーパント種を含み、
ホウ素イオンを基体に注入するための供給源として使用するのに適している、
試薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、実質的に三フッ化ホウ素を含まない、請求項31に記載の試薬組成物。
【請求項33】
希ガスをさらに含む、請求項31に記載の試薬組成物。
【請求項34】
BFをさらに含む、請求項31に記載の試薬組成物。
【請求項35】
ホウ素含有ドーパント種がおよび希ガスを含む、気相試薬組成物。
【請求項36】
BF3、B24、B(BF2)3CO、BF2CH3、BF2CF3、BF2Cl、BFCl2、BF(CH3)2、NOBF4、NH4BF4、H2BF7、H226、H4410、H2BFO2、H2223、H2226、H2242、H3BF22、H4BF32、H4BF33、B812、B1012、および(F2B)3BCO、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、少なくとも一つのフッ化ホウ素ドーパント種;および
希ガス
を含み、
ホウ素含有イオンをマイクロ電子デバイスの基体に注入する供給源として使用するのに適した
気相試薬組成物。
【請求項37】
a)ホウ素含有ガスを供給すること;および
b)前記ホウ素含有ガスを、より高次のホウ素含有クラスターに変換することを誘発すること
を含む、クラスターホウ素を注入するための水素化ホウ素前躯体を生成する方法。
【請求項38】
前記ホウ素含有ガスが、ジボランおよびペンタボランから成る群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ホウ素含有ガスのより高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発することを、反応器において実施し、
前記反応器を、加熱反応器;触媒反応器;加熱触媒反応器;UVランプ;電気的放電、マイクロ波放電もしくは高周波放電またはプラズマを含む反応器;充填反応器;多段階加熱反応器;ホットプレート;高圧反応器;および同心管状反応器から成る群より選択する、
請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ホウ素含有ガスのより高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発することを、反応器内において実施し、反応器がさらに触媒を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項41】
触媒を、鉄、アルミニウム、銅、アルミナ、白金、ホウ素、炭素、及び活性炭から成る群より選択する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
より高次なホウ素含有クラスターへの変換を誘発することが、ホウ素含有ガスを加熱することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
より高次なホウ素含有クラスターへの変換を誘発することが、熱エネルギまたはプラズマエネルギを、前記ホウ素含有ガスに、反応器内で供給することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
より高次なホウ素含有クラスターへの変換を誘発することが、反応器内で、ホウ素含有ガスに、多段階温度勾配を与えることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
より高次なホウ素含有クラスターへの変換を誘発することを、室温から400℃の範囲内にある温度にて実施する、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
より高次なホウ素含有クラスターへの変換を誘発することを、真空から1000psiの範囲内にある圧力にて実施する、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
より高次なホウ素含有クラスターへの変換を誘発するよりも前に、またはそれと同時に、反応体を加えることをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
クラスターホウ素注入のための水素化ホウ素前駆体を供給する方法であって、
a)ホウ素含有ガスを供給すること;
b)ホウ素含有ガスをより高次のホウ素含有クラスターへ変換することを誘発すること;および
c)より高次のホウ素含有クラスターを、クラスターホウ素を注入するツールに供給すること
を含む、方法。
【請求項49】
前記ホウ素含有ガスを、ジボランおよびペンタボランから成る群より選択する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記変換を、前記ツールに隣り合って配置された反応器において実施する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記変換を、前記ツールの内部に配置された反応器において実施する、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記変換を、加熱反応器;触媒反応器;加熱触媒反応器;UVランプ;電気的放電、マイクロ波放電もしくは高周波放電またはプラズマを含む反応器;充填反応器;多段階加熱反応器;ホットプレート;高圧反応器;および同心管状反応器から成る群より選択する反応器において、実施する、請求項48に記載の方法
【請求項53】
前記変換を、触媒を含む反応器において実施する、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記触媒を、鉄、アルミニウム、銅、アルミナ、白金、ホウ素、炭素、及び活性炭から成る群より選択する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
より高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発することが、前記ホウ素含有ガスを加熱することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
より高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発することが、ホウ素含有ガスに熱エネルギまたはプラズマエネルギを前記ホウ素含有ガスに供給することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
より高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発することが、前記ホウ素含有ガスに、多段階温度勾配を与えることを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
より高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発することを、室温から400℃の範囲内にある温度にて実施する、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
より高次のホウ素含有クラスターへの変換を誘発することを、真空から1000psiの範囲内にある圧力にて実施する、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
反応体を、より高次なホウ素含有クラスターへの変換を誘発することよりも前に、またはそれと同時に、添加することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項61】
a)ホウ素含有ガス供給源;
b)前記ホウ素含有ガスの供給源からのホウ素含有ガスが、より高次のホウ素含有クラスタへ変換することを誘発するようにした、反応器;
c)ホウ素含有ガス供給源と反応器を相互に接続するフロー回路;および
d)必要に応じて、フロー回路内の質量または圧力コントローラ
を含む、水素化ホウ素前駆体の供給源。
【請求項62】
前記ホウ素含有ガス供給源が、ジボランを含む、請求項61に記載の水素化ホウ素前駆体の供給源。
【請求項63】
前記ホウ素含有ガス供給源が、ボラン混合物を含む、請求項61に記載の水素化ホウ素前駆体の供給源。
【請求項64】
請求項61に記載の水素化ホウ素前駆体の供給源、および
水素化ホウ素供給源と流体連通するように接続した、マイクロ電子デバイスの製造ツール
を含む、マイクロ電子デバイスの製造設備。
【請求項65】
前記製造ツールがイオン注入器を含む、請求項64に記載のマイクロ電子デバイスの製造設備。
【請求項66】
請求項48に記載の方法で形成された、クラスターホウ素種を用いて、クラスターホウ素イオン注入を含む、マイクロ電子デバイスの製造方法。
【請求項67】
請求項48に記載の方法で形成された、クラスターホウ素種を利用することを含む、クラスターホウ素イオンを注入する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−506580(P2009−506580A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529239(P2008−529239)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/033899
【国際公開番号】WO2007/027798
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(500051993)アドバンスト テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (12)