説明

会議システム、会議システムの制御方法、及びプログラム

【課題】会議参加者同士の視線を容易に一致させることが可能な会議システム、会議システムの制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置3は、プロジェクター1の投写範囲内であるスクリーン2の略中央に位置しているため、会議参加者Mを正面から撮像することが可能であり、会議参加者M同士の視線を一致させることができる。ただし、このような構成では、撮像装置3がプロジェクター1から投写される光を受光してしまうため、撮像装置3の自動露出機能により、会議の参加者が暗く撮像されてしまう。このため、本実施形態では、プロジェクター1からの光が撮像装置3(撮像レンズ3a)の位置、即ちスクリーン2の透過部2cの位置に照射されないよう、投写する画像において当該位置の輝度を低下させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信によって遠隔地間で会議を行う会議システム、会議システムの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信によって遠隔地間で会議を行う会議システムは、撮像装置と表示装置とを含んでおり、撮像装置で撮像した会議参加者の画像を通信先に送信するとともに、通信先で撮像された会議参加者の画像を受信して表示装置に表示させる。このような会議システムにおいて、表示装置が大きな画面サイズを有し、その近傍に撮像装置が配置される場合には、会議参加者が視線を向ける位置(例えば、画面中央付近)と、撮像装置の位置とが離れてしまうため、会議参加者が撮像装置とは異なる方向を見ている画像が送信されることになり、双方の会議参加者の視線が一致しない。このため、会議参加者同士の視線を一致させる会議システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、表示手段の前方にハーフミラーが配置され、表示装置に表示される画像がハーフミラーを介して会議参加者に観察されるとともに、撮像装置がハーフミラーを介して会議参加者を撮像するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−177949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、表示手段の前方にハーフミラーを配置する必要があるため、システムが大型化するうえ、システムのコストが上昇してしまうという問題がある。特に、表示手段の画面サイズが大きい場合ほど、この問題は顕著になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る会議システムは、通信によって遠隔地間で会議を行う会議システムであって、画像光を投写するプロジェクターと、前記プロジェクターの投写範囲内に配置され、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像して第1の画像情報を生成する撮像装置と、前記撮像装置が生成した前記第1の画像情報を通信先に送信するとともに、前記通信先から第2の画像情報を受信して前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記通信先から受信した前記第2の画像情報に対して、前記撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施して、前記プロジェクターに出力することを特徴とする。
【0008】
この会議システムによれば、撮像装置がプロジェクターの投写範囲内に配置されるため、プロジェクターから投写される画像を会議参加者が見ている場合に、この会議参加者を正面から撮像することが可能となる。このため、システムを大型化することなく、会議参加者同士の視線を一致させることが可能となる。また、制御装置は、プロジェクターに出力する画像情報に対して、撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施すため、プロジェクターから投写される光を撮像装置が受光することによって、撮像された画像の視認性が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記プロジェクターから前記画像光が投写されるスクリーンをさらに備え、前記スクリーンには、前記プロジェクターの投写範囲内に、光を透過させる透過部が形成され、前記撮像装置は、前記スクリーンの背面側に配置され、前記透過部を通して前記スクリーンの投写面側を撮像することが望ましい。
【0010】
この会議システムによれば、撮像装置が、スクリーンの背面側に配置され、スクリーンに形成された透過部を通して投写面側を撮像するように構成されているため、撮像装置を目立たなくすることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記制御装置は、前記撮像装置が配置されている位置を認識する認識部を備え、当該認識部の認識結果に基づいて、輝度を低下させる部位を定めることが望ましい。
【0012】
この会議システムによれば、制御装置は、撮像装置が配置されている位置を認識する認識部を備えており、認識部の認識結果に基づいて、輝度を低下させる部位を定めるため、撮像装置とプロジェクターの位置関係が一定ではない場合にも、輝度を低下させる部位を容易に決定することが可能となる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る会議システムにおいて、前記制御装置は、前記撮像装置に投写される部位を黒色にすることが望ましい。
【0014】
この会議システムによれば、撮像装置に投写される部位を黒色にしているため、プロジェクターから撮像装置に投写される光を一層低減することが可能となる。
【0015】
[適用例5]本適用例に係る会議システムの制御方法は、通信によって遠隔地間で会議を行う会議システムの制御方法であって、画像光を投写するプロジェクターの投写範囲内に配置された撮像装置が、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像ステップと、前記撮像装置が撮像して生成した第1の画像情報を通信先に送信する送信ステップと、前記通信先から第2の画像情報を受信する受信ステップと、前記第2の画像情報を前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる投写ステップと、を備え、前記投写ステップでは、前記通信先から受信した前記第2の画像情報に対して、前記撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施して、前記プロジェクターに出力することを特徴とする。
【0016】
この会議システムの制御方法によれば、撮像装置がプロジェクターの投写範囲内に配置されるため、プロジェクターから投写される画像を会議参加者が見ている場合に、この会議参加者を正面から撮像することが可能となる。このため、システムを大型化することなく、会議参加者同士の視線を一致させることが可能となる。また、投写ステップでは、プロジェクターに出力する画像情報に対して、撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施すため、プロジェクターから投写される光を撮像装置が受光することによって、撮像された画像の視認性が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【0017】
[適用例6]上記適用例に係る会議システムの制御方法において、前記プロジェクターは、前記画像光をスクリーンに投写し、前記スクリーンには、前記プロジェクターの投写範囲内に、光を透過させる透過部が形成され、前記撮像装置は、前記スクリーンの背面側に配置され、前記透過部を通して前記スクリーンの投写面側を撮像することが望ましい。
【0018】
この会議システムの制御方法によれば、撮像装置が、スクリーンの背面側に配置され、スクリーンに形成された透過部を通して投写面側を撮像するように構成されているため、撮像装置を目立たなくすることができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例に係る会議システムの制御方法において、前記撮像装置が配置されている位置を認識する認識ステップをさらに備え、前記投写ステップでは、前記認識ステップでの認識結果に基づいて、輝度を低下させる部位を定めることが望ましい。
【0020】
この会議システムの制御方法によれば、撮像装置が配置されている位置を認識する認識ステップを備え、制御装置は、認識ステップでの認識結果に基づいて、輝度を低下させる部位を定めるため、撮像装置とプロジェクターの位置関係が一定ではない場合にも、輝度を低下させる部位を容易に決定することが可能となる。
【0021】
[適用例8]上記適用例に係る会議システムの制御方法において、前記投写ステップでは、前記撮像装置に投写される部位を黒色にすることが望ましい。
【0022】
この会議システムの制御方法によれば、撮像装置に投写される部位を黒色にしているため、プロジェクターから撮像装置に投写される光を一層低減することが可能となる。
【0023】
[適用例9]本適用例に係るプログラムは、画像光を投写するプロジェクターと、前記プロジェクターの投写範囲内に配置され、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像装置とを備え、通信によって遠隔地間で会議を行う会議システムの動作を制御するコンピューターに、前記撮像装置が撮像して生成した第1の画像情報を通信先に送信する送信ステップと、前記通信先から第2の画像情報を受信する受信ステップと、前記第2の画像情報を前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる投写ステップと、を実行させるプログラムであって、前記投写ステップでは、前記通信先から受信した前記第2の画像情報に対して、前記撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施して、前記プロジェクターに出力することを特徴とする。
【0024】
このプログラムによれば、投写ステップにおいて、プロジェクターに出力する画像情報に対して、撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施している。このため、撮像装置をプロジェクターの投写範囲内に配置して、会議参加者同士の視線を一致させるにあたり、プロジェクターから投写される光を撮像装置が受光することによって、撮像された画像の視認性が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】会議システムの概略構成を示す構成図。
【図2】スクリーンの正面図。
【図3】制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】会議システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図5】(a)〜(f)は、撮像装置を認識する方法の一例を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態の会議システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、会議システムの概略構成を示す構成図であり、図2は、会議システムを構成するスクリーンの正面図である。
図1に示すように、会議システム100は、プロジェクター1と、スクリーン2と、撮像装置3と、制御装置4と、スピーカー5と、マイク6とを備えて構成されている。会議システム100(第1の会議システム100a)は、遠隔地に備わる他の会議システム100(第2の会議システム100b)とネットワークNWを介して接続されており、会議システム100間で通信を行うことによって遠隔地間での会議を実現させる。なお、図示は省略しているが、第2の会議システム100bも、第1の会議システム100aと同一の構成を有している。
【0027】
プロジェクター1は、光源(図示せず)と、制御装置4から入力される画像情報に応じて光源から射出された光を変調する光変調装置(図示せず)とを備えており、光変調装置で変調された光(画像光)を投写レンズ1aによってスクリーン2に投写し、スクリーン2の投写面2aに画像を表示する。
【0028】
スクリーン2は、プロジェクター1から投写される画像光を反射して画像を表示する反射型のスクリーンであり、このスクリーン2の投写面2a内に画像が投写されるように、プロジェクター1及びスクリーン2の位置関係やプロジェクター1の投写条件(ズーム状態等)が調整されている。また、図2に示すように、スクリーン2の略中央には、円形状の透過部2cが形成されている。透過部2cは、画像光が投写される投写面2a側からその背面2b側に光を透過させる部位であり、光透過性を有する部材で構成してもよいし、表裏を貫通する孔を設けるだけであってもよい。
【0029】
図1に戻って、撮像装置3は、CCD(Charge Coupled Device)センサー、或いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等からなる撮像素子等(図示せず)と、被写体から発せられた光を撮像素子上に結像させるための撮像レンズ3aとを備えており、スクリーン2の背面2b側に配置される。撮像装置3は、撮像レンズ3aがスクリーン2の透過部2cと対向するように配置され、透過部2cを通してスクリーン2の投写面2a側、即ちプロジェクター1が配置される側の被写体を撮像可能になっている。つまり、撮像装置3は、プロジェクター1の投写範囲内に配置され、スクリーン2の投写面2aに対峙して画像を見ている会議参加者Mを正面から撮像することができる。そして、撮像装置3は、撮像した画像(撮像画像)の画像情報を生成し、制御装置4に出力する。なお、撮像装置3には、被写体を適正な露出で撮像するための自動露出機能が備えられている。
【0030】
制御装置4には、プロジェクター1、撮像装置3、スピーカー5及びマイク6が接続されている。制御装置4は、会議システム100の動作を制御するものであり、例えば、コンピューターによって構成することができる。また、制御装置4は、ネットワークNWに接続されており、他の会議システム100との間で通信を行うことができる。
【0031】
図3は、制御装置4の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置4は、処理部41と、記憶部42と、表示制御部43と、入出力インターフェイス(I/F)44と、補助記憶部45と、音声制御部46と、ネットワーク通信部47と、を有している。
【0032】
処理部41は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され、記憶部42は、RAM(Random Access Memory)等によって構成される。処理部41は、補助記憶部45に記憶されているOS(Operating System)やアプリケーションプログラムを記憶部42に読み出し、これらのプログラムに従って様々な処理を行う。また、記憶部42は、各種データの一時記憶等にも用いられる。
【0033】
表示制御部43は、ビデオコントローラーであり、処理部41の指示に基づいてプロジェクター1に画像情報を出力し、画像情報に基づく画像をプロジェクター1に投写させる。なお、プロジェクター1とともに、モニター用の画像表示装置を表示制御部43に接続して、プロジェクター1に投写させる画像と同一の画像を画像表示装置に表示させるようにしてもよい。
【0034】
入出力インターフェイス44は、様々な周辺デバイスとの間でデータの入出力を行うものであり、本実施形態では、補助記憶部45、音声制御部46及びネットワーク通信部47、及び撮像装置3が接続されている。また、図示は省略しているが、入出力インターフェイス44には、ユーザーの入力操作を受け付ける入力装置(例えば、キーボードやマウス等)も接続される。
【0035】
補助記憶部45は、例えば、ハードディスクドライブであり、OSやアプリケーションプログラム、各種データ等が記憶されている。本実施形態の補助記憶部45には、ネットワークNWを介した通信によって遠隔地間で会議を行うための会議プログラム(図示せず)が記憶されている。
【0036】
音声制御部46には、スピーカー5及びマイク6が接続されている。音声制御部46は、処理部41の指示に基づいてスピーカー5に音声情報を供給し、音声情報に基づく音声をスピーカー5から出力させるとともに、マイク6が集音して生成した音声情報が供給される。
【0037】
ネットワーク通信部47は、ネットワークNWに接続されており、同じくネットワークNWに接続されている他の装置との間で、データ通信を行うことができる。図1に示したように、本実施形態では、第1の会議システム100a及び第2の会議システム100bが、それぞれの制御装置4のネットワーク通信部47によってネットワークNWに接続されており、第1の会議システム100aと第2の会議システム100bとの間の通信が可能になっている。
【0038】
第1の会議システム100a及び第2の会議システム100bの双方において、制御装置4は、マイク6から入力される音声情報と、撮像装置3から入力される画像情報とを、両者を同期させながら、ネットワーク通信部47からネットワークNWを介して他方の会議システム100に送信するとともに、他方の会議システム100から音声情報及び画像情報を受信する。そして、双方の制御装置4は、受信した音声情報に基づく音声をスピーカー5から出力させるとともに、音声の出力に同期させて、受信した画像情報に基づく画像をプロジェクター1からスクリーン2に投写させる。ここで、撮像装置3は、プロジェクター1の投写範囲内であるスクリーン2の略中央に位置しているため、会議参加者Mを正面から撮像することが可能であり、会議参加者M同士の視線を一致させることができる。ただし、このような構成では、撮像装置3がプロジェクター1から投写される光を受光してしまうため、撮像装置3の自動露出機能により、会議参加者Mが暗く撮像されてしまう。このため、本実施形態では、撮像装置3(撮像レンズ3a)の位置、即ちスクリーン2の透過部2cの位置に、プロジェクター1からの強い光が照射されないよう、投写する画像において当該位置に対応する部位の輝度を低下させるようになっている。
【0039】
図4は、会議システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
ユーザーが、入力装置を操作して補助記憶部45に記憶されている会議プログラムの起動を指示すると、制御装置4の処理部41は、会議プログラムを記憶部42に読み込んだ後、この会議プログラムに従って、図4に示すフローのように動作する。
【0040】
図4に示すように、まず、ステップS101では、処理部41は、ユーザーにより会議システム100を初期化する指示がなされたか否かを判断する。そして、入力装置によって初期化を指示する操作がなされた場合にはステップS102に移行し、初期化を指示する操作がなされていない場合にはステップS104に移行する。
【0041】
初期化を指示する操作がなされてステップS102に移行した場合には、処理部41は、撮像装置3(撮像レンズ3a)の位置及び大きさ、即ちスクリーン2の透過部2cの位置及び大きさを認識する処理を行う。撮像装置3の位置と大きさは、例えば、図5に示す方法で認識することができる。
【0042】
図5(a)〜(f)は、撮像装置3を認識する方法の一例を説明するための説明図である。
図5(a)に示すように、中央に透過部2cが設けられたスクリーン2の投写面2a内に、プロジェクター1から投写される画像(投写画像Pa)の全体が収まるように、プロジェクター1とスクリーン2の位置調整等がなされているものとする。ただし、図示するように、スクリーン2の中心と投写画像Paの中心は必ずしも一致していない。
【0043】
この状態において、図5(b)に示すように、処理部41は、表示制御部43に指示をして、白色の背景(白色部Aw)の中央に、透過部2cよりも十分に大きいサイズの黒色の部位(黒色部Ab)を有するキャリブレーション画像Pcを投写させる。黒色部Abは、光量が最小となる部位であるため、この状態では、撮像装置3には、プロジェクター1からの光がほとんど照射されない。その後、処理部41は、撮像装置3の撮像結果を監視しながら、黒色部Abを徐々に小さく変化させていく。そして、図5(c)に示すように、黒色部Abを小さくしていくことによって、透過部2cに白色部Awが差し掛かると、処理部41は、撮像装置3の撮像結果に基づいてこれを検出する。そして、処理部41は、黒色部Abを様々な方向に移動させることにより、透過部2cが黒色部Ab内に包含される位置(図5(d)参照)を見つけ出し、この位置で黒色部Abを再度小さくしていく(図5(e)参照)。この後も、処理部41は、撮像装置3の撮像結果に基づいて、キャリブレーション画像Pcの黒色部Abの大きさと位置の調整を繰り返すことにより、スクリーン2に投写される黒色部Abを、透過部2cと同程度(実際には、透過部2cよりも少し大きい程度)の大きさにするとともに、透過部2cと重なる位置に移動させる(図5(f)参照)。このように、処理部41は、調整後の黒色部Abの位置及び大きさによって、透過部2c、即ち撮像装置3の位置及び大きさを認識する。
【0044】
図4に戻って、ステップS103では、処理部41は、ステップS102で透過部2cの位置及び大きさを認識した結果を記憶部42に記憶する。具体的には、処理部41は、透過部2cに合わせて黒色部Abの位置及び大きさを変化させた後のキャリブレーション画像Pcを、認識結果を表す画像(認識画像)とし、その画像情報を記憶部42に記憶して、ステップS101に戻る。
【0045】
ステップS101で初期化を指示する操作がなされずにステップS104に移行した場合には、処理部41は、ユーザーにより、会議システム100を利用した会議を実施する指示がなされたか否かを判断する。そして、入力装置によって会議の実施を指示する操作がなされた場合にはステップS105に移行し、会議の実施を指示する操作がなされていない場合にはステップS101に戻る。
【0046】
会議の実施を指示する操作がなされてステップS105に移行した場合には、処理部41は、ネットワークNWを介して遠隔地の会議システム100と通信を行うためのネットワーク接続処理を行う。
【0047】
ステップS106では、処理部41は、通信先の会議システム100の制御装置4との間で、画像情報及び音声情報の送受信を行う。具体的には、処理部41は、撮像装置3で撮像して生成した画像情報及びマイク6で集音して生成した音声情報をネットワーク通信部47から通信先の会議システム100に送信するとともに、通信先の会議システム100で生成された画像情報及び音声情報をネットワーク通信部47で受信して、記憶部42に記憶する。
【0048】
ステップS107では、処理部41は、受信した画像情報に基づく画像(受信画像)をプロジェクター1からスクリーン2に投写するにあたり、撮像装置3への光の照射を抑制するために、受信した画像情報に対して、撮像装置3(透過部2c)に投写される部位を黒色に変換する処理を施す。具体的には、処理部41は、受信した画像情報と、ステップS103で記憶部42に記憶した認識画像の画像情報との論理積を導出する処理を行って、受信画像に認識画像を合成させる。言い換えれば、処理部41は、ステップS102で認識した撮像装置3(透過部2c)の位置及び大きさに基づいて、輝度を低下すべき部位を定め、この部位を黒色に変換する。
【0049】
ステップS108では、処理部41は、処理後の画像情報と受信した音声情報とを同期させながら、画像情報を表示制御部43からプロジェクター1に出力させ、音声情報を音声制御部46からスピーカー5に出力させる。この結果、撮像装置3の位置が黒色に変換された受信画像がスクリーン2に投写されるとともに、受信した音声情報に基づく音声がスピーカー5から出力される。
【0050】
ステップS109では、処理部41は、ユーザーにより、会議システム100を利用した会議を終了する指示がなされたか否かを判断する。そして、入力装置によって会議の終了を指示する操作がなされた場合にはステップS110に移行する。一方、会議の終了を指示する操作がなされていない場合にはステップS106に戻り、会議の終了を指示する操作がなされるまで、画像情報及び音声情報の送受信(ステップS106)、撮像装置3の位置を黒色に変換する処理(ステップS107)、画像の表示と音声の出力(ステップS108)を繰り返す。これにより、通信先で撮像された画像が継続的にプロジェクター1から投写されるとともに、通信先で集音された音声が継続的にスピーカー5から出力され、通信先との会議が可能となる。そして、その間、プロジェクター1から撮像装置3への光の照射が抑制された状態が継続する。
【0051】
ステップS109で会議の終了を指示する操作がなされてステップS110に移行した場合には、処理部41は、通信先の会議システム100とのネットワーク接続を切断するネットワーク切断処理を行って、フローを終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の会議システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0053】
(1)本実施形態の会議システム100によれば、撮像装置3がプロジェクター1の投写範囲内であるスクリーン2の略中央に配置されているため、プロジェクター1から投写される画像を会議参加者Mが見ている場合に、この会議参加者Mを正面から撮像することが可能となる。このため、システムを大型化することなく、会議参加者M同士の視線を一致させることが可能となる。
【0054】
(2)本実施形態の会議システム100によれば、制御装置4は、プロジェクター1に出力する画像情報に対して、撮像装置3に投写される部位を黒色に変換する処理を施すため、プロジェクター1から投写される光を撮像装置3が受光することによって、撮像された画像の視認性が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【0055】
(3)本実施形態の会議システム100によれば、撮像装置3が、スクリーン2の背面2b側に配置され、スクリーン2に形成された透過部2cを通して投写面2a側を撮像するように構成されているため、撮像装置3を目立たなくすることができる。
【0056】
(4)本実施形態の会議システム100によれば、制御装置4は、撮像装置3が配置されている位置を認識し、この認識結果に基づいて、黒色に変換する部位を定めているため、撮像装置3とプロジェクター1の位置関係が一定ではない場合にも、黒色にすべき位置を容易に決定することが可能となる。
【0057】
なお、本実施形態では、ステップS102で撮像装置3の位置及び大きさを認識する際の処理部41が認識部に相当する。また、撮像装置3が生成して通信先に送信する画像情報が第1の画像情報に相当し、通信先から受信してプロジェクター1に出力する画像情報が第2の画像情報に相当する。
【0058】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0059】
上記実施形態では、受信画像を投写する際に、撮像装置3の位置を黒色に変換する処理を行っているが、変換後の色は黒色に限定されず、撮像装置3に照射される光量が低減するような暗い色(暗色)であればよい。
【0060】
上記実施形態では、撮像装置3をスクリーン2の背面2b側に配置しているが、撮像装置3が小型の場合には、スクリーン2の投写面2a側に配置するようにしてもよい。
【0061】
上記実施形態において、複数の会議システム100が接続されるネットワークNWとしては、インターネット等の公衆ネットワークを利用してもよいし、LAN(Local Area Network)や専用回線を利用してもよい。また、ネットワークNWに接続された会議システム100同士で直接通信する態様に限定されず、例えば、ネットワークNWに接続されたサーバーを経由して通信するようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態において、撮像装置3の位置及び大きさを検出する方法は、上記(図5に示した方法)に限定されない。例えば、会議システム100が、ペン先から赤外光やレーザー光を発する発光ペンと、発光ペンが発する光を検出する検出装置とを備え、スクリーン2に投写された画像上で発光ペンによって指し示された位置にカーソルやポインターを移動させたり、発光ペンの軌跡を重畳して表示したりすることが可能なシステムの場合には、発光ペンのキャリブレーションを行う際等に、発光ペンで撮像装置3の位置や大きさを指定するようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態では、プロジェクター1、撮像装置3、制御装置4、スピーカー5、マイク6がそれぞれ分離した構成になっているが、これに限定されない。例えば、撮像装置3、制御装置4、スピーカー5、マイク6を一体的に備えたノート型のパーソナルコンピューターを利用することも可能であるし、制御装置4の機能をプロジェクター1に包含するようにしてもよい。
【0064】
上記実施形態では、ネットワークNWに2つの会議システム100(第1及び第2の会議システム100a,100b)が接続されている態様を示したが、3つ以上の会議システム100を接続するようにしてもよい。例えば、3つの会議システム100を接続する場合には、各会議システム100は、通信先が2つあるため、プロジェクター1の投写画像を2つのブロックに区分して、それぞれに通信先を対応付け、通信先から受信した画像情報に基づく画像を対応するブロックに表示させる。さらに、スクリーン2には、各ブロックの画像が投写される領域毎に透過部2cを設けて、それぞれの背面2b側に撮像装置3を配置し、各撮像装置3で撮像して生成した画像情報を対応する通信先に送信する。これにより、いずれの通信先とも視線を一致させることが可能となる。
【0065】
上記実施形態において、プロジェクター1及びスクリーン2は、会議以外の用途(撮像装置3を必要としない用途)に利用することも可能である。この場合には、光を反射する部材で透過部2cを覆うとともに、透過部2cに投写される部位を黒色に変換する処理を実施しないようにすればよい。また、エレクトロクロミックガラスのように透過率(反射率)を変更可能な部材で透過部2cを構成して、用途によって透過率を切り替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…プロジェクター、1a…投写レンズ、2…スクリーン、2a…投写面、2b…背面、2c…透過部、3…撮像装置、3a…撮像レンズ、4…制御装置、5…スピーカー、6…マイク、41…処理部、42…記憶部、43…表示制御部、44…入出力インターフェイス、45…補助記憶部、46…音声制御部、47…ネットワーク通信部、100…会議システム、100a…第1の会議システム、100b…第2の会議システム、M…会議参加者、NW…ネットワーク、Pa…投写画像、Pc…キャリブレーション画像、Ab…黒色部、Aw…白色部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信によって遠隔地間で会議を行う会議システムであって、
画像光を投写するプロジェクターと、
前記プロジェクターの投写範囲内に配置され、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像して第1の画像情報を生成する撮像装置と、
前記撮像装置が生成した前記第1の画像情報を通信先に送信するとともに、前記通信先から第2の画像情報を受信して前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記通信先から受信した前記第2の画像情報に対して、前記撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施して、前記プロジェクターに出力することを特徴とする会議システム。
【請求項2】
請求項1に記載の会議システムであって、
前記プロジェクターから前記画像光が投写されるスクリーンをさらに備え、
前記スクリーンには、前記プロジェクターの投写範囲内に、光を透過させる透過部が形成され、
前記撮像装置は、前記スクリーンの背面側に配置され、前記透過部を通して前記スクリーンの投写面側を撮像することを特徴とする会議システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の会議システムであって、
前記制御装置は、前記撮像装置が配置されている位置を認識する認識部を備え、当該認識部の認識結果に基づいて、輝度を低下させる部位を定めることを特徴とする会議システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の会議システムであって、
前記制御装置は、前記撮像装置に投写される部位を黒色にすることを特徴とする会議システム。
【請求項5】
通信によって遠隔地間で会議を行う会議システムの制御方法であって、
画像光を投写するプロジェクターの投写範囲内に配置された撮像装置が、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像ステップと、
前記撮像装置が撮像して生成した第1の画像情報を通信先に送信する送信ステップと、
前記通信先から第2の画像情報を受信する受信ステップと、
前記第2の画像情報を前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる投写ステップと、
を備え、
前記投写ステップでは、前記通信先から受信した前記第2の画像情報に対して、前記撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施して、前記プロジェクターに出力することを特徴とする会議システムの制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の会議システムの制御方法であって、
前記プロジェクターは、前記画像光をスクリーンに投写し、
前記スクリーンには、前記プロジェクターの投写範囲内に、光を透過させる透過部が形成され、
前記撮像装置は、前記スクリーンの背面側に配置され、前記透過部を通して前記スクリーンの投写面側を撮像することを特徴とする会議システムの制御方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の会議システムの制御方法であって、
前記撮像装置が配置されている位置を認識する認識ステップをさらに備え、
前記投写ステップでは、前記認識ステップでの認識結果に基づいて、輝度を低下させる部位を定めることを特徴とする会議システムの制御方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の会議システムの制御方法であって、
前記投写ステップでは、前記撮像装置に投写される部位を黒色にすることを特徴とする会議システムの制御方法。
【請求項9】
画像光を投写するプロジェクターと、前記プロジェクターの投写範囲内に配置され、前記画像光が投写される投写面に対峙する被写体を撮像する撮像装置とを備え、通信によって遠隔地間で会議を行う会議システムの動作を制御するコンピューターに、
前記撮像装置が撮像して生成した第1の画像情報を通信先に送信する送信ステップと、
前記通信先から第2の画像情報を受信する受信ステップと、
前記第2の画像情報を前記プロジェクターに出力し、当該第2の画像情報に基づく画像光を前記プロジェクターに投写させる投写ステップと、
を実行させるプログラムであって、
前記投写ステップでは、前記通信先から受信した前記第2の画像情報に対して、前記撮像装置に投写される部位の輝度を低下させる処理を施して、前記プロジェクターに出力することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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