説明

休止基地局選定システム、網側装置、制御方法、及びプログラム

【課題】複数の基地局の中から休止させるべき基地局を選定すること。
【解決手段】無線通信網を構成する複数の基地局120を含む網側の複数の網側装置120、130を備え、複数の網側装置120、130のうち、少なくとも一の網側装置130は、複数の基地局120のうちの最もチャネル利用率の低い基地局120を休止させて、当該基地局120に無線通信接続されている無線通信端末110を他の基地局120へ再接続させた場合における、他の各基地局120のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の基地局120の中から休止させるべき基地局120を選定する休止基地局選定部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、休止基地局選定システム、網側装置、制御方法、及びプログラムに関する。特に、本発明は、複数の基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定システム、無線通信網を構成する網側装置、当該網側装置を制御する制御方法、並びに当該網側装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11に基づく無線LAN(Local Area Network)は、携帯情報端末の急速な普及に伴って、インターネットアクセスのための通信基盤として重要な役割を果たしている。無線LANを利用可能な範囲は、家庭や企業内だけでなく公共スペース等へと拡大を続けており、設置されるAP(Access Point)も増加し続けている。このような無線LANのAP等のネットワーク機器は、端末からの通信要求に応えるために、常に稼働状態で設置されているため、設置台数の増加と共に消費される電力の削減が大きな課題となる。現存のAPでは、端末が接続されていない場合でも、一定の周期でビーコン信号を送信しているほか、必要最小限の資源で運用するといったネットワーク全体の電力消費を削減するための対策は十分ではない。
【0003】
これまでの無線LAN機器の省電力化対策は、主にバッテリーで動作する端末やノードの接続時間延長を目的としたものが主であり、一定周期でビーコン信号を送信しなければならないAPの省電力化対策については、十分な検討が進んでいない。
【0004】
非特許文献1には、エリア内のトラフィック量に基づいて、稼動状態の一部の基地局を休止させることによって、無線システムの省電力化を図る技術が記載されている。
【0005】
また、非特許文献2には、基地局の負荷を定期的に計測して、負荷の低い基地局を休止させる技術が記載されている。この技術では、休止状態としたときに周囲の基地局の負荷の変化が最も小さい基地局を選択して休止できるように、周囲の基地局の負荷の変化を、レイラウンチング法に基づく3次元電波伝搬推定を用いて予測している。
【0006】
また、特許文献1には、マスター基地局及びスレーブ基地局から成るグループ基地局構成において、必要のないスレーブ基地局の電力消費を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−354549号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】TNO、Vodafone、3GPP S5−092949、2009.
【非特許文献2】「基地局の休止に伴うカバレッジ劣化を制御する省電力制御方式」、熊谷太一、電子情報通信学会、2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に記載の技術は、あるエリア内において稼動している基地局の割合が他のエリアと同等になるように、各基地局を起動させたりスリープさせたりする。そのため、非特許文献1に記載の技術によっては、各エリアのトラフィックの量が均等でない場合、あるエリアでは無駄に基地局が稼動して、あるエリアでは稼動している基地局の数が足りないことが起こり得る。
【0010】
また、非特許文献2に記載のような電波伝搬推定法は、端末の位置が全て把握できるものとすることが前提となっていなければならず、現行の無線システムの端末ではハードウェアの変更が必要となるものが多く、導入が困難である。
【0011】
また、特許文献1に記載の技術は、残りリソース数が休止状態移行残りリソース数を上回った場合に、移行対象スレーブ基地局を休止状態にする。その際、休止状態になった基地局に無線通信接続されていた無線通信端末は、他の基地局へ無線通信接続されることになる。しかしながら、各無線通信端末は、複数の基地局へ常に無線通信接続し得る状態にあるとは限らない。また、他の基地局は、新たに無線通信接続されることになる無線通信端末を許容し得るリソースを確保できるとは限らない。したがって、特許文献1に記載の技術によっては、基地局を休止状態にした結果、その基地局に接続されていた無線通信端末が圏外になってしまったり、他の基地局に対して余計な負荷を掛けてしまったりする虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、複数の基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定システムであって、無線通信網を構成する複数の基地局を含む網側の複数の網側装置を備え、複数の網側装置のうち、少なくとも一の網側装置は、複数の基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定部を有する。
【0013】
本発明の第2の形態によると、無線通信網を構成する網側装置であって、複数の基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定部を備える。
【0014】
本発明の第3の形態によると、無線通信網を構成する網側装置を制御する制御方法であって、複数の基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定段階を備える。
【0015】
本発明の第4の形態によると、無線通信網を構成する網側装置用のプログラムであって、網側装置を、複数の基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定部として機能させる。
【0016】
なおまた、上記のように発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、この発明によっては、省電力でありながらもユーザの要求品質を満たす無線システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る休止基地局選定システム100の利用環境の一例を示す図である。
【図2】ステーション110のブロック構成の一例を示す図である。
【図3】AP120のブロック構成の一例を示す図である。
【図4】AP制御装置130のブロック構成の一例を示す図である。
【図5】接続可能APリストの一例をテーブル形式で示す図である。
【図6】接続ステーションリストの一例をテーブル形式で示す図である。
【図7】ステーション110、AP120、及びAP制御装置130の動作シーケンスの一例を示す図である。
【図8】休止AP選定部132の動作フローの一例を示す図である。
【図9】他の実施形態に係る休止基地局選定システム200の利用環境の一例を示す図である。
【図10】AP220のブロック構成の一例を示す図である。
【図11】更に他の実施形態に係る休止AP選定システム300の利用環境の一例を示す図である。
【図12】チャネル通知装置340のブロック構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
本発明の発明者は、無線LAN機器を省電力化するために、通信を行っていないAPを低消費電力のスリープ状態へ遷移させ、通信が必要になった際には端末からウェイクアップ信号を送信し、APを稼働状態へ切り替える研究開発に取り組んでいる。
【0021】
本発明では、APがスリープ状態へ遷移した後、可能な限り長い時間休止状態を保ち、消費電力を削減する手法を検討する。そのために、先ず、ネットワーク内部に複数のAPを集中的に管理するAP制御装置を導入し、スリープ状態のAPに接続された端末へ向かう通信要求を検出すると、その端末の帰属先APを、稼働中の別のAPへ変更する方式を提案する。
【0022】
本発明の発明者は、無線LAN端末が特別な信号を用いてAPをスリープ状態から稼働状態へ切り替えることが可能なオンデマンド型のネットワークアクセス方式を新たに開発し、これによって未使用のAPを適宜スリープ状態へ遷移させることを可能にする方式を提案している。
【0023】
本発明は、APの付けっ放し、無駄遣いを削減し、省電力化と電波リソースの有効活用を目的とするシステムである。既存のAPにも消費電力を抑えるためのスリープ機能を持つものがあるが、本発明におけるAPは、周囲の通信状況通信状況によってAPをスリープ状態に積極的に遷移させ、ネットワークの省電力化を図る。ここでは、APは、超低消費電力で待機可能なWake−up Receiverを具備しており、送受信するデータがなく通信が不要になると、通信品質に影響を与えない範囲内でスリープ状態に自動的に移行する。また、同時にAPは、ステーションからのWake−up信号を待機する状態となる。APは、通信を希望するステーションからのWake−up信号をWake−up Receiverで受信すると、スリープ状態から稼働状態へと遷移した後、無線LAN方式による無線アクセス環境を提供する。これにより、APの付けっ放しをなくすことができる。
【0024】
図1は、一実施形態に係る休止AP選定システム100の利用環境の一例を示す。休止AP選定システム100は、複数のAPの中から休止させるべきAPを選定するシステムである。なおまた、休止AP選定システム100は、この発明における「休止基地局選定システム」の一例であってよい。
【0025】
休止AP選定システム100は、複数のステーション110a、b、c、・・・(以下、ステーション110と総称する。)、複数のAP120a、b、c、・・・(以下、AP120と総称する。)、及びAP制御装置130を備える。なおまた、ステーション110は、この発明における「無線通信端末」の一例であってよい。また、AP120、及びAP制御装置130は、この発明における「網側装置」の一例であってよい。また、AP120は、この発明における「基地局」の一例であってよい。また、AP制御装置130は、この発明における「一の網側装置」の一例であってよい。
【0026】
ステーション110は、無線LANアダプタを備えたコンピュータである。ステーション110は、AP120と無線LANを介して通信接続される。なおまた、無線LANは、この発明における「無線通信」の一例であってよい。
【0027】
AP120は、無線LANアダプタを備えたネットワークデバイスであり、ステーション110と有線ネットワークとの間のブリッジとして動作する。AP120は、ステーション110と無線LANを介して通信接続される。また、AP120は、AP制御装置130と有線ネットワークを介して通信接続される。
【0028】
AP制御装置130は、AP120の休止を制御する装置である。AP制御装置130は、AP120と有線ネットワークを介して通信接続される。
【0029】
なおまた、本実施形態においては、説明が煩雑になることを防ぐことを目的として、休止AP選定システム100が一のAP制御装置130を備える構成について説明するが、休止AP選定システム100は、複数のAP制御装置130を備えてよい。
【0030】
図2は、ステーション110のブロック構成の一例を示す。図5は、接続可能APリストの一例をテーブル形式で示す。ステーション110は、無線通信部111、及び接続可能APリスト保持部112を有する。
【0031】
ステーション110は図2に示される構成を持ち、接続可能APリスト保持部112は、例えば、図5のような、接続可能APリストを保持しており、接続可能APリストは無線通信部111を介して、無線接続しているAP120に送信される。
【0032】
接続可能APリストは、そのリストを保持しているステーション110が、接続可能なAP120と、AP120と通信可能なチャネル情報と、接続可能なAP120から受信しているビーコン信号の受信信号強度の情報を持つ。チャネル情報は、ステーション110がAP120に接続する際に行う、ビーコン信号のスキャンの結果から取得してもよいし、ステーション110が定期的に全てのチャネルを監視していてもよい。
【0033】
図3は、AP120のブロック構成の一例を示す。図6は、接続ステーションリストの一例をテーブル形式で示す。AP120は図3に示される構成を持ち、接続可能APリスト集約部123は、無線接続しているステーション110から無線通信部122を介して受信した、複数の接続可能APリストを集約し、集約した接続可能APリストを、通信部121を介してAP制御装置130へ送る。
【0034】
接続ステーション管理部124は、図6のような、接続しているステーション110のリスト(接続ステーションリスト)を保持しており、接続ステーションリストは、通信部121を介してAP制御装置130へ送られる。
【0035】
接続ステーションリストは、そのリストを保持しているAP120に無線接続しているステーション110と、接続リンク毎の伝送レート(接続レート)と、実際のトラフィック量の情報を持つ。
【0036】
図4は、AP制御装置130のブロック構成の一例を示す。AP制御装置130は図4に示される構成を持ち、接続可能APリスト集約部131は、AP120から通信部133を介して受信した、複数の接続可能APリストを集約する。接続ステーションリスト集約部134は、AP120から通信部133を介して受信した、複数の接続ステーションリストを集約する。休止AP選定部132は、接続可能APリスト集約部131に集約されている接続可能APリストと、接続ステーションリスト集約部134に集約されている接続ステーションリストを用いて、休止するAP120を選定する。
【0037】
図7は、ステーション110、AP120、及びAP制御装置130の動作シーケンスの一例を示す。先ず、AP120が発するビーコン信号(S101)を受信したステーション110は、ビーコン信号に含まれるAP120のアドレス、ビーコン信号の受信信号強度から、接続可能APリストを生成する(S102)。その後、ステーション110は生成した接続可能APリストをAP120に送信する(S103)。
【0038】
ステーション110から接続可能APリストを受信したAP120は、受信した接続可能APリストを集約し(S104)、接続ステーションリストとともにAP制御装置130へ送信する(S105)。
【0039】
AP制御装置130は、接続可能APリスト、及び接続ステーションリストを集約し(S106)、図8に示すアルゴリズムにて休止すべきAP120を選定する(S107)。選定されたAP120には、そのAP120に接続しているステーション110に対して帰属変更を要求するメッセージを送信するように通知し(S108)、その通知を受けたAP120は接続しているステーション110に対して、変更先のAP情報を持つ帰属変更を要求するメッセージを送信する(S109)。
【0040】
そのメッセージを受けたステーション110は、接続しているAP120から切断し(S110)、メッセージによって示されたAP120に接続する。
【0041】
AP120は、接続していたステーション110が全て切断されたのを確認すると、ステーション110の帰属変更が完了したことを示す、帰属変更完了メッセージをAP制御装置130へ送信する(S111)。
【0042】
AP制御装置130はAP120から帰属変更完了メッセージを受信すると、休止メッセージをAP120へ送信し(S112)、メッセージを受け取ったAP120は休止状態へと移行する。
【0043】
図8は、休止AP選定部132の動作フローの一例を示す。最後に、どのAP120を休止させるか決定する図8のアルゴリズムについて説明する。先ず、集約した接続ステーションリストを用いて、最もチャネル利用率が低いAP120を休止候補として選ぶ(S201)。チャネル利用率は、ある時間内において、実際に無線区間中に電波が送出されている時間の割合であり、以下の式(1)で表される。
【0044】
【数1】

【0045】
式(1)をより一般化して、式(2)のようにしてもよい。式(2)のフレーム伝送時間は、データフレームの伝送時間や、コントロールフレームの伝送時間、ACKフレームの伝送時間であってよい。
【0046】
【数2】

【0047】
次に、接続可能APリストを基にして、選んだAP120に接続しているステーション110が、他のAP120と接続可能かどうか確認する(S202)。チャネル利用率の変化の計算には、接続可能APリストの受信信号強度、及び接続ステーションリストのトラフィック量の情報を用いることができる。例えば、接続可能APリストの受信信号強度情報から、帰属変更後の接続レートを推測し、接続レートとトラフィック量の情報からチャネル利用率の変化を計算できる。
【0048】
選んだAP120に接続している全てのステーション110が、他のAP120と接続可能である場合は(S203:Yes)、ステーション110が接続できる他のAP120について、ステーション110の帰属を変更したときのチャネル利用率の変化を算出する(S206)。
【0049】
選んだAP120に接続しているステーション110が、他のAP120と接続可能でなく(S203:No)、AP制御装置130に接続している無線システム内のAP120が他にある場合は(S204:Yes)、次にチャネル利用率が低いAP120を休止候補として選ぶ(S205)。ない場合は(S204:No)、休止できるAP120はないものとしてアルゴリズムを終了する。
【0050】
ステーション110の帰属を変更したときに、変更先のAP120において、チャネル利用率の変化を計算した結果、チャネル利用率がしきい値(後述のチャネル利用率限界値と同値か、それよりも低く設定する)未満であれば(S207:Yes)、休止可能なAP120を決定し(S209)、そのAP120に接続しているステーション110を他のAP120に接続させる。
【0051】
このことにより、ステーション110のスループットを低下させずにステーション110の帰属を変更することができる。例えば、あるAP120がチャネル利用率限界値(無線システムのアクセス方式、例えば無線LANではCSMA/CA、が影響するため、チャネル利用率には限界値があり、それを超えて通信を行おうとすると、アクセスの競合により、スループットが低下する可能性が高くなる。また、チャネル利用率限界値は、リンク毎の接続レートから計算してもよく、その場合、接続レートが高くなるほどチャネル利用率限界値は低くなる。)で運用されていたとして、そのAP120に対して新たなステーション110を接続し、新たに接続したステーション110だけでなく、元々接続されていたステーション110のスループットも低下する可能性が高くなる。
【0052】
ステーション110の帰属を変更したときに、変更先のAP120において、チャネル利用率の変化を計算した結果、チャネル利用率がしきい値以上であれば(S207:No)、その他のAP120へ帰属させようと試みる(S208)。他のAP120への帰属が可能であれば(S208:Yes)、再びS206を実行し、他のAP120への帰属が不可能であれば(S208:No)、別のAP120を休止候補とし(S204:Yes→S205)、S202を実行する。
【0053】
以上説明したように、本発明においては、以下に記載するような効果を奏する。第1の効果は、稼動している必要がないAP120を休止させるため、省電力な無線システムを提供できることである。
【0054】
第2の効果は、無線チャネルの利用率に応じて、通信品質に影響がない、あるいは少ない範囲でステーション110の帰属を変更するため、省電力でありながらもユーザの要求品質を満たす無線システムを提供できることである。
【0055】
第3の効果は、既存のAP120が発するビーコン信号を主として利用しているため、ステーション110、AP120のいずれにもハードウェアを追加せずに、AP制御装置130が休止するAP120を選択できることである。
【0056】
図9は、他の実施形態に係る休止AP選定システム200の利用環境の一例を示す。図10は、AP220のブロック構成の一例を示す。この構成では、ステーション210、AP220からネットワークを構成しているものとする。また、ステーション210は図2に示される構成を持つ。また、AP220は図10に示される構成を持つ。
【0057】
接続可能APリスト集約部223は、無線接続しているステーション210から無線通信部222を介して受信した、複数の接続可能APリストを集約し、集約した接続可能APリストを、無線通信部222を介して近隣のAP220へ送信する。
【0058】
接続ステーション管理部224は、図6のような、接続しているステーション210のリスト(接続ステーションリスト)を保持しており、接続ステーションリストは、無線通信部222を介して近隣のAP220へ送られる。
【0059】
休止AP選定部225は、近隣のAP220から無線通信部222を介して受信した接続可能APリストと、接続ステーションリスト、また、接続可能APリスト集約部223の接続可能APリストと、接続ステーション管理部224内部の接続ステーションリストを用いて、休止させるべきAP220を選定する。
【0060】
図11は、更に他の実施形態に係る休止AP選定システム300の利用環境の一例を示す。この構成では、ステーション310、AP320,AP制御装置330、チャネル通知装置340からネットワークを構成しているものとする。また、ステーション310は図2に示される構成を持つ。また、AP320は図3に示される構成を持つ。
【0061】
AP制御装置330は図4に示される構成を持ち、通信部133を介してチャネル通信装置340に、接続可能APリストを送信する。
【0062】
図12は、チャネル通知装置340のブロック構成の一例を示す。通信部341を介してAP制御装置330から接続可能APリストを受信した後、接続可能APリストから、通知チャネル決定部343において、AP320が使用しているチャネルを確認し、それら全てのチャネルに対して定期的にビーコン信号をスキャンするようにステーション310に指示するフレームを、無線通信部342を用いて送信する。
【0063】
ステーション310は、無線通信部111を介して、特定のチャネルに対して定期的にビーコン信号をスキャンするように指示されたフレームを受信すると一定間隔で、自らの通信チャネル以外のチャネルでもビーコン信号をスキャンする。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0065】
100 休止基地局選定システム
110 ステーション
111 無線通信部
112 接続可能基地局リスト保持部
120 AP
121 通信部
122 無線通信部
123 接続可能基地局リスト集約部
124 接続端末管理部
130 AP制御装置
131 接続可能基地局リスト集約部
132 休止基地局選定部
133 通信部
134 端末リスト集約部
200 休止基地局選定システム
210 ステーション
220 AP
222 無線通信部
223 接続可能APリスト集約部
224 接続ステーション管理部
225 休止AP選定部
300 休止基地局選定システム
310 ステーション
320 AP
330 AP制御装置
340 チャネル通知装置
341 通信部
342 無線通信部
343 通知チャネル決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定システムであって、
無線通信網を構成する複数の前記基地局を含む網側の複数の網側装置
を備え、
複数の前記網側装置のうち、少なくとも一の網側装置は、
複数の前記基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の前記基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定部
を有する休止基地局選定システム。
【請求項2】
前記休止基地局選定部は、複数の前記基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させて、他の各基地局のチャネル利用率がしきい値未満となる場合、前記最もチャネル利用率の低い基地局を休止させるべき基地局として選定する
請求項1に記載の休止基地局選定システム。
【請求項3】
前記休止基地局選定部は、複数の前記基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させて、他の各基地局のチャネル利用率がしきい値未満とならない場合、前記最もチャネル利用率の低い基地局に無線通信接続されている無線通信端末を更に他の基地局へ再接続させることができれば、当該更に他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化を再シミュレーションする
請求項2に記載の休止基地局選定システム。
【請求項4】
前記休止基地局選定部は、複数の前記基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させて、他の各基地局のチャネル利用率がしきい値未満とならない場合に、前記最もチャネル利用率の低い基地局に無線通信接続されている無線通信端末を更に他の基地局へ再接続させることができなければ、複数の前記基地局のうちの次にチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションする
請求項3に記載の休止基地局選定システム。
【請求項5】
前記休止基地局選定部は、複数の前記基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させた場合に、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させることができれば、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションする
請求項1から4のいずれか一項に記載の休止基地局選定システム。
【請求項6】
前記休止基地局選定部は、複数の前記基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させた場合に、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させることができなければ、次にチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションする
請求項5に記載の休止基地局選定システム。
【請求項7】
前記休止基地局選定部は、複数の前記基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させた場合に、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させることができず、次にチャネル利用率の低い基地局が存在しなければ、休止させるべき基地局として、いずれの基地局の選定しない
請求項6に記載の休止基地局選定システム。
【請求項8】
無線通信網を構成する網側装置であって、
複数の基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の前記基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定部
を備える網側装置。
【請求項9】
無線通信網を構成する網側装置を制御する制御方法であって、
複数の基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の前記基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定段階
を備える制御方法。
【請求項10】
無線通信網を構成する網側装置用のプログラムであって、前記網側装置を、
複数の基地局のうちの最もチャネル利用率の低い基地局を休止させて、当該基地局に無線通信接続されている無線通信端末を他の基地局へ再接続させた場合における、他の各基地局のチャネル利用率の変化をシミュレーションした上で、複数の前記基地局の中から休止させるべき基地局を選定する休止基地局選定部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−182713(P2012−182713A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44943(P2011−44943)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 総務省地球温暖化対策ICTイノベーション推進事業「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】