説明

伝導機の試験ユニット及び試験装置

【課題】伝導機に対して出力側の位置調整を軸方向に位置ずれしてしまうことなく正確に行うことが可能であるとともに駆動源及び負荷と伝導機との間に遮音壁を設けることで駆動源及び負荷からの振動及び騒音を遮断することが可能な伝導機の試験ユニット及び試験装置を提供する。
【解決手段】試験ユニット3は、伝導機Tが設置される第一のベース351と、駆動源M1が設置される第二のベース352と、軸受32、33と、第一のベースと独立して軸方向に移動可能に設けられ軸受32、33が設置される第三のベース353、354と、第三のベースと独立して軸方向に移動可能に設けられ負荷M2、M3が設置される第四のベース355、356と、第三のベースと第四のベースとについて両方に連結部材を連結して一体的に軸方向に移動可能とする連結状態及び一方と連結部材との振動伝達を遮断して連結を解除した非連結状態に切替可能な連結機構36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に用いられる伝導機の特性を測定する伝導機の試験ユニット及び試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トランスミッションなどの伝導機を、駆動源としての模擬動力となるモータに接続するとともに、出力軸であるドライブシャフトを介して負荷としての模擬動力となるモータに接続して、伝導機の性能試験を行う試験装置がある(例えば、特許文献1参照)。
ここで、図5に示すように、試験装置60において、伝導機61や駆動源62及び負荷63となる各モータ、さらにドライブシャフト64などを支持する軸受65は、基礎66に設けられた底盤67上に確実に固定された状態に保たれている。そして、駆動源62となるモータを駆動するとともに、負荷63となるモータを駆動し、この状態で出力軸となるドライブシャフト64と連結したトルク計68などで出力性能を検出することで、伝導機61の性能を測定することができる。
【0003】
近年、伝導機が搭載される自動車などの分野においても低騒音化が望まれ、伝導機の性能としても低騒音性が要求されることとなり、上記試験装置において伝導機の騒音を測定して低騒音性評価を行うことが試みられている。
この場合、駆動源や負荷となる各モータは、それ自身も騒音源となり、伝導機の騒音を測定する際のノイズとなる。このため、図5に示すように、伝導機の騒音を正確に測定するには、騒音源となる駆動源62や負荷63を外側に配置して遮音壁69を設けて、この遮音壁69によって伝導機61を含むモータ以外の構成を遮音壁内部に収容する必要がある。
【特許文献1】特開2004−286609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記試験装置では、遮音壁を設けたとしても駆動源や負荷であるモータから発生する振動が底盤を介して伝播することとなり、これにより遮音壁内部で騒音が発生してしまう問題があった。このため、遮音壁外部の駆動源や負荷となるモータを固定する底盤と、遮音壁内部の伝導機を含むモータ以外の構成を固定する底盤とについて、互いに振動が伝達されないように独立させる必要があった。
一方、試験対象となる伝導機や、伝導機と負荷側とを接続する出力軸であるドライブシャフトは、対象となる車種により様々な寸法のものがあるため、ドライブシャフトよりも負荷側となる構造については、使用する伝導機の大きさや、ドライブシャフトの長さに応じて一体的に移動させて位置調整する必要があった。
しかしながら、上記のように防振対策上遮音壁の外部と内部とで底盤を独立させる必要があることで、遮音壁の外部の底盤と内部の底盤とをドライブシャフトの長さに応じて一体的に移動させることができず、これにより遮音壁の外部構成と内部構成とで軸方向の位置調整を正確に行うことが困難となってしまう問題があった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、伝導機に対して、出力側の位置調整を軸方向に位置ずれしてしまうことなく正確に行うことが可能であるとともに、駆動源及び負荷と伝導機との間に遮音壁を設けることで駆動源及び負荷からの振動及び騒音を遮断することが可能な伝導機の試験ユニット及び試験装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、入力軸と、少なくとも一つの出力軸とが接続される伝導機の特性を測定する伝導機の試験ユニットであって、基礎上に設けられ、前記伝導機が設置される第一のベースと、前記基礎上に設けられ、前記入力軸と接続される駆動源が設置される第二のベースと、前記伝導機に接続された出力軸と接続される軸受と、前記基礎上に前記第一のベースと独立して前記出力軸の軸方向に移動可能に設けられ、前記軸受が設置される第三のベースと、前記基礎上に前記第三のベースと独立して前記軸方向に移動可能に設けられ、前記軸受を介して前記出力軸と接続される負荷が設置される第四のベースと、前記第三のベースと前記第四のベースとの間に配設された連結部材を有し、前記第三のベースと前記第四のベースとについて、両方に前記連結部材を連結して一体的に前記軸方向に移動可能とする連結状態、及び、少なくとも一方と前記連結部材との振動伝達を遮断して連結を解除した非連結状態に切替可能な連結機構とを備えることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、第二のベースに設置された駆動源を駆動することで、動力は入力軸から第一のベースに設置された伝導機に伝達され、出力軸に出力される。この際、第三のベースに設置された軸受を介して接続された負荷から擬似負荷を受けることにより、運転状態を想定して伝導機を駆動させることができる。ここで、駆動源が設置された第二のベース及び負荷が設置された第四のベースは、伝導機が設置された第一のベース及び軸受が設置された第三のべースと異なるため、駆動源及び負荷で発生する振動が伝導機側に伝達されるのを遮断することができる。また、連結機構を非連結状態とすることで連結部材と第三のベースまたは第四のベースとの少なくとも一方との振動伝達を遮断することができる。このため、第一のベース及び第三のベースと第二のベース及第四のべースとの間に遮音壁を設けることで、駆動源及び負荷で発生した騒音、振動の影響を受けることなく、正確に伝導機から発生する騒音を検出することができる。
【0008】
一方、連結機構を連結状態とすることで、第三のベースと第四のベースとは一体として軸方向に移動することが可能となる。これにより伝導機の大きさや出力軸の長さに応じて伝導機に対する軸受及び負荷の位置を互いに位置ずれしてしまうこと無く正確に位置調整することができる。
【0009】
また、前記連結機構は、前記第三のベースまたは前記第四のベースの少なくとも一方に設けられ、前記第三のベースまたは前記第四のべースに対して離間させて前記連結部材を支持する防振部材を有することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、連結部材は、防振部材によって第三のべースまたは第四のベースの一方に離間するように支持されているので、他方から連結部材に伝達される振動が一方に伝達されて騒音の原因となってしまうことを確実に防止することができる。
【0011】
また、本発明の試験装置は、該試験ユニットの前記連結部材が挿通された貫通孔を有して前記基礎上に設けられ、前記第一のベース及び前記第三のベースを収容する遮音室を形成するとともに、前記第二のベース及び第四のベースを前記遮音室の外部に配置させる遮音壁とを備えることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、上記のように伝導機に対して、出力側の位置調整を可能としつつ、駆動源や負荷からの振動伝達を防ぎ、また、遮音壁によって空気伝播する騒音を遮音することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の伝導機の試験ユニット及び試験装置によれば、連結機構を備えることで、伝導機に対して、出力側の位置調整を軸方向に位置ずれしてしまうことなく正確に行うことが可能であるとともに、駆動源及び負荷からの振動及び騒音を遮断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から図3は、この発明に係る実施形態の試験装置を示している。図1に示すように、試験装置1は、伝導機Tの特性、特に騒音特性を測定するものであり、伝導機Tとは、具体的には例えば自動車用のトランスミッションである。試験装置1は、コンクリートなどで形成されて重量物を支持可能な基礎2と、基礎2上に設けられ、伝導機Tなどを搭載し接続させる試験ユニット3と、基礎2上に設けられ、伝導機Tを収容する遮音室4aを形成する遮音壁4とを備える。
遮音壁4は、コンクリートなどで形成された壁本体41と、壁本体41の遮音室4a側の面に貼り付けられた遮音板42とで構成されている。ここで壁本体41は、基礎2と一体的に構築されている。
【0015】
また、本実施形態において、試験ユニット3には、供試体となる伝導機Tとともに、入力軸R1を介して伝導機Tに動力を伝達させる擬似的な駆動源となる駆動用モータM1と、それぞれ出力軸R2、R3を介して出力側から伝導機Tに負荷を与える擬似的な負荷となる二つの負荷用モータM2、M3とが搭載される。ここで、例えば伝導機Tを自動車用のトランスミッション、出力軸R2、R3をドライブシャフトとした場合には、駆動用モータM1がエンジン、各負荷用モータM2、M3が路面を走行するタイヤに相当する。
【0016】
そして、試験ユニット3は、入力軸R1を回転可能に支持する入力側軸受31と、各出力軸R2、R3を回転可能に支持する出力側軸受32、33と、伝導機Tからの出力として生じるトルクを計測するトルク計34と、基礎2上にそれぞれ独立して設けられて各構成が設置される第一のベース351、第二のベース352、第三のベース353、354及び第四のベース355、356と、第三のベース353、354と第四のベース355、356とを連結する後述する連結機構36とを備える。
【0017】
第一のベース351は、遮音室4a内に設けられていて、入力側軸受31が設置されているとともに、測定対象となる伝導機Tが設置され、入力軸R1で互いに接続されている。
また、第二のベース352は、第一のベース351と遮音壁4を挟んで遮音室4a外に設けられていて、試験対象となる駆動用モータM1が設置され、入力側軸受31と入力側連結軸31aによって接続されている。入力側連結軸31aは、遮音壁4に形成された貫通孔4bに挿通されている。貫通孔4bの内径は、遮音壁4の遮音性能を向上させるため、挿入される対象物となる入力側連結軸31aの外径よりも僅かに大きい程度に設定されている。なお、後述する遮音壁4に形成される他の貫通孔4c、4dの内径についても、同様に挿入される対象物の外寸法よりも僅かに大きい設定となっている。
【0018】
また、第三のベース353、354は、各出力側軸受32、33のそれぞれと対応して設けられていて、出力側軸受32、33が設置されている。そして、一方の第三のベース353に設置された出力側軸受32は、対応する出力軸R2を回転可能に支持していて、出力軸R2を介して伝導機Tと接続されている。また、他方の第三のベース354には、上記のトルク計34が設置されていて、トルク計34は、出力軸R3によって伝導機Tと接続されている、また、出力側軸受33は、中間連結軸33aによってトルク計34と接続されている。
また、第四のベース355、356は、対応する各第三のベース353、354と遮音壁4を挟んで遮音室4a外に設けられていて、それぞれ対象となる負荷用モータM2、M3が設置されている。負荷用モータM2、M3は、それぞれ対応する出力側軸受32、33と出力側連結軸33c、33d、33eによって接続されている。なお、遮音室4a内外を接続する出力側連結軸33c、33eは、遮音壁4に形成された各貫通孔4cに挿通されている。
【0019】
ここで、第一のベース351及び第二のベース352は、鋳物などで形成されていて、設置される設備に応じて必要な部材寸法を有する略板状の部材で基礎2に固定されている。このため、第一のベース351に設置された伝導機T及び入力側軸受31と、第二のベース352に設置された駆動用モータM1とについて、入力軸R1の軸方向の相対的な位置関係は略一定となっている。
【0020】
一方、第三のベース353、354は、それぞれ、基礎2に固定された略板状の定盤35aと、定盤上で移動可能な略板状の移動体35bと、移動体を出力軸R2、R3の軸方向に案内するガイド35cとを有する。同様に第四のベース355、356も、それぞれ、基礎2に固定された略板状の定盤35dと、定盤上で移動可能な略板状の移動体35eと、移動体を出力軸R2、R3の軸方向に案内するガイド35fとを有する。このため、第三のベース353、354に設置された出力側軸受32、33及びトルク計34、また、第四のベース355、356に設置された負荷用モータM2、M3は、出力軸R2、R3の軸方向に移動可能となっている。
【0021】
また、第三のベース353、354と第四のベース355、356との対応する各間には、上記の連結機構36が設けられている。なお、本実施形態では、各間において2組ずつ設けられているが、少なくとも1組設けられていれば良い。図2に示すように、連結機構36は、遮音壁4に形成された貫通孔4dに挿通されて第三のベース353、354と第四のベース355、356との間に配設された連結部材361と、第三のベース353、354に固定されていて連結部材361の一端361aを支持する支持部材362と、第四のベース355、356に設けられていて連結部材361の他端361bを当接支持する防振部材363と、連結部材361の他端361bを固定することが可能な固定手段364とを備える。
連結部材361は、一端361aから他端361bへ延びる略棒状の部材で、他端361bは下方に向かって屈曲している。そして、連結部材361の一端361aは、支持部材362によって鉛直面内で回転可能にヒンジ結合されている。また、連結部材361において、下方に屈曲した他端361bは、防振部材363に当接支持されていることで、第四のベース355、356に対して上方に離間した状態で出力軸R2、R3の軸方向に相対移動することが可能となっている。
【0022】
ここで、防振部材363は、例えばゴムなどの弾性材で形成されており、これにより連結部材361から伝達される振動を減衰させ、第四のベース355、356に伝達してしまうことを規制している。
また、固定手段364は、連結部材361の他端361bに対して、出力軸R2、R3の軸方向に沿って一方側に設けられた第一のボルト部材364aと、他方側に設けられた第二のボルト部材364bとを有する。第一のボルト部材364a及び第二のボルト部材364bは、それぞれ第四のベース355、356に固定された第一のネジ孔364cまたは第二のネジ孔364dにそれぞれ螺合されていて、これにより出力軸R2、R3の軸方向に進退させることが可能となっている。
【0023】
すなわち、固定手段364の第一のボルト部材364a及び第二のボルト部材364bを進出させて連結部材361の他端361bを挟み込むことによって、連結部材361は第三のベース353、354とともに第四のベース355、356にも連結固定され、第三のベース353、354と第四のベース355、356とは一体的に出力軸R2、R3の軸方向に移動可能となる連結状態となる。一方、固定手段364の第一のボルト部材364a及び第二のボルト部材364bを後退させて連結部材361の他端361bから離間させることによって、連結部材361は第四のベース355、356に対して出力軸R2、R3の軸方向に移動可能となり、すなわち、第三のベース353、354と第四のベース355、356とは連結部材361を介する振動伝達が遮断されて互いの連結が解除された非連結状態となる。
【0024】
次に、この実施形態の試験装置1の作用について説明する。
搭載した伝導機Tの特性を測定するには、まず図2に示すように、各連結機構36において、固定手段364を解除して第三のベース353、354と第四のベース355、356とを非連結状態に設定する。そして、図1に示すように、駆動源となる駆動用モータM1と、負荷となる負荷用モータM2、M3とを予め設定した回転数となるように駆動させる。駆動用モータM1の回転は、入力側連結軸31a、入力側軸受31及び入力軸R1を介して伝導機Tに伝達される。そして、伝導機Tに伝達された回転は、出力軸R2、R3、出力側軸受32、33及び出力側連結軸33c、33d、33e、また、中間連結軸33aを介して各負荷用モータM2、M3に伝達される。それぞれの負荷用モータM2、M3では、予め設定された回転数で回転されており、これにより伝導機Tから伝達されるトルクを吸収している。そして、このように伝導機Tを駆動させながら、トルク計34によって伝導機Tのトルク特性を測定するとともに、遮音室4a内で騒音計によって騒音を測定することで、伝導機Tの騒音特性を測定する。
【0025】
ここで、駆動用モータM1及び負荷用モータM2、M3は、駆動時においては振動及び騒音を発生することとなる。ここで、駆動用モータM1及び負荷用モータM2、M3は、遮音室4a外に設けられているため、騒音として空気伝播する振動は遮音壁4で遮断され、これらの騒音によって遮音室4a内における伝導機Tの騒音測定に影響してしまうことを防ぐことができる。また、駆動用モータM1及び負荷用モータM2、M3が設置された第二のベース352及び第四のベース355、356は、遮音室4a内に設けられて伝導機T及び入力側軸受31、並びに、出力側軸受32、33が設置された第一のベース351及び第三のベース353、354から独立している。また、連結機構36の連結部材361は、支持部材362によって第三のベース353、354とは連結されているものの、第四のベース355、356とは防振部材363を介した状態とされ、振動の伝達が制限されている。
【0026】
このため、駆動用モータM1及び負荷用モータM2、M3から発生し固定伝播する振動は、基礎2を介してのみ遮音室4a内に伝播することとなり、これにより伝播する振動を最小限に抑え、当該振動に起因して発生する騒音の発生を抑えることができる。これにより、遮音室4a内では、伝導機Tの騒音測定を、ノイズを抑えて精度良く行なうことができる。
【0027】
次に、他の大きさの異なる伝導機T、長さの異なる出力軸R2、R3に付け替えて、同様の騒音測定を行う場合には、出力側軸受32、33及び負荷用モータM2、M3について、以下のように出力軸R2、R3の軸方向に位置調整を行った後に測定を開始する。
すなわち、図3に示すように、各連結機構36において、各固定手段364の第一のボルト部材364a及び第二のボルト部材364bを進出させて連結部材361の他端361bを挟み込んで、第三のベース353、354と第四のベース355、356とを連結状態にさせる。そして、設置する伝導機T及び出力軸R2、R3の寸法に合わせて第三のベース353、354の移動体35bと第四のベース355、356の移動体35eとを、出力軸R2、R3の軸方向に移動させて位置調整し、各出力側軸受32、33と出力軸R2、R3とを接続させる。
この際、第三のベース353、354と第四のベース355、356とは遮音壁4で隔てられながら連結機構36によって連結状態となっており、これにより互いに出力軸R2、R3の軸方向に位置ずれしてしまうことなく、一体的に位置調整することができる。そして、出力軸R2、R3との接続が完了したら、各連結機構36を非連結状態とすることで、再び駆動用モータM1及び負荷用モータM2、M3からの振動及び騒音の影響を抑えて伝導機Tの騒音測定を正確に行うことができるようになる。
【0028】
以上のように、本実施形態の試験装置1では、試験ユニット3において連結機構36を備えることで、伝導機1に対して出力側の位置調整を軸方向に位置ずれしてしまうことなく正確に行うことが可能であるとともに、駆動用モータM1及び負荷用モータM2、M3からの振動及び騒音を遮断することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、連結機構36の連結部材361は、第三のベース353、354に支持部材362で支持されていて、第四のベース355、356に防振部材363で支持されるものとしたが、これに限るものでは無く、第三のベース353、354に防振部材363で支持され、第四のベース355、356に支持部材362で支持されるものとしても良い。あるいは、両方とも防振部材363によって、振動伝達を制限しつつ軸方向に移動可能に支持するものとしても良い。
【0030】
図4は、連結機構の変形例を示している。この変形例の連結機構50では、連結部材361は、貫通孔4dに設けられた防振部材51によって出力軸の軸方向に進退可能に支持されている。防振部材51は、連結部材361が挿通された挿通孔51aを有する略筒状の部材で遮音壁4の貫通孔4dに嵌合されている。そして、連結部材361は、防振部材51によって支持された状態で、他端361bが第四のベース355、356と離間した状態となっている。このような連結機構50でも、固定手段364による固定を解除して非連結状態とすることで、第四のベース355、356と離間しているので、第三のベース353、354から連結部材361に伝達される振動が第四のベース355、356に伝達されるのを制限することができる。また、防振部材51によって振動を減衰させることができるため、連結部材361から防振部材51、遮音壁4、基礎2を介して第四のベース355、356に振動が伝達してしまうことを防ぐことができる。なお、防振部材の設置位置としては、上記に限らず、基礎2に直接設置するものなどとしても良い。
また、連結部材361を第三のベース353、354または第四のベース355、356の一方に接続する支持部材について、片持ち支持可能なものとすることで、防振部材の無い構成としても良い。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施形態の試験装置の概要を示す一部を破断した上面図である。
【図2】この発明の実施形態の試験装置において、非連結状態の連結機構の詳細を示す側方視した断面図である。
【図3】この発明の実施形態の試験装置において、連結状態の連結機構の詳細を示す側方視した断面図である。
【図4】この発明の実施形態の変形例の試験装置において、連結状態の連結機構の詳細を示す側方視した断面図である。
【図5】従来の試験装置の概要を示す一部を破断した上面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 試験装置
2 基礎
3 試験ユニット
32、33 出力側軸受(軸受)
351 第一のベース
352 第二のベース
353、354 第三のベース
355、356 第四のベース
36、50 連結機構
361 連結部材
363、51 防振部材
364 固定手段
4 遮音壁
4a 遮音室
M1 駆動用モータ(駆動源)
M2、M3 負荷用モータ(負荷)
T 伝導機
R1 入力軸
R2、R3 出力軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と、少なくとも一つの出力軸とが接続される伝導機の特性を測定する伝導機の試験ユニットであって、
基礎上に設けられ、前記伝導機が設置される第一のベースと、
前記基礎上に設けられ、前記入力軸と接続される駆動源が設置される第二のベースと、
前記伝導機に接続された出力軸と接続される軸受と、
前記基礎上に前記第一のベースと独立して前記出力軸の軸方向に移動可能に設けられ、前記軸受が設置される第三のベースと、
前記基礎上に前記第三のベースと独立して前記軸方向に移動可能に設けられ、前記軸受を介して前記出力軸と接続される負荷が設置される第四のベースと、
前記第三のベースと前記第四のベースとの間に配設された連結部材を有し、前記第三のベースと前記第四のベースとについて、両方に前記連結部材を連結して一体的に前記軸方向に移動可能とする連結状態、及び、少なくとも一方と前記連結部材との振動伝達を遮断して連結を解除した非連結状態に切替可能な連結機構とを備えることを特徴とする伝導機の試験ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の伝導機の試験ユニットにおいて、
前記連結機構は、前記第三のベースまたは前記第四のベースの少なくとも一方に設けられ、前記第三のベースまたは前記第四のべースに対して離間させて前記連結部材を支持する防振部材を有することを特徴とする伝導機の試験ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の試験ユニットと、
該試験ユニットの前記連結部材が挿通された貫通孔を有して前記基礎上に設けられ、前記第一のベース及び前記第三のベースを収容する遮音室を形成するとともに、前記第二のベース及び第四のベースを前記遮音室の外部に配置させる遮音壁とを備えることを特徴とする伝導機の試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−216636(P2009−216636A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62592(P2008−62592)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】