説明

仮囲い用パネル

【課題】緑化用のポットが仮囲い用パネルの表面から突出することがなく、仮囲い用パネルを安定よく設置できる仮囲い用パネルを提供できるようにする。
【解決手段】矩形の板状部材の対向する一対の側縁部分に形成された嵌合部を嵌合させた状態で並べ、裏面側から支持部材により支持することにより工事現場等を囲繞若しくは区画する仮囲い用パネルであって、板状部分に窓を開設し、当該窓の裏面側に緑化用ポットを収納するポット収納部を着脱可能に設けることにより、ポット収納部並びにこれに収納した緑化用のポットが仮囲い用パネルの表面から突出しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外での催し物会場や屋外展示会場等のように、屋外で催される一時的なイベントの場として供する仮設会場、あるいは所定の工事現場等において、当該会場や工事現場(以下単に工事現場等という)を囲繞するときに使用するときの使用される仮囲い用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、工事現場等を囲繞するための仮囲い用パネルとしては幅が約50センチで長さ(高さ)が約1〜2メートルの薄い多状鋼板を、その隣接する側縁部同士を嵌合させた状態で工事現場等の周囲に立てるようにしている。
こうした仮囲い用パネルでは、設置の目的である通行人の安全の確保や部外者の視界遮断、又は会場の境界区画という目的は達成することが出来るものの、仮囲いの表面から受ける感触は殺伐としたものであることは否めず、工事現場の周囲の雰囲気や、華やかなムードを大切にするイベント会場の区画としては場違いな雰囲気になってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、こうした問題に対処するものとして、たとえば特許文献1に示されるように、工事現場等の境界部に仮囲いを設置し、この仮囲い用パネルの壁面に多数のポケットプランターを列状で多段に係止させ、このポケットプランターに緑化植物を植え込むようにしたものが提案されている。
【0004】
ところが、先の提案にかかるものでは、ポケットプランターが仮囲い用パネルの表面に突出させた状態に列設されていることから、突出するポケットプランターが通行人の邪魔になる上、灌水が通行人にかかったり、ポケットプランターから流れる溢れた灌水により仮囲い用パネルの表面が汚れて見苦しくなってしまったりするという問題があった。
【0005】
さらに、仮囲い用パネルは通常、工事現場等の側(仮囲い用パネルの裏側)から支えられる構造であり、上記公報のように表側が重くなると従来のような裏側から支持する場合、バランスが崩れやすく支持する強度面でも問題があり、安全性に問題がある。
【特許文献1】特開2006−67900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、緑化用ポットが仮囲い用パネルの表面から突出することがなく、仮囲い用パネルを安定よく設置できる仮囲い用パネルを提供できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、矩形の板状部材の対向する一対の側縁部分に形成された嵌合部を嵌合させた状態で並べ、裏面側から支持部材により支持することにより工事現場等を囲繞若しくは区画する仮囲い用パネルであって、板状部分に窓を開設し、当該窓の裏面側に緑化用ポットを収納するポット収納部を着脱可能に設けたことを最も主要な特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のかかる仮囲い用パネルでは、ポット収納部が天井部分と底板部分及び左右に分離可能な側壁部分とからなり、天井部分および底板部分が左右の側壁部分に取り付けられて、全面部分が開口する箱状に形成された状態で側壁部分の端縁部を嵌合部に着脱可能に取り付けるように構成したことも特徴とするものである。
【0009】
そして、本発明にかかる仮囲い用パネルでは、ポット収納部の底板部分に水抜き用孔を穿設したことや、窓の底辺がポット収納部の底板部分より高位置になるように窓の穿設若しくはポット収納部を設けてあることも特徴の1つである。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる仮囲い用パネルでは、矩形の板状部材の対向する一対の側縁部分に形成された嵌合部を嵌合させた状態で並べ、裏面側から支持部材により支持することにより工事現場等を囲繞若しくは区画する仮囲い用パネルの板状部分に窓を開設し、当該窓の裏面側に緑化用ポットを収納するポット収納部を着脱可能に設けけるようにしてあるので、ポット収納部やこのポット収納部に収納したプランターが仮囲い用パネルの表面に突出することがない。
これにより、先の提案のようにプランター等が通行人の邪魔になることもなく、灌水が通行人にかかったり、通行人の邪魔になったりする上、ポケットプランターから流れる溢れた灌水により仮囲い用パネルの表面が汚れて見苦しくなってしまうという問題を一挙に解消することができる利点がある。
【0011】
本発明にかかる仮囲い用パネルでは、窓の裏面側に着脱可能なポット収納部を設けるようにしてあるので、仮囲い用パネルの重心は当該パネルが支持される裏側に位置する。これにより、仮囲い用パネルはバランスよく安定した状態に支持されるので、安全性の高いものにすることができる。
【0012】
さらに、本発明のかかる仮囲い用パネルのポット収納部を、天井部分9および底板部分が左右の側壁部分に取り付けられて、全面部分が開口する箱状に形成された状態で側壁部分の端縁部を嵌合部に着脱可能に取り付けるように構成したものでは、各部分に分解することができるので、収納や搬送に至便なものにすることができるうえ、各部分の小さくなるとから、例えば各部分を小形の鋼材からとることができるし、大きな鋼材からとる場合には各部分の組み合わせを工夫することにより、無駄なブランクを少なくして歩留まりをよくすることができる利点がある。
【0013】
加えて、本発明にかかる仮囲い用パネルのポット収納部の底板部分に水抜き用孔を穿設したものでは、灌水により流れ落ちる水が仮囲い用パネルの裏面側に滴下する。これにより、仮囲い用パネルの近傍の通行人に降りかかることをなくせる利点がある。
また、本発明にかかる仮囲い用パネルの窓の底辺を、ポット収納部の底板部分より高位置になるようにしたものでは、灌水が窓から表面に流れ出ることがなく、仮囲い用パネルの表面を常にきれいな状態に保つことができ、周囲の雰囲気を損なうことがない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかる仮囲い用パネルの好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は工事現場(図示せず)を囲繞するように複数の仮囲い用パネルを設けて仮囲いを形成した使用状態の斜視図であって、図中符号1は複数の仮囲い用パネル2からなる仮囲いを全体的に示す。
この仮囲い用パネル2は、緑化用ポット3を収納するポット収納部4を供えてなり、使用状態において上下に長い矩形状の鋼板(板状部材)5で形成され、鋼板5の側縁部分には図2乃至図5に示すように、裏面側にクランク状に折り曲げられて形成された嵌合部6が形成されるとともに、板状部分には四角形状の窓7が形成されている。
ここで、本発明にいうところの緑化用ポット3は、装飾用の植物8を栽培しているポットも包含する。
【0015】
また、仮囲い用パネル2の裏面で、前記窓7の部分に緑化用ポット3を収納する上記ポット収納部4が形成されている。
ポット収納部4は、天井部分9と底板部分10と側壁部分11とを備えてなり、これらのパーツ9〜11は表面が防錆加工された鋼板から打ち抜きあるいは折り曲げにより形成されている。
すなわち、天井部分9と底板部分10は、平面視において窓7側が広い略台形に形成され、傾斜辺の窓7寄り部分並びに台形の上辺部分の3箇所には組み立て嵌合用の突片12が形成されるとともに、底板部分11には複数の水抜き用孔13が穿設されている。
【0016】
側壁部分11は、上記台形の天井部分9と底板部分10の窓7側部分を除く周囲を取り巻とともに左右に分離可能に一対の部材14・15で形成されており、各部材14・15は平面視において、L字状に鋼板を折り曲げ形成し、窓7側となる端部(一端部)を外側に一旦折り返して取り付け嵌合部16を形成した後、仮囲い用パネル2の嵌合部6に形成されたポット収納部取り付け面17と平行に折り曲げて仮囲い用パネル2の掛止面18を形成してある。
この掛止面18には仮囲い用パネル2の嵌合部6に形成された収納部取り付け面17に形成された掛止用突起20に嵌合する瓢箪型の掛合孔19が複数設けてある。
【0017】
一方、上記各部材14・15の他端部は、外方に略直角に折り曲げられて連結部21が形成されるとともに、この連結部にはボルト及びナットからなる連結用金具22のボルトが挿通される複数の連結用金具挿通孔23が穿設されている。
また、各部材14・15には上記天井部分9と底板部分10が取り付けられる位置で、天井部分9と底板部分10に形成された嵌合用の突片12が挿入されるスリット24が設けてある。
上記のように、左右に分離可能に一対の部材14・15で側壁部分11を形成すると、搬送や収納時には積み重ねることができるので、嵩張るのを防止することができるだけでなく、各部材14・15自身が小形になる。
従って、小さな鋼材から形成することができるとともに、かたどりの組み合わせを工夫することにより無駄なブランクの発生を可及的に減少させることができ、歩留まりをよくして製造コストを低減することができる。
【0018】
上述のように構成されたポット収納部4を仮囲い用パネル2の裏面に取り付ける手順を説明する。
上記一対の部材14・15の連結部21同士を接合させた状態にし、連結用金具挿通孔23に挿通した連結用金具22で一対の部材14・15をしっかりと固定する。
次に、窓7側端部を開き気味にして天井部分9と底板部分10を所定の位置に挿入し、各嵌合用の突片12をスリット24に嵌合させると、天井部分9と底板部分10は窓7側を除く周囲を側壁部分11で覆われ、窓7側が開口する箱状に形成される。
【0019】
しかる後、箱状に形成されたポット収納部4は、各部材14・15の掛止面18に形成された瓢箪型の掛合孔19の大径の孔部分19aを、仮囲い用パネル2のポット収納部取り付け面17に突出する掛止用突起20に嵌合させて、掛止用突起20を瓢箪型の掛合孔19の小径の孔部分19bに嵌合させる。
すると、ポット収納部4は仮囲い用パネル2の裏面にしっかりと取り付けられて固定される。
斯くして、裏面にポット収納部4が取り付けられた仮囲い用パネル2は、例えば特開平5−231007号公報や、特開2000−204766号公報ならびに特開2002−167971号公報等にも示されているように、隣接される仮囲い用パネル2の嵌合部同士を嵌合させ、裏面側からこれらの仮囲い用パネル2を支持用枠体(図示せず)で支持させて工事現場等を囲んだり、通路と区画したりする。
【0020】
上記のようにして設置された仮囲い用パネル2の前面の窓7部分から所望する緑化用ポット3をポット収納部4に収納すると、図1に示すような工事現場等を囲んだり、通路と区画したりする仮囲い1が形成される。
このとき、図3に示すようにポット収納部4の底板部分10が窓7の底辺25よりも低く位置している。
このようにポット収納部4の底板部分10を窓7の底辺25よりも低く位置させると、緑化用ポット3から水が溢れても、その水は窓7の底辺25部分で堰き止められるので、表面から流れ落ちることがなく、仮囲い用パネル2を常時きれいな状態に保つことができる。
【0021】
そして、ポット収納部4及びここに収納された緑化用ポット3が仮囲い用パネル2を支える裏面側に位置することから、仮囲い用パネル2全体の重心が支持用枠体側の裏面になり、仮囲い用パネル2は安定よく支持される。
また、ポット収納部4に収納された緑化用ポット3に灌水する場合、緑化用ポット3から溢流する余剰の灌水は底板部分10に穿設された水抜き用孔13から下方に滴下する。
したがって、灌水による水等で仮囲い用パネル2の表面が汚れることをなくすことができる。
【0022】
尚、上記実施の形態では天井部分9を図上平板状にしてあるが、これを底板部分10と同様に穿孔して通気孔(図示せず)を形成するようにしてもよいことは言うまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】は本発明にかかる仮囲い用パネルの使用状態を示す斜視図である。
【図2】は本発明にかかる仮囲い用パネルの背面図である。
【図3】は本発明にかかる仮囲い用パネルの縦断側面図である。
【図4】は図2におけるA−A断面図である。
【図5】は本発明にかかる仮囲い用パネルを裏面側から見た分解斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1・・・仮囲い
2・・・仮囲い用パネル
3・・・緑化用ポット
4・・・ポット収納部
6・・・嵌合部
7・・・窓
9・・・天井部分
10・・・底板部分
11・・・側壁部分
13・・・水抜き用孔
25・・・窓の底辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の板状部材の対向する一対の側縁部分に形成された嵌合部を嵌合させた状態で並べ、裏面側から支持部材により支持することにより工事現場等を囲繞若しくは区画する仮囲い用パネルであって、板状部分に窓を開設し、当該窓の裏面側に緑化用ポットを収納するポット収納部を着脱可能に設けたことを特徴とする仮囲い用パネル。
【請求項2】
ポット収納部が天井部分と底板部分及び左右に分離可能な側壁部分とからなり、天井部分および底板部分が左右の側壁部分に取り付けられて、全面部分が開口する箱状に形成された状態で側壁部分の端縁部を嵌合部に着脱可能に取り付けるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の仮囲い用パネル。
【請求項3】
ポット収納部の底板部分に水抜き用孔を穿設したことを特徴とする請求項2に記載の仮囲い用パネル。
【請求項4】
窓の底辺がポット収納部の底板部分より高位置になるように窓の穿設若しくはポット収納部を設けてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の仮囲い用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−91870(P2009−91870A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266286(P2007−266286)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(391046621)株式会社三木製作所 (17)
【出願人】(391046610)日本セイフティー株式会社 (25)
【Fターム(参考)】